説明

ロールプリンティング用インク組成物

【課題】従来のロールプリンティング法は、ロールプリンティングによるパターン転写時にブランケットから基板に円滑にパターンを転写するために表面張力の低いPDMS(polydimethylsilosane)などの材料をブランケットとして用いるため、インクの表面張力がブランケット材料より低くならないと良好なコーティング結果を得ることができない。よって、ロールプリンティング用インク組成物がブランケット表面より低い表面張力を有するようにするためには、インク組成物内に表面張力を下げる効果に優れた界面活性剤を添加して使わなければならない。
【解決手段】本発明は、ロールプリンティング用インク組成物に関し、より詳しくは、フルオロ基を含むアクリル共重合樹脂、エチレン性不飽和二重結合を有する多官能性アクリルモノマー、熱重合開始剤、着色剤、および溶媒を含むロールプリンティング用インク組成物に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロールプリンティング用インク組成物に関し、より詳しくは、フルオロ基を含むアクリル共重合体樹脂、エチレン性不飽和二重結合を有する多官能性アクリルモノマー、熱重合開始剤、着色剤、および溶媒を含むロールプリンティング用インク組成物に関するものである。
【0002】
本出願は2007年5月14日に韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10−2007−46318号の出願日の利益を主張し、その内容の全ては本明細書に含まれる。
【背景技術】
【0003】
今日のような情報化社会において電子表示装置(electronic display device)の役割は益々重要になり、各種電子表示装置は多様な産業分野に広範囲に使用されている。このような電子ディスプレイ分野は発展を重ね、多様化する情報化社会の要求に適した新機能の電子表示装置として持続的に開発されている。
【0004】
一般的に、電子表示装置とは視覚を通して多様な情報を人間に伝達する装置のことをいう。すなわち、各種電子機器から出力される電気的情報信号を人間の視覚で認識可能な光情報信号に変換する電子装置と定義することができ、人間と電子機器を連結する架橋的な役割を担当する装置と定義することもできる。
【0005】
このような電子表示装置は、光情報信号が発光現象によって表示される場合には発光型表示装置(emissive display)と言い、反射、散乱、または干渉現象などの光変調で表示される場合には受光型表示装置(non−emissive display)と言う。能動型表示装置とも言われる前記発光型表示装置としては、陰極線管(cathode ray tube;CRT)、プラズマディスプレイパネル(plasma display panel;PDP)、発光ダイオード(light emitting diode;LED)、またはエレクトロルミネセントディスプレイ(electroluminescent display:ELD)などを挙げることができる。また、受動型表示装置である前記受光型表示装置としては、液晶表示装置(liquid crystal display;LCD)、エレクトロケミカルディスプレイ(electrochemical display:ECD)、または電気泳動表示装置(electrophoretic image display:EPID)などを挙げることができる。
【0006】
テレビやコンピュータ用モニターなどのような画像表示装置に使用される最も長い歴史を有する表示装置である陰極線管(CRT)は、表示品質及び経済性などの面で一番高い占有率を有しているが、大きい重量、大きい容積及び高い消費電力などのような数多い問題点を有している。
【0007】
しかし、半導体技術の急速な進歩によって各種電子装置の固体化、低電圧及び低電力化と共に電子機器の小型化及び軽量化に従って新しい環境に適合する電子表示装置が必要となった。すなわち、薄くて軽くかつ低い駆動電圧及び低い消費電力の特性を備えた平板パネル(flat panel)型表示装置に対する要求が急激に増大している。
【0008】
現在開発された様々な平板表示装置のうちの液晶表示装置は、他の表示装置に比べて薄くて軽く、低い消費電力および低い駆動電圧を備えていると同時に、陰極線管に近い画像表示が可能であるため、多様な電子装置に広範囲に使用されている。また、液晶表示装置は製造が容易であるため、さらにその適用範囲を拡張している。
【0009】
このような液晶表示装置はカラー化のために赤色(R)、緑色(G)、および青色(B)の三原色からなるカラーフィルタを必要とする。
【0010】
前記赤、緑、および青の三原色からなる各々のフォトレジストを用いてカラーフィルタを製造する従来のフォトリソグラフィ法は、ガラス基板上に形成されたブラックマトリックスによって区切られた画素部に赤、緑、および青各々のフォトレジスト組成物をコーティング、露光、および現像などの工程を行う。前記フォトリソグラフィ法は、材料の浪費と複雑な工程を行い、高価な装備を使うため、液晶表示素子の製造時に時間および費用において相当な部分を占める。
【0011】
最近では従来のフォトリソグラフィ方式に代わる色々な新たな工程方式が使われているが、代表的なものがロールプリンティング方式である。
【0012】
しかし、従来のロールプリンティング法は、ロールプリンティングによるパターン転写時にブランケットから基板に円滑にパターンを転写するために表面張力の低いPDMS(polydimethylsilosane)などの材料をブランケットとして用いるため、インクの表面張力がブランケット材料より低くならないと良好なコーティング結果を得ることができない。よって、ロールプリンティング用インク組成物がブランケット表面より低い表面張力を有するようにするためには、インク組成物内に表面張力を下げる効果に優れた界面活性剤を添加して使わなければならない。しかし、この場合、前記界面活性剤成分とロールプリンティング用インク組成物に含まれている顔料あるいは分散剤およびバインダー樹脂などの構成成分との相溶性および消泡性が落ち、ブランケット上にコーティングする時にコーティング表面または内部に穴(Hole)が発生したり顔料塊が生じたりする場合がある。
【特許文献1】韓国特許出願第10−2007−46318号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明者らはロールプリンティング用インク組成物を製造する時、フルオロ基を含むアクリル共重合体樹脂を用いるとブランケット上にインクをコーティングする時に相溶性および消泡性が改善され、コーティング表面の穴または顔料塊などのコーティング不良が発生しないことを見出した。そこで、本発明は、フルオロ基を含むアクリル共重合体樹脂、エチレン性不飽和二重結合を有する多官能性アクリルモノマー、熱重合開始剤、着色剤、および溶媒を含むロールプリンティング用インク組成物を提供することを目的とする。また、前記ロールプリンティング用インク組成物を用いたカラーフィルタの製造方法、それによって製造されたカラーフィルタ、およびそれを含む液晶表示素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、下記化学式1:
【0015】
【化1】

