ローラの製造方法
【課題】非塗装部分を保護するためのマスキングを必要とせず、塗料の余剰飛散による塗着効率の低下や環境劣化を防ぎ、膜厚の均一化も容易であるローラ塗装方法を提供する。
【解決手段】ローラ基材2の円筒状周面に塗膜3を塗装する方法として、回転する塗布ローラ10による印刷技術を用いる。ローラ基材2と同期して回転する塗布ローラ10の表面に、塗料留め部11から供給される塗料Aを付着させ、ローラ基材2の円筒状周面に転写する。マスキングを必要とすることなく任意の塗膜パターンの塗膜3を形成することができる。
【解決手段】ローラ基材2の円筒状周面に塗膜3を塗装する方法として、回転する塗布ローラ10による印刷技術を用いる。ローラ基材2と同期して回転する塗布ローラ10の表面に、塗料留め部11から供給される塗料Aを付着させ、ローラ基材2の円筒状周面に転写する。マスキングを必要とすることなく任意の塗膜パターンの塗膜3を形成することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、OA機器、家電製品、印刷機器などに使用する紙送りローラ等のローラの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写機などのOA機器や印刷機などに使用される紙送りローラには、ローラの表面にセラミックスなどのフィラーを含む合成樹脂層が形成され、フィラーにより摩擦係数を大きくし、紙送り性能を高めている。従来は、合成樹脂層を形成する方法として、エポキシ樹脂などの塗料にセラミックスなどのフィラーを混入した液体状の塗料を用い、スプレーガンなどによりローラ基材にスプレー塗装することで合成樹脂層を形成する方法が用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、金属製のコアロール(ローラ基材)の表面に、粒径が10〜80μmの粒子を含有する樹脂コート層を設けてなる紙送りロールを、スプレー塗装により形成することが提案されている。
【0004】
一方、平面に塗装する方法として、例えばロールコート法、平版印刷法などが知られている。ロールコート法は、塗料の付いた塗布ローラに、被塗物を押圧しながら塗装を行なう方法であり、スプレー塗装などの他の塗装方法と比較して、塗料の使用効率に優れるなどの特長がある。また平版印刷法による塗装では版ローラに付着させた塗料をブランケットローラを介して平板状被塗物に移すことで塗膜を形成するため、同じく塗料の使用効率に優れる特長がある。
【0005】
特許文献2には、従来、スプレー塗装により行なわれていた均一多彩模様塗膜の形成をロールコート法、または孔版印刷法等により塗装する方法が提案されている。
【特許文献1】特開平09−249327号公報
【特許文献2】特開平02−164482号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術のように、合成樹脂層をスプレー塗装で塗装する場合、塗装部分と非塗装部分とを区分し、非塗装部分を保護するためにマスキングを施さなければならない。そのため、その分の工程増加やコストアップが避けられないといった問題がある。
【0007】
また、スプレー塗装は、エアーにより液体塗料を霧化した状態でこの噴霧塗料を被塗物に吹き付ける塗装方法であるため、例えば、被塗装部材以外への塗料の余剰飛散という問題がある。このため、塗着効率がきわめて低く、環境衛生の面で好ましくないといった結果を生じている。
【0008】
さらに、塗膜の膜厚がスプレーガンの操作に大きく依存することや、重ね塗りにより膜厚を制御していくスプレー塗装の性質上、膜厚が不均一になりやすいといったデメリットもある。
【0009】
本発明は、ローラ基材の円筒状周面に塗料を塗布する工程において、塗着効率が高く、環境負荷の低減や塗布品質の向上にも貢献できるローラの製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のローラの製造方法は、ローラ基材の円筒状周面に塗膜を有するローラの製造方法において、塗布手段に塗料を付着させる工程と、前記ローラ基材を回転させ、前記ローラ基材の回転による前記円筒状周面の移動と同期させて前記塗布手段を移動させながら、前記ローラ基材の前記円筒状周面に前記塗布手段の塗料を転写し塗膜を形成する工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
スプレー塗装のように、塗料の一部を塗料吹き付け用の圧縮空気で吹き飛ばしてしまうことや、塗料の余剰飛散などによる塗着効率の低下が生じることなく、塗料使用量を低減し、環境負荷を軽減できる。加えて、マスキングが不要となるため、製造コストの削減にも効果がある。
【0012】
また、塗り始めと塗り終わりで塗膜の重なり部分に段差が生じるのを防ぐことで、塗膜を有するローラの品質を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
図1の(a)は、一実施形態によるローラの製造方法によって製造されたローラ1を示す。ローラ1は、軸状部材であるローラ基材2の円筒状周面に、図1の(b)に示す塗布手段である塗布ローラ10に付着させた塗料を転写し、形成された塗膜3を有する。
