説明

ロール体保持機構及びロール体収納箱

【課題】収納箱内のロール体からシート状物を円滑に引き出すことができる、ロール体保持機構を、提供すること。
【解決手段】ロール体3の円筒体32の両端部321に取り付けられた状態で、収納箱内に収納される、一対の保持具4を、備えており、保持具4は、収納箱の縦断面空間に嵌合する形態を、有しており、且つ、縦断面中央部に、円筒体32の端部321が摺接可能に内嵌する貫通孔41を、有している、ことを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒体にシート状物が巻き付けられてなるロール体を、開閉蓋を有する直方体状の収納箱内に、保持するための、ロール体保持機構、及び、そのロール体保持機構を備えたロール体収納箱、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ロール体保持機構は、収納箱内に収納されたロール体からシート状物を引き剥がしながら収納箱外に引き出す際に、ロール体を収納箱内に保持するための、機構である。このようなロール体保持機構としては、例えば特許文献1〜4に記載の機構が知られている。
【特許文献1】実開昭62−58332号
【特許文献2】実開昭62−99516号
【特許文献3】実開昭63−194131号
【特許文献4】実開平2−138654号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1〜4のロール体保持機構においては、収納箱内におけるロール体の保持が十分ではなかった。すなわち、シート状物を引き出す際に、ロール体が、回転しながら収納箱の内面と接触するために、収納箱内で前後や上下に動き、不安定であった。このため、次のような問題が生じていた。
(1)シート状物をロール体から円滑に引き剥がすことができず、その結果、シート状物を収納箱から円滑に引き出すことができない。
(2)ロール体の逆回転が生じ、そのために、シート状物の切り取り口が収納箱内に巻き戻され、シート状物を引き出すのが困難となる。
(3)ロール体が不用意に回転して、シート状物が余分に引き出される。
【0004】
本発明は、上記のような問題点を解消できる、ロール体保持機構及びロール体収納箱を、提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のロール体保持機構は、円筒体にシート状物が巻き付けられてなり、且つ、巻き付けられたシート状物から円筒体の両端部が突出している、ロール体を、開閉蓋を有する直方体状の収納箱内に、保持するための、ロール体保持機構であって、上記ロール体の上記円筒体の上記両端部に取り付けられた状態で、上記収納箱内に収納される、一対の保持具を、備えており、上記保持具は、上記収納箱の縦断面空間に嵌合する形態を、有しており、且つ、縦断面中央部に、上記円筒体の上記端部が摺接可能に内嵌する貫通孔を、有している、ことを特徴としている。
【0006】
本発明のロール体収納箱は、円筒体にシート状物が巻き付けられてなり、且つ、巻き付けられたシート状物から円筒体の両端部が突出している、ロール体を、収納するとともに、請求項1記載のロール体保持機構によって保持する、ロール体収納箱であって、開閉蓋を有する直方体状の収納箱からなり、上記収納箱の内部の長手方向長さが、両端部に上記保持具が取り付けられた上記ロール体が嵌合するような長さに、設定されている、ことを特徴としている。
【0007】
本発明のロール体収納箱は、更に、以下の構成を採用するのが好ましい。
(A)上記収納箱が、開閉蓋と箱本体とからなっており、上記箱本体が、中空の直方体において上面が開放した形態を、有しており、底面部と、長手方向両側の側面部と、前面部と、後面部と、からなっており、上記前面部の上縁部分が、所定の高さ寸法だけ切除されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明のロール体保持機構においては、ロール体は、収納箱内の縦断面の中央において、収納箱の上下の内面及び前後の内面に接することなく、回転する。それ故、ロール体は、上下や前後に動くことなく、安定した状態で回転する。したがって、本発明によれば、シート状物を、ロール体から円滑に引き剥がして、収納箱から円滑に引き出すことができる。
【0009】
本発明のロール体収納箱において、ロール体は、収納箱内において長手方向に移動不能であるので、左右に動くことなく、安定した状態で回転する。したがって、本発明によれば、シート状物を、ロール体から円滑に引き剥がして、収納箱から円滑に引き出すことができる。
【0010】