【0016】
[式中、R、R、Rは各々独立して水素原子またはメチル基であり、
はフルオロ基を含む炭素数1〜8個のアルキル基または芳香族基であり、
m、n、lは整数であって、モル比(m:n:l)は60〜70:15〜34:l〜15であり、
前記共重合体樹脂の数平均分子量は5,000〜50,000である]
で示されるフルオロ基を含むアクリル共重合体樹脂、エチレン性不飽和二重結合を有する多官能性アクリルモノマー、熱重合開始剤、着色剤、および溶媒を含むロールプリンティング用インク組成物を提供する。
【0017】
また、本発明は、
(a)基板上にブラックマトリックスパターンを形成するステップ;
(b)ロールプリンティング法を用い、前記ブラックマトリックスによって区切られた画素部に前記化学式1で示されるフルオロ基を含むアクリル共重合体樹脂、エチレン性不飽和二重結合を有する多官能性アクリルモノマー、熱重合開始剤、着色剤、および溶媒を含むロールプリンティング用インク組成物をコーティングおよび転写してパターン化するステップ;および
(c)前記パターン化したロールプリンティング用インク組成物を乾燥するステップを含むカラーフィルタの製造方法を提供する。
【0018】
なお、本発明は前記製造方法によって製造されたカラーフィルタを提供する。
【0019】
さらに、本発明は前記カラーフィルタを含む液晶表示素子を提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明のフルオロ基を含むアクリル共重合体樹脂、エチレン性不飽和二重結合を有する多官能性アクリルモノマー、熱重合開始剤、着色剤、および溶媒を含むロールプリンティング用インク組成物は、アクリル共重合体樹脂内に含まれているフルオロ基によって相溶性および消泡性を有するようになる。したがって、本発明によって製造されたカラーフィルタは分散安定性および表面改善を通じて液晶表示素子のカラー特性および表示品質を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0022】
本発明は、下記化学式1で示されるフルオロ基を含むアクリル共重合体樹脂、エチレン性不飽和二重結合を有する多官能性アクリルモノマー、熱重合開始剤、着色剤、および溶媒を含むロールプリンティング用インク組成物を提供する。
【0023】
本発明のロールプリンティング用インク組成物に用いられる前記フルオロ基を含むアクリル共重合体樹脂は下記化学式1:
【0024】
【化2】

【0025】
[本式で、R、R、Rは各々独立して水素原子またはメチル基であり、
はフルオロ基を含む炭素数1〜8個のアルキル基または芳香族基であり、
m、n、lは整数であって、モル比(m:n:l)は60〜70:15〜34:l〜15であり、
前記共重合体樹脂の数平均分子量は5,000〜50,000である]
で示すことができる。
【0026】
前記化学式1で示されるアクリル共重合体樹脂はフルオロ基を含んでいる。前記アクリル共重合体樹脂内のフルオロ基は、本発明のロールプリンティング用インク組成物の相溶性および消泡性を有するようにする役割をする。具体的には、既存のインク組成物に用いられるフルオロ基が含まれた界面活性剤の場合、表面張力を下げる効果が非常に大きい反面、極性が低いために相対的に極性の大きい顔料およびその分散に用いられた分散剤との相溶性が落ちるようになり、それによって顔料塊や消泡性低下の問題が発生する。よって、コーティング時に表面が非常に粗くなり、内部に気泡が含まれた状態で薄膜が形成し得る。しかし、フルオロ基を含むアクリル共重合体樹脂を添加する場合、前記アクリル共重合体樹脂は表面張力を下げる役割をするフルオロ基を含んでいると同時に、顔料および分散剤、並びにその他のバインダー成分との相溶性を増加させる単量体構成分を含有しており、その結果、全体インク組成物の相溶性および分散性を引き上げ、コーティング時の顔料塊が生じず、表面が均一になり、膜内部の気泡も減少するようになる。
【0027】
前記化学式1で示されるフルオロ基を含むアクリル共重合体樹脂は、全体ロールプリンティング用インク組成物100重量部に対して1〜20重量部を添加することが好ましい。前記フルオロ基を含むアクリル共重合体樹脂の含量が1重量部未満である場合にはインク組成物の相溶性および消泡性が向上する効果は期待し難く、20重量部を超過する場合にはエチレン性不飽和二重結合を有する多官能性アクリルモノマーを含むその他の成分の含量が相対的に少なくなってフィルム強度が低下し得る。
【0028】
本発明では、前記フルオロ基を含むアクリル共重合体樹脂の他にフルオロ基を含まないアクリル共重合体樹脂をさらに含むことができる。前記フルオロ基を含まないアクリル共重合体樹脂は、酸基(acid function)を含むモノマーと前記モノマーと共重合できるモノマーを共重合して用いることができ、フォトリソグラフィとは異なり、アルカリによる現像工程を経ないため、特に酸基を含まなくても良い。
【0029】
前記酸基を含むモノマーは、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、モノメチルマレイン酸、イソプレンスルホン酸、およびスチレンスルホン酸からなる群から1種以上選択されることが好ましい。
【0030】
前記酸基を含むモノマーと共重合できるモノマーは、スチレン、クロロスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、アシルオクチルオキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エチルヘキシルアクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、p−ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、p−ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、β−(メタ)アシロール(acylol)オキシエチルハイドロジェンサクシネート、メチルα−ヒドロキシメチルアクリレート、エチルα−ヒドロキシメチルアクリレート、プロピルα−ヒドロキシメチルアクリレート、およびブチルα−ヒドロキシメチルアクリレートからなる群から1種以上選択されることが好ましい。
【0031】
前記フルオロ基を含まないアクリル共重合体樹脂としては、下記の化学式2:
【0032】
【化3】

【0033】
[本式で、R、Rは各々独立して水素原子またはメチル基であり、
m、nは整数であって、モル比(m:n)は70:30であり、
前記共重合体樹脂の数平均分子量は5,000〜50,000である]
または化学式3:
【0034】
【化4】