【0015】
塗膜を形成する技術としては、回転する塗布ローラを用いたロールコート法、版ローラを用いた平版印刷法、凹版印刷法及び凸版印刷法、あるいは孔版を用いた孔版印刷法等を選択することが好ましい。
【0016】
ローラの円筒状周面に形成された塗膜がフィラーを含有するとよい。特に、フィラーを含有した塗料を用いることが好ましい。または、ローラ基材の円筒状周面に第1の塗膜を塗布し、第1の塗膜にフィラーを保持させ、フィラーを保持した第1の塗膜上に第2の塗膜を塗布した構成でもよい。
【0017】
また、ローラ基材の円筒状周面上のすべての領域において、塗装開始点より円周方向に2周以上、すなわち2回以上(複数回)に分けて塗料を塗布するとよい。
【0018】
また、ローラ基材の円筒状周面の塗装開始部分と塗装終了部分の塗膜厚(塗膜の膜厚)が、塗装開始部分と塗装終了部分との中間部分における塗膜厚より薄くなるように塗装し、塗装開始部分と塗装終了部分の塗膜が重なるのが好ましい。
【0019】
あるいは、ローラ基材の円筒状周面の円周方向に塗膜が重ならないように塗布するとよい。
【0020】
ロールコート法により塗布ローラを介してローラ基材に塗料を塗布(転写)する方法によれば、塗料の余剰使用による塗着効率の低下が生じず、塗料の使用量の低減により環境負荷の軽減が可能となる。
【0021】
さらに、塗布ローラ幅またはドクターブレード幅により塗装幅を容易に調整できるため、マスキングが不要となり、製造コストを低減することができる。
【0022】
また、塗装中の塗布ローラへの押し付け圧、塗装速度を適正に保つことにより、均一な膜厚の塗膜が容易に得られる。ロールコート法や平版印刷等の印刷技術によりローラを塗装する場合、ローラ基材を塗布ローラ又は版ローラに押し付け、回転させながら塗装する。このため、塗り始めと塗り終わりで塗装の重なり部分に段差が生じてしまい、ローラ外径の精度、塗膜厚さ若しくは表面状態の均一性が著しく損なわれ、製品の性能に大きな影響を及ぼすという可能性がある。
【0023】
そこで、塗装開始部分と塗装終了部分の塗膜厚を薄くすることで、重なり部分に生じる塗膜の段差を低減するのが好ましい。特に、塗装開始部分と塗装終了部分との中間部分における塗膜厚以下となるように塗装し、塗膜の重なり部分の膜厚を他部分と同程度に調整することにより、ローラの品質を維持することができる。
【0024】
あるいは、塗膜の重なり部分を生じさせないことにより、ローラの品質を維持することもできる。
【実施例1】
【0025】
図1は実施例1によるローラの製造方法を示す。図1の(a)に示すように、ローラ1は、円筒状周面を備えたローラ基材2と、ローラ基材2の円筒状周面のうちの所定範囲の周面部分にロールコート法により形成された、摩擦係数を高めるためのフィラーを含む塗料樹脂層である塗膜3とから構成される。
【0026】
プリンタなどに備わる紙送りローラの場合、ローラ基材2は、例えば、防錆処理として表面にニッケルめっき処理を施した、直径約1.0cm、長さ約30.0cmの鉄製軸状部材が用いられる。ローラ基材2の材料としては、アルミニウムや鉄などの金属材料及びプラスチックなどの非金属材料のいずれでもよい。また、表面には、一般に知られている防錆を目的とした化成皮膜層やめっき層が形成されていてもよい。
【0027】
塗膜3は、例えば、アクリル樹脂などの合成樹脂を主成分とする市販の塗料により形成され、膜厚(塗膜厚)は10〜100μm程度である。前記合成樹脂としては、特に制限することなく一般に塗料として知られている樹脂が用いられ、例えばアクリル・メラミン系、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系、ポリエステル系、アルキッド系樹脂などが挙げられる。
【0028】
塗膜3に含有されるフィラーは、例えば、平均粒径20〜100μmのアルミナ粒子が用いられる。フィラーとしては、特に制限することなく広範囲のものが用いられ、例えばAl2 O3 、SiC、SiO2 、ZrO、Si3 N4 、TaC、NbCなどであることが好ましい。
【0029】
図1の(b)は、ロールコート式塗装装置を模式的に示す図である。この装置は、ローラ基材2の所定範囲の円周面部分に、摩擦係数を高めるためのフィラーを含む塗料の塗膜3を形成するために、ローラ基材2に当接し、回転しながらフィラーを含む塗料をローラ基材2に転写する塗布ローラ10を有する。さらに、フィラーを含む塗料Aを収容し、塗布ローラ10に塗料を受け渡す塗料溜め部11と、塗布ローラ10が塗料溜め部11から受け取ったフィラーを含む塗料の余剰分を掻き取るドクターブレード12を備える。
【0030】
上記ロールコート式塗装装置において、塗料溜め部11に収容されているフィラーを含む塗料Aは、回転する塗布ローラ10の表面に付着して引き出される。塗布ローラ10上に引き出されたフィラーを含む塗料は、塗料を付着させた表面が、回転するローラ基材2の円筒状周面の移動に同期して移動するように回転制御された塗布ローラ10をローラ基材2に当接することで、その一部が転写される。そして、ローラ基材2上のフィラーを含む塗料が乾燥硬化して、塗料樹脂層からなる塗膜3となる。
