説明

ロール及び洗浄装置

【課題】製紙、フィルム等の柔軟で厚みの薄い対象物からなる被洗浄面に付着した液体を確実に除去、搾取、洗浄すると共に、耐久性に優れたロール、及びそのロールを搭載した洗浄装置を提供する。
【解決手段】ロール1は、ロール部2及び台座3を有し、ロール部2は不織布からなる概円環状のロール片4が台座3の外周に積層されて形成されてあり、台座3は略円筒状の内筒体6が中空状の外筒体5に挿入された二層構造をなし、外筒体5が回転することにより、外筒体5の外周に開設された外孔部10が、内筒体6の外周に開設された内孔部16と順次、重なり合うと共に、流体が吸引されるよう形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼板、非鉄金属板、樹脂板、製紙、あるいはフィルム状の被洗浄面に付着した水分、油分、あるいは薬品成分等の液体を除去、搾取、洗浄する為のロール、及びそのロールを搭載した洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種のロールに関しては、例えば、吸液機能を備えた軸本体、及びこの軸本体に圧着重畳された不織布シートで構成する不織布ロールと、当該不織布ロールと配管を介し連通される真空ポンプとで構成される、送出、吸液機能を備えた不織布ロールを利用する吸液方法であって、この吸液方法は、吸引抵抗による真空値、及び毛細管の機能を高めることを意図して、前記不織布部をウエットな吸液状態にして使用し、かつこの使用状態で前記軸本体に多数千鳥状等に開設した透孔を介して、前記吸液状態にある不織布部内部に於いて、不織布ロール外表面方向に向かってほぼ倒円錐形状に有効な吸液、送液毛細管部を作用せしめるとともに、前記真空吸引力の一部が前記不織布ロールの外表面に於いて重畳作用するように構成したことにより、前記真空吸引力を当該不織布ロールの外表面で均一作用させる構成とした不織布ロールを利用する吸液方法と、この吸液方法に使用する吸液ロール装置(特許文献1)が考案されている。
【0003】
特許文献1の吸液方法と、この吸液方法に使用する吸液ロール装置に用いられる不織布ロールは、真空吸引力を不織布ロールの外表面で均一作用させる構成である。従って、不織布ロールの外表面の全周に亘って、真空吸引力が作用することになる。前記の如くの構成においては、鋼板や非鉄金属板等の剛直で厚みの厚い被洗浄面に付着した液体は均一に除去し、生産することが可能である。しかしながら、長尺状の製紙やフィルムのような柔軟で厚みの薄い被洗浄面は、不織布ロールの外表面の全周に亘って、真空吸引力が作用していることから、不織布ロールの外表面に張り付くと共に、巻き付くことになる。その為、被洗浄面に付着した液体を除去できず、生産に支障をきたすという課題を有していた。なお、フィルムとは、一般に合成樹脂等の高分子成分等を薄い膜状に成型したもので、250μm以下の厚さのものを指す。
【0004】
上記に示した製紙、フィルム等の柔軟で厚みの薄い組成物を生産する際に使用されるロールとして、例えば、あらかじめ加熱した外筒に、外周面にロウ材を配置した内筒を外筒よりも低温度で挿入し、次いで両者を同一回転速度で回転しつつロウ材による接合を行った上冷却することを特徴とする二層ロールの製造方法(特許文献2)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−120145号公報
【特許文献2】特公平8−6740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2の二層ロールの製造方法において製造された二層ロールは、高温が付加された製紙やフィルム等の柔軟で厚みの薄い被洗浄面を冷却する為のロールである。従って、特許文献1に示した不織布ロールの如く、被洗浄面に付着した液体を除去することには不向きである。
【0007】
また、外筒や内筒の外周には、特許文献1で示したような真空吸引力を作用させて、被洗浄面から液体を吸引する透孔が開設されていない。その為、二層ロールを、被洗浄面から液体を除去する目的で用いても、被洗浄面から均一に液体を除去することは、極めて難しいという問題があった。
【0008】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、製紙、フィルム等の柔軟で厚みの薄い対象物からなる被洗浄面に付着した液体を確実に除去、搾取、洗浄すると共に、耐久性に優れたロール、及びそのロールを搭載した洗浄装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記従来の課題を解決する為に、請求項1の発明のロールは、鋼板、非鉄金属板、樹脂板、製紙、あるいはフィルム状の被洗浄面に付着した水分、油分、あるいは薬品成分等の液体を除去、搾取、洗浄する為のロールにおいて、前記ロールは、ロール部及び台座を有し、前記ロール部は不織布からなる概円環状のロール片が台座の外周に積層されて形成されてあり、前記台座は略円筒状の内筒体が中空状の外筒体に挿入された二層構造をなし、前記外筒体は開口部が形成された本体部と、前記本体部の両端に連接される継ぎ手部A及び継ぎ手部Bを有し、前記継ぎ手部A及び前記継ぎ手部Bは貫通部が形成され、前記貫通部は前記開口部と連通されてあり、前記本体部の外周には前記開口部に連通する外孔部が開設されてあると共に、前記ロール部が形成され、前記内筒体は空洞部が形成された軸体部と、前記軸体部の両端に連接される軸受け部A及び軸受け部Bを有し、前記軸受け部A及び/又は前記軸受け部Bは中空部が形成され、前記中空部は前記空洞部と連通されてあり、前記軸体部の外周の特定箇所には前記空洞部に連通する内孔部が開設されてあり、前記内孔部は前記外筒体が回転することにより、前記外孔部と順次、重なり合うと共に、流体が吸引されるよう形成されてあるもので、ロール部は不織布にて形成されていることから、不織布を構成する繊維の毛細管現象により、被洗浄面から液体を吸い上げ、除去する。
