説明

ロールフィルム切断システムのロールフィルム吸着装置

【課題】走行するロールフィルムを幅方向に切断可能なロールフィルム切断システムのロールフィルム吸着装置において、幅が狭い偏光フィルムロールの場合、偏光フィルムロールが置かれずに大気に露出した吸着プレートの吸着孔には真空圧が付与されないようにする。
【解決手段】吸着孔は、切断するロールフィルムの最小幅に該当する領域に形成された共通吸着孔436及び共通吸着孔に隣接して位置した少なくとも一つの拡張吸着孔438を含み、真空ラインは、前記共通吸着孔に連通する共通真空ライン及び前記拡張吸着孔に連通する拡張真空ラインを含み、真空分割部材は、前記共通真空ラインを同時にオン/オフさせることができる共通バルブ及び前記拡張真空ラインを個別的にオン/オフさせることができる少なくとも一つの拡張バルブを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロールフィルム切断システムのロールフィルム吸着装置に関するものであって、より詳しくは、例えば、偏光フィルムロールのようなロールフィルムを切断するとき、ロールフィルムの位置を固定するためのロールフィルム切断システムのロールフィルム吸着装置に関する。
【0002】
本出願は、2010年06月15日出願の韓国特許出願第10‐2010‐0056617号及び2011年05月16日出願の韓国特許出願第10‐2011‐0045794号に基づく優先権を主張し、該当出願の明細書および図面に開示された内容は、すべて本出願に援用される。
【背景技術】
【0003】
一般に、液晶表示装置は、液晶層を挟んで互いに向かい合う面であってそれぞれ電界生成電極が形成された一対の透明絶縁基板からなった液晶パネルを必須に備え、電界生成電極間の電場変化を通じて液晶分子の配向を人為的に調節し、この過程で変化する光の透過率を利用して様々な画像を表示する。
【0004】
液晶パネルの上下面にはそれぞれ液晶表示装置の液晶配向変化を可視化する偏光フィルムが配置される。偏光フィルムは、透過側と一致する偏光成分の光を透過させる。液晶表示装置は液晶パネルの上下面に配置された偏光フィルムの透過軸の配置と液晶の配列特性とによって光の透過程度を決定する。
【0005】
業界に知られた多様な方式によって製造されたロール状の偏光フィルム(以下、「偏光フィルムロール」と称する)は、機械式カッター(例えば、裁断プレスまたはスーパーカッター)によって対応する液晶表示装置のサイズごとに裁断(切断)されるべきである。
【0006】
ところが、偏光フィルムロールを裁断プレスやスーパーカッターのような機械式カッターで切断する場合、切断された面は面取り工程を経なければならず、偏光フィルムロールの切断過程で多量の粉塵が発生するので、追加工程コスト及び環境処理コストが発生する。これは、生産コストの上昇及び生産性低下をもたらす。これを改善するために、最近にはレーザーを用いて偏光フィルムロールを切断する装置が開発されている。そして、偏光フィルムロールをレーザーを利用して切断する場合、吸着プレートの上に移送され停止された偏光フィルムロールを真空ポンプによって発生する真空圧で吸着してロールフィルムの位置を固定する。
【0007】
ところが、従来偏光フィルムロールを吸着固定する吸着装置は、移送される偏光フィルムロールの幅に関係なく吸着プレートの全長にかけて真空圧を付与することから、幅が狭い偏光フィルムロールの場合には、偏光フィルムロールが置かれずに大気に露出した吸着プレートの吸着孔を通して周囲の異物が吸い込まれてきて吸着プレートまたは吸着部材の配管を塞いだり、吸着プレートを汚染させる問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上述した問題点を解決するために創案されたものであって、ロールフィルム切断システムでロールフィルムを吸着する吸着部材が、ロールフィルムが置かれなかった部分には真空を印加しないことで、不要な真空によって真空ラインが塞がれる現象、及び吸着部材の汚染を防止し、エネルギー浪費を削減できるように改善したロールフィルム切断システムのロールフィルム吸着装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記のような課題を達成するための本発明の望ましい例示的実施例によるロールフィルム切断システムのロールフィルム吸着装置は、走行するロールフィルムを幅方向に切断可能なロールフィルム切断システムのロールフィルム吸着装置において、上記ロールフィルムの位置を真空によって固定するための複数の吸着孔が設けられた吸着部材と、上記吸着孔と真空ポンプとを連結する複数の真空ラインと、上記ロールフィルムが置かれる吸着孔には真空を印加し、上記ロールフィルムが置かれない吸着孔には真空を印加しないように構成された真空分割部材とを備える。
