説明

ワイパブレードの連結装置及びワイパブレード

【課題】ワイパアームの連結部分の板厚が厚いものに対しても、その連結部分と係合してロックを図るロック部材の浮きを防止できるワイパブレードの連結装置を提供する。
【解決手段】ワイパブレード12に装着される連結部材20のベース部材21がその装着部21bを以てワイパアーム11のフック部11aに装着され、該連結部材20のロック部材22の下方への回動によりその係合片22eがフック部11aの円弧部分の外周面11cと弾性力を以て係合されてフック部11aをロック状態とする。このようなロック部材22において、係合片22eがフック部11aの板厚Dの増加に伴う自身の撓み状態の変化にてロック部材22を下方に回動させるように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイパアームと連結するためのワイパブレードの連結装置及びワイパブレードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両用ワイパは、ワイパモータの駆動に基づいて作動するワイパアームと、該アーム先端部に支持されガラス払拭面に接触配置されるワイパブレードとから構成されている。ワイパブレードは、U字状に折り返されアーム先端部のフック部に連結部材を介して連結されて支持されるものである。このようなワイパブレードの連結に用いられる連結部材は、例えば特許文献1にて開示されているように構成されている。
【0003】
詳述すると、ワイパブレードを構成するレバー部材の中央開口部には、幅方向の対向壁部間に連結軸が掛け渡され、該連結軸に対して連結部材のベース部材が装着されている。ベース部材は、レバー部材の開口部の対向壁部にそれぞれ当接する一対の側壁部と、該側壁部間においてワイパアームのフック部に装着される装着部とを備えている。装着部は、レバー部材に設けた連結軸を含むように開口部の一方側に設けられ、開口部の他方側の側壁部間はフック部の折返し部分の挿入空間となっている。つまり、その挿入空間からフック部の折返し部分を挿入して装着部側に移動させることで、該装着部がフック部に内包されるようにして装着される。
【0004】
またこの状態では、フック部が反装着部側である挿入空間側に移動するとフック部との装着状態が解除されるため、フック部に装着部が装着された状態でロックするロック部材が備えられている。このロック部材は、ベース部材の反装着部側端部の側壁部間に回動可能に組み付けられるとともに、撓み可能な係合片を回動軸とは反対側(装着部側)に備えている。そして、ロック部材は、フック部への装着部の装着後において挿入空間を閉塞するように回動させ、係合片をフック部の円弧部分の外周面に係合させることで、フック部の挿入空間側への移動を防止し、フック部に対する装着状態の解除を防止(ロック)するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−96257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ワイパアームのフック部においては、その板厚が厚い仕様のものがある。また、同一仕様であっても寸法誤差にて厚くなる場合もある。フック部の厚みが厚くなると、その外周面に当接するロック部材の係合片の撓み度合いが大きくなり、その反力がロック部材自身のロック解除を助長する方向へ作用する場合があり、結果的にロック部材を浮き上がらせてしまう虞がある。つまり、ロック部材の一部がワイパブレードから飛び出してしまうことで、ワイパブレードの外観性能の低下を招いてしまうことが懸念されるものである。 本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、ワイパアームの連結部分の板厚が厚いものに対しても、その連結部分と係合してロックを図るロック部材の浮きを防止することができるワイパブレードの連結装置、及びその連結装置を備えたワイパアームを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、ワイパアームのU字状のフック部に内包されるように装着される装着部を有するベース部材と、前記ベース部材に回動可能に設けられ前記フック部の円弧部分の外周面に係合するロック部材とを備え、ワイパブレードに装着された前記ベース部材の前記装着部に前記フック部が装着され、前記ロック部材が前記フック部の円弧部分の外周面と係合して前記装着部と前記フック部とが相対移動不能にロックされるロック位置と、前記ロック部材と前記フック部との前記係合が解除されて前記装着部と前記フック部とが離脱可能なロック解除位置との間を、前記ロック部材が回動可能なワイパブレードの連結装置であって、前記ロック部材は、前記フック部の前記外周面と係合して弾性力を作用させる係合部を有し、前記係合部の前記弾性力は前記ロック位置において前記ロック部材自身のロック方向への回動力として付勢する構成としたことをその要旨とする。
