説明

ローラミル

セメント原料、セメントクリンカおよび類似の材料などの粒状材料を粉砕するローラミル(1)は、実質的に垂直な中心線(3)を有する回転可能な粉砕テーブル(2)、および粉砕テーブル(2)と相互に作用して動作するように構成され、実質的に垂直な中心線(3)を有する回転可能な中央軸(6)に固定される別個のローラ軸(5)まわりに回転するいくつかのローラ(4)を有する。中央軸(6)および粉砕テーブル(2)は、一方が1つの同じ電動機(9)のロータ(7)に、他方がそのステータ(8)に固定される。したがって、1つの同じ電動機(9)は、粉砕テーブル(2)ならびに中央軸(6)を回転させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セメント原料、セメントクリンカおよび類似の材料などの粒状材料を粉砕するローラミルに関する。
【背景技術】
【0002】
そうしたローラミルは、一般に、実質的に垂直な中心線を有する回転可能な粉砕テーブル、および粉砕テーブルと相互に作用して動作するように構成され、やはり実質的に垂直な中心線を有する回転可能な中央軸に固定される別個のローラ軸まわりに回転するいくつかのローラを備える。
【0003】
上述の種類のローラミルは、GB601299Aより既知である。この既知のローラミルには、回転可能な粉砕テーブルと回転可能な中央軸との間に、駆動装置および伝動機構が組み込まれる。しかし、伝動機構の使用は、その伝動機構の機械効率(摩擦損失)から、結果的にエネルギー損失をもたらす。さらに、ローラミルの伝動機構は、全体的に過酷な負荷状態を受け、一般に、ローラミルの寿命の間に数回の交換が必要になる。さらに、上述の伝動機構の欠点は、例えば粉砕テーブルが相対的に速く回転しローラを担持する回転可能な中央軸が相対的に遅く回転するように、粉砕テーブルと回転可能な中央軸の相対速度を調節することができないことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上述の欠点がそれにより減少するまたはなくなる、ローラミルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これは、前文に記載の種類のローラミルであって、中央軸および粉砕テーブルが同じ電動機により駆動され、一方がその電動機のロータ、他方がその電動機のステータに連結されることを特徴とするローラミルによって達成される。
【0006】
実際にはロータおよびステータの両方が固定ポイントに対して回転可能であるので、ロータおよびステータという語は、電動機の内側および外側の相対的に回転可能な部分を示し、便宜上、「ロータ」および「ステータ」という語が使用される。このようにして、単一電動機が、粉砕テーブルならびにローラを担持する回転可能な中央軸を回転させることができる。これは、ロータならびにステータが回転することができるように電動機を構成することにより達成される。したがって、本発明によれば、ステータは静止しておらず回転しており、よって、ステータは、電気エネルギーを伝える集電環およびブラシなどの手段を備える必要があり、また、回転を支持する軸受が機械枠内に取り付けられる必要がある。このやり方で電動機を使用すると、電動機と粉砕テーブル、電動機と中央軸のそれぞれの間の伝動機構の必要がなくなる。
【0007】
粉砕テーブルと中央軸の間の速度を制御するために、これを行うことができる手段を含むことが望ましい。手段は、基本的には、機械枠に対する粉砕テーブルの相対速度を制御することができるのであれば、任意の好適な手段によって構成されてよい。
【0008】
一実施形態においては、手段が、機械枠などの不動ポイントおよび粉砕テーブルに連結される速度調節可能な電動機を備え得る。このようにして、粉砕テーブルの速度は、機械枠に対して固定され、それによって、電動機の周波数を調節することにより粉砕テーブルの速度と中央軸の速度の間の関係を自由に選択することが可能になる。電動機はテーブルの速度を制御し(テーブルは回転させない)、テーブルの速度を低くすると、自動的に、中央軸の速度が増大され、逆もまた同様である。
【0009】
他の実施形態においては、手段が、粉砕テーブルおよび中央軸の両方に連結される遊星歯車ホイールを備え得る。遊星歯車ホイールは、機械枠の突き出た部分上に回転可能に取り付けられる。この場合、粉砕テーブルの速度と中央軸の速度の間の関係は、歯車ホイールの歯の数によって与えられる。この歯車装置は、軸受摩擦を伝えさえすればよい。
【0010】
