ロール体保持機構及びロール体収納箱
【課題】収納箱内のロール体からシート状物を円滑に引き出すことができる、ロール体保持機構を、提供すること。
【解決手段】ロール体3の両端部に取り付けられた状態で、収納箱内に収納される、一対の保持具4を、備えており、保持具4は、円筒体32の端部に挿し込まれる横部材41と、横部材41の非挿込側の端部に設けられた縦部材42と、からなっており、横部材41は、縦部材42の中央に設けられており、横部材41は、円筒体32内に摺接するよう嵌挿される形態を、有しており、縦部材41は、収納箱の縦断面空間に嵌合する形態を、有している。
【解決手段】ロール体3の両端部に取り付けられた状態で、収納箱内に収納される、一対の保持具4を、備えており、保持具4は、円筒体32の端部に挿し込まれる横部材41と、横部材41の非挿込側の端部に設けられた縦部材42と、からなっており、横部材41は、縦部材42の中央に設けられており、横部材41は、円筒体32内に摺接するよう嵌挿される形態を、有しており、縦部材41は、収納箱の縦断面空間に嵌合する形態を、有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒体にシート状物が巻き付けられてなるロール体を、開閉蓋を有する直方体状の収納箱内に、保持するための、ロール体保持機構、及び、そのロール体保持機構を備えたロール体収納箱、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ロール体保持機構は、収納箱内に収納されたロール体からシート状物を引き剥がしながら収納箱外に引き出す際に、ロール体を収納箱内に保持するための、機構である。このようなロール体保持機構としては、例えば特許文献1〜4に記載の機構が知られている。
【特許文献1】実開昭62−58332号
【特許文献2】実開昭62−99516号
【特許文献3】実開昭63−194131号
【特許文献4】実開平2−138654号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1〜4のロール体保持機構においては、収納箱内におけるロール体の保持が十分ではなかった。すなわち、シート状物を引き出す際に、ロール体が、回転しながら収納箱の内面と接触するために、収納箱内で前後や上下に動き、不安定であった。このため、次のような問題が生じていた。
(1)シート状物をロール体から円滑に引き剥がすことができず、その結果、シート状物を収納箱から円滑に引き出すことができない。
(2)ロール体の逆回転が生じ、そのために、シート状物の切り取り口が収納箱内に巻き戻され、シート状物を引き出すのが困難となる。
(3)ロール体が不用意に回転して、シート状物が余分に引き出される。
【0004】
本発明は、上記のような問題点を解消できる、ロール体保持機構及びロール体収納箱を、提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のロール体保持機構は、円筒体にシート状物が巻き付けられてなるロール体を、開閉蓋を有する直方体状の収納箱内に、保持するための、ロール体保持機構であって、上記ロール体の両端部に取り付けられた状態で、上記収納箱内に収納される、一対の保持具を、備えており、上記保持具は、上記円筒体の端部に挿し込まれる横部材と、横部材の非挿込側の端部に設けられた縦部材と、からなっており、上記横部材は、上記縦部材の中央に設けられており、上記横部材は、上記円筒体内に摺接するよう嵌挿される形態を、有しており、上記縦部材は、上記収納箱の縦断面空間に嵌合する形態を、有している、ことを特徴としている。
【0006】
本発明のロール体保持機構は、更に、以下の構成を採用するのが好ましい。
(A)上記横部材の外周面が、上記シート状物を上記収納箱内の上記ロール体から上記収納箱外に引き出す際の上記ロール体の回転方向とは逆方向に、上記円筒体が回転するのを阻止するための、歯を、有している。
(B)上記縦部材と上記円筒体の端面との間に、両者を離間させるように付勢する弾性部材を、備えている。
(C)一対の上記保持具が、下端部にて、長手方向に延びた底板部材によって、連結されている。
【0007】
本発明のロール体収納箱は、円筒体にシート状物が巻き付けられてなるロール体を、収納するとともに、上記ロール体保持機構によって保持する、ロール体収納箱であって、開閉蓋を有する直方体状の収納箱からなり、上記収納箱の内部の長手方向長さが、両端部に上記保持具が取り付けられた上記ロール体が嵌合するような長さに、設定されている、ことを特徴としている。
【0008】
本発明のロール体収納箱は、更に、以下の構成を採用するのが好ましい。
