説明

ローラーねじ

【課題】大量生産を可能にするだけでなく、需要に応じ左右軸方向の負荷能力を調整することによって左右軸方向の負荷能力が異なる設備に広く適用することが可能なローラーねじを提供する。
【解決手段】複数のローラー5は、径方向面を有し、径方向面は円柱状を呈する。シャフト1は、細長い棒状を呈し、かつ円柱状の表面からなる外縁面を有する。外縁面はらせん状の第1V型溝11を有し、第1V型溝11は両側からなる第一軌道面および第二軌道面を有する。ナットモジュール8は、反転通路、回流通路およびシャフト1の装着に用いる穿孔を有する。穿孔は孔壁からなる内縁面を有する。内縁面は第1V型溝11に対応する第2V型溝211を有する。第1V型溝11と第2V型溝211との間は、ローラー5の装着に用いられ、負荷径路を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローラーねじに関し、詳しくは軸方向の負荷能力が異なるローラーねじに関するものである。
【背景技術】
【0002】
精密機械において、作業台や加工部品の移動を制御する必要とすることがしばしばあり、かつ高負荷伝動を行う際、ユーザーはローラーねじによって精密な伝動を進む方式を思い浮かべることが多い。それは設備全体の体積を大幅に縮小できるだけでなく製造コストの削減および作業工数の短縮を実現させることができるからである。ローラーねじは、ローラー、ねじ、および、ナットに配置されたねじ山溝が線接触(ボールが点接触)であるため、ローラーの接触面積がボールの接触面積より大きい。接触面積が大きければ負荷能力が高い。接触面積が小さければ負荷能力が小さい。負荷条件が同じである場合、ナットとねじとの間の伝動媒質としてローラーを使用することによってローラーねじ全体の体積を大幅に減少させることが可能である(言い換えれば、ボールねじの体積がローラーねじの体積より大きい)。それに対し、設備全体の体積を縮小することが可能である。現今、ローラーねじは種類が多いが、産業に充分に使用されることはできない。(原因は次の通りである。一つは、ローラーねじの構造が複雑で製造コストが高いため、大量生産ができないことである。もう一つは、ローラーねじが生じた効果はユーザーの需要を満足させることができないことである。)ローラーねじは、ねじとナットとの間にねじ山溝を配置し、ねじ山溝の間に複数のローラーを配置することによって構成される。ローラーねじは下記の形態がある。
【0003】
1)、ねじとナットとを組み合わせ、それらにねじ山溝を配置する構成を採用し、複数のローラーをねじ山溝の中に同じ方向で配列する。このような単一のねじ山溝を使用する場合、あらゆるローラーは転動方向および角度が同じであるため、ナットを移動させる際、ローラーがねじ山溝に接触し、転動する方向で力を受けることしかできない。従ってこのような方式によって配列されるローラーは、単一方向の負荷にしか耐えられない。本来、力を受けない方向に軸方向の力が生じれば、ローラーねじは、ナットおよびねじのねじ山溝とローラーとをスライドさせることによって稼働するため、ねじ山溝を摩損させ、ローラーねじの稼働に支障をきたしてしまうという問題が発生する。また(ローラーは同じ方向に配列され、かつ外径が長さより大きいため)、ローラーとねじおよびナットとの間には圧力を予め設定できず、ローラーとねじ山溝との間に隙間を形成するという問題も発生する。また位置決めの精度が高くなく、稼働する際に振動が発生しやすいため、このようなローラーねじは精度が求められる機械作業台に適用することができない。
【0004】
2)、ねじとナットとを組み合わせ、それらにねじ山溝を配置する構成を採用し、ねじ山溝の中にローラーを交差配列する方式で配置する。交差方式で配列されるローラーは、受けた力を平均させ、二つの方向の力を受けるという目的を達成することが可能であるが、(ローラーは交差配列されているため、)それぞれの方向からの力を受けるローラーは全体の半分である。従って負荷能力が低く剛性が低下することがその欠点である。また負荷が比較的大きい場合、ローラーの数を増やし、ナットを増長させる必要がある。
【0005】
