説明

ロードセル

【課題】外部環境に晒した状態での使用にも耐え得る耐環境性に優れたロードセルを提供する。
【解決手段】起歪部8を有する金属弾性体5を備えてなり、起歪部8を外気に露出させた状態で使用されるロードセル3において、金属弾性体5の全面または少なくとも起歪部8を含む周辺部に対してDLC膜12Aを成膜したり、起歪部8に貼り付けられるストレインゲージ6を含む電子部品が装着された金属弾性体5に対して直接、あるいはその電子部品を保護する樹脂層上にDLC膜12Bを成膜したり、起歪部8に、外形表面の全部または一部にDLC膜20A;20Bを成膜してなるストレインゲージ6A´,6C´;6B´,6D´を貼り付けたり、起歪部8に貼り付けられるストレインゲージ6Aおよびそのストレインゲージ6Aの周辺部を、DLC膜を成膜してなる樹脂製シートからなる保護カバー22にて被覆したりする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐環境対策が施されてなるロードセルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ロードセルは金属弾性体を備えてなり、この金属弾性体には被計量物の荷重の作用にて伸縮歪みを生じる起歪部が形成され、該起歪部上には伸び歪み量および縮み歪み量をそれぞれ検出する基本的に4枚のストレインゲージが貼り付けられている。これら4枚のストレインゲージは伸び歪み量を検出する2枚と縮み歪み量を検出する2枚とを対辺に置くブリッジ回路に接続され、該ブリッジ回路の入力端子に所定の電圧が与えられる。
【0003】
そして、金属弾性体へ荷重が負荷されると、荷重の大きさに比例して起歪部の伸縮歪み量が変化し、それに対応してストレインゲージ抵抗が変化して、ブリッジ回路の出力端子に荷重の大きさに応じた出力電圧信号が発生する。計量装置においては、該出力電圧信号を荷重信号として被計量物の重量測定値の算出に利用するようにされている。
【0004】
図5(a)には、従来の平行四辺形型(ロバーバル型)のロードセルの全体斜視図が示されている。
図5(a)に示されるロードセル100は、貫通孔101を有する平行四辺形状に形成されたアルミニウム合金製の金属弾性体102を備えている。この金属弾性体102は、貫通孔101の内壁面と外周面とに挟まれた薄肉状の起歪部103を上下左右に合計4つ有し、各起歪部103には、ストレインゲージ104が接着剤で貼り付けられている。
【0005】
図5(b)には、従来のロードセルにおいて用いられているストレインゲージの平面図が示されている。
この図5(b)に示されるストレインゲージ104は、グリッド105と呼ばれるCu−Ni合金などで作製される抵抗線を、ベース106と呼ばれるイミドアミド樹脂などの材質による薄い板の上に形成し、カバー107と呼ばれるポリエステル樹脂などの材質によるやはり薄い板によって保護された構造をなしている。
【0006】
図5(a)に示されるロードセル100において、(A)金属弾性体に施される従来の耐環境対策と、(B)ストレインゲージに施される従来の耐環境対策とについて以下に説明する。
【0007】
<金属弾性体の従来の耐環境対策>
金属弾性体102は、アルミニウム合金であるため、極めて腐食し易い。ロードセル100が外部環境に晒されて使用される場合には、金属弾性体102に対して、例えば、以下の(1)〜(3)のような対策が施される。
(1)アルマイト加工を施した上に更にシリコン樹脂で塗装する。
(2)化学皮膜処理であるアロジン処理を行う。
(3)アルマイト加工を施した上に更にフッ素樹脂を浸透させるタフラム加工を行う。
【0008】
上記(1)のアルマイト加工による対策では、次亜塩素酸で洗浄する環境での使用の場合、残留付着した塩素によって腐食が起きるという問題点がある。
上記(2)のアロジン処理による対策では、化学皮膜にはピンホールが存在し、このピンホールを通して直接アルミニウム合金が大気に晒され、その部分から腐食が起きるという問題点がある。
なお、シリコン樹脂をアルマイト処理またはアロジン処理した全属弾性体の上に塗布しても、シリコン樹脂は多孔質でガス遮断性が低いため、次亜塩素酸水が計量部の洗浄液として使用されると、全属弾性体のシリコン樹脂塗布膜の上にも付着するが、次亜塩素酸水中の遊離残留塩素が次亜塩素酸水の乾燥過程において他に付着した硫黄酸化物などの物質とによって、次亜塩素酸水のpHが低くなるとガス化し水蒸気などの気体と共に金属弾性体の金属表面にまで侵入するので腐食が起きてしまう。