【0010】
望ましくは、上記吸着孔は、切断する上記ロールフィルムの最小幅に該当する領域に形成された共通吸着孔及び上記共通吸着孔に隣接して位置した少なくとも一つの拡張吸着孔を含み、上記真空ラインは、上記共通吸着孔に連通する共通真空ライン及び上記拡張吸着孔に連通する拡張真空ラインを含み、上記真空分割部材は、上記共通真空ラインを同時にオン/オフさせることができる共通バルブ及び上記拡張真空ラインを個別的にオン/オフさせることができる少なくとも一つの拡張バルブを備える。
【0011】
望ましくは、上記共通吸着孔は、上記吸着部材の長手方向の中心に配置され、上記拡張吸着孔は、上記共通吸着孔を中心にして上記吸着部材の両端に向けて互いに隣接して順次配置される。
【0012】
望ましくは、上記共通吸着孔は、上記吸着部材の何れか一端を含むように配置され、上記拡張吸着孔は、上記共通吸着孔から上記吸着部材の他端に向けて互いに隣接して順次配置される。
【0013】
望ましくは、上記真空ラインのそれぞれは、大気に露出するように分岐され、分岐バルブによってそれぞれ開閉可能な分岐ラインをさらに備える。
【0014】
望ましくは、ロールフィルム吸着装置は、上記ロールフィルムの幅方向に移動可能に配置され、レーザービームを照射可能なレーザーヘッドをさらに備える。
【0015】
望ましくは、上記吸着部材は、上記レーザーヘッドから照射されるレーザービームが通過可能なギャップを形成するように互いに離隔して配置され、それぞれ上記吸着孔が予め定められたパターンで設けられた一対の吸着プレートを備える。
【0016】
望ましくは、上記吸着プレートのそれぞれは、上記ロールフィルムの進行方向に対して傾くように穿孔された複数の傾斜長孔が形成された吸着パッドを備える。
【0017】
望ましくは、上記吸着プレートのそれぞれは、長手方向の中心領域に形成された複数の「王」字状の吸着孔と、上記中心領域から両端にそれぞれ配置された複数の直線長孔型吸着孔とを持つ吸着パッドを備える。
【0018】
望ましくは、上記吸着プレートのそれぞれは、上記中心領域で互いに合うように互いに対称的に分割された2つのピースを含む。
【0019】
望ましくは、上記ロールフィルムは、偏光フィルムロールまたは立体映像ディスプレイ機器用のパターン化されたリターダ(patterned retarder)フィルムロールである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によるロールフィルム切断システムのロールフィルム吸着装置は、多様な幅を持つ多様なサイズのロールフィルムに適用できるロールフィルム切断システムにおいて、ロールフィルムの幅が狭いか広い場合に対応してロールフィルムが置かれなかった吸着部材部分には真空を印加しないことで、真空ラインが塞がれる現象を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
上述の本発明の要約だけでなく、後述する本発明の望ましい実施例の詳細な説明は添付した図面を参照すればさらによく理解できるであろう。本出願の望ましい例示的実施例によるロールフィルム切断システムのロールフィルム吸着装置を説明するために、望ましい実施例の図面が図示される。しかし、本出願はそのような図面に示された正確な装置及び手段にのみ限定されないと理解すべきである。
【図1】本発明の望ましい例示的実施例によるロールフィルム切断システムを概略的に示す全体構成図である。
【図2】図1に示すロールフィルム切断システムのレーザーカッター部分を抜粋して示す斜視図である。
【図3】図2の正面図である。
【図4】本発明の望ましい例示的実施例によるロールフィルム吸着装置の真空分割部材を概略的に示す構成図である。
【図5】本発明の他の望ましい例示的実施例によるロールフィルム吸着装置の真空分割部材を概略的に示す構成図である。
【図6】本発明の望ましい例示的実施例による吸着部材の変形例を概略的に示す斜視図である。
【図7】図6の吸着部材の分離平面図である。
【図8】図6の吸着部材の正面の一部抜粋断面図である。
【図9】図7のIX‐IX´線から見た断面図である。