3)、ねじと二つのナットとを組み合わせ、それらにねじ山溝を配置する構成を採用し、ねじ山溝の中に複数のローラーを平行配列方式で配置する。単一のねじ山溝および二つナットとの組み合わせを使用する場合、二つのナットに生成された異なる傾斜角度によってローラーを繰り返して転ばせる方式を利用する。このような方式によるローラーねじは二つの方向の力を受ける効果を有するが、これは二つのナットを使用するため、ナットはねじに対し、全体の長さが大きくなり、ねじ上の行程が短縮される。この問題を解決するのにはねじ全体を増長させる必要があるため、製造コストおよび材料コストを増加させてしまう。また二つのナット間の接触面は比較的高い面精度および平行度が必要である。製造する際、二つのナットを一定の基準に至らせるため、研磨によって高精度の水準を達成する必要がある。また二つのナットは装着作業が非常に繁雑であるため、装着作業にかかる時間が比較的長い。従って、上述した問題は、二つのナットによる製造コストを高める。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者は、上述した従来の技術の問題点に鑑み、研究および改良を進めた結果、下記の目的を確実に達成できる発明を完成した。
本発明の主な目的は、大量生産を可能にするだけでなく、軸方向の負荷能力を調整することによって軸方向の負荷能力が異なる設備に広く適用することが可能なローラーねじを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するために、本発明によるローラーねじは、複数のローラー、シャフトおよびナットモジュールを備える。複数のローラーは、径方向面を有し、径方向面は円柱状を呈する。シャフトは、細長い棒状を呈し、かつ円柱状の表面からなる外縁面を有する。外縁面はらせん状の第1V型溝を有し、第1V型溝は両側からなる第一軌道面および第二軌道面を有する。第一軌道面と第二軌道面との間の角度は約90度を呈する。ナットモジュールは、反転通路、回流通路およびシャフトの装着に用いる穿孔を有する。穿孔は孔壁からなる内縁面を有する。内縁面は第1V型溝に対応する第2V型溝を有する。第2V型溝は両側からなる第一接触面および第二接触面を有する。第一接触面と第二接触面との間の角度は約90度を呈する。第1V型溝と第2V型溝との間は、ローラーの装着に用いられ、かつ負荷径路を構成する。負荷径路は、反転通路によって第一負荷径路および第二負荷径路に分割される。第一負荷径路および第二負荷径路は、一端が反転通路の一端に接続される。反転通路は外縁面に跨る。回流通路は、両端が第一負荷径路および第二負荷径路の他端に別々に接続される。ローラーは、まず第一負荷径路から回流通路に入り込み、続いて回流通路の他端から第二負荷径路に入り込み、続いて第二負荷径路から反転通路に入り込み、続いて反転通路の他端から第一負荷径路に戻る。
径方向面は、第一負荷径路において第一軌道面および第一接触面に接触し、第二負荷径路において第二軌道面および第二接触面に接触する。
【0008】
ナットモジュールは、ナットと、少なくとも一つの回流ユニットと、反転ユニットとを備える。反転通路は反転ユニットに配置される。回流通路は回流ユニットに配置される。穿孔はナットに配置される。
【0009】
ナットは、外壁からなる外縁面を有する。外縁面は二つの装着孔および一つの貫通孔を有する。装着孔および貫通孔は、穿孔に連絡する。回流ユニットはコ字型を呈し、両端が装着孔に差し込まれる。反転ユニットは貫通孔に装着される。
【0010】
ナットモジュールは、さらに回流ユニットに被さる固定片を有する。固定片は固定溝を有する。固定溝は回流ユニットに被さることで回流ユニットを安定させる。
【0011】
貫通孔は、穿孔に向かう支持部を有する。反転ユニットは突き当たり部を有する。反転ユニットは穿孔内から貫通孔に装着され、突き当たり部を支持部に付着させる。
【0012】
貫通孔は、ナットの外縁面に向かう支持部を有する。支持部は固定孔を有する。反転ユニットは支持部に付着する突き当たり部を有する。突き当たり部は貫通孔を有する。反転ユニットが貫通孔に装着された後、複数のねじを貫通孔に差し込めば、固定孔にねじを締め付けて固定することが可能である。
【0013】
本発明の特徴および技術内容をより明確にするために、以下の本発明の実施形態に関わる説明および図面を提示する。本発明は、参考に提示された実施形態および図面になんら限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態によるローラーねじの全体を示す立体図である。
【図2】本発明の第1実施形態によるローラーねじを示す分解図である。
【図3】本発明の第1実施形態によるローラーねじ上のナットの一部が解剖された後のローラーの配列形態を示す立体図である。
【図4】本発明の第1実施形態によるローラーねじ上のナットを示す立体図である。
