説明

ロータンク設備

【課題】インナータンクを右ハンドル用及び左ハンドル用に共用することができ、コストダウンを図ることが可能なロータンク設備を提供する。
【解決手段】インナータンク14Aの左側面及び右側面の上部には、それぞれ、ボールタップ40の取付孔50L,50Rと、ハンドルシャフト33が通過しうる切欠状部52L,52Rとが設けられている。右ハンドル型ロータンク設備10Aにおいては、ハンドルシャフト33は右側面の切欠状部52Rを通ってインナータンク14A内に入り込み、ボールタップ40は左側面の取付孔50Lに取り付けられる。左ハンドル型ロータンク設備10Bにおいては、ハンドルシャフト33は左側面の切欠状部52Lを通ってインナータンク14A内に入り込み、ボールタップ40は右側面の取付孔50Rに取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洋風便器の後部上面に設置されるロータンク設備に係り、特にアウタータンク及びインナータンクを備えた二重式のロータンク設備に関する。
【背景技術】
【0002】
アウタータンク内にインナータンクを配置した二重式のロータンク設備は、特開平11−324058号、特開2001−214494号などに見られる通り周知であり、また広く市販されている。
【0003】
第9図〜第12図は市販の二重式ロータンク設備の一例を示すものであり、第9図は正面図、第10図は正面縦断面図、第11図は第10図のXI−XI線断面図、第12図は水平断面図である。
【0004】
このロータンク設備10は、陶器製のアウタータンク12と、該アウタータンク12内に配置されたインナータンク14とを有する。アウタータンク12の上面には、陶器製の蓋16が載設されている。インナータンク14の側部の外面及び底部外面にそれぞれ断熱材18が設けられている。
【0005】
インナータンク14の底部からは流出筒部22が下方に突設されている。この流出筒部22内がインナータンク14内の水の放流口となっている。この流出筒部22は、アウタータンク12の底面の開口12aを通ってアウタータンク12の下方に突出している。この流出筒部22にナット24が締め込まれることにより、アウタータンク12とインナータンク14とが連結されている。
【0006】
この流出筒部22の上端内周縁にフロート弁装置20の弁座部材25が固着されており、この弁座部材25に対しフロート弁体26が着座している。なお、この弁座部材25に連なるようにオーバーフロー管28が設けられている。このオーバーフロー管28は、インナータンク14内の貯水水位よりも若干上方にまで立ち上がっている。オーバーフロー管28内は弁座部材25内に連通している。
【0007】
アウタータンク12の底部からは1対のボルト29が下方に突設されている。各ボルト29は、洋風便器(図示略)の後部に設けられたボルト挿通孔に挿通される。各ボルト29にナット締めされることにより、ロータンク設備が洋風便器に固定設置される。この際、流出筒部22は、洋風便器後部上面の洗浄水受入口に内嵌される。
【0008】
アウタータンク12の右側面の上部にハンドル装置30の取付孔12bが設けられている。ハンドル装置30のカラム31が該取付孔12bに挿通され、ナット32により固定されている。このカラム31にハンドルシャフト33が挿通されている。該ハンドルシャフト33の基端側(アウタータンク12の外側)にハンドル36が固着されている。ハンドルシャフト33の先端側はL字形に曲成されており、該先端側に対しチェーン34を介してフロート弁体26が連結されている。ハンドル36を回してフロート弁体26を引き上げることにより、インナータンク14内の水が流出筒部22を経て洋風便器へ放出される。
【0009】
インナータンク14内に所定水位となるように水を供給するために、インナータンク14の側面の上部にボールタップ40が取り付けられている。ボールタップ40は浮玉42によって上下方向に回動するレバー44を備えている。インナータンク14からの放流により該レバー44が下方に傾くとボールタップ40が開栓状態となり、該ボールタップ40からインナータンク14内に水が流出する。インナータンク14内の水位が所定水位まで上昇すると、レバー44が略水平となり、ボールタップ40が閉栓する。
【0010】
この従来例では、ハンドル装置30はアウタータンク12の正面向って右側の側面(右側面)に設けられており、ボールタップ40はインナータンク14の正面向って左側の側面(左側面)に設けられている。このインナータンク14の左側面と背面との交叉部は、インナータンク14の中央側に向って凹陥する凹所となっており、ボールタップはこの凹所に臨む左向きの側面に設置されている。ボールタップ40のレバー44は左右方向に延在している。ボールタップ40は、給水ホース47を介して、トイレルーム壁面の止水栓48に接続されている。この給水ホース47は、アウタータンク12の底面に設けられたホース挿通口を通ってアウタータンク12外へ引き出されている。
