説明

ロール

【課題】長期間に亘り、ロール部の形態安定化が維持されると共に、基材の不使用部分を減少させ、基材の有効活用を図ることにより、生産コストを抑えたロールを、安価にて提供する。
【解決手段】鋼板、非鉄金属板、樹脂板、あるいはフィルム状からなる被洗浄面に付着した水分、油分、あるいは薬品成分等の液体の除去、搾取、洗浄、及び前記被洗浄面に水分、油分、あるいは薬品成分等の液体を塗布する為のロール1において、前記ロール1はロール部2及び台座3を有し、前記ロール部2は前記台座3の外周面に形成されてあると共に、概円環状のロール片7と、平板状の部分構成片8a、8bを接合したロール部材4が積層されてあるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼板、非鉄金属板、樹脂板、あるいはフィルム状からなる被洗浄面に付着した水分、油分、あるいは薬品成分等の液体の除去、搾取、洗浄、及び前記被洗浄面に水分、油分、あるいは薬品成分等の液体を塗布する為のロールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
鋼板、非鉄金属板、樹脂板、あるいはフィルム状からなる被洗浄面に付着した水分、油分、あるいは薬品成分等の液体の除去、搾取、洗浄、及び前記被洗浄面に水分、油分、あるいは薬品成分等の液体を塗布する為のロールに関しては、さまざまな改良がなされ、例えば、不織布からなる平板状の基材から概円環状のロール片を抜き取り、複数の前記ロール片を、略円柱形状、あるいは略円筒形状の台座の外周面に積層すると共に、プレス機にて圧縮し、積層されたロール片の外周端面を切削加工、及び研磨加工してロール部が形成されたロールが、一般的に知られている。
【0003】
ところで、上記の如くのロール片を抜き取った後の基材、すなわち抜き取られたロール片の内側部分の一般的に中抜き材と呼ばれている部分の基材、あるいはロール片と中抜き材を抜き取った後の抜き穴を有する一般的に破材と呼ばれている部分の基材については、ほとんど使途が無く、廃棄処分されている。
【0004】
図8を用いて、従来のロールにおけるロール片の形成方法について詳述する。
【0005】
図8(a)は、従来のロールにおけるロール片及び中抜き材を抜き取る際の基材の平面図、図8(b)は、ロール片を前面側から見た斜視図、図8(c)は、中抜き材の平面図、図8(d)は、破材の平面図である。
【0006】
図8(a)、及び図8(b)において、概円環状のロール片47は、不織布からなる平板状の基材44からトムソン型、あるいはレーザーカッター等を用いて抜き取られる。ロール片47の内周等分2箇所に設けられた凹部41は、ロール片47が台座(図示せず)に積層される際、台座の外周等分2箇所に設けられたキー(図示せず)に勘合挿入され、ロール(図示せず)の回転中にロール片47の位置ずれを防止する目的で形成されている。
【0007】
そして、ロール片47を抜き取った後には、図8(c)の如く、抜き取られたロール片47の内側部分の基材44からなる中抜き材45と、図8(d)の如く、ロール片47と中抜き材45を抜き取った後の抜き穴46を有する基材44からなる破材48が残る。しかしながら、中抜き材45、及び破材48については、ほとんど使途が無く、廃棄処分されている。しかも、ロール片47の外径、あるいは内径にもよるが、ロール片47として有効活用される基材44の体積比率は約30〜45%であるのにたいして、有効活用の使途がほとんど無く廃棄処分される基材44、すなわち中抜き材45、及び破材48の体積比率は約55〜70%である。前記の如く、従来のロールにおいては、有効活用の使途がほとんど無い基材44の体積比率が、有効活用される基材44の体積比率を上回る為、ロールの生産コストの上昇につながるという問題があった。
【0008】
上記問題を解決するために、ロール素材よりロール構成用の部分構成片を作成し、この部分構成片を数枚連設してなる円環状集成要素と、この円環状集成要素を多数枚積層処理して構成するロール本体と、このロール本体が套嵌される軸本体とで構成された連設する集成要素よりなる軸方向積層構造ロール(例えば、特許文献1)が考案されている。
【0009】
また、ロール軸の周面に、複数枚の円弧状シート状物を該ロール軸を中心として位相をずらしながら、重ね合わせて螺旋状に巻回した後、該複数枚の円弧状シート状物を該ロール軸方向に圧縮することを特徴とする円筒状ロールの製造方法(例えば、特許文献2)がある。
【0010】
【特許文献1】特許第3610472号
【特許文献2】特開2004−345016号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1の軸方向積層構造ロールは、ロール本体がロール素材より抜き取られた複数枚の部分構成片を連設してなる円環状集成要素を、多数枚積層処理して構成されている為、ロール素材の有効活用を図ることはできる。しかしながら、円環状集成要素は、複数枚の部分構成片を順次、接合して形成していくので、円環状集成要素を真円に形成することは難しく、円環状集成要素の形状品質を保持することは極めて困難である。すなわち、円環状集成要素の外周面、及び内周面は楕円状に変形して形成されやすい。前記の如くの円環状集成要素を軸本体に積層した場合、円環状集成要素の内周面と、軸本体の外周面の間に隙間が生じ、ロール本体の回転に伴い、軸本体から円環状集成要素の位置ずれが発生する。その為、ロール本体の表面が凹凸に変形するので、長期間に亘り、ロール本体の形態安定化を図ることが難しいという課題を有していた。
