ロールスクリーン装置
【課題】ロールスクリーン装置が発電機能と遮光機能とを十分発揮できるようにする。
【解決手段】シート状に構成されるスクリーン部2と、スクリーン部2を使用状態と収納状態とに状態変更可能に保持する保持部3とを有するロールスクリーン装置1において、スクリーン部2は、太陽電池ユニットセル5と、太陽電池ユニットセル5の両面を覆う被覆部7とを備え、太陽電池ユニットセル5の発電面とは反対の裏面側に遮光手段8が設けられている。
【解決手段】シート状に構成されるスクリーン部2と、スクリーン部2を使用状態と収納状態とに状態変更可能に保持する保持部3とを有するロールスクリーン装置1において、スクリーン部2は、太陽電池ユニットセル5と、太陽電池ユニットセル5の両面を覆う被覆部7とを備え、太陽電池ユニットセル5の発電面とは反対の裏面側に遮光手段8が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーン部に発電機能を備えたロールスクリーン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、壁際や窓際で使用されるロールスクリーン装置は、主として遮光するために用いられるものであったが、近年、そのスクリーンの部分に太陽電池を設けて遮光と発電の両方を行うものが開発されてきた(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このロールスクリーン装置は、可撓性を有するシート状の太陽電池モジュールと、この太陽電池モジュールを巻き取り可能な巻き取りドラムとを有し、発電を行う場合には、巻き取りドラムから太陽電池モジュールを引き出して使用し、発電を行わない場合には、巻き取りドラムによって太陽電池モジュールを巻き取ることができるようになっている。
【0004】
このようなロールスクリーン装置に使用される太陽電池モジュールは、フィルム状の太陽電池ユニットセルと、この太陽電池ユニットセルを保護するためにその表面を被覆する被覆部によって主構成される。
【0005】
この被覆部は、発電素子に太陽光が受光されるように、透明又は半透明の樹脂によって構成されることが望ましい。また、この被覆部は、発電素子の全体を覆うことができるように、発電素子よりも大きな面積を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−145503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のロールスクリーン装置では、被覆が、透明又は半透明な樹脂であり、しかも発電素子よりも大きな面積を有することから、発電素子を覆っている部分以外の部分に、透明又は半透明の部分ができる。このため、発電素子を覆っていない透明又は半透明な樹脂の部分から太陽光が透過してしまい、ロールスクリーン装置の本来の目的である遮光の機能が低下してしまっていた。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、発電機能と遮光機能とを十分に兼ね備えるロールスクリーン装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するためのものであって、シート状に構成されるスクリーン部と、スクリーン部を使用状態と収納状態とに状態変更可能に保持する保持部とを有するロールスクリーン装置において、スクリーン部は、太陽電池ユニットセルと、太陽電池ユニットセルの両面を覆う被覆部とを備え、太陽電池ユニットセルの発電面とは反対の裏面側に遮光手段が設けられてなることを特徴とする。
【0010】
かかる構成によれば、太陽電池ユニットセルの裏面側に遮光手段を設けることによって、確実に遮光を行うことができる。しかも、太陽電池の発電面側には、遮光手段が設けられていないので、十分な発電を行うことができる。
【0011】
また、本発明に係るロールスクリーン装置は、前記遮光手段が、太陽電池ユニットセルの裏面側の被覆部に設けられる所定面積の遮光部材であることが望ましい。
【0012】
かかる構成によれば、太陽電池の裏面側の被覆部に遮光部材を設けることによって、確実に遮光を行うとともに、太陽電池の発電面による十分な発電を行うことができる。
【0013】
また、本発明に係るロールスクリーン装置は、前記遮光手段が、太陽電池ユニットセルの裏面と、この裏面側の被覆部との間に設けられる所定面積の遮光部材である構成も採用可能である。
【0014】
かかる構成によれば、太陽電池の裏面とこの裏面側の被覆部との間に遮光部材を設けることによって、確実に遮光を行うとともに、太陽電池の発電面による十分な発電を行うことができる。
【0015】
また、本発明に係るロールスクリーン装置は、前記遮光手段が、太陽電池の裏面側を覆う被覆部が遮光部材によって構成されてもよい。
【0016】
かかる構成によれば、かかる構成によれば、太陽電池の裏面側の被覆部が遮光部材によって構成されることによって、確実に遮光を行うとともに、太陽電池の発電面による十分な発電を行うことができる。
【0017】
また、本発明に係るロールスクリーン装置は、前記太陽電池ユニットセルが、アモルファスシリコン型太陽電池であることが望ましい。
【0018】
かかる構成によれば、太陽電池ユニットセルの厚さを可及的に薄くして、軽量化及び可撓性の高いスクリーン部を製造できる。
【0019】
また、本発明に係るロールスクリーン装置は、前記被覆部が塩化ビニル樹脂によって構成されていることが望ましい。
【0020】
かかる構成によれば、可撓性の高いスクリーン部を製造できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、発電機能と遮光機能とを十分に兼ね備えるロールスクリーン装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1実施形態に係るロールスクリーン装置の正面図である。
【図2】同じくロールスクリーン装置の斜視図である。
【図3】スクリーン部の部分断面図である。
【図4】スクリーン部の変形例に係る部分断面図である。
【図5】スクリーン部の変形例に係る部分断面図である。
【図6】保持部の断面図である。
【図7】保持部の断面図である。
【図8】第1実施形態に係るロールスクリーン装置の変形例を示す正面図である。
【図9】第1実施形態に係るロールスクリーン装置の変形例を示す正面図である。
【図10】第1実施形態に係るロールスクリーン装置の変形例を示す正面図である。
【図11】第1実施形態に係るロールスクリーン装置の変形例を示す正面図である。
【図12】第1実施形態に係るロールスクリーン装置の変形例を示す正面図である。
【図13】第2実施形態に係るロールスクリーン装置の正面図である。
【図14】同じくロールスクリーン装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための形態を、図面に基づき説明する。図1〜図12は、本発明に係るロールスクリーン装置の第1実施形態を示す。
【0024】
図1、図2に示すように、ロールスクリーン装置1は、主にスクリーン部2と、スクリーン部2を保持する保持部3より構成される。保持部3の外面上部に、掛止孔16を有する取付部材15が設けられており、建物の天井材、窓枠、梁、壁面等に設けられるフックや突起部を掛止孔16に挿通することにより、ロールスクリーン装置1を掛止することができる。尚、保持部本体11としては、アングルや取付金具等のロールスクリーン装置の掛止に一般的に用いられるものが適用可能である。
【0025】
本実施形態においては、スクリーン部2は、可撓性を有する長方形状のシート体として構成される。このスクリーン部2は、その長手方向の上端部が保持部3に連結され、下端部にアンカー部4が設けられている。アンカー部4には、重量物からなるウェイトバー(図示せず)が内蔵されており、スクリーン部2を下方向に引き降ろす方向に力を加えると共に、スクリーン部2に張力を付与して平面性を高める作用を及ぼしている。ウェイトバーは、鉄、ステンレス、アルミニウム等の金属やプラスチック、ゴム、等の樹脂材など適した重量を付与できる重量物から選定することができる。
【0026】
このスクリーン部2は、図3に示すように、発電素子である太陽電池ユニットセル5と、太陽電池ユニットセル5を封止する封止材6と、この封止材6を介して太陽電池ユニットセル5の両面5a,5bを覆う被覆部7と、太陽電池ユニットセル5の裏面5b側に設けられる遮光手段8とを有する。
【0027】
太陽電池ユニットセル5には、例えば、特開2009−065022号公報や特開2009−135544号公報に例示されるようなアモルファスシリコン型のものや特開2008−186763号公報に例示されるような色素増感型のものが採用される。アモルファスシリコン型の太陽電池は、結晶系の太陽電池と比較して、柔軟性に富み、その厚さを約1/200程度にできるという利点を有するので、スクリーン部2の巻上げに対しても対応可能である。また、アモルファスシリコン型の太陽電池ユニットセル5は、低照度でも効率よく発電できる上、400nm〜700nmの波長(可視光領域)の蛍光灯でも変換効率が良いため、屋内での発電にも適している。このため、本件発明を屋内においても使用する場合に好適に使用できる。さらに、熱にも強いので、夏季の高温時にも使用可能である。
【0028】
この太陽電池ユニットセル5の厚さは、封止材6を含めて、例えば、0.01mmから1.5mmが望ましく、より望ましくは、0.02mm〜0.2mm程度が良い。太陽電池ユニットセル5の封止材6として、例えば、エチレンエバテートが使用される。
【0029】
この太陽電池ユニットセル5は、単位ユニット5cの大きさが、例えば、207mm×832mmの大きさ(この大きさに限定されない)とされ、この単位ユニット5cを並列又は直列に複数接続することにより、ロールスクリーン装置1の施工場所の広さや必要とされる発電力に応じて種々の大きさに設定できるようになっている。
【0030】
なお、本実施形態では、図1に示すように、8枚の単位ユニット5cを接続した太陽電池ユニットセル5をスクリーン部2に内蔵している。複数の単位ユニット5cを接続して太陽電池ユニットセル5を構成する場合には、それぞれの単位ユニット5cは、他の単位ユニット5cと所定の間隔をおいた状態で配列される。
【0031】
図1の例では、長方形状の単位ユニット5cの長手方向が上下方向に沿うようにして各単位ユニット5cが配列されている。この例では、8枚の単位ユニット5cを2行4列で配列している。その他の変形例として、例えば、図8に示すように、4枚の単位ユニット5cを2行2列で配列し、または、図9に示すように、2行6列に配列する等、単位ユニット5cの数に関わらず、自由な配列が可能である。このように、複数の単位ユニットの配列を変化させることによって、単位ユニットの構成を変えることなく、スクリーン部2が異ならせることができる。このことにより、ロールスクリーン装置1の大きさを取り付ける窓の大きさに合わせて製造することが容易になる。また、単位ユニットのサイズ変更が困難な汎用の太陽電池ユニットセルを用いる事も可能となる。