【0010】
ロールに真空圧を付加した場合、本発明のロールは、外筒体が回転すると共に、内筒体は静止していることから、外孔部と内孔部が重なり合った近傍に位置するロール部のみに真空吸引力が作用する。従って、真空吸引力はロール部の全周に亘って作用することがないので、製紙やフィルム等の柔軟で厚みの薄い対象物がロール部に接触しても、対象物はロール部の外周に巻き付くことがない。その為、対象物の生産に支障をきたすことなく、対象物の被洗浄面に付着した液体を除去することができる。なお、外孔部と内孔部が重なり合う箇所は、対象物がロール部と接触しないところ、例えば、ロール部と対象物が接触する箇所から180°反対側のロール部の部位等に設定される必要がある。
【0011】
ロールに真空圧を付加することにより、ロール部に吸収された液体は、真空吸引力の作用で流体となり、外孔部、内孔部、空洞部、中空部の順に通過し、ロールの外部に放出される。その為、ロール部の吸液飽和状態が解消されるので、ロールは長期間に亘り、被洗浄面から確実に液体を除去する。
【0012】
本発明のロールにおいては、内筒体は静止し、外筒体のみが回転し、外孔部が順次、内孔部に重なり合うよう構成されていることから、ロール部に吸収された液体は、外孔部と内孔部が重なり合った近傍から順次、真空吸引力の作用により流体となり、ロールの外部に放出されるのである。
【0013】
請求項2の発明のロールは、特に、請求項1のロールにおいて、本体部の外周に流体導入溝部が形成され、前記流体導入溝部に外孔部が形成されてあるもので、ロール部に吸収された液体は、真空吸引力により、流体導入溝部を介して、均一に外孔部から内孔部、空洞部、中空部の順に流入することができる。その為、ロールは、本体部の外周に流体導入溝部が形成されていない形態に比べて、ロール部に吸収された液体を、迅速、且つ均一に吸引してロールの外部に排出することが可能となる。
【0014】
請求項3の発明のロールは、特に、請求項1のロールにおいて、ロール片の内周に切欠き部が設けられてあると共に、前記切欠き部が本体部の長手方向に連なることにより、流体導入溝部が形成され、外孔部のロール部側に前記流体導入溝部が位置するもので、ロール部に吸収された液体は、真空吸引力により、流体導入溝部を介して、均一に外孔部から内孔部、空洞部、中空部の順に流入することができる。その為、ロールは、ロール部に流体導入溝部が形成されておらず、外孔部がロール片の内周と略接触するよう形成された形態に比べて、ロール部に吸収された液体を、迅速、且つ均一に吸引してロールの外部に排出することが可能となる。
【0015】
請求項4の発明のロールは、特に、請求項1から3のロールにおいて、内孔部を囲むシール部材が軸体部の外周に取り付けられ、前記シール部材は少なくとも流体の吸引時に、本体部の内周に摺接するもので、シール部材は、軸体部の外周と、本体部の内周の間に生じる隙間を埋める。従って、流体は外孔部から内孔部に流出する際、前記隙間に流れ込むことが防止されるので、圧力損失を抑えることができ、より強い真空吸引力で確実にロールの外部に排出される。
【0016】
請求項5の発明のロールは、特に、請求項1から4のロールにおいて、軸体部の外周と、シール部材の間に弾性部材が挿入されてあるもので、シール部材に弾力性が付与されることから、シール部材の耐摩耗性がアップし、ロールの耐久性の向上につながる。
【0017】
請求項6の発明のロールは、特に、請求項1から5のロールにおいて、軸体部と軸受け部A及び/又は軸受け部Bの接合部の近傍は、空洞部の開口面積が、前記軸体部の略中央部の開口面積より小となるよう徐変部が形成されてあるもので、外孔部、及び内孔部を介してロール部から軸体部の空洞部に吸引された流体は、空洞部に滞留することなく、徐変部の傾斜面に沿って、軸受け部A及び/又は軸受け部Bに形成された中空部に流入し、ロールの外部に排出される。なお、軸体部の端部に傾斜面を有する徐変部が形成されていない場合、軸体部と軸受け部A、及び軸受け部Bの連接箇所において、還流が発生し、液体が軸体部の空洞部に滞留することになり、効率よく確実に液体を吸引することが難しくなる。また、真空ポンプにたいする負荷も増大する。
【0018】