(D)上記収納箱が、開閉蓋と箱本体とからなっており、上記箱本体が、中空の直方体において上面が開放した形態を、有しており、底面部と、長手方向両側の側面部と、前面部と、後面部と、からなっており、上記前面部の上縁部分が、所定の高さ寸法だけ切除されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明のロール体保持機構においては、ロール体は、収納箱内の縦断面の中心において、収納箱の上下の内面及び前後の内面に接することなく、回転する。それ故、ロール体は、上下や前後に動くことなく、安定した状態で回転する。したがって、本発明によれば、シート状物を、ロール体から円滑に引き剥がして、収納箱から円滑に引き出すことができる。
【0010】
上記構成(A)によれば、シート状物を引き出す際にロール体が逆回転するのを防止できるので、シート状物の切り取り口が収納箱内に巻き戻されるのを防止でき、したがって、シート状物の引き出しが困難となるのを防止できる。
【0011】
上記構成(B)において、弾性部材は、ロール体を保持具から離れるように押すので、保持具に対するロール体の回転にブレーキ力を加えるように機能する。それ故、上記構成(B)によれば、シート状物を引き出す際にロール体が回転しすぎるのを確実に防止でき、したがって、ロール体が不用意に回転してシート状物が余分に引き出されるのを、防止できる。
【0012】
上記構成(C)において、一対の保持具は、底板部材によって、収納箱内の長手方向において移動不能に支持される。したがって、上記構成(C)によれば、ロール体を、収納箱内において長手方向に移動不能に保持できる。このため、ロール体は、左右に動くことなく、安定した状態で回転する。したがって、上記構成(C)によっても、シート状物を、ロール体から円滑に引き剥がして、収納箱から円滑に引き出すことができる。
【0013】
本発明のロール体収納箱において、ロール体は、収納箱内において長手方向に移動不能であるので、左右に動くことなく、安定した状態で回転する。したがって、本発明によれば、シート状物を、ロール体から円滑に引き剥がして、収納箱から円滑に引き出すことができる。
【0014】
上記構成(D)においては、シート状物を、収納箱外へ引き出す際に、上記前面部の切除部分を通して引き出すことができる。それ故、シート状物を、上記前面部の上縁に接触させることなく、円滑に引き出すことができる。したがって、上記構成(D)によれば、シート状物を収納箱外へ円滑に引き出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1及び図2は、本発明のロール体保持機構を備えた、本発明のロール体収納箱の、斜視図である。この収納箱1内では、ロール体3がロール体保持機構によって保持されている。図1は、収納箱1が閉じた状態を示しており、図2は、収納箱1が開いた状態を示している。収納箱1は、直方体状の形態を有しており、一般的には、紙製であり、箱本体11と、開閉可能な蓋体(開閉蓋)12と、からなっている。なお、両図においては、シート状物31が、ロール体3から引き剥がされて、収納箱1から少しだけ引き出されている。
【0016】
箱本体11は、中空の直方体において上面が開放した形態を、有しており、底面部111と、長手方向両側の側面部112、113と、前面部114と、後面部115と、からなっている。蓋体12は、箱本体11の開放面を塞ぐ上面部121と、長手方向両側の側面部122、123と、前面部124と、からなっている。
【0017】
蓋体12は、上面部121の後縁1211にて、箱本体11の後面部115の上縁1151に連結している。蓋体12は、後縁1211にて前側に折り曲げることにより、箱本体11を上方から覆うようになっている。箱本体11が蓋体12によって上方から覆われた状態が、図1の状態である。図1の状態において、蓋体12の両側面部122、123は、それぞれ、箱本体11の両側面部112、113の外側に位置しており、また、前面部124は、前面部114の外側に位置している。蓋体12の前面部124の下縁1241には、シート状物31を切り裂くための刃(図示せず)が設けられている。
【0018】
図3は、収納箱1からロール体3を取り出した状態の斜視図である。ロール体3には、ロール体保持機構が取り付けられている。すなわち、図3に示されるように、ロール体3の両端部には、一対の保持具4が取り付けられている。ここでは、この一対の保持具4がロール体保持機構を構成している。図4は、ロール体3から保持具4を取り外した状態の斜視図である。図5は、図1のV−V断面図であり、図6は、図2のVI矢視図である。
【0019】
ロール体3は、円筒体32と、円筒体32に巻き付けられたシート状物31と、からなっている。円筒体32は、一般的には、紙製である。シート状物31は、例えば食品ラップ用フィルムである。
【0020】