【0032】
また、さらなる変形例として、例えば、図10に示すように、長方形状の単位ユニット5cの長手方向が水平方向に沿うようにするとともに、複数(図例では4枚)の単位ユニット5cを上下方向に配列することも可能である。さらにその変形例として、図11に示すように、複数(図例では8枚)の単位ユニット5cを4行2列に配列し、または、図12に示すように、複数(図例では12枚)の単位ユニット5cを6行2列に配列してもよい。このように、単位ユニットの方向を変えることによって、同一サイズの単位ユニットより構成されるスクリーン部2の形状変更の範囲を広げることが可能となる。このような方法は、単位ユニットのサイズ変更が困難な汎用の太陽電池ユニットセルを用いる場合に特に有効に用いることができる。
【0033】
図3に示すように、太陽電池ユニットセル5は、その発電面(受光面、表面)5a側と、その反対側の裏面5b側とが被覆部7(7a,7b)により覆われている。太陽電池ユニットセル5の裏面5b側を覆う被覆部7bの外面には、遮光手段8として所定面積のシート状の遮光部材8aが設けられている。
【0034】
被覆部7は、太陽電池ユニットセル5の発電面5aを覆う部分7aが透明又は半透明な樹脂によって構成されることが望ましい。これにより、光が被覆部7を透過して発電面5aに達し、所望の発電を行うことができる。
【0035】
被覆部7は、PTFEなどの樹脂よりなり、特開2009−59897号に例示されるようなラミネート加工によって、太陽電池ユニットセル5を挟むように一体に形成される。この被覆部7は、太陽電池ユニットセル5の全体を被覆することができるように、太陽電池ユニットセル5よりも大きなサイズ(面積)で構成される。被覆部7は、例えば、460mm(横)×1730mm(縦)、920mm×1730mm、1380mm×1730mm等のようにロールスクリーン装置1の施工場所の広さに応じて種々の大きさを採用できる。
【0036】
太陽光電池ユニットセル5の単位ユニット5c間の隙間や、アモルファスシリコン型太陽電池ユニットセルに形成されるホール部(図示せず:特開2009−065022号公報や特開2009−135544号公報に例示されるような開口部)などからの光の漏れがあるので、ロールスクリーンとしての遮光性能を確保することができず、室内から観た場合に、形態や色調について、視覚的に安定性を欠いたり、静穏性を欠いたりするといった問題点があった。本件発明は、遮光部材8aを設けることによって、遮光性と光拡散機能を有する太陽光発電ロールスクリーンを提供することによって、これらの課題を解決するものである。
【0037】
図3の実施形態においては、この遮光部材8aは、接着剤によってスクリーン部2の裏面側の被覆部7bに固着されている。このように、被覆部7bに遮光部材8aを固着する構成とすることによって、多くの種類の遮光部材を比較的容易に使用することができる。
【0038】
遮光部材8aの厚さとしては、遮光性、および、スクリーン部2として求められる柔軟性、耐久性を勘案して決定するが、通常50μm以上800μm以下であることが好ましい。遮光部材8aは、例えば、スクリーン部2の裏面側の被覆部7bの全体を覆うことができるように、この被覆部7と同じ大きさに構成されることが望ましい。この場合、太陽電池ユニットセル5による透光性の差が緩和されるので、本発明の使用者は、室内から観た場合に、形態や色調について視覚的に安定性した状態を得ることができる。また、遮蔽性によって、室外からの観察を防ぐことができる。
【0039】
その他として、例えば、裏面側の被覆部7bにおいて、太陽電池ユニットセル5を覆っていない部分のみにこの遮光部材8aを設けてもよい。この場合、本発明の使用者が、太陽電池ユニットセル5の裏面側を室内から見ることができるので、スクリーン部2に太陽発電機能が組み込まれていることを視覚的に確認することができる。
【0040】
遮光度合は、採光性が重視される北,北西,北東の各側に使用される場合には、遮光率が40〜60%の範囲内、遮光性の重視される南,南西,南東に使用される場合には、遮光率70〜95%の範囲内で選択することが好ましく、更に細かい遮光調節が必要な場合は、複数枚の遮光率の異なるスクリーン部2の同時適用により行うことも可能である。また、設置位置を特定しない場合は、遮光率が50〜80%の範囲内で設定するのが好ましい。このような遮光率とすることによって、外光を適度に取り入れるとともに、形態や色調についての視覚的安定性と遮蔽性を確保することができる。
【0041】
遮光部材8aの基材としては、例えば、不織布、編布、織布を含む繊維質の繊維基材や、樹脂を基材にした樹脂基材等が使用される。遮光部材8aを繊維基材で構成する場合には、例えば、天然繊維、化学繊維、金属、ガラス等の各種の有機,無機の繊維を使用できる。例えば、綿、麻等の天然繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、レーヨン繊維、ポリアミド繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維等の合成繊維、を単体又は混合して用いることができる。繊維材としては、耐久性,耐候性,形態安定性,難燃性,腰の強さ等の面からガラス繊維を用いるのが好ましい。繊維基材に用いることにより、風合いに優れ、繊維質による自然な遮光と光の拡散を行うことができるので、視覚的、意匠的に優れた遮光部材8aとすることができる。また、樹脂基材は、層厚や柔軟性、遮光性、拡散性などのパラメータの自由度が高い上、比較的安価に製造することが可能である。
【0042】
遮光部材8aを繊維基材で構成する場合、織組織としては、製織性,風合い,透視性,形態安定性の面から、前記斜子織が好ましいが、一般的な平織り,綾織り,メッシュ織り等の粗目組織であれば使用でき、粗目のメリヤス組織,網組織等の組み組織であってもよく組織密度や使用糸の太さ等も必要に応じて任意に選定できる。
【0043】
遮光部材8aを樹脂基材で構成する場合には、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、アクリル、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、トリアセチルセルロース、およびポリフッ化ビニリデン等のプラスチックフィルムを適宜選択して用いることができる。樹脂基材のベース樹脂としては、スクリーン部2に求められる難燃性ないし防炎性、柔軟性を勘案すると、塩化ビニル樹脂、難燃化ポリプロピレン樹脂などが好適である。樹脂基材樹脂には、遮光性を高める目的で、カーボンブラックと酸化チタンの一方、または両方を含有させることが好ましい。カーボンブラックと酸化チタンは、両者を合わせた総配合量を基材樹脂に対して、0.1重量%以上30重量%以下の範囲で配合することが望ましく、0.5重量%以上10重量%以下の範囲がさらに好ましく、最適な範囲は1重量%以上3重量%以下である。その配合量が0.1重量%未満であると遮光層として求められる遮光性が不足する場合があり、30重量%を越えるとそれ以上添加しても遮光性の向上はほとんどない上、スクリーンとして求められる柔軟性が不足する場合がある。この配合量は、スクリーンに求められる遮光性と柔軟性に応じて適宜設定することができる。
【0044】
また、この遮光部材8aの外面に、意匠層9を設けることによって、室内環境に適した色調、意匠性を付すことができる。意匠層9は、意匠を有する繊維質のものでも、樹脂材によるものでも、印刷フィルムや着色剤によって形成しても良い。繊維質のものとしては、着色、着色された織糸を熱可塑性合成樹脂によってコーティングしたものを使用でき、織り柄、選色,配色の選定によって、室内環境に適した色調、意匠性を付すことができる。また、樹脂によるものの場合は、意匠を有する樹脂層を設けることにとによって、室内環境に適した色調、意匠性を持たせることができる。好適な樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、アクリル、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、トリアセチルセルロース、およびポリフッ化ビニリデン等のプラスチックフィルムを用いることができる。
【0045】
この意匠層9を保護するために、意匠層9上に、UV樹脂、塩化ビニル樹脂等の透明か有色透明、もしくは、意匠を有する樹脂による保護層10を形成してもよい(図3参照)。
【0046】
意匠層9、保護層10は、遮光部材8aの外面に、ポリエステル系、ポリウレタン系,アクリル系等の接着剤を介して一体に固着して構成したものである。接着剤としては、黄変しない耐候性の面から、ポリエステル系接着剤を用いるのが好ましい。
【0047】
また、意匠層9には、隠蔽性を高めるため酸化チタンを0.1重量%以上含んでいることが望ましく、また、その含有量は30重量%以下であることが望ましい。0.1重量%未満であると添加による隠蔽性向上効果が乏しく、一方、30重量%を超えてさらに添加しても隠蔽性向上効果は増加しない。最適な範囲は2重量%以上7重量%以下である。
【0048】
また、上記樹脂基材の少なくとも一方の面に、金属蒸着層による遮光層を形成することによって遮光部材8aを構成してもよい。金属蒸着層は、例えば、ポリエステル製シートの片面にアルミニウム膜を蒸着することによって構成される。金属蒸着層は、薄膜でも遮光効果が高いので、スクリーン部2の厚みを薄くしたい場合に、効果的に活用することができる。
【0049】
図4は遮光手段8の変形例を示す。この例では、遮光手段8は、太陽電池ユニットセル5の裏面5bと、この裏面5b側の被覆部7との間に設けられる。このように構成することで、遮光手段8は比較的薄いものとすることができ、スクリーン部2全体を薄くすることが可能となる。スクリーン部2を薄くすると、可撓性を高めることとなり、巻き取りが容易となる。また、被覆部7が保護層の役割も兼用するので、遮光手段8は十分に保護されるという利点もある。尚、遮光手段8は、層間に配置するので薄くする必要があるので、比較的薄膜化が容易な前記樹脂基材を用いるのが望ましく、金属蒸着層を用いるとさらに薄層化できるので、より望ましい。加えて、遮光手段8の被覆部7b側表面に意匠層9を設けても良い。
【0050】
