説明

ローマンシェード

【課題】 プライバシーを確保することができると共に多様な動作を可能とするローマンシェードを提供する。
【解決手段】 ヘッドレール12に第1生地16の上端が取り付けられ、第1生地16の下端に第2生地18の上端が取り付けられ、第2生地18の下端部にはヘッドレール12から昇降可能に垂下する昇降コード20の一端部が取付けられ、第1生地16及び第2生地18の連結部にヘッドレールから昇降可能に垂下する開閉用コード32の一端部が取り付けられる。開閉用コード32の一端部が上昇操作されると第1生地16が畳み込まれ第2生地18が露出され、開閉用コード32の一端部が下降操作されると第2生地18が畳み込まれ第1生地16が露出され、開閉用コード32のみが操作されているときに第2生地18の下端部が昇降しないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生地を畳み込んでたくし上げることができるローマンシェードに関し、多様な動作を可能とするローマンシェードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遮蔽材を下方から畳み込んでたくし上げることができる以外の動作を可能とするものとして、特許文献1に記載された昇降カーテンが知られている。この例では、レールに昇降可能に吊り下げられたカーテン本体の下縁部を任意の位置まで昇降する下縁部昇降手段と、カーテン本体の上縁部を任意の位置まで昇降する上縁部昇降手段とを設けており、下縁部昇降手段によりカーテン本体の下縁部を任意の位置まで昇降させることによって、カーテン本体を下縁部から上昇させた開放状態と、カーテン本体の下縁部を下降させた閉鎖状態とが形成され、上縁部昇降手段によりカーテン本体の上縁部を任意の位置まで昇降することによって、カーテン本体の上縁部を下降させた上部開放状態と、カーテン本体の上縁部を上昇させた閉鎖状態とが形成される。こうして上部開放状態において、窓開口部の下側をカーテン本体で覆う一方で上側を開放して光を採り込むといった動作形態を形成することができる。
【0003】
【特許文献1】特開2005−27727号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の昇降カーテンにおいては、カーテン本体の上縁部を下降させて上側を開放してしまうと、カーテン本体の上部が完全に開放されてしまうため、プライバシーを確保することができない、という問題がある。
【0005】
本発明はプライバシーを確保することができると共に多様な動作を可能とするローマンシェードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、請求項1記載の発明はヘッドレールに第1生地の上端が取り付けられ、第1生地の下端に第2生地の上端が取り付けられ、第2生地の下端部にはヘッドレールから昇降可能に垂下する昇降コードの一端部が取付けられ、第1生地及び第2生地の連結部にヘッドレールから昇降可能に垂下する開閉用コードの一端部が取り付けられ、開閉用コードの一端部が上昇操作されると第1生地が畳み込まれ第2生地が露出され、開閉用コードの一端部が下降操作されると第2生地が畳み込まれ第1生地が露出され、開閉用コードのみが操作されているときに第2生地の下端が昇降しないようにしたことを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のものにおいて、第1生地には上下方向に離間して複数の第1環部が設けられ、第2生地には上下方向に離間して複数の第2環部が設けられ、開閉用コードは各第1環部を挿通し、昇降コードは各第2環部を挿通しており、第1環部同士の上下方向の間隔と第2環部同士の上下方向の間隔とが異なることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載のものにおいて、ヘッドレールの前面にはバランスが取り付けられ、開閉用コードを上昇させて第1生地が完全に畳み込まれたときに、第1生地がバランスによって覆い隠されることを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の前記バランスが第2生地と同じ素材からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、開閉用コードの一端部の上昇及び下降操作により、第1生地と第2生地との露出及び畳み込みを切り替えることができる。即ち、開口が第1生地または第2生地のいずれかによって覆われた状態で、ローマンシェードが設定された開口を覆う第1生地と第2生地との割合を開閉用コードの操作によって変更することができるために、プライバシーを確保することができる。その一方で、昇降コード及び開閉用コードの一端部をそれぞれ上昇操作させれば、第2生地及び第1生地共に畳み込まれるので、開口の一部または全部を完全に開放することも可能となる。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、第1環部と第2環部との間隔を変えることで、第1生地と第2生地のそれぞれを畳み込んだときの畳み代を変えることができるようになる。第1生地の畳み代を小さくしたい場合には、第1環部の間隔を第2環部の間隔よりも小さくなるように設定するとよい。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、第1生地が完全に畳み込まれたときに、バランスによって第1生地を覆い隠すことで、第2生地だけからなる通常のローマンシェードと同等の外観とすることができるようになる。第1生地を半透明生地、第2生地及びバランスを不透明生地とすれば、第1生地を完全に畳み込んでバランスで覆い隠したときに、光の侵入を遮断することができるようになる。