【図10】図6から図9に示す吸着部材に真空分割部材320が加えられた構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下の詳細な説明で使われた特定の用語は便宜を図るためのものであって制限的なものではない。「右」、「左」、「上面」及び「下面」との単語は参照した図面における方向を示す。「内側に」及び「外側に」との単語はそれぞれ指定された装置、システム及びその部材の幾何学的中心に向かうか、それから遠ざかる方向を示す。「前方」、「後方」、「上方」、「下方」及びその関連単語または語句は参照した図面における位置及び方位を示すものであって制限的なものではない。このような用語は前記で挙げられた単語、その派生語及び類似した意味の単語を含む。
【0023】
本発明の特定の例示的実施例は、図面を参照しながら説明する。
【0024】
図1は、本発明の望ましい例示的実施例によるロールフィルム切断システムを概略的に示す全体構成図である。
【0025】
図1を参照すれば、ロールフィルム切断システム1は、ロール状に巻き取りされたロールフィルムを回転可能に支持して供給する巻き出し(unwinding)装置10と、巻き出し装置10から供給されるロールフィルムFを平らに伸ばす一方、ロールフィルムFが停止または移動する場合、ロールの一定のテンションを制御することができるダンサー(dancer)装置20と、ダンサー装置20を介して伸びたロールフィルムを一定の速度で一定に移送させる一方、ロールフィルムの進行方向の寸法精度を決定するインフィード(infeed)装置30と、インフィード装置30によって移送されるロールフィルムに、裁断する部分(例えば、幅方向の裁断線またはマーキングライン)をマーキングし検査するマーキング検査装置40と、マーキング検査装置40でマーキングされたマーキングラインに沿ってロールフィルムFをレーザービームで切断するレーザーカッター50と、レーザーカッター50によってロールフィルムFから切断されて形成された分離されたフィルムを排出する排出装置60と、排出装置60から排出されたフィルムを移送して包装容器に入れて包装する包装装置70とを備える。
【0026】
本発明の望ましい例示的実施例による切断副産物除去装置100は、レーザーカッター50とともに作動する。従って、巻き出し装置10、ダンサー装置20、インフィード装置30、マーキング検査装置40、排出装置60及び包装装置70は、ロールフィルム切断システムの一般的な構成であるので、本明細書ではその詳細な説明を省略する。
【0027】
本実施例で説明されるロールフィルムFは、ディスプレイ機器に使われる 偏光フィルムロール、または立体映像ディスプレイ機器用のパターン化されたリターダフィルムロールである。しかし、ロールフィルムFは、包装紙、産業材、ビニル紙、その他のシート状フィルムを含み得ることを当業者はよく理解できるであろう。
【0028】
図2は図1に示すロールフィルム切断システムのレーザーカッター部分を抜粋して示す斜視図であり、図3は図2の正面図である。図2及び図3には、本発明の望ましい例示的実施例によるロールフィルム吸着装置の他の構成要素(真空ポンプ、真空ライン及びバルブ)はその図示を省略し、これに対しては後述する。
【0029】
図2及び図3を参照すれば、レーザーカッター50は、フレーム110に設けられたレーザーソース122と、レーザーソース122から放射されるレーザービームの方向を変化させるためにフレーム110に設けられた光反射組立体124と、フレーム110に設けられたリニアモーター111によってロールフィルムFの幅方向に往復移動可能に設けられた移動ブロックに設けられ、光反射組立体124の端からレーザービームを受光する受光部と、ロールフィルムFの方にレーザービームを照射するレーザーヘッド125とを備える。
【0030】
レーザーソース122は、切断対象ロールフィルムFの厚さ範囲に適用性が高く、亀裂及び表示欠陥が発生しないようにするためにCOレーザーを使用する。なお、レーザーソース122は現在当業界に知られているか、これから開発されるすべてのレーザービーム発生装置を含むことを当業者は十分理解できるであろう。
【0031】
光反射組立体124は、複数の反射鏡から構成され、レーザーソース122から放射されるレーザービームの方向を変化させるためにレーザーソース122の端に設けられた第1光反射部126と、第1光反射部126と直交するように配置された第2光反射部128と、レーザーヘッド125の受光部と対応するように設けられた第3光反射部121とを備える。これによって、レーザーヘッド125の受光部と第3光反射部121とは同一線上に位置するように設定される。従って、レーザーヘッド125がリニアモーター111によってロールフィルムFの幅方向に移動しても、第3光反射部121を介して出光されるレーザービームはレーザーヘッド125の受光部に安定的に伝達できる。