【図5】本発明の第1実施形態によるローラーねじ上の別の角度から見たナットを示す立体図である。
【図6】本発明の第1実施形態によるローラーねじ上のナットが除去された状態を示す立体図である。
【図7】本発明の第1実施形態によるローラーねじ上のナットが除去された状態を示す側面図である。
【図8】本発明の第1実施形態によるローラーねじ上のナット及び回流ユニットが除去された後の回流ユニットの回流通路を示す模式図である。
【図9】本発明の第1実施形態によるローラーねじ上のナット、回流ユニットおよび方向転換ユニットが除去された後の回流ユニットの回流通路および反転ユニットの反転通路を示す模式図である。
【図10】本発明の第1実施形態によるローラーねじ上のナットおよび方向転換ユニットが除去された後の反転ユニットの反転通路を示す模式図である。
【図11】本発明の第1実施形態によるローラーねじ上のローラーの循環径路を示す模式図である。
【図12】本発明の第1実施形態によるローラーねじ上のローラーが負荷径路上の負荷を受けた方向に配置された状態を示す模式図である。
【図13】本発明の第2実施形態によるローラーねじ上の回流ユニットがナットの穿孔両端に装着された状態を示す模式図である。
【図14】本発明の第2実施形態によるローラーねじ上のナットを示す立体図である。
【図15】本発明の第3実施形態によるローラーねじを示す立体図である。
【図16】本発明の第3実施形態によるローラーねじを示す分解図である。
【図17】本発明の第3実施形態によるローラーねじ上のシャフトおよびナットを組み合わせた状態を示す立体図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態によるローラーねじを図面に基づいて説明する。以下の実施形態によるローラーねじは、例えば軸方向の負荷能力が異なる設備に適用可能である。ここで、設備とは、例えば、全電気式射出成形機、高速パンチプレス、型締機構、モールディングマシンなどをいう。
【0016】
(第1実施形態)
図1から図10に示すように本発明の第1実施形態によるローラーねじ10は、シャフト1およびナットモジュール10を備える。
シャフト1は、細長い棒状を呈し、かつ円柱状の表面からなる外縁面12を有する。外縁面12はらせん状の第1V型溝11を有し、第1V型溝11は両側からなる第一軌道面111および第二軌道面112を有する。第一軌道面111と第二軌道面112との間の角度は約90度を呈する。
【0017】
ナットモジュール10は、ナット2、回流ユニット3、反転ユニット4および固定片6を有する。
【0018】
ナット2は、シャフト1の装着に用いる穿孔21を有する。穿孔21は孔壁からなる内縁面25を有する。内縁面25は第1V型溝11に対応する第2V型溝211を有する。第2V型溝211は両側からなる第一接触面2111および第二接触面2112を有する。第一接触面2111と第二接触面2112との間の角度は約90度を呈する。第1V型溝11および第2V型溝211は負荷径路90を構成する。ナット2は、外壁からなる外縁面26を有する。外縁面26は二つの装着孔22、一つの貫通孔23および複数の固定孔24を有する。装着孔22および貫通孔23は、穿孔21に連絡し、かつ第2V型溝211を切断するため、第2V型溝211は不連続な形態を呈する。
【0019】
回流ユニット3は、コ字型を呈し、両端が装着孔22に差し込まれる。回流ユニット3は回流通路31を有する。回流ユニット3は両端から第1V型溝11に向かって突出して形成された誘導片32を有する。
【0020】
固定片6は、固定溝62および複数の貫通孔61を有する。固定溝62は回流ユニット3に被さる。複数のねじ7を貫通孔61から固定孔24に締め付ければ、固定片6および回流ユニット3をナット2上に安定させることが可能である。
【0021】
反転ユニット4は、貫通孔23に装着される。反転ユニット4は突き当たり部43を有する。反転ユニット4の装着方法は、反転ユニット4を穿孔21内に差し込み、続いて貫通孔23に装着し、突き当たり部43を支持部231に付着させることによって反転ユニット4が外縁面26の方向へ移動し、ナット2から逸脱することを抑制する。反転ユニット4は反転通路41を有する。負荷径路90は、反転通路41によって第一負荷径路901および第二負荷径路902に分割される。第一負荷径路901および第二負荷径路902は、一端が反転通路41の一端に接続される。反転通路41は図10に示すように外縁面12に跨る。第一負荷径路901および第二負荷径路902の他端は回流通路31の両端に別々に接続されるため、完全な循環径路が形成される。(図12に示すように、循環径路は第一負荷径路901、第二負荷径路902、回流通路31および反転通路41から構成される。)
