ロール状物品の梱包方法
【課題】ロール状物品を傷めず、かつその梱包及び輸送のコストを大幅に低減できる梱包方法を提供する。
【解決手段】1段目のロール状物品を寝かせた状態で隣接させてパレット上に平行に並べ、当該ロール状物品の長手方向両端面において、粘着テープを当該ロール状物品の列方向に貼り渡して当該ロール状物品同士を固定する(S1)。i=2からnまで、S3〜S6を繰り返す(S2)。*S3:(i−1)段目のロール状物品の列の上にi段目のロール状物品を隣接させて平行に並べ、i段目のロール状物品の長手方向両端面において、粘着テープを当該ロール状物品の列方向に貼り渡して当該ロール状物品同士を固定する。*S4:i=i+1とする。*S5〜S6:i≦nの場合はS3〜S4を実行し、i>nの場合は、n段に積み上げたロール状物品の集積体の側面にラップフィルムを巻き付けて、ロール状物品を互いに結束する。
【解決手段】1段目のロール状物品を寝かせた状態で隣接させてパレット上に平行に並べ、当該ロール状物品の長手方向両端面において、粘着テープを当該ロール状物品の列方向に貼り渡して当該ロール状物品同士を固定する(S1)。i=2からnまで、S3〜S6を繰り返す(S2)。*S3:(i−1)段目のロール状物品の列の上にi段目のロール状物品を隣接させて平行に並べ、i段目のロール状物品の長手方向両端面において、粘着テープを当該ロール状物品の列方向に貼り渡して当該ロール状物品同士を固定する。*S4:i=i+1とする。*S5〜S6:i≦nの場合はS3〜S4を実行し、i>nの場合は、n段に積み上げたロール状物品の集積体の側面にラップフィルムを巻き付けて、ロール状物品を互いに結束する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、服地、カーペット、カーテン生地のような繊維製品や、プラスチックフィルム等をロール状に巻き取ったものからなるロール状物品を梱包する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のロール状物品のトラック、船舶および航空機等による輸送の際、これらのロール状物品は梱包されるが、この梱包は、従来、ロール状物品を2〜5本ずつ適当に小分けにしておき、ロール状物品の各組を直接バンドで結束することによって(図10参照)、または、ロール状物品の組をそれぞれプラスチックフィルム製の梱包用袋に収容した後、結束機を用いて袋の上からバンドで結束することによって(図11参照)、または、さらに、これらの結束したロール状物品の各組を、規格寸法の段ボール箱に箱詰めすることによってなされていた。
【0003】
そして、結束されたロール状物品の各組が、パレット上に、荷崩れしないように適当に積み上げられた後、あるいは、結束されたロール状物品の組の箱詰めされた段ボール箱が、パレット上に載せられた後、パレットと一緒に、フォークリフト等によってトラックの荷台やコンテナ内等に積み込まれていた。
【0004】
しかし、このような従来の梱包方法によれば、結束したロール状物品の組をパレット上に積み上げた場合には、上下左右に隣り合うロール状物品の組の間に無駄な隙間が生じ、また、結束したロール状物品の組を段ボール箱に箱詰めした場合にも、段ボール箱内に無駄な隙間が生じ、それが輸送コストの上昇の一因となっていた。
【0005】
また、梱包用袋や段ボール箱を使用した場合には、それらの梱包のコストが高くついてしまい、さらに、これらの梱包資材は、通常、使い捨てにされるので、資源の無駄遣いも招いていた。
【0006】
また、従来の梱包方法によれば、小分けにされたロール状物品が、バンドによって、直接にあるいは梱包袋の上から結束されるが、このとき、結束機を用いた、バンドによる結束は、ロール状物品の結束が簡単に解けないようにすべく、バンドがロール状物品に食い込むようになされるので、例えば、起毛した服地やカーペットのロール等の場合には、梱包が解かれたときに、服地およびカーペットに、容易に回復させることができないバンドによる結束跡が残り、商品価値を損ねてしまうおそれがあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の課題は、ロール状物品を傷めず、しかもその梱包および輸送のコストを大幅に低減できる梱包方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、ロール状物品を、パレット上において、n段(nは2以上の整数)に積み上げた状態で梱包する方法であって、
(1)1段目のロール状物品を寝かせた状態で互いに隣接させてパレット上に平行に並べ、前記1段目のロール状物品の長手方向両端面のそれぞれにおいて、少なくとも1本の粘着テープを前記1段目のロール状物品の列方向に当該列の一端から他端まで貼り渡すことによって、前記1段目のロール状物品同士を固定するステップと、
(2)i=2からnまで、次のステップ(a)〜(c)を繰り返し実行するステップと、を有することを特徴とする方法。
(a)(i−1)段目のロール状物品の列の上にi段目のロール状物品を互いに隣接させて平行に並べ、前記i段目のロール状物品の長手方向両端面のそれぞれにおいて、少なくとも1本の粘着テープを前記i段目のロール状物品の列方向に当該列の一端から他端まで貼り渡すことによって、前記i段目のロール状物品同士を固定するステップ
(b)i=i+1とするステップ
(c)i≦nの場合には、ステップ(a)〜(b)を再び実行するが、i>nの場合には、n段に積み上げた前記ロール状物品の集積体の側面に、ラップフィルムを少なくとも1周巻き付けることによって、前記ロール状物品を互いに結束するステップ
としたものである。
【0009】
この場合、前記ステップ(2)において、i=2からm(m<n)まで、前記ステップ(a)〜(c)を繰り返し実行し、次いで、i=m+1からnまで、前記ステップ(a)〜(c)を繰り返し実行するようにしてもよい。
前記ステップ(1)において、さらに、少なくとも1本の粘着テープを、上方から、前記1段目のロール状物品の列方向に当該列の一端から他端まで貼り渡すことによって、前記1段目のロール状物品同士を固定してもよい。
また、前記ステップ(1)において、前記1段目のロール状物品を寝かせた状態で互いに隣接させて前記パレット上に平行に並べた後、さらに1本の付加的なロール状物品の外周に少なくとも1本の粘着テープの一端側をループ状に貼着し、前記付加的なロール状物品を、寝かせた状態で、最外側の前記1段目のロール状物品の外側に隣接させて並べ、前記粘着テープの他端側を、上方から、前記1段目のロール状物品の列方向に当該列の一端から他端まで貼り渡すことによって、前記付加的なロール状物品を前記1段目のロール状物品の列に固定し、その後、前記1段目のロール状物品および前記付加的なロール状物品の長手方向両端面のそれぞれにおいて、少なくとも1本の粘着テープを、前記1段目のロール状物品および前記付加的なロール状物品の列方向に当該列の一端から他端まで貼り渡すことによって、前記ロール状物品同士を固定してもよい。
【0010】
前記ステップ(2)(a)において、さらに、少なくとも1本の粘着テープを、上方から、前記i段目のロール状物品の列方向に当該列の一端から他端まで貼り渡すことによって、前記i段目のロール状物品同士を固定してもよい。