【0032】
端のレーザーノズルがロールフィルムFに向かうように、レーザーヘッド125はリニアモーター111に結合された移動ブロックに垂直に配置される。レーザーヘッド125は、必要に応じてロールフィルムFの幅方向だけでなく、その長手方向に移動可能に構成できることは当業者は十分理解できるであろう。
【0033】
フレーム110は、ベースフレーム112に複数の支持フレーム114が結合され、支持フレーム114に設けられたメインフレーム116を備える。メインフレーム116の内部空間には、ロールフィルムFから分離された偏光フィルムを移送するための移送コンベヤー(図示せず)が設けられる。また、上述のレーザーカッターの主要部品はメインフレーム116の上面に設けられる。
【0034】
本発明の望ましい実施例によるロールフィルム吸着装置300は、上述のように、レーザーカッター50のレーザーヘッド125によってロールフィルムFが幅方向に切断される前に、ロールフィルムの位置を真空によって固定するためのものであって、供給されるロールフィルムFを吸着固定することができ、レーザーヘッド125から照射されるレーザービームが通過可能なギャップ(C)が設けられ、複数の吸着孔132が設けられた吸着部材130を備える。
【0035】
吸着部材130は、レーザーカッター50のレーザーヘッド125に対向するようにロールフィルムFの幅方向に長く配置される。吸着部材130は複数の真空吸着孔132が予め定められたパターンでそれぞれ設けられ、ギャップ(C)を形成できるように互いに所定間隔(例えば、4mmから8mm)離隔して配置された一対の吸着プレートを備える。
【0036】
吸着部材130はフレーム110を横切って設けられ、互いに離隔して配置された一対の吸着フレーム139と、各々の吸着フレーム139に設けられた吸着ブラケットと、ロールフィルムFの下面が接触するように吸着ブラケットにそれぞれ設けられ、複数の真空吸着孔132が所定パターンで設けられた吸着パッド133・135とを備える。各々の吸着パッド133・135に設けられる真空吸着孔132は、ロールフィルムFの進行方向に対して所定の角度だけ傾くように形成された長孔形状である。また、真空吸着孔132は真空ポンプ(310:図4参照)と連通する。
【0037】
本発明の望ましい例示的実施例によるロールフィルム切断システム1のレーザーカッター50は、副産物を吸入できるように吸着部材130のギャップ(C)の方に選択的に接近または離隔可能に設けられた吸入部材140と、吸入部材140を往復移動させるようにフレーム110に設けられた往復移動部材150とを備える。
【0038】
吸入部材140は、吸着部材130のギャップ(C:図4参照)に近接して位置する吸入部142と、吸入部142と連通する吸入ボディー144と、吸入部142から吸入される副産物を外部に排出できるように吸入ボディー144に連通した排出部146とを備える。
【0039】
吸入部142は、吸着部材130のギャップ(C)に挿入できるように漏斗口のように細長い断面を有するフラットノズルと吸入ボディー144とを連結する漏斗部を備える。フラットノズルは、吸入部材140と干渉しない程度に十分な高さを有することが望ましい。漏斗部は、吸入ボディー144と密封結合される。吸入ボディー144は、ロールフィルムFの幅方向に長く延長される略直方体状を有する。排出部146は、吸入ボディー144の側面に設けられた4つの排出管を備える。各々の排出部146の各々の排出管は図示しない集塵部と連結され得る。吸入部142と連通した吸入ボディー144は吸入ブラケットに固定され、吸入ブラケットは後述する往復移動部材150の作動ロッド152に固定される。
【0040】
往復移動部材150は、吸着部材130に連結された作動ロッド152を含むアクチュエーター154と、吸着部材130の往復移動をガイドすることができるガイド棒156とを備える。アクチュエーター154は、空圧または油圧シリンダーを使用することが望ましい。また、アクチュエーター154はモーターに代替できることは当業者に自明である。アクチュエーター154とガイド棒156とは、吸着部材130を基準にして対称的にそれぞれ側面に一対で設けられる。また、図3に示すように、ガイド棒156は、排出管が設けられた面と対向する面に取り付けられる。従って、アクチュエーター154が作動すれば、吸入ブラケットはガイド棒156によって案内されて昇・下降することで、吸入部材140が往復移動できる。
【0041】