【0022】
図3、図6、図8から図10に示すように、複数のローラー5は、循環径路に配置される。ローラー5は径方向面51を有し、径方向面51は円柱状を呈する。ローラー5は、まず第一負荷径路901から回流通路31に入り込み、続いて回流通路31の他端から第二負荷径路902に入り込み、続いて第二負荷径路902から反転通路41に入り込み、最後に反転通路41の他端から第一負荷径路901に戻る。径方向面51は、第一負荷径路901において第一軌道面111および第一接触面2111に接触し、第二負荷径路902において第二軌道面112および第二接触面2112に接触する。反転ユニット4は反転通路41の両側から第1V型溝11に向かって突出して形成された誘導片42を有し、誘導片42および誘導片32はローラー5を反転通路41および回流通路31へ誘導する機能を有するため、ローラー5は回流通路31および反転通路41をよりスムーズに通ることが可能である。
【0023】
続いて、反転ユニット4の重要性および機能について、図面に基づいて説明を進める。
図3、図6、図8から図10および図12(特に図8および図9)に示すように、回流通路31の径路311は、リバースタイプでないことが明らかである。回流通路31の径路311は負荷径路90の導いた角度の方向に沿って直線に通るように形成されるため、第一負荷径路901および第二負荷径路902の一端と回流通路31との接続はよりスムーズになり、ローラー5は回流ユニット3に衝突することなく、回転しない状態下で回流通路31を平穏に通り、最良の転動方式に達することが可能である。しかしながら、ローラーねじ10に回流ユニット3のみを配置する場合、ローラーねじ10の軸方向の両側が耐えられる負荷は浮動負荷であるため、ローラーねじ10はスムーズに稼働することができない。浮動現象を発生させる理由は、(ローラー5を第一負荷径路901中に据えるよう設定した)図12に基づいて説明を進める。ローラー5の径方向面51は第一負荷径路901において第一軌道面111および第一接触面2111に接触する。径方向面51が第一軌道面111および第一接触面2111に接触する方向にのみ、負荷能力があるため、ローラーねじ10は軸方向Pの右側への負荷Fしかない。それに対し、軸方向Pの左側に向かう方面には負荷能力がない。従って、ローラーねじ10の負荷能力は、ローラー5の径方向面51が第1V型溝11および第2V型溝211に接触する方向によって決められる。かつ反転ユニット4が配置されなければ、二つの異なる方向で配列されるローラー5の数の比を一定することができないだけでなく、ローラーねじ10の軸方向の両側が耐えられる負荷は浮動負荷であるため、このタイプのローラーねじ10は産業に適用することができない。
【0024】
図8、図9、および図10に示すように、本実施形態は、反転ユニット4の配置によって二つの異なる方向で配列されるローラー5の数の比を一定にすることが可能である。反転ユニット4の反転通路41の径路411は一つの方向への転換Rを行う(図に示すように距離を一定にした反転通路41の径路411の断面の角度は徐々に変化する)ため、反転ユニット41を通るローラー5を一定の角度で回転させ、二つの異なる方向で配列されるローラー5の数の比を一定にすることが可能である。つまり、第一負荷径路901に位置するローラー5は同じ方向で配列され、第二負荷径路902に位置するローラー5は同じ方向で配列される。かつ本実施形態において、無負荷の径路(即ち回流通路31および反転通路41)が長ければ、反転通路41は、ローラー5の回流するスムーズさを低減させる。ローラー5が無負荷の径路に位置する時、負荷径路90上のローラー5は無負荷の径路に位置するローラー5を押すため、無負荷の径路に位置するローラー5はスムーズに前進することが可能である。無負荷の径路が比較的長いのに対し、装着するローラー5の数が多くなるため、無負荷の径路に位置するローラー5を動かすのには大きい力が必要であるだけでなく、循環が滞るという問題が発生する。本実施形態において、反転ユニット4の反転通路41が比較的短いのに対し、反転通路41内に配置可能なローラー5の数が比較的少ないため、負荷径路90上のローラー5は反転通路41上のローラー5をよりスムーズに動かすことが可能である。
【0025】