【0012】
また、特許文献2の円筒状ロールの製造方法においては、円筒状ロールは、複数枚の円弧状シート状物を、ロール軸を中心として位相をずらしながら、重ね合わせて螺旋状に巻回して形成されている為、不織布製のシート状物の有効活用を図ることはできる。しかしながら、円筒状ロールは、ロール軸の周りに、複数枚の円弧状シート状物を螺旋状に巻回して形成されているのみなので、円筒状ロールの回転に伴い、円弧状シート状物がロール軸から脱落しやすく、長期間に亘り、円筒状ロールの形態安定化を維持することが難しいという課題を有していた。
【0013】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、長期間に亘り、ロール部の形態安定化が維持されると共に、基材の不使用部分を減少させ、基材の有効活用を図ることにより、生産コストを抑えたロールを、安価にて提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記従来の課題を解決する為に、請求項1の発明のロールは、鋼板、非鉄金属板、樹脂板、あるいはフィルム状からなる被洗浄面に付着した水分、油分、あるいは薬品成分等の液体の除去、搾取、洗浄、及び前記被洗浄面に水分、油分、あるいは薬品成分等の液体を塗布する為のロールにおいて、前記ロールはロール部及び台座を有し、前記ロール部は前記台座の外周面に形成されてあると共に、概円環状のロール片と、平板状の部分構成片を接合したロール部材が積層されてあるもので、ロール部材は、概円環状にて形成されてある為、ロール部材が台座に積層されても、ロール部材の内周面と、台座の外周面の間に隙間が生じることは無く、ロールの回転中においても、ロール部材が台座から位置ずれすることが抑制される。さらに、ロール部材は、概円環状のロール片にたいして、平板状の部分構成片が接合されて形成されてあるので、ロールの回転中においても、部分構成片が台座から脱落することが無い。その為、ロール部の表面は凹凸になることが無いので、長期間に亘り、ロール部の形態安定化が図られる。
【0015】
また、部分構成片は、ロール片を抜き取った後の中抜き材、破材、あるいは他の基材等から抜き取って形成することができるので、基材の有効活用が促進される。その為、基材の不使用部分が減少し、ロールの生産コストの抑制につながることから、安価にてロールを提供することが可能となる。
【0016】
請求項2の発明のロールは、特に、請求項1の発明のロールにおいて、ロール部材は部分構成片の外周端面を、ロール片の外周端面と一致させたもので、ロール片と部分構成片の外周端面が略同一に一致していることから、ロールの製作時において、台座の外周面に積層されたロール部材の外周端面を切削加工、及び研磨加工する作業が極めて容易にはかどり、作業性が向上する。
【0017】
請求項3の発明のロールは、特に、請求項1の発明のロールにおいて、ロール部材は部分構成片の外周端面を、ロール片の外周端面より小に設定したもので、ロール部材を構成する部分構成片の使用体積を、請求項2の発明のロールに比べて減少させることができる為、ロールの生産コストの大幅な削減につながる。また、ロール部の表面部は、芯部に比べて柔らかくなるので、ロールの弾力性が向上し、ロール部と被洗浄面との接触面積が広がる。また、ロール部の芯部の硬度を高く設定した場合においても、表面部の硬度を低くできる為、ロール部は位置ずれが発生することが無く、ロールは高い耐久性を維持することができる。
【0018】
請求項4の発明のロールは、特に、請求項1の発明のロールにおいて、ロール部材は部分構成片の外周端面を、ロール片の外周端面より大に設定したもので、ロール部材を構成するロール片の使用体積を、請求項2の発明のロールに比べて減少させることができる為、ロールの生産コストの大幅な削減につながる。また、ロール部の表面部は、芯部に比べて柔らかくなるので、ロールの弾力性が向上し、ロール部と被洗浄面との接触面積が広がる。また、ロール部の芯部の硬度を高く設定した場合においても、表面部の硬度を低くできる為、ロール部は位置ずれが発生することが無く、ロールは高い耐久性を維持することができる。
【0019】
請求項5の発明のロールは、特に、請求項1から4の発明のロールにおいて、ロール片と部分構成片が異なる材質からなるもので、例えば、人工皮革等のコストの高い基材と不織布等のコストの安い基材、不織布、織布、編物等の洗浄性能に優れた基材と人工皮革、合成皮革等の弾力性に優れた基材、エラストマーシート等の柔軟性に優れた基材と人工皮革等の耐摩耗性に優れた基材等、さまざまな異なる資質を有する材質を組み合わせることにより、ロールの生産コストの飛躍的な削減、あるいはロールの各種性能の飛躍的な向上につながる。
【発明の効果】
【0020】
請求項1の発明のロールは、ロール部の表面が凹凸になることが無く、長期間に亘り、ロール部の形態安定化が維持されると共に、基材の有効活用が促進され、ロールの生産コストを抑えて安価にてロールを提供することができる。
【0021】
請求項2の発明のロールは、ロールの製作時において、台座の外周面に積層されたロール部材の外周端面を切削加工、及び研磨加工する作業が極めて容易にはかどり、作業性が向上するので、ロールの生産コストを、一層抑えることができる。
【0022】