保持具4は、円筒体32に挿し込まれる横部材41と、横部材41の非挿込側の端部にて横部材41に対して垂直に設けられた縦部材42と、からなっている。横部材41は、縦部材42の側面視(A矢視)中央に設けられている。横部材41は、円筒体32内に摺接するよう嵌挿される形態を、有している。具体的には、横部材41は、紙製の円筒状部材であり、その外周面411が円筒体32の内面321に摺接するようになっている。縦部材42は、収納箱1の縦断面空間に嵌合する形態を、有している。具体的には、縦部材42は、プラスチック製の透明な平板状部材であり、図7に示されるように、収納箱1の縦断面空間10に嵌合する側面視(A矢視)矩形の形態を、有している。なお、横部材41は、円筒状ではなく、円柱状でもよい。また、縦部材42は、平板状ではなく、横部材41から張り出したフランジ状でもよい。
【0021】
図5及び図6に示されるように、保持具4は、横部材41がロール体3の円筒体32の端部に挿し込まれることによって、ロール体3の端部に取り付けられている。このとき、縦部材42は、円筒体32の端縁にて垂直となっている。そして、図2に示されるように、ロール体3は、両端に保持具4が取り付けられた状態で、収納箱1内に収容されている。
【0022】
図5では、収納箱1を一点鎖線で示している。図5からわかるように、収納箱1内に収納されたロール体3は、両保持具4によって、収納箱1内の上下方向中央部に、浮いた状態で、すなわち、収納箱1の上下の内面(すなわち底面部111及び上面部121の内面)に接触しない状態で、保持されている。また、図6からわかるように、収納箱1内に収納されたロール体3は、両保持具4によって、収納箱1内の前後方向中央部に、浮いた状態で、すなわち、収納箱1の前後の内面(すなわち前面部114及び後面部115の内面)に接触しない状態で、保持されている。したがって、両端部に保持具4が取り付けられた状態で収納箱1内に収納されたロール体3は、両保持具4によって、収納箱1内において浮いた状態で保持されている。
【0023】
上記構成の収納箱1では、シート状物31を、図1に示されるように必要な長さだけ収納箱1外に引き出して、蓋体12の前面部124の下縁1241の刃によって切断して、使用する。
【0024】
ところで、上記構成の収納箱1において、シート状物31を引き出す際には、ロール体3は、収納箱1内において両保持具4の横部材41回りに矢印R方向(図2)に回転する。すなわち、ロール体3は、収納箱1内の縦断面の中心において、収納箱1の上下の内面及び前後の内面に接することなく、回転する。それ故、ロール体3は、上下や前後に動くことなく、安定した状態で回転する。したがって、上記構成の収納箱1においては、シート状物3を、ロール体3から円滑に引き剥がして、収納箱1から円滑に引き出すことができる。
【0025】
しかも、上記構成の収納箱1においては、図3に示されるように、収納箱1の箱本体11の内部の長手方向長さL2は、両端部に保持具4が取り付けられたロール体3の長手方向長さL1と同じに、設定されている。そのため、両端部に保持具4が取り付けられたロール体3は、長手方向において収納箱1内に嵌合する。それ故、ロール体3は、収納箱1内において長手方向に移動不能であるので、左右に動くことなく、安定した状態で回転する。したがって、この点からも、上記構成の収納箱1においては、シート状物3を、ロール体3から円滑に引き剥がして、収納箱1から円滑に引き出すことができる。
【0026】
また、上述したロール体保持機構は、図8に示されるように、保持具4の横部材41の外周面411が歯412を有するのが、好ましい。歯412は、円周方向に複数個(図8では8個)並んで形成されており、円筒体32がR方向に回転するのは許容するが円筒体32が反R方向に回転するのは阻止するような、形態に、形成されている。具体的には、歯412は、R方向に突出した鋸歯状に形成されている。この構成によれば、シート状物31を引き出す際にロール体3が逆回転する(反R方向に回転する)のを防止できるので、シート状物31が収納箱1内に巻き戻されるのを防止でき、したがって、シート状物31の引き出しが困難となるのを防止できる。
【0027】
更に、上述したロール体保持機構は、平面図である図9及び図9のX−X断面図である図10に示されるように、保持具4の縦部材42とロール体3の円筒体32の端面との間に、両者を離間させるように付勢する弾性部材43を、備えているのが、好ましい。弾性部材43としては、例えば、リング状の板ばねを使用できる。この構成において、弾性部材43は、ロール体3を保持具4から離れるように押すので、保持具4に対するロール体3の回転にブレーキ力を加えるように機能する。それ故、この構成によれば、シート状物31を引き出す際にロール体3がR方向に回転しすぎるのを確実に防止でき、したがって、ロール体3が不用意に回転してシート状物31が余分に引き出されるのを、防止できる。
【0028】