【0035】
[本式で、R、R、Rは各々独立して水素原子またはメチル基であり、
m、n、lは整数であって、モル比(m:n:l)は70:15:15であり、
前記共重合体樹脂の数平均分子量は5,000〜50,000である]
のように示される共重合体を例に挙げることができるが、それだけに限定されるものではない。
【0036】
また、前記フルオロ基を含まないアクリル共重合体樹脂の酸基にグリシジル官能基を有するモノマーを付加反応させ、熱硬化時にエチレン性不飽和二重結合を有する多官能性モノマーと共に付加重合可能なエチレン性不飽和反応性基を導入することができる。この時、使用可能なグリシジル官能基を有するモノマーとしては、グリシジル(メタ)アクリレート、ビニルベンジルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、4−メチル−4,5−エポキシペンテン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、およびノルボルニル誘導体からなる群から1種以上選択されることが好ましい。
【0037】
本発明においてフルオロ基を含まないアクリル共重合体樹脂は、酸価が0〜200KOH mg/g程度であり、数平均分子量は5,000〜50,000の範囲であることが好ましい。前記フルオロ基を含まない樹脂バインダーは、インク組成物100重量部に対して0超過〜20重量部以下を単独または2種以上を混合して用いることができる。
前記エチレン性不飽和二重結合を有する多官能性アクリルモノマーは、分子中に少なくとも1つ以上の付加重合可能な不飽和基を有する沸騰点が100℃以上である化合物またはカプロラクトンを導入した多官能性アクリルモノマーを用いることができる。
【0038】
前記分子中に少なくとも1つ以上の付加重合可能な不飽和基を有する沸騰点が100℃以上である化合物としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、またはフェノキシエチル(メタ)アクリレートなどの単官能性モノマー、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ネオペンチルグリコール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、またはジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどの多官能性モノマーを用いることができる。
【0039】
また、前記カプロラクトンを導入した多官能性アクリルモノマーとしては、ジペンタエリスリトールに導入したKAYARAD DPCA−20、30、60、120、テトラヒドロフリルアクリレートに導入したKAYARAD TC−110S、またはネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートに導入したKAYARAD HX−220、KAYARAD HK−620などを用いることができる。その他に使用可能な多官能性モノマーとしては、ビスフェノールA誘導体のエポキシアクリレート、ノボラック−エポキシアクリレート、ウレタン系の多官能性アクリレートとしてU−324A、U15HAまたはU−4HAなどを用いることができる。前記エチレン性不飽和二重結合を有する多官能性アクリルモノマーは単独または2種以上を混合して用いることもできる。
【0040】
前記エチレン性不飽和二重結合を有する多官能性アクリルモノマーは、ロールプリンティング用インク組成物100重量部に対して1〜20重量部を用いることが好ましい。前記エチレン性不飽和二重結合を有する多官能性アクリルモノマーの含量が1重量部未満である場合にはコーティングフィルムの強度が低下し、20重量部を超過する場合には樹脂層の粘着性が過剰になって、かえってフィルムの強度が低下し得る。
【0041】
本発明のロールプリンティング用インク組成物は熱重合開始剤を用いる。光重合開始剤を用いる場合にはインク組成物の硬化のために露光工程を導入しなければならず、そのためには、ロールプリンティング装備の他に附加装備として露光装置および露光のためのアライン装置を必要とするため、ロールプリンティング用インク組成物としては光重合開始剤の使用は適していない。
【0042】
本発明のインク組成物に用いられる熱重合開始剤としては、アゾ系化合物として、Wako Pure chemical Industris.Ltd.のアゾニトリル系であるV−60、V−65、V−59、V−70、V−40と、アゾエステル系であるV−601、アゾアミド系であるVA−086、VA−085、VA−080、Vam−110、Vam−111、VF−096、アゾアミジン系であるV−50、VA−044、VA−046B、Aam−027、VA−060、VA−057、VA−061、マクロアゾ系の開始剤であるVPS−0501、VPS−1001、VPE−0201、VPE−0401、VPE−0601、VPTG−0301などを用いることができるが、それだけに限定されるものではない。
【0043】
前記熱重合開始剤は全体インク組成物100重量部に対して0.03〜0.3重量部を用いることが好ましい。前記熱重合開始剤の含量が0.03重量部未満である場合にはインクの熱重合度が低くなる問題が生じ、0.3重量部を超過する場合には熱重合開始剤の効率が減少し得る。
【0044】
本発明のロールプリンティング用インク組成物に用いられる着色剤は顔料が好ましい。前記顔料は分散に悪影響を及ぼさない限り、汎用の顔料を用いても良いが、微細加工した粒子の顔料を用いることが好ましい。前記顔料の粒子大きさは主に0.3μm以下であることが好ましく、0.1μmの顔料粒子が90%以上分布していることがさらに好ましい。前記顔料の大きさが0.3μmより大きい場合には、一次的に組成物を製造する時に顔料分散の問題が生じ得るし、それによって光透過が円滑ではなく、製造されたカラーフィルタの透過性が不良になり得る。
【0045】
本発明のロールプリンティング用インク組成物において色特性を示すために用いられるレッド顔料としては、ナフトール系レッド顔料であるPig.Red#1(C.I.12070)、Pig.Red#2(C.I.12310)、Pig.Red#3(C.I.12120)、Pig.Red#4(C.I.12085)、Pig.Red#5(C.I.12490)、Pig.Red#6(C.I.12090)、Pig.Red#7(C.I.12420)、Pig.Red#8(C.I.12355)、Pig.Red#9(C.I.12460)、Pig.Red#10(C.I.12440)、Pig.Red#11(C.I.12430)、Pig.Red#12(C.I.12385)、Pig.Red#13(C.I.12395)、Pig.Red#14(C.I.12380)、Pig.Red#15(C.I.12465)、Pig.Red#16(12500)、Pig.Red#17(C.I.12390)、Pig.Red#18(C.I.12350)、Pig.Red#21(C.I.12300)、Pig.Red#22(C.I.12315)、Pig.Red#23(C.I.12355)、Pig.Red#31(12360)、Pig.Red#32(12320)、Pig.Red#95(C.I.15897)、Pig.Red#112(C.I.12370)、Pig.Red#114(C.I.12351)、Pig.Red#119(C.I.12469)、Pig.Red#146(C.I.12485)、Pig.Red#147(C.I.12433)、Pig.Red#148(C.I.12369)、Pig.Red#150(C.I.12290)、Pig.Red#151(C.I.15890)、Pig.Red#184(C.I.12487)、Pig.Red#187(C.I.12486)、Pig.Red#188(C.I.12