【0031】
上記ロールコート式塗装装置において、塗布ローラ10とドクターブレード12によって形成されるスリットの幅を調整することで、ドクターブレード12が掻き取るフィラーを含む塗料の量を調節できる。さらに、塗料粘度と、ローラ基材2を塗布ローラ10に当接する際の押し付け圧を調整することで、塗膜3の膜厚を所定の塗膜厚(10〜100μm)に設定する。
【実施例2】
【0032】
図2は実施例2による平版印刷式塗装装置を模式的に示す図である。塗布手段である平版としての版ローラ10bに、濡し水溜め部13から水ローラ10cを介し濡し水Bが、塗料溜め部11から塗料ローラ10dを介し塗料Aが、それぞれ供給される。版ローラ10bは、親水性部分と親油性部分に分かれていて、まず、親水性の部分を濡し水で湿らせる。次に塗料を与えると親油性の画線部にだけ塗料が付着する。これを転写体であるブランケットローラ10aに移してからさらにローラ基材2に転写して塗装する。
【実施例3】
【0033】
図3は実施例3による凸版印刷式塗装装置を模式的に示す図である。塗布手段である凸版としての版ローラ20に、塗料供給部21から塗料Aを供給した後、版ローラ20の凸部20aに付着した塗料をローラ基材2に押圧して塗料を転写する。
【実施例4】
【0034】
図4は実施例4による凹版印刷式塗装装置を模式的に示す図である。塗布手段である凹版としての版ローラ30に、塗料供給部31から塗料Aを供給し、ドクターブレード32で余剰な塗料を掻き取ると、版ローラ30の凹部30aに塗料が残る。ローラ基材2を版ローラ30に押圧して塗料を移転させる。
【実施例5】
【0035】
図5は実施例5による孔版印刷式塗装装置を模式的に示す図である。塗布手段である孔版40上に、塗料を乗せ、スキージ41の片面で戻しながらコートし、逆方向にスキージ41の先端で版面を押し下げてローラ基材2に密着させて加圧し塗料を滲出させる。孔版40はローラ基材2の回転に対して平行移動する。孔版40の平行移動量に一致するように同期させて、ローラ基材2を回転させることにより塗装がなされる。塗料返し42は、塗装後にスキージ41により一方に寄せられた塗料A1 を元に戻す。このようにスキージ41と塗料返し42の間が、塗料溜りとなる。
【0036】
実施例1〜5では、被塗物となるローラ基材2を回転させながら塗装を行なうため、塗り始めの位置では、塗料の重ね塗りによる膜の段差が発生してしまうことがあり、ローラの性能に大きな影響を与える可能性がある。そこで、例えば実施例1において、ローラ基材2に塗膜3を形成する工程で、重ね塗り部分の膜の段差を無くす方法について以下に説明する。
【0037】
図1の(b)の装置において、塗布ローラ10とドクターブレード12によって形成されるスリットの幅と、塗料粘度と、ローラ基材2を塗布ローラ5に当接する際の押し付け圧を調整することで、ローラ基材2が一回転する際に塗布される塗料の量を低減する。例えば、所望する膜厚の塗膜3を形成するのに必要な塗料の量の数分の一にし、ローラ基材2を複数回(2回以上)回転させて、所望する膜厚の塗膜3を形成するのに必要な塗料の量をローラ基材2に塗布する。ローラ基材2が一回転する際に塗布される塗料の量が微量となるため、重ね塗り部分の膜の段差は、塗料のレベリング作用により無くすことが可能となる。
【実施例6】
【0038】
図6は実施例6によるロールコート式塗装方法を示す。図6の(a)に示す塗布ローラ10とドクターブレード12によって形成されるスリットの幅と、塗料粘度と、ローラ基材2を塗布ローラ10に当接する際の押し付け圧とを調整することで、同図の(b)に示すように塗膜厚を変化させる。すなわち、ローラ基材2の円筒状周面上の塗装開始部分3aと塗装終了部分3bの塗膜厚が、中間部分における塗膜厚以下となるように塗装する。塗装開始部分3aと塗装終了部分3bとが重なることで、重なり部分の塗膜厚が、中間部分の塗膜厚と同じとなり、膜の段差が生じるのを防ぐことができる。図6の(b)に示すように塗膜厚さに傾斜を付ける代わりに、(c)に示すように塗装開始部分3cと塗装終了部分3dの塗膜厚に段差を付けてもよい。
【実施例7】
【0039】
図7は実施例7によるロールコート式塗装方法を示す。ローラ基材2の円筒状周面にまず、第1の塗膜4を塗布し、その上に前述したような種類のフィラーをまぶす。このフィラーは第1の塗膜4に保持される。そして、さらに塗装を行ない、第2の塗膜5を形成する。本実施例によれば、フィラーが第1の塗膜4で保持され、第2の塗膜5でオーバーコートされることで、摩擦によるフィラーの脱落がない高耐久性を備えたローラを提供することができる。フィラーをまぶすのではなく、第1の塗膜4を塗布する際に塗料に混合しておいてもよい。
【実施例8】
【0040】
図8は実施例8によって製造されたローラを示す。例えば凸版印刷式塗装装置によって、ローラ基材2の円筒状周面の塗膜3を平面状に展開したときに平行四辺形状の塗膜パターンになるように塗装することで、非塗装部3eを設けている。
【0041】
本実施例によれば、非塗装部3eを設けることにより、塗膜3の重なりによる膜の段差が生じるのを防ぐことができる。そして、紙送り機構に組み込めば、搬送される用紙はローラ基材表面の軸方向のいずれかの点で必ず塗膜3の非塗装部3eに接するため、ローラの性能を保つことが可能となる。