【0009】
また、上記(3)のタフラム加工による対策でも、フッ素には完全な気体遮断性がないため、フッ素の含浸部を通し多孔質アルマイトの内部に水蒸気が侵入して水分化すると、合金内に含まれるCuによってアルミニウムが陽極、Cuが陰極となって電流が流れ、アルミニウムがイオン化され、腐食するという問題点がある。
【0010】
なお、全属弾性体の上に直接シリコン、樹脂などを塗布しても、これらの高分子材料は多孔質であるため、後述するストレインゲージカバーやベース材料における問題点と同様に気体遮断性が無く水蒸気やガスの侵入を防止することができないので耐環境性が著しく向上しない。
【0011】
ところで、アルミニウム合金に比べれば遥かに耐食性の高いSUS合金を全属弾性体として使用するようにしたロードセルもあるが、SUS合金は加工が難しい。また、材料コストが高いうえに金属弾性体材料としての応力歪み特性におけるヒステリシス特性やクリープ特性がアルミニウム合金に比べて大きく現れ計量精度を低下させるので用途に制限がある。また、SUS合金といえども塩素成分を含んだ液体、たとえば洗浄に用いられる次亜塩素酸の水溶液が付着したりするとやはり腐食を起こす。
【0012】
<ストレインゲージの従来の耐環境対策>
ストレインゲージ104において、ベース106やカバー107の材料は樹脂であるため、水蒸気や塩素、硫黄成分などを含むガスなどが侵入し、気温低下によって露点を結び水分化すると、ベース106の厚みや硬度が変化したり、グリッド105の抵抗線に腐食が起きたりするので、荷重信号に零点変化やスパン変化が生じる。そこで、ストレインゲージ104の上にガス浸透性のない層を形成するといった対策が施されている。
【0013】
ストレインゲージ104の防湿対策として、例えばストレインゲージ104の上にガス浸透性のないカバーを被着する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。その具体策として、樹脂層への金属の真空蒸着、スパッタリング、厚さ2乃至3μmの金属箔などによる金属層の貼着の技術が提案されている(例えば、特許文献2,3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】実開昭57−201909号公報
【特許文献2】特開昭60−227129号公報
【特許文献3】特開昭60−227140号公報
【0015】
上記の特許文献2,3に係る技術では、金属を樹脂表面に真空蒸着やスパッタリングさせても樹脂表面に付着した金属粒子には間隙が存在して気体遮断性が十分には得られないという問題点がある。また、金属箔は薄く伸ばしすぎると基本的に箔板として剛性が弱くなりすぎて貼付の際に取り扱いが難しくという問題点がある。
また、金属箔を薄くしすぎると微小空隙が生じるなどがあって2乃至3μmの厚みが限界で、これ以上薄くすることはできない。そうすると金属箔が金属弾性体に力学的な影響によってたとえば容量が5kg前後の小さいロードセルでは金属箔によるヒステリシスやクリープ特性によって計量精度が低下するという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、前述のような問題点に鑑みてなされたもので、外部環境に晒した状態での使用にも耐え得る耐環境性に優れたロードセルを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記目的を達成するために、第1発明によるロードセルは、
起歪部を有する金属弾性体を備えてなり、前記起歪部を外気に露出させた状態で使用されるロードセルにおいて、
前記金属弾性体の全面または少なくとも前記起歪部を含む周辺部に対してDLC膜を成膜したことを特徴とするものである。
ここで、DLCとは、ダイヤモンドライクカーボン(Diamond Like Carbon)の略称である。
【0018】
次に、第2発明によるロードセルは、
起歪部を有する金属弾性体を備えてなり、前記起歪部を外気に露出させた状態で使用されるロードセルにおいて、