467)、Pig.Red#210(C.I.12474)、Pig.Red#245(C.I.12317)、Pig.Red#253(C.I.12375)、Pig.Red#258(C.I.12318)、Pig.Red#261(C.I.12468);ナフトール系と金属錯体であるPig.Red#49(C.I.15630)、Pig.Red#49:1(C.I.15630:1)、Pig.Red#49:2(C.I.15630:2)、Pig.Red#49:3(C.I.15630:3)、Pig.Red#50:1(C.I.15500:1)、Pig.Red#51:1(C.I.15580:1)、Pig.Red#53(C.I.15585)、Pig.Red#53:1(C.I.15585:1)、Pig.Red#68(C.I.15525)、Pig.Red#243(C.I.15910)、Pig.Red#247(C.I.15915);ジスアゾピラゾロン系であるPig.Red#37(C.I.21205)、Pig.Red#38(C.I.21210)、Pig.Red#41(C.I.21200);ジスアゾ系縮合物であるPig.Red#144(C.I.20735)、Pig.Red#166(C.I.20035)、Pig.Red#220(C.I.20055)、Pig.Red#221(C.I.20065)、Pig.Red#242(C.I.20067);2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸系金属錯体であるPig.Red#48:1(C.I.15865:1)、Pig.Red#48:2(C.I.15865:2)、Pig.Red#48:3(C.I.15865:3)、Pig.Red#48:4(C.I.15865:4)、Pig.Red#48:5(C.I.15865:5)、Pig.Red#52:1(C.I.15860:1)、Pig.Red#52:2(C.I.15860:2)、Pig.Red#57:1(C.I.15850:1)、Pig.Red#58:2(C.I.15825:2)、Pig.Red#58:4(C.I.15825:4)、Pig.Red#63:1(C.I.15880:1)、Pig.Red#63:2(C.I.15880:2)、Pig.Red#64(C.I.15800)、Pig.Red#64:1(C.I.15800:1)、Pig.Red#200(C.I.15867);ナフタレンスルホン酸金属錯体であるPig.Red#60:1(C.I.16105:1)、Pig.Red#66(C.I.18000:1)、Pig.Red#67(C.I.18025:1);トリアリールカルボニウム系であるPig.Red#81:1(C.I.45160:1)、Pig.Red#81:3(C.I.45160:3)、Pig.Red#169(C.I.45160:2);アントラキノン系であるPig.Red#89(C.I.60745)、Pig.Red#177(65300);チオインジゴ系であるPig.Red#88(C.I.73312)、Pig.Red#181(C.I.73360);キナクリドン系であるPig.Red#122(C.I.73915)、Pig.Red#207(C.I.73900)、Pig.Red#209(C.I.73905);ペリレン系であるPig.Red#123(C.I.71145)、Pig.Red#149(C.I.71137)、Pig.Red#178(C.I.71155)、Pig.Red#179(C.I.71130)、Pig.Red#190(C.I.71140)、Pig.Red#194(C.I.71100)、Pig.Red#224(C.I.71127);ベンズイミダゾロン系であるPig.Red#171(C.I.12512)、Pig.Red#175(C.I.12513)、Pig.Red#176(C.I.12515)、Pig.Red#185(C.I.12516)、Pig.Red#208(C.I.12514);ピランスロン系であるPig.Red#216(C.I.59710);ジケトピロロピロール系であるPig.Red#254(C.I.56110);イソインドリン系であるPig.Red#260(C.I.56295)などを用いることができる。
【0046】
バイオレット顔料としては、トリアリールカルボニウム系であるPig.Violet#1(C.I.45170:2)、Pig.Violet#2(C.I.45175:1)、Pig.Violet#3(C.I.42535:2)、Pig.Violet#27(C.I.42535:3)、Pig.Violet#39(C.I.42555:2);アントラキノン系であるPig.Violet#5:1(C.I.58055:1);ナフトール系であるPig.Violet#25(C.I.12321)、Pig.Violet#50(C.I.12322);キナクリドン系であるPig.Violet#19(C.I.73900);ジオキサジン系であるPig.Violet#23(C.I.51319)、Pig.Violet#37(C.I.51345);ペリレン系であるPig.Violet#29(C.I.71129);ベンズイミダゾロン系であるPig.Violet#32(C.I.12517)などを用いることができる。
ブルー顔料としては、トリアリールカルボニウム系であるPig.Blue#1(C.I.42595:2)、Pig.Blue#2(C.I.44045:2)、Pig.Blue#9(C.I.42025:1)、Pig.Blue#10(C.I.44040:2)、Pig.Blue#14(C.I.42600:1)、Pig.Blue#18(C.I.42770:1)、Pig.Blue#19(C.I.42750)、Pig.Blue#56(C.I.42800)、Pig.Blue#62(C.I.44084);Cuフタロシアニン系であるPig.Blue#15(C.I.74160)、Pig.Blue#15:1(C.I.74160);メタルフリーフタロシアニン系であるPig.Blue#16(C.I.74100);インダンスロン系であるPig.Blue#60(C.I.69800)、Pig.Blue#64(C.I.69825);インジゴ系であるPig.Blue#66(C.I.73000)、Pig.Blue#63(C.I.73015:x)などを用いることができる。
【0047】
グリーン顔料としては、トリアリールカルボニウム系であるPig.Green#1(C.I.42040:1)、Pig.Green#2(C.I.42040:1)、Pig.Green#4(C.I.42000:2);Cuフタロシアニン系であるPig.Green#7(C.I.74260)、Pig.Green#36(C.I.74265);金属錯体であるPig.Green#8(C.I.10006)、Pig.Green#10(C.I.12775)などを用いることができる。
【0048】