【0042】
上記の塗膜パターンは、版の形状により容易に形成することが可能であり、凸版印刷以外の一般に印刷方法として知られているいずれの方法でも可能であることは言うまでもない。なお、上記の塗膜パターンは、全ての領域で1回の塗装により形成し、かつ、ローラ基材の全ての回転角度において、円筒状周面に接する平面との接線上の少なくとも一部に塗膜が存在するように塗装する。
【0043】
図8の塗膜パターンの代わりに、図9〜12に示す塗膜パターンでも塗装が可能である。また、これらに限定されることなく、任意に変更された種々の塗膜パターンを用いることも可能である。
【0044】
図9は、斜傾した平行スリット状の非塗装部3fを形成する塗膜パターンを示す図である。
【0045】
図10は、ジグザグ状の非塗装部3gを形成する塗膜パターンを示す図である。
【0046】
図11は、互い違いに配設した平行スリット状の非塗装部3hを形成する塗膜パターンを示す図である。
【0047】
図12は、曲線状の非塗装部3iを形成する塗膜パターンを示す図である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】実施例1を示すもので、(a)はローラの外観図、(b)はロールコート式塗装装置を示す模式図である。
【図2】実施例2による平版印刷式塗装装置を示す模式図である。
【図3】実施例3による凸版印刷式塗装装置を示す模式図である。
【図4】実施例4による凸版印刷式塗装装置を示す模式図である。
【図5】実施例5による孔版印刷式塗装装置を示す模式図である。
【図6】実施例6によるロールコート式塗装方法を説明する図である。
【図7】実施例7によるローラを示す断面図である。
【図8】実施例8によるローラ及び塗膜パターンを示す図である。
【図9】実施例8の一変形例によるローラ及び塗膜パターンを示す図である。
【図10】実施例8の別の変形例によるローラ及び塗膜パターンを示す図である。
【図11】実施例8の別の変形例によるローラ及び塗膜パターンを示す図である。
【図12】実施例8の別の変形例によるローラ及び塗膜パターンを示す図である。
【符号の説明】
【0049】
1 ローラ
2 ローラ基材
3 塗膜
10 塗布ローラ
10b、20、30 版ローラ
11 塗料溜め部
12 ドクターブレード
13 濡し水溜め部
40 孔版
41 スキージ
42 塗料返し
【技術分野】
【0001】
本発明は、OA機器、家電製品、印刷機器などに使用する紙送りローラ等のローラの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写機などのOA機器や印刷機などに使用される紙送りローラには、ローラの表面にセラミックスなどのフィラーを含む合成樹脂層が形成され、フィラーにより摩擦係数を大きくし、紙送り性能を高めている。従来は、合成樹脂層を形成する方法として、エポキシ樹脂などの塗料にセラミックスなどのフィラーを混入した液体状の塗料を用い、スプレーガンなどによりローラ基材にスプレー塗装することで合成樹脂層を形成する方法が用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、金属製のコアロール(ローラ基材)の表面に、粒径が10〜80μmの粒子を含有する樹脂コート層を設けてなる紙送りロールを、スプレー塗装により形成することが提案されている。
【0004】
一方、平面に塗装する方法として、例えばロールコート法、平版印刷法などが知られている。ロールコート法は、塗料の付いた塗布ローラに、被塗物を押圧しながら塗装を行なう方法であり、スプレー塗装などの他の塗装方法と比較して、塗料の使用効率に優れるなどの特長がある。また平版印刷法による塗装では版ローラに付着させた塗料をブランケットローラを介して平板状被塗物に移すことで塗膜を形成するため、同じく塗料の使用効率に優れる特長がある。
【0005】
特許文献2には、従来、スプレー塗装により行なわれていた均一多彩模様塗膜の形成をロールコート法、または孔版印刷法等により塗装する方法が提案されている。
【特許文献1】特開平09−249327号公報
【特許文献2】特開平02−164482号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術のように、合成樹脂層をスプレー塗装で塗装する場合、塗装部分と非塗装部分とを区分し、非塗装部分を保護するためにマスキングを施さなければならない。そのため、その分の工程増加やコストアップが避けられないといった問題がある。
【0007】
また、スプレー塗装は、エアーにより液体塗料を霧化した状態でこの噴霧塗料を被塗物に吹き付ける塗装方法であるため、例えば、被塗装部材以外への塗料の余剰飛散という問題がある。このため、塗着効率がきわめて低く、環境衛生の面で好ましくないといった結果を生じている。
【0008】
さらに、塗膜の膜厚がスプレーガンの操作に大きく依存することや、重ね塗りにより膜厚を制御していくスプレー塗装の性質上、膜厚が不均一になりやすいといったデメリットもある。
【0009】