請求項3の発明のロールは、請求項2の発明のロールに比べて部分構成片の使用体積を減少させることができる為、ロールの生産コストを、大幅に抑えることができる。また、ロール部の表面部は、芯部に比べて柔らかくなるので、ロールの弾力性が向上し、ロール部と被洗浄面との接触面積が広がる為、効率的に被洗浄面に付着した水分、油分、あるいは薬品成分等の液体の除去、搾取、洗浄、及び被洗浄面に水分、油分、あるいは薬品成分等の液体を塗布することが可能となる。
【0023】
請求項4の発明のロールは、請求項2の発明のロールに比べてロール片の使用体積を減少させることができる為、ロールの生産コストを、大幅に抑えることができる。また、ロール部の表面部は、芯部に比べて柔らかくなるので、ロールの弾力性が向上し、ロール部と被洗浄面との接触面積が広がる為、効率的に被洗浄面に付着した水分、油分、あるいは薬品成分等の液体の除去、搾取、洗浄、及び被洗浄面に水分、油分、あるいは薬品成分等の液体を塗布することが可能となる。
【0024】
請求項5の発明のロールは、さまざまな異なる資質を有する材質を組み合わせることにより、ロールの生産コストの飛躍的な削減、あるいはロールの各種性能の飛躍的な向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0026】
(実施例1)
図1は、本発明の第1の実施例におけるロールの正面図、図2(a)は、図1のA−A断面図、図2(b)は、ロール部材を前面側から見た斜視図、図3(a)は、ロール片及び中抜き材を抜き取る際の基材の平面図、図3(b)は、部分構成片を中抜き材から抜き取る際の平面図、図3(c)は、部分構成片を破材から抜き取る際の平面図、図3(d)は、部分構成片を他の基材から抜き取る際の平面図、図4(a)は、ロール部材の平面図、図4(b)は、図4(a)のB−B断面図、図4(c)は、第1の実施例における他の形態のロール部材の平面図、図4(d)は、第1の実施例における他の形態のロール部材の平面図、図5(a)は、第1の実施例における他の形態のロール部材の平面図、図5(b)は、第1の実施例における他の形態のロール部材の平面図、図5(c)は、積層ロール部材の平面図、図5(d)は、図5(c)のC−C線における部分断面図である。
【0027】
図1、及び図2(a)において、ロール1は、台座3、止め金具5、プレート6、及び複数のロール部材4から形成されたロール部2より構成されてある。台座3は、鉄等の金属材料からなる略円柱形状であり、外周面にロール部2が形成されてある。また、ロール部2は、ロール片7と四半の部分構成片8a、8bが縫製による接合部9を介して形成された複数のロール部材4が重ね合わされ、積層して形成されてあり、両側から止め金具5、及びプレート6にて挟み付けられて装着されてある。止め金具5には、スナップリングが使用されてある。なお、ロール部2は、ロール1に使用する総数のロール部材4より形成されてある。台座3の外周等分2箇所に設けられたキー10は、概四角形断面を有する鉄等の金属材料であり、溶接、ネジ止め等の方法を用いて、台座3の外周面に固定されてある。
【0028】
なお、台座3は、略円筒形状の形態も採用できる。また、キー10は、使用目的に応じて、台座3の外周面にたいして、等分3箇所、等分4箇所等設けても構わない。
【0029】
図2(b)において、一片のロール部材4は、概円環状に形成された一片のロール片7にたいして、平板状の概扇形状に形成された四半の部分構成片8a、8bを4枚重ね合わせると共に、縫製による接合部9を介して、ロール片7と部分構成片8a、8bを接合して形成されてある。ロール部材4の中心部には穴部12が形成され、外周部にはロール片7の外周端面13a、及び部分構成片8a、8bの外周端面13bが形成されてある。ロール片7の内周等分2箇所には、凹部11aが形成されてあり、4枚の四半の部分構成片8a、8bの内、2枚の部分構成片8bには、凹部11bが形成されてある。ロール片7の有する凹部11aと、部分構成片8bの有する凹部11bは、概四角形の略同一形状、且つ略同一寸法である。ロール片7の有する凹部11aと略一致するように、部分構成片8bの有する凹部11bが配置される。なお、部分構成片8a、8bは、四半以外の形状も採用できる。
【0030】
そして、ロール部材4が、台座3の外周面に積層される際、穴部12を台座3にたいして貫通させると共に、凹部11a、11bは、図2(a)の如く、台座3の外周等分2箇所に設けられたキー10に勘合挿入される。凹部11a、11bを、キー10に勘合挿入することにより、ロール部材4は、ロール1の回転中に位置ずれすることが防止される。
【0031】
次に、図3、図4(a)、及び図4(b)を用いて、ロール1の製作方法について説明する。
【0032】
最初に、図3(a)の如く、平板状の不織布からなる基材14aを、トムソン型、あるいはレーザーカッター等を用いて、2箇所の凹部11aを有する概円環状のロール片7、及びロール片7の内側部分の中抜き材15を抜き取る。次に、図3(b)の如く、基材14aからなる中抜き材15と、図3(c)の如く、ロール片7と中抜き材15を抜き取った後の抜き穴16を有する基材14aからなる破材18より、トムソン型、あるいはレーザーカッター等を用いて、複数の四半の部分構成片8a、8bを抜き取る。
【0033】
なお、生産性を向上させる為、トムソン型、あるいはレーザーカッター等を用いて、基材14aからロール片7、及び部分構成片8a、8bを同時に抜き取ってもよい。また、複数枚の基材14aを重ね合わせて、ロール片7、及び部分構成片8a、8bを抜き取ることもできる。
【0034】