なお、本発明のロール体保持機構は、図11に示されるように、一対の保持具4を下端部にて底板部材44によって連結して構成してもよい。底板部材44は、長手方向に延びており、収納箱1の箱本体11の内部の長手方向長さL2(図3)と同じ長さL3を有している。このロール体保持機構が取り付けられたロール体3が、収納箱1内に収納されると、底板部材44は、収納箱1の箱本体11の底面部111上に設置され且つ箱本体11内に長手方向において嵌合する。それ故、一対の保持具4は、底板部材44によって、収納箱1内の長手方向において移動不能に支持される。したがって、この構成によれば、ロール体3を、収納箱1内において長手方向に移動不能に保持できる。このため、ロール体3は、左右に動くことなく、安定した状態で回転する。したがって、この構成によっても、シート状物31を、ロール体3から円滑に引き剥がして、収納箱1から円滑に引き出すことができる。
【0029】
また、本発明のロール体収納箱1においては、図12に示されるように、箱本体11の前面部114の上縁部分が所定の高さ寸法Hだけ切除されるのが、好ましい。この構成においては、シート状物31を、収納箱1外へ引き出す際に、前面部114の切除部分1140を通して引き出すことができる。それ故、シート状物31を、略横方向へ引き出すことができ、すなわち、前面部114の上縁1141(図2)に接触させることなく、円滑に引き出すことができる。したがって、この構成によれば、シート状物31を収納箱1外へ円滑に引き出すことができる。なお、切除部分1140を有する前面部114の上縁部は、帯状の紙等の硬質材1142によって、補強するのが、好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、収納箱内のロール体からシート状物を円滑に引き出すことができるので、産業上の利用価値が大である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明のロール体収納箱の、閉じた状態を示す、斜視図である。
【図2】本発明のロール体収納箱の、開いた状態を示す、斜視図である。
【図3】図2の収納箱からロール体を取り出した状態の斜視図である。
【図4】図3のロール体から保持具を取り外した状態の斜視図である。
【図5】図1のV−V断面図である。
【図6】図2のVI矢視図である。
【図7】保持具を収納箱に収納した状態を示す斜視図である。
【図8】本発明のロール体保持機構の別の第1例における、保持具の横部材の外周面を示すための、縦断面図である。
【図9】本発明のロール体保持機構の別の第2例における、ロール体に取り付けられた保持具を示すための、平面図である。
【図10】図9のX−X断面図である。
【図11】本発明のロール体保持機構の別の第3例における保持具を示す斜視図である。
【図12】本発明のロール体収納箱の別の例の、図2に相当する図である。
【符号の説明】
【0032】
1 収納箱 11 箱本体 111 底面部 112、113 側面部 114 前面部 115 後面部 12 蓋体 3 ロール体 31 シート状物 32 円筒体 4 保持具 41 横部材 411 外周面 42 縦部材 43 弾性部材 44 底板部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒体にシート状物が巻き付けられてなるロール体を、開閉蓋を有する直方体状の収納箱内に、保持するための、ロール体保持機構、及び、そのロール体保持機構を備えたロール体収納箱、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ロール体保持機構は、収納箱内に収納されたロール体からシート状物を引き剥がしながら収納箱外に引き出す際に、ロール体を収納箱内に保持するための、機構である。このようなロール体保持機構としては、例えば特許文献1〜4に記載の機構が知られている。
【特許文献1】実開昭62−58332号
【特許文献2】実開昭62−99516号
【特許文献3】実開昭63−194131号
【特許文献4】実開平2−138654号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1〜4のロール体保持機構においては、収納箱内におけるロール体の保持が十分ではなかった。すなわち、シート状物を引き出す際に、ロール体が、回転しながら収納箱の内面と接触するために、収納箱内で前後や上下に動き、不安定であった。このため、次のような問題が生じていた。
(1)シート状物をロール体から円滑に引き剥がすことができず、その結果、シート状物を収納箱から円滑に引き出すことができない。
(2)ロール体の逆回転が生じ、そのために、シート状物の切り取り口が収納箱内に巻き戻され、シート状物を引き出すのが困難となる。
(3)ロール体が不用意に回転して、シート状物が余分に引き出される。
【0004】
