説明

ロール部材送りシステム

【課題】本発明は、紙類等の表裏が特定されたロール部材の当該表裏に応じた方向の送りを行わせるロール部材送りシステムに関し、元ロール部材の掛け合わせ違いによる歩留りの低下を防止することを目的とする。
【解決手段】製造指図書の送り方向情報をバーコードリーダ21で読み取り、元ロール紙24を巻取ローラ13に掛け合わせるときの当該元ロール紙24の回転方向を供給ローラ12の被検出体16より検出センサ15が検出し、当該読み取った送り方向情報と検出された回転方向とを照合して合致するか否かを判定し、照合の結果、送り方向情報と回転方向とが合致しないときに警報表示部23より報知する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙類等の表裏が特定されたロール部材の当該表裏に応じた方向の送りを行わせるロール部材送りシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、剥離自在な感圧接着剤により折り重ね形態としたハガキは、多量の情報や秘匿情報が記載可能であることから、普及拡大している。このようなハガキ等の製造においては、紙類の原反から折り込み製造まで歩留りの低下を回避する必要がある。
【0003】
例えば、上記のような折り重ね形態のハガキを作製する技術が以下の特許文献に提案されている。特許文献1には、その従来技術において、重ね合わせ葉書を、あらかじめ感圧性の接着剤が塗布されている重ね合わせ葉書用シートにプリンタで宛名情報、隠蔽情報等の通知情報を印字した後、各重ね合わせ紙片を重ね合わせてから圧力を付与して剥離可能に接着させて葉書化させることが示されている。
【0004】
上記のような葉書用シートは、例えば下記の特許文献2の図6に示されているように、マージナル部の伸びる方向に折り兼切り用ミシン目を介して多数連接された連続状態にあり、折り兼切り用ミシン目より折り畳まれているもので、剥離可能な感圧接着剤があらかじめ塗布されているものとして示されている(ここでは三つ折り形態として示されているが、二つ折り形態においても同様である)。
【0005】
そして、上記葉書用シートは、ロール状の原反に対し、一方面に上記感圧接着剤が塗布された後、作製するハガキの幅(二つ分の幅)及び搬送のためのマージナル部の幅に相当する幅に加工し、当該幅のロール原紙から上記特許文献2に記載されているような折り畳み連続シートとさせることが一般的である。
【0006】
【特許文献1】特開平10−272868号公報
【特許文献2】特開平10−35156号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、感圧接着剤を一方面に塗布されたロール状の原反から上記のように幅加工する際に、当該接着剤の塗布面を巻取ロールの内側とするか、外側とするかによってセットされた原反に対して巻き取りを順巻き又は逆巻きが決定され、これに応じて当該原反から巻取ロールまで掛け合わせが行われる。しかしながら、上記順巻き、逆巻きに対する掛け合わせは製造指図書にしたがって人手によって行われるが、錯誤等により掛け合わせが相違すると巻取方向が逆となることから、巻取ロールが不良品となって廃棄せざるを得ず、歩留りの低下を招くという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は上記課題に鑑みなされたもので、元ロール部材の掛け合わせ違いによる歩留りの低下を防止するロール部材送りシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1の発明では、元ロール部材から他の連続部材に加工する際に、当該元ロール部材の送り方向が製造指図書による順送り又は逆送りで決定され、当該送り方向に応じた当該ロール部材の掛け合わせが行われた後に、ロール部材送り手段によりロール部材の送りを行うロール部材送りシステムであって、前記製造指図書は前記送り方向の情報を備え、当該送り方向情報を読み取る情報読取手段と、前記元ロール部材を掛け合わせるときに、当該元ロール部材の回転方向を検出する検出手段と、前記製造指図書より読み取った送り方向情報と、前記検出された前記元ロール部材の回転方向とを照合して合致するか否かを判定する送り方向判定手段と、前記照合の結果、前記送り方向情報と前記回転方向とが合致しないときに報知する表示手段と、を有する構成とする。
【0010】