前記起歪部に貼り付けられるストレインゲージを含む電子部品が装着された前記金属弾性体に対して直接、あるいは前記電子部品を保護する樹脂層上にDLC膜を成膜したことを特徴とするものである。
【0019】
次に、第3発明によるロードセルは、
起歪部を有する金属弾性体を備えてなり、前記起歪部を外気に露出させた状態で使用されるロードセルにおいて、
前記起歪部に、外形表面の一部または全部にDLC膜を成膜してなるストレインゲージを貼り付けたことを特徴とするものである。
【0020】
次に、第4発明によるロードセルは、
起歪部を有する金属弾性体を備えてなり、前記起歪部を外気に露出させた状態で使用されるロードセルにおいて、
前記起歪部に貼り付けられるストレインゲージおよびそのストレインゲージの周辺部を、DLC膜を成膜してなる樹脂製シートにて被覆したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0021】
第1発明においては、金属弾性体の全面または少なくとも起歪部を含む周辺部に対してDLC膜が成膜される。
第2発明においては、起歪部に貼り付けられるストレインゲージを含む電子部品が装着された金属弾性体に対して直接、あるいは電子部品を保護する樹脂層上にDLC膜が成膜される。
第3発明においては、起歪部に、外形表面の一部または全部にDLC膜を成膜してなるストレインゲージが貼り付けられる。
第4発明においては、起歪部に貼り付けられるストレインゲージおよびそのストレインゲージの周辺部が、DLC膜を成膜してなる樹脂製シートにて被覆される。
ここで、DLC膜は、炭素、炭素結合を持った非結晶炭素膜の総称で、イオンプレーティング法、スパッタ法などの物理的蒸着法やプラズマCVD法、化学蒸着法によって作られ、材質の均一性が高く結晶粒界が存在しないため、気体の遮断性が高いという特徴があり、摺動部に使用される金属や樹脂・ゴム材の摩耗防止用のコーティングとして好適に用いられるものである。
したがって、第1発明乃至第4発明によれば、外部環境に晒した状態での使用にも耐え得る耐環境性に優れたロードセルを得ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係るロードセルが組み込まれた計量装置の概略構造説明図。
【図2】金属弾性体単体またはストレインゲージとのセットでの耐環境性向上手段の説明図
【図3】ストレインゲージ単体の耐環境性向上手段の説明図
【図4】起歪部に貼り付けられたストレインゲージの耐環境性向上手段の説明図
【図5】従来のロードセルの全体斜視図(a)およびストレインゲージの平面図(b)
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明によるロードセルの具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0024】
図1には、本発明の一実施形態に係るロードセルが組み込まれた計量器の概略構造説明図が示されている。
【0025】
<計量装置の概略構成の説明>
図1に示される計量装置1は、筐体2と、ロードセル3と、計量皿4とを備えて構成されている。
【0026】
<ロードセルの概略構成の説明>
ロードセル3は、主として、金属弾性体5と、複数のストレインゲージ6a,6b,6c,6dとを備えている。なお、これらストレインゲージ6a,6b,6c,6dを必要に応じ総称して、「ストレインゲージ6」と表現することとする。
【0027】
金属弾性体5は、例えばアルミニウム合金製で、貫通孔7が設けられた平行四辺形型(ロバーバル型)の形状とされている。この金属弾性体5は、貫通孔7の内壁面と外周面とに挟まれた薄肉状の起歪部8a,8b,8c,8dを上下左右に合計4つ有している。なお、これら起歪部8a,8b,8c,8dを必要に応じ総称して、「起歪部8」と表現することとする。
金属弾性体5の一端側は弾性体支持金具9を介して筐体2に固定されている。
金属弾性体5の他端側には計量皿支持金具10を介して計量皿4が取り付けられている。この計量皿4上に被計量物11が載せられて、計量皿支持金具10を介して金属弾性体5に被計量物11の荷重が作用すると、その負荷荷重に応じて、起歪部8a,8cには伸張歪みが生じ、起歪部8b,8dには圧縮歪みが生じる。
【0028】