本発明は、上記のような問題点を解消できる、ロール体保持機構及びロール体収納箱を、提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のロール体保持機構は、円筒体にシート状物が巻き付けられてなるロール体を、開閉蓋を有する直方体状の収納箱内に、保持するための、ロール体保持機構であって、上記ロール体の両端部に取り付けられた状態で、上記収納箱内に収納される、一対の保持具を、備えており、上記保持具は、上記円筒体の端部に挿し込まれる横部材と、横部材の非挿込側の端部に設けられた縦部材と、からなっており、上記横部材は、上記縦部材の中央に設けられており、上記横部材は、上記円筒体内に摺接するよう嵌挿される形態を、有しており、上記縦部材は、上記収納箱の縦断面空間に嵌合する形態を、有している、ことを特徴としている。
【0006】
本発明のロール体保持機構は、更に、以下の構成を採用するのが好ましい。
(A)上記横部材の外周面が、上記シート状物を上記収納箱内の上記ロール体から上記収納箱外に引き出す際の上記ロール体の回転方向とは逆方向に、上記円筒体が回転するのを阻止するための、歯を、有している。
(B)上記縦部材と上記円筒体の端面との間に、両者を離間させるように付勢する弾性部材を、備えている。
(C)一対の上記保持具が、下端部にて、長手方向に延びた底板部材によって、連結されている。
【0007】
本発明のロール体収納箱は、円筒体にシート状物が巻き付けられてなるロール体を、収納するとともに、上記ロール体保持機構によって保持する、ロール体収納箱であって、開閉蓋を有する直方体状の収納箱からなり、上記収納箱の内部の長手方向長さが、両端部に上記保持具が取り付けられた上記ロール体が嵌合するような長さに、設定されている、ことを特徴としている。
【0008】
本発明のロール体収納箱は、更に、以下の構成を採用するのが好ましい。
(D)上記収納箱が、開閉蓋と箱本体とからなっており、上記箱本体が、中空の直方体において上面が開放した形態を、有しており、底面部と、長手方向両側の側面部と、前面部と、後面部と、からなっており、上記前面部の上縁部分が、所定の高さ寸法だけ切除されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明のロール体保持機構においては、ロール体は、収納箱内の縦断面の中心において、収納箱の上下の内面及び前後の内面に接することなく、回転する。それ故、ロール体は、上下や前後に動くことなく、安定した状態で回転する。したがって、本発明によれば、シート状物を、ロール体から円滑に引き剥がして、収納箱から円滑に引き出すことができる。
【0010】
上記構成(A)によれば、シート状物を引き出す際にロール体が逆回転するのを防止できるので、シート状物の切り取り口が収納箱内に巻き戻されるのを防止でき、したがって、シート状物の引き出しが困難となるのを防止できる。
【0011】
上記構成(B)において、弾性部材は、ロール体を保持具から離れるように押すので、保持具に対するロール体の回転にブレーキ力を加えるように機能する。それ故、上記構成(B)によれば、シート状物を引き出す際にロール体が回転しすぎるのを確実に防止でき、したがって、ロール体が不用意に回転してシート状物が余分に引き出されるのを、防止できる。
【0012】
上記構成(C)において、一対の保持具は、底板部材によって、収納箱内の長手方向において移動不能に支持される。したがって、上記構成(C)によれば、ロール体を、収納箱内において長手方向に移動不能に保持できる。このため、ロール体は、左右に動くことなく、安定した状態で回転する。したがって、上記構成(C)によっても、シート状物を、ロール体から円滑に引き剥がして、収納箱から円滑に引き出すことができる。
【0013】
本発明のロール体収納箱において、ロール体は、収納箱内において長手方向に移動不能であるので、左右に動くことなく、安定した状態で回転する。したがって、本発明によれば、シート状物を、ロール体から円滑に引き剥がして、収納箱から円滑に引き出すことができる。
【0014】
上記構成(D)においては、シート状物を、収納箱外へ引き出す際に、上記前面部の切除部分を通して引き出すことができる。それ故、シート状物を、上記前面部の上縁に接触させることなく、円滑に引き出すことができる。したがって、上記構成(D)によれば、シート状物を収納箱外へ円滑に引き出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1及び図2は、本発明のロール体保持機構を備えた、本発明のロール体収納箱の、斜視図である。この収納箱1内では、ロール体3がロール体保持機構によって保持されている。図1は、収納箱1が閉じた状態を示しており、図2は、収納箱1が開いた状態を示している。収納箱1は、直方体状の形態を有しており、一般的には、紙製であり、箱本体11と、開閉可能な蓋体(開閉蓋)12と、からなっている。なお、両図においては、シート状物31が、ロール体3から引き剥がされて、収納箱1から少しだけ引き出されている。
【0016】
箱本体11は、中空の直方体において上面が開放した形態を、有しており、底面部111と、長手方向両側の側面部112、113と、前面部114と、後面部115と、からなっている。蓋体12は、箱本体11の開放面を塞ぐ上面部121と、長手方向両側の側面部122、123と、前面部124と、からなっている。