本発明は、ローラ基材の円筒状周面に塗料を塗布する工程において、塗着効率が高く、環境負荷の低減や塗布品質の向上にも貢献できるローラの製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のローラの製造方法は、ローラ基材の円筒状周面に塗膜を有するローラの製造方法において、塗布手段に塗料を付着させる工程と、前記ローラ基材を回転させ、前記ローラ基材の回転による前記円筒状周面の移動と同期させて前記塗布手段を移動させながら、前記ローラ基材の前記円筒状周面に前記塗布手段の塗料を転写し塗膜を形成する工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
スプレー塗装のように、塗料の一部を塗料吹き付け用の圧縮空気で吹き飛ばしてしまうことや、塗料の余剰飛散などによる塗着効率の低下が生じることなく、塗料使用量を低減し、環境負荷を軽減できる。加えて、マスキングが不要となるため、製造コストの削減にも効果がある。
【0012】
また、塗り始めと塗り終わりで塗膜の重なり部分に段差が生じるのを防ぐことで、塗膜を有するローラの品質を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
図1の(a)は、一実施形態によるローラの製造方法によって製造されたローラ1を示す。ローラ1は、軸状部材であるローラ基材2の円筒状周面に、図1の(b)に示す塗布手段である塗布ローラ10に付着させた塗料を転写し、形成された塗膜3を有する。
【0015】
塗膜を形成する技術としては、回転する塗布ローラを用いたロールコート法、版ローラを用いた平版印刷法、凹版印刷法及び凸版印刷法、あるいは孔版を用いた孔版印刷法等を選択することが好ましい。
【0016】
ローラの円筒状周面に形成された塗膜がフィラーを含有するとよい。特に、フィラーを含有した塗料を用いることが好ましい。または、ローラ基材の円筒状周面に第1の塗膜を塗布し、第1の塗膜にフィラーを保持させ、フィラーを保持した第1の塗膜上に第2の塗膜を塗布した構成でもよい。
【0017】
また、ローラ基材の円筒状周面上のすべての領域において、塗装開始点より円周方向に2周以上、すなわち2回以上(複数回)に分けて塗料を塗布するとよい。
【0018】
また、ローラ基材の円筒状周面の塗装開始部分と塗装終了部分の塗膜厚(塗膜の膜厚)が、塗装開始部分と塗装終了部分との中間部分における塗膜厚より薄くなるように塗装し、塗装開始部分と塗装終了部分の塗膜が重なるのが好ましい。
【0019】
あるいは、ローラ基材の円筒状周面の円周方向に塗膜が重ならないように塗布するとよい。
【0020】
ロールコート法により塗布ローラを介してローラ基材に塗料を塗布(転写)する方法によれば、塗料の余剰使用による塗着効率の低下が生じず、塗料の使用量の低減により環境負荷の軽減が可能となる。
【0021】
さらに、塗布ローラ幅またはドクターブレード幅により塗装幅を容易に調整できるため、マスキングが不要となり、製造コストを低減することができる。
【0022】
また、塗装中の塗布ローラへの押し付け圧、塗装速度を適正に保つことにより、均一な膜厚の塗膜が容易に得られる。ロールコート法や平版印刷等の印刷技術によりローラを塗装する場合、ローラ基材を塗布ローラ又は版ローラに押し付け、回転させながら塗装する。このため、塗り始めと塗り終わりで塗装の重なり部分に段差が生じてしまい、ローラ外径の精度、塗膜厚さ若しくは表面状態の均一性が著しく損なわれ、製品の性能に大きな影響を及ぼすという可能性がある。
【0023】
そこで、塗装開始部分と塗装終了部分の塗膜厚を薄くすることで、重なり部分に生じる塗膜の段差を低減するのが好ましい。特に、塗装開始部分と塗装終了部分との中間部分における塗膜厚以下となるように塗装し、塗膜の重なり部分の膜厚を他部分と同程度に調整することにより、ローラの品質を維持することができる。
【0024】
あるいは、塗膜の重なり部分を生じさせないことにより、ローラの品質を維持することもできる。
【実施例1】
【0025】
図1は実施例1によるローラの製造方法を示す。図1の(a)に示すように、ローラ1は、円筒状周面を備えたローラ基材2と、ローラ基材2の円筒状周面のうちの所定範囲の周面部分にロールコート法により形成された、摩擦係数を高めるためのフィラーを含む塗料樹脂層である塗膜3とから構成される。
【0026】
プリンタなどに備わる紙送りローラの場合、ローラ基材2は、例えば、防錆処理として表面にニッケルめっき処理を施した、直径約1.0cm、長さ約30.0cmの鉄製軸状部材が用いられる。ローラ基材2の材料としては、アルミニウムや鉄などの金属材料及びプラスチックなどの非金属材料のいずれでもよい。また、表面には、一般に知られている防錆を目的とした化成皮膜層やめっき層が形成されていてもよい。
【0027】
塗膜3は、例えば、アクリル樹脂などの合成樹脂を主成分とする市販の塗料により形成され、膜厚(塗膜厚)は10〜100μm程度である。前記合成樹脂としては、特に制限することなく一般に塗料として知られている樹脂が用いられ、例えばアクリル・メラミン系、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系、ポリエステル系、アルキッド系樹脂などが挙げられる。