また、図3(d)の如く、基材14aと同一の材質の不織布からなる他の基材14bから複数の部分構成片8a、8bを、トムソン型、あるいはレーザーカッター等を用いて抜き取っても構わない。
【0035】
上記の如くに形成されたロール片7と、四半の部分構成片8a、8bは、図4(a)の如く、ロール片7の凹部11aと略一致するように、部分構成片8bの凹部11bが配置されると共に、凹部11bを有する部分構成片8bの側縁部に、凹部11bが形成されていない部分構成片8aの側縁部が接するようにして、ロール片7に重ね合わされる。次に、部分構成片8a、8bの側縁部近傍を、縫製による接合部9を介して、ロール片7と部分構成片8a、8bを接合して、概円環状のロール部材4が形成される。
【0036】
なお、縫製による接合部9の形成状態は、特に限定されるものではなく、上記の如くの部分構成片8a、8bの側縁部近傍を縫い合わせる形態以外にも、例えば、重ね合わされたロール片7と部分構成片8a、8bの内周部近傍を、円を描くように縫い合わせてもよいし、ロール片7に重ね合わされ、互いに接している部分構成片8aの側縁部と部分構成片8bの側縁部を跨ぐように縫い合わせてもよい。
【0037】
また、接合部9の形成方法は、上記縫製以外にも、ネジ止め、リベット止め、ホッチキス等の物理的接合方法、あるいは接着、溶着、圧着等の化学的接合方法を用いることもできる。
【0038】
ロール部材4は、図4(a)、及び図4(b)の如く、ロール片7の外周端面13aと、部分構成片8a、8bの外周端面13bが一致していると共に、内周端面も一致するよう形成されている。
【0039】
次に、概円環状に形成されたロール部材4を複数重ね合わせて、穴部12を台座3にたいして貫通させると共に、凹部11a、11bを、台座3の外周等分2箇所に設けられたキー10に勘合挿入する。そして、台座3の長手方向からプレス機にて所定長さだけ圧縮させた後、止め金具5、及びプレート6にて挟み付けて固定する。次に、所定時間放置することにより、重ね合わせた複数のロール部材4の内部応力を均一化させ、外周端面13a、13bを切削加工、及び研磨加工し、台座3の外周面上にロール部2を形成して、ロール1が製作される。なお、キー10が装着されていない台座3を用いることもでき、その際には、ロール片7、及び部分構成片8bに凹部11a、11bを形成する必要はない。
【0040】
ロール部材4は、上記の如く、外周端面13a、13bが切削加工、及び研磨加工されるので、縫製により接合部9を形成する場合には、外周端面13a、13bが切削加工、及び研磨加工されても、縫製糸がロール部2の表面に出ないよう縫製することが望ましい。
【0041】
また、ロール部2は、ロール部材4のみで構成する形態以外にも、概円環状のロール部材4と、概円環状のロール片7を組み合わせ、積層させて形成しても構わない。
【0042】
また、基材14a、14bは、不織布以外にも、人工皮革等を用いることができる。
【0043】
次に、図4(c)、図4(d)、及び図5を用いて、第1の実施例のロールにおける他の形態のロール部材について説明する。
【0044】
図4(c)において、ロール部材4aは、内周等分2箇所に凹部11aを有する概円環状のロール片7にたいして、4枚の凹部11bを有する四半の部分構成片8bが重ね合わされると共に、縫製による接合部9を介して、ロール片7と部分構成片8bを接合して形成されてある。ロール片7の凹部11aと略一致するように、2枚の部分構成片8bの凹部11bが配置されると共に、部分構成片8bの側縁部に、同一形状の他の部分構成片8bの側縁部が接するようにして、ロール片7に重ね合わされている。
【0045】
ロール部材4aは、使用される部分構成片8bが1種類のみなので、特に、トムソン型を用いて、中抜き材15、破材18、あるいは他の基材14bから部分構成片8bを抜き取る際、複数種類のトムソン型を製作する必要がないことから、製作コストが削減される。
【0046】
図4(d)において、ロール部材4bは、内周等分2箇所に凹部11aを有する概円環状のロール片7にたいして、平板状の四半の部分構成片8cが、4枚重ね合わされると共に、縫製による接合部9aを介して、ロール片7と部分構成片8cを接合して形成されてある。部分構成片8cの外周端面は、ロール片7の外周端面13aと一致しているが、内周端面は、ロール片7の有する凹部11aの高さと略一致するように形成されている。
【0047】
ロール部材4bは、使用される部分構成片8cが1種類のみなので、特に、トムソン型を用いて、中抜き材15、破材18、あるいは他の基材14bから部分構成片8cを抜き取る際、複数種類のトムソン型を製作する必要がない。また、部分構成片8cには、凹部が形成されていないので、ロール片7と部分構成片8cを重ね合わせる時、ロール部材4、4aの如く、ロール片7に形成された凹部11aと略一致するように、部分構成片8bの有する凹部11bを配置する必要がない。その為、ロール部材4bを製作する際の作業性が大幅に向上する。
【0048】
さらに、部分構成片8cの使用体積は、前記部分構成片8a、8bに比べて少ないので、生産コストを抑制することができる。
【0049】
また、部分構成片8cは、ロール片7が抜き取られていない他の基材14bから、外径がロール片7の外径と略同一で、内径がロール片7の有する凹部11aの高さに略同一、あるいは凹部11aの高さより大となるよう概円環状に形成し、ロール片7と重ね合わせて接合して、ロール部材4bを形成することもできる。
【0050】