【0017】
蓋体12は、上面部121の後縁1211にて、箱本体11の後面部115の上縁1151に連結している。蓋体12は、後縁1211にて前側に折り曲げることにより、箱本体11を上方から覆うようになっている。箱本体11が蓋体12によって上方から覆われた状態が、図1の状態である。図1の状態において、蓋体12の両側面部122、123は、それぞれ、箱本体11の両側面部112、113の外側に位置しており、また、前面部124は、前面部114の外側に位置している。蓋体12の前面部124の下縁1241には、シート状物31を切り裂くための刃(図示せず)が設けられている。
【0018】
図3は、収納箱1からロール体3を取り出した状態の斜視図である。ロール体3には、ロール体保持機構が取り付けられている。すなわち、図3に示されるように、ロール体3の両端部には、一対の保持具4が取り付けられている。ここでは、この一対の保持具4がロール体保持機構を構成している。図4は、ロール体3から保持具4を取り外した状態の斜視図である。図5は、図1のV−V断面図であり、図6は、図2のVI矢視図である。
【0019】
ロール体3は、円筒体32と、円筒体32に巻き付けられたシート状物31と、からなっている。円筒体32は、一般的には、紙製である。シート状物31は、例えば食品ラップ用フィルムである。
【0020】
保持具4は、円筒体32に挿し込まれる横部材41と、横部材41の非挿込側の端部にて横部材41に対して垂直に設けられた縦部材42と、からなっている。横部材41は、縦部材42の側面視(A矢視)中央に設けられている。横部材41は、円筒体32内に摺接するよう嵌挿される形態を、有している。具体的には、横部材41は、紙製の円筒状部材であり、その外周面411が円筒体32の内面321に摺接するようになっている。縦部材42は、収納箱1の縦断面空間に嵌合する形態を、有している。具体的には、縦部材42は、プラスチック製の透明な平板状部材であり、図7に示されるように、収納箱1の縦断面空間10に嵌合する側面視(A矢視)矩形の形態を、有している。なお、横部材41は、円筒状ではなく、円柱状でもよい。また、縦部材42は、平板状ではなく、横部材41から張り出したフランジ状でもよい。
【0021】
図5及び図6に示されるように、保持具4は、横部材41がロール体3の円筒体32の端部に挿し込まれることによって、ロール体3の端部に取り付けられている。このとき、縦部材42は、円筒体32の端縁にて垂直となっている。そして、図2に示されるように、ロール体3は、両端に保持具4が取り付けられた状態で、収納箱1内に収容されている。
【0022】
図5では、収納箱1を一点鎖線で示している。図5からわかるように、収納箱1内に収納されたロール体3は、両保持具4によって、収納箱1内の上下方向中央部に、浮いた状態で、すなわち、収納箱1の上下の内面(すなわち底面部111及び上面部121の内面)に接触しない状態で、保持されている。また、図6からわかるように、収納箱1内に収納されたロール体3は、両保持具4によって、収納箱1内の前後方向中央部に、浮いた状態で、すなわち、収納箱1の前後の内面(すなわち前面部114及び後面部115の内面)に接触しない状態で、保持されている。したがって、両端部に保持具4が取り付けられた状態で収納箱1内に収納されたロール体3は、両保持具4によって、収納箱1内において浮いた状態で保持されている。
【0023】
上記構成の収納箱1では、シート状物31を、図1に示されるように必要な長さだけ収納箱1外に引き出して、蓋体12の前面部124の下縁1241の刃によって切断して、使用する。
【0024】
ところで、上記構成の収納箱1において、シート状物31を引き出す際には、ロール体3は、収納箱1内において両保持具4の横部材41回りに矢印R方向(図2)に回転する。すなわち、ロール体3は、収納箱1内の縦断面の中心において、収納箱1の上下の内面及び前後の内面に接することなく、回転する。それ故、ロール体3は、上下や前後に動くことなく、安定した状態で回転する。したがって、上記構成の収納箱1においては、シート状物3を、ロール体3から円滑に引き剥がして、収納箱1から円滑に引き出すことができる。
【0025】
しかも、上記構成の収納箱1においては、図3に示されるように、収納箱1の箱本体11の内部の長手方向長さL2は、両端部に保持具4が取り付けられたロール体3の長手方向長さL1と同じに、設定されている。そのため、両端部に保持具4が取り付けられたロール体3は、長手方向において収納箱1内に嵌合する。それ故、ロール体3は、収納箱1内において長手方向に移動不能であるので、左右に動くことなく、安定した状態で回転する。したがって、この点からも、上記構成の収納箱1においては、シート状物3を、ロール体3から円滑に引き剥がして、収納箱1から円滑に引き出すことができる。