図5は、遮光手段8のさらなる変形例を示す。この例では、遮光手段8は、太陽電池ユニットセル5の裏面5b側を覆う被覆部7b自体が遮光性を有する樹脂材で構成される。より具体的には、被覆部7bにカーボン、酸化チタンなどの遮光性粒子を配合することで達成することができる。このように構成することで、スクリーン部2全体をさらに薄くすることができ、スクリーン部2の可撓性を高め、巻き取りをさらに容易にすることができる。また、被覆部7bの表面に意匠層9を設けても良い。被覆部7bに配合するカーボンブラックと酸化チタンは、両者を合わせた総配合量を被覆部7bの樹脂に対して、0.1重量%以上30重量%以下の範囲で配合することが望ましく、0.5重量%以上10重量%以下の範囲がさらに好ましく、最適な範囲は1重量%以上3重量%以下である。その配合量が0.1重量%未満であると遮光層として求められる遮光性が不足する場合があり、30重量%を越えるとそれ以上添加しても遮光性の向上はほとんどない上、スクリーンとして求められる柔軟性が不足する場合がある。この配合量は、スクリーンに求められる遮光性と柔軟性に応じて適宜設定することができる。尚、太陽電池ユニットセル5は絶縁性を必要とするので、絶縁性の高い酸化チタンを主に用いるのが望ましい。
【0051】
図6は、実施形態1の保持部3の内部構造を概略図示する部分断面図である。保持部3は、スクリーン部2を使用状態と収納状態とに状態変更可能に保持する機構を有する。より具体的には、保持部3は、一般的にカーテンボックスと言われる内部に所定の空間を有する保持部本体11と、スクリーン部2の巻き取り機構12とを有する。
【0052】
保持部本体11は、その下端部に開口部11aを有し、この開口部11aからスクリーン部2を出し入れすることができるように構成される。また、保持部本体11は、その外面上部に、建物の天井や壁部に簡易に取り付け可能な取付部材15を有する。この取付部材15によって、保持部本体11は、建物の天井材、窓枠、梁、壁面等に固定される。
【0053】
巻き取り機構12は、保持部本体11の内面に固定されるセットフレームと呼ばれる長尺状のフレーム21と、フレーム21の長手方向の各端部から下方に突出する2つのサイドプレート22と、2つのサイドプレート22の間に固定される支持軸23と、支持軸23に回転可能に支持される巻き取りパイプ24と、巻き取りパイプ24の回転のロック・ロック解除を行うロック手段25と、巻き取りパイプ24の巻き取り操作を行うための操作部材26とを有する。
【0054】
図7は、保持部本体11の概略構成を示す横断面図である。図7に示すように、巻き取りパイプ24に設けられた嵌合溝24aには、スクリーン部2の一端部2Aが係止部材34によって固定されている。この巻き取りパイプ24は、その内部に支持軸23が挿通された状態で、この支持軸23まわりに回転可能に支持されている。巻き取りパイプ24は、所定の回転方向に回転することで、その外面にスクリーン部2を巻き取ることができる。
【0055】
図6に示すように、巻き取りパイプ24の長手方向(軸心方向)のほぼ中央部には、コイルスプリング33が設けられている。コイルスプリング33は、その内側に支持軸23が挿通されるとともにその一端部が巻き取りパイプ24に固定され、その他端部が支持軸23に固定されている。巻き取りパイプ24はこのコイルスプリング33によって、常時、スクリーン部2を巻き取る回転方向に付勢されている。
【0056】
ロック手段25は、図6に示すように、巻き取りパイプ24の長手方向の両端部の内側に設けられている。このロック手段25は、図7に示すように、クラッチスプリング27と、このクラッチスプリング27を覆うように設けられるストッパケース28とを有する。
【0057】
クラッチスプリング27は、巻き取りパイプ24がスクリーン部2を保持部本体11外に送り出すような回転を許容するように構成される。また、このクラッチスプリング26は、通常状態では、巻き取りパイプ24がスクリーン部2を巻き取る方向への回転が規制され、操作部材26の操作時に規制が解除されるように構成されている。
【0058】
操作部材26は、本実施形態ではプルコードが採用される。この操作部材26は、その一端部が巻き取りパイプ24の長手方向の一端部の外面側に固定され、その他端部が保持部本体11から露出されている。より具体的には、操作部材26の一端部は、巻き取りパイプ24の一端部の外周面に設けられた巻き取り部29に巻き付けられている。巻き取り部29は、巻き取りパイプ24の周方向に連続する環状の凹部(又は溝)30を有し、この凹部30を介して操作部材26を巻き取ることができる。
【0059】
操作部材26は、巻き取りパイプ24に巻き付けられる方向が、スクリーン部2が巻き取りパイプ24に巻き付けられる方向とは逆になっている。これにより、操作部材26は、スクリーン部2の動作とは逆に動作する。より具体的には、操作部材26を下方に引っ張って保持部本体11から引き出すと、これによる巻き取りパイプ24の回転によって、スクリーン部2が巻き取られるようになっている。この時、クラッチスプリング27による巻き取りパイプ24の回転規制は解除され、コイルスプリング33による付勢によって大きな力を必要とせずにスクリーン部2を巻き上げることができる。尚、操作部材26の先端には、引き手26aが設けられており、操作部材26を下方に引っ張る際に、操作者が引きやすい構成となっている。また、スクリーン部2を下方に引っ張って保持部本体11から引き出すと、操作部材26は、巻き取りパイプ24によってその一部が巻き取られるようになっている。
【0060】
上記のような保持部3の構成により、スクリーン部2の下端部に設けられるアンカー部4を引っ張ることによって、保持部3から引き出して手を離すと、ロック手段25によって巻き取りパイプ24の回転が規制され、スクリーン部2が保持部3から露出した状態で保持される。このとき、スクリーン部2の引き出しによって、コイルスプリング33にスクリーン部2を引き上げる方向の力が蓄力される。尚、操作者による、スクリーン部2の引き下げ操作を容易にするために、アンカー部4の下部に、プルコードないしは、引き手を設けても良い。また、
【0061】
以下、このようにスクリーン部2が保持部3から引き出されて保持される状態をスクリーン部2の使用状態と呼ぶ。この使用状態では、スクリーン部2をその中途部まで露出させたり、又は、スクリーン部2のほぼ全てを保持部3から引き出して露出させたりして使用することができる。
【0062】
操作部材26を下方に引っ張って保持部本体11から引き出すと、ロック手段25によるスクリーン部2のロックが解除され、保持部本体11の引き出しによる回転力とコイルスプリング33の蓄力によって、巻き取りパイプ24が回転し、スクリーン部2が巻き取られる。スクリーン部2の巻き取りが完了すると、保持部3から露出されていたスクリーン部2が保持部3内に収納される。
【0063】
また、コイルスプリング33の蓄力を大きくすることによって、操作部材26を略することも可能である。その場合は、使用状態にあるスクリーン部2を下方に若干引き下げると、ロック手段25によるスクリーン部2のロックが解除されるように構成し、巻き取りパイプ24を付勢する前記コイルスプリング33の作用のみによって巻き取りパイプ24がスクリーン部2を完全に巻き取るようにする。このように構成することによって、操作部材26による巻き上げ動作なしで保持部3から露出されていたスクリーン部2が保持部3内に収納することができる。
【0064】
以下、このようにスクリーン部2が保持部3内に収納された状態を収納状態と呼ぶ。ロールスクリーン装置1は、上記の収納方法の他に、操作部材26を下方に引っ張ることによっても、スクリーン部2を収納状態にすることができる。
【0065】
以上説明した本実施形態に係るロールスクリーン装置1によれば、スクリーン部2において太陽電池ユニットセル5の裏面5b側に遮光手段8を設けることによって、確実に遮光を行うことができる。しかも、太陽電池ユニットセル5の発電面5a側には、遮光手段8が設けられていないので、十分な発電を行うことができる。これにより、十分な発電機能と遮光機能とを兼ね備えたロールスクリーン装置1を実現できる。
【0066】
この場合、前記遮光手段8を、太陽電池ユニットセル5の裏面5b側の被覆部7に設けられる所定面積の遮光部材8aとしたり、太陽電池ユニットセル5の裏面5bと、この裏面5b側の被覆部7との間に設けられる所定面積の遮光部材8aとしたり、前記遮光手段8が、太陽電池ユニットセル5の裏面5b側を覆う被覆部7が遮光部材8aによって構成したりすることで、多様なスクリーン部2を構成することが可能になる。
【0067】
また、本発明に係るロールスクリーン装置1は、前記太陽電池ユニットセル5が、アモルファスシリコン型太陽電池とすることで、太陽電池ユニットセル5の厚さを可及的に薄くして、軽量化及び可撓性の高いスクリーン部2を製造できるようになる。
【0068】
また、スクリーン部2の被覆部7を塩化ビニル樹脂によって構成することにより、可撓性の高いスクリーン部2を製造できるようになる。
【0069】
図13、図14はロールスクリーン装置1の第2実施形態を示す。上記の第1実施形態では、スクリーン部2が保持部3内の巻き取りパイプ24に巻き取られることによって収納される構成を示したが、本実施形態では、スクリーン部2の構成及び、その収納の態様が第1実施形態と異なる。
【0070】
スクリーン部2は、複数(図例では6つ)の構成体2a,2a…によって構成されている。各構成体2a,2a…は、長方形状の板状部材として形成されている。スクリーン部2は、各構成体2a,2a…の長辺部分同士をヒンジや可撓性フィルム等の連結手段によって連結することによって一体に構成されている。これによりスクリーン部2は、構成体2a同士の連結部分を基点として、折れ曲がり自在に構成されている。特に、ラミネートフィルムによって太陽電池ユニットセル5を被覆し、太陽電池ユニットセル5間の樹脂フィルムを柔軟性が高いものとなるよう構成する方法が望ましく、容易に高い耐久性、防水性に優れたものとすることができる。
【0071】
各構成体2a,2a…は、第1実施形態と同様に、太陽電池ユニットセル5の両側の面5a,5bを被覆部7によって覆うことにより構成されている。各構成体2a,2a…には、それぞれ1つの太陽電池ユニットセル5が内蔵されている。第2実施形態においては、特に太陽電池ユニットセル5自身に可撓性を持たせる必要はないので、アモルファス型、色素増感型などの柔軟性を有するものの他、単結晶シリコン型、多結晶シリコン型等の結晶シリコン太陽電子素子、ガリウムヒ素やインジウム燐等の第3〜第5族化合物半導体太陽電子素子、カドミウムテルルや銅インジウムセレナイド等の第2〜第6族化合物半導体太陽電子素子等の硬質なタイプも使用することができ、それらのハイブリット素子も使用することができる。
【0072】
各構成体2a,2a…の長手方向の各端部には、厚さ方向に貫通する貫通孔31が形成されている。この貫通孔31には、保持部3内に設けられる巻き取りパイプ24に巻き付けられる支持紐32が挿通されている。支持紐32は、その一端部が保持部3内の巻き取りパイプ24が巻き付けられ、その他端部が、スクリーン部2の下端を構成する構成体2aに固定されている。
【0073】
各構成体2a,2a…の裏面(太陽電池ユニットセル5の発電面5aとは反対の裏面5bの被覆部7bの外面)には、遮光手段8(遮光部材8a)が設けられている。この遮光手段8は、第1実施形態と同様のものが使用される。
【0074】