請求項7の発明の洗浄装置は、請求項1から6のいずれか1項に記載されたロールと、前記ロールを回転駆動する駆動手段と、軸受け部A及び/又は軸受け部Bに配管を介して連通される真空ポンプを有するもので、長期間に亘って、被洗浄面から液体を確実に除去、搾取、洗浄することができるロールが搭載されていることから、優れた液体除去性能が発揮される。その為、被洗浄面に液体が不均一に残る残滓マークの発生が抑制され、対象物の品質の向上につながる。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明のロールは、ロール部の特定個所、すなわち外孔部と内孔部が重なり合った部位のみに真空吸引力が作用することから、柔軟で厚みの薄い対象物がロール部の外周に巻き付くことがなく、長期間に亘り対象物の被洗浄面から液体を除去することができる。
【0020】
請求項2の発明のロールは、ロール部に吸収された液体は、真空吸引力により、本体部の外周に形成された流体導入溝部を介して、均一に外孔部から内孔部、空洞部、中空部の順に流入することができる。
【0021】
請求項3の発明のロールは、ロール部に吸収された液体は、真空吸引力により、ロール部の内周に形成された流体導入溝部を介して、均一に外孔部から内孔部、空洞部、中空部の順に流入することができる。
【0022】
請求項4の発明のロールは、圧力損失を抑え、より強い真空吸引力で流体を確実にロールの外部に排出することができる。
【0023】
請求項5の発明のロールは、シール部材の耐摩耗性がアップし、ロールの耐久性の向上を図ることができる。
【0024】
請求項6の発明のロールは、空洞部に流体が滞留することなく、効率よく確実に流体をロールの外部に排出することができる。
【0025】
請求項7の発明の洗浄装置は、品質が安定した対象物を生産することができると共に、対象物の生産性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1の実施例におけるロールの正面図である。
【図2】図1の断面図である。
【図3】図1のA−A断面図である。
【図4】ロール片を前面側から見た斜視図である。
【図5】(a)本体部を前面側から見た斜視図、(b)継ぎ手部A、継ぎ手部Bを前面側から見た斜視図である。
【図6】内筒体の正面図である。
【図7】本発明の第2の実施例におけるロールの断面図である。
【図8】(a)本体部の端部の近傍の外周に積層されるロール片の平面図、(b)本体部の略中央部の近傍の外周に積層されるロール片の平面図である。
【図9】本発明のロールが搭載された洗浄装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0028】
図1から図6を用いて、実施例1のロールについて説明する。
【0029】
図1、及び図2において、ロール1は、ロール部2、台座3、止め金具17、及びプレート18より構成されている。台座3は、鉄、アルミニウム等の金属材料からなる略円筒形状であり、軸体部11の両端に溶接による接合部36を介して連接される軸受け部A12と軸受け部B13からなる内筒体6が、本体部7の両端にボルト19により連接される継ぎ手部A8と継ぎ手部B9を有する中空状の外筒体5に挿入された二層構造をなす。ロール部2は、複数のロール片4が台座3を構成する外筒体5の本体部7の外周に積層されると共に、重ね合わされて形成されてあり、両側から止め金具17、及びプレート18にて挟み付けられて形成されている。止め金具17には、スナップリングが使用されている。
【0030】
次に、台座3の構成について詳説する。
【0031】
図2、図5(a)、及び図5(b)において、外筒体5は、開口部25を有する本体部7の外周等分6箇所に、外筒体5の軸心方向に略平行となるよう流体導入溝部20が形成されると共に、流体導入溝部20に円形の外孔部10が8箇所開設されている。外孔部10は、開口部25に連通している。本体部7の両端には、貫通部26を有する継ぎ手部A8、及び継ぎ手部B9が、ボルト19により連接される。開口部25と貫通部26は連通している。ボルト19は、本体部7の両側の端面に開設された6箇所のボルト孔部A31と、継ぎ手部A8、及び継ぎ手部B9に開設された6箇所のボルト孔部B32に挿入される。また、継ぎ手部A8と継ぎ手部B9の内周には、ベアリング24が嵌合挿入される。継ぎ手部A8と継ぎ手部B9の外周に形成された嵌合部33には、止め金具17が嵌合挿入される。前記の如くの構成により、中空状の外筒体5が形成される。
【0032】
図2、及び図6において、内筒体6は、空洞部14を有する軸体部11の外周に、8箇所の内孔部16が開設されると共に、内孔部16は内筒体6の軸心方向に略平行となるよう配列されている。内孔部16は、空洞部14に連通している。また、内孔部16を囲むように、シール部材21と、シール部材21に重ね合わされた弾性部材22がネジ34により軸体部11の外周に取り付けられている。シール部材21と弾性部材22は、弾性部材22が軸体部11の外周に取り付けられ、弾性部材22の上にシール部材21が重ね合わされている。シール部材21は、銅、真鍮等の軟質の金属、樹脂等の材質からなる。また、弾性部材22は、ニトリルゴム、ウレタンゴム等のゴム、エラストマー等の材質からなる。軸体部11の一方の端部には、中空部15を有すると共に、ネジ部35が形成された軸受け部A12が連接され、軸体部11の他方の端部には、中実状の軸受け部B13が連接される。空洞部14と中空部15は連通すると共に、空洞部14と中空部15が接合される接合部36の近傍には、傾斜面を有した徐変部37が形成されている。軸受け部A12、及び軸受け部B13は、軸体部11の両端に圧入されると共に、溶接による接合部36を介して連接され、内筒体6が形成される。なお、ネジ部35には、図9に示すように、真空ポンプ87から配管88を介して接続される際のロータリージョイント89が挿入固定される。