第3の実施形態においては、手段が、粉砕テーブルまたは中央軸および不動ポイントに連結される、油圧ブレーキまたは渦電流ブレーキなどのブレーキを備え得る。このようにして、粉砕テーブルと中央軸の間の相対速度を制御することができる。
【0011】
例えばロータがそれぞれ粉砕テーブルおよび中央軸に固定される2つの電動機を使用するのではなく、粉砕テーブルならびに中央軸を動作させる1つの同じ電動機を使用することにはいくつかの利点が伴う。中でも、電動機が1つだけのローラミル設計は、よりコンパクトになり、整備を必要とする構成要素がより少なくなる。
【0012】
次に、本発明によるローラミルの断面図を示す添付の概略図を参照して、本発明がより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】環状の回転可能な粉砕テーブル2と、粉砕テーブル2と相互に作用して動作するように構成されるいくつかのローラ4を備えるローラミル1を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図において、環状の回転可能な粉砕テーブル2と、粉砕テーブル2と相互に作用して動作するように構成されるいくつかのローラ4を備えるローラミル1が見られる。ローラ4は、実質的に垂直な中心線3を有する回転可能な中央軸6にそれぞれ連結される別個のローラ軸5まわりに回転する。中央軸6は、電動機9のロータ7に固定され、粉砕テーブル2は、電動機9のステータ8に固定される。ステータの回転を可能にするために、粉砕テーブル2を支持する軸受13が機械枠12内に取り付けられる。
【0015】
好ましくは、電動機9は、非同期または同期電動機である。
したがって、電動機9は、粉砕テーブル2ならびに中央軸6を回転させることができる。速度調節可能な小型電動機10は、粉砕テーブル2および機械枠12に連結され、粉砕テーブル2と機械枠12の間の相対速度の制御に使用される。
【0016】
粉砕テーブル2と中央軸6の間の相対速度を制御する他の機構は点線で示されている。この場合、遊星歯車装置11は、粉砕テーブル2および中央軸6の両方に連結される。遊星ホイールは、機械枠12の突き出た部分内に回転可能に取り付けられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セメント原料、セメントクリンカおよび類似の材料などの粒状材料を粉砕するローラミル(1)であって、実質的に垂直な中心線(3)を有する回転可能な粉砕テーブル(2)と、前記粉砕テーブル(2)と相互に作用して動作するように構成され、実質的に垂直な中心線(3)を有する回転可能な中央軸(6)に固定される別個のローラ軸(5)まわりに回転するいくつかのローラ(4)を備えるローラミルにおいて、
前記中央軸(6)および前記粉砕テーブル(2)が、同じ電動機(9)により駆動され、一方が前記電動機(9)のロータ(7)、他方が前記電動機(9)のステータ(8)に連結されることを特徴とする、
ローラミル(1)。
【請求項2】
前記粉砕テーブル(2)と前記中央軸(6)の間の速度を制御する手段をさらに備える、請求項1に記載のローラミル。
【請求項3】
前記粉砕テーブル(2)と前記中央軸(6)の間の速度を制御する前記手段が、前記粉砕テーブル(2)および不動ポイントに連結される速度調節可能な電動機(10)を備える、請求項2に記載のローラミル。
【請求項4】
前記粉砕テーブル(2)と前記中央軸(6)の間の速度を制御する前記手段が、前記粉砕テーブル(2)および前記中央軸(6)の両方に連結される遊星歯車ホイール(11)を備え、前記遊星歯車ホイールが不動ポイント上に回転可能に取り付けられる、請求項2に記載のローラミル。
【請求項5】
前記粉砕テーブル(2)と前記中央軸(6)の間の速度を制御する前記手段が、不動ポイントと前記粉砕テーブル(2)または前記中央軸(6)の間に連結されるブレーキを備える、請求項2に記載のローラミル。

【図1】
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【公表番号】特表2011−500312(P2011−500312A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−529349(P2010−529349)
【出願日】平成20年10月13日(2008.10.13)
【国際出願番号】PCT/EP2008/063720
【国際公開番号】WO2009/050142
【国際公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(510001021)
【Fターム(参考)】