説明

ロール体の包装方法およびロール包装体

【課題】粘着シートをロール状に巻き取ったロール体を包装シートで巻回したロール包装体において、粘着シートの終端部の繰り出しを容易に行えるようにすると共に、ロール包装体の輸送時や保管時にロール体に異物の付着や異物による汚染が発生することの無いようなロール体の包装方法、およびその包装によって得られるロール包装体を提供する。
【解決手段】十分に広い略矩形のシートを包装シート4として使用し、かつこの包装シートをロール体11の粘着シート1の終端部13に挟み込んだ上でロール体全体を包装する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着シートのロール体を包装シートで巻回して包装する方法、およびその包装によって得られるロール包装体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、物品の表面を異物による傷付きや汚染などから保護するために、合成樹脂シートの片面に粘着剤を塗布した粘着シートが多く使用されている。通常、これらの粘着シートは長尺で製造してロール状に巻き取って輸送、保管し、使用時にはこのロール体から粘着シートを繰り出しながら物品の表面に貼付して使用される。
【0003】
例えば、建築用途においては、防水紙、アスファルトフェルト、不織布、織布、単層あるは多層の合成樹脂シート、あるいはそれらを組み合わせたものなどが、使用する場所や所望する機能によって適宜選択されている。また例えば、特許文献1では、エンボス加工が施されたフィルム基材の片面に粘着剤層を設けた粘着フィルムを、粘着剤層を外側にしてロール状に巻付けた床面保護用のフィルムロールが提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開平9−13682号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば建築用途、特に床面などの養生に用いられる粘着シートをロール状に巻き取ったロール体の幅は一般的には数十cmから数mとかなり広いものであり、かつ目方が重いことから、その粘着シートの終端部を繰り出すのに困難を伴うことが多い。また、この粘着シートは床面などを保護するために使用する関係上、床材に直接接する粘着シートの粘着剤層に異物が混入することでかえって保護対象物を傷つけることは避けなければならない。よって、保護のために粘着シート面を包装する必要があるのはもちろん、ロール体の両側面も合わせて包装する必要がある。
【0006】
したがって、本発明では、粘着シートをロール状に巻き取ったロール体を包装シートで巻回したロール包装体において、粘着シートの終端部の繰り出しを容易に行えるようにすると共に、ロール包装体の輸送時や保管時にロール体に異物の付着や異物による汚染が発生することの無いようなロール体の包装方法、およびその包装によって得られるロール包装体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは鋭意検討を行った結果、十分に広い略矩形のシートを包装シートとして使用し、かつこの包装シートをロール体の粘着シートの終端部に挟み込んだ上でロール体全体を包装することによって、上記課題を解決することを見出し本発明に至った。
【0008】
即ち、本発明によれば、
(1)基材シートの片面に粘着剤が塗布されている粘着シートをロール状に巻き取って得られたロール体を包装する方法において、幅が「ロール体の幅+ロール体の巻き厚×2」以上、長さが「ロール体の外周長×1.1」以上である略矩形の包装シートを、その両側部がロール体の両側面をカバーするのに十分な長さではみ出るように、巻き取られた粘着シートの終端部に挟み込み、しかる後にこの包装シートでロール体の周囲及び両側面を包装することを特徴とするロール体の包装方法が提供され、
(2)粘着シートの粘着剤が塗布されている面が内側になるように巻き取られているロール体を包装することを特徴とする上記(1)に記載の包装方法が提供され、
(3)粘着シートの粘着剤が塗布されている面が外側になるように巻き取られているロール体を包装することを特徴とする上記(1)に記載の包装方法が提供され、
(4)上記(1)、(2)、(3)のいずれかに記載の方法によって包装されたロール包装体が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の方法は、粘着シートの終端部に包装シートが挟み込まれているので粘着シートのロール体を巻き戻す際に終端部の位置が判りやすいだけでなく、包装シートが離型紙の役割を果たすので粘着シートを巻き戻しやすい、という効果がある。しかも、ロール体を全体で包装するので粘着剤が塗布されている面が内側になるように巻いた場合だけでなく、外側になるように巻いた場合であっても異物が粘着剤層に混入するのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本発明における粘着シート1は、基材シート2の片面に粘着剤が塗布(粘着剤層3)されたものである。