【0028】
塗膜3に含有されるフィラーは、例えば、平均粒径20〜100μmのアルミナ粒子が用いられる。フィラーとしては、特に制限することなく広範囲のものが用いられ、例えばAl2 O3 、SiC、SiO2 、ZrO、Si3 N4 、TaC、NbCなどであることが好ましい。
【0029】
図1の(b)は、ロールコート式塗装装置を模式的に示す図である。この装置は、ローラ基材2の所定範囲の円周面部分に、摩擦係数を高めるためのフィラーを含む塗料の塗膜3を形成するために、ローラ基材2に当接し、回転しながらフィラーを含む塗料をローラ基材2に転写する塗布ローラ10を有する。さらに、フィラーを含む塗料Aを収容し、塗布ローラ10に塗料を受け渡す塗料溜め部11と、塗布ローラ10が塗料溜め部11から受け取ったフィラーを含む塗料の余剰分を掻き取るドクターブレード12を備える。
【0030】
上記ロールコート式塗装装置において、塗料溜め部11に収容されているフィラーを含む塗料Aは、回転する塗布ローラ10の表面に付着して引き出される。塗布ローラ10上に引き出されたフィラーを含む塗料は、塗料を付着させた表面が、回転するローラ基材2の円筒状周面の移動に同期して移動するように回転制御された塗布ローラ10をローラ基材2に当接することで、その一部が転写される。そして、ローラ基材2上のフィラーを含む塗料が乾燥硬化して、塗料樹脂層からなる塗膜3となる。
【0031】
上記ロールコート式塗装装置において、塗布ローラ10とドクターブレード12によって形成されるスリットの幅を調整することで、ドクターブレード12が掻き取るフィラーを含む塗料の量を調節できる。さらに、塗料粘度と、ローラ基材2を塗布ローラ10に当接する際の押し付け圧を調整することで、塗膜3の膜厚を所定の塗膜厚(10〜100μm)に設定する。
【実施例2】
【0032】
図2は実施例2による平版印刷式塗装装置を模式的に示す図である。塗布手段である平版としての版ローラ10bに、濡し水溜め部13から水ローラ10cを介し濡し水Bが、塗料溜め部11から塗料ローラ10dを介し塗料Aが、それぞれ供給される。版ローラ10bは、親水性部分と親油性部分に分かれていて、まず、親水性の部分を濡し水で湿らせる。次に塗料を与えると親油性の画線部にだけ塗料が付着する。これを転写体であるブランケットローラ10aに移してからさらにローラ基材2に転写して塗装する。
【実施例3】
【0033】
図3は実施例3による凸版印刷式塗装装置を模式的に示す図である。塗布手段である凸版としての版ローラ20に、塗料供給部21から塗料Aを供給した後、版ローラ20の凸部20aに付着した塗料をローラ基材2に押圧して塗料を転写する。
【実施例4】
【0034】
図4は実施例4による凹版印刷式塗装装置を模式的に示す図である。塗布手段である凹版としての版ローラ30に、塗料供給部31から塗料Aを供給し、ドクターブレード32で余剰な塗料を掻き取ると、版ローラ30の凹部30aに塗料が残る。ローラ基材2を版ローラ30に押圧して塗料を移転させる。
【実施例5】
【0035】
図5は実施例5による孔版印刷式塗装装置を模式的に示す図である。塗布手段である孔版40上に、塗料を乗せ、スキージ41の片面で戻しながらコートし、逆方向にスキージ41の先端で版面を押し下げてローラ基材2に密着させて加圧し塗料を滲出させる。孔版40はローラ基材2の回転に対して平行移動する。孔版40の平行移動量に一致するように同期させて、ローラ基材2を回転させることにより塗装がなされる。塗料返し42は、塗装後にスキージ41により一方に寄せられた塗料A1 を元に戻す。このようにスキージ41と塗料返し42の間が、塗料溜りとなる。
【0036】
実施例1〜5では、被塗物となるローラ基材2を回転させながら塗装を行なうため、塗り始めの位置では、塗料の重ね塗りによる膜の段差が発生してしまうことがあり、ローラの性能に大きな影響を与える可能性がある。そこで、例えば実施例1において、ローラ基材2に塗膜3を形成する工程で、重ね塗り部分の膜の段差を無くす方法について以下に説明する。
【0037】
図1の(b)の装置において、塗布ローラ10とドクターブレード12によって形成されるスリットの幅と、塗料粘度と、ローラ基材2を塗布ローラ5に当接する際の押し付け圧を調整することで、ローラ基材2が一回転する際に塗布される塗料の量を低減する。例えば、所望する膜厚の塗膜3を形成するのに必要な塗料の量の数分の一にし、ローラ基材2を複数回(2回以上)回転させて、所望する膜厚の塗膜3を形成するのに必要な塗料の量をローラ基材2に塗布する。ローラ基材2が一回転する際に塗布される塗料の量が微量となるため、重ね塗り部分の膜の段差は、塗料のレベリング作用により無くすことが可能となる。
【実施例6】
【0038】
図6は実施例6によるロールコート式塗装方法を示す。図6の(a)に示す塗布ローラ10とドクターブレード12によって形成されるスリットの幅と、塗料粘度と、ローラ基材2を塗布ローラ10に当接する際の押し付け圧とを調整することで、同図の(b)に示すように塗膜厚を変化させる。すなわち、ローラ基材2の円筒状周面上の塗装開始部分3aと塗装終了部分3bの塗膜厚が、中間部分における塗膜厚以下となるように塗装する。塗装開始部分3aと塗装終了部分3bとが重なることで、重なり部分の塗膜厚が、中間部分の塗膜厚と同じとなり、膜の段差が生じるのを防ぐことができる。図6の(b)に示すように塗膜厚さに傾斜を付ける代わりに、(c)に示すように塗装開始部分3cと塗装終了部分3dの塗膜厚に段差を付けてもよい。