【特許文献1】特開平11−324058号
【特許文献2】特開2001−214494号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
第9図〜第12図の従来例では、ロータンクのハンドル36は正面向って右側の側面に設けられているが、トイレルームの構造などにより左側に設けることもある。
【0012】
インナータンク内には、第10図〜第12図の通り、ボールタップやオーバーフロー管が配設されており、ハンドル装置のみを左右入れ替えるようにすることはできない。なお、第9図〜第12図のものにおいて、ハンドル装置30を左側面に設け、オーバーフロー管28をフロート弁装置の右側に配置しても、ハンドルシャフト32を回すとボールタップ40に当ってしまう。
【0013】
従来は、同一機種のロータンク設備であっても、右ハンドル用のアウタータンク及びインナータンクと左ハンドル用のアウタータンク及びインナータンクとを製造しておく必要があるため、コスト高であった。
【0014】
本発明は、少なくともインナータンクを右ハンドル用及び左ハンドル用に共用することができ、コストダウンを図ることが可能なロータンク設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明(請求項1)のロータンク設備は、洋風便器の後部上面に設置されるロータンク設備であって、アウタータンク及び該アウタータンク内に配置されたインナータンクを備え、該インナータンクの底部にフロート弁装置の弁座及び弁体が配置され、該インナータンクの上部にボールタップが取り付けられ、該アウタータンクの側面の上部に、該フロート弁装置のハンドルが取り付けられ、該ハンドルに連なるシャフトがインナータンクの側部の上側を通ってインナータンク内に延在しているロータンク設備において、該インナータンクの左側面及び右側面にそれぞれボールタップの取付部が設けられていることを特徴とするものである。
【0016】
請求項2のロータンク設備は、請求項1において、該インナータンクの左右の側部の上端に、それぞれ、該ハンドルのシャフトが通過しうる切欠状部が設けられていることを特徴とするものである。
【0017】
請求項3のロータンク設備は、洋風便器の後部上面に設置されるロータンク設備であって、アウタータンク及び該アウタータンク内に配置されたインナータンクを備え、該インナータンクの底部にフロート弁装置の弁座及び弁体が配置され、該インナータンクの上部にボールタップが取り付けられ、該アウタータンクの側面の上部に、該フロート弁装置のハンドルが取り付けられ、該ハンドルに連なるシャフトがインナータンクの側部の上側を通ってインナータンク内に延在しているロータンク設備において、該アウタータンクは、平面視形状が左右対称かつ前後対称であり、該フロート弁装置の弁座が該アウタータンクの前後及び左右の中心に配置されていることを特徴とするものである。
【0018】
請求項4のロータンク設備は、請求項3において、前記アウタータンクの側面上部の前後方向中間位置に、前記フロート弁装置のハンドルが取り付けられていることを特徴とするものである。
【0019】
請求項5のロータンク設備は、洋風便器の後部上面に設置されるロータンク設備であって、アウタータンク及び該アウタータンク内に配置されたインナータンクを備え、該インナータンクの底部の左右方向の中央にフロート弁装置取付口が設けられ、該フロート弁装置取付口にフロート弁装置の弁座部材が取り付けられ、該弁座部材は、下方へ流出筒部が突設されており、該インナータンクの上部にボールタップが取り付けられ、該アウタータンクの側面の上部に、該フロート弁装置のハンドルが取り付けられ、該ハンドルに連なるシャフトがインナータンクの側部の上側を通ってインナータンク内に延在しているロータンク設備において、該フロート弁装置取付口及び前記弁座部材は、該洋風便器の前後方向に延在しており、該弁座部材は、前後の向きを逆にしても該フロート弁装置取付口に対し取り付け可能であり、該アウタータンクに対しインナータンクの向きを180°回して左右逆にして設置したときに、前記流出筒部のアウタータンクに対する位置が、該インナータンクの向きを正として設置した場合の流出筒部の位置と同一であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0020】
