ロータリ耕耘装置
【課題】耕耘作業と畝立作業との切換えを行う際に耕耘爪を取り外す必要がなく、尚且つ、平らな耕耘土面を形成することのできるロータリ耕耘装置を提供すること。
【解決手段】複数の耕耘爪を備えるロータリ軸9の回転方向を正回転方向及び逆回転方向に切換可能に構成しており、ロータリ軸9の外側に配置される外耕耘爪47が、正回転及び逆回転時に耕起土を外側に排出するように構成され、ロータリ軸9の内側に配置される内耕耘爪50が、正回転時にロータリ軸9の内側に向けて耕起土を排出して、逆回転時にロータリ軸9の外側に向けて耕起土を排出するように構成する。
【解決手段】複数の耕耘爪を備えるロータリ軸9の回転方向を正回転方向及び逆回転方向に切換可能に構成しており、ロータリ軸9の外側に配置される外耕耘爪47が、正回転及び逆回転時に耕起土を外側に排出するように構成され、ロータリ軸9の内側に配置される内耕耘爪50が、正回転時にロータリ軸9の内側に向けて耕起土を排出して、逆回転時にロータリ軸9の外側に向けて耕起土を排出するように構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の耕耘爪を備えるロータリ軸の回転方向を、正回転方向及び逆回転方向に切換可能に構成してあるロータリ耕耘装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記ロータリ耕耘装置を備える従来の歩行型作業機の中には、先端部分が一方に向かって湾曲する耕耘爪を備えており、耕耘作業を実施する場合はロータリ軸を正回転させて、畝立作業を実施する場合はロータリ軸を逆回転させるものが知られている(特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3279931号公報
【特許文献2】特開2006−262715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の歩行型作業機では、耕耘作業をするときは、耕耘爪の先端部分が左右中央に向かうように耕耘爪を取り付け、一方畝立作業をするときは、耕耘爪の先端部分が左右外側に向かうように耕耘爪を取り付ける必要がある。
【0005】
つまり、耕耘作業と畝立作業との切換えを行うたびに、耕耘爪を取り外して取付方向を変更しなければならず、その作業に手間と時間が掛かるだけでなく、作業者の手が土で汚れるといった問題がある。
【0006】
一方、特許文献2の歩行型作業機は、同一形状の正逆用耕耘爪54を複数備えており、ロータリ軸41の内側に位置する正逆用耕耘爪54が、平面視においてロータリ軸41の軸心に直交する平面に対して取付角(θ)を形成するようにロータリ軸41に傾斜させて装着してある爪ホルダ53に取り付けられている(特許文献2の図1、図2(イ)及び(ロ)参照)。かかる構成によって、ロータリ軸41を正回転させることによって耕耘作業を行い、ロータリ軸41を逆回転させることによって畝立作業を実施することができるため、耕耘作業と畝立作業との切換えを行う際に耕耘爪の取付方向を変更する必要がない。
【0007】
しかし、特許文献2の歩行型作業機では、一部の正逆用耕耘爪がロータリ軸に傾斜して取り付けられているので、耕耘作業によって形成される耕耘土面に小さな凹みが生じてしまい、平らな耕耘土面が形成されない場合がある。
【0008】
本発明の目的は、耕耘作業と畝立作業との切換えを行う際に耕耘爪を取り外す必要がなく、尚且つ、平らな耕耘土面を形成することのできるロータリ耕耘装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のロータリ耕耘装置の第1特徴構成は、複数の耕耘爪を備えるロータリ軸の回転方向を正回転方向及び逆回転方向に切換可能に構成しており、前記ロータリ軸の外側に配置される外耕耘爪が、正回転及び逆回転時に耕起土を外側に排出するように構成され、前記ロータリ軸の内側に配置される内耕耘爪が、正回転時に前記ロータリ軸の内側に向けて耕起土を排出して、逆回転時に前記ロータリ軸の外側に向けて耕起土を排出するように構成された点にある。
【0010】
〔作用及び効果〕
本構成によれば、耕耘作業を実施する場合は、ロータリ軸を正回転させると、耕耘土は、外耕耘爪の働きによって装置の左右方向の中心から遠ざかるように外向きに移動しようとすると共に、内耕耘爪の働きによって装置の左右方向の中心に近づくように内向きにも移動しようとする。
【0011】
そのため、耕耘作業を実施する場合、外耕耘爪及び内耕耘爪の両者の働きが相俟って、耕耘土を内方又は外方に偏らせることなく万遍に分布させるため、平らな耕耘土面を形成することができる。
【0012】
一方、畝立作業を実施する場合は、ロータリ軸を逆回転させると、外耕耘爪及び内耕耘爪の両者の働きによって、耕耘土を積極的に装置の中心から両外方に排出させようとするため、所定の畝を形成することができる。
【0013】
従って、本構成によれば、耕耘作業と畝立作業との切換えを行う際に耕耘爪を取り外すことなく、耕耘作業において平らな耕耘土面を形成することができ、畝立作業においてV字状の畝を形成することができる。
【0014】
この場合、外耕耘爪及び内耕耘爪において形状を異ならせて機能を分担しているので、同一形状の複数の耕耘爪のうち一部の耕耘爪をロータリ軸に傾斜して取り付ける必要がなく、耕耘作業において平らな耕耘土面が得られる。
【0015】
第2特徴構成は、前記外耕耘爪が、正面視で先端側ほど前記ロータリ軸の外側に向かって湾曲し、且つ側面視において回転方向で上手側部分と下手側部分とが対称な形状を有し、前記内耕耘爪が、正回転時に前記ロータリ軸の内側に向けて耕起土を排出するようガイドする第1傾斜面と、逆回転時に前記ロータリ軸の外側に向けて耕起土を排出するようガイドする第2傾斜面とを有する点にある。
【0016】
〔作用及び効果〕
本構成のごとく、外耕耘爪が、正面視で先端側ほどロータリ軸の外側に向かって湾曲し、且つ側面視において回転方向で上手側部分と下手側部分とが対称な形状を有するものであれば、正回転及び逆回転時の両方において耕起土を外側に向けて確実に排出させることができる。
さらに、本構成のごとく、内耕耘爪が、正回転時にロータリ軸の内側に向けて耕起土を排出するようガイドする第1傾斜面と、逆回転時にロータリ軸の外側に向けて耕起土を排出するようガイドする第2傾斜面とを有する構成であれば、正回転時に耕耘土を内側に向けて確実に排出させることができ、さらに逆回転時において、耕耘土を外側に向けて確実に排出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】歩行型作業機の全体側面図である。
【図2】歩行型作業機の全体平面図である。
【図3】ロータリ耕耘装置及び整地部材の縦断側面図である。
【図4】耕耘作業時のロータリ耕耘装置及び整地部材の背面図である。
【図5】平板、中部材、及び支持板の要部拡大図(a)と縦断側面図(b)である。
【図6】耕耘作業時のロータリ耕耘装置及び整地部材の斜視図である。
【図7】畝立て作業時のロータリ耕耘装置及び整地部材の縦断側面図である。
【図8】畝立て作業時のロータリ耕耘装置及び整地部材の背面図である。
【図9】ロータリ耕耘装置の拡大背面図である。
【図10】ロータリ耕耘装置の拡大側面図である。
【図11】外耕耘爪の側面図(a)、背面図(b)、横断面図(c)である。
【図12】内耕耘爪の側面図(a)、背面図(b)、斜視図(c)である。
【図13】残耕処理爪の側面図(a)、背面図(b)、横断面図(c)である。
【図14】内耕耘爪の別実施形態にかかる側面図(a)、背面図(b)、正面図(c)である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
〔実施形態〕
以下に、図1〜図13に基づいて、本発明に係るロータリ耕耘装置を歩行型作業機に適用した場合の実施形態について説明する。
(歩行型作業機)