【0033】
上記の如く構成された内筒体6を、中空状の外筒体5に挿入し、二層構造の台座3が形成される。内筒体6を外筒体5に挿入する際、軸受け部A12と軸受け部B13の外周が、継ぎ手部A8と継ぎ手部B9の内周に嵌合挿入されたベアリング24に接するように配置する。前記の如く形成された台座3は、駆動手段を継ぎ手部A8及び/又は継ぎ手部B9の外周に配置することにより、台座3が回転する際、外筒体5のみが回転し、ベアリング24で軸受け部A12と軸受け部B13が受けられている内筒体6は回転せず、静止させておくことができる。従って、図3に示すように、ロール1が矢印の方向に回転する場合、本体部7は回転するが、軸体部11は静止している。その為、内孔部16、シール部材21、及び弾性部材22の位置は不変で、本体部7の回転に伴い、流体導入溝部20に開設された外孔部10は、移動する。本体部7の周方向に隣り合う外孔部10は、本体部7の回転に伴い、順次、内孔部16と重なり合い、外孔部10と内孔部16は連通すると共に、必然的に空洞部14とも連通することになる。また、シール部材21は、本体部7の回転に伴い、本体部7の内周に摺接し、本体部7の内周と軸体部11の外周に生じる隙間23を、弾性部材22と共に埋めるよう配置されている。
【0034】
次に、ロール1の製作方法について説明する。
【0035】
最初に、台座3、及び繊維28を有する平板状の不織布27を用意する。不織布27はトムソン型、あるいはレーザーカッター等を用いて、図4の如く、穴部29、及び側縁部30を有する概円環状のロール片4に形成する。
【0036】
次に、ロール片4を複数枚重ね合わせて、穴部29を台座3にたいして貫通させ、本体部7の外周に積層する。そして、台座3の長手方向からプレス機にて所定長さだけ圧縮させた後、止め金具17、及びプレート18にて複数のロール片4を挟み付けて固定する。次に、所定時間放置することにより、重ね合わせた複数のロール片4の内部応力を均一化させ、側縁部30を切削加工及び研磨加工し、台座3を構成する本体部7の外周にロール部2を形成してロール1が製作される。
【0037】
ロール部2の表面部の硬度は、40°〜95°程度に設定されるのが望ましい。硬度が40°未満の場合、硬度が低すぎて、被洗浄面の端面が繰り返しロール部2に当接すると、早期にロール部2が摩耗する。また、硬度が95°を超えると、硬度が高すぎて、ロール1の弾力性が劣り、液体の除去性能が低下する。なお、硬度とは物質の硬さを表わし、JISK6253加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの硬さ試験方法に記載のデュロメータ硬さ試験により測定した硬度である。
【0038】
外孔部10、及び内孔部16の直径、流体導入溝部20の幅、深さについては、特に限定されるものではないが、例えば、外孔部10、及び内孔部16の直径は1〜8mm程度、流体導入溝部20の幅は2〜30mm程度、深さは0.1〜5mm程度に設定されるのが望ましく、流体導入溝部20の幅は、外孔部10、及び内孔部16の直径よりも大きく設定される必要がある。外孔部10、及び内孔部16の直径が1mm未満の場合、径が小さすぎて効率よく流体を空洞部14に流出することができず、8mmを超える場合、径が大きすぎて一孔あたりの流体を吸引する力が弱くなる。また、流体導入溝部20の幅が2mm未満の場合、幅が狭すぎて効率よく流体が流れることができず、30mmを超える場合、広すぎて流体導入溝部20を形成するのが難しくなる。流体導入溝部20の深さが0.1mm未満の場合、浅すぎて効率よく流体が流れることができず、5mmを超える場合、深すぎて流体導入溝部20を形成するのに手間取る。また、外孔部10と内孔部16の配置は、本体部7と軸体部11の軸心方向に略平行に配置される形態以外にも、対象物がロール部2の表面に巻き付き、生産に支障をきたさない限りにおいて、例えば、螺旋状等に配置しても構わない。
【0039】
次に、ロール片4を構成する不織布27の製造方法について、いくつか述べる。
【0040】
第1の方法は、複数本の繊維28を、平板状に集積させて布状体を形成し、前記布状体を複数枚、重ね合わせた後、特殊な針を突き刺して、3次元に絡合された不織布27を得る。前記の製造方法は、一般的には、ニードルパンチングと呼ばれている。また、布状体はウエッブと呼ばれている。得られた不織布27は、ポリウレタン溶液中に含浸され、不織布27にポリウレタンを充填させる。次いで、ポリウレタンを充填させた不織布27を、水中に浸漬させると共に、水中に二酸化炭素を注入し、炭酸発泡させることにより、不織布27、及び極微細な気泡を有する多孔質化されたポリウレタンよりなる平板状の二重構造体を形成する。なお、不織布27を形成する繊維28には、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、別名ウレタン弾性糸とも呼ばれるスパンデックス繊維等が単独使用、あるいは併用される。