【実施例7】
【0039】
図7は実施例7によるロールコート式塗装方法を示す。ローラ基材2の円筒状周面にまず、第1の塗膜4を塗布し、その上に前述したような種類のフィラーをまぶす。このフィラーは第1の塗膜4に保持される。そして、さらに塗装を行ない、第2の塗膜5を形成する。本実施例によれば、フィラーが第1の塗膜4で保持され、第2の塗膜5でオーバーコートされることで、摩擦によるフィラーの脱落がない高耐久性を備えたローラを提供することができる。フィラーをまぶすのではなく、第1の塗膜4を塗布する際に塗料に混合しておいてもよい。
【実施例8】
【0040】
図8は実施例8によって製造されたローラを示す。例えば凸版印刷式塗装装置によって、ローラ基材2の円筒状周面の塗膜3を平面状に展開したときに平行四辺形状の塗膜パターンになるように塗装することで、非塗装部3eを設けている。
【0041】
本実施例によれば、非塗装部3eを設けることにより、塗膜3の重なりによる膜の段差が生じるのを防ぐことができる。そして、紙送り機構に組み込めば、搬送される用紙はローラ基材表面の軸方向のいずれかの点で必ず塗膜3の非塗装部3eに接するため、ローラの性能を保つことが可能となる。
【0042】
上記の塗膜パターンは、版の形状により容易に形成することが可能であり、凸版印刷以外の一般に印刷方法として知られているいずれの方法でも可能であることは言うまでもない。なお、上記の塗膜パターンは、全ての領域で1回の塗装により形成し、かつ、ローラ基材の全ての回転角度において、円筒状周面に接する平面との接線上の少なくとも一部に塗膜が存在するように塗装する。
【0043】
図8の塗膜パターンの代わりに、図9〜12に示す塗膜パターンでも塗装が可能である。また、これらに限定されることなく、任意に変更された種々の塗膜パターンを用いることも可能である。
【0044】
図9は、斜傾した平行スリット状の非塗装部3fを形成する塗膜パターンを示す図である。
【0045】
図10は、ジグザグ状の非塗装部3gを形成する塗膜パターンを示す図である。
【0046】
図11は、互い違いに配設した平行スリット状の非塗装部3hを形成する塗膜パターンを示す図である。
【0047】
図12は、曲線状の非塗装部3iを形成する塗膜パターンを示す図である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】実施例1を示すもので、(a)はローラの外観図、(b)はロールコート式塗装装置を示す模式図である。
【図2】実施例2による平版印刷式塗装装置を示す模式図である。
【図3】実施例3による凸版印刷式塗装装置を示す模式図である。
【図4】実施例4による凸版印刷式塗装装置を示す模式図である。
【図5】実施例5による孔版印刷式塗装装置を示す模式図である。
【図6】実施例6によるロールコート式塗装方法を説明する図である。
【図7】実施例7によるローラを示す断面図である。
【図8】実施例8によるローラ及び塗膜パターンを示す図である。
【図9】実施例8の一変形例によるローラ及び塗膜パターンを示す図である。
【図10】実施例8の別の変形例によるローラ及び塗膜パターンを示す図である。
【図11】実施例8の別の変形例によるローラ及び塗膜パターンを示す図である。
【図12】実施例8の別の変形例によるローラ及び塗膜パターンを示す図である。
【符号の説明】
【0049】
1 ローラ
2 ローラ基材
3 塗膜
10 塗布ローラ
10b、20、30 版ローラ
11 塗料溜め部
12 ドクターブレード
13 濡し水溜め部
40 孔版
41 スキージ
42 塗料返し
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローラ基材の円筒状周面に塗膜を有するローラの製造方法において、
塗布手段に塗料を付着させる工程と、
前記ローラ基材を回転させ、前記ローラ基材の回転による前記円筒状周面の移動と同期させて前記塗布手段を移動させながら、前記ローラ基材の前記円筒状周面に前記塗布手段の塗料を転写し塗膜を形成する工程と、を有することを特徴とするローラの製造方法。
【請求項2】
前記塗布手段は回転する塗布ローラであることを特徴とする請求項1記載のローラの製造方法。
【請求項3】
前記ローラ基材の前記円筒状周面にフィラーを含有する塗膜を形成することを特徴とする請求項1記載のローラの製造方法。
【請求項4】
前記フィラーを前記塗料に含有させることを特徴とする請求項3記載のローラの製造方法。
【請求項5】
前記ローラ基材の前記円筒状周面に形成したフィラーを含有する第1の塗膜の上に、第2の塗膜を塗布する工程を有することを特徴とする請求項3記載のローラの製造方法。
【請求項6】
前記ローラ基材の前記円筒状周面の全ての領域において複数回、塗料を塗布することを特徴とする請求項1又は2記載のローラの製造方法。
【請求項7】