図1及び図2に示すように、歩行型作業機は、ミッションケース1、車軸2、車輪3、支持フレーム4、エンジン5、伝動ケース6、操縦ハンドル7、ロータリ耕耘装置8、等を備えて構成されている。車軸2がミッションケース1の下部において右側及び左側に亘るように設けられており、車輪2の両端部に走行用の車輪3が連結されている。エンジン5がミッションケース1の前部に連結された支持フレーム4によって支持されており、伝動ケース6がミッションケース1の上部から斜め後方下方に延出されている。操縦ハンドル7が伝動ケース6から斜め後方上方に延出されており、ロータリ耕耘装置8が伝動ケース6の後部に連結されている。
【0019】
(ロータリ耕耘装置)
図3に示すように、ロータリ耕耘装置8は、ロータリ軸9、カバー11、外耕耘爪47、内耕耘爪50、残耕処理爪53等を備えて構成されている。
【0020】
(カバー)
図3及び図4に示すように、カバー11は、半円筒状の天井部11aの右及び左側部に、扇形状の横壁部11bが連結されて構成され、伝動ケース6の上方、右及び左のロータリ軸9、外耕耘爪47、内耕耘爪50、残耕処理爪53の上方を覆っており、伝動ケース6のブラケット(図示せず)にカバー11(天井部11a)が連結されている。
【0021】
(抵抗棒)
図3及び図4に示すように、伝動ケース6に固定されたブラケット13が後方に延出され、幅狭の角パイプ状のブラケット14がブラケット13に固定されて、ブラケット14がカバー11(天井部11a)の開口部から上方に突出している。ブラケット14の右側面の開口部(図示せず)には、抵抗棒12をブラケット14に固定するためのロックボルト16が設けられており、ブラケット14の上部の後方側面には、図3の仮想線に示すようにメンテナンス等を行う際に平板18の中部材21を掛止することによって平板18を捲り上げた状態に保持し得る第1フック部14aが設けられている。
【0022】
図3及び図4に示すように、抵抗棒12は細長い棒状に構成されており、その下部が後方側に屈曲した状態で延出されている。
抵抗棒12の下部の下側には、断面くの字型で平板状の接地部12aが固定されており、抵抗棒12の下端部には、畝立て作業時に平板18の中部材21を掛止するための第2フック部12cが設けられている。
【0023】
抵抗棒12の上部には、その長手方向に沿って、複数個の固定孔12bが開口されている。図3及び図4に示す状態は、抵抗棒12がブラケット14に挿入されて、ロックボルト16が抵抗棒12の固定孔12bの一つに挿入された状態であり、抵抗棒12がブラケット14に固定された状態である。この状態で、伝動ケース6の真後ろに抵抗棒12が位置しており、カバー11(天井部11a)の後端部の左右方向中央部の下方に、抵抗棒12の接地部12aが位置している。
【0024】
図3及び図4に示す状態において、右及び左のロータリ軸9を正転方向(図3の矢印A1の方向)に回転駆動しながら前進することにより、圃場の耕耘(耕起)が行われる。抵抗棒12の接地部12aが圃場に接地することにより、圃場に対するロータリ耕耘装置8の高さが決められて、ロータリ耕耘装置8の耕耘深さが決められる。
【0025】
本実施形態においては、必要に応じてロータリ耕耘装置8の耕耘深さを変更することができる。例えば、ロータリ耕耘装置8の耕耘深さをより深く設定したいとするなら、ロックボルト16を回して取り外した後、抵抗棒12を上方向に移動させ、ロックボルト16を、抵抗棒12のより下方に位置する別の固定孔12bに再び螺入して抵抗棒12を固定すれば良い。これにより、ロータリ耕耘装置8に対する抵抗棒12(接地部12a)の高さがより高い位置に変更されるため、ロータリ耕耘装置8の耕耘深さもより深く設定される。一方、ロータリ耕耘装置8の耕耘深さをより浅く設定したいとするなら、ロックボルト16を回して取り外した後、抵抗棒12を下方向に移動させ、ロックボルト16を、抵抗棒12のより上方に位置する別の固定孔12bに再び螺入して抵抗棒12を固定すれば良い。
【0026】
(整地部材)
図2、図3、図4に示すように、整地部材17は、可撓性を有するゴム板等により構成される横長状(長方形状)の平板18と、金属製の中部材21と、金属製で長板状の2枚の支持板25とを備えて構成されている。尚、中部材21及び支持板25の材質としては金属製に限らず、例えば、硬質の樹脂板(透明板、着色板等)等を採用しても良い。
【0027】
平板18の上辺部18aが、カバー11(天井部11a)の後端部11cと略同じ長さ(幅)に設定されており、カバー11(天井部11a)の後端部11cの上面(後面)に沿って、平板18の上辺部18aが載せ付けられており、平板18の上辺部18aと略同じ長さ(幅)を備えた固定部材19(金属製の細長い平板)が載せ付けられている。
【0028】
カバー11(天井部11a)の後端部11cと、平板18の上辺部18aと、固定部材19とに亘って貫通させた4つのボルト20のそれぞれを、平板18の裏面側からナット22で締結することによって、平板18の上辺部18aがカバー11(天井部11a)の後端部11cに横方向に沿って連結される。尚、本明細書中、平板18の表面を歩行型作業機の後方に面する側とし、裏面をロータリ耕耘装置8に面する側とする。
【0029】
図4に示すように、中部材21は、平板18の表面側の下端部の横方向中央部に設けられている。図4及び図5(a)に示すように、中部材21は、その中央部と、平板18の下端部の横方向中央部とに亘って貫通させた2つのボルト23のそれぞれを、平板18の裏面側からナット(図示せず)で締結することで固定される。
【0030】
図4及び図5(a)に示すように、中部材21の左右両側には、第1頭付きピン27と第2頭付きピン28が、図4の紙面の上下方向に並設されており、中部材21の下端部には、鋸歯状の整地部21aが設けられている。
【0031】
図5(b)に示すように、第1頭付きピン27の先端部の側面に、軸径方向に貫通する第1ピン貫通孔27aを設けており、第2頭付きピン28の先端部の側面にも同様に、軸径方向に貫通する第2ピン貫通孔28aを設けている。
【0032】
図4及び図5(a)に示すように、整地部21aの横方向中央には正方形の貫通孔21bが設けられており、図3及び図7に示すように、この中部材21の貫通孔21bを、ブラケット14の第1フック部14a及び抵抗棒12の第2フック部12cのそれぞれに着脱自在に掛止させることができるように構成されている。
【0033】
図4及び図5(a),(b)に示すように、支持板25には、第1頭付きピン27を挿通させる長孔25aと、第2頭付きピン28を挿通させる円弧長孔25dと、耕耘作業時の土圧を受けて中部材21と当接したときの反力受けとなる受け部25bと、鋸歯状の整地部25fとを設けている。
【0034】
円弧長孔25dは、図5(a)の第1頭付きピン27の位置に相当する仮想点P1を中心として長孔25aの周りに円弧状に開口された長孔であって、支持板25を中部材21に取り付けたときに長孔25aの上側に位置するように設けられている。
円弧長孔25dの一端には、支持板25の長辺方向に長い長孔部25eが形成されており、長孔部25eは支持板25を縦向き姿勢に保持する機能を有する。
【0035】
2枚の支持板25は、以下に示すようにして、中部材21に取り付けられる。
先ず2枚の支持板25の端部のそれぞれを中部材21の左右両側に配置し、各支持板25の長孔25a及び円弧長孔25dのそれぞれに、第1頭付きピン27及び第2頭付きピン28を挿通させる。
【0036】
長孔25aから出ている第1頭付きピン27の先端部に、長孔25aの幅よりも大きな外径を有する第1平座金29を取り付けて第1頭付きピン27の第1ピン貫通孔27aに第1ベータピン31の一端を差し込むと共に、円弧長孔25dから出ている第2頭付きピン28の先端部にも同様に、円弧長孔25dの幅よりも大きな外径を有する第2平座金30を取り付けて、第2頭付きピン28の第2ピン貫通孔28aに、第2ベータピン32の一端を差し込む。このとき、第1平座金29は、第1ベータピン31と支持板25との間に位置し、第2平座金30は第2ベータピン32と支持板25との間に位置する。
【0037】