また、前記ステップ(2)(a)において、前記(i−1)段目のロール状物品の列の上に前記i段目のロール状物品を互いに隣接させて平行に並べた後、さらに1本の付加的なロール状物品の外周に少なくとも1本の粘着テープの一端側をループ状に貼着し、前記付加的なロール状物品を、寝かせた状態で、最外側の前記i段目のロール状物品の外側に隣接させて並べ、前記粘着テープの他端側を、上方から、前記i段目のロール状物品の列方向に当該列の一端から他端まで貼り渡すことによって、前記付加的なロール状物品を前記i段目のロール状物品の列に固定し、その後、前記i段目のロール状物品および前記付加的なロール状物品の長手方向両端面のそれぞれにおいて、少なくとも1本の粘着テープを、前記i段目のロール状物品および前記付加的なロール状物品の列方向に当該列の一端から他端まで貼り渡すことによって、当該ロール状物品同士を固定してもよい。
【0011】
本発明において、上段のロール状物品を、それぞれ、その直ぐ下段のロール状物品間の谷間に配置してもよいし、上段のロール状物品を、それぞれ、その直ぐ下段のロール状物品の真上に配置してもよい。後者の場合には、前記上段のロール状物品の長手方向両端面のそれぞれにおいて、前記上段のロール状物品の列の最外側のロール状物品と、前記その直ぐ下段のロール状物品の列との間に、斜め方向に、少なくとも1本の粘着テープを貼り渡すことによって、前記最外側のロール状物品を前記その直ぐ下段のロール状物品の列に固定することが好ましい。
また、前記ロール状物品を並べる前に、前記パレット上に、予め、滑り止めシートを配置することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ロール状物品を、パレット上に寝かせた状態で1段ずつ隙間無く並べ、要所を粘着テープで固定しながら積み上げた後、出来上がったロール状物品の集積体の側部にラップフィルムを巻き付けることにより、ロール状物品を互いに結束するので、無駄なスペースの発生が最小限に抑えられる。このとき、ロール状物品の梱包体の上面は常に平坦面となるので、このロール状物品の梱包体の上に、さらに、別のロール状物品の梱包体を関係するパレットとともに隙間無く積み上げることができる。こうして、従来の梱包法と比較して、同じ大きさのスペース内により多くのロール状物品を積み込むことができ、よって、輸送のコストを大幅に削減することができる。
また、輸送時の積み込み・積み降ろし作業は、通常、フォークリフトを使用してパレット単位でなされるところ、本発明によれば、従来のように複数の小分け梱包したロール状物品の組を関係するパレットに積み上げるのではなく、ロール状物品を直接パレット上で梱包してしまうので、ロール状物品の梱包体とパレットを常に1対1で関係づけることができるので、1のパレット上に関係のないロール状物品が混在する等の問題を生じさせることなく、輸送時のロール状物品の管理を確実に行うことができる。
【0013】
また、本発明によれば、結束時に、粘着テープおよびラップフィルムを各ロール状物品に食い込ませることなく、各ロール状物品に余計な圧力を及ぼさずに、ロール状物品をソフトに梱包することができ、よって、ロール状物品に、結束跡を残す等して、傷をつけるおそれがない。
さらに、本発明によれば、梱包には、粘着テープおよびラップフィルムを用いるだけでよく、梱包用袋や段ボール箱は不要であり、さらには、結束機を用いたバンド結束も不要になるから、梱包のコストを従来よりも大幅に削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明によるロール状物品の梱包方法の手順を示すフロー図である。
【図2】本発明による梱包方法の手順を図説する斜視図である。
【図3】本発明による梱包方法の手順を図説する斜視図である。
【図4】本発明による梱包方法の手順を図説する側面図である。
【図5】本発明による梱包方法の手順を図説する斜視図である。
【図6】本発明による梱包方法の手順を図説する斜視図である。
【図7】本発明による梱包方法の手順を図説する斜視図である。
【図8】本発明による梱包方法の手順を図説する斜視図である。
【図9】本発明による梱包方法の手順を図説する斜視図である。
【図10】従来の梱包法を用いたロール状物品の結束状態を示す写真である。
【図11】従来の梱包法を用いたロール状物品の結束状態を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施例を説明する。図1は、本発明によるロール状物品の梱包方法の手順示すフロー図であり、図2〜図9は、図1に示した本発明による方法の手順を図説したものである。
図1および図2を参照して、本発明によれば、まず、1段目のロール状物品1を寝かせた状態で互いに隣接させてパレット2上に平行に並べ、1段目のロール状物品1の長手方向両端面のそれぞれにおいて、少なくとも1本の粘着テープ3を1段目のロール状物品1の列方向に当該列の一端から他端まで貼り渡すことによって、1段目のロール状物品1同士を固定する(図1のS1)。
【0016】
この場合、粘着テープ3による固定だけでは、1段目のロール状物品1の列の上にさらに別のロール状物品を積み上げていく際に、1段目のロール状物品1の列が分離して荷崩れするおそれがある場合には、図3に示すように、さらに、少なくとも1本の粘着テープ4を、上方から、1段目のロール状物品1の列方向に当該列の一端から他端まで貼り渡すことによって、1段目のロール状物品1同士を固定する。
【0017】
また、一度に梱包すべきロール状物品の総数から計算して、最外側の1段目のロール状物品1の外側に、さらに1本の付加的なロール状物品をパレット2からはみ出して配置しなければならない場合があるが、かかる場合には、次のステップを実行する。
すなわち、図4を参照して、1段目のロール状物品1を寝かせた状態で互いに隣接させてパレット2上に平行に並べた後、さらに1本の付加的なロール状物品6の外周に少なくとも1本の粘着テープ5の一端側をループ状に貼着し(図4A)、付加的なロール状物品6を、寝かせた状態で、最外側の1段目のロール状物品1の外側に隣接させて並べ、粘着テープ5の他端側を、上方から、1段目のロール状物品1の列方向に一端から他端まで貼り渡すことによって、付加的なロール状物品6を1段目のロール状物品1の列に固定する(図4B)。その後、1段目のロール状物品1および付加的なロール状物品6の長手方向両端面のそれぞれにおいて、少なくとも1本の粘着テープ3を、ロール状物品1、6の列方向に当該列の一端から他端まで貼り渡すことによって、ロール状物品1、6同士を固定する。
【0018】
また、ステップS1において、ロール状物品1を並べる前に、パレット2上に、予め滑り止めシートを配置しておけば、ロール状物品1の梱包をより安定して行うことができ、ロール状物品が汚れることも防止できる。
【0019】
本発明によれば、次いで、i=2からnまで、次のステップS3〜S6を繰り返す(図1のS2)。
*ステップS3:(i−1)段目のロール状物品の列の上にi段目のロール状物品を互いに隣接させて平行に並べ、i段目のロール状物品の長手方向両端面のそれぞれにおいて、少なくとも1本の粘着テープをi段目のロール状物品の列方向に当該列の一端から他端まで貼り渡すことによって、i段目のロール状物品同士を固定するステップ
*ステップS4:i=i+1とするステップ
*ステップS5〜S6:i≦nの場合には、ステップS3〜S4を再び実行するが、i>nの場合には、n段に積み上げたロール状物品の集積体の側面に、ラップフィルムを少なくとも1周巻き付けることによって、ロール状物品を互いに結束するステップ
それによって、ロール状物品の梱包が完成する。
【0020】
なお、ステップS3において、粘着テープによる固定だけでは、i段目のロール状物品の列の上にさらに別のロール状物品を積み上げていく際に、i段目のロール状物品の列が分離するおそれがある場合には、図3に示したのと同様、さらに、少なくとも1本の粘着テープを、上方から、i段目のロール状物品の列方向に当該列の一端から他端まで貼り渡すことによって、i段目のロール状物品1同士を固定する。
【0021】
ステップS3〜S6の繰り返しによって、パレット2上には、ロール状物品が積み上げられていくが、このとき、上段のロール状物品をそれぞれその直ぐ下段のロール状物品間の谷間に配置すると、ロール状物品の積み上げ段数が増えるにつれて、ロール状物品の集積体は上向きに先細りの形状になり、ロール状物品の集積体同士を安定的にかつ隙間無く積み上げることができなくなる。
【0022】
かかる場合には、本発明によれば、ステップS3において、(i−1)段目のロール状物品の列の上にi段目のロール状物品を互いに隣接させて平行に並べた後、図4に示したのと同様に、さらに1本の付加的なロール状物品の外周に少なくとも1本の粘着テープの一端側をループ状に貼着し、付加的なロール状物品を、寝かせた状態で、最外側のi段目のロール状物品の外側に隣接させて並べ、粘着テープの他端側を、上方から、i段目のロール状物品の列方向に当該列の一端から他端まで貼り渡すことによって、付加的なロール状物品をi段目のロール状物品の列に固定する。そして、i段目のロール状物品および付加的なロール状物品の長手方向両端面のそれぞれにおいて、少なくとも1本の粘着テープを、i段目のロール状物品および前記付加的なロール状物品の列方向に当該列の一端から他端まで貼り渡すことによって、当該ロール状物品同士を固定する。
この場合、(i−1)段目の列が付加的なロール状物品を含んでいるときには、i段目の付加的なロール状物品を、i段目のロール状物品の列の、(i−1)段目の付加的なロール状物品から遠ざかる側の端に固定する。
【0023】
それによって、上段のロール状物品をそれぞれその直ぐ下段のロール状物品間の谷間に配置しつつロール状物品を多段に積み上げる場合であっても、交互に反対側の端に付加的なロール状物品が配置されるようにして、段毎に常に同数のロール状物品を並べることによって、直方体に近い形状のロール状物品の集積体とすることができるので、ロール状物品の集積体同士を安定的にかつ隙間無く積み上げることが可能となる。
【0024】
ロール状物品の重量や積み上げ段数によっては、n段まで一気に積み上げようとすると、下方の段のロール状物品間の粘着テープによる固定が、上からの圧力に抗しきれずに解かれてしまい、荷崩れしてしまうおそれがある場合がある。かかる場合には、例えば、ステップS2において、まず、i=1からm(m<n)まで、ステップS3〜S6を繰り返し実行することによって、パレット上にm段に積み上げたロール状物品の集積体をラップシートによって互いに結束し、次いで、i=m+1からnまで、ステップS3〜S6を繰り返して実行して、結束したm段のロール状物品の集積体の上にさらに(n−m)段のロール状物品を積み上げることによってn段のロール状物品の集積体とし、n段のロール状物品の集積体をラップシートによって結束する。なお、この例では、n段を2段に小分けにしたが、必要に応じて、n段を2段以上の適当な段に小分けし、順次、段毎にラップシートで結束しつつ、ロール状物品を積み上げていけばよい。
【0025】
次に、ステップS2を、n=4の場合について、図面を参照して具体的に説明する。まず、図5Aに示すように、1段目のロール状物品1の列の上に2段目のロール状物品7を互いに隣接させて平行に並べる。図示の例では、2段目のロール状物品7をそれぞれ、1段目のロール状物品1間の谷間に配置するので、図4に示したのと同様にして、さらに1本の付加的なロール状物品9の外周に粘着テープ8の一端側をループ状に貼着し、付加的なロール状物品9を、寝かせた状態で、最外側の2段目のロール状物品7の外側に隣接させて並べ、粘着テープ8の他端側を、上方から、2段目のロール状物品7の列方向に当該列の一端から他端まで貼り渡すことによって、付加的なロール状物品9を2段目のロール状物品7の列に固定している。そして、図5B〜Dに示すように、2段目のロール状物品7および付加的なロール状物品9の長手方向両端面のそれぞれにおいて、粘着テープ10を、これらのロール状物品7、9の列方向に当該列の一端から他端まで貼り渡すことによって、これらのロール状物品7、9同士を固定する。
【0026】
なお、上段のロール状物品をそれぞれその直ぐ下段のロール状物品の真上に配置しつつ、ロール状物品をパレット上に積み上げることもできる。この場合には、図6に示すように、2段目のロール状物品7の長手方向両端面のそれぞれにおいて、当該ロール状物品7の列の最外側のロール状物品7と、1段目のロール状物品1の列との間に、斜め方向に、少なくとも1本の粘着テープ12を貼り渡すことによって、最外側のロール状物品7を1段目のロール状物品1の列に固定する。そして、図示はしないが、粘着テープを2段目のロール状物品7の列方向に当該列の一端から他端まで貼り渡すことによって、これらのロール状物品7同士を固定する。
この実施例によれば、段毎に同数のロール状物品を多段に積み上げることができる。
【0027】
次いで、図7A〜Cに示すように、2段に積み上げたロール状物品1、7、9の集積体の側面に、ラップフィルム11を巻き付けることによって、ロール状物品1、7、9を互いに結束する。
【0028】
さらに、図8Aに示すように、結束したロール状物品1、7、9の集積体の上に、2段目と同様にして、3段目のロール状物品7’および付加的なロール状物品9’を互いに隣接させて平行に並べ(付加的なロール状物品9’は、2段目の付加的なロール状物品9から遠ざかる側の端に配置する)、これらのロール状物品7’、9’同士を粘着テープ3’によって固定し、4段目のロール状物品7”および付加的なロール状物品9”を3段目のロール状物品7’、9’の列の上に隣接させて平行に並べ(付加的なロール状物品9”は、3段目の付加的なロール状物品9’から遠ざかる側の端に配置する)、これらのロール状物品7”、9”同士を粘着テープ3”によって固定する。その後、図8B〜図9に示すように、4段に積み上げたロール状物品1、7、7’、7”、9、9’、9”の集積体の側面にラップフィルム11’を巻き付けることによって、これらのロール状物品1、7、7’、7”、9、9’、9”を互いに結束する。それによって、梱包が完了する。
【0029】
こうして、本発明の梱包方法によれば、ロール状物品を、パレット上に寝かせた状態で1段ずつ隙間無く並べ、要所を粘着テープで固定しながら積み上げてロール状物品の集積体を形成し、この集積体の側部にラップフィルムを巻き付けてロール状物品を互いに結束するだけでよいので、梱包作業を簡単にかつ短時間で行うことができる。
また、輸送時の積み込み・積み降ろし作業は、通常、フォークリフトを使用してパレット単位でなされるところ、本発明によれば、従来法のように小分け梱包したロール状物品の複数の組を関係するパレットに積み上げるのではなく、ロール状物品を直接パレット上において梱包してしまうので、ロール状物品の梱包体とパレットを常に1対1で関係づけることができるので、一部のロール状物品が間違ったパレット上に載せられる等の問題を生じさせることなく、輸送時のロール状物品の管理を確実に行うことができる。
また、本発明の梱包方法によれば、直方体に近い形状の梱包体とすることができるので、梱包体のトラックや船舶等での積み込みの際に、無駄なスペースの発生が最小限に抑えられる。この場合、ロール状物品の梱包体の上に、さらに別のロール状物品の梱包体を安定的に隙間無く積み上げることができる。こうして、従来の梱包法と比較して、同じ大きさのスペース内により多くのロール状物品を積み込むことができ、よって、輸送のコストを大幅に削減することができる。
【0030】
また、本発明の梱包方法によれば、結束時に、粘着テープおよびラップフィルムをロール状物品に食い込ませることなく、ロール状物品をソフトに梱包することができ、よって、ロール状物品に、結束跡を残す等して傷をつけるおそれがない。
さらに、本発明の梱包方法によれば、梱包には、粘着テープおよびラップフィルムだけを使用するだけでよく、結束機や、梱包用袋および段ボール箱が不要になるから、梱包のコストを従来よりも大幅に削減することができる。
なお、本発明は、ロール状物品(円形断面の物品)だけでなく、それ以外の任意の断面形状の長尺物品の結束および梱包にも同様に適用可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0031】
1 1段目のロール状物品
2 パレット
3、3’、3” 粘着テープ
4〜5 粘着テープ
6 付加的なロール状物品
7 2段目のロール状物品
7’ 3段目のロール状物品
7” 4段目のロール状物品
8、8’、8” 粘着テープ
9、9’、9” 付加的なロール状物品
10 粘着テープ
11、11’ ラップフィルム
12 粘着テープ
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、服地、カーペット、カーテン生地のような繊維製品や、プラスチックフィルム等をロール状に巻き取ったものからなるロール状物品を梱包する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のロール状物品のトラック、船舶および航空機等による輸送の際、これらのロール状物品は梱包されるが、この梱包は、従来、ロール状物品を2〜5本ずつ適当に小分けにしておき、ロール状物品の各組を直接バンドで結束することによって(図10参照)、または、ロール状物品の組をそれぞれプラスチックフィルム製の梱包用袋に収容した後、結束機を用いて袋の上からバンドで結束することによって(図11参照)、または、さらに、これらの結束したロール状物品の各組を、規格寸法の段ボール箱に箱詰めすることによってなされていた。
【0003】
そして、結束されたロール状物品の各組が、パレット上に、荷崩れしないように適当に積み上げられた後、あるいは、結束されたロール状物品の組の箱詰めされた段ボール箱が、パレット上に載せられた後、パレットと一緒に、フォークリフト等によってトラックの荷台やコンテナ内等に積み込まれていた。
【0004】
しかし、このような従来の梱包方法によれば、結束したロール状物品の組をパレット上に積み上げた場合には、上下左右に隣り合うロール状物品の組の間に無駄な隙間が生じ、また、結束したロール状物品の組を段ボール箱に箱詰めした場合にも、段ボール箱内に無駄な隙間が生じ、それが輸送コストの上昇の一因となっていた。
【0005】
また、梱包用袋や段ボール箱を使用した場合には、それらの梱包のコストが高くついてしまい、さらに、これらの梱包資材は、通常、使い捨てにされるので、資源の無駄遣いも招いていた。
【0006】
また、従来の梱包方法によれば、小分けにされたロール状物品が、バンドによって、直接にあるいは梱包袋の上から結束されるが、このとき、結束機を用いた、バンドによる結束は、ロール状物品の結束が簡単に解けないようにすべく、バンドがロール状物品に食い込むようになされるので、例えば、起毛した服地やカーペットのロール等の場合には、梱包が解かれたときに、服地およびカーペットに、容易に回復させることができないバンドによる結束跡が残り、商品価値を損ねてしまうおそれがあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の課題は、ロール状物品を傷めず、しかもその梱包および輸送のコストを大幅に低減できる梱包方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、ロール状物品を、パレット上において、n段(nは2以上の整数)に積み上げた状態で梱包する方法であって、
(1)1段目のロール状物品を寝かせた状態で互いに隣接させてパレット上に平行に並べ、前記1段目のロール状物品の長手方向両端面のそれぞれにおいて、少なくとも1本の粘着テープを前記1段目のロール状物品の列方向に当該列の一端から他端まで貼り渡すことによって、前記1段目のロール状物品同士を固定するステップと、
(2)i=2からnまで、次のステップ(a)〜(c)を繰り返し実行するステップと、を有することを特徴とする方法。
(a)(i−1)段目のロール状物品の列の上にi段目のロール状物品を互いに隣接させて平行に並べ、前記i段目のロール状物品の長手方向両端面のそれぞれにおいて、少なくとも1本の粘着テープを前記i段目のロール状物品の列方向に当該列の一端から他端まで貼り渡すことによって、前記i段目のロール状物品同士を固定するステップ
(b)i=i+1とするステップ
(c)i≦nの場合には、ステップ(a)〜(b)を再び実行するが、i>nの場合には、n段に積み上げた前記ロール状物品の集積体の側面に、ラップフィルムを少なくとも1周巻き付けることによって、前記ロール状物品を互いに結束するステップ
としたものである。
【0009】
この場合、前記ステップ(2)において、i=2からm(m<n)まで、前記ステップ(a)〜(c)を繰り返し実行し、次いで、i=m+1からnまで、前記ステップ(a)〜(c)を繰り返し実行するようにしてもよい。
前記ステップ(1)において、さらに、少なくとも1本の粘着テープを、上方から、前記1段目のロール状物品の列方向に当該列の一端から他端まで貼り渡すことによって、前記1段目のロール状物品同士を固定してもよい。
また、前記ステップ(1)において、前記1段目のロール状物品を寝かせた状態で互いに隣接させて前記パレット上に平行に並べた後、さらに1本の付加的なロール状物品の外周に少なくとも1本の粘着テープの一端側をループ状に貼着し、前記付加的なロール状物品を、寝かせた状態で、最外側の前記1段目のロール状物品の外側に隣接させて並べ、前記粘着テープの他端側を、上方から、前記1段目のロール状物品の列方向に当該列の一端から他端まで貼り渡すことによって、前記付加的なロール状物品を前記1段目のロール状物品の列に固定し、その後、前記1段目のロール状物品および前記付加的なロール状物品の長手方向両端面のそれぞれにおいて、少なくとも1本の粘着テープを、前記1段目のロール状物品および前記付加的なロール状物品の列方向に当該列の一端から他端まで貼り渡すことによって、前記ロール状物品同士を固定してもよい。
【0010】
前記ステップ(2)(a)において、さらに、少なくとも1本の粘着テープを、上方から、前記i段目のロール状物品の列方向に当該列の一端から他端まで貼り渡すことによって、前記i段目のロール状物品同士を固定してもよい。
また、前記ステップ(2)(a)において、前記(i−1)段目のロール状物品の列の上に前記i段目のロール状物品を互いに隣接させて平行に並べた後、さらに1本の付加的なロール状物品の外周に少なくとも1本の粘着テープの一端側をループ状に貼着し、前記付加的なロール状物品を、寝かせた状態で、最外側の前記i段目のロール状物品の外側に隣接させて並べ、前記粘着テープの他端側を、上方から、前記i段目のロール状物品の列方向に当該列の一端から他端まで貼り渡すことによって、前記付加的なロール状物品を前記i段目のロール状物品の列に固定し、その後、前記i段目のロール状物品および前記付加的なロール状物品の長手方向両端面のそれぞれにおいて、少なくとも1本の粘着テープを、前記i段目のロール状物品および前記付加的なロール状物品の列方向に当該列の一端から他端まで貼り渡すことによって、当該ロール状物品同士を固定してもよい。
【0011】
本発明において、上段のロール状物品を、それぞれ、その直ぐ下段のロール状物品間の谷間に配置してもよいし、上段のロール状物品を、それぞれ、その直ぐ下段のロール状物品の真上に配置してもよい。後者の場合には、前記上段のロール状物品の長手方向両端面のそれぞれにおいて、前記上段のロール状物品の列の最外側のロール状物品と、前記その直ぐ下段のロール状物品の列との間に、斜め方向に、少なくとも1本の粘着テープを貼り渡すことによって、前記最外側のロール状物品を前記その直ぐ下段のロール状物品の列に固定することが好ましい。
また、前記ロール状物品を並べる前に、前記パレット上に、予め、滑り止めシートを配置することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ロール状物品を、パレット上に寝かせた状態で1段ずつ隙間無く並べ、要所を粘着テープで固定しながら積み上げた後、出来上がったロール状物品の集積体の側部にラップフィルムを巻き付けることにより、ロール状物品を互いに結束するので、無駄なスペースの発生が最小限に抑えられる。このとき、ロール状物品の梱包体の上面は常に平坦面となるので、このロール状物品の梱包体の上に、さらに、別のロール状物品の梱包体を関係するパレットとともに隙間無く積み上げることができる。こうして、従来の梱包法と比較して、同じ大きさのスペース内により多くのロール状物品を積み込むことができ、よって、輸送のコストを大幅に削減することができる。
また、輸送時の積み込み・積み降ろし作業は、通常、フォークリフトを使用してパレット単位でなされるところ、本発明によれば、従来のように複数の小分け梱包したロール状物品の組を関係するパレットに積み上げるのではなく、ロール状物品を直接パレット上で梱包してしまうので、ロール状物品の梱包体とパレットを常に1対1で関係づけることができるので、1のパレット上に関係のないロール状物品が混在する等の問題を生じさせることなく、輸送時のロール状物品の管理を確実に行うことができる。
【0013】
また、本発明によれば、結束時に、粘着テープおよびラップフィルムを各ロール状物品に食い込ませることなく、各ロール状物品に余計な圧力を及ぼさずに、ロール状物品をソフトに梱包することができ、よって、ロール状物品に、結束跡を残す等して、傷をつけるおそれがない。
さらに、本発明によれば、梱包には、粘着テープおよびラップフィルムを用いるだけでよく、梱包用袋や段ボール箱は不要であり、さらには、結束機を用いたバンド結束も不要になるから、梱包のコストを従来よりも大幅に削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明によるロール状物品の梱包方法の手順を示すフロー図である。
【図2】本発明による梱包方法の手順を図説する斜視図である。
【図3】本発明による梱包方法の手順を図説する斜視図である。
【図4】本発明による梱包方法の手順を図説する側面図である。
【図5】本発明による梱包方法の手順を図説する斜視図である。
【図6】本発明による梱包方法の手順を図説する斜視図である。
【図7】本発明による梱包方法の手順を図説する斜視図である。
【図8】本発明による梱包方法の手順を図説する斜視図である。
【図9】本発明による梱包方法の手順を図説する斜視図である。
【図10】従来の梱包法を用いたロール状物品の結束状態を示す写真である。
【図11】従来の梱包法を用いたロール状物品の結束状態を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施例を説明する。図1は、本発明によるロール状物品の梱包方法の手順示すフロー図であり、図2〜図9は、図1に示した本発明による方法の手順を図説したものである。
図1および図2を参照して、本発明によれば、まず、1段目のロール状物品1を寝かせた状態で互いに隣接させてパレット2上に平行に並べ、1段目のロール状物品1の長手方向両端面のそれぞれにおいて、少なくとも1本の粘着テープ3を1段目のロール状物品1の列方向に当該列の一端から他端まで貼り渡すことによって、1段目のロール状物品1同士を固定する(図1のS1)。
【0016】
この場合、粘着テープ3による固定だけでは、1段目のロール状物品1の列の上にさらに別のロール状物品を積み上げていく際に、1段目のロール状物品1の列が分離して荷崩れするおそれがある場合には、図3に示すように、さらに、少なくとも1本の粘着テープ4を、上方から、1段目のロール状物品1の列方向に当該列の一端から他端まで貼り渡すことによって、1段目のロール状物品1同士を固定する。
【0017】
また、一度に梱包すべきロール状物品の総数から計算して、最外側の1段目のロール状物品1の外側に、さらに1本の付加的なロール状物品をパレット2からはみ出して配置しなければならない場合があるが、かかる場合には、次のステップを実行する。
すなわち、図4を参照して、1段目のロール状物品1を寝かせた状態で互いに隣接させてパレット2上に平行に並べた後、さらに1本の付加的なロール状物品6の外周に少なくとも1本の粘着テープ5の一端側をループ状に貼着し(図4A)、付加的なロール状物品6を、寝かせた状態で、最外側の1段目のロール状物品1の外側に隣接させて並べ、粘着テープ5の他端側を、上方から、1段目のロール状物品1の列方向に一端から他端まで貼り渡すことによって、付加的なロール状物品6を1段目のロール状物品1の列に固定する(図4B)。その後、1段目のロール状物品1および付加的なロール状物品6の長手方向両端面のそれぞれにおいて、少なくとも1本の粘着テープ3を、ロール状物品1、6の列方向に当該列の一端から他端まで貼り渡すことによって、ロール状物品1、6同士を固定する。
【0018】
また、ステップS1において、ロール状物品1を並べる前に、パレット2上に、予め滑り止めシートを配置しておけば、ロール状物品1の梱包をより安定して行うことができ、ロール状物品が汚れることも防止できる。
【0019】
本発明によれば、次いで、i=2からnまで、次のステップS3〜S6を繰り返す(図1のS2)。
*ステップS3:(i−1)段目のロール状物品の列の上にi段目のロール状物品を互いに隣接させて平行に並べ、i段目のロール状物品の長手方向両端面のそれぞれにおいて、少なくとも1本の粘着テープをi段目のロール状物品の列方向に当該列の一端から他端まで貼り渡すことによって、i段目のロール状物品同士を固定するステップ
*ステップS4:i=i+1とするステップ
*ステップS5〜S6:i≦nの場合には、ステップS3〜S4を再び実行するが、i>nの場合には、n段に積み上げたロール状物品の集積体の側面に、ラップフィルムを少なくとも1周巻き付けることによって、ロール状物品を互いに結束するステップ
それによって、ロール状物品の梱包が完成する。
【0020】
なお、ステップS3において、粘着テープによる固定だけでは、i段目のロール状物品の列の上にさらに別のロール状物品を積み上げていく際に、i段目のロール状物品の列が分離するおそれがある場合には、図3に示したのと同様、さらに、少なくとも1本の粘着テープを、上方から、i段目のロール状物品の列方向に当該列の一端から他端まで貼り渡すことによって、i段目のロール状物品1同士を固定する。
【0021】
ステップS3〜S6の繰り返しによって、パレット2上には、ロール状物品が積み上げられていくが、このとき、上段のロール状物品をそれぞれその直ぐ下段のロール状物品間の谷間に配置すると、ロール状物品の積み上げ段数が増えるにつれて、ロール状物品の集積体は上向きに先細りの形状になり、ロール状物品の集積体同士を安定的にかつ隙間無く積み上げることができなくなる。
【0022】
かかる場合には、本発明によれば、ステップS3において、(i−1)段目のロール状物品の列の上にi段目のロール状物品を互いに隣接させて平行に並べた後、図4に示したのと同様に、さらに1本の付加的なロール状物品の外周に少なくとも1本の粘着テープの一端側をループ状に貼着し、付加的なロール状物品を、寝かせた状態で、最外側のi段目のロール状物品の外側に隣接させて並べ、粘着テープの他端側を、上方から、i段目のロール状物品の列方向に当該列の一端から他端まで貼り渡すことによって、付加的なロール状物品をi段目のロール状物品の列に固定する。そして、i段目のロール状物品および付加的なロール状物品の長手方向両端面のそれぞれにおいて、少なくとも1本の粘着テープを、i段目のロール状物品および前記付加的なロール状物品の列方向に当該列の一端から他端まで貼り渡すことによって、当該ロール状物品同士を固定する。
この場合、(i−1)段目の列が付加的なロール状物品を含んでいるときには、i段目の付加的なロール状物品を、i段目のロール状物品の列の、(i−1)段目の付加的なロール状物品から遠ざかる側の端に固定する。
【0023】
それによって、上段のロール状物品をそれぞれその直ぐ下段のロール状物品間の谷間に配置しつつロール状物品を多段に積み上げる場合であっても、交互に反対側の端に付加的なロール状物品が配置されるようにして、段毎に常に同数のロール状物品を並べることによって、直方体に近い形状のロール状物品の集積体とすることができるので、ロール状物品の集積体同士を安定的にかつ隙間無く積み上げることが可能となる。
【0024】
ロール状物品の重量や積み上げ段数によっては、n段まで一気に積み上げようとすると、下方の段のロール状物品間の粘着テープによる固定が、上からの圧力に抗しきれずに解かれてしまい、荷崩れしてしまうおそれがある場合がある。かかる場合には、例えば、ステップS2において、まず、i=1からm(m<n)まで、ステップS3〜S6を繰り返し実行することによって、パレット上にm段に積み上げたロール状物品の集積体をラップシートによって互いに結束し、次いで、i=m+1からnまで、ステップS3〜S6を繰り返して実行して、結束したm段のロール状物品の集積体の上にさらに(n−m)段のロール状物品を積み上げることによってn段のロール状物品の集積体とし、n段のロール状物品の集積体をラップシートによって結束する。なお、この例では、n段を2段に小分けにしたが、必要に応じて、n段を2段以上の適当な段に小分けし、順次、段毎にラップシートで結束しつつ、ロール状物品を積み上げていけばよい。
【0025】
次に、ステップS2を、n=4の場合について、図面を参照して具体的に説明する。まず、図5Aに示すように、1段目のロール状物品1の列の上に2段目のロール状物品7を互いに隣接させて平行に並べる。図示の例では、2段目のロール状物品7をそれぞれ、1段目のロール状物品1間の谷間に配置するので、図4に示したのと同様にして、さらに1本の付加的なロール状物品9の外周に粘着テープ8の一端側をループ状に貼着し、付加的なロール状物品9を、寝かせた状態で、最外側の2段目のロール状物品7の外側に隣接させて並べ、粘着テープ8の他端側を、上方から、2段目のロール状物品7の列方向に当該列の一端から他端まで貼り渡すことによって、付加的なロール状物品9を2段目のロール状物品7の列に固定している。そして、図5B〜Dに示すように、2段目のロール状物品7および付加的なロール状物品9の長手方向両端面のそれぞれにおいて、粘着テープ10を、これらのロール状物品7、9の列方向に当該列の一端から他端まで貼り渡すことによって、これらのロール状物品7、9同士を固定する。
【0026】
なお、上段のロール状物品をそれぞれその直ぐ下段のロール状物品の真上に配置しつつ、ロール状物品をパレット上に積み上げることもできる。この場合には、図6に示すように、2段目のロール状物品7の長手方向両端面のそれぞれにおいて、当該ロール状物品7の列の最外側のロール状物品7と、1段目のロール状物品1の列との間に、斜め方向に、少なくとも1本の粘着テープ12を貼り渡すことによって、最外側のロール状物品7を1段目のロール状物品1の列に固定する。そして、図示はしないが、粘着テープを2段目のロール状物品7の列方向に当該列の一端から他端まで貼り渡すことによって、これらのロール状物品7同士を固定する。
この実施例によれば、段毎に同数のロール状物品を多段に積み上げることができる。
【0027】
次いで、図7A〜Cに示すように、2段に積み上げたロール状物品1、7、9の集積体の側面に、ラップフィルム11を巻き付けることによって、ロール状物品1、7、9を互いに結束する。
【0028】
さらに、図8Aに示すように、結束したロール状物品1、7、9の集積体の上に、2段目と同様にして、3段目のロール状物品7’および付加的なロール状物品9’を互いに隣接させて平行に並べ(付加的なロール状物品9’は、2段目の付加的なロール状物品9から遠ざかる側の端に配置する)、これらのロール状物品7’、9’同士を粘着テープ3’によって固定し、4段目のロール状物品7”および付加的なロール状物品9”を3段目のロール状物品7’、9’の列の上に隣接させて平行に並べ(付加的なロール状物品9”は、3段目の付加的なロール状物品9’から遠ざかる側の端に配置する)、これらのロール状物品7”、9”同士を粘着テープ3”によって固定する。その後、図8B〜図9に示すように、4段に積み上げたロール状物品1、7、7’、7”、9、9’、9”の集積体の側面にラップフィルム11’を巻き付けることによって、これらのロール状物品1、7、7’、7”、9、9’、9”を互いに結束する。それによって、梱包が完了する。
【0029】
こうして、本発明の梱包方法によれば、ロール状物品を、パレット上に寝かせた状態で1段ずつ隙間無く並べ、要所を粘着テープで固定しながら積み上げてロール状物品の集積体を形成し、この集積体の側部にラップフィルムを巻き付けてロール状物品を互いに結束するだけでよいので、梱包作業を簡単にかつ短時間で行うことができる。
また、輸送時の積み込み・積み降ろし作業は、通常、フォークリフトを使用してパレット単位でなされるところ、本発明によれば、従来法のように小分け梱包したロール状物品の複数の組を関係するパレットに積み上げるのではなく、ロール状物品を直接パレット上において梱包してしまうので、ロール状物品の梱包体とパレットを常に1対1で関係づけることができるので、一部のロール状物品が間違ったパレット上に載せられる等の問題を生じさせることなく、輸送時のロール状物品の管理を確実に行うことができる。
また、本発明の梱包方法によれば、直方体に近い形状の梱包体とすることができるので、梱包体のトラックや船舶等での積み込みの際に、無駄なスペースの発生が最小限に抑えられる。この場合、ロール状物品の梱包体の上に、さらに別のロール状物品の梱包体を安定的に隙間無く積み上げることができる。こうして、従来の梱包法と比較して、同じ大きさのスペース内により多くのロール状物品を積み込むことができ、よって、輸送のコストを大幅に削減することができる。
【0030】
また、本発明の梱包方法によれば、結束時に、粘着テープおよびラップフィルムをロール状物品に食い込ませることなく、ロール状物品をソフトに梱包することができ、よって、ロール状物品に、結束跡を残す等して傷をつけるおそれがない。
さらに、本発明の梱包方法によれば、梱包には、粘着テープおよびラップフィルムだけを使用するだけでよく、結束機や、梱包用袋および段ボール箱が不要になるから、梱包のコストを従来よりも大幅に削減することができる。
なお、本発明は、ロール状物品(円形断面の物品)だけでなく、それ以外の任意の断面形状の長尺物品の結束および梱包にも同様に適用可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0031】
1 1段目のロール状物品
2 パレット
3、3’、3” 粘着テープ
4〜5 粘着テープ
6 付加的なロール状物品
7 2段目のロール状物品
7’ 3段目のロール状物品
7” 4段目のロール状物品
8、8’、8” 粘着テープ
9、9’、9” 付加的なロール状物品
10 粘着テープ
11、11’ ラップフィルム
12 粘着テープ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状物品を、パレット上において、n段(nは2以上の整数)に積み上げた状態で梱包する方法であって、
(1)1段目のロール状物品を寝かせた状態で互いに隣接させてパレット上に平行に並べ、前記1段目のロール状物品の長手方向両端面のそれぞれにおいて、少なくとも1本の粘着テープを前記1段目のロール状物品の列方向に当該列の一端から他端まで貼り渡すことによって、前記1段目のロール状物品同士を固定するステップと、
(2)i=2からnまで、次のステップ(a)〜(c)を繰り返し実行するステップと、を有することを特徴とする方法。
(a)(i−1)段目のロール状物品の列の上にi段目のロール状物品を互いに隣接させて平行に並べ、前記i段目のロール状物品の長手方向両端面のそれぞれにおいて、少なくとも1本の粘着テープを前記i段目のロール状物品の列方向に当該列の一端から他端まで貼り渡すことによって、前記i段目のロール状物品同士を固定するステップ
(b)i=i+1とするステップ
(c)i≦nの場合には、ステップ(a)〜(b)を再び実行するが、i>nの場合には、n段に積み上げた前記ロール状物品の集積体の側面に、ラップフィルムを少なくとも1周巻き付けることによって、前記ロール状物品を互いに結束するステップ
【請求項2】
前記ステップ(2)において、i=2からm(m<n)まで、前記ステップ(a)〜(c)を繰り返し実行し、次いで、i=m+1からnまで、前記ステップ(a)〜(c)を繰り返し実行することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ステップ(1)において、さらに、少なくとも1本の粘着テープを、上方から、前記1段目のロール状物品の列方向に当該列の一端から他端まで貼り渡すことによって、前記1段目のロール状物品同士を固定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ステップ(1)において、前記1段目のロール状物品を寝かせた状態で互いに隣接させて前記パレット上に平行に並べた後、さらに1本の付加的なロール状物品の外周に少なくとも1本の粘着テープの一端側をループ状に貼着し、前記付加的なロール状物品を、寝かせた状態で、最外側の前記1段目のロール状物品の外側に隣接させて並べ、前記粘着テープの他端側を、上方から、前記1段目のロール状物品の列方向に当該列の一端から他端まで貼り渡すことによって、前記付加的なロール状物品を前記1段目のロール状物品の列に固定し、その後、前記1段目のロール状物品および前記付加的なロール状物品の長手方向両端面のそれぞれにおいて、少なくとも1本の粘着テープを、前記1段目のロール状物品および前記付加的なロール状物品の列方向に当該列の一端から他端まで貼り渡すことによって、当該ロール状物品同士を固定することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記ステップ(2)(a)において、さらに、少なくとも1本の粘着テープを、上方から、前記i段目のロール状物品の列方向に当該列の一端から他端まで貼り渡すことによって、前記i段目のロール状物品同士を固定することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記ステップ(2)(a)において、前記(i−1)段目のロール状物品の列の上に前記i段目のロール状物品を互いに隣接させて平行に並べた後、さらに1本の付加的なロール状物品の外周に少なくとも1本の粘着テープの一端側をループ状に貼着し、前記付加的なロール状物品を、寝かせた状態で、最外側の前記i段目のロール状物品の外側に隣接させて並べ、前記粘着テープの他端側を、上方から、前記i段目のロール状物品の列方向に当該列の一端から他端まで貼り渡すことによって、前記付加的なロール状物品を前記i段目のロール状物品の列に固定し、その後、前記i段目のロール状物品および前記付加的なロール状物品の長手方向両端面のそれぞれにおいて、少なくとも1本の粘着テープを、前記i段目のロール状物品および前記付加的なロール状物品の列方向に当該列の一端から他端まで貼り渡すことによって、当該ロール状物品同士を固定することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
上段のロール状物品を、それぞれ、その直ぐ下段のロール状物品間の谷間に配置することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
上段のロール状物品を、それぞれ、その直ぐ下段のロール状物品の真上に配置した場合、前記上段のロール状物品の長手方向両端面のそれぞれにおいて、前記上段のロール状物品の列の最外側のロール状物品と、前記その直ぐ下段のロール状物品の列との間に、斜め方向に、少なくとも1本の粘着テープを貼り渡すことによって、前記最外側のロール状物品を前記その直ぐ下段のロール状物品の列に固定することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記ロール状物品を並べる前に、前記パレット上に、予め、滑り止めシートを配置することを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の方法。
【請求項1】
ロール状物品を、パレット上において、n段(nは2以上の整数)に積み上げた状態で梱包する方法であって、
(1)1段目のロール状物品を寝かせた状態で互いに隣接させてパレット上に平行に並べ、前記1段目のロール状物品の長手方向両端面のそれぞれにおいて、少なくとも1本の粘着テープを前記1段目のロール状物品の列方向に当該列の一端から他端まで貼り渡すことによって、前記1段目のロール状物品同士を固定するステップと、
(2)i=2からnまで、次のステップ(a)〜(c)を繰り返し実行するステップと、を有することを特徴とする方法。
(a)(i−1)段目のロール状物品の列の上にi段目のロール状物品を互いに隣接させて平行に並べ、前記i段目のロール状物品の長手方向両端面のそれぞれにおいて、少なくとも1本の粘着テープを前記i段目のロール状物品の列方向に当該列の一端から他端まで貼り渡すことによって、前記i段目のロール状物品同士を固定するステップ
(b)i=i+1とするステップ
(c)i≦nの場合には、ステップ(a)〜(b)を再び実行するが、i>nの場合には、n段に積み上げた前記ロール状物品の集積体の側面に、ラップフィルムを少なくとも1周巻き付けることによって、前記ロール状物品を互いに結束するステップ
【請求項2】
前記ステップ(2)において、i=2からm(m<n)まで、前記ステップ(a)〜(c)を繰り返し実行し、次いで、i=m+1からnまで、前記ステップ(a)〜(c)を繰り返し実行することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ステップ(1)において、さらに、少なくとも1本の粘着テープを、上方から、前記1段目のロール状物品の列方向に当該列の一端から他端まで貼り渡すことによって、前記1段目のロール状物品同士を固定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ステップ(1)において、前記1段目のロール状物品を寝かせた状態で互いに隣接させて前記パレット上に平行に並べた後、さらに1本の付加的なロール状物品の外周に少なくとも1本の粘着テープの一端側をループ状に貼着し、前記付加的なロール状物品を、寝かせた状態で、最外側の前記1段目のロール状物品の外側に隣接させて並べ、前記粘着テープの他端側を、上方から、前記1段目のロール状物品の列方向に当該列の一端から他端まで貼り渡すことによって、前記付加的なロール状物品を前記1段目のロール状物品の列に固定し、その後、前記1段目のロール状物品および前記付加的なロール状物品の長手方向両端面のそれぞれにおいて、少なくとも1本の粘着テープを、前記1段目のロール状物品および前記付加的なロール状物品の列方向に当該列の一端から他端まで貼り渡すことによって、当該ロール状物品同士を固定することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記ステップ(2)(a)において、さらに、少なくとも1本の粘着テープを、上方から、前記i段目のロール状物品の列方向に当該列の一端から他端まで貼り渡すことによって、前記i段目のロール状物品同士を固定することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記ステップ(2)(a)において、前記(i−1)段目のロール状物品の列の上に前記i段目のロール状物品を互いに隣接させて平行に並べた後、さらに1本の付加的なロール状物品の外周に少なくとも1本の粘着テープの一端側をループ状に貼着し、前記付加的なロール状物品を、寝かせた状態で、最外側の前記i段目のロール状物品の外側に隣接させて並べ、前記粘着テープの他端側を、上方から、前記i段目のロール状物品の列方向に当該列の一端から他端まで貼り渡すことによって、前記付加的なロール状物品を前記i段目のロール状物品の列に固定し、その後、前記i段目のロール状物品および前記付加的なロール状物品の長手方向両端面のそれぞれにおいて、少なくとも1本の粘着テープを、前記i段目のロール状物品および前記付加的なロール状物品の列方向に当該列の一端から他端まで貼り渡すことによって、当該ロール状物品同士を固定することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
上段のロール状物品を、それぞれ、その直ぐ下段のロール状物品間の谷間に配置することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
上段のロール状物品を、それぞれ、その直ぐ下段のロール状物品の真上に配置した場合、前記上段のロール状物品の長手方向両端面のそれぞれにおいて、前記上段のロール状物品の列の最外側のロール状物品と、前記その直ぐ下段のロール状物品の列との間に、斜め方向に、少なくとも1本の粘着テープを貼り渡すことによって、前記最外側のロール状物品を前記その直ぐ下段のロール状物品の列に固定することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記ロール状物品を並べる前に、前記パレット上に、予め、滑り止めシートを配置することを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−192932(P2012−192932A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56148(P2011−56148)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(503324210)ユーケーサービス株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(503324210)ユーケーサービス株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
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