請求項2の発明では、前記ロール部材送り手段は、前記送り方向情報と前記回転方向とが合致しないときに送り駆動を拒否する構成である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、製造指図書の送り方向情報を読み取り、元ロール部材を掛け合わせるときの当該元ロール部材の回転方向を検出し、当該読み取った送り方向情報と検出された回転方向とを照合して合致するか否かを判定し、照合の結果、送り方向情報と回転方向とが合致しないときに報知する構成とすることにより、元ロール部材の掛け合わせ違いが報知されることから、掛け合わせ違いが防止されて歩留りの低下を防止することができるものである。
【0012】
請求項2の発明によれば、ロール部材の掛け合わせ違いのときに送り駆動を拒否させることにより、掛け合わせ違いの報知が伝達されず、又は無視された時においても送り駆動がなされないことから、不良品発生を確実に防止して歩留りの低下を防止することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の最良の実施形態を図により説明する。本実施形態では、ロール部材を折り込みハガキ、折り込み封緘体、容器等の原材料となるロール紙として説明するが、紙類の他にフィルム、不織布等であっても適用することができるものである。また、ここでは、元ロール部材の加工後の他の連続部材をロール部材として説明するが、上述の特許文献2に示されているような連続された折り畳み部材であってもよいものである。
【0014】
図1に、本発明に係るロール部材送りシステムの概念構成図を示す。図1において、ロール部材送りシステム11は、元ロール部材から他の連続部材に加工する際に、製造指図書によって順送り又は逆送りが決定され、当該送り方向に応じた当該ロール部材の掛け合わせが行われた後に、ロール部材送り手段によりロール部材の送りを行うものであって、供給ローラ12と巻取ローラ13との間に中間ローラ14が配置され、当該供給ローラ12の一端側に検出手段である回転方向検出センサ15が設けられる。
【0015】
上記回転方向検出センサ15は、第1センサ15A及び第2センサ15Bにより構成され、当該供給ローラ12の一端側に形成された被検出体(ここでは溝とする)16を検出するもので、それぞれの検出信号により供給ローラ12の回転方向が検出される。当該第1センサ15A及び第2センサ15Bとしては、例えば公知の近接センサ、反射式センサ等が採用される。また、上記巻取ローラ13の近傍には、例えば2つのスリッタ17が回転自在、上下動自在に配置される。
【0016】
一方、ロール部材送りシステム11は、本システムを統括制御する制御処理部18(図3で説明する)を備え、当該制御処理部18は、情報読取手段であるバーコードリーダ21、操作パネル22、表示手段である警報表示部23を備える。上記バーコードリーダ21は、後述の製造指図書に表示されている元ロール部材(元ロール紙)の送り方向の情報(ここではバーコードとする)を読み取るもので、図では一例としてハンディタイプのものとして表しているが、例えば、固定式のもので当該製造指図書をセットさせ、セット状態で自動的にバーコードを読み取ることとさせてもよい。なお、送り方向情報としては、バーコードに限らず、数字、アルファベットの配列等であってもよく、これに応じた読取手段を採用すれば足りる。
【0017】
上記操作パネル22は、例えば、開始、停止のスイッチが設けられる。また、上記警報表示部23は、上記製造指図書に表示されたバーコードより読み取った送り方向情報と、検出された供給ローラ12の回転方向とが合致しないときに報知するためのもので、ここでは、例えば警報表示灯や警報音を発生するスピーカ等が備えられる。
【0018】
そして、供給ローラ12に元ロール部材となる元ロール紙24がセットされる。この元ロール紙24は、例えば裏面に感圧接着剤等の接着剤が塗布されているものとする。供給ローラ12にセットされた元ロール紙24は、中間ローラ14を介して巻取ローラ13に掛け合わされた後、当該元ロール紙24の送りが行われる。すなわち、ここでは所定幅の元ロール紙24を2つのスリッタ17により切断加工されながら所望の幅の3つのロール紙25(25A,25B,25C)とされるものである。図では供給ローラ12と巻取ローラ13とが同方向に回転させるものとして順巻きで示してある。なお、供給ローラ12、巻取ローラ13及びスリッタ17は、例えばモータ等の駆動手段によって上記制御処理部18により回転や上下動が駆動制御されるものであるが、一般的な駆動機構であり、図示を省略する。