保持部3は、第1実施形態と同様に、スクリーン部2を操作するための操作部材26として、プルコードを有する。プルコードは、その一端部が保持部3内の巻き取りパイプ24に巻き付けられている。プルコードと支持紐32は、巻き取りパイプ24に対する巻き付けの方向が逆になっている。したがって、プルコードを引っ張って巻き取りパイプ24に巻き付けられているプルコードの部分を保持部3から引き出すと、これに連動して、支持紐32が巻き取りパイプ24に巻き取られるようになっている。
【0075】
プルコードを引っ張って支持紐32が巻き取りパイプ24に巻き取られるとき、支持紐32の端部がスクリーン部2の下端部に固定されていることから、支持紐32は、スクリーン部2の下端部を上方に持ち上げる。そうすると、図14に示すように、スクリーン部2は、各構成体2a,2a…の連結部分が曲がることによって、その下端部を上昇させながら、折りたたまれる。
【0076】
以上のようにして、スクリーン部2の下端部が保持部3の近傍位置まで上昇したとき、スクリーン部2は、保持部3の下方位置で、完全に折りたたまれた状態(不使用状態)となる。上記の第1実施形態では、スクリーン部2が保持部3内に巻き込まれて収納状態となったが、本実施形態では、保持部3の外部で折りたたまれた状態を収納状態と呼ぶ。
【0077】
第2実施形態に係るロールスクリーン装置1によれば、スクリーン部2を複数の構成体2a,2a…に分割し、折れ曲がり可能に連結し、支持紐32で支持することによって、スクリーン部2を使用状態と収納状態とに状態を変更可能になる。
【0078】
本実施形態のその他の構成は、第1実施形態とほぼ同じであり、本実施形態が第1実施形態と共通する要素には共通符号を付して説明を割愛する。本実施形態においても、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0079】
なお、本発明は上記の実施形態に限らず、種々の変形又は変更が可能である。
【0080】
例えば、上記の実施形態では、太陽電池ユニットセル5にアモルファスシリコン型のものを使用した例を示したが、これに限らず、色素増感型、有機薄膜型等の可撓性の高い太陽電池を本発明に適用してもよい。
【0081】
上記の実施形態では、スクリーン部2の被覆部7を塩化ビニル樹脂で構成した例を示したが、その他に、耐候性、可撓性に優れたETFE、PVC、アクリル樹脂や、オレフィン系樹脂、PET、熱可塑性エラストマー等の熱可塑性樹脂によって被覆部7を構成してもよい。
【0082】
上記の第1実施形態では、コイルバネの付勢力によって、巻き取りパイプ24がスクリーン部2を巻き取るように構成された例を示したが、電動モータ等を使用して、巻き取りパイプ24を回転させることで、スクリーン部2を巻き取るように構成してもよい。
【0083】
上記の実施形態では、巻き取り機構12の操作部材26として、巻き取りパイプ24に巻き付けられるプルコードを例示したが、これに限定されない。例えば、巻き取りパイプ24に巻回される環状のボールチェーンや樹脂製ベルト、編み紐などの部材を操作部材26に採用できる。
【0084】
上記の実施形態では、遮光手段によって、光を完全に遮断する例を示したが、これに限定されない。本発明による遮光とは、光を完全に遮断する場合だけでなく、若干の光の透過を許容する概念である。すなわち、遮光手段は、例えば、太陽ユニットセルが無く被覆部のみの部分や太陽電池ユニットセル5に設けられた厚さ方向に貫通する孔(ホール部)からスクリーン部2の裏側に通過する光と同程度の光の通過を許容する。
【0085】
すなわち、被覆部7には、太陽電池ユニットセル5と重なる部分と、重なっていない部分とがあり、両者を通過する光には大きな差がある。より具体的には、被覆部7が透明な樹脂で構成される場合において、この被覆部7が太陽電池ユニットセル5と重なる部分(被覆する部分)は、太陽電池ユニットセル5が光を遮るため、光をほとんど通さず、逆に太陽電池ユニットセル5と重なっていない部分は、太陽電池ユニットセル5が無いために、ほとんど全ての光が透過してしまう。
【0086】
このため、このスクリーン部2を裏側、即ち室内側から見たときに、被覆部7が太陽電池ユニットセル5と重なる部分は眩しく感じないが、太陽電池ユニットセル5と重なっていない部分は、より強く眩しく感じてしまう。このような透過光の差によって、室内側にいる使用者は、違和感を覚えて視覚的安定性を減ずることとなる。この現象は、特に太陽電池ユニットセルを、単位ユニットを複数配置して構成する場合に、重なっていない部分が多くなるので、より顕著となる。
【0087】
このようなことから、本発明に係る遮光手段は、このような透過光のが少なくなるようにすべく、被覆部7が太陽電池ユニットセル5を被覆していない部分(重なっていない部分)のみに設けられてもよい。このとき、遮光手段は、遮光手段が設けられていない太陽電池ユニットセル5の部分を通過する光と同程度となるような透過率のもの、あるいは、太陽電池ユニットセル5に形成される孔(ホール部)と類似する孔が形成された遮光部材を使用してもよい。
【0088】
以上のように、本発明における遮光とは、透過光の差を室内側にいる使用者に違和感が生じないレベルに減ずるもの、及び、太陽電池ユニットセル5を通過する光と同じ程度に光の通過を許容できる能力を含む概念である。
【実施例】
【0089】
以下、本発明の実施例を示す。ただし、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
【0090】
(実施例1)
上記の第1実施形態において、スクリーン部2が図3で例示した断面構造を有するロールスクリーン装置を実施例1として製造した。この実施例1に係るロールスクリーン装置のスクリーン部2は、アモルファスシリコン型の太陽電池ユニットセル5を8枚の単位ユニット5cで構成するとともに、その両面を封止材6とともに被覆部7で被覆することにより構成される。被覆部7には透明な塩化ビニル樹脂を採用した。
【0091】
さらに、太陽電池ユニットセル5の裏面5b側の被覆部7bの全面に、遮光手段8としてフィルム状の遮光部材8aをポリエステル系の接着剤を使用して貼り付けた。スクリーン部2の大きさは、横920mm×縦1730mmである。遮光部材8aに種々の意匠的な印刷を意匠層9として施し、さらに、この印刷による意匠層に透明の保護フィルムを貼り付けて保護層10を構成した。
【0092】
以上のように構成される実施例1に係るロールスクリーン装置を屋内の窓際の天井に取り付け、太陽電池ユニットセル5の発電面5aを屋外に向けて発電テストを行った。その結果、実施例1に係るロールスクリーン装置は、スクリーン部2の太陽電池ユニットセル5によって、所望の発電を確実に行うことができた。
【0093】
また、屋内において、実施例1のスクリーン部2に裏面側から遮光の度合いを確認したところ、遮光部材8aによる遮光によって、屋外の光がスクリーン部2を透過する透過光の差を室内側にいる使用者に違和感が生じないレベルに減じて、視覚的安定性を確保していることを目視によって確認した。
【0094】
(実施例2)
上記の第1実施形態において、スクリーン部2が図4で例示した断面構造を有するロールスクリーン装置を実施例2として製造した。実施例2は、実施例1と同じ太陽電池ユニットセル5、封止材6及び被覆部7を用いて同じ寸法でスクリーン部2を構成した。実施例2は、遮光部材8aが、太陽電池ユニットセル5の裏面5bと、この裏面5b側の被覆部7bとの間に設けられている点が実施例1と異なる。
【0095】
このように構成される実施例2について、実施例1と同じ条件で発電テストを行った。その結果、実施例2に係るロールスクリーン装置は、スクリーン部2の太陽電池ユニットセル5によって所望の発電を確実に行うことができた。
【0096】
また、屋内において、スクリーン部2に裏面側から遮光の度合いを確認したところ、遮光部材8aによる遮光によって、屋外の光がスクリーン部2を透過する透過光の差を室内側にいる使用者に違和感が生じないレベルに減じて、視覚的安定性を確保していることを目視によって確認できた。
【0097】
(実施例3)
上記の第1実施形態において、スクリーン部2が図5で例示した断面構造を有するロールスクリーン装置を実施例3として製造した。実施例3は、実施例1と同じ太陽電池ユニットセル5、封止材6及び被覆部7を用いて同じ寸法でスクリーン部2を構成した。但し、太陽電池ユニットセル5の裏面5b側の被覆部7bの構成が実施例1と異なる。この被覆部7bには、光を反射、吸収できるように酸化チタンを1重量%配合し、遮光手段8を構成している。
【0098】
このように構成される実施例3について、実施例1、2と同じ条件で発電テストを行った。その結果、実施例3に係るロールスクリーン装置は、スクリーン部2の太陽電池ユニットセル5によって所望の発電を確実に行うことができた。
【0099】
また、屋内において、スクリーン部2に裏面側から遮光の度合いを確認したところ、遮光手段8としての被覆部7bによる遮光によって、屋外の光がスクリーン部2を透過する透過光の差を室内側にいる使用者に違和感が生じないレベルに減じて、視覚的安定性を確保していることを目視によって確認できた。
【符号の説明】
【0100】
1…ロールスクリーン装置、2…スクリーン部、2a…スクリーン部の構成体、3…保持部、4…アンカー部、5…太陽電池ユニットセル、5a…発電面、5b…太陽電池ユニットセルの裏面、5c…単位ユニット、6…封止材、7…被覆部、8…遮光手段、8a…遮光部材、9…意匠層、10…保護層、11…保持部本体、11a…開口部、12…巻き取り機構、15…取付部材、16…掛止孔、21…フレーム、22…サイドプレート、23…支持軸、24…巻き取りパイプ、24a…嵌合溝、25…ロック手段、26…操作部材、26a…引き手、27…クラッチスプリング、28…ストッパケース、29…巻き取り部、30…凹部、31…貫通孔、32…支持紐、33…コイルスプリング、34…係止部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーン部に発電機能を備えたロールスクリーン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、壁際や窓際で使用されるロールスクリーン装置は、主として遮光するために用いられるものであったが、近年、そのスクリーンの部分に太陽電池を設けて遮光と発電の両方を行うものが開発されてきた(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このロールスクリーン装置は、可撓性を有するシート状の太陽電池モジュールと、この太陽電池モジュールを巻き取り可能な巻き取りドラムとを有し、発電を行う場合には、巻き取りドラムから太陽電池モジュールを引き出して使用し、発電を行わない場合には、巻き取りドラムによって太陽電池モジュールを巻き取ることができるようになっている。
【0004】
このようなロールスクリーン装置に使用される太陽電池モジュールは、フィルム状の太陽電池ユニットセルと、この太陽電池ユニットセルを保護するためにその表面を被覆する被覆部によって主構成される。
【0005】