往復移動部材150は、ロールフィルムFが吸着部材130に吸着または解除されることによって吸入部材140を昇・下降させることで、吸入部材140の吸入部142の上端部レベルとロールフィルムFの底面レベルとの間隔を選択的に変化させる。すなわち、往復移動部材150は、ロールフィルムFが吸着部材130に吸着された状態でレーザーヘッド125がロールフィルムFを幅方向に切断した後、吸入部材140を所定間隔下方に移動させることで、吸入部材140の吸入部142の下部陰圧によって、ロールフィルムFを再び供給するときロールフィルムFの切断面が吸着部材130の吸着パッド135にかかる現象を防止するためのものである。
【0042】
図4は、本発明の望ましい例示的実施例によるロールフィルム吸着装置の真空分割部材を概略的に示す構成図である。
【0043】
図4を参照すれば、本実施例によるロールフィルム吸着装置300は、吸着孔132と真空ポンプ310とを連結する複数の真空ライン342、及びロールフィルムFが置かれる吸着孔132には真空を印加し、ロールフィルムFが置かれない吸着孔132には真空を印加しないように構成された真空分割部材320を備える。
【0044】
真空ポンプ310は、吸着部材130の一対の吸着パッド133・135の吸着孔132に真空を印加するためのものであって、通常のポンプ構造を有する。
【0045】
吸着部材130の吸着孔132は、共通吸着孔332と拡張吸着孔334とに分離され、共通吸着孔332は吸着部材130の吸着パッド133・135の長手方向の中心に配置され、拡張吸着孔334は共通吸着孔332を中心にして吸着部材130の吸着パッド133・135の両端に向けて互いに隣接して順次配置される。共通吸着孔332は切断するロールフィルムFの最小幅(Ws)(Ls)に該当する吸着パッド133・135の長さほどに設定され、拡張吸着孔334は切断システム1に使用できるロールフィルムFの幅が広くなるほど漸次拡張調節可能に設定される。
【0046】
真空ライン340は、共通吸着孔332に連通する共通真空ライン342と、拡張吸着孔334に連通した複数の拡張真空ライン344とを含む。また、真空ライン340のそれぞれは大気に露出するように分岐された分岐ライン346を含み、各々の分岐ライン346は分岐バルブA1・A2・A3・A4・A5によって開閉できる。
【0047】
真空分割部材320は、共通真空ライン342を同時にオン/オフさせることができる共通バルブV1と、拡張真空ライン344を個別的にオン/オフさせることができる複数の拡張バルブV2・V3・V4・V5と、分岐ライン346を個別的にオン/オフさせることができる分岐バルブA1・A2・A3・A4・A5とを備える。
【0048】
共通バルブV1、拡張バルブV2・V3・V4・V5、及び分岐バルブA1・A2・A3・A4・A5は、図示しない制御部によって制御される。各々の分岐バルブA1・A2・A3・A4・A5は、共通バルブV1及び拡張バルブV2・V3・V4・V5に対応する位置に複数設置され得る。そして、共通バルブV1及び拡張バルブV2・V3・V4・V5も各々の吸着孔132に対応する位置に複数設置され得る。
【0049】
本実施例において、一対の吸着パッド133・135で互いに向かい合う吸着孔132は一つのユニットを形成し、このような一つのユニットは一つの真空ライン340に連結されることと示されているが、各々の吸着パッド133・135に設けられた吸着孔132にそれぞれ一つの真空ライン340が連結されるか、或いは隣接する吸着孔132を含む複数の吸着孔132を一つのグループとして形成し、この一つのグループに一つの真空ライン340が連結できることを当業者はよく理解できるであろう。
【0050】
以下、ロールフィルム吸着装置300において、真空ポンプ310を用いて吸着プレートの吸着孔132に真空を印加するか解除する動作を説明する。
【0051】
まず、ロールフィルムFが吸着部材130の吸着パッド133・135の上に進入した後、真空ポンプ310を作動させる。次いで、吸着パッド133・135の吸着孔132に真空を印加するためには、分岐バルブA1・A2・A3・A4・A5を閉め、真空バルブV1・V2・V3・V4・V5を開放させて真空を印加し始める。分岐バルブA1・A2・A3・A4・A5が閉まった状態で真空バルブV1・V2・V3・V4・V5を閉めれば、吸着孔132に連結された真空ライン340に真空が維持されて吸着パッド133・135の表面に置かれたロールフィルムFは吸着パッド133・135の表面にくっつくことになる。ここで、真空バルブV1・V2・V3・V4・V5を閉める時間は約1秒になるように制御する。
【0052】