図5(a)において、ロール部材4cは、内周等分2箇所に凹部11aを有する概円環状のロール片7にたいして、2枚の四半の部分構成片8a、8bが重ね合わされると共に、縫製による接合部9を介して、ロール片7と部分構成片8a、8bが接合されてある。凹部11bを有する部分構成片8bは、ロール片7の一方の凹部11aと略一致するように、凹部11bが配置され、部分構成片8bの一方の側縁部に、凹部11bが形成されていない部分構成片8aの一方の側縁部が接するようにして、ロール片7に重ね合わされ、接合部9を介して、ロール片7と2枚の部分構成片8a、8bが接合され、ロール部材4cが形成されている。
【0051】
また、図5(b)において、ロール部材4dは、内周等分2箇所に凹部11aを有する概円環状のロール片7にたいして、2枚の四半の部分構成片8a、8bが重ね合わされると共に、縫製による接合部9を介して、ロール片7と部分構成片8a、8bが接合されてある。凹部11bを有する部分構成片8bは、ロール片7の一方の凹部11aと略一致するように、凹部11bが配置され、部分構成片8bの一方の側縁部に、凹部11bが形成されていない部分構成片8aの一方の側縁部が接するようにして、ロール片7に重ね合わされ、接合部9を介して、ロール片7と2枚の部分構成片8a、8bが接合され、ロール部材4dが形成されている。
【0052】
ロール部材4cとロール部材4dは、図5(a)、及び図5(b)の如く、同一平面状に並べて見た場合、ロール部材4cを構成する部分構成片8bと、ロール部材4dを構成する部分構成片8bは、ロール片7の有する2箇所の凹部11aにたいして、異なる部位の凹部11aと略一致するように、部分構成片8bの有する凹部11bが配置されて形成されている。一方、凹部11bが形成されていない部分構成片8aは、ロール部材4c、ロール部材4d共に、ロール片7の同一の部位に形成されている。
【0053】
次に、ロール部材4dを反転させて、ロール部材4cに重ね合わせる。その際、図5(c)の如く、ロール部材4cの有する一方の凹部11a、11bとロール部材4dの有する一方の凹部11a、及びロール部材4cの有する他方の凹部11aとロール部材4dの有する他方の凹部11a、11bが、互いに略一致するように、ロール部材4cとロール部材4dを重ね合わせ、積層ロール部材17を形成する。
【0054】
さらに、積層ロール部材17は、図5(c)、及び図5(d)の如く、ロール部材4cを構成する2枚の部分構成片8a、8bの内、互いに接していない側縁部と、ロール部材4dを構成する2枚の部分構成片8a、8bの内、互いに接していない側縁部とが、互いに接するように重ね合わされ、形成されている。
【0055】
積層ロール部材17は、ロール部材4c、4dを構成するロール片7の外径、あるいは内径にもよるが、図3の如く、破材18から部分構成片8a、8bを抜き取ることができず、中抜き材15から2枚の四半の部分構成片8a、8bしか抜き取れない場合においては、有効に活用できる形態である。すなわち、ロール片7を抜き取っていない他の基材14bを用いること無く、基材14aのみからロール片7を抜き取ると共に、中抜き材15からロール部材4c、4dを構成するのに必要な2枚の部分構成片8a、8bを抜き取り、ロール部材4c、4dを形成することができるので、基材14aの有効活用を一層促進することができる。
【0056】
次に、本発明の第1の実施例におけるロール1のロール部2の形態安定性能について、下記要領にて試験した。
【0057】
最初に、不織布からなる基材14aから外径が130mm、内径が50mmで、内周等分2箇所に幅が16mm、高さが5mmの凹部11aを有するロール片7を複数、抜き取った。次に、破材18、基材14aと同一の材質の不織布からなる他の基材14bから複数の四半の部分構成片8a、8bを抜き取った。部分構成片8bには、ロール片7と略同一形状、且つ略同一寸法の凹部11bが形成されてある。次いで、ロール片7にたいして、4枚の部分構成片8a、8bを重ね合わせ、部分構成片8a、8bの側縁部近傍を、ポリエステル繊維を用いて、縫製による接合部9を介して、ロール片7と部分構成片8a、8bを接合し、ロール部材4を形成した。そして、複数のロール部材4を、外周等分2箇所に幅が16mm、高さが5mmの概四角形断面を有するキー10が装着された略円柱形状の台座3に積層し、ロール部材4の外周端面13a、13bを10mm切削加工、及び研磨加工して、外径が120mm、内径が50mm、全長が190mmのロール部2を有する試験用のロール1を1本製作した。なお、ロール部2の硬度は83°に設定した。硬度は、JISK6253加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの硬さ試験方法に記載のデュロメータ硬さ試験により測定した硬度である。
【0058】
次に、外径が117mmで、外周等分2箇所に幅が25mm、高さが1.5mm、長さが190mmの鉄製の平行キーを装着した鉄からなる略円筒形状のワークロールを1本用意した。そして、試験用のロール1が上部、ワークロールが下部となるように、回転試験機に上下一対でロール1とワークロールを設置した。次に、ワークロールにスギムラ化学工業製の洗浄油プレトンR−303Pを、毎分6リットルにて散布すると共に、270rpmにて回転させ、ロール1に線圧8.3kgf/cmの圧力を加えてワークロールに押し付け、50時間に亘り、回転させた。
【0059】