【0041】
第2の方法は、複数本の繊維28を、平板状に集積させて布状体となるウエッブを形成し、ニードルパンチングにより3次元に絡合された不織布27を得る。得られた不織布27にたいして、架橋剤を配合した高分子弾性体をスプレー、浸漬、含浸等の方法を用いて付着させ、加熱することにより不織布27を形成する繊維28の間を結合させるもので、前記の製造方法により得られた不織布27は、一般的にケミカルボンド法不織布と呼ばれている。なお、不織布27を形成する繊維28には、綿、レーヨン、セルロース等の天然繊維、ポリエステル、ナイロン、アクリル等の合成樹脂繊維が単独使用、あるいは併用される。また、高分子弾性体には、ニトリルゴム、アクリルゴム、スチレンゴム、ウレタンゴム、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等が単独使用、あるいは併用される。また、架橋剤は、前記高分子弾性体の分子間に橋架け構造を形成し、一段と優れた弾力性を高分子弾性体に付与する目的で配合されるものであり、トリメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン等のメラミン樹脂、ブロックイソシアネート等のイソシアネート樹脂、脂肪族エポキシ等のエポキシ樹脂を単独、あるいは併用して用いることができる。
【0042】
第3の方法は、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等の熱可塑性樹脂を溶融紡糸すると共に、得られた繊維28にたいして100〜150kgf程度の高圧水流を噴射することにより、繊維28を絡合させる。次いで、架橋剤を配合した高分子弾性体をスプレー、浸漬、含浸等の方法を用いて繊維28に付着させ、加熱することにより不織布27を形成するもので、前記の製造方法により得られた不織布27は、一般的に水流絡合法不織布と呼ばれている。
【0043】
上記に示した不織布27の製造方法は代表的な例であり、上記以外にも、例えば、熱溶融した合成樹脂を連続的に紡糸して繊維28を形成し、繊維28を延伸しながら捕集ネット上に集積して熱ロールで加圧することにより繊維28を結合して不織布27を形成するスパンボンド法、熱溶融した合成樹脂を紡糸口から吐出する際、高温エアーで紡出し、捕集ネット上で加熱された繊維28を結合させて不織布27を形成するメルトブロー法、塩化メチレン、フロン等の低沸点溶剤中に合成樹脂を溶解し、紡糸口から加熱、加圧状態で繊維28を紡糸すると同時に、前記低沸点溶剤を揮発させ、繊維28を捕集ネット上に集積し、熱ロールで加圧して繊維28を結合して不織布27を形成するフラッシュ紡糸法、融点の異なる複数の合成樹脂を溶融して融点の高い方の合成樹脂を紡糸して繊維28を形成し、溶融された融点の低い方の合成樹脂をバインダーとして繊維28を接着させて不織布27を形成するファイバーボンド法やサーマルボンド法等により製造された不織布27を用いても構わない。なお、不織布27は、ロール1に形成された場合、被洗浄面の繰り返しの当接に強く、繊維28がほつれ難く、織布、編物等の他の布帛をロール1に用いた場合に比べて、ロール1の耐久性の向上につながる。
【0044】
ロール片4に用いられる不織布27の選択については、ロール1が使用される雰囲気温度、除去する液体にたいする耐薬品性等の使用条件、コスト等を考慮して、適宜、決定されるものである。
【0045】
上記の如く構成されたロール1の動作、作用は下記の通りである。
【0046】
ロール1は、ロール部2が不織布27にて形成されていることから、不織布27を構成する繊維28の毛細管現象により、被洗浄面から液体を吸い上げ、除去する。
【0047】
ロール1に真空圧を付加した場合、図3の如く、ロール1は、外筒体5を構成する本体部7が回転すると共に、内筒体6を構成する軸体部11は静止していることから、外孔部10と内孔部16が重なり合った近傍に位置するロール部2のみに真空吸引力が作用する。従って、真空吸引力はロール部2の全周に亘って作用することがないので、製紙やフィルム等の柔軟で厚みの薄い対象物がロール部2に接触しても、対象物はロール部2の外周に巻き付くことがない。その為、対象物の生産に支障をきたすことなく、対象物の被洗浄面に付着した液体を除去することができる。なお、外孔部10と内孔部16が重なり合う箇所は、対象物がロール部2と接触しないところ、例えば、ロール部2と対象物が接触する箇所から180°反対側のロール部2の部位等に設定される必要がある。
【0048】
ロール1に真空圧を付加することにより、ロール部2に吸収された液体は、真空吸引力の作用で流体となり、図2の二点鎖線の如く、外孔部10、内孔部16、空洞部14、中空部15の順に通過し、ロール1の外部に放出される。その為、ロール部2の吸液飽和状態が解消されるので、ロール1は長期間に亘り、被洗浄面から確実に液体を除去する。なお、本発明のロール1においては、図3に示すように、内筒体6は静止し、外筒体5のみが回転し、外孔部10が順次、内孔部16に重なり合うよう構成されていることから、ロール部2に吸収された液体は、外孔部10と内孔部16が重なり合った近傍から順次、真空吸引力の作用により流体となり、ロール1の外部に放出される。
【0049】