この状態でレーザーヘッド125がロールフィルムFの幅方向に移動しながらロールフィルムFを切断すれば、切断されたロールフィルムFを移動させるために吸着パッド133・135の吸着孔132の真空を解除しなければならない。このために、まず、分岐バルブA1・A2・A3・A4・A5を開放し、真空バルブV1・V2・V3・V4・V5を閉まった状態にして真空を解除する。最後に、真空バルブV1・V2・V3・V4・V5が閉まった状態で分岐バルブA1・A2・A3・A4・A5を閉めれば、分離されたフィルムまたは切断するロールフィルムFを移送させることができる。
【0053】
以下、ロールフィルム吸着装置300の真空分割部材320の作動を説明する。上述のように、真空分割部材320は、吸着部材130の吸着パッド133・135の長さよりもロールフィルムFの幅が狭い場合、ロールフィルムFが置かれない吸着孔132には真空を印加せずに、ロールフィルムFが置かれる吸着孔132のみに真空を印加するためのものである。
【0054】
例えば、図4に示すように、最小幅(Ws)のロールフィルムを切断する場合、拡張真空ライン344に設けられた拡張バルブV2・V3・V4・V5及びこれに対応する分岐ライン346に設けられた分岐バルブA2・A3・A4・A5を閉め、共通真空ライン342に設けられた共通バルブV1及びこれに対応する分岐ライン346に設けられた分岐バルブA1を開閉して、ロールフィルムFを吸着パッド133・135に吸着させて固定した後、レーザーヘッド125を用いてレーザービームを照射してロールフィルムFを切断する。
【0055】
一方、最小幅(Ws)より広い幅のロールフィルムFを切断する場合、共通真空ライン342に設けられた共通バルブV1及びこれに対応する分岐ライン346に設けられた分岐バルブA1を開閉し、ロールフィルムFの幅に適した適当な数の拡張バルブV2・V3・V4・V5及びこれに対応する分岐バルブA2・A3・A4・A5を開閉しながら、ロールフィルムFを吸着プレート110に吸着させて固定した後、レーザーヘッド125を用いてレーザービームを照射してロールフィルムFを切断する。このとき、フィルムロールFが移送されて吸着パッド133・135の上に定位置されれば、分岐バルブA1・A2・A3・A4・A5を閉め、真空バルブV1・V2・V3・V4・V5を開けてから真空ポンプ310を稼動して真空を印加し始め、適正な真空圧でフィルムロールFを吸着することができる吸着力が生じれば、真空バルブV1・V2・V3・V4・V5を閉めて吸着力を維持し、レーザーヘッド125を用いて偏光フィルムを切断した後、分岐バルブA1・A2・A3・A4・A5を開けて真空を解除した後、切断されたフィルムを移送して排出する。そして、分岐バルブA1・A2・A3・A4・A5を閉めて元の状態に維持しながら次の切断作業のためにロールフィルムFを移送する。
【0056】
図5は、本発明の他の望ましい例示的実施例によるロールフィルム吸着装置の真空分割部材を概略的に示す構成図である。図4で説明した部材番号と同一の構成要素は同一の機能を持つ同一部材である。
【0057】
図5を参照すれば、吸着孔132は、吸着プレートの右側端を含むように配置され、切断される最小幅(Ws)のロールフィルムFに該当する長さ(Ls)だけ形成された共通吸着孔332と、最左側の共通吸着孔332から吸着部材130の左側端に向けて互いに隣接して順次配置された拡張吸着孔334とに分けられる。
【0058】
図6は本発明の望ましい例示的実施例による吸着部材の変形例を概略的に示す斜視図であり、図7は図6の吸着部材の分離平面図であり、図8は図6の吸着部材の正面の一部抜粋断面図であり、図9は図7のIX‐IX´線から見た断面図である。
【0059】
図6から図9を参照すれば、本発明の変形された実施例による吸着部材430は、互いに所定間隔C離隔されるように配置された一対の吸着パッド432・434を備える。
【0060】
各々の吸着パッド432・434は、対応する吸着ブラケットに取り付けるための長孔431と、長手方向の中心領域に形成された複数の「王」字状の孔から構成された複数の共通吸着孔436と、中心領域から両端にそれぞれ配置された複数の直線長孔から構成された拡張吸着孔438とを有する。
【0061】
共通吸着孔436はより広い面積にわたってロールフィルムFを吸着するためのものであり、拡張吸着孔438はロールフィルムFの長手方向と平行に配置されてロールフィルムのサイズ拡張性を追従するためのものである。
【0062】
図7に示すように、各々の吸着パッド432・434は、吸着プレートの中心領域で互いに合うように互いに対称的に分割された2つのピース435・437を含む。