50時間後のロール1に形成されたロール部2の表面の凹凸状態、及び部分構成片8a、8bの台座3からの脱落状態を目視観察した。なお、本試験においては、ワークロールに装着された鉄製の平行キーが1回、ロール部2に当接すると、鋼板1枚がロール部2に当接したものとカウントする。従って、ワークロールには等分2箇所に平行キーが装着されてあるので、ワークロールが1回転すると、2枚の鋼板がロール部2に当接したことになる。ワークロールは270rpmで回転しているので、1分間では540枚の鋼板がロール部2に当接したことになり、50時間では1620000枚の鋼板がロール部2に当接したことに相当する。
【0060】
上記試験の結果、ロール部2の表面は凹凸になっておらず、ロール部材4の台座3からの位置ずれは発生しなかった。また、部分構成片8a、8bの台座3からの脱落も見受けられず、本発明のロール1は、長期間に亘り、ロール部2の形態安定化が維持される非常に優れたものであることが判明した。
【0061】
上記の如く、構成されたロール1の動作、作用は下記の通りである。
【0062】
ロール1は、ロール部2、及び台座3を有し、ロール部2は、台座3の外周面に形成されてあると共に、概円環状のロール片7と、平板状の部分構成片8a、8b、8cを接合したロール部材4、4a、4b、4c、4dが積層されてあるので、ロール部材4、4a、4b、4c、4dは、概円環状にて形成されてあり、ロール部材4、4a、4b、4c、4dが台座3に積層されても、ロール部材4、4a、4b、4c、4dの内周面と、台座3の外周面の間に隙間が生じることは無く、ロール1の回転中においても、ロール部材4、4a、4b、4c、4dが台座3から位置ずれすることが抑制される。さらに、ロール部材4、4a、4b、4c、4dは、概円環状のロール片7にたいして、平板状の部分構成片8a、8b、8cが接合されて形成されてあるので、ロール1の回転中においても、部分構成片8a、8b、8cが台座3から脱落することが無い。その為、ロール部2の表面は凹凸になることが無いので、長期間に亘り、ロール部2の形態安定化が図られる。
【0063】
また、部分構成片8a、8b、8cは、ロール片7を抜き取った後の中抜き材15、破材18、あるいは他の基材14bから抜き取って形成することができるので、基材14a、14bの有効活用が促進される。その為、基材14a、14bの不使用部分が減少し、ロール1の生産コストの抑制につながることから、安価にてロール1を提供することが可能である。
【0064】
さらに、ロール部材4、4a、4b、4c、4dは、部分構成片8a、8b、8cの外周端面13bを、ロール片7の外周端面13aと一致させてあるので、ロール片7と部分構成片の外周端面8a、8b、8cが略同一に一致していることから、ロール1の製作時において、台座3の外周面に積層されたロール部材4、4a、4b、4c、4dの外周端面13a、13bを切削加工、及び研磨加工する作業が極めて容易にはかどり、作業性が向上する。その為、ロール1の生産コストを、一層抑えることができる。
【0065】
(実施例2)
図6(a)は、本発明の第2の実施例におけるロールに用いられるロール部材の平面図、図6(b)は、図6(a)のD−D断面図、図6(c)は、第2の実施例における他の形態のロール部材の平面図、図6(d)は、図6(c)のE−E断面図である。
【0066】
図6(a)において、ロール部材24は、人工皮革からなる概円環状のロール片27にたいして、平板状の不織布からなる4枚の四半の部分構成片28a、28bが重ね合わされると共に、部分構成片28a、28bの側縁部近傍を、縫製による接合部29を介して、ロール片27と部分構成片28a、28bを接合して形成されている。2枚の部分構成片28bには凹部21bが形成されてあり、ロール片27の内周等分2箇所に設けられている凹部21aと略一致するように、凹部21bが配置される。そして、凹部21bが形成されていない部分構成片28aの側縁部と、部分構成片28bの側縁部が接するようにして、ロール片27に重ね合わされる。また、図6(a)、及び図6(b)の如く、部分構成片28a、28bの外周端面23bは、ロール片27の外周端面23aより小となるように設定されていると共に、内周端面は略一致するように形成されている。
【0067】
ロール片27に用いられている人工皮革は、繊度が1デシテックス未満の極細繊維からなる不織布、及び極微細な気泡を有する多孔質化されたポリウレタンよりなる二重構造体である。1デシテックスとは、10000mで1gとなる繊維のことである。人工皮革をロールに用いた場合、極細繊維の毛細管現象により、被洗浄面に付着している液体を効率的に除去すると共に、極微細な気泡を有する多孔質化されたポリウレタンにより、ロールに優れた弾力性を付与することができる。しかしながら、人工皮革は、部分構成片28a、28bに用いられている不織布に比べて、コストが高いという欠点がある。その為、人工皮革からなるロール片27のみを用いて、ロールを形成した場合、ロールのコストが大幅に上昇することになる。また、ロールのコストを低減させる為に、ロール片27の台座にたいする積層枚数を減らすと、ロールの回転中にロール片27は横ずれすると共に、台座からの位置ずれが発生し、ロール部は極めて短期間にて表面が凹凸となる。
【0068】