【0026】
また、上述したロール体保持機構は、図8に示されるように、保持具4の横部材41の外周面411が歯412を有するのが、好ましい。歯412は、円周方向に複数個(図8では8個)並んで形成されており、円筒体32がR方向に回転するのは許容するが円筒体32が反R方向に回転するのは阻止するような、形態に、形成されている。具体的には、歯412は、R方向に突出した鋸歯状に形成されている。この構成によれば、シート状物31を引き出す際にロール体3が逆回転する(反R方向に回転する)のを防止できるので、シート状物31が収納箱1内に巻き戻されるのを防止でき、したがって、シート状物31の引き出しが困難となるのを防止できる。
【0027】
更に、上述したロール体保持機構は、平面図である図9及び図9のX−X断面図である図10に示されるように、保持具4の縦部材42とロール体3の円筒体32の端面との間に、両者を離間させるように付勢する弾性部材43を、備えているのが、好ましい。弾性部材43としては、例えば、リング状の板ばねを使用できる。この構成において、弾性部材43は、ロール体3を保持具4から離れるように押すので、保持具4に対するロール体3の回転にブレーキ力を加えるように機能する。それ故、この構成によれば、シート状物31を引き出す際にロール体3がR方向に回転しすぎるのを確実に防止でき、したがって、ロール体3が不用意に回転してシート状物31が余分に引き出されるのを、防止できる。
【0028】
なお、本発明のロール体保持機構は、図11に示されるように、一対の保持具4を下端部にて底板部材44によって連結して構成してもよい。底板部材44は、長手方向に延びており、収納箱1の箱本体11の内部の長手方向長さL2(図3)と同じ長さL3を有している。このロール体保持機構が取り付けられたロール体3が、収納箱1内に収納されると、底板部材44は、収納箱1の箱本体11の底面部111上に設置され且つ箱本体11内に長手方向において嵌合する。それ故、一対の保持具4は、底板部材44によって、収納箱1内の長手方向において移動不能に支持される。したがって、この構成によれば、ロール体3を、収納箱1内において長手方向に移動不能に保持できる。このため、ロール体3は、左右に動くことなく、安定した状態で回転する。したがって、この構成によっても、シート状物31を、ロール体3から円滑に引き剥がして、収納箱1から円滑に引き出すことができる。
【0029】
また、本発明のロール体収納箱1においては、図12に示されるように、箱本体11の前面部114の上縁部分が所定の高さ寸法Hだけ切除されるのが、好ましい。この構成においては、シート状物31を、収納箱1外へ引き出す際に、前面部114の切除部分1140を通して引き出すことができる。それ故、シート状物31を、略横方向へ引き出すことができ、すなわち、前面部114の上縁1141(図2)に接触させることなく、円滑に引き出すことができる。したがって、この構成によれば、シート状物31を収納箱1外へ円滑に引き出すことができる。なお、切除部分1140を有する前面部114の上縁部は、帯状の紙等の硬質材1142によって、補強するのが、好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、収納箱内のロール体からシート状物を円滑に引き出すことができるので、産業上の利用価値が大である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明のロール体収納箱の、閉じた状態を示す、斜視図である。
【図2】本発明のロール体収納箱の、開いた状態を示す、斜視図である。
【図3】図2の収納箱からロール体を取り出した状態の斜視図である。
【図4】図3のロール体から保持具を取り外した状態の斜視図である。
【図5】図1のV−V断面図である。
【図6】図2のVI矢視図である。
【図7】保持具を収納箱に収納した状態を示す斜視図である。
【図8】本発明のロール体保持機構の別の第1例における、保持具の横部材の外周面を示すための、縦断面図である。
【図9】本発明のロール体保持機構の別の第2例における、ロール体に取り付けられた保持具を示すための、平面図である。
【図10】図9のX−X断面図である。
【図11】本発明のロール体保持機構の別の第3例における保持具を示す斜視図である。
【図12】本発明のロール体収納箱の別の例の、図2に相当する図である。
【符号の説明】
【0032】
1 収納箱 11 箱本体 111 底面部 112、113 側面部 114 前面部 115 後面部 12 蓋体 3 ロール体 31 シート状物 32 円筒体 4 保持具 41 横部材 411 外周面 42 縦部材 43 弾性部材 44 底板部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒体にシート状物が巻き付けられてなるロール体を、開閉蓋を有する直方体状の収納箱内に、保持するための、ロール体保持機構であって、