請求項1のロータンク設備にあっては、インナータンクの左側面及び右側面の双方にボールタップの取付部が設けられているため、ハンドルが左側面及び右側面のいずれに設けられているアウタータンクに対しても全く同一のインナータンクを設置することができる。
【0021】
請求項2のロータンク設備にあっては、ハンドルシャフトが通過しうる切欠状部がインナータンクの左右の側部上端に設けられているので、ハンドルをアウタータンクの左側面及び右側面のいずれに設ける場合でも、インナータンクの高さを高くすることができる。
【0022】
請求項3のロータンク設備にあっては、インナータンクを収容したアウタータンクを180°回して左右逆に設置することができる。従って、同一品番のインナータンク付きアウタータンクを左ハンドル用及び右ハンドル用のいずれにも用いることができる。
【0023】
請求項4のロータンク設備にあっては、インナータンク付きアウタータンクを180°回して逆に設置した場合でも、ハンドルがアウタータンクの側面の前後方向中央に位置することになる。従って、ハンドルがアウタータンクの左側面及び右側面のいずれに設置されていても、過度に奥に配置されることがない。
【0024】
請求項5のロータンク設備にあっては、インナータンクを180°回して前後左右逆にしても、該流出筒部の位置を不変とすることができる。従って、左ハンドル型及び右ハンドル型のいずれとしてロータンク設備を便器上に設置した場合でも、該ロータンク設備を前後にずれなく同じ位置に配置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。第1図は請求項1,2の発明の実施の形態に係るロータンク設備を右ハンドル型として使用した状態を示すものであり、(a)図はこのロータンク設備の水平断面図、(b)図は正面縦断面図である。第2図は第1図のロータンク設備のインナータンクを用いた左ハンドル型のロータンク設備を示すものであり、(a)図はこのロータンク設備の水平断面図、(b)図は正面縦断面図である。
【0026】
第1図のロータンク設備10Aは、右ハンドル型アウタータンク12R内にインナータンク14Aを配置したものであり、第2図のロータンク設備10Bは、左ハンドル型アウタータンク12L内に、該ロータンク設備10Aのものと同一品番のインナータンク14Aを配置したものである。
【0027】
該右ハンドル型アウタータンク12Rにあっては、正面向って右側の側面(右側面)の上部の手前側(前後方向の中間よりもタンク前面側)にハンドル装置30の取付孔12bが設けられており、左ハンドル型アウタータンク12Lにあっては、正面向って左側の側面(左側面)の上部の手前側に該取付孔12bが設けられている。該取付孔12bにハンドル装置30のカラム31が挿通されてナット32により固定され、このカラム31にハンドルシャフト33が挿通されている。該ハンドルシャフト33の基端側(アウタータンク12L,12Rの外側)にハンドル36が固着されている。
【0028】
この実施の形態では、第1図(a)及び第2図(a)に示すように、インナータンク14Aは、正面向って左側及び右側の各側面と背面との交叉部がそれぞれインナータンク14Aの中央側に凹嵌する凹所となっており、左側の凹所の左向き面と、右側の凹所の右向き面とに、それぞれ、ボールタップ40の取付孔50L,50Rが設けられている。
【0029】
また、このインナータンク14Aの左側面及び右側面(各側面のうち前記凹所よりもタンク前面側の領域)の上端には、それぞれ、ハンドルシャフト33のインナータンク14A内への通過を許容する切欠状部52L,52Rが設けられている。この右側の切欠状部52Rに右ハンドル型アウタータンク12Rの取付孔12bが臨み、左側の切欠状部52Lに左ハンドル型アウタータンク12Lの取付孔12bが臨む。
【0030】
なお、この実施の形態でも、インナータンク14Aの底部から水の放流口としての流出筒部22が下方に突設されており、この流出筒部22が、アウタータンク12L,12Rの底面の開口(図示略。第11図参照。)を通ってアウタータンク12L,12Rの下方に突出している。そして、この流出筒部22にナット24が締め込まれることにより、アウタータンク12L,12Rとインナータンク14Aとが連結されている。
【0031】
この流出筒部22の上端内周縁にフロート弁装置20の弁座部材25が固着されており、この弁座部材25に対しフロート弁体26が着座している。また、この弁座部材25に連なるように、インナータンク14A内の貯水水位よりも若干上方にまで立ち上がるオーバーフロー管28が設けられている。この実施の形態では、該弁座部材25を回転させることにより、該オーバーフロー管28をフロート弁装置20の左側及び右側のいずれにも配置しうるようになっている。