【0008】
この発明では、ワイパブレードに装着されるベース部材がその装着部を以てフック部に装着され、ロック部材がロック位置とロック解除位置との間を回動可能にベース部材に対して取り付けられており、ロック部材の係合部がフック部の円弧部分の外周面と弾性力を以て係合されてフック部がロック状態とされる。このロック部材は、ロック位置においては係合部の弾性力がロック部材自身のロック方向への回動力として付勢する構成であるため、フック部の板厚の増加に伴う自身の撓み状態の変化を許容してロック部材がロック方向へ付勢され、フック部の板厚が増加してもロック部材の浮き上がりが生じない。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のワイパブレードの連結装置において、前記ロック部材の係合部は、前記ロック位置において前記フック部の板厚の増加に伴う前記係合部自身の撓み状態の変化にて前記弾性力を前記ロック部材自身のロック方向への回動力として付勢する構成であることをその要旨とする。
【0010】
この発明では、ロック部材の係合部は、ロック位置においてフック部の板厚の増加に伴う係合部自身の撓み状態の変化にて、その弾性力がロック部材自身のロック方向への回動力となる。これにより、フック部の板厚が増加してもロック部材の浮き上がりが生じない。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のワイパブレードの連結装置において、前記ロック部材の係合部は、その主たる屈曲点が前記フック部の外周面の円弧中心と前記ロック部材の回動中心とを結ぶ直線に対して前記ロック部材の前記ロック方向側に位置するように構成されたことをその要旨とする。
【0012】
この発明では、ロック部材の係合部は、その主たる屈曲点がフック部の外周面の円弧中心とロック部材の回動中心とを結ぶ直線に対して前記ロック部材の前記ロック方向側に位置するように構成される。つまり、フック部の板厚が増加すると、係合部の撓み状態の変化にてロック部材がロック方向側に回動するようになる。これにより、フック部の板厚の増加によるロック部材の浮きを容易且つ確実に防止できる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のワイパブレードの連結装置において、前記ロック部材は、前記係合部の前記弾性力による前記ロック方向側への更なる回動を前記ロック位置で前記ベース部材との係止により規制する規制部を備えたことをその要旨とする。
【0014】
この発明では、ロック部材には、前記係合部の前記弾性力による前記ロック方向側への更なる回動が前記ロック位置でベース部材との係止により規制する規制部が備えられる。つまり、フック部の板厚が増加するとロック部材がロック方向側に更に回動力を作用するため、この規制部にてロック部材のロック位置からの沈み込みが防止される。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載のワイパブレードの連結装置において、前記ロック部材は、前記ワイパアーム側に延設され前記ワイパアームの上面の一部をカバーするカバー部を有するものであることをその要旨とする。
【0016】
この発明では、ロック部材は、ワイパアームの上面の一部をカバーするカバー部がワイパアーム側に延設される構成であり、ロック部材に浮きが生じるとカバー部の特に端部での浮きが顕著となるため、このようなロック部材に適用するとより効果大である。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の連結装置を備えたワイパブレードである。