この被覆部は、発電素子に太陽光が受光されるように、透明又は半透明の樹脂によって構成されることが望ましい。また、この被覆部は、発電素子の全体を覆うことができるように、発電素子よりも大きな面積を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−145503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のロールスクリーン装置では、被覆が、透明又は半透明な樹脂であり、しかも発電素子よりも大きな面積を有することから、発電素子を覆っている部分以外の部分に、透明又は半透明の部分ができる。このため、発電素子を覆っていない透明又は半透明な樹脂の部分から太陽光が透過してしまい、ロールスクリーン装置の本来の目的である遮光の機能が低下してしまっていた。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、発電機能と遮光機能とを十分に兼ね備えるロールスクリーン装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するためのものであって、シート状に構成されるスクリーン部と、スクリーン部を使用状態と収納状態とに状態変更可能に保持する保持部とを有するロールスクリーン装置において、スクリーン部は、太陽電池ユニットセルと、太陽電池ユニットセルの両面を覆う被覆部とを備え、太陽電池ユニットセルの発電面とは反対の裏面側に遮光手段が設けられてなることを特徴とする。
【0010】
かかる構成によれば、太陽電池ユニットセルの裏面側に遮光手段を設けることによって、確実に遮光を行うことができる。しかも、太陽電池の発電面側には、遮光手段が設けられていないので、十分な発電を行うことができる。
【0011】
また、本発明に係るロールスクリーン装置は、前記遮光手段が、太陽電池ユニットセルの裏面側の被覆部に設けられる所定面積の遮光部材であることが望ましい。
【0012】
かかる構成によれば、太陽電池の裏面側の被覆部に遮光部材を設けることによって、確実に遮光を行うとともに、太陽電池の発電面による十分な発電を行うことができる。
【0013】
また、本発明に係るロールスクリーン装置は、前記遮光手段が、太陽電池ユニットセルの裏面と、この裏面側の被覆部との間に設けられる所定面積の遮光部材である構成も採用可能である。
【0014】
かかる構成によれば、太陽電池の裏面とこの裏面側の被覆部との間に遮光部材を設けることによって、確実に遮光を行うとともに、太陽電池の発電面による十分な発電を行うことができる。
【0015】
また、本発明に係るロールスクリーン装置は、前記遮光手段が、太陽電池の裏面側を覆う被覆部が遮光部材によって構成されてもよい。
【0016】
かかる構成によれば、かかる構成によれば、太陽電池の裏面側の被覆部が遮光部材によって構成されることによって、確実に遮光を行うとともに、太陽電池の発電面による十分な発電を行うことができる。
【0017】
また、本発明に係るロールスクリーン装置は、前記太陽電池ユニットセルが、アモルファスシリコン型太陽電池であることが望ましい。
【0018】
かかる構成によれば、太陽電池ユニットセルの厚さを可及的に薄くして、軽量化及び可撓性の高いスクリーン部を製造できる。
【0019】
また、本発明に係るロールスクリーン装置は、前記被覆部が塩化ビニル樹脂によって構成されていることが望ましい。
【0020】
かかる構成によれば、可撓性の高いスクリーン部を製造できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、発電機能と遮光機能とを十分に兼ね備えるロールスクリーン装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1実施形態に係るロールスクリーン装置の正面図である。
【図2】同じくロールスクリーン装置の斜視図である。
【図3】スクリーン部の部分断面図である。
【図4】スクリーン部の変形例に係る部分断面図である。
【図5】スクリーン部の変形例に係る部分断面図である。
【図6】保持部の断面図である。
【図7】保持部の断面図である。
【図8】第1実施形態に係るロールスクリーン装置の変形例を示す正面図である。
【図9】第1実施形態に係るロールスクリーン装置の変形例を示す正面図である。
【図10】第1実施形態に係るロールスクリーン装置の変形例を示す正面図である。
【図11】第1実施形態に係るロールスクリーン装置の変形例を示す正面図である。
【図12】第1実施形態に係るロールスクリーン装置の変形例を示す正面図である。
【図13】第2実施形態に係るロールスクリーン装置の正面図である。
【図14】同じくロールスクリーン装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための形態を、図面に基づき説明する。図1〜図12は、本発明に係るロールスクリーン装置の第1実施形態を示す。
【0024】
図1、図2に示すように、ロールスクリーン装置1は、主にスクリーン部2と、スクリーン部2を保持する保持部3より構成される。保持部3の外面上部に、掛止孔16を有する取付部材15が設けられており、建物の天井材、窓枠、梁、壁面等に設けられるフックや突起部を掛止孔16に挿通することにより、ロールスクリーン装置1を掛止することができる。尚、保持部本体11としては、アングルや取付金具等のロールスクリーン装置の掛止に一般的に用いられるものが適用可能である。
【0025】
本実施形態においては、スクリーン部2は、可撓性を有する長方形状のシート体として構成される。このスクリーン部2は、その長手方向の上端部が保持部3に連結され、下端部にアンカー部4が設けられている。アンカー部4には、重量物からなるウェイトバー(図示せず)が内蔵されており、スクリーン部2を下方向に引き降ろす方向に力を加えると共に、スクリーン部2に張力を付与して平面性を高める作用を及ぼしている。ウェイトバーは、鉄、ステンレス、アルミニウム等の金属やプラスチック、ゴム、等の樹脂材など適した重量を付与できる重量物から選定することができる。
【0026】
このスクリーン部2は、図3に示すように、発電素子である太陽電池ユニットセル5と、太陽電池ユニットセル5を封止する封止材6と、この封止材6を介して太陽電池ユニットセル5の両面5a,5bを覆う被覆部7と、太陽電池ユニットセル5の裏面5b側に設けられる遮光手段8とを有する。
【0027】
太陽電池ユニットセル5には、例えば、特開2009−065022号公報や特開2009−135544号公報に例示されるようなアモルファスシリコン型のものや特開2008−186763号公報に例示されるような色素増感型のものが採用される。アモルファスシリコン型の太陽電池は、結晶系の太陽電池と比較して、柔軟性に富み、その厚さを約1/200程度にできるという利点を有するので、スクリーン部2の巻上げに対しても対応可能である。また、アモルファスシリコン型の太陽電池ユニットセル5は、低照度でも効率よく発電できる上、400nm〜700nmの波長(可視光領域)の蛍光灯でも変換効率が良いため、屋内での発電にも適している。このため、本件発明を屋内においても使用する場合に好適に使用できる。さらに、熱にも強いので、夏季の高温時にも使用可能である。
【0028】
この太陽電池ユニットセル5の厚さは、封止材6を含めて、例えば、0.01mmから1.5mmが望ましく、より望ましくは、0.02mm〜0.2mm程度が良い。太陽電池ユニットセル5の封止材6として、例えば、エチレンエバテートが使用される。
【0029】
この太陽電池ユニットセル5は、単位ユニット5cの大きさが、例えば、207mm×832mmの大きさ(この大きさに限定されない)とされ、この単位ユニット5cを並列又は直列に複数接続することにより、ロールスクリーン装置1の施工場所の広さや必要とされる発電力に応じて種々の大きさに設定できるようになっている。
【0030】
なお、本実施形態では、図1に示すように、8枚の単位ユニット5cを接続した太陽電池ユニットセル5をスクリーン部2に内蔵している。複数の単位ユニット5cを接続して太陽電池ユニットセル5を構成する場合には、それぞれの単位ユニット5cは、他の単位ユニット5cと所定の間隔をおいた状態で配列される。
【0031】
図1の例では、長方形状の単位ユニット5cの長手方向が上下方向に沿うようにして各単位ユニット5cが配列されている。この例では、8枚の単位ユニット5cを2行4列で配列している。その他の変形例として、例えば、図8に示すように、4枚の単位ユニット5cを2行2列で配列し、または、図9に示すように、2行6列に配列する等、単位ユニット5cの数に関わらず、自由な配列が可能である。このように、複数の単位ユニットの配列を変化させることによって、単位ユニットの構成を変えることなく、スクリーン部2が異ならせることができる。このことにより、ロールスクリーン装置1の大きさを取り付ける窓の大きさに合わせて製造することが容易になる。また、単位ユニットのサイズ変更が困難な汎用の太陽電池ユニットセルを用いる事も可能となる。
【0032】
また、さらなる変形例として、例えば、図10に示すように、長方形状の単位ユニット5cの長手方向が水平方向に沿うようにするとともに、複数(図例では4枚)の単位ユニット5cを上下方向に配列することも可能である。さらにその変形例として、図11に示すように、複数(図例では8枚)の単位ユニット5cを4行2列に配列し、または、図12に示すように、複数(図例では12枚)の単位ユニット5cを6行2列に配列してもよい。このように、単位ユニットの方向を変えることによって、同一サイズの単位ユニットより構成されるスクリーン部2の形状変更の範囲を広げることが可能となる。このような方法は、単位ユニットのサイズ変更が困難な汎用の太陽電池ユニットセルを用いる場合に特に有効に用いることができる。
【0033】
図3に示すように、太陽電池ユニットセル5は、その発電面(受光面、表面)5a側と、その反対側の裏面5b側とが被覆部7(7a,7b)により覆われている。太陽電池ユニットセル5の裏面5b側を覆う被覆部7bの外面には、遮光手段8として所定面積のシート状の遮光部材8aが設けられている。
【0034】
被覆部7は、太陽電池ユニットセル5の発電面5aを覆う部分7aが透明又は半透明な樹脂によって構成されることが望ましい。これにより、光が被覆部7を透過して発電面5aに達し、所望の発電を行うことができる。
【0035】
被覆部7は、PTFEなどの樹脂よりなり、特開2009−59897号に例示されるようなラミネート加工によって、太陽電池ユニットセル5を挟むように一体に形成される。この被覆部7は、太陽電池ユニットセル5の全体を被覆することができるように、太陽電池ユニットセル5よりも大きなサイズ(面積)で構成される。被覆部7は、例えば、460mm(横)×1730mm(縦)、920mm×1730mm、1380mm×1730mm等のようにロールスクリーン装置1の施工場所の広さに応じて種々の大きさを採用できる。
【0036】