図3および図11に示すように、本実施形態は反転ユニット4によって、第一負荷径路901および第二負荷径路902の間にローラー5を配置しない区域からなる無負荷区域903を構成する。無負荷区域903は潤滑ユニット(図中未表示)の配置に用いることが可能である。潤滑ユニットは直接負荷径路90を潤すことによってローラー5を充分に潤し、効果を向上させることが可能である。また、無負荷区域に冷却ユニット(図中未表示)を配置すれば、負荷径路90とローラー5とが摩擦して生じた熱エネルギーを除去することが可能である。上述した二つのユニットによってローラーねじ10の寿命を延ばすことが可能である。反転ユニット4は両軸方向Pの負荷能力を調整する機能を有する。負荷径路90は反転ユニット4によって第一負荷径路901および第二負荷径路902に分割される。第一負荷径路901上のローラー5および第二負荷径路902上のローラー5は配列方向が異なる。図3に示すように、F1は第一負荷径路901に配置されたローラー5が耐えられる負荷であり、F2は第二負荷径路902に配置されたローラー5が耐えられる負荷である。第一負荷径路901に配置されたローラー5の数が第二負荷径路902に配置されたローラー5の数より多いため、負荷F1が負荷F2より大きい。このタイプのローラーねじ10は軸方向の負荷能力が異なる設備(例えば、全電気式射出成型機、高速パンチプレス、型締機構、モールディングマシンなど)に適用することが可能である。本実施形態は設備の需要に応じて両軸方向Pの負荷能力を調整することが可能である。例えば、本実施形態は両軸方向Pの負荷能力が同じ設備に適用する場合、製造前に反転ユニット4の位置を予め設定し、第一負荷径路901に配置するローラー5の数と第二負荷径路902に配置するローラー5の数を一致させれば、両軸方向Pの負荷能力が同じである。従って本実施形態は産業の需要を満足させる、即ちローラーねじ10の通用性を向上させることが可能である。本実施形態において、回流ユニットおよび反転ユニットは射出によって成形されてもよいため、大量生産ができる。ナットは、NC加工機によって成形されてもよいため、量産性が非常に高い。
【0026】
(第2実施形態)
図13および図14に示すのは本発明の第2実施形態によるローラーねじ20である。第1実施形態との違いは回流ユニット3とナット2の配置関係にある。ナット2はナット2両端の回流孔28を貫通する軸方向Pを有する。穿孔21は内縁面25に二つの配置溝27を有し、二つの配置溝27は回流孔28の両端に位置付けられ、かつ回流ユニット3の配置に用いられる。一つの回流ユニット3は回流通路(図中未表示)の両端が回流孔28および第一負荷径路の一端に別々に接続される。別の一つの回流ユニット3は回流通路の両端が回流孔28および第二負荷径路の一端に別々に接続される。反転ユニット4はナット2の貫通孔23に装着され、その装着方法は第1実施形態と同じである。反転通路は両端が第一負荷径路および第二負荷径路の他端に別々に接続されるため、完全な循環径路が形成される。ほかの構造、形態および効果は第1実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【0027】
(第3実施形態)
図15から図17に示すのは本発明の第3実施形態によるローラーねじ30である。第1実施形態との違いは反転ユニット4の装着方式にある。反転ユニット4はナット2の外縁面26からねじ2の貫通孔23に装着される。貫通孔23の支持部231はナット2の外縁面26に向かい合うように配置され、かつ固定孔2311を有する。反転ユニット4は支持部231に付着する突き当たり部43を有し、突き当たり部43は貫通孔431を有する。反転ユニット4が貫通孔23に装着された後、複数のねじ7(本実施形態においてねじは二本)を貫通孔431に差し込み、続いて固定孔2311にねじ7を締め付ければ、反転ユニット4をネット2上に確実に安定させることが可能である。ほかの構造、形態および効果は第1実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【0028】
上述したとおり、本発明は疑いなく、産業上の利用性を有する。実施形態より掲示された技術特徴は出願請求前に刊行物により公開されたり、使用されたりしたことがなく、かつ効果を増進できることが判明し、かつ注目すべき付加効果を有する。
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0029】
1 ・・・シャフト、
2 ・・・ナット、
3 ・・・回流ユニット、
4 ・・・反転ユニット、
5 ・・・ローラー、
7 ・・・ねじ、