【0063】
図10は、図6から図9に示す吸着部材に真空分割部材が加えられた構成図である。図4及び図6で説明した部材番号と同一の構成要素は同一の機能を持つ同一部材である。従って、具体的な説明は省略する。
【0064】
このように構成された本発明の望ましい例示的実施例によるロールフィルム切断システムの切断動作を説明する。
【0065】
まず、図3に示すように、ロールフィルムFが図示しない移送手段(コンベヤー)によって吸着部材130の吸着プレートの上を通ってメインフレーム116の内部に移送されるとき、吸入部材140の吸入部142は往復移動部材150のアクチュエーター154によって吸着部材130のギャップ(C)の間で下降されている。これは、ロールフィルムFが投入されるか、切断されたロールフィルムFが前方(図3の右側)に進むとき、吸入部材140の吸引力によってロールフィルムFの端が右側の吸着プレート(吸入パッド135)にかかることを防止するためである。従って、ロールフィルムFの端は、右側の吸着プレートにかかることなくスムーズに進める。
【0066】
次いで、ロールフィルムFが定められた位置(切断位置)に移送が完了すれば、図示しないセンサーの感知及び制御部の制御によって移送手段(コンベヤー)の作動が止まる。すると、往復移動部材150のアクチュエーター154は、吸入部142の端がロールフィルムFの下面に近接するように吸入部材140を上昇させる。
【0067】
そして、制御部は、吸着部材130を作動させて真空吸着孔132を通してロールフィルムFの位置を固定する。これと同時に、制御部は吸入部材140を作動させて吸入部142を通してレーザーヘッド125によって切断される副産物を吸入する準備をする。
【0068】
次いで、レーザーヘッド125は、ロールフィルムFの幅方向に移動しながらロールフィルムFを幅方向に切断する。この過程において、発生する切断副産物は吸着部材130の吸着プレートの間に位置した吸入部材140の吸入部142を通して吸入され、吸入ボディー144及び排出部146を通して排出される。
【0069】
本発明の上述した実施例は、レーザーを用いた切断システムを例として説明されているが、機械式カッターを用いた切断システムにも使用できることを当業者は十分理解できるであろう。
【0070】
上述の詳細な説明及び図面は本発明の望ましい実施例を示す一方、添付した請求項で定義されたように、本発明の思想及び範囲を逸脱しない限り、多様な付加物、変形物、組み合わせ及び/または代替物があり得ることを理解すべきである。特に、本発明は他の要素、物質、成分を利用して本発明の必須特徴から逸脱しない範囲内で、他の特定の形態、構造、配列、比率として具現できることを当業者は理解できるであろう。本発明の原則を逸脱しない限り、特定の環境及び作動条件に特に適するようになった構造、配列、比率、物質、成分の多くの変形とともに、本発明が使用できることを当業者は理解できるであろう。また、本明細書で説明された特徴は単独で使うこともでき、他の特徴と組み合わせて使うこともできる。例えば、一つの実施例に関連して説明された特徴は、他の実施例で説明された特徴とともに、及び/または相互交換されて使われ得る。従って、現在開示された実施例はすべての面において制限的ものではなく説明的なものとして見なされるべきであり、発明の範囲は添付した請求範囲によって示されるが、上述の詳細な説明によって限定されてはいけない。
【0071】
添付した請求範囲の広い範囲を逸脱しない限り本発明の多様な変形及び変更が可能なのは当業者は理解できるであろう。このようなもののうち何れかは既に上述されており、その他のものは当業者に明白であろう。
【符号の説明】
【0072】
1…ロールフィルム切断システム
10…巻き出し装置
20…ダンサー装置
30…インフィード装置
40…マーキング検査装置
50…レーザーカッター
60…排出装置
70…包装装置
100…切断副産物除去装置
110…フレーム
111…リニアモーター
112…ベースフレーム
114…支持フレーム
116…メインフレーム
122…レーザーソース
124…光反射組立体
125…レーザーヘッド
130、430…吸着部材
132…吸着孔
133、135、230…吸着パッド
139…吸着フレーム
140…吸入部材
142…吸入部
144…吸入ボディー
146…排出部
150…往復移動部材
152…作動ロッド
154…アクチュエーター
156…ガイド棒
310…真空ポンプ
320…真空分割部材
432、434…吸着パッド
436…共通吸着孔