太陽光電池ユニットセル5の単位ユニット5c間の隙間や、アモルファスシリコン型太陽電池ユニットセルに形成されるホール部(図示せず:特開2009−065022号公報や特開2009−135544号公報に例示されるような開口部)などからの光の漏れがあるので、ロールスクリーンとしての遮光性能を確保することができず、室内から観た場合に、形態や色調について、視覚的に安定性を欠いたり、静穏性を欠いたりするといった問題点があった。本件発明は、遮光部材8aを設けることによって、遮光性と光拡散機能を有する太陽光発電ロールスクリーンを提供することによって、これらの課題を解決するものである。
【0037】
図3の実施形態においては、この遮光部材8aは、接着剤によってスクリーン部2の裏面側の被覆部7bに固着されている。このように、被覆部7bに遮光部材8aを固着する構成とすることによって、多くの種類の遮光部材を比較的容易に使用することができる。
【0038】
遮光部材8aの厚さとしては、遮光性、および、スクリーン部2として求められる柔軟性、耐久性を勘案して決定するが、通常50μm以上800μm以下であることが好ましい。遮光部材8aは、例えば、スクリーン部2の裏面側の被覆部7bの全体を覆うことができるように、この被覆部7と同じ大きさに構成されることが望ましい。この場合、太陽電池ユニットセル5による透光性の差が緩和されるので、本発明の使用者は、室内から観た場合に、形態や色調について視覚的に安定性した状態を得ることができる。また、遮蔽性によって、室外からの観察を防ぐことができる。
【0039】
その他として、例えば、裏面側の被覆部7bにおいて、太陽電池ユニットセル5を覆っていない部分のみにこの遮光部材8aを設けてもよい。この場合、本発明の使用者が、太陽電池ユニットセル5の裏面側を室内から見ることができるので、スクリーン部2に太陽発電機能が組み込まれていることを視覚的に確認することができる。
【0040】
遮光度合は、採光性が重視される北,北西,北東の各側に使用される場合には、遮光率が40〜60%の範囲内、遮光性の重視される南,南西,南東に使用される場合には、遮光率70〜95%の範囲内で選択することが好ましく、更に細かい遮光調節が必要な場合は、複数枚の遮光率の異なるスクリーン部2の同時適用により行うことも可能である。また、設置位置を特定しない場合は、遮光率が50〜80%の範囲内で設定するのが好ましい。このような遮光率とすることによって、外光を適度に取り入れるとともに、形態や色調についての視覚的安定性と遮蔽性を確保することができる。
【0041】
遮光部材8aの基材としては、例えば、不織布、編布、織布を含む繊維質の繊維基材や、樹脂を基材にした樹脂基材等が使用される。遮光部材8aを繊維基材で構成する場合には、例えば、天然繊維、化学繊維、金属、ガラス等の各種の有機,無機の繊維を使用できる。例えば、綿、麻等の天然繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、レーヨン繊維、ポリアミド繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維等の合成繊維、を単体又は混合して用いることができる。繊維材としては、耐久性,耐候性,形態安定性,難燃性,腰の強さ等の面からガラス繊維を用いるのが好ましい。繊維基材に用いることにより、風合いに優れ、繊維質による自然な遮光と光の拡散を行うことができるので、視覚的、意匠的に優れた遮光部材8aとすることができる。また、樹脂基材は、層厚や柔軟性、遮光性、拡散性などのパラメータの自由度が高い上、比較的安価に製造することが可能である。
【0042】
遮光部材8aを繊維基材で構成する場合、織組織としては、製織性,風合い,透視性,形態安定性の面から、前記斜子織が好ましいが、一般的な平織り,綾織り,メッシュ織り等の粗目組織であれば使用でき、粗目のメリヤス組織,網組織等の組み組織であってもよく組織密度や使用糸の太さ等も必要に応じて任意に選定できる。
【0043】
遮光部材8aを樹脂基材で構成する場合には、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、アクリル、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、トリアセチルセルロース、およびポリフッ化ビニリデン等のプラスチックフィルムを適宜選択して用いることができる。樹脂基材のベース樹脂としては、スクリーン部2に求められる難燃性ないし防炎性、柔軟性を勘案すると、塩化ビニル樹脂、難燃化ポリプロピレン樹脂などが好適である。樹脂基材樹脂には、遮光性を高める目的で、カーボンブラックと酸化チタンの一方、または両方を含有させることが好ましい。カーボンブラックと酸化チタンは、両者を合わせた総配合量を基材樹脂に対して、0.1重量%以上30重量%以下の範囲で配合することが望ましく、0.5重量%以上10重量%以下の範囲がさらに好ましく、最適な範囲は1重量%以上3重量%以下である。その配合量が0.1重量%未満であると遮光層として求められる遮光性が不足する場合があり、30重量%を越えるとそれ以上添加しても遮光性の向上はほとんどない上、スクリーンとして求められる柔軟性が不足する場合がある。この配合量は、スクリーンに求められる遮光性と柔軟性に応じて適宜設定することができる。
【0044】
また、この遮光部材8aの外面に、意匠層9を設けることによって、室内環境に適した色調、意匠性を付すことができる。意匠層9は、意匠を有する繊維質のものでも、樹脂材によるものでも、印刷フィルムや着色剤によって形成しても良い。繊維質のものとしては、着色、着色された織糸を熱可塑性合成樹脂によってコーティングしたものを使用でき、織り柄、選色,配色の選定によって、室内環境に適した色調、意匠性を付すことができる。また、樹脂によるものの場合は、意匠を有する樹脂層を設けることにとによって、室内環境に適した色調、意匠性を持たせることができる。好適な樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、アクリル、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、トリアセチルセルロース、およびポリフッ化ビニリデン等のプラスチックフィルムを用いることができる。
【0045】
この意匠層9を保護するために、意匠層9上に、UV樹脂、塩化ビニル樹脂等の透明か有色透明、もしくは、意匠を有する樹脂による保護層10を形成してもよい(図3参照)。
【0046】
意匠層9、保護層10は、遮光部材8aの外面に、ポリエステル系、ポリウレタン系,アクリル系等の接着剤を介して一体に固着して構成したものである。接着剤としては、黄変しない耐候性の面から、ポリエステル系接着剤を用いるのが好ましい。
【0047】
また、意匠層9には、隠蔽性を高めるため酸化チタンを0.1重量%以上含んでいることが望ましく、また、その含有量は30重量%以下であることが望ましい。0.1重量%未満であると添加による隠蔽性向上効果が乏しく、一方、30重量%を超えてさらに添加しても隠蔽性向上効果は増加しない。最適な範囲は2重量%以上7重量%以下である。
【0048】
また、上記樹脂基材の少なくとも一方の面に、金属蒸着層による遮光層を形成することによって遮光部材8aを構成してもよい。金属蒸着層は、例えば、ポリエステル製シートの片面にアルミニウム膜を蒸着することによって構成される。金属蒸着層は、薄膜でも遮光効果が高いので、スクリーン部2の厚みを薄くしたい場合に、効果的に活用することができる。
【0049】
図4は遮光手段8の変形例を示す。この例では、遮光手段8は、太陽電池ユニットセル5の裏面5bと、この裏面5b側の被覆部7との間に設けられる。このように構成することで、遮光手段8は比較的薄いものとすることができ、スクリーン部2全体を薄くすることが可能となる。スクリーン部2を薄くすると、可撓性を高めることとなり、巻き取りが容易となる。また、被覆部7が保護層の役割も兼用するので、遮光手段8は十分に保護されるという利点もある。尚、遮光手段8は、層間に配置するので薄くする必要があるので、比較的薄膜化が容易な前記樹脂基材を用いるのが望ましく、金属蒸着層を用いるとさらに薄層化できるので、より望ましい。加えて、遮光手段8の被覆部7b側表面に意匠層9を設けても良い。
【0050】
図5は、遮光手段8のさらなる変形例を示す。この例では、遮光手段8は、太陽電池ユニットセル5の裏面5b側を覆う被覆部7b自体が遮光性を有する樹脂材で構成される。より具体的には、被覆部7bにカーボン、酸化チタンなどの遮光性粒子を配合することで達成することができる。このように構成することで、スクリーン部2全体をさらに薄くすることができ、スクリーン部2の可撓性を高め、巻き取りをさらに容易にすることができる。また、被覆部7bの表面に意匠層9を設けても良い。被覆部7bに配合するカーボンブラックと酸化チタンは、両者を合わせた総配合量を被覆部7bの樹脂に対して、0.1重量%以上30重量%以下の範囲で配合することが望ましく、0.5重量%以上10重量%以下の範囲がさらに好ましく、最適な範囲は1重量%以上3重量%以下である。その配合量が0.1重量%未満であると遮光層として求められる遮光性が不足する場合があり、30重量%を越えるとそれ以上添加しても遮光性の向上はほとんどない上、スクリーンとして求められる柔軟性が不足する場合がある。この配合量は、スクリーンに求められる遮光性と柔軟性に応じて適宜設定することができる。尚、太陽電池ユニットセル5は絶縁性を必要とするので、絶縁性の高い酸化チタンを主に用いるのが望ましい。
【0051】
図6は、実施形態1の保持部3の内部構造を概略図示する部分断面図である。保持部3は、スクリーン部2を使用状態と収納状態とに状態変更可能に保持する機構を有する。より具体的には、保持部3は、一般的にカーテンボックスと言われる内部に所定の空間を有する保持部本体11と、スクリーン部2の巻き取り機構12とを有する。
【0052】
保持部本体11は、その下端部に開口部11aを有し、この開口部11aからスクリーン部2を出し入れすることができるように構成される。また、保持部本体11は、その外面上部に、建物の天井や壁部に簡易に取り付け可能な取付部材15を有する。この取付部材15によって、保持部本体11は、建物の天井材、窓枠、梁、壁面等に固定される。
【0053】
巻き取り機構12は、保持部本体11の内面に固定されるセットフレームと呼ばれる長尺状のフレーム21と、フレーム21の長手方向の各端部から下方に突出する2つのサイドプレート22と、2つのサイドプレート22の間に固定される支持軸23と、支持軸23に回転可能に支持される巻き取りパイプ24と、巻き取りパイプ24の回転のロック・ロック解除を行うロック手段25と、巻き取りパイプ24の巻き取り操作を行うための操作部材26とを有する。
【0054】