第1頭付きピン27は、第1ベータピン31と第1平座金29から構成される第1抜け止め部によって、長孔25aから抜けないように抜け止めされており、第2頭付きピン28についても同様に、第2ベータピン32と第2平座金30から構成される第2抜け止め部によって、円弧長孔25dから抜けないように抜け止めされている。
【0038】
上記構成によって、2枚の支持板25は、第1及び第2頭付きピン27,28の軸方向
に抜け止めされた状態で中部材21に支持されており、第1頭付きピン27の軸を回動支点として、支持板25を円弧長孔25dに沿って回動させることによって、第2頭付きピン28の軸が円弧長孔25dに沿って案内される。その結果、2枚の支持板25は、図4及び図6に示すように平板18の下辺部に沿った横向き姿勢で横方向に並設した状態、及び図8に示すように平板18の横方向の中央部に縦向き姿勢とした状態にスムーズに姿勢変更することができるように構成される。
【0039】
(ロータリ軸)
図9に示すように、ロータリ軸9は、伝動ケース6の下部から右側及び左側に延出されてシールカバー43を設けてあり、伝動ケース6の後端部にベアリング(図示せず)を介して支持されている。ロータリ軸9は、伝動ケース6の内部に配置される図示しない伝動機構によって、正回転方向(図3の矢印A1の方向)及び逆回転方向(図3の矢印A2の方向)のいずれにも回転駆動できるように切換可能に構成されている。
【0040】
筒状の爪軸44が、ロータリ軸9の外周に外嵌されてピン45で固定されている。爪軸44の外周には、その長手方向に沿って複数のブラケット46が立設されており、これらのブラケット46に対して、ロータリ軸9の外側から順に、外耕耘爪47、内耕耘爪50、残耕処理爪53が、ボルトB及びナットNによって締結固定される。
【0041】
本実施形態においては、右及び左の爪軸44のそれぞれが、3枚の外耕耘爪47、2枚の内耕耘爪50、及び1枚の残耕処理爪53を備える構成を採用しているが、当該構成に限定されるものではなく、各爪の設定数については適宜変更しても良い。
【0042】
(外耕耘爪)
図9に示すように、右及び左の各爪軸44における3枚の外耕耘爪47は、ロータリ軸9の外側に配置され、且つ、図10に示されるように、3枚の外耕耘爪47はロータリ軸9の軸心を中心として120度の間隔で放射状に配置される。
【0043】
図11(a)に示すように、外耕耘爪47は、側面視において回転方向で上手側部分と下手側部分とが対称な形状を有する正逆転爪であり、全体的に丸みを帯びた縦長の板で構成されている。外耕耘爪47の基端部には、ブラケット46(図9参照)に固定するためのボルト挿通用の2つの貫通孔H1が設けられている。そして、図11(a)〜(c)に示すように、中央付近には、補強用の凸部49が設けられている。
【0044】
また図9及び図11(b)に示すように、外耕耘爪47は、その中央付近から先端部にかけて、正面視で先端側ほどロータリ軸9の外側に向かって湾曲している。そして、図11(a)に示す中心線Lを頂点として、図11(a)の紙面左右方向になだらかに傾斜する湾曲傾斜面47a,47bを有する。
【0045】
(内耕耘爪)
図9に示すように、右及び左の各爪軸44における2枚の内耕耘爪50は、ロータリ軸9の内側に配置されており、図10に示されるように、2枚の内耕耘爪50と後述する1枚の残耕処理爪53がロータリ軸9の軸心を中心として120度の間隔で放射状に配置される。
【0046】
図12(a)に示すように、内耕耘爪50は、正逆転爪であり、全体的に丸みを帯びた縦長の板で構成されている。内耕耘爪50の基端部には、ブラケット46(図9参照)に固定するためのボルト挿通用の2つの貫通孔H2が設けられている。
【0047】
また、図9及び図12(b)に示すように、内耕耘爪50はその中央付近から先端部にかけて、正面視で先端側ほどロータリ軸9の外側に向かって湾曲している。そして図12(a)に示すように、その中央付近から先端部にわたる部分(後述する第1傾斜面51及び第2傾斜面52を有する部分)が、紙面右斜め上に延びる線P1を起点として紙面の垂直方向上側に折り曲げられている。
【0048】
これにより、正回転時にロータリ軸9の内側に向けて耕起土を排出するようガイドする第1傾斜面51が、内耕耘爪50の裏面側(伝動ケース6側)に形成される。そして、逆回転時にロータリ軸9の外側に向けて耕起土を排出するようガイドする第2傾斜面52が、内耕耘爪50の表面側(ロータリ軸9の横外方側)に形成される。第1傾斜面51と第2傾斜面52とは表裏一体の関係にある。
尚、図12(a)〜(b)に示す内耕耘爪50は、図9において紙面左側に配置される内耕耘爪50であり、図9において紙面右側に配置される内耕耘爪50は、図12(a)〜(b)に示す内耕耘爪50の鏡像体である。
【0049】
本実施形態では、爪軸44に設けた3枚の外耕耘爪47と2枚の内耕耘爪50は、隣接する耕耘爪の耕耘跡が平面視で互いにオーバーラップするように爪軸44の長手方向に配置される。
【0050】
(残耕処理爪)
残耕処理爪53は、伝動ケース6の真下近傍の土を耕耘する耕耘爪であり、図9に示すように、右及び左の各爪軸44における残耕処理爪53は、ロータリ軸9において伝動ケース6側に最も近い位置(最内側)に配置される。
【0051】
図13(a)に示すように、残耕処理爪53は、側面視において回転方向で上手側部分と下手側部分とが対称な形状を有する正逆転爪であり、全体的に丸みを帯びた縦長の板で構成されている。残耕処理爪53の基端部には、ブラケット46(図9参照)に固定するためのボルト挿通用の2つの貫通孔H3が設けられている。そして、図13(a)〜(c)に示すように、中央付近から先端側にかけて補強用の凸部54が設けられている。
【0052】
図9及び図13(b)に示すように、残耕処理爪53は、基端部の下端から斜め内側(伝動ケース側)に折り曲げられて形成された第1側面55と、第1側面55の下端(残耕処理爪53の中央付近)から鉛直方向に折り曲げられて形成された第2側面56と、第2側面56の下端(残耕処理爪53の先端付近)から斜め横外側に折り曲げられて形成された第3側面57とを備えて構成されている。
【0053】
尚、本実施形態においては、図10に示すように、右側及び左側の爪軸44に設けた6枚の外耕耘爪47、4枚の内耕耘爪50、及び2枚の残耕処理爪53が、側面視で互いに重ならないように位相配置されている。
【0054】
(耕耘作業)
次に、耕耘作業について説明する。
図4,図5,図6に示すように、耕耘作業を行う場合、縦向き姿勢にある2枚の支持板25を、第1頭付きピン27を回動支点として、円弧長孔25dに沿って下方向に回動させる。これにより2枚の支持板25を平板18の下辺部18bに沿った横向き姿勢で横方向に並設させて、各支持板25の円弧長孔25dの端部を、中部材21の第2頭付きピン28に当接させる。このとき、図4に示すように中部材21の整地部21aと2枚の支持板25の整地部25fとが直線状に連設される。尚、耕耘作業においては、中部材21の貫通孔21bを、抵抗棒12の第2フック部12cには掛止させずに取り外した状態としておく。
【0055】
この状態において、図4,図5,図6に示すように、平板18の下辺部18bが、2枚の支持板25により支持された状態でカバー11(天井部11a)の後端部11cから垂れ下がる状態となる。
【0056】
図6に示すように、機体の前進に伴い、ロータリ耕耘装置8において、右及び左のロータリ軸9を正転方向(図3の矢印A1の方向)に回転駆動することにより、耕起された土が平板18の裏面により受け止められて、平板18の全体が後方(上方)に移動する状態となるのであり、平板18の下辺部18bに設けられている中部材21(整地部21a)と2枚の支持板25(整地部25f)によって均平面が形成される。
【0057】
(畝立て作業)
次に、畝立て作業について説明する。
