説明

ロール状物の無人搬送車、及びロール状物の保管用シャフトの搬送方法

【課題】 ロール状物の無人搬送システムにおいて、ロール状物を保管するための保管
用シャフトを人手で運搬する必要がなく、また、保管用シャフトのストックスペースを確
保する必要のない保管用シャフトの搬送方法と、その無人搬送車を提供すること。
【解決手段】 ロール状物Rを巻出機等の処理装置にセットする際に不要となる保管用
シャフトSをロール状物Rの巻芯C内から無人搬送車10に載せ替えることによって、保
管用シャフトSをそのまま無人搬送車10で自動倉庫等の保管装置の入庫場所まで搬送す
るようにした。また、無人搬送車10の車体1にシャフト保持部4を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール状物の無人搬送システムにおける無人搬送車、及びロール状物の保管
用シャフトの搬送方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、無人搬送車を用いた無人搬送システムにおいて、ロール状物を自動倉庫に保管す
る場合、ロール状物の管状の巻芯に保管用シャフトを挿通し、この保管用シャフトを介し
てロール状物を支えた状態で保管している。したがって、自動倉庫に保管してあるロール
状物を、無人搬送車によって巻出機にまで搬送し、その巻出機にセットする際には、ロー
ル状物の巻芯から保管用シャフトを抜き取る必要がある。そしてまた、巻出機から回収し
た空巻芯を自動倉庫に入庫する場合には、保管用シャフトを再び巻芯に挿入する必要があ
る。
【0003】
そこで、従来では、巻出機の傍に台車を用意しておき、抜き取った保管用シャフトを台
車に一時保管するようにしていた。したがって、ある程度の本数が集まった段階で保管用
シャフトを入庫場所まで人手で運搬しなければならず、手間がかかる難点があった。また
、保管用シャフトを台車で一時保管していたため、それ以上の本数のシャフトを入庫場所
にストックしておく必要があり、そのためのスペースを確保しなければならない難点があ
った。なお、ロール状物の無人搬送車に関する先行技術として、以下の特許文献に記載の
ものがある。
【特許文献1】特開2004−91007号公報
【特許文献2】特開平10−167530号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来のロール状物の無人搬送システムにおける保管用シャフトの取扱いに関
して上記のような難点があったことに鑑みて為されたもので、保管用シャフトを人手で運
搬する必要がなく、また、保管用シャフトのストックスペースを確保する必要のない保管
用シャフトの搬送方法と、無人搬送車を提供することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、管状巻芯に挿通した保管用シャフトを介してロール状物または空巻芯を支持
して保管する保管装置と、前記巻芯から前記保管用シャフトを抜き取った状態で前記ロー
ル状物または空巻芯がセットされる処理装置との間を往復走行して前記ロール状物または
空巻芯を搬送する無人搬送車であって、車体に前記保管用シャフトを保持するシャフト保
持部を備えたことを特徴とする。
【0006】
なお、ここで、保管装置とは、ロール状物または空巻芯を保管用シャフトを介して支持
した状態で保管する自動倉庫等を含むものである。また、処理装置とは、セットされたロ
ール状物からシート材、帯材、又は線材等を巻き出すことのできる巻出機や、セットされ
た空巻芯にシート材、帯材又は線材等を巻き取ることのできる巻取機を含むものである。
【0007】
また、本発明は、前記シャフト保持部が、前記保管用シャフトを挿入可能な隙間をあけ
て立設された一対の柱材から構成されており、該柱材の上端部に前記空巻芯が保持される
ことを特徴とする。
【0008】
更にまた、本発明は、管状巻芯に挿通した保管用シャフトを介してロール状物または空
巻芯を支持して保管する保管装置と、前記巻芯から前記保管用シャフトを抜き取った状態
で前記ロール状物または空巻芯がセットされる処理装置との間を、無人搬送車が往復走行
して前記ロール状物または空巻芯を搬送する無人搬送システムにおける保管用シャフトの
搬送方法であって、
前記保管装置から前記無人搬送車に移戴した前記ロール状物または空巻芯の巻芯から抜