ロール1は、本体部7の外周に流体導入溝部20が形成されていることから、ロール部2に吸収された液体は、真空吸引力により、流体導入溝部20を介して、均一に外孔部10から内孔部16、空洞部14、中空部15の順に流入することができる。その為、ロール1は、本体部7の外周に流体導入溝部20が形成されていない形態に比べて、ロール部2に吸収された液体を、迅速、且つ均一に吸引してロール1の外部に排出することが可能となる。
【0050】
ロール1は、シール部材21と弾性部材22が軸体部11の外周と、本体部7の内周の間に生じる隙間23を埋めるよう形成されている。従って、流体は外孔部10から内孔部16に流出する際、隙間23に流れ込むことが防止されるので、圧力損失を抑えることができ、より強い真空吸引力で確実にロール1の外部に排出される。また、軸体部11の外周と、シール部材21の間に弾性部材22が挿入されているので、シール部材21に弾力性が付与されることから、シール部材21が本体部7の内周に摺接する際の耐摩耗性がアップし、ロール1の耐久性の向上につながる。
【0051】
ロール1は、空洞部14と中空部15が接合される接合部36の近傍に、傾斜面を有した徐変部37が形成されているので、外孔部10、及び内孔部16を介してロール部2から軸体部11の空洞部14に吸引された流体は、空洞部14に滞留することなく、徐変部37の傾斜面に沿って、軸受け部A12に形成された中空部15に流入し、ロール1の外部に排出される。
【実施例2】
【0052】
図7、及び図8を用いて、実施例2のロールについて説明する。なお、上記実施例1と同一部材については、詳しい説明を省略する。
【0053】
図7において、ロール41は、鉄、アルミニウム等の金属材料からなる台座43の外周に、複数のロール片44a、44bが積層されると共に、重ね合わされたロール部42が形成されている。ロール部42の両端は、止め金具57、及びプレート58にて挟み付けられて固定されている。台座43は、軸体部51の両端に接合部76を介して連接される軸受け部A52と軸受け部B53からなる内筒体46が、本体部47の両端にボルト59により連接される継ぎ手部A48と継ぎ手部B49を有する中空状の外筒体45に挿入された二層構造をなす。
【0054】
外筒体45は、開口部65を有する本体部47の外周等分6箇所に、外筒体45の軸心方向に略平行となるよう外孔部50が8箇所開設されている。外孔部50は、開口部65に連通している。本体部47の両端には、貫通部66を有する継ぎ手部A48、及び継ぎ手部B49が、ボルト59により連接される。開口部65と貫通部66は連通している。また、継ぎ手部A48と継ぎ手部B49の内周には、ベアリング64が嵌合挿入され、それぞれ内筒体46を構成する軸受け部A52と軸受け部B53を受けるよう配置されている。
【0055】
内筒体46は、空洞部54を有する軸体部51の外周に、内孔部56が開設されると共に、内孔部56は内筒体46の軸心方向に略平行となるよう配列されている。内孔部56は、空洞部54に連通している。また、内孔部56を囲むように、シール部材61と弾性部材62がネジ(図示せず)により軸体部51の外周に取り付けられている。軸体部51の両端部には、中空部55を有すると共に、ネジ部75が形成された軸受け部A52、及び軸受け部B53が連接され、空洞部54と中空部55は連通している。軸受け部A52、及び軸受け部B53は、軸体部51の両端に圧入されると共に、溶接による接合部76を介して連接されている。接合部76の近傍には、傾斜面を有した徐変部77が形成されている。また、シール部材61は、本体部47の回転に伴い、本体部47の内周に摺接し、本体部47の内周と軸体部51の外周に生じる隙間63を、弾性部材62と共に埋めるよう配置されている。
【0056】
次に、ロール部42について詳説する。
【0057】
図8(a)において、ロール片44aは、中心部に穴部69、外周に側縁部70が形成された概円環状の不織布67からなる。不織布67は、複数本の繊維(図示せず)を有する。ロール片44aは、図7の如く、台座43を構成する本体部47の長手方向に亘る両端部の近傍に積層される。
【0058】
図8(b)において、ロール片44bは、中心部に穴部69、外周に側縁部70が形成された概円環状の不織布67からなる。不織布67は、複数本の繊維(図示せず)を有する。また、ロール片44bは、内周の等分6箇所に、概U字状の切欠き部68が形成されている。ロール片44bは、図7の如く、台座43を構成する本体部47の長手方向に亘る両端部の近傍を除く外孔部50が外周に開設された本体部47の略中央部の近傍に積層される。そして、切欠き部68が本体部47の略中央部の近傍に、軸心方向に略平行となるよう連なることにより、図7の如く、複数の流体導入溝部60が形成されると共に、外孔部50のロール部42側に流体導入溝部60が位置するよう設定される。すなわち、外孔部50と、流体導入溝部60は対向するよう形成される。ロール片44bの内周に形成される切欠き部68の数は、本体部47の外周に開設される外孔部50の円周上の数に応じて変更される。さらに、切欠き部68の形状は、概U字状以外にも、概V字状、概凹状等であっても構わない。
【0059】