イエロー顔料としては、モノアゾ系であるPig.Yellow#1(C.I.11680)、Pig.Yellow#2(C.I.11730)、Pig.Yellow#3(C.I.11710)、Pig.Yellow#5(C.I.11660)、Pig.Yellow#6(C.I.11670)、Pig.Yellow#10(C.I.12710)、Pig.Yellow#49(C.I.11765)、Pig.Yellow#65(C.I.11740)、Pig.Yellow#73(C.I.11738)、Pig.Yellow#74(C.I.11741)、Pig.Yellow#75(C.I.11770)、Pig.Yellow#97(C.I.11767)、Pig.Yellow#98(C.I.11727)、Pig.Yellow#111(C.I.11745)、Pig.Yellow#116(C.I.11790)、Pig.Yellow#167(C.I.11737);モノアゾ系金属錯体であるPig.Yellow#61(C.I.13880)、Pig.Yellow#62:1(C.I.13940:1)、Pig.Yellow#100(C.I.19140:1)、Pig.Yellow#168(C.I.13960)、Pig.Yellow#169(C.I.13955)、Pig.Yellow#183(C.I.18792);ビスアセトアセチルアリーライド系であるPig.Yellow#16(C.I.20040);ジアリーライド系であるPig.Yellow#12(C.I.21090)、Pig.Yellow#13(C.I.21100)、Pig.Yellow#14(C.I.21095)、Pig.Yellow#17(C.I.21105)、Pig.Yellow#55(C.I.21096)、Pig.Yellow#63(C.I.21091)、Pig.Yellow#81(C.I.21127)、Pig.Yellow#83(C.I.21108)、Pig.Yellow#87(C.I.21107:1)、Pig.Yellow#113(C.I.21126)、Pig.Yellow#114(C.I.21092)、Pig.Yellow#124(C.I.21107)、Pig.Yellow#126(C.I.21101)、Pig.Yellow#127(21102)、Pig.Yellow#152(C.I.21111)、Pig.Yellow#170(C.I.21104)、Pig.Yellow#171(C.I.21106)、Pig.Yellow#172(C.I.21109)、Pig.Yellow#174(C.I.21098);フラバンスロン系であるPig.Yellow#24(C.I.70600);ジアゾ系縮合物であるPig.Yellow#93(C.I.20710)、Pig.Yellow#94(C.I.20038)、Pig.Yellow#95(C.I.20034)、Pig.Yellow#128(C.I.20037)、Pig.Yellow#166(C.I.20035);アントラキノン系であるPig.Yellow#123(C.I.65049)、Pig.Yellow#147(C.I.60645);アルダジン系であるPig.Yellow#101(C.I.48052);ナフタレンスルホン酸金属錯体であるPig.Yellow#104(C.I.15985:1);アントラピリミジン系であるPig.Yellow#108(C.I.68420);イソインドリノン系であるPig.Yellow#109(C.I.56284)、Pig.Yellow#110(C.I.56280)、Pig.Yellow#139(C.I.56298)、Pig.Yellow#185(C.I.56290);ベンズイミダゾロン系であるPig.Yellow#123(C.I.11783)、Pig.Yellow#154(C.I.13980)、Pig.Yellow#175(C.I.11784)、Pig.Yellow#180(C.I.21290)、Pig.Yellow#181(C.I.11777);キノフタロン系であるPig.Yellow#138(C.I.56300);金属錯体であるPig.Yellow#117(C.I.48043)、Pig.Yellow#129(C.I.48042)、Pig.Yellow#150(C.I.12764)、Pig.Yellow#153(C.I.48545)、Pig.Yellow#177(C.I.48120)、Pig.Yellow#179(C.I.48125)などを用いることができる。
【0049】
その他にオレンジ顔料としては、モノアゾ系であるPig.Orange#1(C.I.11725)、Pig.Orange#6(C.I.12730);ナフトール系であるPig.Orange#2(C.I.12060)、Pig.Orange#5(C.I.12075)、Pig.Orange#22(C.I.12470)、Pig.Orange#24(C.I.12305)、Pig.Orange#38(C.I.12367);ナフトール金属錯体であるPig.Orange#17(C.I.15510:1 Pig.Orange#17:1(15510:2)、Pig.Orange#46(C.I.15602);ジスアゾピラゾロン系であるPig.Orange#13(C.I.21110)、Pig.Orange#34(C.I.21115);ジアリーライド系であるPig.Orange#15(C.I.21130)、Pig.Orange#16(C.I.21160);ナフタレンスルホン酸金属錯体であるPig.Orange#19(C.I.15990);ジスアゾ系縮合物であるPig.Orange#31(C.I.20050);ベンズイミダゾロン系であるPig.Orange#36(C.I.11780)、Pig.Orange#60(C.I.11782);ピランスロン系であるPig.Orange#40(C.I.59700);ペリノン系であるPig.Orange#43(C.I.71105);キナクリドン系であるPig.Orange#48(C.I.73900);イソインドリン系であるPig.Orange#61(C.I.11265)、Pig.Orange#66(C.I.48210)またはPig.Orange#69(C.I.56292)などを用いることができる。
【0050】
前記ロールプリンティング用インク組成物において色特性を示すために用いられる着色剤は、求められる色特性に応じて全体インク組成物100重量部に対して1〜20重量部を添加することが好ましく、より好ましくは1〜15重量部である。前記インク組成物に用いられる着色剤の含量が適切ではない場合、カラーフィルタ製造時に所望する画質の製品を得ることができなくなる。
【0051】
前記溶媒は、溶解性、顔料分散性、コーティング性、およびロールプリンティングによるパターン転写性などを考慮する時、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、2−ヒドロキシエチルプロピオネート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、エチル3−メトキシプロピオネート、メチル−3−エトキシプロピオネート、エチル3−エトキシプロピオネート、ブチルアセテート、エチルアセテート、ギ酸アミル、イソアミルアセテート、イソブチルアセテート、イソプロピルアセテート、メチルエチルケトン、ブチルプロピオネート、イソプロピルブチレート、エチルブチレート、ブチルブチレート、エチルピルベート、γ−ブチロールアセテート、およびメチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコールなどのアルコール類とベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系、n−ヘプタン、n−ヘキサン、n−オクタンなどの飽和炭化水素類などを用いることができる。前記溶媒は単独または2種以上を混合して用いることができる。
【0052】
前記溶媒は全体ロールプリンティング用インク組成物100重量部に対して60〜90重量部を添加することが好ましい。前記溶媒の含量が60重量部未満である場合には、インクの固形分の含量が多くなって粘度が大きく増加し、ブランケットへのインクコーティングが困難であり、溶媒の含量が90重量部を超過する場合には、かえって固形分の含量が少なくなって粘度が低くなり、コーティングの難しさだけでなく、パターン転写のために揮発しなければならない溶媒の量が多くなる短所がある。
【0053】