上記構成(A)においては、シート状物を、収納箱外へ引き出す際に、上記前面部の切除部分を通して引き出すことができる。それ故、シート状物を、上記前面部の上縁に接触させることなく、円滑に引き出すことができる。したがって、上記構成(A)によれば、シート状物を収納箱外へ円滑に引き出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1及び図2は、本発明のロール体保持機構を備えた、本発明のロール体収納箱の、斜視図である。この収納箱1内では、ロール体3がロール体保持機構によって保持されている。図1は、収納箱1が閉じた状態を示しており、図2は、収納箱1が開いた状態を示している。収納箱1は、直方体状の形態を有しており、一般的には、紙製であり、箱本体11と、開閉可能な蓋体(開閉蓋)12と、からなっている。なお、両図においては、シート状物31が、ロール体3から引き剥がされて、収納箱1から少しだけ引き出されている。
【0012】
箱本体11は、中空の直方体において上面が開放した形態を、有しており、底面部111と、長手方向両側の側面部112、113と、前面部114と、後面部115と、からなっている。蓋体12は、箱本体11の開放面を塞ぐ上面部121と、長手方向両側の側面部122、123と、前面部124と、からなっている。
【0013】
蓋体12は、上面部121の後縁1211にて、箱本体11の後面部115の上縁1151に連結している。蓋体12は、後縁1211にて前側に折り曲げることにより、箱本体11を上方から覆うようになっている。箱本体11が蓋体12によって上方から覆われた状態が、図1の状態である。図1の状態において、蓋体12の両側面部122、123は、それぞれ、箱本体11の両側面部112、113の外側に位置しており、また、前面部124は、前面部114の外側に位置している。蓋体12の前面部124の下縁1241には、シート状物31を切り裂くための刃(図示せず)が設けられている。
【0014】
図3は、収納箱1からロール体3を取り出した状態の斜視図である。ロール体3には、ロール体保持機構が取り付けられている。すなわち、図3に示されるように、ロール体3の両端部321には、一対の保持具4が取り付けられている。ここでは、この一対の保持具4がロール体保持機構を構成している。図4は、ロール体3から保持具4を取り外した状態の斜視図である。図5は、図1のV−V断面図であり、図6は、図2のVI矢視図である。
【0015】
ロール体3は、円筒体32と、円筒体32に巻き付けられたシート状物31と、からなっている。円筒体32は、一般的には、紙製である。シート状物31は、例えば食品ラップ用フィルムである。円筒体32の両端部321は、シート状物31から突出している。
【0016】
保持具4は、好ましくはプラスチック製の透明な、縦板部材からなっており、収納箱1の縦断面空間に嵌合する形態を、有している。具体的には、図7に示されるように、収納箱1の縦断面空間10に嵌合する側面視(A矢視)矩形の形態を、有している。更に、保持具4は、縦断面中央部に貫通孔41を有している。貫通孔41は、円筒体32の端部321が摺接可能に内嵌する、寸法及び形態を、有している。
【0017】
図5及び図6に示されるように、保持具4は、貫通孔41をロール体3の円筒体32の端部321に外嵌させることによって、ロール体3の端部に取り付けられている。このとき、保持具4は、円筒体32の端縁にて垂直となっている。そして、図2に示されるように、ロール体3は、両端部321に保持具4が取り付けられた状態で、収納箱1内に収容されている。
【0018】
図5では、収納箱1を一点鎖線で示している。図5からわかるように、収納箱1内に収納されたロール体3は、両保持具4によって、収納箱1内の上下方向中央部に、浮いた状態で、すなわち、収納箱1の上下の内面(すなわち底面部111及び上面部121の内面)に接触しない状態で、保持されている。また、図6からわかるように、収納箱1内に収納されたロール体3は、両保持具4によって、収納箱1内の前後方向中央部に、浮いた状態で、すなわち、収納箱1の前後の内面(すなわち前面部114及び後面部115の内面)に接触しない状態で、保持されている。したがって、両端部321に保持具4が取り付けられた状態で収納箱1内に収納されたロール体3は、両保持具4によって、収納箱1内において浮いた状態で保持されている。
【0019】
上記構成の収納箱1では、シート状物31を、図1に示されるように必要な長さだけ収納箱1外に引き出して、蓋体12の前面部124の下縁1241の刃によって切断して、使用する。
【0020】
ところで、上記構成の収納箱1において、シート状物31を引き出す際には、ロール体3は、収納箱1内において両保持具4の貫通孔41内を矢印R方向(図2)に回転する。すなわち、ロール体3は、収納箱1内の縦断面の中央において、収納箱1の上下の内面及び前後の内面に接することなく、回転する。それ故、ロール体3は、上下や前後に動くことなく、安定した状態で回転する。したがって、上記構成の収納箱1においては、シート状物3を、ロール体3から円滑に引き剥がして、収納箱1から円滑に引き出すことができる。