図7及び図8に示すように、畝立て作業を行う場合、横向き姿勢にある2枚の支持板25を、第1頭付きピン27を回動支点として、円弧長孔25dに沿って上方向に回動させることによって、平板18の横方向の中央部に縦向き姿勢として、中部材21の第2頭付きピン28を円弧長孔25dの長孔部25eに掛止させることで、2枚の支持板25が縦向き姿勢に保持されるように構成されている。本構成によれば、円弧長孔25dの長孔部25eによって支持板25の縦向き姿勢を保持することができ、振動等により支持板25が縦向き姿勢から横向き姿勢に動くようなことが少なくなるので、畝立て作業を安定して実施することができる。
尚、畝立て作業においては、抵抗棒12の第2フック部12cを、中部材21の貫通孔21bに挿入して掛止させることによって、中部材21と抵抗棒12とを連結状態にしておく。
【0058】
この状態において、図7及び図8に示すように、機体の前進に伴い、ロータリ耕耘装置8において、右及び左のロータリ軸9を逆転方向(図7の矢印A2の方向)に回転駆動することにより、耕起された土が平板18により受け止められる際、平板18の中央部(下辺部18b)は後方に移動せず(中部材21が抵抗棒12に連結されていることによる)、平板18の一方及び他方の横側部が後方に移動することになる。
【0059】
これにより、図4に示すように、中部材21の左右両端部を起点とし、平板18における一点鎖線B1の付近を折り曲げ線として、図8に示すように、平板18の一方及び他方の横側部が斜めに後方に折れ曲がるような状態となる。
この状態において、図8に示すように、平板18の下辺部18bの左右中央部と中部材21によって畝Cの底部C1が形成され、平板18の折れ曲がった一方及び他方の横側部によって、右及び左の横側の畝Cの壁部C2が形成される。
【0060】
この場合、中部材21が抵抗棒12に連結されていることにより、畝Cの底部C1が安定して形成されるのであり、右及び左の横側の畝Cの壁部C2と底部C1との間の部分も、中部材21及び支持板25によって角部状に明確に形成される。平板18の一方及び他方の横側部が斜めに後方に折れ曲がるような状態となることにより、右及び左の横側の畝Cの壁部C2が安定して形成される。
【0061】
尚、図4及び図8に示すように、縦向き姿勢にある支持板25の整地部25fに連設する傾斜部分25gと、中部材21の整地部21aの端の部分21cとは、平板18の折り曲げ線(一点鎖線B1)と一致するように構成されている。このため、畝立て作業の際、平板18の一方及び他方の横側部が折り曲げ線(一点鎖線B1)に沿って確実に折れ曲がり易くなるので、底部C1からの壁部C2の立ち上り角度を一定に維持し易い。
【0062】
(耕耘作業時及び畝立作業時及びにおける耕耘土の流れ)
耕耘作業を実施する場合は、ロータリ軸9を正回転(図3の矢印A1の方向)させる。
このとき、図9に示すように、外耕耘爪47は正面視でロータリ軸9の外側に向かって湾曲しているため、耕起土がロータリ軸9の外側に向けて排出される。詳細には、図9において紙面右側に配置される外耕耘爪47では、湾曲傾斜面47bによって耕起土が排出され、図9の紙面左側に配置される外耕耘爪47では、湾曲傾斜面47aによって耕起土が排出される。つまり、耕耘土は、外耕耘爪47の働きによって、伝動ケース6(左右方向の中心)から遠ざかるように両外方に移動しようとする。
【0063】
一方、内耕耘爪50においては、その第1傾斜面51のガイドによって、耕起土がロータリ軸9の内側に向けて排出される。即ち、耕起土は、内耕耘爪50の働きによって、伝動ケース6(ロータリ耕耘装置8の左右方向の中心)に近づくように内向きに移動しようとする。
【0064】
従って、耕耘作業を実施する場合、外耕耘爪47及び内耕耘爪50の両者が相俟って、耕耘土を内方又は外方に偏らせることなく万遍に分布させるため、平らな耕耘土面を形成することができる。
【0065】
一方、畝立作業を実施する場合は、ロータリ軸9を逆回転(図3の矢印A2の方向)させる。このとき、外耕耘爪47は、耕耘作業時のときと同様に、耕起土をロータリ軸9の外側に向けて排出する。つまり、図9において紙面右側に配置される外耕耘爪47では、湾曲傾斜面47aによって耕起土が排出され、図9の紙面左側に配置される外耕耘爪47では、湾曲傾斜面47bによって耕起土が排出される。
【0066】
一方、内耕耘爪50においては、その第2傾斜面52のガイドによって、耕起土がロータリ軸9の外側に向けて排出される。耕耘土は、内耕耘爪50の働きによって、伝動ケース6(ロータリ耕耘装置8の左右方向の中心)から遠ざかるように外向きに移動しようとする。
【0067】
従って、畝立作業を実施する場合、外耕耘爪47及び内耕耘爪50の両者によって、耕耘土を積極的に外方に排出させようとするため、所定の畝を形成することができる。
【0068】
〔別実施形態〕
〔1〕前述の実施形態では、内耕耘爪50を固定するブラケット46を、平面視においてロータリ軸9の軸心に直交する面に沿うように設けてあるが、この実施形態に限定されるものではなく、内耕耘爪50を固定するブラケット46を、平面視においてロータリ軸9の軸心に直交する面に沿った状態で、ロータリ軸9の半径方向周りに少しひねって傾斜させるように設けても良い。
【0069】
〔2〕前述の実施形態における内耕耘爪50を図14に示すような構成としても良い。本構成における内耕耘爪50は、正逆転爪であり、全体的に丸みを帯びた縦長の板で構成されている。内耕耘爪50の基端部には、ブラケット46に固定するためのボルト挿通用の2つの貫通孔H2が設けられており、その中央付近から先端部にかけて、側面視でロータリ軸9の外側に向かって湾曲している。さらに本構成の内耕耘爪50は、図14(a)に示すように、その中央付近から先端部分にわたる部分(第1傾斜面51及び第2傾斜面52を有する部分)が、紙面右斜め上に延びる線P2を起点として紙面の垂直方向上側に折り曲げられている。そして、線P2よりも紙面上方側にあり紙面右斜め上に延びる線P3を起点として紙面の垂直方向下側にさらに折り曲げられることによって、先端部60が形成されている。この場合、線P2と線P3とは平行線であっても良く、平行線でないものであっても良い。また図示しないが、3箇所以上で折り曲げ加工された内耕耘爪50を採用しても良く、この場合においても折曲線は平行線であっても平行線でないものであっても良い。
【0070】
〔3〕前述の実施形態における内耕耘爪50としては、第1及び第2傾斜面51,52が形成されるものであれば、例えば、折り曲げ成形して第1及び第2傾斜面51,52を形成したものに限らず、プレス成型等により屈曲又は湾曲箇所が円弧状に形成されるものや、複数の平板を溶接により接合したものであっても良い。
【0071】
〔4〕前述の実施形態における第1及び第2傾斜面51,52は、必ずしも平坦面でなくても良く、例えば、第1傾斜面51側に凸状に少し湾曲又は屈曲したものや、第2傾斜面52側に凸状に少し湾曲又は屈曲したものであっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、走行用の車輪とロータリ耕耘装置とを別々に備えた歩行型作業機ばかりではなく、走行用の車輪を廃止し、右及び左の車軸に耕耘爪を連結してロータリ耕耘装置を構成した歩行型作業機や、乗用型のトラクタに装備されるロータリ耕耘装置にも適している。
【符号の説明】
【0073】
8 ロータリ耕耘装置
9 ロータリ軸
47 外耕耘爪
50 内耕耘爪
51 第1傾斜面
52 第2傾斜面
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の耕耘爪を備えるロータリ軸の回転方向を、正回転方向及び逆回転方向に切換可能に構成してあるロータリ耕耘装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記ロータリ耕耘装置を備える従来の歩行型作業機の中には、先端部分が一方に向かって湾曲する耕耘爪を備えており、耕耘作業を実施する場合はロータリ軸を正回転させて、畝立作業を実施する場合はロータリ軸を逆回転させるものが知られている(特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3279931号公報