この発明では、請求項1〜4のいずれか1項に記載の連結装置が備えられるため、ワイパアームのフック部が異なる板厚であってもロック部材の浮きが生じないワイパブレードを提供できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ワイパアームの連結部分の板厚が厚いものに対しても、その連結部分と係合してロックを図るロック部材の浮きを防止することができるワイパブレードの連結装置及びワイパアームを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態のワイパを示す斜視図である。
【図2】(a)はワイパブレードの平面図であり、(b)はワイパブレードの側面図である。
【図3】連結部材を用いて連結する部分の連結前の状態を示す斜視図である。
【図4】本実施形態における連結部分の断面図であり、(a)は薄い板厚のフック部との連結状態を示し、(b)は厚い板厚のフック部との連結状態を示し、(c)はカバー部を有するロック部材を用いた場合のフック部との連結状態を示す。
【図5】比較例における連結部分の断面図であり、(a)は薄い板厚のフック部との連結状態を示し、(b)は厚い板厚のフック部との連結状態を示し、(c)はカバー部を有するロック部材を用いた場合のフック部との連結状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1は、自動車のフロントガラスに付着した雨滴等を払拭する車両用ワイパ10を示す。ワイパ10は、ワイパアーム11と、該アーム11の先端部に支持されガラス払拭面Gに接触配置されるワイパブレード12とから構成され、ワイパモータ(図示略)によるワイパアーム11の作動にてワイパブレード12が往復揺動し、ガラス払拭面G上の払拭を行うものである。
【0021】
ワイパアーム11とワイパブレード12との連結については、図3に示すような連結部材20が用いられている。先ず、ワイパアーム11及びワイパブレード12の個々の構成について、ワイパアーム11は、先端側が細長板状に形成されており、その板状部分でU字状に折り返されたフック部11aを備えている。フック部11aは、ワイパアーム11の下面側(払拭面G側)に突出するように構成されている。
【0022】
図2(a)(b)に示すように、ワイパブレード12は、メインレバー13と、2つのヨークレバー14と、2つの可動カバー部材15と、ブレードラバー16とを備えている。メインレバー13の長手方向両端部にはそれぞれ回動軸部13aが設けられ、各ヨークレバー14の中央部が各回動軸部13aに組み付けられて、メインレバー13に対して各ヨークレバー14が回動可能に支持されている。
【0023】
各ヨークレバー14の中央部の回動連結部分よりも若干外側には、各可動カバー部材15の基端部が回動軸部15aにて組み付けられ、各ヨークレバー14に対して各可動カバー部材15が回動可能に支持されている。各ヨークレバー14の両端部、及び各可動カバー部材15の先端部にはそれぞれ幅方向で対をなす把持部14a,15bが設けられ、ブレードラバー16を長手方向所定間隔で把持している。因みに、可動カバー部材15には、把持部15bとヨークレバー14の外側の把持部14aとの間において、ブレードラバー16の幅方向の移動を規制すべく同方向で対をなす規制片15cが設けられている。
【0024】
メインレバー13の中央部には、図2(a)に示す平面視において、長手方向が長辺となる長方形状の開口部13bが形成されている。開口部13bの幅方向の対向壁部13c間には、円柱状の連結軸17が掛け渡されるようにして固定されている。そして、この開口部13bには、ワイパアーム11のフック部11aとの連結を図るための図3に示すような連結部材20が嵌挿され、連結軸17に対して回動可能に装着される。
【0025】
図3及び図4(a)に示すように、連結部材20は、ベース部材21と、該ベース部材21に装着されるロック部材22とから構成されている。ベース部材21は、メインレバー13の開口部13bの対向壁部13cにそれぞれ当接する一対の側壁部21aと、該側壁部21a間においてワイパアーム11のフック部11aが装着される装着部21bとを備えている。
【0026】