ストレインゲージ6a,6bは、起歪部8a,8bに対応させて金属弾性体5の上面に接着手段を用いて貼り付けられ、ストレインゲージ6c,6dは、起歪部8c,8dに対応させて金属弾性体5の下面に接着手段を用いて貼り付けられている。
【0029】
<耐環境性向上手段の概略説明>
本実施形態においては、DLC膜、すなわちダイヤモンドライクカーボン(Diamond Like Carbon)膜の性質を利用し、起歪部8が外気に露出されるロードセル3の金属弾性体5や、該ロードセル3に使用されるストレインゲージ6、ストレインゲージ貼付部に対して以下のような耐環境性向上手段が施される。
【0030】
<DLC膜の説明>
ここで、DLC膜とは、炭素、炭素結合を持った非結晶炭素膜の総称で、イオンプレーティング法、スパッタ法などの物理的蒸着法やプラズマCVD法、化学蒸着法によって作られ、材質の均一性が高く結晶粒界が存在しないため、気体の遮断性が高いという特徴があり、摺動部に使用される金属や樹脂・ゴム材の摩耗防止用のコーティングとして好適に用いられるものである。
DLC膜を用いたコーティング技術によれば、200Åの薄膜でPET(ポリエチレンテレフタレート樹脂製)ボトルのガス遮断性を20倍以上に向上させることができる。なお、成膜時の温度が60℃以下と低温であるから、金属弾性体5やストレインゲージ6上にDLC膜を直接成膜させてもそれらが変質することはない。
【0031】
<金属弾性体の耐環境性向上手段の説明>
図2(a)(a)´に示されるように、金属弾性体5の全体に直接、または金属弾性体5がアルミニウム合金製である場合はアルマイト加工を施した上で全体に、更にはタフラム加工を施したアルミニウム合金製の金属弾性体5の全体にDLC膜12Aを成膜させる。要するにストレインゲージ6を貼り付ける前の金属弾性体5上にDLC膜12Aを成膜させる。なお、起歪部8およびその周辺のみにDLC膜12Aを成膜させてコストを低減させてもよい。
【0032】
<金属弾性体とストレインゲージのセットでの耐環境性向上手段の説明>
図2(b)(b)´に示されるように、まず金属弾性体5にストレインゲージ6を貼り付け、その後、金属弾性体5とストレインゲージ6の表面全体にDLC膜12Bを成膜させる。
なお、ストレインゲージ6の貼付部分の近傍には図示されない温度補償抵抗等の電子部品も装着される場合があり、これらの電子部品も含めてDLC膜12Bを成膜させる。また、ストレインゲージ6の表面を覆う保護用のカバーの有無、更には金属弾性体5とストレインゲージ6の全体に何らかの樹脂の塗布の有無は別にして、金属弾性体5にストレインゲージ6を貼り付けた上にDLC膜12Bを成膜させる。
【0033】
<ストレインゲージ単体の耐環境性向上手段の説明>
図3(a)に示されるストレインゲージ6Aは、イミドアミド樹脂などの材質による薄い矩形板状の絶縁基板(ベース)13の上面に、Cu−Ni合金などの金属箔で作製される抵抗線部(グリッド)14と、このグリッド14に繋がるリード線接続部15とが一体的に形成され、更にリード線接続部15にリード線16がはんだ17によって接続された構造のものである。
図3(b)に示されるストレインゲージ6Bは、ベース13の上面にグリッド14とリード線接続部15とが一体的に形成されたのみの単純な構造のものである。
図3(c)に示されるストレインゲージ6Cは、同図(a)に示されるストレインゲージ6Aの表面上に、ポリエステル樹脂などの材質による薄い板状の保護用のカバー18が装着された構造のものである。
図3(d)に示されるストレインゲージ6Dは、同図(b)に示されるストレインゲージ6Bの表面上に、リード線接続部15を除いて保護用のカバー19が装着された構造のものである。
【0034】
図3(a)(c)に示されるように、リード線16が配線された構造のストレインゲージ6A,6Cであれば、同図(a)´(c)´に示されるように全面に、周囲、裏面も含めてDLC膜20Aを成膜させる。
一方、図3(b)(d)に示されるように、リード線16が未配線の構造のストレインゲージ6B,6Dであれば、同図(b´)(d´)に示されるように、リード線接続部15におけるはんだ付けに必要とされるはんだ接合部21を残して全面に、周囲、裏面も含めてDLC膜20Bを成膜させる。
【0035】
<起歪部に貼り付けられたストレインゲージの耐環境性向上手段の説明>
金属弾性体5の起歪部8に図3(a)〜(d)に示されるいずれかのストレインゲージ6A〜6Bが貼り付けられている場合の耐環境性向上手段として次のようなものが挙げられる。