【0019】
ここで、図2に、図1におけるロール部材の送り方向特定の説明図を示す。図2において、上記製造指図書31は、製造に関する文字情報であって、少なくとも送り方向に関する文字情報が表示されると共に、当該送り方向情報がバーコード32に変換されて表示されるもので、これらの文字情報及びバーコード情報は、指図書作成システム33(例えばコンピュータの文書作成機能)により作成され、プリンタ34により出力されたものである。そして、当該製造指図書31のバーコード32が、上記バーコードリーダ21により読み取られて正規の送り方向が特定されるものである。
【0020】
続いて、図3に、図1の制御処理部のブロック構成図を示す。図3において、制御処理部18は、制御手段41、バス42、インタフェース(IF)43、回転方向判別手段44、読取解析手段45、照合判定手段46及び駆動制御手段47を適宜備える。少なくとも上記回転方向判別手段44、読取解析手段45及び照合判定手段46により送り方向判定手段を構成する。そして、制御手段41は、本システムを統括的に制御するものでそのためのプログラム等を備える。
【0021】
上記回転方向判別手段44は、上記第1センサ15A及び第2センサ15Bからの検出信号に基づいて供給ローラ12の回転方向(元ロール紙24の回転方向)を判別するものである。すなわち、元ロール紙24を掛け合わせる際、図1に示すように供給ローラ12が時計方向に回転することとなり、被検出体(溝)16を、まず第1センサ15Aが検出し、続いて第2センサ15Bが検出することとなることから、何れかのセンサが先に被検出体16を検出したか否かで回転方向が判別することができるものである。
【0022】
ところで、被検出体(溝)16が、第1センサ15A及び第2センサ15Bの中間に位置することもあり、この場合には時計方向の回転でも第2センサ15Bが先に検出されることとなるが、第2センサ15Bの検出から第1センサ15Aの検出まで約1回転に近い時間を要するものであることから、各センサ間の検出時間の差でフィルタリングしておけば正確な回転方向を判別することができるものである。
【0023】
上記読取解析手段45は、ここでは、バーコードリーダ21で読み取った製造指図書31のバーコード32から、送り方向の情報を解析するものであり、当該バーコードのパターンと当該パターンに応じた送り方向情報が関連付けられたテーブル等を備える。上記照合判定手段46は、上記第1センサ15A及び第2センサ15Bからの検出信号で判別した回転方向と上記解析した送り方向情報とを照合して合致するか否かを判定するもので、合致しないときには上記警報表示部23に報知のための信号を出力する。そして、上記駆動制御手段47は、上記図示しない供給ローラ12、巻取ローラ13及びスリッタ17の駆動手段を駆動する駆動制御信号を、上記制御手段41の命令に応じたタイミングで生成して出力するものである。
【0024】
次に、図4に図1のロール部材送り方向判定の処理フローチャートを示し、図5に図1のロール部材送り方向判定の説明図を示す。ここでは、図1に示すように、供給ローラ12及び巻取ローラ13が同方向に回転する順巻き(順送り)が正規のものとして説明する。図4において、まず、バーコードリーダ21が製造指図書31のバーコード32を読み取ることで送り方向の情報を取得し、読取解析手段45が正規の送り方向(順巻き)を特定する(ステップ(S1))。
【0025】
そこで、作業者が元ロール紙24を供給ローラ12にセットし、その先端を引きながら中間ローラ14を介して巻取ローラ13に掛け合わせすると、当該供給ローラ12が回転することで第1センサ15A及び第2センサ15Bが被検出体16を検出し、その検出信号が回転方向判別手段44に入力される(S2)。回転方向判別手段44では、第1センサ15A及び第2センサ15Bからの検出信号の入力時間差による元ロール紙24の送り方向(回転方向)が判別され、照合判定手段46において当該送り方向と、製造指図書31のバーコード32より取得した正規の送り方向の情報とを照合し、元ロール紙24のセットの正誤を判定する(S3)。
【0026】