側壁部21a及び装着部21bには、幅方向に貫通する支持孔21cと該支持孔21cに向けて下方から切り欠かれた案内溝21dとが形成され、メインレバー13に備えられる連結軸17がその案内溝21dを介して支持孔21cに嵌挿されることで、ベース部材21(連結部材20)が連結軸17周りに回動可能に連結される。装着部21bは、支持孔21c周りから開口部13bの長手方向一方側に延びてフック部11aの内周面11bに倣った形状をなし、他方側はフック部11aの折返し部分(先端部分)の挿入空間21xとなっている。つまり、その挿入空間21xからフック部11aの折返し部分を挿入して装着部21b側に移動させることで、連結軸17を含む該装着部21bがフック部11aに内包されるようにして装着されるようになっている。
【0027】
また、挿入空間21xが形成される両側壁部21aの長手方向他方側の端部には、内側面において互いに対向する一対の支持突部21eが形成され、各支持突部21eには、ロック部材22がロック解除位置とロック位置との間を上下方向に回動可能に装着されている。即ち、ロック部材22の基部22aには、長手方向一端部に前記支持突部21eと嵌合する嵌合孔22bが形成されている。
【0028】
ロック部材22の基部22aの上部には、挿入空間21xの開口を閉塞する略長方形状の上壁部22cが設けられている。上壁部22cには、幅方向外側にそれぞれ延出され、前記一対の側壁部21aの上端部に当接し、ロック部材22のそれ以上挿入空間21x内(ロック方向側)への回動を規制する規制部22dが設けられている(図1参照)。
【0029】
ロック部材22の基部22aの長手方向他端部には、撓み可能な係合片22eが設けられている。係合片22eは、ワイパアーム11のフック部11aと略同幅に形成され、一旦下方に向かって再び上方に向かうように側方視で略U字状をなしている。係合片22eは、再び上方に向かった部分にフック部11aの円弧部分の外周面11cに倣った湾曲面22fを有している。係合片22eは、その湾曲面22fがベース部材21の装着部21bに装着されたフック部11aの外周面11cに弾性力を以て当接し、該係合片22eと装着部21bとでフック部11aの円弧部分を弾性挟持する。
【0030】
このようなロック部材22とベース部材21とからなる連結部材20は、ワイパブレード12(メインレバー13)の開口部13b内に挿入されて連結軸17に装着され、ロック部材22をロック解除位置まで回動させて開放させ、挿入空間21x内にアーム11のフック部11aが挿入され、装着部21bがフック部11aに装着される。そして、挿入空間21xを閉塞するようにロック部材22がロック位置まで回動されると、係合片22eがフック部11aの円弧部分の外周面11cに弾性係合される。これにより、フック部11aがその係合片22eと装着部21bとで挟持されて相対移動不能となるロック状態となり、フック部11aに対する連結部材20、即ちワイパブレード12の装着状態が解除されないようになっている。また、係合片22eの弾性力は、ロック部材22のロック方向への回動力としても作用する。尚、ワイパブレード12の取り外しにおいては、ロック部材22を開放側にロック解除位置まで回動させることで装着部21bがフック部11aから離脱可能となるため、これにより容易にその取り外しができるようになっている。
【0031】
ところで、ワイパアーム11のフック部11aにおいては、その板厚Dが厚い仕様のものがある。また、同一仕様であっても寸法誤差にて厚くなる場合もある。そのため、いずれの板厚Dに対してもロック部材22の係合片22eの弾性力が十分に生じるようにする必要があるため、図4(a)のように、例えば最薄の板厚D1のフック部11aに対して十分な弾性力が作用するように係合片22eを含むロック部材22の寸法が設定されている。しかしながら、図4(b)のように、厚い板厚D2のフック部11aに対しては係合片22eの撓み度合いが大きくなる。
【0032】
ここで、図5(a)(b)は、本実施形態との比較例を示すものであり、ここで示すロック部材30は、ワイパアーム11のフック部11aが厚い板厚D2となる場合、浮きが生じる構成のものである。
【0033】
ロック部材30は、本実施形態のロック部材22と同様に、基部30a、嵌合孔30b、上壁部30c、係合片30e、及び湾曲面30fを備えるが、係合片30eの形状が本実施形態のものと異なっている。係合片30eは、基部30aから一旦装着部21b側(フック部11a側)に向かってから下方に向かう形状をなし、その下方に向かった部分に湾曲面30fを有している。このようなロック部材30では、図5(a)のようにフック部11aが板厚D1の場合、浮きが生じないが、図5(b)のように厚い板厚D2のフック部11aになると、浮きが生じてしまう。