【特許文献2】特開2006−262715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の歩行型作業機では、耕耘作業をするときは、耕耘爪の先端部分が左右中央に向かうように耕耘爪を取り付け、一方畝立作業をするときは、耕耘爪の先端部分が左右外側に向かうように耕耘爪を取り付ける必要がある。
【0005】
つまり、耕耘作業と畝立作業との切換えを行うたびに、耕耘爪を取り外して取付方向を変更しなければならず、その作業に手間と時間が掛かるだけでなく、作業者の手が土で汚れるといった問題がある。
【0006】
一方、特許文献2の歩行型作業機は、同一形状の正逆用耕耘爪54を複数備えており、ロータリ軸41の内側に位置する正逆用耕耘爪54が、平面視においてロータリ軸41の軸心に直交する平面に対して取付角(θ)を形成するようにロータリ軸41に傾斜させて装着してある爪ホルダ53に取り付けられている(特許文献2の図1、図2(イ)及び(ロ)参照)。かかる構成によって、ロータリ軸41を正回転させることによって耕耘作業を行い、ロータリ軸41を逆回転させることによって畝立作業を実施することができるため、耕耘作業と畝立作業との切換えを行う際に耕耘爪の取付方向を変更する必要がない。
【0007】
しかし、特許文献2の歩行型作業機では、一部の正逆用耕耘爪がロータリ軸に傾斜して取り付けられているので、耕耘作業によって形成される耕耘土面に小さな凹みが生じてしまい、平らな耕耘土面が形成されない場合がある。
【0008】
本発明の目的は、耕耘作業と畝立作業との切換えを行う際に耕耘爪を取り外す必要がなく、尚且つ、平らな耕耘土面を形成することのできるロータリ耕耘装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のロータリ耕耘装置の第1特徴構成は、複数の耕耘爪を備えるロータリ軸の回転方向を正回転方向及び逆回転方向に切換可能に構成しており、前記ロータリ軸の外側に配置される外耕耘爪が、正回転及び逆回転時に耕起土を外側に排出するように構成され、前記ロータリ軸の内側に配置される内耕耘爪が、正回転時に前記ロータリ軸の内側に向けて耕起土を排出して、逆回転時に前記ロータリ軸の外側に向けて耕起土を排出するように構成された点にある。
【0010】
〔作用及び効果〕
本構成によれば、耕耘作業を実施する場合は、ロータリ軸を正回転させると、耕耘土は、外耕耘爪の働きによって装置の左右方向の中心から遠ざかるように外向きに移動しようとすると共に、内耕耘爪の働きによって装置の左右方向の中心に近づくように内向きにも移動しようとする。
【0011】
そのため、耕耘作業を実施する場合、外耕耘爪及び内耕耘爪の両者の働きが相俟って、耕耘土を内方又は外方に偏らせることなく万遍に分布させるため、平らな耕耘土面を形成することができる。
【0012】
一方、畝立作業を実施する場合は、ロータリ軸を逆回転させると、外耕耘爪及び内耕耘爪の両者の働きによって、耕耘土を積極的に装置の中心から両外方に排出させようとするため、所定の畝を形成することができる。
【0013】
従って、本構成によれば、耕耘作業と畝立作業との切換えを行う際に耕耘爪を取り外すことなく、耕耘作業において平らな耕耘土面を形成することができ、畝立作業においてV字状の畝を形成することができる。
【0014】
この場合、外耕耘爪及び内耕耘爪において形状を異ならせて機能を分担しているので、同一形状の複数の耕耘爪のうち一部の耕耘爪をロータリ軸に傾斜して取り付ける必要がなく、耕耘作業において平らな耕耘土面が得られる。
【0015】
第2特徴構成は、前記外耕耘爪が、正面視で先端側ほど前記ロータリ軸の外側に向かって湾曲し、且つ側面視において回転方向で上手側部分と下手側部分とが対称な形状を有し、前記内耕耘爪が、正回転時に前記ロータリ軸の内側に向けて耕起土を排出するようガイドする第1傾斜面と、逆回転時に前記ロータリ軸の外側に向けて耕起土を排出するようガイドする第2傾斜面とを有する点にある。
【0016】
〔作用及び効果〕
本構成のごとく、外耕耘爪が、正面視で先端側ほどロータリ軸の外側に向かって湾曲し、且つ側面視において回転方向で上手側部分と下手側部分とが対称な形状を有するものであれば、正回転及び逆回転時の両方において耕起土を外側に向けて確実に排出させることができる。
さらに、本構成のごとく、内耕耘爪が、正回転時にロータリ軸の内側に向けて耕起土を排出するようガイドする第1傾斜面と、逆回転時にロータリ軸の外側に向けて耕起土を排出するようガイドする第2傾斜面とを有する構成であれば、正回転時に耕耘土を内側に向けて確実に排出させることができ、さらに逆回転時において、耕耘土を外側に向けて確実に排出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】歩行型作業機の全体側面図である。
【図2】歩行型作業機の全体平面図である。
【図3】ロータリ耕耘装置及び整地部材の縦断側面図である。
【図4】耕耘作業時のロータリ耕耘装置及び整地部材の背面図である。
【図5】平板、中部材、及び支持板の要部拡大図(a)と縦断側面図(b)である。
【図6】耕耘作業時のロータリ耕耘装置及び整地部材の斜視図である。
【図7】畝立て作業時のロータリ耕耘装置及び整地部材の縦断側面図である。
【図8】畝立て作業時のロータリ耕耘装置及び整地部材の背面図である。
【図9】ロータリ耕耘装置の拡大背面図である。
【図10】ロータリ耕耘装置の拡大側面図である。
【図11】外耕耘爪の側面図(a)、背面図(b)、横断面図(c)である。
【図12】内耕耘爪の側面図(a)、背面図(b)、斜視図(c)である。
【図13】残耕処理爪の側面図(a)、背面図(b)、横断面図(c)である。
【図14】内耕耘爪の別実施形態にかかる側面図(a)、背面図(b)、正面図(c)である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
〔実施形態〕
以下に、図1〜図13に基づいて、本発明に係るロータリ耕耘装置を歩行型作業機に適用した場合の実施形態について説明する。
(歩行型作業機)
図1及び図2に示すように、歩行型作業機は、ミッションケース1、車軸2、車輪3、支持フレーム4、エンジン5、伝動ケース6、操縦ハンドル7、ロータリ耕耘装置8、等を備えて構成されている。車軸2がミッションケース1の下部において右側及び左側に亘るように設けられており、車輪2の両端部に走行用の車輪3が連結されている。エンジン5がミッションケース1の前部に連結された支持フレーム4によって支持されており、伝動ケース6がミッションケース1の上部から斜め後方下方に延出されている。操縦ハンドル7が伝動ケース6から斜め後方上方に延出されており、ロータリ耕耘装置8が伝動ケース6の後部に連結されている。
【0019】
(ロータリ耕耘装置)
図3に示すように、ロータリ耕耘装置8は、ロータリ軸9、カバー11、外耕耘爪47、内耕耘爪50、残耕処理爪53等を備えて構成されている。
【0020】
(カバー)
図3及び図4に示すように、カバー11は、半円筒状の天井部11aの右及び左側部に、扇形状の横壁部11bが連結されて構成され、伝動ケース6の上方、右及び左のロータリ軸9、外耕耘爪47、内耕耘爪50、残耕処理爪53の上方を覆っており、伝動ケース6のブラケット(図示せず)にカバー11(天井部11a)が連結されている。
【0021】
(抵抗棒)
図3及び図4に示すように、伝動ケース6に固定されたブラケット13が後方に延出され、幅狭の角パイプ状のブラケット14がブラケット13に固定されて、ブラケット14がカバー11(天井部11a)の開口部から上方に突出している。ブラケット14の右側面の開口部(図示せず)には、抵抗棒12をブラケット14に固定するためのロックボルト16が設けられており、ブラケット14の上部の後方側面には、図3の仮想線に示すようにメンテナンス等を行う際に平板18の中部材21を掛止することによって平板18を捲り上げた状態に保持し得る第1フック部14aが設けられている。