なお、ロール部42は、ロール41に使用する総数のロール片44a、44bより形成される。本体部47の両端部の近傍に位置するロール片44aと、本体部47の略中央部の近傍に位置するロール片44bは、同一材質の不織布67であり、外径、及び内径の寸法は略同一である。また、特に図示しないが、台座43にたいするロール片44a、44bの位置ズレを防止する為に、ロール片44a、44bの内周に凹状の溝部を形成すると共に、台座43を構成する本体部47の長手方向の外周に凸状のキーを装着して、前記凹状の溝部を凸状のキーに嵌合挿入することにより、ロール片44a、44bを、本体部47の外周に積層してもよい。
【0060】
上記の如く構成されたロール41の動作、作用は下記の通りである。
【0061】
ロール41は、ロール片44bの内周に切欠き部68が設けられてあると共に、切欠き部68が本体部47の長手方向に連なることにより、流体導入溝部60が形成され、外孔部50のロール部42側に流体導入溝部60が位置するよう形成されているので、ロール部42に吸収された液体は、真空吸引力により、図7の二点鎖線の如く、流体導入溝部60を介して、均一に外孔部50から内孔部56、空洞部54、中空部55の順に流入することができる。その為、ロール41は、ロール部42に流体導入溝部60が形成されておらず、外孔部50がロール片44bの内周と略接触するよう形成された形態に比べて、ロール部42に吸収された液体を、迅速、且つ均一に吸引してロール41の外部に排出することが可能となる。
【0062】
ロール41は、流体導入溝部60がロール部42の長手方向における一方の端部の近傍と他方の端部の近傍との範囲内、すなわち略中央部の近傍に形成されているので、ロール部42の両端部の近傍には流体導入溝部60が形成されていない。その為、真空吸引力により発生する流体は、ロール部42の両端部からロール41の外部に流出することがなく、ロール部42に吸収された液体は、流体となって流体導入溝部60、外孔部50、内孔部56、空洞部54、中空部55の順に確実にロール41の外部に流出する。従って、圧力損失がなく、ロール部42からの液体の吸引性能が大幅に向上する。
【0063】
ロール41は、内筒体46を構成する軸受け部A52、及び軸受け部B53が共に中空部55を有し、内筒体46は空洞部54、及び中空部55にて中空状に貫通して形成されていることから、軸体部51の両端部に連接された軸受け部A52、及び軸受け部B53は、共に配管を介して真空ポンプに接続することができる。従って、ロール部42に吸収された液体を、台座43の両方の端部から同時に吸引することができるので、図7の二点鎖線の如く、流体は空洞部54の長手方向における略中央部より台座43の両端部に向けて略同一の距離にて移動することから、流体の摩擦エネルギー損失の発生が極力抑えられ、真空吸引力のバラツキの発生がなく、ロール部42に吸収された液体を、迅速、且つ均一に吸引してロール41の外部に排出する。その為、ロール部42の吸液飽和状態が解消され、ロール41の耐用年数の長期化を図ることができる。
【実施例3】
【0064】
図9を用いて、実施例3の洗浄装置について説明する。なお、構成の説明を容易にする為に、各部品の軸受け部や、支持部品の図示、説明は省略することとする。また、ロールは、フィルムに付着した水分除去用として用いられるものとする。
【0065】
ロール81a、81bは、洗浄装置80に上下一対で設置され、上部に位置するロール81aの台座83の両端部に、一定の圧力が加えられ、継ぎ手部B86に連結された駆動手段84により矢印の方向に回転駆動し、上部のロール81aと下部のロール81bの間を、両面に水分(図示せず)が付着した長尺状のフィルム90が白抜き矢印の方向に送出されている。また、軸受け部A85の端部にはロータリージョイント89が挿入されると共に、配管88を介して真空ポンプ87に連接されている。上部に位置するロール81aはフィルム90の表面から水分を除去し、下部に位置するロール81bはフィルム90の裏面から水分を除去する。水分が付着したフィルム90は、ロール部82と接触し、ロール部82を構成する不織布の有する繊維の毛細管現象により、水分がロール部82に吸い上げられると共に、ロール部82の空隙に放出される。なお、ロール81a、81bは、上記に示した実施例1のロール1と同一である。
【0066】
上記の如くのロール81a、81bの状態において、真空ポンプ87を稼働して真空吸引力を作用させると、ロール部82の特定箇所、すなわち外孔部と内孔部が重なり合った箇所に負圧が付加される。外孔部と内孔部が重なり合う箇所としては、ロール部82とフィルム90が接触しないロール部82の部位で、例えば、上ロール81aはロール部82の最上部、下ロール81bはロール部82の最下部に設定されるのが望ましい。ロール部82に吸収された水分は、流体となり、流体は、外孔部、内孔部を通り、空洞部に流れ込み、軸受け部A85に形成された中空部から配管88を通り、ロール81a、81bの外部に吸引されて、放出される。流体は、真空ポンプ87にてフィルター(図示せず)を介し、図示しない配管を通り、洗浄水タンクへ再び送出される。従って、フィルム90はロール部82の表面に巻き付くことなく、被洗浄面から液体が除去される。また、ロール部82の吸液飽和状態が解消される為、ロール81a、81bは長期間に亘って、フィルム90に付着した水分を、確実に除去することができる。