【0021】
しかも、上記構成の収納箱1においては、図3に示されるように、収納箱1の箱本体11の内部の長手方向長さL2は、両端部321に保持具4が取り付けられたロール体3の長手方向長さL1と同じに、設定されている。そのため、両端部321に保持具4が取り付けられたロール体3は、長手方向において収納箱1内に嵌合する。それ故、ロール体3は、収納箱1内において長手方向に移動不能であるので、左右に動くことなく、安定した状態で回転する。したがって、この点からも、上記構成の収納箱1においては、シート状物3を、ロール体3から円滑に引き剥がして、収納箱1から円滑に引き出すことができる。
【0022】
なお、本発明のロール体収納箱1においては、図8に示されるように、箱本体11の前面部114の上縁部分が所定の高さ寸法Hだけ切除されるのが、好ましい。この構成においては、シート状物31を、収納箱1外へ引き出す際に、前面部114の切除部分1140を通して引き出すことができる。それ故、シート状物31を、略横方向へ引き出すことができ、すなわち、前面部114の上縁1141(図2)に接触させることなく、円滑に引き出すことができる。したがって、この構成によれば、シート状物31を収納箱1外へ円滑に引き出すことができる。なお、切除部分1140を有する前面部114の上縁部は、帯状の紙等の硬質材1142によって、補強するのが、好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、収納箱内のロール体からシート状物を円滑に引き出すことができるので、産業上の利用価値が大である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明のロール体収納箱の、閉じた状態を示す、斜視図である。
【図2】本発明のロール体収納箱の、開いた状態を示す、斜視図である。
【図3】図2の収納箱からロール体を取り出した状態の斜視図である。
【図4】図3のロール体から保持具を取り外した状態の斜視図である。
【図5】図1のV−V断面図である。
【図6】図2のVI矢視図である。
【図7】保持具を収納箱に収納した状態を示す斜視図である。
【図8】本発明のロール体収納箱の別の例の、図2に相当する図である。
【符号の説明】
【0025】
1 収納箱 11 箱本体 111 底面部 112、113 側面部 114 前面部 115 後面部 12 蓋体 3 ロール体 31 シート状物 32 円筒体 321 端部 4 保持具 41 貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒体にシート状物が巻き付けられてなり、且つ、巻き付けられたシート状物から円筒体の両端部が突出している、ロール体を、開閉蓋を有する直方体状の収納箱内に、保持するための、ロール体保持機構であって、
上記ロール体の上記円筒体の上記両端部に取り付けられた状態で、上記収納箱内に収納される、一対の保持具を、備えており、
上記保持具は、上記収納箱の縦断面空間に嵌合する形態を、有しており、且つ、縦断面中央部に、上記円筒体の上記端部が摺接可能に内嵌する貫通孔を、有している、
ことを特徴とする、ロール体保持機構。
【請求項2】
円筒体にシート状物が巻き付けられてなり、且つ、巻き付けられたシート状物から円筒体の両端部が突出している、ロール体を、収納するとともに、請求項1記載のロール体保持機構によって保持する、ロール体収納箱であって、
開閉蓋を有する直方体状の収納箱からなり、
上記収納箱の内部の長手方向長さが、両端部に上記保持具が取り付けられた上記ロール体が嵌合するような長さに、設定されている、
ことを特徴とする、ロール体収納箱。
【請求項3】
上記収納箱が、開閉蓋と箱本体とからなっており、
上記箱本体が、中空の直方体において上面が開放した形態を、有しており、底面部と、長手方向両側の側面部と、前面部と、後面部と、からなっており、
上記前面部の上縁部分が、所定の高さ寸法だけ切除されている、請求項2記載のロール体収納箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−76782(P2010−76782A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−245452(P2008−245452)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(508227880)
【出願人】(508227891)
【出願人】(508227916)
【Fターム(参考)】