代表例として、金属弾性体5の起歪部8に図3(a)に示されるストレインゲージ6Aが貼り付けられている場合の耐環境性向上手段としては、図4(a)に示されるように、金属弾性体5の起歪部8に貼り付けられるストレインゲージ6Aの全体とその周辺部を覆うことのできる樹脂シート上にDLC膜を成膜させてなる保護カバー22を作製し、この保護カバー22をストレインゲージ6Aを覆うようにして起歪部8に貼り付けるようにしたものが挙げられる。
なお、図4(b)には、金属弾性体5の起歪部8上に既に成膜されたDLC膜23上に上記代表例に係る図3(a)のストレインゲージ6Aが貼り付けられている場合の耐環境性向上手段の態様例が示されており、保護カバー22を同様にして適用可能である。
従来のニッケル箔などは数ミクロンの厚みを持つのに対してDLC膜は数100Å程度の厚みに成膜し、起歪部8において金属弾性体5としての特性を劣化させないようにしながら気体を遮断する。
【0036】
<本実施形態の作用効果の説明>
本実施形態においては、金属弾性体5の全面または少なくとも起歪部8を含む周辺部に対してDLC膜12Aが成膜される。また、起歪部8に貼り付けられるストレインゲージ6を含む電子部品が装着された金属弾性体5に対して直接、あるいは電子部品を保護する樹脂層上にDLC膜12Bが成膜される。また、起歪部8に、外形表面の全部または一部にDLC膜20A;20Bを成膜してなるストレインゲージ6A´,6C´;6B´,6D´が貼り付けられる。また、起歪部8に貼り付けられるストレインゲージ6Aおよびそのストレインゲージ6Aの周辺部が、DLC膜を成膜してなる樹脂製の保護カバー22にて被覆される。したがって、外部環境に晒した状態での使用にも耐え得る耐環境性に優れたロードセル3を得ることができるという効果がある。
【0037】
以上、本発明のロードセルについて、一実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明のロードセルは、耐環境性に優れるという特性を有していることから、外部環境に晒した状態で使用される計量装置の荷重センサとしての用途に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0039】
1 計量装置
3 ロードセル
5 金属弾性体
6 ストレインゲージ
8 起歪部
12A,12B DLC膜
20A,20B DLC膜
22 保護カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
起歪部を有する金属弾性体を備えてなり、前記起歪部を外気に露出させた状態で使用されるロードセルにおいて、
前記金属弾性体の全面または少なくとも前記起歪部を含む周辺部に対してDLC膜を成膜したことを特徴とするロードセル。
【請求項2】
起歪部を有する金属弾性体を備えてなり、前記起歪部を外気に露出させた状態で使用されるロードセルにおいて、
前記起歪部に貼り付けられるストレインゲージを含む電子部品が装着された前記金属弾性体に対して直接、あるいは前記電子部品を保護する樹脂層上にDLC膜を成膜したことを特徴とするロードセル。
【請求項3】
起歪部を有する金属弾性体を備えてなり、前記起歪部を外気に露出させた状態で使用されるロードセルにおいて、
前記起歪部に、外形表面の一部または全部にDLC膜を成膜してなるストレインゲージを貼り付けたことを特徴とするロードセル。
【請求項4】
起歪部を有する金属弾性体を備えてなり、前記起歪部を外気に露出させた状態で使用されるロードセルにおいて、
前記起歪部に貼り付けられるストレインゲージおよびそのストレインゲージの周辺部を、DLC膜を成膜してなる樹脂製シートにて被覆したことを特徴とするロードセル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−63307(P2012−63307A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−209321(P2010−209321)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(000208444)大和製衡株式会社 (535)
【Fターム(参考)】