【0032】
右ハンドル型ロータンク設備10Aにおいては、ハンドルシャフト33は、インナータンク14Aの右側面の切欠状部52Rを通ってインナータンク14Aの内側へ入り込んでいる。この実施の形態でも、該ハンドルシャフト33の先端側がL字形に曲成されており、該先端側に対しチェーン34を介してフロート弁体26が連結されている。
【0033】
また、ボールタップ40は、インナータンク14Aの左側面の取付孔50Lに取り付けられている。詳しくは、該ボールタップ40は、その本体部の基端側がインナータンク14Aの内側から該取付孔50Lに挿通され、該インナータンク14Aの外側から固定具(符号略)によって固定されている。
【0034】
該ボールタップ40に接続された給水ホース47は、インナータンク14Aの左側面の凹所内を下方に引き回され、アウタータンク12Rの底部の左奥側に設けられたホース挿通口(図示略)を介して該アウタータンク12R外に引き出され、止水栓48に接続されている。
【0035】
オーバーフロー管28はフロート弁装置20(弁座部材25)の左側に配置されている。
【0036】
一方、左ハンドル型ロータンク設備10Bにおいては、ハンドルシャフト33は、インナータンク14Aの左側面の切欠状部52Lを通ってインナータンク14Aの内側に入り込み、その先端側がチェーン34を介してフロート弁体26と連結されている。
【0037】
また、ボールタップ40は、インナータンク14Aの右側面の取付孔50Rに取り付けられている。このボールタップ40の取付孔50Rへの取付構造は、前述の取付孔50Lへの取付構造と同様である。このボールタップ40に接続された給水ホース47は、インナータンク14Aの右側面の凹所内を下方に引き回され、アウタータンク12Lの底部の右奥側に設けられたホース挿通口(図示略)を介して該アウタータンク12L外に引き出され、止水栓48に接続されている。
【0038】
オーバーフロー管28は、フロート弁装置20の右側に配置されている。
【0039】
これらのロータンク設備10A,10Bのその他の構成は、前述の第9〜12図のロータンク設備10と同様となっており、第1,2図において第9〜12図と同一符号は同一部分を示している。
【0040】
この実施の形態にあっては、インナータンク14Aは、その右側面及び左側面の双方にボールタップ40の取付孔50R,50Lを有しているので、このインナータンク14Aを右ハンドル型アウタータンク12Rと左ハンドル型アウタータンク12Lのどちらにも設置することができる。
【0041】
また、この実施の形態では、インナータンク14Aの右側面及び左側面の双方の上端部に、ハンドルシャフト33が通過しうる切欠状部52R,52Lが設けられているので、このインナータンク14Aを右ハンドル型アウタータンク12R、左ハンドル型アウタータンク12Lのどちらに設置する場合でも、インナータンク14Aの高さを高いものとすることができる。
【0042】
第3図は請求項3,4の発明の実施の形態に係るロータンク設備を右ハンドル型として用いたものを示しており、(a)図はこのロータンク設備の水平断面図、(b)図は正面縦断面図である。第4図は、第3図のロータンク設備を左ハンドル型として用いたものを示す図であり、(a)図はこのロータンク設備の水平断面図、(b)図は正面縦断面図である。
【0043】
ロータンク設備10Cは、アウタータンク12C内にインナータンク14Cを配置したものである。このアウタータンク12Cは、第3図(a)及び第4図(a)の通り、平面視形状(水平面への投影像の形状)が左右対称かつ前後対称となっている。このアウタータンク12Cにあっては、その底部の前後及び左右の中心に、インナータンク14Cの放流筒部22の挿通用開口(図示略)が設けられている。また、このアウタータンク12Cの一方の側面の上部に、ハンドル装置30の取付孔12bが設けられている。なお、この実施の形態では、該取付孔12bは、該側面の上部の前後方向中間位置に配置されている。
【0044】
この実施の形態では、インナータンク14Cの底部の前後及び左右の中心から下方に向って水の放流口としての流出筒部22が突設されており、この流出筒部22がアウタータンク12Cの底部の中心の前記開口を通って該アウタータンク12Cの下方に突出している。そして、この流出筒部22にナット24が締め込まれることにより、アウタータンク12Cとインナータンク14Cとが連結されている。
【0045】