6 ・・・固定片、
8 ・・・ナットモジュール
10、20、30・・・ローラーねじ
11 ・・・第1V型溝、
12 ・・・外縁部、
21 ・・・穿孔、
22 ・・・装着孔、
23 ・・・格納貫通孔、
24 ・・・固定孔、
25 ・・・内縁面、
26 ・・・外縁面、
27 ・・・配置溝、
28 ・・・回流孔、
31 ・・・回流通路、
32 ・・・誘導片、
41 ・・・回転反転通路、
42 ・・・誘導片、
43 ・・・突き当たり部、
51 ・・・径方向面、
61 ・・・貫通孔、
62 ・・・固定溝、
90 ・・・負荷径路、
111 ・・・第一軌道面、
112 ・・・第二軌道面、
211 ・・・第2V型溝、
231 ・・・支持部、
311 ・・・回流通路の径路、
411 ・・・反転通路の径路、
431 ・・・貫通孔、
901 ・・・第一負荷径路、
902 ・・・第二負荷径路、
903 ・・・無負荷区域、
2111 ・・・第一接触面、
2112 ・・・第二接触面、
2311 ・・・固定孔、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円柱状の径方向面を有する複数のローラーと、
細長い棒状を呈し、かつ円柱状の表面からなる外縁面を有し、外縁面はらせん状の第1V型溝を有し、当該第1V型溝は両側からなる第一軌道面および第二軌道面を有し、前記第一軌道面と前記第二軌道面との間の角度は90度を呈するシャフトと、
反転通路、回流通路、および、前記シャフトの装着に用いる穿孔を有し、当該穿孔は孔壁からなる内縁面を有し、当該内縁面は前記第1V型溝に対応する第2V型溝を有し、当該第2V型溝は両側からなる第一接触面および第二接触面を有し、前記第一接触面と前記第二接触面との間の角度は90度を呈するナットモジュールと、を備え、
前記第1V型溝と前記第2V型溝との間は、前記ローラーの装着に用いられ、かつ負荷径路を構成し、
当該負荷径路は、前記反転通路によって第一負荷径路および第二負荷径路に分割され、
前記第一負荷径路および前記第二負荷径路は、一端が前記反転通路の一端に接続され、
前記反転通路は前記外縁面に跨り、
前記回流通路は、両端が前記第一負荷径路および前記第二負荷径路の他端に別々に接続され、
前記ローラーは、まず前記第一負荷径路から前記回流通路に入り込み、続いて前記回流通路の他端から前記第二負荷径路に入り込み、続いて前記第二負荷径路から前記反転通路に入り込み、最後に前記反転通路の他端から前記第一負荷径路に戻り、
前記径方向面は、前記第一負荷径路において前記第一軌道面および前記第一接触面に接触し、前記第二負荷径路において前記第二軌道面および前記第二接触面に接触することを特徴とするローラーねじ。
【請求項2】
前記ナットモジュールは、ナットと、少なくとも一つの回流ユニットと、反転ユニットとを備え、
前記反転通路は前記反転ユニットに配置され、
前記回流通路は前記回流ユニットに配置され、
前記穿孔は前記ナットに配置されることを特徴とする請求項1に記載のローラーねじ。
【請求項3】
前記ナットは、外壁からなる外縁面を有し、当該外縁面は二つの装着孔および一つの貫通孔を有し、
前記装着孔および前記貫通孔は、前記穿孔に連絡し、
前記回流ユニットはコ字型を呈し、両端が前記装着孔に差し込まれ、
前記反転ユニットは前記貫通孔に装着されることを特徴とする請求項2に記載のローラーねじ。
【請求項4】
前記ナットモジュールは、さらに前記回流ユニットに被さる固定片を有し、当該固定片は固定溝を有し、当該固定溝は前記回流ユニットに被さることで前記回流ユニットを安定させることを特徴とする請求項3に記載のローラーねじ。
【請求項5】
前記貫通孔は、前記穿孔に向かう支持部を有し、
前記反転ユニットは、突き当たり部を有し、反転ユニット前記穿孔内から前記貫通孔に装着され、前記突き当たり部を前記支持部に付着させることを特徴とする請求項3に記載のローラーねじ。
【請求項6】
前記貫通孔は、前記ナットの前記外縁面に向かう支持部を有し、当該支持部は固定孔を有し、
前記反転ユニットは前記支持部に付着する突き当たり部を有し、当該突き当たり部は貫通孔を有し、
前記反転ユニットが前記貫通孔に装着された後、複数のねじを前記貫通孔に差し込んで、前記固定孔に前記ねじを締め付けることで固定を行うことを特徴とする請求項3に記載のローラーねじ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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