き取った保管用シャフトを該無人搬送車に載せることによって、該保管用シャフトを該無
人搬送車で搬送することを特徴とする。
【0009】
更にまた、本発明は、前記ロール状物または空巻芯の巻芯から抜き取った保管用シャフ
トを無人搬送車に設けたシャフト保持部に載せることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ロール状物または空巻芯を巻出機等の処理装置にセットする際に、保
管用シャフトを巻芯内から無人搬送車に載せ替えることができるので、保管用シャフトを
そのまま無人搬送車で自動倉庫等の入庫場所まで搬送することができる。したがって、従
来のように保管用シャフトを人手で入庫場所まで運搬する手間がかかることもない。また
、自動倉庫に入庫させるべき空巻芯またはロール状物と共に保管用シャフトを確実に無人
搬送車で搬送することができるので、従来のように入庫場所に保管用シャフトをストック
しておく必要がなく、そのストックスペースを確保する必要もない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図1〜図3を参照しながら、本実施形態の無人搬送車10について説明する。本
実施形態の無人搬送車10は、床面F上に予め設定された誘導路に沿って自動走行するも
のであり、管状の巻芯に挿通した保管用シャフトを介してロール状物または空巻芯を支え
て保管する自動倉庫(保管装置)と、保管用シャフトを抜き取った状態でロール状物また
は空巻芯がセットされる巻出機(処理装置)との間を往復走行する。そして、無人搬送車
10は、自動倉庫との間、及び巻出機との間で、ロール状物または空巻芯を授受する。
【0012】
無人搬送車10は、図1〜図3に示すように、床面F上を自動走行する車体1上に、ロ
ール状物Rを保持するロール保持部2と、空巻芯Eを保持する空巻芯保持部3と、保管用
シャフトSを保持するシャフト保持部4とを備えて構成されている。他の構成は従前の無
人搬送車と同様である。
【0013】
ロール保持部2は、図2に示すように、その上端に凹部21が形成されており、この凹
部21でロール状物Rの巻芯Cの外周面を支えることによってロール状物Rを保持する。
そして、ロール保持部2は、従来の無人搬送車と同様、図示しない駆動機構により昇降動
作するとともに車体1の幅方向へスライド移動することによって、凹部21で保持したロ
ール状物Rを巻出機に自動供給する。
【0014】
空巻芯保持部3は、図2及び図3に示すように、隙間30をあけて車体1上に立設され
た一対の柱材31・31から構成されている。各柱材31の上端には、互いに対面する斜
面32が形成されており、一対の斜面32・32で空巻芯Eの外周面を支えることによっ
て空巻芯Eを保持する。そして、空巻芯保持部3は、従来の無人搬送車と同様、図示しな
い駆動機構により昇降動作することによって、巻出機にセットされた空巻芯Eを自動回収
する。
【0015】
シャフト保持部4は、空巻芯保持部3の柱材31間に構成されている。つまり、一対の
柱材31間の隙間30が保管用シャフトSを挿入可能な間隔に設定されている。このこと
で、図3に示すように、隙間30に保管用シャフトSを挿入して、保管用シャフトSを無
人搬送車10に載せて搬送することができる。
【0016】
このように、本実施形態の無人搬送車10は、シャフト保持部4を備えているので、巻
出機にロール状物Rをセットする際、不要となる保管用シャフトSをシャフト保持部4に
保持させることができ、そのまま無人搬送車10で搬送することができる。また、本実施
形態では、シャフト保持部4を空巻芯保持部3の隙間30を利用して構成しているので、
既存の無人搬送車の空巻芯保持部に対して若干の改良を加えるだけで簡単にシャフト保持
部4を構成することができ、導入コストを低く抑えることができる。
【0017】
次に、無人搬送車10による保管用シャフトの搬送方法の実施形態について説明する。
【0018】
図4に示すように、ロール状物Rは当初、保管装置たる自動倉庫5に保管されている。
ロール状物Rの管状の巻芯C内に予め保管用シャフトSが挿通されており、この保管用シ
ャフトSの両端部が自動倉庫5の支持部51で支持された状態でロール状物Rが保管され
ている。
【0019】