この流出筒部22の上縁内周にフロート弁装置20の弁座部材25が固着され、この弁座部材25にフロート弁体26が着座している。即ち、このロータンク設備10Cにおいては、該弁座部材25は、アウタータンク12Cの底面の前後及び左右の中心に配置されている。
【0046】
なお、この実施の形態でも、アウタータンク12Cの底部外面から下方に向って1対のボルト29が突設されている。これらのボルト29は、流出筒部22の左右両側に設けられており、それぞれ、アウタータンク12Cの底部の前後方向の中間であって、該流出筒部22の中心から等距離となる位置に配置されている。
【0047】
この実施の形態でも、インナータンク14Cの一方の側面と背面との交叉部が該インナータンク14Cの中央側に向って凹嵌する凹所となっており、この凹所に臨む横向き面の上部に、ボールタップ40の取付孔50Cが設けられている。このボールタップ40の取付孔50Cへの取付構造は、前述のインナータンク14Aの取付孔50R,50Lへの取付構造と同様である。
【0048】
また、このインナータンク14Cの他方の側面の上端には、ハンドル装置30のシャフト33の通過を許容する切欠状部52Cが設けられている。この切欠状部52Cに、アウタータンク12Cの前記取付孔12bが臨んでいる。
【0049】
この実施の形態でも、該取付孔12bにハンドル装置30のカラム31が挿通されてナット32により固定され、このカラム31にハンドルシャフト33が挿通されている。そして、該ハンドルシャフト33の基端側(アウタータンク12Cの外側)にハンドル36が固着されている。このハンドルシャフト33は、切欠状部52Cを通ってインナータンク14C内に入り込んでおり、その先端側に対しチェーン34を介してフロート弁体26が連結されている。
【0050】
このロータンク設備10Cのその他の構成は前述の第9〜12図のロータンク設備10と同様となっている。
【0051】
このロータンク設備10Cにあっては、アウタータンク12Cの平面視形状が左右対称及び前後対称となっていると共に、フロート弁装置20の弁座部材25(インナータンク14Cの流出筒部22)が該アウタータンク12Cの底部の前後及び左右の中心に配置されているので、このアウタータンク12Cを180°回して左右逆に設置することができる。そのため、このロータンク設備10Cは、右ハンドル用及び左ハンドル用のいずれにも用いることができる。
【0052】
また、この実施の形態では、ハンドル装置30の取付孔12bをアウタータンク12Cの側面の前後方向中間位置に配置しているので、ハンドル36がアウタータンク12Cの右側面及び左側面のいずれに配置されていても、過度に奥側に位置することがない。
【0053】
第5図は請求項5の発明の実施の形態に係るロータンク設備を右ハンドル型として使用した状態を示すものであり、(a)図はこのロータンク設備の水平断面図、(b)図は正面縦断面図である。第6図は第5図のVI−VI線断面図であり、第7図はこのロータンク設備の底部の分解斜視図である。第8図はこのインナータンクを用いた左ハンドル型のロータンク設備の水平断面図である。
【0054】
第5図のロータンク設備10Dは、右ハンドル型アウタータンク12R’内にインナータンク14Dを配置したものであり、第8図のロータンク設備10Eは、左ハンドル型アウタータンク12L’内に、該ロータンク設備10Dのものと同一品番のインナータンク14Dを配置したものである。
【0055】
この実施の形態では、アウタータンク12R’,12L’のいずれにおいても、その底部の左右及び前後の中心よりも前側に、インナータンク14Dの水の放流口としての流出筒部22Dが挿通される開口12a’(第6図)が配置されている。なお、各アウタータンク12R’,12L’内にインナータンク14Dが配置された状態において、各アウタータンク12R’,12L’の底部の左右及び前後の中心はインナータンク14Dの底部の左右及び前後の中心とほぼ一致するようになっている。これらのアウタータンク12R’,12L’のその他の構成は、それぞれ前述の第1,2図のアウタータンク12R,12Lと同様となっている。
【0056】
インナータンク14Dの底部の左右の中心には、前後に長く延在する長円形状のフロート弁装置取付口60が穿設されている。この実施の形態では、第7図に示す通り、フロート弁装置20Dの弁座部材25Dは、このフロート弁装置取付口60に内嵌する長円形板状の台座部61を有している。この台座部61の長軸方向の一半側の下面から、前記流出筒部22Dが下方に向って突設されている。この流出筒部22Dの内孔は台座部61を貫通して該台座部61の上面側に連通しており、この流出筒部22Dの上端側の周縁部に、フロート弁体26が着座する弁座62が周設されている。