【0022】
図3及び図4に示すように、抵抗棒12は細長い棒状に構成されており、その下部が後方側に屈曲した状態で延出されている。
抵抗棒12の下部の下側には、断面くの字型で平板状の接地部12aが固定されており、抵抗棒12の下端部には、畝立て作業時に平板18の中部材21を掛止するための第2フック部12cが設けられている。
【0023】
抵抗棒12の上部には、その長手方向に沿って、複数個の固定孔12bが開口されている。図3及び図4に示す状態は、抵抗棒12がブラケット14に挿入されて、ロックボルト16が抵抗棒12の固定孔12bの一つに挿入された状態であり、抵抗棒12がブラケット14に固定された状態である。この状態で、伝動ケース6の真後ろに抵抗棒12が位置しており、カバー11(天井部11a)の後端部の左右方向中央部の下方に、抵抗棒12の接地部12aが位置している。
【0024】
図3及び図4に示す状態において、右及び左のロータリ軸9を正転方向(図3の矢印A1の方向)に回転駆動しながら前進することにより、圃場の耕耘(耕起)が行われる。抵抗棒12の接地部12aが圃場に接地することにより、圃場に対するロータリ耕耘装置8の高さが決められて、ロータリ耕耘装置8の耕耘深さが決められる。
【0025】
本実施形態においては、必要に応じてロータリ耕耘装置8の耕耘深さを変更することができる。例えば、ロータリ耕耘装置8の耕耘深さをより深く設定したいとするなら、ロックボルト16を回して取り外した後、抵抗棒12を上方向に移動させ、ロックボルト16を、抵抗棒12のより下方に位置する別の固定孔12bに再び螺入して抵抗棒12を固定すれば良い。これにより、ロータリ耕耘装置8に対する抵抗棒12(接地部12a)の高さがより高い位置に変更されるため、ロータリ耕耘装置8の耕耘深さもより深く設定される。一方、ロータリ耕耘装置8の耕耘深さをより浅く設定したいとするなら、ロックボルト16を回して取り外した後、抵抗棒12を下方向に移動させ、ロックボルト16を、抵抗棒12のより上方に位置する別の固定孔12bに再び螺入して抵抗棒12を固定すれば良い。
【0026】
(整地部材)
図2、図3、図4に示すように、整地部材17は、可撓性を有するゴム板等により構成される横長状(長方形状)の平板18と、金属製の中部材21と、金属製で長板状の2枚の支持板25とを備えて構成されている。尚、中部材21及び支持板25の材質としては金属製に限らず、例えば、硬質の樹脂板(透明板、着色板等)等を採用しても良い。
【0027】
平板18の上辺部18aが、カバー11(天井部11a)の後端部11cと略同じ長さ(幅)に設定されており、カバー11(天井部11a)の後端部11cの上面(後面)に沿って、平板18の上辺部18aが載せ付けられており、平板18の上辺部18aと略同じ長さ(幅)を備えた固定部材19(金属製の細長い平板)が載せ付けられている。
【0028】
カバー11(天井部11a)の後端部11cと、平板18の上辺部18aと、固定部材19とに亘って貫通させた4つのボルト20のそれぞれを、平板18の裏面側からナット22で締結することによって、平板18の上辺部18aがカバー11(天井部11a)の後端部11cに横方向に沿って連結される。尚、本明細書中、平板18の表面を歩行型作業機の後方に面する側とし、裏面をロータリ耕耘装置8に面する側とする。
【0029】
図4に示すように、中部材21は、平板18の表面側の下端部の横方向中央部に設けられている。図4及び図5(a)に示すように、中部材21は、その中央部と、平板18の下端部の横方向中央部とに亘って貫通させた2つのボルト23のそれぞれを、平板18の裏面側からナット(図示せず)で締結することで固定される。
【0030】
図4及び図5(a)に示すように、中部材21の左右両側には、第1頭付きピン27と第2頭付きピン28が、図4の紙面の上下方向に並設されており、中部材21の下端部には、鋸歯状の整地部21aが設けられている。
【0031】
図5(b)に示すように、第1頭付きピン27の先端部の側面に、軸径方向に貫通する第1ピン貫通孔27aを設けており、第2頭付きピン28の先端部の側面にも同様に、軸径方向に貫通する第2ピン貫通孔28aを設けている。
【0032】
図4及び図5(a)に示すように、整地部21aの横方向中央には正方形の貫通孔21bが設けられており、図3及び図7に示すように、この中部材21の貫通孔21bを、ブラケット14の第1フック部14a及び抵抗棒12の第2フック部12cのそれぞれに着脱自在に掛止させることができるように構成されている。
【0033】
図4及び図5(a),(b)に示すように、支持板25には、第1頭付きピン27を挿通させる長孔25aと、第2頭付きピン28を挿通させる円弧長孔25dと、耕耘作業時の土圧を受けて中部材21と当接したときの反力受けとなる受け部25bと、鋸歯状の整地部25fとを設けている。
【0034】
円弧長孔25dは、図5(a)の第1頭付きピン27の位置に相当する仮想点P1を中心として長孔25aの周りに円弧状に開口された長孔であって、支持板25を中部材21に取り付けたときに長孔25aの上側に位置するように設けられている。
円弧長孔25dの一端には、支持板25の長辺方向に長い長孔部25eが形成されており、長孔部25eは支持板25を縦向き姿勢に保持する機能を有する。
【0035】
2枚の支持板25は、以下に示すようにして、中部材21に取り付けられる。
先ず2枚の支持板25の端部のそれぞれを中部材21の左右両側に配置し、各支持板25の長孔25a及び円弧長孔25dのそれぞれに、第1頭付きピン27及び第2頭付きピン28を挿通させる。
【0036】
長孔25aから出ている第1頭付きピン27の先端部に、長孔25aの幅よりも大きな外径を有する第1平座金29を取り付けて第1頭付きピン27の第1ピン貫通孔27aに第1ベータピン31の一端を差し込むと共に、円弧長孔25dから出ている第2頭付きピン28の先端部にも同様に、円弧長孔25dの幅よりも大きな外径を有する第2平座金30を取り付けて、第2頭付きピン28の第2ピン貫通孔28aに、第2ベータピン32の一端を差し込む。このとき、第1平座金29は、第1ベータピン31と支持板25との間に位置し、第2平座金30は第2ベータピン32と支持板25との間に位置する。
【0037】
第1頭付きピン27は、第1ベータピン31と第1平座金29から構成される第1抜け止め部によって、長孔25aから抜けないように抜け止めされており、第2頭付きピン28についても同様に、第2ベータピン32と第2平座金30から構成される第2抜け止め部によって、円弧長孔25dから抜けないように抜け止めされている。
【0038】
上記構成によって、2枚の支持板25は、第1及び第2頭付きピン27,28の軸方向
に抜け止めされた状態で中部材21に支持されており、第1頭付きピン27の軸を回動支点として、支持板25を円弧長孔25dに沿って回動させることによって、第2頭付きピン28の軸が円弧長孔25dに沿って案内される。その結果、2枚の支持板25は、図4及び図6に示すように平板18の下辺部に沿った横向き姿勢で横方向に並設した状態、及び図8に示すように平板18の横方向の中央部に縦向き姿勢とした状態にスムーズに姿勢変更することができるように構成される。
【0039】
(ロータリ軸)
図9に示すように、ロータリ軸9は、伝動ケース6の下部から右側及び左側に延出されてシールカバー43を設けてあり、伝動ケース6の後端部にベアリング(図示せず)を介して支持されている。ロータリ軸9は、伝動ケース6の内部に配置される図示しない伝動機構によって、正回転方向(図3の矢印A1の方向)及び逆回転方向(図3の矢印A2の方向)のいずれにも回転駆動できるように切換可能に構成されている。
【0040】
筒状の爪軸44が、ロータリ軸9の外周に外嵌されてピン45で固定されている。爪軸44の外周には、その長手方向に沿って複数のブラケット46が立設されており、これらのブラケット46に対して、ロータリ軸9の外側から順に、外耕耘爪47、内耕耘爪50、残耕処理爪53が、ボルトB及びナットNによって締結固定される。