すなわち、元ロール紙24のセットが、図5(A)に示すように正規のセット(図1の状態のセット)であれば、第1センサ15Aが被検出体16を先に検出し、直ちに第2センサ15Bが被検出体16を検出することで回転方向が時計方向であることを特定する。照合の結果(S4)、送り方向が合致し、作業者により操作パネル22の開始スイッチが押されることで(S5)、駆動制御手段47によってロール紙送りの上記各駆動機構を駆動させる(S6)。
【0027】
一方、元ロール紙24のセットが、図5(B)に示すように錯誤による逆のセットであれば、第2センサ15Bが被検出体16を先に検出し、直ちに第1センサ15Aが被検出体16を検出することで回転方向が反時計方向であることを特定する。照合の結果(S4)、送り方向が合致しないと当該照合判定手段46が警報表示部23に報知(警報表示灯の点灯、警報音の発生)を表示させるための報知信号を送出する(S7)。警報表示があることで、作業者に対して元ロール紙24のセットミスを確認させ、新たに正規のセットを促すものである。
【0028】
このように、元ロール紙24から巻取ローラ13までの掛け合わせ段階で、セットミスがあれば報知されることから、セットのやり直しが促されて最終的な掛け合わせ違いが防止され、結果的に不良品の発生を回避することができ、歩留りの低下を防止することができるものである。
【0029】
ところで、元ロール紙24のセットミスによる掛け合わせ違いが警報表示部23の報知によっても伝達されず、又は無視される場合もある。その場合に、駆動制御手段47において駆動制御信号を生成させずに送り駆動を拒否させることとすると、ロール紙送りがなされないこととなって不良品発生を確実に防止することができ、歩留りの低下を防止することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明のロール部材送りシステムは、折り込みハガキ、折り込み封緘体、容器等の原材料となるロール紙等のロール部材であって、表裏が特定されたロール部材の当該表裏に応じた方向の送りを行わせる製造システムに適する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係るロール部材送りシステムの概念構成図である。
【図2】図1におけるロール部材の送り方向特定の説明図である。
【図3】図1の制御処理部のブロック構成図である。
【図4】図1のロール部材送り方向判定の処理フローチャートである。
【図5】図1のロール部材送り方向判定の説明図である。
【符号の説明】
【0032】
11 ロール部材送りシステム
12 供給ローラ
13 巻取ローラ
15 回転方向検出センサ
16 被検出体
18 制御処理部
21 バーコードリーダ
23 警報表示部
24 元ロール紙
25 加工ロール紙
31 製造指図書
32 バーコード
44 回転方向判別手段
45 読取解析手段
46 照合判定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
元ロール部材から他の連続部材に加工する際に、当該元ロール部材の送り方向が製造指図書による順送り又は逆送りで決定され、当該送り方向に応じた当該ロール部材の掛け合わせが行われた後に、ロール部材送り手段によりロール部材の送りを行うロール部材送りシステムであって、
前記製造指図書は前記送り方向の情報を備え、当該送り方向情報を読み取る情報読取手段と、
前記元ロール部材を掛け合わせるときに、当該元ロール部材の回転方向を検出する検出手段と、
前記製造指図書より読み取った送り方向情報と、前記検出された前記元ロール部材の回転方向とを照合して合致するか否かを判定する送り方向判定手段と、
前記照合の結果、前記送り方向情報と前記回転方向とが合致しないときに報知する表示手段と、
を有することを特徴とするロール部材送りシステム。
【請求項2】
請求項1記載のロール部材送りシステムであって、前記ロール部材送り手段は、前記送り方向情報と前記回転方向とが合致しないときに送り駆動を拒否することを特徴とするロール部材送りシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−39179(P2007−39179A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−223735(P2005−223735)
【出願日】平成17年8月2日(2005.8.2)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】