自動倉庫5に保管されているロール状物Rを、まず、従来公知の移戴装置によって無人
搬送車10へ移戴する。つまり、移戴装置がその搬送アームで保管用シャフトSを支持し
た状態で、ロール状物Rを自動倉庫5から無人搬送車10まで搬送し、無人搬送車10の
ロール保持部2へ移戴する(図1参照)。上述したとおり、無人搬送車10は、ロール保
持部2でロール状物Rの巻芯Cを支えることによってロール状物Rを保持する。保管用シ
ャフトSはロール状物Rの巻芯C内に挿入されたままである。
【0020】
次いで、ロール状物Rが移戴された無人搬送車10は、指定された巻出機(処理装置)
まで自動走行してロール状物Rを搬送する。無人搬送車10は、巻出機の傍らでその空巻
芯保持部3を作動させ、巻出機にセットされた空巻芯Eを自動回収する。
【0021】
その後、オペレータがロール保持部2に保持されたロール状物Rの巻芯Cから保管用シ
ャフトSを抜き取り、その保管用シャフトSをシャフト保持部4に載せ替える(図3参照
)。
【0022】
次いで、無人搬送車10は、ロール保持部2を作動させ、ロール状物Rを巻出機に自動
供給する。そして、無人搬送車10は、指定された自動倉庫5の入庫場所まで自動走行し
、空巻芯Eと共に保管用シャフトSをその入庫場所まで搬送する。
【0023】
その後、オペレータが、無人搬送車10のシャフト保持部4に保持された保管シャフト
Sを、空巻芯保持部3に保持された空巻芯E内へ挿入する。そして、移戴装置がその移戴
アームで空巻芯Eの保管用シャフトSを支持した状態で、空巻芯Eを無人搬送車10から
自動倉庫5まで搬送し、自動倉庫5の支持部51上に載せ、空巻芯Eを入庫させるのであ
る。
【0024】
このように、本実施形態の無人搬送車10を用いた保管用シャフトの搬送方法によれば
、ロール状物Rを巻出機にセットする際、保管用シャフトSを巻芯C内からシャフト保持
部4へ載せ替えることができるので、保管用シャフトSをそのまま無人搬送車10で自動
倉庫5の入庫場所まで搬送することができる。したがって、従来のように保管用シャフト
Sを人手で入庫場所まで運搬する手間がかかることもない。また、自動倉庫に入庫させる
べき空巻芯Eと共に一本の保管用シャフトSを確実に無人搬送車10で搬送することがで
きるので、従来のように入庫場所に保管用シャフトをストックしておく必要がなく、その
ストックスペースを確保する必要もない。
【0025】
なお、上記実施形態では、巻出機から空巻芯Eを自動回収した後に、保管用シャフトS
をロール状物Rの巻芯C内からシャフト保持部4へ載せ替えているが、本発明は勿論これ
に限定されるものではなく、例えば、巻出機から空巻芯Eを自動回収する前に保管用シャ
フトSを載せ替えても良く、また、ロール状物Rを自動倉庫5から無人搬送車10に移戴
した直後に保管用シャフトSを載せ替えても良い。このように、保管用シャフトSを巻芯
C内からシャフト保持部4へ載せ替えるタイミングは、ロール状物Rが無人搬送車10に
移戴された直後から、ロール状物Rが巻出機に自動供給される直前までの間において、適
宜に変更することができ、例えば自動搬送システム全体を考慮して設定することができる

【0026】
また、上記実施形態では、空巻芯Eを自動倉庫5へ入庫させる直前に、シャフト保持部
4に保持された保管用シャフトSを空巻芯E内へ挿入しているが、本発明はこれに限定さ
れるものではなく、例えば、巻出機から空巻芯Eを自動回収した直後に、保管用シャフト
Sを空巻芯E内へ挿入しても良い。このように、保管用シャフトSを空巻芯E内へ挿入す
るタイミングは、巻出機から空巻芯Eを自動回収した直後から、空巻芯Eを自動倉庫5へ
入庫させる直前までの間において、自動搬送システム全体を考慮して適宜に変更すること
ができる。
【0027】
更にまた、上記実施形態では、巻出機から空巻芯Eを自動回収した後、巻芯Cから抜き
取った保管用シャフトSをシャフト保持部4へ載せ替えているが、本発明はこれに限定さ
れるものではなく、巻芯Cから抜き取った保管用シャフトSを先に自動回収した空巻芯E
内へ直接、挿入することによって、保管用シャフトSを無人搬送車10に載せるようにし
ても良い。この場合、無人搬送車10には必ずしもシャフト保持部4を設ける必要がなく
、従前の無人搬送車をそのまま適用することができる。
【0028】
更にまた、上記実施形態では、保管用シャフトSをロール状物Rの巻芯C内からシャフ