【0011】
基材シート2の材質としては特に限定するものは無い。例えば、防水紙、アスファルトフェルト、不織布、織布、合成樹脂シートを単層で、あるいはそれらを組み合わせた多層のものなど、使用する場所や所望する機能によって適宜選択すればよい。特に本発明のロール体は、床面などの養生に用いられる粘着シートに適用するのが好ましいため、その場合は合成樹脂シートがもっとも好ましく使用される。
【0012】
粘着剤としては、アクリル系、天然ゴム系、合成ゴム系など、従来公知の粘着剤を使用すればよい。床面などの養生に用いられる粘着シートなど、使用後に粘着シートを除去する必要がある場合には、剥離可能なアクリル系粘着剤などを用いればよい。また、粘着シートを除去する必要が無い場合には、使用用途に応じた適切な強度を発現する粘着剤を使用すればよい。
【0013】
粘着シート1は、図2に示すようにロール体11の形態となるようにロール状に巻き取られる。その際に、粘着剤の塗布面が内側になるように巻き取られてもよいし、外側になるように巻き取られてもよい。また、粘着シート1は紙管5などの巻き芯を使用して巻き取られてもよいし、巻き芯を使用しない、いわゆるコアレスの形態で巻き取られてもよい。
【0014】
上述した粘着シート1のロール体11を包装するための包装シート4は、略矩形のシートであり、かつロール体11の外周を巻回することが可能な程度の柔軟性と、ロール体11を包装した際に包装体内部に埃や水などの異物が侵入しない程度の遮断性を有する必要がある。粘着シート1のロール体11を輸送や保管する間、それらを保護することが可能であればその材質は特に限定されないが、合成樹脂やクラフト紙などを例示することができる。なかでもポリエチレンやポリプロピレンなどの合成樹脂が好ましく、さらには粘着シート1の繰り出し時に粘着シート1の粘着剤層3からの剥離を容易にするためにも、その表面に微細な凹凸を有しているものであることがより好ましい。また、包装後に外側となる面に粘着シートの商品名や規格などを表示したり印刷を施したりしてもよい。
【0015】
使用する包装シート4の寸法は、長さが「ロール体11の外周長×1.1」以上、「ロール体11の外周長×2」以下、より好ましくは「ロール体11の外周長×1.2」以上、「ロール体11の外周長×1.5」以下であり、幅が「ロール体11の幅+ロール体11の巻き厚×2」以上、「ロール体11の幅+ロール体11の直径×2」以下、より好ましくは「ロール体11の幅+ロール体11の巻き厚×2.5」以上、「ロール体11の幅+ロール体11の半径×2.5」以下である。長さが「ロール体11の外周長×1.1」未満では粘着シート1の終端部に挟み込んでしかも一周以上巻き回して包装することができないので好ましくない。また、幅が「ロール体11の幅+ロール体11の巻き厚×2」未満では両端にはみ出した部分が短すぎてロール体11の側面まで包装できないので好ましくない。なお、ロール体11の巻き厚とは、ロール体11の中空部からロール体11の外周部までの厚さ(すなわち、粘着シート1部分の実質厚み)である。
【0016】
本発明においては、上述したロール体11を包装シート4で包装するのであるが、その手順を図2に基づいて説明する。
まず、包装シート4を、粘着シート1の終端13の下部にロール体11の周囲を包装するのに十分な長さを残すように挟み込む。その際に、包装シートの両側部43の両方がロール体の両方の側面15を包装するのに十分な長さではみ出るように、好ましくは、包装シートの両側部43がほぼ同じ長さではみ出すようにする。粘着シート1の終端13への挟み込みは包装シートの一端41と粘着シートの終端13との重なり合う部分の長さが10〜100mmとなるように、好ましくは30〜70mmとなるようにすればよい。
【0017】
しかる後に、図3−aに示すように、包装シートのもう一端42を、粘着シートの終端13を超えるようにロール体11の巻方向と同じ方向に一周以上巻回した後、包装シート4の外面に粘着テープ6などで固定する。さらに、図3−bに示すように、粘着シートの側端14から両側にはみ出た包装シートの側部43はロール体の側面15の両方をそれぞれ覆うように折り畳んでロール体全体を包装する。
【0018】
次いで、本発明のロール包装体12を使用する際の粘着シート1を繰り出す手順を説明する。