本発明のロールプリンティング用インク組成物はインクの表面張力を調節するために界面活性剤をさらに含むことができる。前記添加される界面活性剤はシリコン系界面活性剤またはフッ素系界面活性剤が好ましい。具体的には、表面張力を下げる効果が大きいシリコン系界面活性剤として、BYK−300、BYK−301、BYK−302、BYK−306、BYK−307、BYK−310、BYK−330、BYK−333、BYK−335、BYK−341、BYK−344、BYK−345、BYK−370などを用いることができ、フッ素系界面活性剤としては、F−114、F−177、F−410、F−411、F−450、F−493、F−494、F−443、F−444、F−445、F−446、F−470、F−471、F−475、F−482、F−487、F−172D、TF−1128、TF−1127、TF−1129、TF−1126、TF−1130、TF−1116SF、TF−1131、TF1132、TF1027SF、TF−1441、TF−1442などを用いることができるが、それだけに限定されるものではない。しかし、現在にロールプリンティング用ブランケット材料として用いられている一般的なPDMSは約24mN/mの表面張力を有するため、PDMS表面にコーティングされるインクの表面張力はそれより低い値を有しなければならない。しかし、シリコン系界面活性剤ではその量をいくら増やしてもインクの表面張力を24mN/m以下に下げるには限界があるが、フッ素系界面活性剤を用いればインクの表面張力を24mN/m以下に下げることができる。
【0054】
前記インクの表面張力を調節するために添加される界面活性剤は、全体インク組成物100重量部に対して0.03〜0.3重量部を用いることが好ましい。前記界面活性剤の含量が0.03重量部未満である場合には、インクの表面張力を下げる効果が充分ではなく、ブランケットへのコーティング不良が発生し、0.3重量部を超過する場合には、界面活性剤が過量に用いられてインクの相溶性および消泡性がかえって減少する問題点がある。
【0055】
本発明のロールプリンティング用インク組成物には必要に応じて分散剤、密着促進剤、および酸化防止剤からなる群から選択される1種以上の添加剤をさらに用いることができる。
【0056】
前記分散剤は予め顔料を表面処理する形態で顔料に内部添加させる方法、または顔料に外部添加させる方法によって用いることができる。前記分散剤としては、高分子型、非イオン性、陰イオン性、または陽イオン性の分散剤を用いることができ、その例としては、ポリアルキレングリコールおよびそのエステル、ポリオキシアルキレン多価アルコール、エステルアルキレンオキシド付加物、アルコールアルキレンオキシド付加物、スルホン酸エステル、スルホン酸塩、カルボン酸エステル、カルボン酸塩、アルキルアミドアルキレンオキシド付加物、またはアルキルアミンなどを挙げることができる。これらは単独で添加するか、2以上混合して用いることができる。前記密着促進剤は、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)−シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エトキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタアクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、または3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどを用いることができる。前記酸化防止剤は、2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、または2,6−ジ−t−ブチルフェノールなどを用いることができる。
【0057】
前記添加剤は全体ロールプリンティング用インク組成物に対して0超過〜5重量部以下を添加することが好ましい。
【0058】
また、本発明は、
(a)基板上にブラックマトリックスパターンを形成するステップ;
(b)ロールプリンティング法を用い、前記ブラックマトリックスによって区切られた画素部に化学式1で示されるフルオロ基を含むアクリル共重合体樹脂、エチレン性不飽和二重結合を有する多官能性アクリルモノマー、熱重合開始剤、着色剤、および溶媒を含むロールプリンティング用インク組成物をコーティングおよび転写してパターン化するステップ;および
(c)前記パターン化したロールプリンティング用インク組成物を熱硬化するステップを含むカラーフィルタの製造方法を提供する。
【0059】
前記(a)は基板上にブラックマトリックスパターンを形成するステップである。
前記基板の材料は特に限定されるものではないが、ガラス基板、プラスチック基板、またはその他のフレキシブル基板などを用いることができ、耐熱性の強い透明ガラス基板が好ましい。
【0060】
前記基板上にブラックマトリックスパターンを形成するステップは、当業界に知られているフォトリソグラフィ法またはロールプリンティング法などによって行うことができる。
【0061】
前記ブラックマトリックスは、既存の用いられているクロムブラックマトリックスあるいは樹脂ブラックマトリックスを用いて製造することができ、前記形成されたブラックマトリックスの厚さは0.2〜3μmであることが好ましく、光学密度は前記厚さ範囲において2〜6であることが好ましい。
【0062】
前記(b)はロールプリンティング法を用い、前記ブラックマトリックスによって区切られた画素部に前記化学式1で示されるフルオロ基を含むアクリル共重合体樹脂、エチレン性不飽和二重結合を有する多官能性アクリルモノマー、熱重合開始剤、着色剤、および溶媒を含むロールプリンティング用インク組成物をコーティングおよび転写してパターン化するステップである。
【0063】
ここで、ロールプリンティング法とは、ロールまたは平板形態のブランケットに前記ロールプリンティング用インク組成物をコーティングした後、所望するパターンの逆像のパターンがあるロールまたは平板形態のクリシェを用いてブランケットから望まないコーティング部分を取り出し、再びブランケットに残っている望むパターン部分を基板に転写する方法をいう。例えば、ロール形態のブランケット材料(例:PDMS)上に本発明のロールプリンティング用インク組成物をスリットノズル(Slit Nozzle)を用いてコーティングした後、特定形状の溝部(望むパターン模様)と突出部(望まないパターン模様)が形成されているクリシェを用いて、ブランケット上にコーティングされたインクから望まないパターン部を取り出し、前記ブランケット上に残っている望む模様のパターン部をブラックマトリックスによって区切られた画素部に接触させて転写する方法である。または場合によっては望むパターン模様の突出部を有するクリシェを用いてブランケットにコーティングされたインクから望むパターン模様を取り出し、それを基板に直接転写する方法も可能である。
【0064】
前記(c)は前記基板に転写したロールプリンティング用インク組成物を熱硬化するステップである。前記ロールプリンティング法を用い、ブラックマトリックスによって区切られた画素部に本発明のロールプリンティング用インク組成物を転写した後、50〜150℃の温度で1〜600秒間ソフトベイクを行い、それを再び150〜250℃で600〜3000秒間ポストベイクを行って熱硬化することが好ましい。
【0065】
また、本発明は前記方法によって製造されたカラーフィルタを提供する。
【0066】
なお、本発明は前記カラーフィルタを含む液晶表示素子を提供する。本発明に係る液晶表示素子の製造方法は、前述したロールプリンティング用インク組成物によるカラーフィルタの製造方法を用いることを除いては当技術分野の技術を用いることができる。
【実施例】
【0067】
以下、本発明の理解を助けるために望ましい実施例を提示する。しかし、下記実施例は本発明をより容易に理解するために提供されるだけのものであって、それによって本発明の内容が限定されるものではない。
【0068】
<実施例1>