ト保持部4へ載せ替える操作、及び保管用シャフトSを空巻芯E内へ挿入する操作をオペ
レータが行っているが、勿論、これらの操作を自動シャフト抜き挿し装置を導入して自動
機械化しても良い。本実施形態の無人搬送車10によれば、シャフト保持部4を空巻芯保
持部3の直下に構成しているので、保管用シャフトSの載せ替え移動距離、及び挿入移動
距離が小さく、自動シャフト抜き挿し装置の導入も容易である。
【0029】
更にまた、上記実施形態では、自動倉庫5に保管されているロール状物Rを巻出機まで
搬送し、巻出機から空巻芯Eを回収する代わりにロール状物Rを巻出機に供給し、その後
、回収した空巻芯Eを自動倉庫5まで搬送して入庫させる自動搬送システムに本発明を適
用した例を説明しているが、例えば、自動倉庫5に保管されている空巻芯Eを巻取機まで
搬送し、巻取機からロール状物Rを回収する代わりに空巻芯Eを巻取機へ供給し、その後
、回収したロール状物Rを自動倉庫5まで搬送して入庫させる自動搬送システムに、本発
明を適用することも勿論、可能である。
【0030】
本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内で、当業者の知識に基づき種々の改良、修正、変
形を加えた態様で実施し得るものである。また、同一の作用又は効果が生じる範囲内でい
ずれかの発明特定事項を他の技術に置換した形態で実施しても良く、また、一体に構成さ
れている発明特定事項を複数の部材から構成したり、複数の部材から構成されている発明
特定事項を一体に構成した形態で実施したりしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る無人搬送車の側面図である。
【図2】同無人搬送車の正面図である。
【図3】同無人搬送車のシャフト保持部の要部拡大正面図である。
【図4】自動倉庫(保管装置)にロール状物が保管されている状態を示す概略平面図である。
【符号の説明】
【0032】
R ロール状物
C 巻芯
E 空巻芯
S 保管用シャフト
10 無人搬送車
1 車体
2 ロール保持部
3 空巻芯保持部
30 隙間
31 柱材
4 シャフト保持部
5 自動倉庫(保管装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状巻芯に挿通した保管用シャフトを介してロール状物または空巻芯を支持して保管す
る保管装置と、前記巻芯から前記保管用シャフトを抜き取った状態で前記ロール状物また
は空巻芯がセットされる処理装置との間を往復走行して前記ロール状物または空巻芯を搬
送する無人搬送車であって、
車体に前記保管用シャフトを保持するシャフト保持部を備えたことを特徴とするロール
状物の無人搬送車。
【請求項2】
前記シャフト保持部が、前記保管用シャフトを挿入可能な隙間をあけて立設された一対
の柱材から構成されており、該柱材の上端部に前記空巻芯が保持される請求項1記載のロ
ール状物の無人搬送車。
【請求項3】
管状巻芯に挿通した保管用シャフトを介してロール状物または空巻芯を支持して保管す
る保管装置と、前記巻芯から前記保管用シャフトを抜き取った状態で前記ロール状物また
は空巻芯がセットされる処理装置との間を、無人搬送車が往復走行して前記ロール状物ま
たは空巻芯を搬送する無人搬送システムにおける保管用シャフトの搬送方法であって、
前記保管装置から前記無人搬送車に移戴した前記ロール状物または空巻芯の巻芯から抜
き取った保管用シャフトを該無人搬送車に載せることによって、該保管用シャフトを該無
人搬送車で搬送することを特徴としたロール状物の保管用シャフトの搬送方法。
【請求項4】
前記ロール状物または空巻芯の巻芯から抜き取った保管用シャフトを、無人搬送車に設
けたシャフト保持部に載せることを特徴とした請求項3記載のロール状物の保管用シャフ
トの搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−56686(P2006−56686A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−241740(P2004−241740)
【出願日】平成16年8月23日(2004.8.23)
【出願人】(000232807)日本輸送機株式会社 (320)
【Fターム(参考)】