【0057】
台座部61の上面外周からは、フロート弁装置取付口60の周縁部に重なるフランジ61fが突設されている。このフランジ61fとフロート弁装置取付口60の周縁部との間にはパッキン63が配設されている。なお、台座部61の側周面には、該フロート弁装置取付口60の内周面と該台座部61の側周面との間をシールするパッキン(Oリング)64が装着されている。
【0058】
この実施の形態でも、インナータンク14Dの一方の側面と背面との交叉部が該インナータンク14Dの中央側に向って凹嵌する凹所となっており、この凹所に臨む横向き面の上部に、ボールタップ40の取付孔50Dが設けられている。このボールタップ40の取付孔50Dへの取付構造は、前述のインナータンク14Aの取付孔50R,50Lへの取付構造と同様である。
【0059】
また、このインナータンク14Dの他方の側面の上端には、ハンドル装置30のシャフト33の通過を許容する切欠状部52Dが設けられている。
【0060】
右ハンドル型ロータンク設備10Dにおいては、インナータンク14Dは、この切欠状部52Dが設けられた側面を右側にしてアウタータンク12R’内に配置される。該切欠状部52Dは、アウタータンク12R’の右側面のハンドル装置取付孔12bに臨む。
【0061】
なお、この実施の形態でも、該取付孔12bにハンドル装置30のカラム31が挿通されてナット32により固定され、このカラム31にハンドルシャフト33が挿通される。ハンドルシャフト33は、該切欠状部52Dを通ってインナータンク14D内に入り込む。そして、このハンドルシャフト33の先端側にチェーン34を介してフロート弁体26が連結される。ハンドルシャフト33の基端側(アウタータンク12R’の外側)には、ハンドル36が取り付けられる。
【0062】
アウタータンク12R’の底部の開口12a’は、フロート弁装置取付口60に対し、該フロート弁装置取付口60の長軸方向(前後方向)の中心よりも前側にずれて重なる。従って、台座部61は、このフロート弁装置取付口60に対し、流出筒部22Dを前側にして嵌め込まれる。これにより、流出筒部22Dが該開口12a’に挿通され、その先端側がアウタータンク12R’の下方に突出する。そして、この流出筒部22Dの先端側にナット24が締め込まれることにより、該台座部61がアウタータンク12R’に固定され、インナータンク14Dの底部(フロート弁装置取付口60の周縁部)がフランジ61fとアウタータンク12R’の底部とによって挟持される。
【0063】
一方、左ハンドル型ロータンク設備10Eにおいては、インナータンク14Dは、切欠状部52Dが設けられた側面を左側にして(即ち、右ハンドル型ロータンク設備10Dに用いた場合と前後逆にして)アウタータンク12L’内に配置される。この場合、該切欠状部52Dは、アウタータンク12L’の左側面のハンドル装置取付孔12bに臨む。
【0064】
この左ハンドル型ロータンク設備10Eにおいても、アウタータンク12L’の底部の開口12a’は、フロート弁装置取付口60に対し、該フロート弁装置取付口60の長軸方向の中心よりも前側(ロータンク設備10Dに用いられた場合には後側であった側)にずれて重なるので、台座部61は、このフロート弁装置取付口60に対し、流出筒部22Dを前側にして嵌め込まれる。これにより、流出筒部22Dが該開口12a’に挿通され、その先端側がアウタータンク12L’の下方に突出する。そして、この流出筒部22Dの先端側にナット24が締め込まれることにより、該台座部61がアウタータンク12L’に固定され、インナータンク14Dの底部(フロート弁装置取付口60の周縁部)がフランジ61fとアウタータンク12L’の底部との間に挟持される。
【0065】
この実施の形態にあっては、インナータンク14Dの前後向き及びフロート弁装置20Dの前後向きを逆にした場合の流出筒部22Dの位置が、インナータンク14D及びフロート弁装置20Dの向きをいずれも正とした場合と同一となる。このため、インナータンク14Dを右ハンドル型のアウタータンク12R’及び左ハンドル型のアウタータンク12L’のいずれに設置する場合でも、流出筒部22Dを開口12a’に挿通することができる。
【0066】
上記の各実施の形態はいずれも本発明の一例を示すものであり、本発明は上記の実施の形態に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】請求項1,2の発明の実施の形態に係るロータンク設備を右ハンドル型として使用した状態を示す図である。
【図2】図1のロータンク設備のインナータンクを用いた左ハンドル型のロータンク設備を示す図である。