本発明に用いられた前記ロールプリンティング用赤色インクは、インク全体組成物100重量部に対し、着色剤としてピグメントレッド#254 4重量部、ピグメントレッド#177 0.8重量部、ピグメントイエロー#139 1.2重量部、フルオロ基を含む樹脂バインダーとしてベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸、HFIMAが45:25:30のモル比で形成された共重合体(Mw=18,800)2重量部、ベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸が70:30で形成された共重合体にアリルグリシジルエーテルが付加されたフルオロ基を含まない重合体(Mw=7,000)3.6重量部、エチレン性不飽和二重結合を有する多官能性モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート9.5重量部、アゾアミド系熱重合開始剤(V−40、Wako Pure Chemical Industris.LTD)0.5重量部、添加剤として分散剤であるポリエステル系分散剤1重量部、3−メタアクリルオキシプロピルトリメトキシシラン0.2重量部、フッ素系界面活性剤(Megaface F−172D、大日本インキ化学工業株式会社、日本)0.2重量部、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート50重量部、メチルエチルケトン17重量部、エチルアセテート10重量部を混合し、前記混合物を5時間撹拌してロールインク組成物を製造した。
【0069】
<実施例2>
本発明に用いられた前記ロールプリンティング用緑色インクは、インク全体組成物100重量部に対し、着色剤としてピグメントグリーン#36 5.9重量部、ピグメントイエロー#150 3.1重量部、フルオロ基を含む樹脂バインダーとしてベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸、HFIMAが45:25:30のモル比で形成された共重合体(Mw=18,800)1.75重量部、ベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸が70:30で形成された共重合体にアリルグリシジルエーテルが付加されたフルオロ基を含まない重合体(Mw=7,000)2.32重量部、エチレン性不飽和二重結合を有する多官能性モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート6重量部、アゾアミド系熱重合開始剤(V−40、Wako Pure Chemical Industris.LTD)0.5重量部、添加剤として分散剤であるポリエステル系分散剤1.58重量部、3−メタアクリルオキシプロピルトリメトキシシラン0.2重量部、フッ素系界面活性剤(Megaface F−172D、大日本インキ化学工業株式会社、日本)0.2重量部、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート54重量部、メチルエチルケトン15重量部、エチルアセテート9.45重量部を混合し、前記混合物を5時間撹拌してロールプリンティング用インク組成物を製造した。
【0070】
<実施例3>
本発明に用いられた前記ロールプリンティング用青色インクは、インク全体組成物100重量部に対し、着色剤としてピグメントブルー#15:6 3.76重量部、ピグメントバイオレット#23 0.94重量部、フルオロ基を含む樹脂バインダーとしてベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸、HFIMAが45:25:30のモル比で形成された共重合体(Mw=18,800)2.6重量部、ベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸が70:30で形成された共重合体にアリルグリシジルエーテルが付加されたフルオロ基を含まない重合体(Mw=7,000)4.75重量部、エチレン性不飽和二重結合を有する多官能性モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート9.6重量部、アゾアミド系熱重合開始剤(V−40、Wako Pure Chemical Industris.LTD)0.5重量部、添加剤として分散剤であるポリエステル系分散剤1重量部、3−メタアクリルオキシプロピルトリメトキシシラン0.2重量部、フッ素系界面活性剤(Megaface F−172D、大日本インキ化学工業株式会社、日本)0.2重量部、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート42.25重量部、メチルエチルケトン22.9重量部、エチルアセテート11.3重量部を混合し、前記混合物を5時間撹拌してロールプリンティング用インク組成物を製造した。
【0071】
<第1比較例>
前記第1実施例において、フルオロ基を含むアクリル共重合体樹脂を添加せず、ベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸が70:30で形成された共重合体にアリルグリシジルエーテルが付加されたフルオロ基を含まない重合体(Mw=7,000)5.6重量部をさらに添加したことを除いては、第1実施例と同一方法によってロールプリンティング用インク組成物を製造した。
【0072】
<第2比較例>
前記第2実施例において、フルオロ基を含むアクリル共重合体樹脂を添加せず、ベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸が70:30で形成された共重合体にアリルグリシジルエーテルが付加されたフルオロ基を含まない重合体(Mw=7,000)4.07重量部をさらに添加したことを除いては、第2実施例と同一方法によってロールプリンティング用インク組成物を製造した。
【0073】
<第3比較例>
前記第3実施例において、フルオロ基を含むアクリル共重合体樹脂を添加せず、ベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸が70:30で形成された共重合体にアリルグリシジルエーテルが付加されたフルオロ基を含まない重合体(Mw=7,000)7.35重量部をさらに添加したことを除いては、第3実施例と同一方法によってロールプリンティング用インク組成物を製造した。
【0074】
<実験例>
前記第1実施例〜第3実施例および第1比較例〜第3比較例で製造したロールプリンティング用インク組成物をブランケットおよびガラス基板上に塗布した後、CCDカメラを用いてコーティング特性および表面特性を観察した。前記結果を下記表1に示す。
【0075】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1a】本発明の第1実施例に係るロールプリンティング用赤色インクをブランケット上にコーティングした後の光学顕微鏡写真(×1000)である。
【図1b】本発明の第1比較例に係るロールプリンティング用赤色インクをブランケット上にコーティングした後の光学顕微鏡写真(×1000)である。
【図2a】本発明の第2実施例に係るロールプリンティング用緑色インクをブランケット上にコーティングした後の光学顕微鏡写真(×1000)である。
【図2b】本発明の第2比較例に係るロールプリンティング用緑色インクをブランケット上にコーティングした後の光学顕微鏡写真(×1000)である。
【図3a】本発明の第3実施例に係るロールプリンティング用青色インクをブランケット上にコーティングした後の光学顕微鏡写真(×1000)である。
【図3b】本発明の第3比較例に係るロールプリンティング用青色インクをブランケット上にコーティングした後の光学顕微鏡写真(×1000)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1:
【化1】