上記ロール体の両端部に取り付けられた状態で、上記収納箱内に収納される、一対の保持具を、備えており、
上記保持具は、上記円筒体の端部に挿し込まれる横部材と、横部材の非挿込側の端部に設けられた縦部材と、からなっており、
上記横部材は、上記縦部材の中央に設けられており、
上記横部材は、上記円筒体内に摺接するよう嵌挿される形態を、有しており、
上記縦部材は、上記収納箱の縦断面空間に嵌合する形態を、有している、
ことを特徴とする、ロール体保持機構。
【請求項2】
上記横部材の外周面が、上記シート状物を上記収納箱内の上記ロール体から上記収納箱外に引き出す際の上記ロール体の回転方向とは逆方向に、上記円筒体が回転するのを阻止するための、歯を、有している、請求項1記載のロール体保持機構。
【請求項3】
上記縦部材と上記円筒体の端面との間に、両者を離間させるように付勢する弾性部材を、備えている、請求項1記載のロール体保持機構。
【請求項4】
一対の上記保持具が、下端部にて、長手方向に延びた底板部材によって、連結されている、請求項1記載のロール体保持機構。
【請求項5】
円筒体にシート状物が巻き付けられてなるロール体を、収納するとともに、請求項1から4のいずれか1つに記載のロール体保持機構によって保持する、ロール体収納箱であって、
開閉蓋を有する直方体状の収納箱からなり、
上記収納箱の内部の長手方向長さが、両端部に上記保持具が取り付けられた上記ロール体が嵌合するような長さに、設定されている、
ことを特徴とする、ロール体収納箱。
【請求項6】
上記収納箱が、開閉蓋と箱本体とからなっており、
上記箱本体が、中空の直方体において上面が開放した形態を、有しており、底面部と、長手方向両側の側面部と、前面部と、後面部と、からなっており、
上記前面部の上縁部分が、所定の高さ寸法だけ切除されている、請求項5記載のロール体収納箱。
【請求項1】
円筒体にシート状物が巻き付けられてなるロール体を、開閉蓋を有する直方体状の収納箱内に、保持するための、ロール体保持機構であって、
上記ロール体の両端部に取り付けられた状態で、上記収納箱内に収納される、一対の保持具を、備えており、
上記保持具は、上記円筒体の端部に挿し込まれる横部材と、横部材の非挿込側の端部に設けられた縦部材と、からなっており、
上記横部材は、上記縦部材の中央に設けられており、
上記横部材は、上記円筒体内に摺接するよう嵌挿される形態を、有しており、
上記縦部材は、上記収納箱の縦断面空間に嵌合する形態を、有している、
ことを特徴とする、ロール体保持機構。
【請求項2】
上記横部材の外周面が、上記シート状物を上記収納箱内の上記ロール体から上記収納箱外に引き出す際の上記ロール体の回転方向とは逆方向に、上記円筒体が回転するのを阻止するための、歯を、有している、請求項1記載のロール体保持機構。
【請求項3】
上記縦部材と上記円筒体の端面との間に、両者を離間させるように付勢する弾性部材を、備えている、請求項1記載のロール体保持機構。
【請求項4】
一対の上記保持具が、下端部にて、長手方向に延びた底板部材によって、連結されている、請求項1記載のロール体保持機構。
【請求項5】
円筒体にシート状物が巻き付けられてなるロール体を、収納するとともに、請求項1から4のいずれか1つに記載のロール体保持機構によって保持する、ロール体収納箱であって、
開閉蓋を有する直方体状の収納箱からなり、
上記収納箱の内部の長手方向長さが、両端部に上記保持具が取り付けられた上記ロール体が嵌合するような長さに、設定されている、
ことを特徴とする、ロール体収納箱。
【請求項6】
上記収納箱が、開閉蓋と箱本体とからなっており、
上記箱本体が、中空の直方体において上面が開放した形態を、有しており、底面部と、長手方向両側の側面部と、前面部と、後面部と、からなっており、
上記前面部の上縁部分が、所定の高さ寸法だけ切除されている、請求項5記載のロール体収納箱。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−1340(P2009−1340A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2008−193582(P2008−193582)
【出願日】平成20年7月28日(2008.7.28)
【出願人】(508227880)
【出願人】(508227891)
【出願人】(508227916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−193582(P2008−193582)
【出願日】平成20年7月28日(2008.7.28)
【出願人】(508227880)
【出願人】(508227891)
【出願人】(508227916)
【Fターム(参考)】
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