【0013】
請求項4記載の発明によれば、第1生地を畳み込んでたくし上げたときには、バランスと第2生地とによって統一された素材からなるローマンシェードの外観とすることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の実施形態にかかるローマンシェードの正面図である。図において、ローマンシェード10は窓枠等の開口に設定されるもので、窓枠や壁面等の固定部にブラケット11によって固定されるヘッドレール12を有している。
【0015】
ヘッドレール12からは、生地14が昇降可能に垂下されている。生地14は、第1生地16及び第2生地18が中間バー17を介して連結されてなり、第1生地16の上端がヘッドレール12に取り付けられ、第1生地16の下端に中間バー17によって第2生地18の上端が取り付けられている。第2生地18の下端にはウエイトバー19が設けられる。第1生地16と第2生地18は、遮蔽性または模様等の種類が異なる任意の素材の生地となっている。この例では、第1生地16が半透明生地、第2生地18が不透明生地となっており、遮光率が異なっている。
【0016】
第1生地16と第2生地18の高さ寸法は任意とすることができるが、それぞれの伸張状態において、ローマンシェード1が設定される開口を覆うことができる程度の長さとするとよく、よって、連結された生地14の高さ寸法は開口の高さ寸法のほぼ2倍となっているとよい。
【0017】
第1生地16と第2生地18の裏面には、それぞれ幅方向に適宜離間して、且つ上下方向に離間して複数のコードリング16a、18aがそれぞれ取り付けられており、各コードリング16a、18aが生地の環部を構成している。環部は生地と別体の部材で構成する以外に生地と一体のものとすることもでき、任意の手段により構成することが可能である。
【0018】
生地14の裏面側には昇降コード20が配される。昇降コード20の一端部は、第2生地18の下端部(ウエイトバー19を含む)に取り付けられ、第2生地18の各コードリング18aを挿通し、ヘッドレール12に導かれる。昇降コード20の他端部は、ヘッドレール12内に配設された巻取ドラム24に巻取り・巻解き可能に取り付けられる。巻取ドラム24は、ヘッドレール12内でその長手方向に伸び回転可能となった回転シャフト26と一体回転可能となっており、回転シャフト26は、ヘッドレール12の端部にあるコントロールユニット27に連結される。コントロールユニット27にはプーリ28が設けられており、プーリ28には操作コード30が巻き掛けられる。コントロールユニット27は、操作コード30によるプーリ28の所定方向の回転に対して回転シャフト26を一体的に回転させると共に、操作コード30によるプーリ28の反対方向の回転に対して回転シャフト26を解放するものであり、昇降コード20は操作コード30の操作によって、巻取ドラム24に巻取りまたは巻解きされる。回転シャフト26には、昇降コード20が巻解かれる際の回転に対してブレーキを作動させる下降ブレーキ31が設けられている。
【0019】
また、生地14の裏面側には開閉用コード32が配される。開閉用コード32の一端部は、第1生地16の下端部(中間バー17を含む)に取り付けられ、第1生地16の各コードリング16aを挿通し、ヘッドレール12に導かれる。開閉用コード32の他端部は、ヘッドレール12に設けられたコードガイド34によって誘導されてヘッドレール12に沿って伸びた後、ヘッドレール12の端部に設けられたストッパ36を通過して、ヘッドレール12から垂下され操作つまみ38に連結される。操作つまみ38は補助コード39によって第2生地18の下端に連結される。ストッパ36は、開閉用コード32を、締結可能となっており、開閉用コード32の拘束・解除の切替を行う。
【0020】
尚、図示した例とは異なり、ヘッドレール12において、昇降コードをコードガイドによって導き、開閉用コードを巻取ドラムに取り付けるようにすることも可能であるが、図示例のように操作荷重がかかる昇降コードを巻取ドラムに取り付けるようにすると操作性に優れて好都合である。
【0021】
また、ヘッドレール12の前面にはバランス40の上端が取り付けられている。バランス40は第2生地18と同じ素材またはほぼ等価な遮光率の素材であるとよい。
【0022】
以上のように構成されるローマンシェード10において、その作用を説明する。図1及び図4に示した状態は、第1生地16及び第2生地18の一部がそれぞれ畳み込まれて一部がそれぞれ露出した状態となっている。よって、開口の上方が第1生地16で覆われ、開口の下方が第2生地18で覆われており、開口の上方からの柔らかい光の採り入れが可能になり、開口の下方は外部から遮蔽して外からの視線を遮ることができるようになっている。
【0023】
図1及び図4に示した状態から、操作つまみ38またはその付近の開閉用コード32を操作してストッパ36を解除した後、開閉用コード32の一端部を完全に下降操作させると、図2及び図5に示したように、第1生地16がより露出し、第2生地18が完全に畳み込まれた状態となる。よって、開口がほぼ第1生地16によって覆われる状態となり、開口全体を遮蔽性の低い状態で覆うことができ、開口全体から外部からの柔らかい光を一層採り入れることができる。
【0024】
または、図1及び図4に示した状態から、操作つまみ38を下方に引いて開閉用コード32の一端部を上昇操作させると、図3及び図6に示すように、第1生地16がより畳み込まれる一方で、第2生地18が完全に露出される状態となる。よって、開口がほぼ第2生地18によって覆われる状態となり、開口全体をより遮蔽性の高い状態で覆うことができ、外からの光または視線をより確実に遮ることができる。