【図3】請求項3,4の発明の実施の形態に係るロータンク設備を右ハンドル型として用いたものを示す図である。
【図4】図3のロータンク設備のインナータンクを左ハンドル型として用いたものを示す図である。
【図5】請求項5の発明の実施の形態に係るロータンク設備を右ハンドル型として用いたものを示す図である。
【図6】図5のVI−VI線に沿う断面図である。
【図7】図5のロータンク設備のインナータンク底部の分解斜視図である。
【図8】図5のロータンク設備を左ハンドル型として用いたものを示す図である。
【図9】従来例に係る二重式ロータンク設備の正面図である。
【図10】図9の二重式ロータンク設備の正面縦断面図である。
【図11】図10のX−X線断面図である。
【図12】図9の二重式ロータンク設備の水平断面図である。
【符号の説明】
【0068】
10,10A,10B,10C,10D ロータンク設備
12,12R,12L,12C,12D アウタータンク
12b ハンドル装置の取付孔
14,14A,14C インナータンク
20,20D フロート弁装置
22,22D 流出筒部
25,25D 弁座部材
26 フロート弁体
28 オーバーフロー管
30 ハンドル装置
33 ハンドルシャフト
36 ハンドル
40 ボールタップ
50R,50L,50C,50D ボールタップの取付孔
52R,52L,52C,52D 切欠状部
60 フロート弁装置取付口
61 台座部
62 弁座

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洋風便器の後部上面に設置されるロータンク設備であって、
アウタータンク及び該アウタータンク内に配置されたインナータンクを備え、
該インナータンクの底部にフロート弁装置の弁座及び弁体が配置され、
該インナータンクの上部にボールタップが取り付けられ、
該アウタータンクの側面の上部に、該フロート弁装置のハンドルが取り付けられ、該ハンドルに連なるシャフトがインナータンクの側部の上側を通ってインナータンク内に延在しているロータンク設備において、
該インナータンクの左側面及び右側面にそれぞれボールタップの取付部が設けられていることを特徴とするロータンク設備。
【請求項2】
請求項1において、該インナータンクの左右の側部の上端に、それぞれ、該ハンドルのシャフトが通過しうる切欠状部が設けられていることを特徴とするロータンク設備。
【請求項3】
洋風便器の後部上面に設置されるロータンク設備であって、
アウタータンク及び該アウタータンク内に配置されたインナータンクを備え、
該インナータンクの底部にフロート弁装置の弁座及び弁体が配置され、
該インナータンクの上部にボールタップが取り付けられ、
該アウタータンクの側面の上部に、該フロート弁装置のハンドルが取り付けられ、該ハンドルに連なるシャフトがインナータンクの側部の上側を通ってインナータンク内に延在しているロータンク設備において、
該アウタータンクは、平面視形状が左右対称かつ前後対称であり、
該フロート弁装置の弁座が該アウタータンクの前後及び左右の中心に配置されていることを特徴とするロータンク設備。
【請求項4】
請求項3において、前記アウタータンクの側面上部の前後方向中間位置に、前記フロート弁装置のハンドルが取り付けられていることを特徴とするロータンク設備。
【請求項5】
洋風便器の後部上面に設置されるロータンク設備であって、
アウタータンク及び該アウタータンク内に配置されたインナータンクを備え、
該インナータンクの底部の左右方向の中央にフロート弁装置取付口が設けられ、
該フロート弁装置取付口にフロート弁装置の弁座部材が取り付けられ、
該弁座部材は、下方へ流出筒部が突設されており、
該インナータンクの上部にボールタップが取り付けられ、
該アウタータンクの側面の上部に、該フロート弁装置のハンドルが取り付けられ、該ハンドルに連なるシャフトがインナータンクの側部の上側を通ってインナータンク内に延在しているロータンク設備において、
該フロート弁装置取付口及び前記弁座部材は、該洋風便器の前後方向に延在しており、
該弁座部材は、前後の向きを逆にしても該フロート弁装置取付口に対し取り付け可能であり、
該アウタータンクに対しインナータンクの向きを180°回して左右逆にして設置したときに、前記流出筒部のアウタータンクに対する位置が、該インナータンクの向きを正として設置した場合の流出筒部の位置と同一であることを特徴とするロータンク設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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