前記ローラ基材の前記円筒状周面の塗装開始部分に転写する塗膜厚と塗装終了部分に転写する塗膜厚が、前記塗装開始部分と前記塗装終了部分との間の中間部分に転写する塗膜厚より薄くなるように塗装し、かつ、前記塗装開始部分の塗膜と前記塗装終了部分の塗膜とが重なるよう塗装することを特徴とする請求項1又は2記載のローラの製造方法。
【請求項8】
前記塗膜を全ての領域で1回の塗装により形成し、かつ、前記ローラ基材の全ての回転角度において、前記円筒状周面に接する平面との接線上の少なくとも一部に前記塗膜が存在するよう塗装することを特徴とする請求項1又は2記載のローラの製造方法。
【請求項9】
前記塗布手段は版ローラを有し、平版印刷法を用いて前記版ローラに塗料を付着させ、前記ローラ基材の前記円筒状周面に転写することを特徴とする請求項1記載のローラの製造方法。
【請求項10】
前記塗布手段は版ローラを有し、凸版印刷法を用いて前記版ローラに塗料を付着させ、前記ローラ基材の前記円筒状周面に転写することを特徴とする請求項1記載のローラの製造方法。
【請求項11】
前記塗布手段は版ローラを有し、凹版印刷法を用いて前記版ローラに塗料を付着させ、前記ローラ基材の前記円筒状周面に転写することを特徴とする請求項1記載のローラの製造方法。
【請求項12】
前記塗布手段は孔版を有し、孔版印刷法を用いて前記孔版に付着した塗料を滲出させて、前記ローラ基材の前記円筒状周面に転写することを特徴とする請求項1記載のローラの製造方法。
【請求項13】
請求項1ないし12いずれか1項記載のローラの製造方法によって製造されたことを特徴とするローラ。
【請求項1】
ローラ基材の円筒状周面に塗膜を有するローラの製造方法において、
塗布手段に塗料を付着させる工程と、
前記ローラ基材を回転させ、前記ローラ基材の回転による前記円筒状周面の移動と同期させて前記塗布手段を移動させながら、前記ローラ基材の前記円筒状周面に前記塗布手段の塗料を転写し塗膜を形成する工程と、を有することを特徴とするローラの製造方法。
【請求項2】
前記塗布手段は回転する塗布ローラであることを特徴とする請求項1記載のローラの製造方法。
【請求項3】
前記ローラ基材の前記円筒状周面にフィラーを含有する塗膜を形成することを特徴とする請求項1記載のローラの製造方法。
【請求項4】
前記フィラーを前記塗料に含有させることを特徴とする請求項3記載のローラの製造方法。
【請求項5】
前記ローラ基材の前記円筒状周面に形成したフィラーを含有する第1の塗膜の上に、第2の塗膜を塗布する工程を有することを特徴とする請求項3記載のローラの製造方法。
【請求項6】
前記ローラ基材の前記円筒状周面の全ての領域において複数回、塗料を塗布することを特徴とする請求項1又は2記載のローラの製造方法。
【請求項7】
前記ローラ基材の前記円筒状周面の塗装開始部分に転写する塗膜厚と塗装終了部分に転写する塗膜厚が、前記塗装開始部分と前記塗装終了部分との間の中間部分に転写する塗膜厚より薄くなるように塗装し、かつ、前記塗装開始部分の塗膜と前記塗装終了部分の塗膜とが重なるよう塗装することを特徴とする請求項1又は2記載のローラの製造方法。
【請求項8】
前記塗膜を全ての領域で1回の塗装により形成し、かつ、前記ローラ基材の全ての回転角度において、前記円筒状周面に接する平面との接線上の少なくとも一部に前記塗膜が存在するよう塗装することを特徴とする請求項1又は2記載のローラの製造方法。
【請求項9】
前記塗布手段は版ローラを有し、平版印刷法を用いて前記版ローラに塗料を付着させ、前記ローラ基材の前記円筒状周面に転写することを特徴とする請求項1記載のローラの製造方法。
【請求項10】
前記塗布手段は版ローラを有し、凸版印刷法を用いて前記版ローラに塗料を付着させ、前記ローラ基材の前記円筒状周面に転写することを特徴とする請求項1記載のローラの製造方法。
【請求項11】
前記塗布手段は版ローラを有し、凹版印刷法を用いて前記版ローラに塗料を付着させ、前記ローラ基材の前記円筒状周面に転写することを特徴とする請求項1記載のローラの製造方法。
【請求項12】
前記塗布手段は孔版を有し、孔版印刷法を用いて前記孔版に付着した塗料を滲出させて、前記ローラ基材の前記円筒状周面に転写することを特徴とする請求項1記載のローラの製造方法。
【請求項13】
請求項1ないし12いずれか1項記載のローラの製造方法によって製造されたことを特徴とするローラ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−253882(P2008−253882A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−95993(P2007−95993)
【出願日】平成19年4月2日(2007.4.2)
【出願人】(000104652)キヤノン電子株式会社 (876)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月2日(2007.4.2)
【出願人】(000104652)キヤノン電子株式会社 (876)
【Fターム(参考)】
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