【0041】
本実施形態においては、右及び左の爪軸44のそれぞれが、3枚の外耕耘爪47、2枚の内耕耘爪50、及び1枚の残耕処理爪53を備える構成を採用しているが、当該構成に限定されるものではなく、各爪の設定数については適宜変更しても良い。
【0042】
(外耕耘爪)
図9に示すように、右及び左の各爪軸44における3枚の外耕耘爪47は、ロータリ軸9の外側に配置され、且つ、図10に示されるように、3枚の外耕耘爪47はロータリ軸9の軸心を中心として120度の間隔で放射状に配置される。
【0043】
図11(a)に示すように、外耕耘爪47は、側面視において回転方向で上手側部分と下手側部分とが対称な形状を有する正逆転爪であり、全体的に丸みを帯びた縦長の板で構成されている。外耕耘爪47の基端部には、ブラケット46(図9参照)に固定するためのボルト挿通用の2つの貫通孔H1が設けられている。そして、図11(a)〜(c)に示すように、中央付近には、補強用の凸部49が設けられている。
【0044】
また図9及び図11(b)に示すように、外耕耘爪47は、その中央付近から先端部にかけて、正面視で先端側ほどロータリ軸9の外側に向かって湾曲している。そして、図11(a)に示す中心線Lを頂点として、図11(a)の紙面左右方向になだらかに傾斜する湾曲傾斜面47a,47bを有する。
【0045】
(内耕耘爪)
図9に示すように、右及び左の各爪軸44における2枚の内耕耘爪50は、ロータリ軸9の内側に配置されており、図10に示されるように、2枚の内耕耘爪50と後述する1枚の残耕処理爪53がロータリ軸9の軸心を中心として120度の間隔で放射状に配置される。
【0046】
図12(a)に示すように、内耕耘爪50は、正逆転爪であり、全体的に丸みを帯びた縦長の板で構成されている。内耕耘爪50の基端部には、ブラケット46(図9参照)に固定するためのボルト挿通用の2つの貫通孔H2が設けられている。
【0047】
また、図9及び図12(b)に示すように、内耕耘爪50はその中央付近から先端部にかけて、正面視で先端側ほどロータリ軸9の外側に向かって湾曲している。そして図12(a)に示すように、その中央付近から先端部にわたる部分(後述する第1傾斜面51及び第2傾斜面52を有する部分)が、紙面右斜め上に延びる線P1を起点として紙面の垂直方向上側に折り曲げられている。
【0048】
これにより、正回転時にロータリ軸9の内側に向けて耕起土を排出するようガイドする第1傾斜面51が、内耕耘爪50の裏面側(伝動ケース6側)に形成される。そして、逆回転時にロータリ軸9の外側に向けて耕起土を排出するようガイドする第2傾斜面52が、内耕耘爪50の表面側(ロータリ軸9の横外方側)に形成される。第1傾斜面51と第2傾斜面52とは表裏一体の関係にある。
尚、図12(a)〜(b)に示す内耕耘爪50は、図9において紙面左側に配置される内耕耘爪50であり、図9において紙面右側に配置される内耕耘爪50は、図12(a)〜(b)に示す内耕耘爪50の鏡像体である。
【0049】
本実施形態では、爪軸44に設けた3枚の外耕耘爪47と2枚の内耕耘爪50は、隣接する耕耘爪の耕耘跡が平面視で互いにオーバーラップするように爪軸44の長手方向に配置される。
【0050】
(残耕処理爪)
残耕処理爪53は、伝動ケース6の真下近傍の土を耕耘する耕耘爪であり、図9に示すように、右及び左の各爪軸44における残耕処理爪53は、ロータリ軸9において伝動ケース6側に最も近い位置(最内側)に配置される。
【0051】
図13(a)に示すように、残耕処理爪53は、側面視において回転方向で上手側部分と下手側部分とが対称な形状を有する正逆転爪であり、全体的に丸みを帯びた縦長の板で構成されている。残耕処理爪53の基端部には、ブラケット46(図9参照)に固定するためのボルト挿通用の2つの貫通孔H3が設けられている。そして、図13(a)〜(c)に示すように、中央付近から先端側にかけて補強用の凸部54が設けられている。
【0052】
図9及び図13(b)に示すように、残耕処理爪53は、基端部の下端から斜め内側(伝動ケース側)に折り曲げられて形成された第1側面55と、第1側面55の下端(残耕処理爪53の中央付近)から鉛直方向に折り曲げられて形成された第2側面56と、第2側面56の下端(残耕処理爪53の先端付近)から斜め横外側に折り曲げられて形成された第3側面57とを備えて構成されている。
【0053】
尚、本実施形態においては、図10に示すように、右側及び左側の爪軸44に設けた6枚の外耕耘爪47、4枚の内耕耘爪50、及び2枚の残耕処理爪53が、側面視で互いに重ならないように位相配置されている。
【0054】
(耕耘作業)
次に、耕耘作業について説明する。
図4,図5,図6に示すように、耕耘作業を行う場合、縦向き姿勢にある2枚の支持板25を、第1頭付きピン27を回動支点として、円弧長孔25dに沿って下方向に回動させる。これにより2枚の支持板25を平板18の下辺部18bに沿った横向き姿勢で横方向に並設させて、各支持板25の円弧長孔25dの端部を、中部材21の第2頭付きピン28に当接させる。このとき、図4に示すように中部材21の整地部21aと2枚の支持板25の整地部25fとが直線状に連設される。尚、耕耘作業においては、中部材21の貫通孔21bを、抵抗棒12の第2フック部12cには掛止させずに取り外した状態としておく。
【0055】
この状態において、図4,図5,図6に示すように、平板18の下辺部18bが、2枚の支持板25により支持された状態でカバー11(天井部11a)の後端部11cから垂れ下がる状態となる。
【0056】
図6に示すように、機体の前進に伴い、ロータリ耕耘装置8において、右及び左のロータリ軸9を正転方向(図3の矢印A1の方向)に回転駆動することにより、耕起された土が平板18の裏面により受け止められて、平板18の全体が後方(上方)に移動する状態となるのであり、平板18の下辺部18bに設けられている中部材21(整地部21a)と2枚の支持板25(整地部25f)によって均平面が形成される。
【0057】
(畝立て作業)
次に、畝立て作業について説明する。
図7及び図8に示すように、畝立て作業を行う場合、横向き姿勢にある2枚の支持板25を、第1頭付きピン27を回動支点として、円弧長孔25dに沿って上方向に回動させることによって、平板18の横方向の中央部に縦向き姿勢として、中部材21の第2頭付きピン28を円弧長孔25dの長孔部25eに掛止させることで、2枚の支持板25が縦向き姿勢に保持されるように構成されている。本構成によれば、円弧長孔25dの長孔部25eによって支持板25の縦向き姿勢を保持することができ、振動等により支持板25が縦向き姿勢から横向き姿勢に動くようなことが少なくなるので、畝立て作業を安定して実施することができる。
尚、畝立て作業においては、抵抗棒12の第2フック部12cを、中部材21の貫通孔21bに挿入して掛止させることによって、中部材21と抵抗棒12とを連結状態にしておく。
【0058】
この状態において、図7及び図8に示すように、機体の前進に伴い、ロータリ耕耘装置8において、右及び左のロータリ軸9を逆転方向(図7の矢印A2の方向)に回転駆動することにより、耕起された土が平板18により受け止められる際、平板18の中央部(下辺部18b)は後方に移動せず(中部材21が抵抗棒12に連結されていることによる)、平板18の一方及び他方の横側部が後方に移動することになる。
【0059】
これにより、図4に示すように、中部材21の左右両端部を起点とし、平板18における一点鎖線B1の付近を折り曲げ線として、図8に示すように、平板18の一方及び他方の横側部が斜めに後方に折れ曲がるような状態となる。
この状態において、図8に示すように、平板18の下辺部18bの左右中央部と中部材21によって畝Cの底部C1が形成され、平板18の折れ曲がった一方及び他方の横側部によって、右及び左の横側の畝Cの壁部C2が形成される。
【0060】