438…拡張吸着孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行するロールフィルムを幅方向に切断可能なロールフィルム切断システムのロールフィルム吸着装置において、
前記ロールフィルムの位置を真空によって固定するための複数の吸着孔が設けられた吸着部材と、
前記吸着孔と真空ポンプとを連結する複数の真空ラインと、
前記ロールフィルムが置かれる吸着孔には真空を印加し、前記ロールフィルムが置かれない吸着孔には真空を印加しないように構成された真空分割部材とを備えることを特徴とするロールフィルム切断システムのロールフィルム吸着装置。
【請求項2】
前記吸着孔は、切断する前記ロールフィルムの最小幅に該当する領域に形成された共通吸着孔及び前記共通吸着孔に隣接して位置した少なくとも一つの拡張吸着孔を含み、
前記真空ラインは、前記共通吸着孔に連通する共通真空ライン及び前記拡張吸着孔に連通する拡張真空ラインを含み、
前記真空分割部材は、前記共通真空ラインを同時にオン/オフさせることができる共通バルブ及び前記拡張真空ラインを個別的にオン/オフさせることができる少なくとも一つの拡張バルブを備えることを特徴とする請求項1に記載のロールフィルム切断システムのロールフィルム吸着装置。
【請求項3】
前記共通吸着孔は、前記吸着部材の長手方向の中心に配置され、
前記拡張吸着孔は、前記共通吸着孔を中心にして前記吸着部材の両端に向けて互いに隣接して順次配置されることを特徴とする請求項2に記載のロールフィルム切断システムのロールフィルム吸着装置。
【請求項4】
前記共通吸着孔は、前記吸着部材の何れか一端を含むように配置され、
前記拡張吸着孔は、前記共通吸着孔から前記吸着部材の他端に向けて互いに隣接して順次配置されることを特徴とする請求項2に記載のロールフィルム切断システムのロールフィルム吸着装置。
【請求項5】
前記真空ラインのそれぞれは、大気に露出するように分岐され、分岐バルブによってそれぞれ開閉可能な分岐ラインをさらに備えることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載のロールフィルム切断システムのロールフィルム吸着装置。
【請求項6】
前記ロールフィルムの幅方向に移動可能に配置され、レーザービームを照射可能なレーザーヘッドをさらに備えることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載のロールフィルム切断システムのロールフィルム吸着装置。
【請求項7】
前記吸着部材は、
前記レーザーヘッドから照射されるレーザービームが通過可能なギャップを形成するように互いに離隔して配置され、それぞれ前記吸着孔が予め定められたパターンで設けられた一対の吸着プレートを備えることを特徴とする請求項6に記載のロールフィルム切断システムのロールフィルム吸着装置。
【請求項8】
前記吸着プレートのそれぞれは、前記ロールフィルムの進行方向に対して傾くように穿孔された複数の傾斜長孔が形成された吸着パッドを備えることを特徴とする請求項7に記載のロールフィルム切断システムのロールフィルム吸着装置。
【請求項9】
前記吸着プレートのそれぞれは、長手方向の中心領域に形成された複数の「王」字状の吸着孔と、前記中心領域から両端にそれぞれ配置された複数の直線長孔型吸着孔とを持つ吸着パッドを備えることを特徴とする請求項7に記載のロールフィルム切断システムのロールフィルム吸着装置。
【請求項10】
前記吸着プレートのそれぞれは、前記中心領域で互いに合うように互いに対称的に分割された2つのピースを含むことを特徴とする請求項9に記載のロールフィルム切断システムのロールフィルム吸着装置。
【請求項11】
前記ロールフィルムは、偏光フィルムロールであることを特徴とする請求項1から10の何れか1項に記載のロールフィルム切断システムのロールフィルム吸着装置。
【請求項12】
前記ロールフィルムは、立体映像ディスプレイ機器用のパターン化されたリターダフィルムロールであることを特徴とする請求項1から10の何れか1項に記載のロールフィルム切断システムのロールフィルム吸着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−765(P2012−765A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−132940(P2011−132940)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【出願人】(511144837)エヌエス カンパニー リミテッド (3)
【Fターム(参考)】