図7は、保持部本体11の概略構成を示す横断面図である。図7に示すように、巻き取りパイプ24に設けられた嵌合溝24aには、スクリーン部2の一端部2Aが係止部材34によって固定されている。この巻き取りパイプ24は、その内部に支持軸23が挿通された状態で、この支持軸23まわりに回転可能に支持されている。巻き取りパイプ24は、所定の回転方向に回転することで、その外面にスクリーン部2を巻き取ることができる。
【0055】
図6に示すように、巻き取りパイプ24の長手方向(軸心方向)のほぼ中央部には、コイルスプリング33が設けられている。コイルスプリング33は、その内側に支持軸23が挿通されるとともにその一端部が巻き取りパイプ24に固定され、その他端部が支持軸23に固定されている。巻き取りパイプ24はこのコイルスプリング33によって、常時、スクリーン部2を巻き取る回転方向に付勢されている。
【0056】
ロック手段25は、図6に示すように、巻き取りパイプ24の長手方向の両端部の内側に設けられている。このロック手段25は、図7に示すように、クラッチスプリング27と、このクラッチスプリング27を覆うように設けられるストッパケース28とを有する。
【0057】
クラッチスプリング27は、巻き取りパイプ24がスクリーン部2を保持部本体11外に送り出すような回転を許容するように構成される。また、このクラッチスプリング26は、通常状態では、巻き取りパイプ24がスクリーン部2を巻き取る方向への回転が規制され、操作部材26の操作時に規制が解除されるように構成されている。
【0058】
操作部材26は、本実施形態ではプルコードが採用される。この操作部材26は、その一端部が巻き取りパイプ24の長手方向の一端部の外面側に固定され、その他端部が保持部本体11から露出されている。より具体的には、操作部材26の一端部は、巻き取りパイプ24の一端部の外周面に設けられた巻き取り部29に巻き付けられている。巻き取り部29は、巻き取りパイプ24の周方向に連続する環状の凹部(又は溝)30を有し、この凹部30を介して操作部材26を巻き取ることができる。
【0059】
操作部材26は、巻き取りパイプ24に巻き付けられる方向が、スクリーン部2が巻き取りパイプ24に巻き付けられる方向とは逆になっている。これにより、操作部材26は、スクリーン部2の動作とは逆に動作する。より具体的には、操作部材26を下方に引っ張って保持部本体11から引き出すと、これによる巻き取りパイプ24の回転によって、スクリーン部2が巻き取られるようになっている。この時、クラッチスプリング27による巻き取りパイプ24の回転規制は解除され、コイルスプリング33による付勢によって大きな力を必要とせずにスクリーン部2を巻き上げることができる。尚、操作部材26の先端には、引き手26aが設けられており、操作部材26を下方に引っ張る際に、操作者が引きやすい構成となっている。また、スクリーン部2を下方に引っ張って保持部本体11から引き出すと、操作部材26は、巻き取りパイプ24によってその一部が巻き取られるようになっている。
【0060】
上記のような保持部3の構成により、スクリーン部2の下端部に設けられるアンカー部4を引っ張ることによって、保持部3から引き出して手を離すと、ロック手段25によって巻き取りパイプ24の回転が規制され、スクリーン部2が保持部3から露出した状態で保持される。このとき、スクリーン部2の引き出しによって、コイルスプリング33にスクリーン部2を引き上げる方向の力が蓄力される。尚、操作者による、スクリーン部2の引き下げ操作を容易にするために、アンカー部4の下部に、プルコードないしは、引き手を設けても良い。また、
【0061】
以下、このようにスクリーン部2が保持部3から引き出されて保持される状態をスクリーン部2の使用状態と呼ぶ。この使用状態では、スクリーン部2をその中途部まで露出させたり、又は、スクリーン部2のほぼ全てを保持部3から引き出して露出させたりして使用することができる。
【0062】
操作部材26を下方に引っ張って保持部本体11から引き出すと、ロック手段25によるスクリーン部2のロックが解除され、保持部本体11の引き出しによる回転力とコイルスプリング33の蓄力によって、巻き取りパイプ24が回転し、スクリーン部2が巻き取られる。スクリーン部2の巻き取りが完了すると、保持部3から露出されていたスクリーン部2が保持部3内に収納される。
【0063】
また、コイルスプリング33の蓄力を大きくすることによって、操作部材26を略することも可能である。その場合は、使用状態にあるスクリーン部2を下方に若干引き下げると、ロック手段25によるスクリーン部2のロックが解除されるように構成し、巻き取りパイプ24を付勢する前記コイルスプリング33の作用のみによって巻き取りパイプ24がスクリーン部2を完全に巻き取るようにする。このように構成することによって、操作部材26による巻き上げ動作なしで保持部3から露出されていたスクリーン部2が保持部3内に収納することができる。
【0064】
以下、このようにスクリーン部2が保持部3内に収納された状態を収納状態と呼ぶ。ロールスクリーン装置1は、上記の収納方法の他に、操作部材26を下方に引っ張ることによっても、スクリーン部2を収納状態にすることができる。
【0065】
以上説明した本実施形態に係るロールスクリーン装置1によれば、スクリーン部2において太陽電池ユニットセル5の裏面5b側に遮光手段8を設けることによって、確実に遮光を行うことができる。しかも、太陽電池ユニットセル5の発電面5a側には、遮光手段8が設けられていないので、十分な発電を行うことができる。これにより、十分な発電機能と遮光機能とを兼ね備えたロールスクリーン装置1を実現できる。
【0066】
この場合、前記遮光手段8を、太陽電池ユニットセル5の裏面5b側の被覆部7に設けられる所定面積の遮光部材8aとしたり、太陽電池ユニットセル5の裏面5bと、この裏面5b側の被覆部7との間に設けられる所定面積の遮光部材8aとしたり、前記遮光手段8が、太陽電池ユニットセル5の裏面5b側を覆う被覆部7が遮光部材8aによって構成したりすることで、多様なスクリーン部2を構成することが可能になる。
【0067】
また、本発明に係るロールスクリーン装置1は、前記太陽電池ユニットセル5が、アモルファスシリコン型太陽電池とすることで、太陽電池ユニットセル5の厚さを可及的に薄くして、軽量化及び可撓性の高いスクリーン部2を製造できるようになる。
【0068】
また、スクリーン部2の被覆部7を塩化ビニル樹脂によって構成することにより、可撓性の高いスクリーン部2を製造できるようになる。
【0069】
図13、図14はロールスクリーン装置1の第2実施形態を示す。上記の第1実施形態では、スクリーン部2が保持部3内の巻き取りパイプ24に巻き取られることによって収納される構成を示したが、本実施形態では、スクリーン部2の構成及び、その収納の態様が第1実施形態と異なる。
【0070】
スクリーン部2は、複数(図例では6つ)の構成体2a,2a…によって構成されている。各構成体2a,2a…は、長方形状の板状部材として形成されている。スクリーン部2は、各構成体2a,2a…の長辺部分同士をヒンジや可撓性フィルム等の連結手段によって連結することによって一体に構成されている。これによりスクリーン部2は、構成体2a同士の連結部分を基点として、折れ曲がり自在に構成されている。特に、ラミネートフィルムによって太陽電池ユニットセル5を被覆し、太陽電池ユニットセル5間の樹脂フィルムを柔軟性が高いものとなるよう構成する方法が望ましく、容易に高い耐久性、防水性に優れたものとすることができる。
【0071】
各構成体2a,2a…は、第1実施形態と同様に、太陽電池ユニットセル5の両側の面5a,5bを被覆部7によって覆うことにより構成されている。各構成体2a,2a…には、それぞれ1つの太陽電池ユニットセル5が内蔵されている。第2実施形態においては、特に太陽電池ユニットセル5自身に可撓性を持たせる必要はないので、アモルファス型、色素増感型などの柔軟性を有するものの他、単結晶シリコン型、多結晶シリコン型等の結晶シリコン太陽電子素子、ガリウムヒ素やインジウム燐等の第3〜第5族化合物半導体太陽電子素子、カドミウムテルルや銅インジウムセレナイド等の第2〜第6族化合物半導体太陽電子素子等の硬質なタイプも使用することができ、それらのハイブリット素子も使用することができる。
【0072】
各構成体2a,2a…の長手方向の各端部には、厚さ方向に貫通する貫通孔31が形成されている。この貫通孔31には、保持部3内に設けられる巻き取りパイプ24に巻き付けられる支持紐32が挿通されている。支持紐32は、その一端部が保持部3内の巻き取りパイプ24が巻き付けられ、その他端部が、スクリーン部2の下端を構成する構成体2aに固定されている。
【0073】
各構成体2a,2a…の裏面(太陽電池ユニットセル5の発電面5aとは反対の裏面5bの被覆部7bの外面)には、遮光手段8(遮光部材8a)が設けられている。この遮光手段8は、第1実施形態と同様のものが使用される。
【0074】
保持部3は、第1実施形態と同様に、スクリーン部2を操作するための操作部材26として、プルコードを有する。プルコードは、その一端部が保持部3内の巻き取りパイプ24に巻き付けられている。プルコードと支持紐32は、巻き取りパイプ24に対する巻き付けの方向が逆になっている。したがって、プルコードを引っ張って巻き取りパイプ24に巻き付けられているプルコードの部分を保持部3から引き出すと、これに連動して、支持紐32が巻き取りパイプ24に巻き取られるようになっている。
【0075】
プルコードを引っ張って支持紐32が巻き取りパイプ24に巻き取られるとき、支持紐32の端部がスクリーン部2の下端部に固定されていることから、支持紐32は、スクリーン部2の下端部を上方に持ち上げる。そうすると、図14に示すように、スクリーン部2は、各構成体2a,2a…の連結部分が曲がることによって、その下端部を上昇させながら、折りたたまれる。
【0076】
以上のようにして、スクリーン部2の下端部が保持部3の近傍位置まで上昇したとき、スクリーン部2は、保持部3の下方位置で、完全に折りたたまれた状態(不使用状態)となる。上記の第1実施形態では、スクリーン部2が保持部3内に巻き込まれて収納状態となったが、本実施形態では、保持部3の外部で折りたたまれた状態を収納状態と呼ぶ。
【0077】
第2実施形態に係るロールスクリーン装置1によれば、スクリーン部2を複数の構成体2a,2a…に分割し、折れ曲がり可能に連結し、支持紐32で支持することによって、スクリーン部2を使用状態と収納状態とに状態を変更可能になる。
【0078】
本実施形態のその他の構成は、第1実施形態とほぼ同じであり、本実施形態が第1実施形態と共通する要素には共通符号を付して説明を割愛する。本実施形態においても、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0079】
なお、本発明は上記の実施形態に限らず、種々の変形又は変更が可能である。
【0080】
例えば、上記の実施形態では、太陽電池ユニットセル5にアモルファスシリコン型のものを使用した例を示したが、これに限らず、色素増感型、有機薄膜型等の可撓性の高い太陽電池を本発明に適用してもよい。
【0081】