まず、包装シート4を固定している粘着テープ6を除去した後、ロール体の両側面15に折り畳まれた包装シートの両側部43を展開する。ついで、包装シート4を粘着シートの終端13まで巻き戻す。しかる後に、挟み込まれた包装シート4を除去することで粘着シート1の繰り出しの起点を容易に剥がすことができる。以後は従来の方法と同様にして被保護面等にロール体11を巻き戻しながら粘着シート1を貼着すればよい。
以下、実施例に基づいて本発明を説明する。
【実施例1】
【0019】
一方の表面にエンボス加工を施した厚さ150μm、幅1000mmの直鎖状低密度ポリエチレン製の基材シート2のエンボス加工が施されていない面にアクリル系粘着剤を塗布した粘着シート1を、直径90mmの紙管5に、粘着剤層3が内面側になるように巻き取ってロール体11を得た。この時のロール体11の直径は110mmで、巻き厚は10mm、外周長は約345mmであった。
次いで、厚さ50μm、幅1100mm、長さ500mmであって、表面に微細な凹凸を有する高密度ポリエチレン製シートを包装シート4として用いて以下のようにして包装した。
まず、包装シート4の一端41が、粘着シートの終端13と包装シート4との重なり合う部分の長さが30mmであって、包装シート4の側部43の両方が各々約50mmはみ出るように粘着シートの終端13に挟み込んだ。しかる後に、包装シート4を包装シートのもう一端42が粘着シートの終端13を超える位置までくるようにロール体11と同方向に巻回して粘着テープ6で固定した。次いで、包装シートの側部43の両方をロール体端面15の両方を覆うように折り畳み、さらに、紙管5の内側に折り込んでロール包装体12を得た。本実施例のロール包装体12の使用時の概略を図4に示す。
【実施例2】
【0020】
粘着シート1を粘着剤層3が外面側になるように巻き取る以外は、実施例1と同様な手順でロール包装体12を得た。本実施例のロール包装体12の使用時の概略を図5に示す。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明により、粘着シート1をロール体11から繰り出すことが容易になるとともに、異物からの保護が可能となる。特に、床面などの養生に用いられる粘着シートは、一般に幅が広い上に目方が重いため粘着シートの終端13の繰り出しが困難であるとともに、その用途に照らし合わせると異物の混入を嫌うものであるが、本発明を用いることでこれらの課題を克服することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】粘着シート1の断面の模式図である。
【図2】粘着シート端部13と包装シート4を重ね合わせた状態を示す模式図である。
【図3】ロール体11に包装シート4を巻回した状態(3−a)、および包装シートの側部43を折り畳み、ロール体の側面15の両方を覆った状態(3−b)を示す模式図である。
【図4】実施例1のロール包装体12の使用時の概略図である。
【図5】実施例2のロール包装体12の使用時の概略図である。
【符号の説明】
【0023】
1 粘着シート
11 ロール体
12 ロール包装体
13 粘着シートの終端
14 粘着シートの側端
15 ロール体の側面
2 基材シート
3 粘着剤層
4 包装シート
41 包装シートの一端
42 包装シートのもう一端
43 包装シートの側部
5 紙管
6 粘着テープ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材シートの片面に粘着剤が塗布されている粘着シートをロール状に巻き取って得られたロール体を包装する方法において、幅が「ロール体の幅+ロール体の巻き厚×2」以上、長さが「ロール体の外周長×1.1」以上である略矩形の包装シートを、その両側部がロール体の両側面をカバーするのに十分な長さではみ出るように、巻き取られた粘着シートの終端部に挟み込み、しかる後にこの包装シートでロール体の周囲及び両側面を包装することを特徴とするロール体の包装方法。
【請求項2】
粘着シートの粘着剤が塗布されている面が内側になるように巻き取られているロール体を包装することを特徴とする請求項1に記載の包装方法。
【請求項3】
粘着シートの粘着剤が塗布されている面が外側になるように巻き取られているロール体を包装することを特徴とする請求項1に記載の包装方法。
【請求項4】
請求項1、2、3のいずれかに記載の方法によって包装されたロール包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−112477(P2007−112477A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−305784(P2005−305784)
【出願日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(000206473)大倉工業株式会社 (124)
【Fターム(参考)】