【0067】
上記の如く構成された洗浄装置80の動作、作用は下記の通りである。
【0068】
洗浄装置80は、真空ポンプ87によりロール81a、81bに真空吸引力を作用させても、フィルム90がロール部82の表面に巻き付くことなく、フィルムの被洗浄面から水分を除去することができる。その為、フィルム90の生産性の向上を図ることができると共に、フィルム90に水分が不均一に残る残滓マークの発生が抑制され、品質が安定したフィルム90を生産することができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明のロールは、主に、鋼板、非鉄金属板、樹脂板、製紙、あるいはフィルム状の被洗浄面に付着した水分、油分、あるいは薬品成分等の液体を除去、搾取、洗浄する目的以外にも、高い耐久性、液体の除去性能を必要とするロールとして、広く好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0070】
1、41、81a、81b ロール
2、42、82 ロール部
3、43、83 台座
4、44a、44b ロール片
5、45 外筒体
6、46 内筒体
7、47 本体部
8、48 継ぎ手部A
9、49、86 継ぎ手部B
10、50 外孔部
11、51 軸体部
12、52、85 軸受け部A
13、53 軸受け部B
14、54 空洞部
15、55 中空部
16、56 内孔部
17、57 止め金具
18、58 プレート
19、59 ボルト
20、60 流体導入溝部
21、61 シール部材
22、62 弾性部材
23、63 隙間
24、64 ベアリング
25、65 開口部
26、66 貫通部
27、67 不織布
28 繊維
29、69 穴部
30、70 側縁部
31 ボルト孔部A
32 ボルト孔部B
33 嵌合部
34 ネジ
35、75 ネジ部
36、76 接合部
37、77 徐変部
68 切欠き部
80 洗浄装置
84 駆動手段
87 真空ポンプ
88 配管
89 ロータリージョイント
90 フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼板、非鉄金属板、樹脂板、製紙、あるいはフィルム状の被洗浄面に付着した水分、油分、あるいは薬品成分等の液体を除去、搾取、洗浄する為のロールにおいて、前記ロールは、ロール部及び台座を有し、前記ロール部は不織布からなる概円環状のロール片が台座の外周に積層されて形成されてあり、前記台座は略円筒状の内筒体が中空状の外筒体に挿入された二層構造をなし、前記外筒体は開口部が形成された本体部と、前記本体部の両端に連接される継ぎ手部A及び継ぎ手部Bを有し、前記継ぎ手部A及び前記継ぎ手部Bは貫通部が形成され、前記貫通部は前記開口部と連通されてあり、前記本体部の外周には前記開口部に連通する外孔部が開設されてあると共に、前記ロール部が形成され、前記内筒体は空洞部が形成された軸体部と、前記軸体部の両端に連接される軸受け部A及び軸受け部Bを有し、前記軸受け部A及び/又は前記軸受け部Bは中空部が形成され、前記中空部は前記空洞部と連通されてあり、前記軸体部の外周の特定箇所には前記空洞部に連通する内孔部が開設されてあり、前記内孔部は前記外筒体が回転することにより、前記外孔部と順次、重なり合うと共に、流体が吸引されるよう形成されてあることを特徴とするロール。
【請求項2】
請求項1記載の構成よりなるロールにおいて、本体部の外周に流体導入溝部が形成され、前記流体導入溝部に外孔部が形成されてあることを特徴とするロール。
【請求項3】
請求項1記載の構成よりなるロールにおいて、ロール片の内周に切欠き部が設けられてあると共に、前記切欠き部が本体部の長手方向に連なることにより、流体導入溝部が形成され、外孔部のロール部側に前記流体導入溝部が位置することを特徴とするロール。
【請求項4】
請求項1から3記載の構成よりなるロールにおいて、内孔部を囲むシール部材が軸体部の外周に取り付けられ、前記シール部材は少なくとも流体の吸引時に、本体部の内周に摺接することを特徴とするロール。
【請求項5】
請求項1から4記載の構成よりなるロールにおいて、軸体部の外周と、シール部材の間に弾性部材が挿入されてあることを特徴とするロール。
【請求項6】
請求項1から5記載の構成よりなるロールにおいて、軸体部と軸受け部A及び/又は軸受け部Bの接合部の近傍は、空洞部の開口面積が、前記軸体部の略中央部の開口面積より小となるよう徐変部が形成されてあることを特徴とするロール。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載されたロールと、前記ロールを回転駆動する駆動手段と、軸受け部A及び/又は軸受け部Bに配管を介して連通される真空ポンプを有する洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−5372(P2011−5372A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−149235(P2009−149235)
【出願日】平成21年6月24日(2009.6.24)
【出願人】(391044797)株式会社コーワ (283)
【Fターム(参考)】