上記の実施形態では、スクリーン部2の被覆部7を塩化ビニル樹脂で構成した例を示したが、その他に、耐候性、可撓性に優れたETFE、PVC、アクリル樹脂や、オレフィン系樹脂、PET、熱可塑性エラストマー等の熱可塑性樹脂によって被覆部7を構成してもよい。
【0082】
上記の第1実施形態では、コイルバネの付勢力によって、巻き取りパイプ24がスクリーン部2を巻き取るように構成された例を示したが、電動モータ等を使用して、巻き取りパイプ24を回転させることで、スクリーン部2を巻き取るように構成してもよい。
【0083】
上記の実施形態では、巻き取り機構12の操作部材26として、巻き取りパイプ24に巻き付けられるプルコードを例示したが、これに限定されない。例えば、巻き取りパイプ24に巻回される環状のボールチェーンや樹脂製ベルト、編み紐などの部材を操作部材26に採用できる。
【0084】
上記の実施形態では、遮光手段によって、光を完全に遮断する例を示したが、これに限定されない。本発明による遮光とは、光を完全に遮断する場合だけでなく、若干の光の透過を許容する概念である。すなわち、遮光手段は、例えば、太陽ユニットセルが無く被覆部のみの部分や太陽電池ユニットセル5に設けられた厚さ方向に貫通する孔(ホール部)からスクリーン部2の裏側に通過する光と同程度の光の通過を許容する。
【0085】
すなわち、被覆部7には、太陽電池ユニットセル5と重なる部分と、重なっていない部分とがあり、両者を通過する光には大きな差がある。より具体的には、被覆部7が透明な樹脂で構成される場合において、この被覆部7が太陽電池ユニットセル5と重なる部分(被覆する部分)は、太陽電池ユニットセル5が光を遮るため、光をほとんど通さず、逆に太陽電池ユニットセル5と重なっていない部分は、太陽電池ユニットセル5が無いために、ほとんど全ての光が透過してしまう。
【0086】
このため、このスクリーン部2を裏側、即ち室内側から見たときに、被覆部7が太陽電池ユニットセル5と重なる部分は眩しく感じないが、太陽電池ユニットセル5と重なっていない部分は、より強く眩しく感じてしまう。このような透過光の差によって、室内側にいる使用者は、違和感を覚えて視覚的安定性を減ずることとなる。この現象は、特に太陽電池ユニットセルを、単位ユニットを複数配置して構成する場合に、重なっていない部分が多くなるので、より顕著となる。
【0087】
このようなことから、本発明に係る遮光手段は、このような透過光のが少なくなるようにすべく、被覆部7が太陽電池ユニットセル5を被覆していない部分(重なっていない部分)のみに設けられてもよい。このとき、遮光手段は、遮光手段が設けられていない太陽電池ユニットセル5の部分を通過する光と同程度となるような透過率のもの、あるいは、太陽電池ユニットセル5に形成される孔(ホール部)と類似する孔が形成された遮光部材を使用してもよい。
【0088】
以上のように、本発明における遮光とは、透過光の差を室内側にいる使用者に違和感が生じないレベルに減ずるもの、及び、太陽電池ユニットセル5を通過する光と同じ程度に光の通過を許容できる能力を含む概念である。
【実施例】
【0089】
以下、本発明の実施例を示す。ただし、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
【0090】
(実施例1)
上記の第1実施形態において、スクリーン部2が図3で例示した断面構造を有するロールスクリーン装置を実施例1として製造した。この実施例1に係るロールスクリーン装置のスクリーン部2は、アモルファスシリコン型の太陽電池ユニットセル5を8枚の単位ユニット5cで構成するとともに、その両面を封止材6とともに被覆部7で被覆することにより構成される。被覆部7には透明な塩化ビニル樹脂を採用した。
【0091】
さらに、太陽電池ユニットセル5の裏面5b側の被覆部7bの全面に、遮光手段8としてフィルム状の遮光部材8aをポリエステル系の接着剤を使用して貼り付けた。スクリーン部2の大きさは、横920mm×縦1730mmである。遮光部材8aに種々の意匠的な印刷を意匠層9として施し、さらに、この印刷による意匠層に透明の保護フィルムを貼り付けて保護層10を構成した。
【0092】
以上のように構成される実施例1に係るロールスクリーン装置を屋内の窓際の天井に取り付け、太陽電池ユニットセル5の発電面5aを屋外に向けて発電テストを行った。その結果、実施例1に係るロールスクリーン装置は、スクリーン部2の太陽電池ユニットセル5によって、所望の発電を確実に行うことができた。
【0093】
また、屋内において、実施例1のスクリーン部2に裏面側から遮光の度合いを確認したところ、遮光部材8aによる遮光によって、屋外の光がスクリーン部2を透過する透過光の差を室内側にいる使用者に違和感が生じないレベルに減じて、視覚的安定性を確保していることを目視によって確認した。
【0094】
(実施例2)
上記の第1実施形態において、スクリーン部2が図4で例示した断面構造を有するロールスクリーン装置を実施例2として製造した。実施例2は、実施例1と同じ太陽電池ユニットセル5、封止材6及び被覆部7を用いて同じ寸法でスクリーン部2を構成した。実施例2は、遮光部材8aが、太陽電池ユニットセル5の裏面5bと、この裏面5b側の被覆部7bとの間に設けられている点が実施例1と異なる。
【0095】
このように構成される実施例2について、実施例1と同じ条件で発電テストを行った。その結果、実施例2に係るロールスクリーン装置は、スクリーン部2の太陽電池ユニットセル5によって所望の発電を確実に行うことができた。
【0096】
また、屋内において、スクリーン部2に裏面側から遮光の度合いを確認したところ、遮光部材8aによる遮光によって、屋外の光がスクリーン部2を透過する透過光の差を室内側にいる使用者に違和感が生じないレベルに減じて、視覚的安定性を確保していることを目視によって確認できた。
【0097】
(実施例3)
上記の第1実施形態において、スクリーン部2が図5で例示した断面構造を有するロールスクリーン装置を実施例3として製造した。実施例3は、実施例1と同じ太陽電池ユニットセル5、封止材6及び被覆部7を用いて同じ寸法でスクリーン部2を構成した。但し、太陽電池ユニットセル5の裏面5b側の被覆部7bの構成が実施例1と異なる。この被覆部7bには、光を反射、吸収できるように酸化チタンを1重量%配合し、遮光手段8を構成している。
【0098】
このように構成される実施例3について、実施例1、2と同じ条件で発電テストを行った。その結果、実施例3に係るロールスクリーン装置は、スクリーン部2の太陽電池ユニットセル5によって所望の発電を確実に行うことができた。
【0099】
また、屋内において、スクリーン部2に裏面側から遮光の度合いを確認したところ、遮光手段8としての被覆部7bによる遮光によって、屋外の光がスクリーン部2を透過する透過光の差を室内側にいる使用者に違和感が生じないレベルに減じて、視覚的安定性を確保していることを目視によって確認できた。
【符号の説明】
【0100】
1…ロールスクリーン装置、2…スクリーン部、2a…スクリーン部の構成体、3…保持部、4…アンカー部、5…太陽電池ユニットセル、5a…発電面、5b…太陽電池ユニットセルの裏面、5c…単位ユニット、6…封止材、7…被覆部、8…遮光手段、8a…遮光部材、9…意匠層、10…保護層、11…保持部本体、11a…開口部、12…巻き取り機構、15…取付部材、16…掛止孔、21…フレーム、22…サイドプレート、23…支持軸、24…巻き取りパイプ、24a…嵌合溝、25…ロック手段、26…操作部材、26a…引き手、27…クラッチスプリング、28…ストッパケース、29…巻き取り部、30…凹部、31…貫通孔、32…支持紐、33…コイルスプリング、34…係止部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状に構成されるスクリーン部と、スクリーン部を使用状態と収納状態とに状態変更可能に保持する保持部とを有するロールスクリーン装置において、
スクリーン部は、太陽電池ユニットセルと、太陽電池ユニットセルの両面を覆う被覆部とを備え、
太陽電池ユニットセルの発電面とは反対の裏面側に遮光手段が設けられてなることを特徴とするロールスクリーン装置。
【請求項2】
前記遮光手段は、太陽電池ユニットセルの裏面側の被覆部に設けられる所定面積の遮光部材である請求項1に記載のロールスクリーン装置。
【請求項3】
前記遮光手段は、太陽電池ユニットセルの裏面と、この裏面側の被覆部との間に設けられる所定面積の遮光部材である請求項1に記載のロールスクリーン装置。
【請求項4】
前記遮光手段は、太陽電池の裏面側を覆う被覆部が遮光部材によって構成されることによりなる請求項1に記載のロールスクリーン装置。
【請求項5】
前記太陽電池ユニットセルは、アモルファスシリコン型太陽電池である請求項1から4のいずれか1項に記載のロールスクリーン装置。
【請求項6】
前記被覆部は、塩化ビニル樹脂によって構成されてなる請求項1から5のいずれか1項に記載のロールスクリーン装置。
【請求項1】
シート状に構成されるスクリーン部と、スクリーン部を使用状態と収納状態とに状態変更可能に保持する保持部とを有するロールスクリーン装置において、
スクリーン部は、太陽電池ユニットセルと、太陽電池ユニットセルの両面を覆う被覆部とを備え、
太陽電池ユニットセルの発電面とは反対の裏面側に遮光手段が設けられてなることを特徴とするロールスクリーン装置。
【請求項2】
前記遮光手段は、太陽電池ユニットセルの裏面側の被覆部に設けられる所定面積の遮光部材である請求項1に記載のロールスクリーン装置。
【請求項3】
前記遮光手段は、太陽電池ユニットセルの裏面と、この裏面側の被覆部との間に設けられる所定面積の遮光部材である請求項1に記載のロールスクリーン装置。
【請求項4】
前記遮光手段は、太陽電池の裏面側を覆う被覆部が遮光部材によって構成されることによりなる請求項1に記載のロールスクリーン装置。
【請求項5】
前記太陽電池ユニットセルは、アモルファスシリコン型太陽電池である請求項1から4のいずれか1項に記載のロールスクリーン装置。
【請求項6】
前記被覆部は、塩化ビニル樹脂によって構成されてなる請求項1から5のいずれか1項に記載のロールスクリーン装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−179193(P2011−179193A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−42713(P2010−42713)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000222495)東リ株式会社 (94)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000222495)東リ株式会社 (94)
【Fターム(参考)】
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