【0025】
以上の図1(図4)または図3(図6)に示す状態においては、それぞれの状態の切替をするのに開閉用コード32のみが操作されており、昇降コード20は操作されていないので、第2生地18の下端部は昇降しておらず、その高さを維持している。そして、開閉用コード32の一端部の昇降程度を図5及び図6の間で適宜変更することにより、第1生地16と第2生地18との露出割合を変化させることができ、プライバシーを確保したまま多様な動作態様を実現することができる。
【0026】
一方、図6の状態から操作コード30を操作して、昇降コード20の一端部を上昇操作させると、図7に示すように、第1生地16及び第2生地18共に畳み込まれてたくし上げられた状態となる。よって、開口が完全に開放されて十分な採光及び眺望を得ることができる。また、昇降コード20の一端部と開閉用コード32の一端部の昇降程度を様々に変化させることにより、図示した以外の様々な動作態様を実現することができ、開口の一部のみを開放することも可能になる。
【0027】
図6または図7に示す開閉用コード32の一端部が上昇するように操作されて第1生地16が完全に畳み込まれている状態においては、第1生地16がバランス40に完全に覆い隠されるようにするとよい。これによって、図6に示すように、開口全体を第2生地18及びバランス40で覆うことができるので、より遮蔽性を高くすることができる。バランス40は第2生地18と同じ素材または同じ遮光率の素材となっているので、図6に示す状態において、開口全体において光の侵入を防ぎ、遮蔽を行なうことができるようになる。また、この状態においては通常のローマンシェードと同等の外観とすることができる。
【0028】
図8及び図9は、第1生地16のコードリング16aの上下方向のピッチが、第2生地18のコードリング18aの上下方向のピッチと異なるように設定された例である。好ましくは、図示したように、第2生地18のコードリング18aのピッチよりも、第1生地16のコードリング16aのピッチの方が小さくなるように設定されるとよい。このようにピッチを異ならしめることにより、第1生地16の畳み代を小さくすることができるので、第1生地16をバランス40内に完全に覆い隠すために必要なバランス40の長さを短くすることができて、好都合となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施形態にかかるローマンシェードの正面図(一部生地を省略)であり、第1生地と第2生地のそれぞれの一部が露出され一部が畳み込まれた状態を示す。
【図2】本発明の実施形態にかかるローマンシェードの正面図(一部生地を省略)であり、第1生地が露出され、第2生地が完全に畳み込まれた状態を示す。
【図3】本発明の実施形態にかかるローマンシェードの正面図(一部生地を省略)であり、第1生地が畳み込まれ、第2生地が完全に露出された状態を示す。
【図4】図1の状態のローマンシェードの操作部を除く側面図である。
【図5】図2の状態のローマンシェードの操作部を除く側面図である。
【図6】図3の状態のローマンシェードの操作部を除く側面図である。
【図7】ローマンシェードの側面図であり、第1生地及び第2生地共に完全に畳み込まれた状態を示す。
【図8】第1生地と第2生地のそれぞれの環部のピッチが異なる場合の図5相当図である。
【図9】第1生地と第2生地のそれぞれの環部のピッチが異なる場合の図6相当図である。
【符号の説明】
【0030】
10 ローマンシェード
12 ヘッドレール
14 生地
16 第1生地
16a コードリング(第1環部)
18 第2生地
18a コードリング(第2環部)
20 昇降コード
32 開閉用コード
40 バランス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドレール(12)に第1生地(16)の上端が取り付けられ、第1生地(16)の下端に第2生地(18)の上端が取り付けられ、第2生地(18)の下端部にはヘッドレール(12)から昇降可能に垂下する昇降コード(20)の一端部が取付けられ、第1生地(16)及び第2生地(18)の連結部にヘッドレール(12)から昇降可能に垂下する開閉用コード(32)の一端部が取り付けられ、開閉用コード(32)の一端部が上昇操作されると第1生地(16)が畳み込まれ第2生地(18)が露出され、開閉用コード(32)の一端部が下降操作されると第2生地(18)が畳み込まれ第1生地(16)が露出され、開閉用コード(32)のみが操作されているときに第2生地(18)の下端部が昇降しないようにしたことを特徴とするローマンシェード。
【請求項2】
第1生地(16)には上下方向に離間して複数の第1環部(16a)が設けられ、第2生地(18)には上下方向に離間して複数の第2環部(18a)が設けられ、開閉用コード(32)は各第1環部(16a)を挿通し、昇降コード(20)は各第2環部(18a)を挿通しており、第1環部(16a)同士の上下方向の間隔と第2環部(18a)同士の上下方向の間隔とが異なることを特徴とする請求項1記載のローマンシェード。
【請求項3】
ヘッドレール(12)の前面にはバランス(40)が取り付けられ、開閉用コード(32)を上昇させて第1生地(16)が完全に畳み込まれたときに、第1生地(16)がバランス(40)によって覆い隠されることを特徴とする請求項1または2記載のローマンシェード。
【請求項4】
前記バランス(40)が第2生地(18)と同じ素材からなることを特徴とする請求項3記載のローマンシェード。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate