説明

ロール粉砕機及びロール粉砕システム

【課題】 簡単な構成によって粉砕処理の制御を容易にすると共に、粉砕作業における効率の向上を図る。
【解決手段】 被粉砕物を粉砕するための粉砕部21と、この粉砕部へ上記被粉砕物を供給するための供給部22と、この供給部で粉砕された被粉砕物を排出するための排出部23と、スクリューコンベア41とからなり、上記粉砕部は対向側に回転可能である粉砕ロール211と、粉砕ロールの上部に設けてある貯留部215とを備え、スクリューコンベア41は供給部22内のオーバーフローレベルに配置されており、供給室22内からオーバーフロー分の被粉砕物を上記供給室の一側壁に設けてある排出口側へ移送可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、廃タイヤのタイヤ片、ゴム片などの弾性部材を粉砕するためのロール粉砕機及びロール粉砕システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
被粉砕物を対向側に回転可能である粉砕ロールを用いて粉砕する粉砕機は、特許第2631151号公報、特開2002−326224号公報、特開2003−181312号公報、特開2003−47866号公報及び特開2006−176560号公報などによって提案されている。
例えば上記特開2006−176560号公報に記載の微粉砕ゴムの製法に用いるロール粉砕機において、公報図2に示すように前段の予備粉砕工程ではゴムチップを予備粉砕機で細粉砕ゴムに加工し、後段の微粉砕工程では微粉砕機によって微粉砕ゴムに仕上げるものであるが、必要に応じて微粉砕機は複数配置される。
【特許文献1】特許第2631151号特許公報
【特許文献2】特開2002−326224号公報
【特許文献3】特開2003−181312号公報
【特許文献4】特開2003−47866号公報
【特許文献5】特開2006−176560号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ロール粉砕機を例えば前段及び後段にそれぞれ配置して被粉砕物を処理する場合、各粉砕機の被粉砕物の貯留室内には被粉砕物を常に定量状態で粉砕処理できるようにするために、前段(上流)側の粉砕ロールの回転数を制御しているのが実情である。
換言すれば、複数のロール粉砕機を連動させる場合、前後のロール粉砕機の処理量が同等又はそれに近いものでないと、例えば前段に比べて後段の処理量が少ない場合、後段のロール粉砕機は被粉砕物で溢れてしまい、逆の場合には後段ロール粉砕機に被粉砕物がない状態になる。この課題を解決するために、粉砕ロールの回転速度を制御しているのが実情である。
しかしながら、ロール粉砕機の数が多くなればなるほど、処理のための制御が難しく、粉砕作業の効率化を妨げていた。
この発明の目的は、簡単な構成によって粉砕処理の制御を容易にすると共に、粉砕作業における効率の向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明の第1の特徴は、被粉砕物を粉砕するための粉砕部と、この粉砕部へ上記被粉砕物を供給するための供給部と、この供給部で粉砕された被粉砕物を排出するための排出部と、スクリューコンベアとからなるロール粉砕機にある。上記粉砕部は、対向側に回転可能である粉砕ロールと、粉砕ロールの上部に設けてある貯留部とを備えており、上記スクリューコンベアは上記供給部内のオーバーフローレベルに配置されており、上記供給室内からオーバーフロー分の被粉砕物を上記供給室の一側壁に設けてある排出口側へ移送可能である。
この発明の第2の特徴は、上記第1の特徴を前提とし、供給部には排出口と対向する側に被粉砕物の取り入れ口を設けてあることにある。
この発明の第3の特徴は、上記第1又は第2の特徴を前提とし、供給室内には、被粉砕物を撹拌するための撹拌パドルをスクリューコンベアの下方に設けていることにある。
【0005】
この発明の第4の特徴は、上流側のロール粉砕機と、下流側のロール粉砕機と、両ロール粉砕機間に亘って配置してあるオーバーフロー機構とを備えているロール粉砕システムにある。このロール粉砕システムにおいて、上記上流側及び下流側の各ロール粉砕機は、対向側に回転可能である粉砕ロールによって貯留部内の被粉砕物を粉砕するための粉砕部と、この粉砕部へ上記被粉砕物を供給するための供給部と、上記粉砕部で粉砕された被粉砕物を排出するための排出部とを備えており、上記上流側のロール粉砕機で粉砕された被粉砕物は排出部を通じて下流側のロール粉砕機へ排出するものであり、上記オーバーフロー機構は管状の移送通路と、スクリューコンベアとを備えており、上記移送通路は上記上流側及び下流側の両ロール粉砕機の供給部である供給室間を連結し、下流側開口が下流側のロール粉砕機の供給室に設けてある排出口に連なり、上流側開口が上記上流側のロール粉砕機の供給室に設けてある取り入れ口に連なり、上記スクリューコンベアは上記移送通路内を貫通し、上記供給部内のオーバーフローレベルに配置されており、上記下流側のロール粉砕機の供給室内からオーバーフロー分の被粉砕物を上記上流側のロール粉砕機の供給室へ移送可能である。
この発明の第5の特徴は、上記第4の特徴を前提とし、上流及び下流側の各ロール粉砕機の供給室内には、スクリューコンベアの下方に、被粉砕物を撹拌するための撹拌パドルを設けていることにある。
【0006】
この発明の第6の特徴は、上流側に位置している前段の第1ロール粉砕機と、下流側にそれぞれ位置している後段の第2ロール粉砕機及び第3ロール粉砕機と、隣接しているロール粉砕機間に亘って配置してあるオーバーフロー機構とを備えているロール粉砕システムにある。このロール粉砕システムにおいて、上記第1、第2及び第3の各ロール粉砕機は、対向側に回転可能である粉砕ロールによって貯留部内の被粉砕物を粉砕するための粉砕部と、この粉砕部に上記被粉砕物を供給するための供給部と、上記粉砕部で粉砕された被粉砕物を排出するための排出部とを備えており、上記第1ロール粉砕機で粉砕された被粉砕物は排出部を通じて第2ロール粉砕機へ排出し、上記第2ロール粉砕機で粉砕された被粉砕物は排出部を通じて上記第3ロール粉砕機に排出するものであり、上記オーバーフロー機構は管状の移送通路と、スクリューコンベアとを備えており、上記移送通路は上記第1ロール粉砕機の供給室と第2ロール粉砕機の供給室との間を、上記第2ロール粉砕機の供給室と第3ロール粉砕機の供給室との間をそれぞれ連結しており、上記スクリューコンベアは上記移送通路内を貫通して、第1、第2及び第3のロール粉砕機の供給室内に配置されており、上記スクリューコンベアは、少なくとも上記第2及び第3のロール粉砕機の各供給室内に配置されている部分がオーバーフローレベルにあり、上記第3ロール粉砕機の供給室内からオーバーフロー分の被粉砕物を上記第2ロール粉砕機の供給室へ、上記第2ロール粉砕機の供給室内からオーバーフロー分の被粉砕物を上記第1ロール粉砕機の供給室へ移送可能である。
この発明の第7の特徴は、上記第6の特徴を前提とし、第1、第2及び第3の各ロール粉砕機の供給室内には、スクリューコンベアの下方に、被粉砕物を撹拌するための撹拌パドルを設けていることにある。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、被粉砕物がスクリューコンベアのレベルに達すると、このスクリューコンベアによってオーバーフロー分の被粉砕物を排出又は上流側に戻すことが可能となるので、簡単な構成によって粉砕処理の制御を容易し、粉砕効率が向上し、またスクリューコンベアの下方の貯留部内は常に定量の被粉砕物が充填され貯留されることになるので、被粉砕物がゴムのような弾性部材である場合にはその自重で高効率の粉砕が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
この発明の実施の一形態について図面を参照して説明する。
図1〜図3において、ロール粉砕システムは、上流側に位置している前段の第1ロール粉砕機1、下流側にそれぞれ位置している後段の第2ロール粉砕機2及び第3ロール粉砕機3と、第1乃至第3のロール粉砕機に亘って配置してあるオーバーフロー機構4とを備えている。
廃ゴムチップなどのような弾性を有する被粉砕物M(図4)は、定量供給装置5から第1ロール粉砕機1、第2ロール粉砕機2及び第3ロール粉砕機3を経て仕上げ処理装置(図示せず。)に搬送され、また各ロール粉砕機間では後段側から前段側に向けてオーバーフロー機構4によってオーバーフロー分の被粉砕物が移送される。
【0009】
第1、第2及び第3のロール粉砕機1,2,3は、いずれも被粉砕物Mを粉砕するための粉砕部11,21,31と、粉砕部に上記被粉砕物を供給するための供給部12,22,32と、各粉砕部で粉砕された被粉砕物を排出するための排出部13,23,33とを備えている。
【0010】
まず、前段の第1ロール粉砕機1について、図1〜図6に基づいて説明する。
第1ロール粉砕機1における粉砕部11は、対向側に回転可能である粉砕ロールを備えており、この粉砕ロールは図5の例によれば、上段の対の粉砕ロール111と下段の対の粉砕ロール112とからなる上下2組のものである。上段の対の粉砕ロール111は、それぞれ駆動源を有しており、図示の例では駆動モータ113,114からの駆動力によって互いに対向方向に回転して粉砕ロール間で被粉砕物Mを粉砕する。同様に、下段の対の粉砕ロール112は、それぞれが対応している駆動源である駆動モータ(図示せず。)からの駆動力によって互いに対向方向に回転して粉砕ロール間で被粉砕物Mを粉砕する。
上下各段の粉砕ロール111,112の上部に被粉砕物の貯留部115,116を設けてある。また上段の粉砕ロール111と下段の粉砕ロール112との間には連結シュート117を配置してある。
第1ロール粉砕機1における供給部12は供給室で構成されている。供給室12内の下部には撹拌パドル121を配置してある。撹拌パドル121は、被粉砕物Mが微粉砕ゴムであれば、この微粉砕ゴムを常時撹拌することによって閉塞や凝集を防止して、供給室12の貯留部115内における微粉砕ゴムの堆積状態を維持し、連続かつ安定的な粉砕を可能にする。撹拌パドル121の駆動源は上段の対の粉砕ロール111における一方の駆動モータ113の駆動力を利用する。この駆動力は、伝達機構6(図6)を介して撹拌パドル121に伝達される。
伝達機構6は、図6に示すようにプーリー61,62、両プーリー間に掛け渡してあるベルト63及びテンション車64を備えている。一方のプーリー61は駆動モータ113の駆動軸に固着されており、他方のプーリー62は撹拌パドル121の回転軸に取り付けられている。テンション車64はベルト63の内側に配置され、水平方向の移動に伴ってベルトの張力を微調整可能である。
プーリー61は駆動モータ113の駆動に伴って回転するから、ベルト63及びテンション車64を介して撹拌パドル121が回転する。
図1及び図2に示すように第1ロール粉砕機1における排出部13は排出シュート131、ブロア132及び搬送路133を備えている。排出シュート131は下段の粉砕ロール112の下方に配置されており、粉砕処理された被粉砕物Mを搬送路133へ案内するためのものである。搬送路133は、第1ロール粉砕機1の下部から図1紙面に垂直方向に延伸され、第1ロール粉砕機の背面側において上方に立ち上がって隣接している第2ロール粉砕機2の上部に連なっている。第1ロール粉砕機1によって処理された被粉砕物Mは、ブロア132の風圧によって搬送路133を通じて第2ロール粉砕機2のサイクロン24に圧送される。
【0011】
第2ロール粉砕機2について、図1〜図3及び図7を参照して説明する。
第2ロール粉砕機2における粉砕部21、供給部22及び排出部23は、上記第1ロール粉砕機1における粉砕部11、供給部12及び排出部13と、実質的に同一であるので、相違点について説明し、共通点については必要に応じて説明する。
粉砕部21において、上段の対の粉砕ロール211及びその駆動源である駆動モータ213,214は、上記第1ロール粉砕機1における上段の対の粉砕ロール111及びその駆動源である駆動モータ113,114に対応している。また下段の対の粉砕ロール212は上記第1ロール粉砕機1における下段の対の粉砕ロール112に対応しているが、その径が粉砕ロール112のそれより大きい。図1に示す貯留部215,216は第1ロール粉砕機1における貯留部115,116にそれぞれ対応しているが、貯留部216の幅が貯留部116のそれより広い。
また、供給部である供給室22において、図1及び図7に示す撹拌パドル221は、第1ロール粉砕機1における撹拌パドル121に対応している。撹拌パドル221の駆動源は上記駆動モータ213の駆動力を利用する。この駆動力は、伝達機構26(図2)を介して撹拌パドル221に伝達される。伝達機構26は前記伝達機構6に対応している。
サイクロン24は、図1及び図7に示すように供給室22の上部に設けられている。
図7に示すように、サイクロン24は本体が円筒体で構成され、下部が二重の円錐部241a,241bとなっている。両円錐部241a,241bを上下に同心的に重ねて配置されている。サイクロン24の側部には搬送路133の端部を接続してある。サイクロン24の上部には、集塵管7の分岐管71が接続されている。242は分岐管71に設けてある開閉弁である。
さらに、図1に示す排出部23において、排出シュート231、ブロア232及び搬送路233は、上記第1ロール粉砕機1における排出シュート131、ブロア132及び搬送路133にそれぞれ対応している。搬送路233は、第3ロール粉砕機3の供給部である供給室32のサイクロン34に接続されている。
第2ロール粉砕機2では、搬送路133を通じて上記第1ロール粉砕機1で粉砕処理された被粉砕物Mがサイクロン24内に圧送されて、この被粉砕物が二重の円錐部241a,241bの存在によって真下に落下して供給室22に投入され、粉塵は分岐管71から集塵管7へ導かれる。
供給室22に投入された被粉砕物Mは、上段の対の粉砕ロール211で粉砕され、粉砕された被粉砕物が連結シュート217を通って下段の対の粉砕ロール212で粉砕される。
第2ロール粉砕機2によって処理された被粉砕物Mは、ブロア232の風圧によって搬送路233を通じて第3ロール粉砕機3に供給される。
【0012】
第3ロール粉砕機3について、図1〜図3及び図8を参照して説明する。
第3ロール粉砕機3における粉砕部31、供給部32及び排出部33は、上記第2ロール粉砕機2における粉砕部21、供給部22及び排出部23と、実質的に同一であるので、相違点について説明し、共通点については必要に応じて説明する。
粉砕部31において、粉砕手段は一組の粉砕ロール311から構成されている点で、上記第2ロール粉砕機とは相違している。対の粉砕ロール311は、第2ロール粉砕機2における上段の対の粉砕ロール211に相当している。ただし、対の粉砕ロール311の径は粉砕ロール211のそれより大きい。対の粉砕ロール311は、それぞれその駆動源である駆動モータ313,314によって対向側に回転可能である。図1及び図8に示す貯留部315は第2ロール粉砕機2における貯留部215に対応しているが、貯留部315の幅が貯留部215のそれより広い。
また、供給部32において、撹拌パドル321は、第2ロール粉砕機2における撹拌パドル221に対応している。撹拌パドル321の駆動源は上記駆動モータ313の駆動力を利用する。この駆動力は、伝達機構36(図2)を介して撹拌パドル321に伝達される。伝達機構36は前記伝達機構6に対応している。
第3ロール粉砕機3における供給室32の上部に設けてあるサイクロン34は、上記第2ロール粉砕機2のサイクロン24に対応しており、下部に設けてある円錐部341a,341bは上記円錐部241a,241bと同一構成である。サイクロン34の側部には搬送路233の端部を接続してある。サイクロン34の上部には、集塵管7の分岐管72が接続されている。342は分岐管72に設けてある開閉弁である。
さらに、排出部33において、排出シュート331、ブロア332及び搬送路333は、排出シュート231、ブロア232及び搬送路233にそれぞれ対応している。搬送路333は、図示していない仕上げ処理装置に接続されている。
第3ロール粉砕機3では、搬送路233を通じて上記第2ロール粉砕機2で粉砕処理された被粉砕物がサイクロン34内に圧送されて、この被粉砕物が二重の円錐部341a,341bの存在によって真下に落下して供給室32に投入され、粉塵は分岐管72から集塵管7へ導かれる。
供給室32に投入された被粉砕物Mは対の粉砕ロール311で粉砕され、粉砕された被粉砕物がシュートを通って排出部33のブロア332の風圧によって搬送路333を通じて仕上げ処理装置へ搬送される。
【0013】
オーバーフロー機構4について説明する。
図1、図4、図7及び図8に示すようにオーバーフロー機構4はその本体がスクリューコンベア41によって構成されている。スクリューコンベア41は、図1〜図3に示すように第1ロール粉砕機1、第2ロール粉砕機2及び第3ロール粉砕機3の各供給部12,22,32に亘って設けられている。スクリューコンベア41は、図7に示すようにスクリュー軸411と、被粉砕物Mを上流側(図左方)に移送するためのスクリュー412とからなる。スクリューコンベア41は、第1ロール粉砕機1、第2ロール粉砕機2及び第3ロール粉砕機3の各供給部12,22,32内に配置されていると共に、第1ロール粉砕機と第2ロール粉砕機との間に渡されている移送通路7a内を、また第2ロール粉砕機と第3ロール粉砕機との間に渡されている移送通路7b内を貫通している。スクリュー軸411の一端(図4左端)はこのスクリューコンベア41を回転駆動させるための駆動手段である駆動モータ413の駆動軸に接続されている。スクリュー軸411の他端(図8右端)は、第3ロール粉砕機3の供給部32の側壁に保持されている軸受414に支持されている。スクリュー軸411の中間部は図7に示すように第2ロール粉砕機2の供給部22内に設けてある軸受415に支持されている。
図4に示す第1ロール粉砕機1の供給室12において、下流側(図右側)の側壁に取り入れ口122を設けてあり、この取り入れ口に管状の移送通路7aの一端が接続されている。供給室12内に配置されているスクリューコンベア41は、スクリュー軸411にスクリュー412を設けていない切り欠き部416となっている。
図7に示す第2ロール粉砕機2の供給室22において、上流側(図左側)の側壁に排出口223を設けてあり、下流側(図右側)の側壁に取り入れ口222を設けてある。排出口223に移送通路7aの他端が、また取り入れ口222に管状の移送通路7bの一端がそれぞれ接続されている。供給室22内を横断しているスクリューコンベア41は、撹拌パドル221の上方であって、サイクロンの円錐部241bの下方に位置している。
図8に示す第3ロール粉砕機3の供給室32において、上流側(図左側)の側壁に排出口323を設けてあり、この排出口に移送通路7bの他端が接続されている。供給室32内を横断しているスクリューコンベア41は、撹拌パドル321の上方であって、サイクロンの円錐部341bの下方に位置している。
スクリューコンベア41は、第1乃至第3のロール粉砕機1,2,3の各供給室12,22,32内に延伸(配置)されている部分がオーバーフローレベルの位置に設定されている。
スクリューコンベア41は、第3ロール粉砕機3の供給室32内からオーバーフロー分の被粉砕物を第2ロール粉砕機の供給室22へ、また第2ロール粉砕機の供給室内からオーバーフロー分の被粉砕物を第1ロール粉砕機1の供給室12へ移送可能である。
【0014】
定量供給装置5を図1〜図3を参照して説明する。
定量供給装置5には、上部に被粉砕物、例えば廃タイヤのゴムチップを投入するためのホッパー51を設けてある。定量供給装置5の本体内部に対のプレスロール(図示せず。)を、プレスロールの下部に磁気選別装置52をそれぞれ設けてある。定量供給装置5から排出された被粉砕物を第1ロール粉砕機1に搬送するためのバケットコンベア53を起立してある。バケットコンベア53の上端部に接続されている傾斜しているシュート54の先端は第1ロール粉砕機1の供給室12に接続されている。
定量供給装置5は、プレスロールの回転数を調整しながら、常に第1ロール粉砕機1の供給室12内の被粉砕物が定量となるように第1ロール粉砕機1側に供給する。
【0015】
図1に示すロール粉砕システムによる被粉砕物Mの処理方法について説明する。
例えば廃タイヤのゴムチップなどの被粉砕物Mを定量供給装置5のホッパー51に投入し、対のプレスロールの回転数を調整しながらバケットコンベア53を通じて第1ロール粉砕機1の供給室12に供給する。
なお、定量供給装置5では被粉砕物Mに含まれる金属類を磁気選別装置52によって選別し排除する。
金属類が除かれた被粉砕物は、第1ロール粉砕機1の供給室12内において、図4及び図5に示すように撹拌パドル121によって撹拌されながら、貯留部115内に積層状態に貯留され、上段の対の粉砕ロール111によって粉砕され、粉砕された被粉砕物が下段の粉砕ロール112によってさらに粉砕されて、排出部13のブロア132の風圧によって搬送路133を通じて第2ロール粉砕機2のサイクロン24内に圧送される。
第2ロール粉砕機2に供給された被粉砕物は、サイクロン24の二重の円錐部241a,241bの存在によって真下に落下して供給室22に投入され、粉塵は分岐管71から集塵管7へ導かれる。供給室22内に落下した被粉砕物Mは図7に示すように撹拌パドル221によって撹拌されながら、貯留部215内に積層状態に貯留され、上下2組の粉砕ロール211,212によって上段から下段に向けて順次粉砕される。
下段の粉砕ロール212で粉砕された被粉砕物Mは、排出部23のブロア232の風圧によって搬送路233を通じて第3ロール粉砕機3のサイクロン34内に圧送される。
第3ロール粉砕機3のサイクロン34内に送られた被粉砕物Mは、二重の円錐部341a,341bの存在によって真下に落下して供給室32に投入され、粉塵は分岐管72から集塵管7へ導かれる。供給室32内に落下した被粉砕物Mは図8に示すように撹拌パドル321によって撹拌されながら、貯留部315内に積層状態に貯留され、粉砕ロール311によって粉砕される。
【0016】
第3ロール粉砕機3の供給室32内の被粉砕物Mがオーバーフローの状態になった場合、スクリューコンベア41は、供給室32内のオーバーフローレベルに位置しているので、その回転駆動によってオーバーフロー分の被粉砕物を第2ロール粉砕機2の供給室22へ移送する。換言すれば、オーバーフロー分の被粉砕物は、供給室32内から排出口323を介して移送通路7bを通じて第2ロール粉砕機2の供給室22の取り入れ口222から供給室内に移送され、貯留部315の貯留量が最適なものに調整される。
第2ロール粉砕機2の供給室22内の被粉砕物がオーバーフローの状態になった場合、スクリューコンベア41の回転駆動によってオーバーフロー分の被粉砕物を第1ロール粉砕機1の供給室12へ移送する。換言すれば、オーバーフロー分の被粉砕物は、供給室22内から排出口223を介して移送通路7aを通じて第1ロール粉砕機1の供給室12の取り入れ口122から供給室内に移送され、貯留部215の貯留量が最適なものに調整される。
第1ロール粉砕機1の供給室12内の被粉砕物がオーバーフローの状態になった場合、定量供給装置5の制御によってこの定量供給装置からの被粉砕物の供給量を調整する。
このように、特に、第2ロール粉砕機2の供給室22及び第3ロール粉砕機3の供給室32では、オーバーフロー機構4の移送及び撹拌パドル221,321の撹拌によって、の各貯留部215,315内の被粉砕物を常に最適な定量でかつ積層状態にしているので、円滑な安定した連続粉砕を行うために、第2及び第3ロール粉砕機における粉砕ロール211,212,311の回転数の制御(調整)をする必要がない。
【0017】
図1に示すロール粉砕システムによれば、第2ロール粉砕機2及び第3ロール粉砕機3にあっては、供給室22,32内における被粉砕物Mがオーバーフロー機構4のスクリューコンベア41のレベルに達すると、このスクリューコンベアによってオーバーフロー分の被粉砕物を上流側に戻すので、上流側の粉砕ロール111,112,211,212の回転制御をする必要がなく、粉砕効率が向上し、そしてスクリューコンベア41の下方の貯留部215,315内は常に定量の被粉砕物が充填され貯留しているので、被粉砕物がゴムのような弾性部材である場合にはその自重で高効率の粉砕が可能となる。
撹拌パドル121,221,321を用いているので、被粉砕物Mが微粉砕ゴムのような弾性部材にあっては、このような部材を常時撹拌することによって閉塞や凝集を防止して、供給室12,22,32内における部材の堆積状態を維持することができ、連続かつ安定的な粉砕に寄与する。
【0018】
図1では、上流側のロール粉砕機を単一の第1ロール粉砕機1、下流側のロール粉砕機を第2及び第3のロール粉砕機2,3の2基としているが、下流側を単一又は3基以上のロール粉砕機で構成しても良い。
粉砕部11,21における粉砕ロールは上下2組の粉砕ロールとし、粉砕部31における粉砕ロールは1組の粉砕ロールとしているが、組数は図示の例に限定されず、粉砕部11,21にあっては1組又は3組以上であっても良く、粉砕部31にあっては2組以上であっても良い。
撹拌パドルは、被粉砕物の種類によって必ずしも設置することを要しない。
被粉砕物には廃タイヤのタイヤ片の他に、例えばゴムなどの弾性部材が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明に係るロール粉砕システムを示す正面図であって、第1乃至第3のロール粉砕機の主要部を切欠している図である。
【図2】この発明に係るロール粉砕システムの外観を示す正面図であって、集塵管を省略している図である。
【図3】この発明に係るロール粉砕システムを示す平面図である。
【図4】この発明に係るロール粉砕システムにおける第1ロール粉砕機の主要部を示す拡大断面図である。
【図5】この発明に係るロール粉砕システムにおける第1ロール粉砕機を示す拡大断面図である。
【図6】この発明に係るロール粉砕システムにおける伝達機構を示す拡大正面図である。
【図7】この発明に係るロール粉砕システムにおける第2ロール粉砕機の主要部を示す一部切欠拡大正面図である。
【図8】この発明に係るロール粉砕システムにおける第3ロール粉砕機の主要部を示す一部切欠拡大正面図である。
【符号の説明】
【0020】
1 前段の第1ロール粉砕機(上流側のロール粉砕機)
2 後段の第2ロール粉砕機(下流側のロール粉砕機)
3 後段の第3ロール粉砕機(下流側のロール粉砕機)
4 オーバーフロー機構
5 定量供給装置
7a,7b 移送通路
11,21,31 粉砕部
12,22,32 供給部である供給室
13,23,33 排出部
41 スクリューコンベア
111,112 粉砕ロール
115,116 貯留部
121,221,321 撹拌パドル
122,222 取り入れ口
131,231,331 排出シュート
132,232,332 ブロア
133,233,333 搬送路
211,212 粉砕ロール
215,216 貯留部
223,323 排出口
311 粉砕ロール
315 貯留部
M 被粉砕物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被粉砕物を粉砕するための粉砕部と、この粉砕部へ上記被粉砕物を供給するための供給部と、この供給部で粉砕された被粉砕物を排出するための排出部と、スクリューコンベアとからなり、
上記粉砕部は、対向側に回転可能である粉砕ロールと、粉砕ロールの上部に設けてある貯留部とを備えており、
上記スクリューコンベアは上記供給部内のオーバーフローレベルに配置されており、上記供給室内からオーバーフロー分の被粉砕物を上記供給室の一側壁に設けてある排出口側へ移送可能である
ことを特徴とするロール粉砕機。
【請求項2】
供給部には、排出口と対向する側に被粉砕物の取り入れ口を設けてあることを特徴とする請求項1記載のロール粉砕機。
【請求項3】
供給室内には、被粉砕物を撹拌するための撹拌パドルをスクリューコンベアの下方に設けてあることを特徴とする請求項1または請求項2記載のロール粉砕機。
【請求項4】
上流側のロール粉砕機と、下流側のロール粉砕機と、両ロール粉砕機間に亘って配置してあるオーバーフロー機構とを備えており、
上記上流側及び下流側の各ロール粉砕機は、対向側に回転可能である粉砕ロールによって貯留部内の被粉砕物を粉砕するための粉砕部と、この粉砕部へ上記被粉砕物を供給するための供給部と、上記粉砕部で粉砕された被粉砕物を排出するための排出部とを備えており、
上記上流側のロール粉砕機で粉砕された被粉砕物は排出部を通じて下流側のロール粉砕機へ排出するものであり、
上記オーバーフロー機構は管状の移送通路と、スクリューコンベアとを備えており、
上記移送通路は上記上流側及び下流側の両ロール粉砕機の供給部である供給室間を連結し、下流側開口が下流側のロール粉砕機の供給室に設けてある排出口に連なり、上流側開口が上記上流側のロール粉砕機の供給室に設けてある取り入れ口に連なり、
上記スクリューコンベアは上記移送通路内を貫通し、上記供給部内のオーバーフローレベルに配置されており、上記下流側のロール粉砕機の供給室内からオーバーフロー分の被粉砕物を上記上流側のロール粉砕機の供給室へ移送可能である
ことを特徴とするロール粉砕システム。
【請求項5】
上流及び下流側の各ロール粉砕機の供給室内には、スクリューコンベアの下方に、被粉砕物を撹拌するための撹拌パドルを設けてあることを特徴とする請求項4記載のロール粉砕システム。
【請求項6】
上流側に位置している前段の第1ロール粉砕機と、下流側にそれぞれ位置している後段の第2ロール粉砕機及び第3ロール粉砕機と、隣接しているロール粉砕機間に亘って配置してあるオーバーフロー機構とを備えており、
上記第1、第2及び第3の各ロール粉砕機は、対向側に回転可能である粉砕ロールによって貯留部内の被粉砕物を粉砕するための粉砕部と、この粉砕部に上記被粉砕物を供給するための供給部と、上記粉砕部で粉砕された被粉砕物を排出するための排出部とを備えており、
上記第1ロール粉砕機で粉砕された被粉砕物は排出部を通じて第2ロール粉砕機へ排出し、上記第2ロール粉砕機で粉砕された被粉砕物は排出部を通じて上記第3ロール粉砕機に排出するものであり、
上記オーバーフロー機構は管状の移送通路と、スクリューコンベアとを備えており、
上記移送通路は、上記第1ロール粉砕機の供給室と第2ロール粉砕機の供給室との間を、上記第2ロール粉砕機の供給室と第3ロール粉砕機の供給室との間をそれぞれ連結しており、
上記スクリューコンベアは上記移送通路内を貫通して、第1、第2及び第3のロール粉砕機の供給室内に配置されており、
上記スクリューコンベアは、少なくとも上記第2及び第3のロール粉砕機の各供給室内に配置されている部分がオーバーフローレベルにあり、上記第3ロール粉砕機の供給室内からオーバーフロー分の被粉砕物を上記第2ロール粉砕機の供給室へ、上記第2ロール粉砕機の供給室内からオーバーフロー分の被粉砕物を上記第1ロール粉砕機の供給室へ移送可能である
ことを特徴とするロール粉砕システム。
【請求項7】
第1、第2及び第3の各ロール粉砕機の供給室内には、スクリューコンベアの下方に、被粉砕物を撹拌するための撹拌パドルを設けてあることを特徴とする請求項6記載のロール粉砕システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−86916(P2008−86916A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−270857(P2006−270857)
【出願日】平成18年10月2日(2006.10.2)
【出願人】(000182476)寿産業株式会社 (47)
【Fターム(参考)】