この場合、中部材21が抵抗棒12に連結されていることにより、畝Cの底部C1が安定して形成されるのであり、右及び左の横側の畝Cの壁部C2と底部C1との間の部分も、中部材21及び支持板25によって角部状に明確に形成される。平板18の一方及び他方の横側部が斜めに後方に折れ曲がるような状態となることにより、右及び左の横側の畝Cの壁部C2が安定して形成される。
【0061】
尚、図4及び図8に示すように、縦向き姿勢にある支持板25の整地部25fに連設する傾斜部分25gと、中部材21の整地部21aの端の部分21cとは、平板18の折り曲げ線(一点鎖線B1)と一致するように構成されている。このため、畝立て作業の際、平板18の一方及び他方の横側部が折り曲げ線(一点鎖線B1)に沿って確実に折れ曲がり易くなるので、底部C1からの壁部C2の立ち上り角度を一定に維持し易い。
【0062】
(耕耘作業時及び畝立作業時及びにおける耕耘土の流れ)
耕耘作業を実施する場合は、ロータリ軸9を正回転(図3の矢印A1の方向)させる。
このとき、図9に示すように、外耕耘爪47は正面視でロータリ軸9の外側に向かって湾曲しているため、耕起土がロータリ軸9の外側に向けて排出される。詳細には、図9において紙面右側に配置される外耕耘爪47では、湾曲傾斜面47bによって耕起土が排出され、図9の紙面左側に配置される外耕耘爪47では、湾曲傾斜面47aによって耕起土が排出される。つまり、耕耘土は、外耕耘爪47の働きによって、伝動ケース6(左右方向の中心)から遠ざかるように両外方に移動しようとする。
【0063】
一方、内耕耘爪50においては、その第1傾斜面51のガイドによって、耕起土がロータリ軸9の内側に向けて排出される。即ち、耕起土は、内耕耘爪50の働きによって、伝動ケース6(ロータリ耕耘装置8の左右方向の中心)に近づくように内向きに移動しようとする。
【0064】
従って、耕耘作業を実施する場合、外耕耘爪47及び内耕耘爪50の両者が相俟って、耕耘土を内方又は外方に偏らせることなく万遍に分布させるため、平らな耕耘土面を形成することができる。
【0065】
一方、畝立作業を実施する場合は、ロータリ軸9を逆回転(図3の矢印A2の方向)させる。このとき、外耕耘爪47は、耕耘作業時のときと同様に、耕起土をロータリ軸9の外側に向けて排出する。つまり、図9において紙面右側に配置される外耕耘爪47では、湾曲傾斜面47aによって耕起土が排出され、図9の紙面左側に配置される外耕耘爪47では、湾曲傾斜面47bによって耕起土が排出される。
【0066】
一方、内耕耘爪50においては、その第2傾斜面52のガイドによって、耕起土がロータリ軸9の外側に向けて排出される。耕耘土は、内耕耘爪50の働きによって、伝動ケース6(ロータリ耕耘装置8の左右方向の中心)から遠ざかるように外向きに移動しようとする。
【0067】
従って、畝立作業を実施する場合、外耕耘爪47及び内耕耘爪50の両者によって、耕耘土を積極的に外方に排出させようとするため、所定の畝を形成することができる。
【0068】
〔別実施形態〕
〔1〕前述の実施形態では、内耕耘爪50を固定するブラケット46を、平面視においてロータリ軸9の軸心に直交する面に沿うように設けてあるが、この実施形態に限定されるものではなく、内耕耘爪50を固定するブラケット46を、平面視においてロータリ軸9の軸心に直交する面に沿った状態で、ロータリ軸9の半径方向周りに少しひねって傾斜させるように設けても良い。
【0069】
〔2〕前述の実施形態における内耕耘爪50を図14に示すような構成としても良い。本構成における内耕耘爪50は、正逆転爪であり、全体的に丸みを帯びた縦長の板で構成されている。内耕耘爪50の基端部には、ブラケット46に固定するためのボルト挿通用の2つの貫通孔H2が設けられており、その中央付近から先端部にかけて、側面視でロータリ軸9の外側に向かって湾曲している。さらに本構成の内耕耘爪50は、図14(a)に示すように、その中央付近から先端部分にわたる部分(第1傾斜面51及び第2傾斜面52を有する部分)が、紙面右斜め上に延びる線P2を起点として紙面の垂直方向上側に折り曲げられている。そして、線P2よりも紙面上方側にあり紙面右斜め上に延びる線P3を起点として紙面の垂直方向下側にさらに折り曲げられることによって、先端部60が形成されている。この場合、線P2と線P3とは平行線であっても良く、平行線でないものであっても良い。また図示しないが、3箇所以上で折り曲げ加工された内耕耘爪50を採用しても良く、この場合においても折曲線は平行線であっても平行線でないものであっても良い。
【0070】
〔3〕前述の実施形態における内耕耘爪50としては、第1及び第2傾斜面51,52が形成されるものであれば、例えば、折り曲げ成形して第1及び第2傾斜面51,52を形成したものに限らず、プレス成型等により屈曲又は湾曲箇所が円弧状に形成されるものや、複数の平板を溶接により接合したものであっても良い。
【0071】
〔4〕前述の実施形態における第1及び第2傾斜面51,52は、必ずしも平坦面でなくても良く、例えば、第1傾斜面51側に凸状に少し湾曲又は屈曲したものや、第2傾斜面52側に凸状に少し湾曲又は屈曲したものであっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、走行用の車輪とロータリ耕耘装置とを別々に備えた歩行型作業機ばかりではなく、走行用の車輪を廃止し、右及び左の車軸に耕耘爪を連結してロータリ耕耘装置を構成した歩行型作業機や、乗用型のトラクタに装備されるロータリ耕耘装置にも適している。
【符号の説明】
【0073】
8 ロータリ耕耘装置
9 ロータリ軸
47 外耕耘爪
50 内耕耘爪
51 第1傾斜面
52 第2傾斜面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の耕耘爪を備えるロータリ軸の回転方向を正回転方向及び逆回転方向に切換可能に構成しており、
前記ロータリ軸の外側に配置される外耕耘爪が、正回転及び逆回転時に耕起土を外側に排出するように構成され、
前記ロータリ軸の内側に配置される内耕耘爪が、正回転時に前記ロータリ軸の内側に向けて耕起土を排出して、逆回転時に前記ロータリ軸の外側に向けて耕起土を排出するように構成されたロータリ耕耘装置。
【請求項2】
前記外耕耘爪が、正面視で先端側ほど前記ロータリ軸の外側に向かって湾曲し、且つ側面視において回転方向で上手側部分と下手側部分とが対称な形状を有し、
前記内耕耘爪が、正回転時に前記ロータリ軸の内側に向けて耕起土を排出するようガイドする第1傾斜面と、逆回転時に前記ロータリ軸の外側に向けて耕起土を排出するようガイドする第2傾斜面とを有する請求項1に記載のロータリ耕耘装置。
【請求項1】
複数の耕耘爪を備えるロータリ軸の回転方向を正回転方向及び逆回転方向に切換可能に構成しており、
前記ロータリ軸の外側に配置される外耕耘爪が、正回転及び逆回転時に耕起土を外側に排出するように構成され、
前記ロータリ軸の内側に配置される内耕耘爪が、正回転時に前記ロータリ軸の内側に向けて耕起土を排出して、逆回転時に前記ロータリ軸の外側に向けて耕起土を排出するように構成されたロータリ耕耘装置。
【請求項2】
前記外耕耘爪が、正面視で先端側ほど前記ロータリ軸の外側に向かって湾曲し、且つ側面視において回転方向で上手側部分と下手側部分とが対称な形状を有し、
前記内耕耘爪が、正回転時に前記ロータリ軸の内側に向けて耕起土を排出するようガイドする第1傾斜面と、逆回転時に前記ロータリ軸の外側に向けて耕起土を排出するようガイドする第2傾斜面とを有する請求項1に記載のロータリ耕耘装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−60963(P2012−60963A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−209865(P2010−209865)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
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