[式中、R、R、Rは各々独立して水素原子またはメチル基であり、
はフルオロ基を含む炭素数1〜8個のアルキル基または芳香族基であり、
m、n、lは整数であって、モル比(m:n:l)は60〜70:15〜34:l〜15であり、
前記共重合樹脂の数平均分子量は5,000〜50,000である]
で示されるフルオロ基を含むアクリル共重合体樹脂、エチレン性不飽和二重結合を有する多官能性アクリルモノマー、熱重合開始剤、着色剤、および溶媒を含むロールプリンティング用インク組成物。
【請求項2】
前記化学式1で示されるフルオロ基を含むアクリル共重合体樹脂は、全体ロールプリンティング用インク組成物100重量部に対して1〜20重量部である、請求項1に記載のロールプリンティング用インク組成物。
【請求項3】
前記ロールプリンティング用インク組成物は、下記化学式2:
【化2】

[式中、R、Rは各々独立して水素原子またはメチル基であり、
m、nは整数であって、モル比(m:n)は70:30であり、
前記共重合樹脂の数平均分子量は5,000〜50,000である]
または化学式3:
【化3】

[式中、R、R、Rは各々独立して水素原子、メチル基であり、
m、n、lは整数であって、モル比(m:n:l)は70:15:15であり、
前記共重合樹脂の数平均分子量は5,000〜50,000である]
で示されるフルオロ基を含まないアクリル共重合体樹脂をさらに含む、請求項1に記載のロールプリンティング用インク組成物。
【請求項4】
前記化学式2および化学式3で示されるフルオロ基を含まないアクリル共重合体樹脂は、全体ロールプリンティング用インク組成物100重量部に対して0超過〜20重量部以下である、請求項3に記載のロールプリンティング用インク組成物。
【請求項5】
前記エチレン性不飽和二重結合を有する多官能性アクリルモノマーは、分子中に少なくとも1つ以上の付加重合可能な不飽和基を有する沸騰点が100℃以上である化合物またはカプロラクトンを導入した多官能性アクリルモノマーである、請求項1に記載のロールプリンティング用インク組成物。
【請求項6】
前記エチレン性不飽和二重結合を有する多官能性アクリルモノマーは、全体プリンティング用インク組成物100重量部に対し1〜20重量部である、請求項1に記載のロールプリンティング用インク組成物。
【請求項7】
前記熱重合開始剤は、全体ロールプリンティング用インク組成物100重量部に対して0.03〜0.3重量部である、請求項1に記載のロールプリンティング用インク組成物。
【請求項8】
前記着色剤は顔料である、請求項1に記載のロールプリンティング用インク組成物。
【請求項9】
前記着色剤は、全体ロールプリンティング用インク組成物100重量部に対して1〜20重量部である、請求項1に記載のロールプリンティング用インク組成物。
【請求項10】
前記溶媒は、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、2−ヒドロキシエチルプロピオネート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、エチル3−メトキシプロピオネート、メチル−3−エトキシプロピオネート、エチル3−エトキシプロピオネート、ブチルアセテート、エチルアセテート、ギ酸アミル、イソアミルアセテート、イソブチルアセテート、イソプロピルアセテート、メチルエチルケトン、ブチルプロピオネート、イソプロピルブチレート、エチルブチレート、ブチルブチレート、エチルピルベート、γ−ブチロールアセテート、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、ベンゼン、トルエン、キシレン、n−ヘプタン、n−ヘキサン、およびn−オクタンからなる群から選択された単独または2種以上の化合物である、請求項1に記載のロールプリンティング用インク組成物。
【請求項11】
前記溶媒は、全体ロールプリンティング用インク組成物100重量部に対して60〜90重量部である、請求項1に記載のロールプリンティング用インク組成物。
【請求項12】
前記ロールプリンティング用インク組成物は、シリコン系界面活性剤またはフッ素系界面活性剤からなる群から選択された1種以上をさらに含む、請求項1に記載のロールプリンティング用インク組成物。
【請求項13】
前記シリコン系界面活性剤またはフッ素系界面活性剤は、全体ロールプリンティング用インク組成物100重量部に対して0.03〜0.3重量部である、請求項12に記載のロールプリンティング用インク組成物。
【請求項14】
前記ロールプリンティング用インク組成物は、分散剤、密着促進剤、および酸化防止剤からなる群から選択された1種以上の添加剤をさらに含む、請求項1に記載のロールプリンティング用インク組成物。
【請求項15】
前記添加剤は、全体ロールプリンティング用インク組成物100重量部に対して0超過〜5重量部以下を含む、請求項14に記載のロールプリンティング用インク組成物。
【請求項16】
(a)基板上にブラックマトリックスパターンを形成するステップ;
(b)ロールプリンティング法を用い、前記ブラックマトリックスによって区切られた画素部に請求項1から15のいずれか1項に記載のロールプリンティング用インク組成物をコーティングおよび転写してパターン化するステップ;および
(c)前記パターン化したロールプリンティング用インク組成物を乾燥するステップを含むカラーフィルタの製造方法。
【請求項17】
前記ロールプリンティング法は、ロールまたは平板形態のブランケットに前記ロールプリンティング用インク組成物をコーティングした後、望むパターンの逆像のパターンがあるロールまたは平板形態のクリシェを用いてブランケットから望まないコーティング部分を取り出し、再びブランケットに残っている望むパターン部分を基板に転写する方法によって行う、請求項16に記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項18】
前記乾燥は50〜150℃で1〜600秒間ソフトベイクを行った後、150〜250℃で600〜3,000秒間ポストベイクを行う、請求項16に記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項19】
請求項16から18のいずれか1項に記載の製造方法を用いて製造したカラーフィルタ。
【請求項20】
請求項19に記載のカラーフィルタを含む液晶表示素子。

【図1a】
image rotate

【図1b】
image rotate

【図2a】
image rotate

【図2b】
image rotate

【図3a】
image rotate

【図3b】
image rotate


【公開番号】特開2008−280537(P2008−280537A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−111802(P2008−111802)
【出願日】平成20年4月22日(2008.4.22)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】