ところで、上記の如くに構成されたロール部材24を用いて、ロールを形成した場合には、コストの高い人工皮革からなるロール片27の使用体積を減らすことができるので、ロールの生産コストを、大幅に抑えることができる。また、ロール部の表面部は、人工皮革からなるロール片27のみで形成され、ロール片27と部分構成片28a、28bが積層されてある芯部に比べて柔らかくなる。その為、ロールの弾力性が一層向上し、ロール部と被洗浄面との接触面積が広がるので、効率よく確実に被洗浄面に付着した水分、油分、あるいは薬品成分等の液体の除去、搾取、洗浄、及び被洗浄面に水分、油分、あるいは薬品成分等の液体を塗布することが可能となる。さらに、ロール部の芯部は、ロール片27と部分構成片28a、28bが積層され、強固に台座3に形成されているので、ロール部材24が台座3から位置ずれを生じることが無く、ロール部は長期間に亘り、形態安定化が維持される。
【0069】
図6(c)において、ロール部材24aは、人工皮革からなる概円環状のロール片27にたいして、平板状の不織布からなる4枚の四半の部分構成片28cが重ね合わされると共に、部分構成片28cの側縁部近傍を、超音波溶着による接合部29aを介して、ロール片27と部分構成片28cを接合して形成されている。部分構成片28cは、互いの側縁部が接するようにして、ロール片27に重ね合わされる。また、図6(c)、及び図6(d)の如く、部分構成片28cの外周端面23cは、ロール片27の外周端面23aより小となるように設定されていると共に、内周端面はロール片27の有する凹部21aの高さと略一致するように形成されている。
【0070】
上記の如くに構成されたロール部材24aを用いて、ロールを形成した場合には、ロール部材24の場合と略同一の効果を得ることができる。さらに、ロール部材24aは、使用される部分構成片28cが1種類のみなので、特に、トムソン型を用いて、基材から部分構成片28cを抜き取る際、複数種類のトムソン型を製作する必要がない。また、部分構成片28cには、凹部が形成されていないので、ロール片27と部分構成片28cを重ね合わせる時、ロール部材24の如く、ロール片27に形成された凹部21aと略一致するように、部分構成片28bの有する凹部21bを配置する必要がない。また、接合部29aは、超音波溶着機からホーンを、ロール部材24aにたいして打ち下ろすのみで、4枚の部分構成片28cを一度に、ロール片27に接合して形成することができる。その為、ロール部材24aを製作する際の作業性が大幅に向上する。
【0071】
なお、ロール片27と部分構成片28a、28b、28cは、同一の材質であっても構わない。また、部分構成片28a、28b、28cには、不織布、人工皮革の他、織布、編物等の布帛、合成皮革、人造皮革等の擬革、エラストマーシート、合成樹脂板、フィルム状樹脂組成物シート等を採用することができる。
【0072】
(実施例3)
図7(a)は、本発明の第3の実施例におけるロールに用いられるロール部材の平面図、図7(b)は、図7(a)のF−F断面図、図7(c)は、第3の実施例における他の形態のロール部材の平面図、図7(d)は、図7(c)のG−G断面図である。
【0073】
図7(a)において、ロール部材34は、不織布からなる概円環状のロール片37にたいして、平板状の人工皮革からなる4枚の四半の部分構成片38a、38bが重ね合わされると共に、部分構成片38a、38bの側縁部近傍を、縫製による接合部39を介して、ロール片37と部分構成片38a、38bを接合して形成されている。2枚の部分構成片38bには凹部31bが形成されてあり、ロール片37の内周等分2箇所に設けられている凹部31aと略一致するように、凹部31bが配置される。そして、凹部31bが形成されていない部分構成片38aの側縁部と、部分構成片38bの側縁部が接するようにして、ロール片37に重ね合わされる。また、図7(a)、及び図7(b)の如く、部分構成片38a、38bの外周端面33bは、ロール片37の外周端面33aより大となるように設定されていると共に、内周端面は略一致するように形成されている。
【0074】
図7(c)において、ロール部材34aは、不織布からなる概円環状のロール片37aにたいして、平板状の人工皮革からなる4枚の四半の部分構成片38a、38bが重ね合わされると共に、部分構成片38a、38bの側縁部近傍を、超音波溶着による接合部39aを介して、ロール片37aと部分構成片38a、38bを接合して形成されている。2枚の部分構成片38bには凹部31bが形成されてあり、ロール片37aの内周面には凹部が形成されていない。部分構成片38a、38bは、互いの側縁部が接するようにして、ロール片37aに重ね合わされる。また、図7(c)、及び図7(d)の如く、部分構成片38a、38bの外周端面33bは、ロール片37aの外周端面33cより大となるように設定されていると共に、内周端面は部分構成片38bの有する凹部31bの高さとロール片37aの内周端面が略一致するように形成されている。
【0075】
上記の如くに構成されたロール部材34、34aを用いて、ロールを形成した場合には、ロール片37、37aの使用体積を減らすことができると共に、コストの高い人工皮革からなる部分構成片38a、38bを基材から抜き取る際に、中抜き材を発生させること無く、有効にコストの高い人工皮革からなる基材を活用できるので、ロールの生産コストを、大幅に抑えることができる。また、ロール部の表面部は、人工皮革からなる部分構成片38a、38bのみで形成され、ロール片37、37aと部分構成片38a、38bが積層されてある芯部に比べて柔らかくなる。その為、ロールの弾力性が一層向上し、ロール部と被洗浄面との接触面積が広がるので、効率よく確実に被洗浄面に付着した水分、油分、あるいは薬品成分等の液体の除去、搾取、洗浄、及び被洗浄面に水分、油分、あるいは薬品成分等の液体を塗布することが可能となる。さらに、ロール部の芯部は、ロール片37、37aと部分構成片38a、38bが積層され、強固に台座3に形成されているので、ロール部材34、34aが台座3から位置ずれを生じることが無く、ロール部は長期間に亘り、形態安定化が維持される。
【0076】
なお、ロール片37、37aと部分構成片38a、38bは、同一の材質であっても構わない。また、ロール片37、37aには、不織布、人工皮革の他、織布、編物等の布帛、合成皮革、人造皮革等の擬革、エラストマーシート、合成樹脂板、フィルム状樹脂組成物シート等を採用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明のロールは、主に、鋼板、非鉄金属板、樹脂板、あるいはフィルム状からなる被洗浄面に付着した水分、油分、あるいは薬品成分等の液体を除去、搾取、洗浄するリンガーロール、ワイパーロール、前記被洗浄面に水分、油分、あるいは薬品成分等の液体を塗布するコーティングロール、オイリングロール、アプリケーターロール、プリントロール、プレッシャーロール以外にも、前記被洗浄面を各種装置に引き込むピンチロール、前記被洗浄面にバックテンションを与えるブライドルロール、前記被洗浄面に張力を与える補助をするスナバーロール、前記被洗浄面の方向転換を行うデフレクターロール、前記被洗浄面を各種装置に案内するガイドロール、コイルを支えるコイルホイストロール等の高い耐久性を必要とするロールとして、広く好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の第1の実施例におけるロールの正面図
【図2】(a)図1のA−A断面図、(b)ロール部材を前面側から見た斜視図
【図3】(a)ロール片及び中抜き材を抜き取る際の基材の平面図、(b)部分構成片を中抜き材から抜き取る際の平面図、(c)部分構成片を破材から抜き取る際の平面図、(d)部分構成片を他の基材から抜き取る際の平面図
【図4】(a)ロール部材の平面図、(b)図4(a)のB−B断面図、(c)第1の実施例における他の形態のロール部材の平面図、(d)第1の実施例における他の形態のロール部材の平面図
【図5】(a)第1の実施例における他の形態のロール部材の平面図、(b)第1の実施例における他の形態のロール部材の平面図、(c)積層ロール部材の平面図、(d)図5(c)のC−C線における部分断面図
【図6】(a)本発明の第2の実施例におけるロールに用いられるロール部材の平面図、(b)図6(a)のD−D断面図、(c)第2の実施例における他の形態のロール部材の平面図、(d)図6(c)のE−E断面図
【図7】(a)本発明の第3の実施例におけるロールに用いられるロール部材の平面図、(b)図7(a)のF−F断面図、(c)第3の実施例における他の形態のロール部材の平面図、(d)図7(c)のG−G断面図
【図8】(a)従来のロールにおけるロール片及び中抜き材を抜き取る際の基材の平面図、(b)ロール片を前面側から見た斜視図、(c)中抜き材の平面図、(d)破材の平面図
【符号の説明】
【0079】
1 ロール
2 ロール部
3 台座
4、4a、4b、4c、4d、24、24a、34、34a ロール部材
5 止め金具
6 プレート
7、27、37、37a、47 ロール片
8a、8b、8c、28a、28b、28c、38a、38b 部分構成片
9、9a、29、29a、39、39a 接合部
10 キー
11a、11b、21a、21b、31a、31b、41 凹部
12 穴部
13a、13b、23a、23b、23c、33a、33b、33c 外周端面
14a、14b、44 基材
15、45 中抜き材
16、46 抜き穴
17 積層ロール部材
18、48 破材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼板、非鉄金属板、樹脂板、あるいはフィルム状からなる被洗浄面に付着した水分、油分、あるいは薬品成分等の液体の除去、搾取、洗浄、及び前記被洗浄面に水分、油分、あるいは薬品成分等の液体を塗布する為のロールにおいて、前記ロールはロール部及び台座を有し、前記ロール部は前記台座の外周面に形成されてあると共に、概円環状のロール片と、平板状の部分構成片を接合したロール部材が積層されてあることを特徴とするロール。
【請求項2】
請求項1記載の構成よりなるロールにおいて、ロール部材は部分構成片の外周端面を、ロール片の外周端面と一致させたことを特徴とするロール。
【請求項3】
請求項1記載の構成よりなるロールにおいて、ロール部材は部分構成片の外周端面を、ロール片の外周端面より小に設定したことを特徴とするロール。
【請求項4】
請求項1記載の構成よりなるロールにおいて、ロール部材は部分構成片の外周端面を、ロール片の外周端面より大に設定したことを特徴とするロール。
【請求項5】
請求項1から4記載の構成よりなるロールにおいて、ロール片と部分構成片が異なる材質からなることを特徴とするロール。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2008−259936(P2008−259936A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−103356(P2007−103356)
【出願日】平成19年4月11日(2007.4.11)
【出願人】(391044797)株式会社コーワ (283)
【Fターム(参考)】