【0034】
これは、フック部11aの円弧部分の外周面11cにおけるその円弧中心O1(ベース部材21の支持孔21cや連結軸17の中心でもある)と、ロック部材30の回動中心O2(嵌合孔30bや支持突部21eの中心でもある)とを結ぶ直線L1に対し、ロック部材30の係合片30eの主たる屈曲点P2がロック解除方向(上方)に位置するためと考えられる。つまり、フック部11aが厚い板厚D2になると、その外周面11cとロック部材30の回動中心O2との距離が短くなって係合片30eが屈曲点P2を中心に大きく屈曲し、ロック解除方向(上方)に回動させる力F2が大きくなる。これにより、上壁部30cの反回動軸側(回動中心O2側)の端部が浮き上がる。
【0035】
特に図5(c)のように、フック部11aよりも基端側に段差部11xを有するワイパアーム11に対し、ロック部材30の上壁部30cのワイパアーム11側(反回動軸側)端部からアーム11の段差部11xまでの上面をカバーするカバー部30xが延設される態様のものでは、カバー部30xが長尺となることから、浮き上がりが顕著に現れてしまう。
【0036】
これに対して本実施形態では、図4(a)(b)に示すように、フック部11aの円弧部分の外周面11cにおけるその円弧中心O1と、ロック部材22の回動中心O2とを結ぶ直線L1に対し、ロック部材22の係合片22eの主たる屈曲点P1がロック方向(下方)に位置している。つまり、フック部11aが厚い板厚D2になると、その外周面11cとロック部材22の回動中心O2との距離が短くなって係合片22eが屈曲点P1を中心に大きく屈曲し、ロック方向(下方)に回動させる力F1が大きくなる。これにより、上記比較例で生じていたようなロック部材22の浮き上がりは生じないようになっており、ひいては不用意なロック部材22のロック解除を防止できる。
【0037】
また、ロック方向(下方)に回動させる力F1が大きくなることで逆に側壁部21a間の挿入空間21x内への沈み込みが生じることが懸念されるが、上壁部22cに設けた規制部22dが側壁部21aの上端部に当接することで、ロック位置からの更なるロック方向側(挿入空間21x内)への回動が防止されている。
【0038】
更に図4(c)に示すように、ロック部材22の上壁部22cのワイパアーム11側(反回動軸側)端部からカバー部22xが延設される態様のものでは、その僅かな浮きでもカバー部22xの端部では大きな浮き上がりとして現れるが、本実施形態のロック部材22は厚い板厚D2のフック部11aであってもの浮きが生じないため、このようなカバー部22xを有するロック部材22に適用すると、より効果が大きい。従って、フック部11aの板厚D2が異なっても、常にカバー部22xがアーム11の段差部11xまでの上面に略当接するように配置されて該カバー部22xにて段差部11xが吸収され、常に良好な外観性能が得られる。
【0039】
次に、本実施形態の特徴的な作用効果を記載する。
(1)ワイパブレード12に装着される連結部材20のベース部材21がその装着部21bを以てワイパアーム11のフック部11aに装着され、該連結部材20のロック部材22がロック位置とロック解除位置との間を回動可能にベース部材21に対して取り付けられており、そのロック部材22の係合片22eがフック部11aの円弧部分の外周面11cと弾性力を以て係合されてフック部11aがロック状態とされる。このロック部材22は、ロック位置においては係合片22eの弾性力がロック部材22自身のロック方向(矢印F1と同じ方向)への回動力として付勢する構成であるため、フック部11aの板厚Dの増加に伴う自身の撓み状態の変化を許容してロック部材22がロック方向へ付勢され、フック部11aの板厚Dが増加してもロック部材22の浮き上がりが生じない。つまり、フック部11aの板厚Dにかかわらずロック部材22の一部がワイパブレード12から飛び出すことがないため、本実施形態のワイパブレード12では常に良好な外観性能を得ることができる。また、ひいては不用意にロック部材22がロック解除されてしまうことをも防止できる。
【0040】
(2)ロック部材22の係合片22eは、その主たる屈曲点P1がフック部11aの外周面11cの円弧中心O1とロック部材22の回動中心O2とを結ぶ直線L1に対してロック部材22のロック方向側(矢印F1と同じ側)に位置するように構成されている。つまり、フック部11aの板厚Dが増加すると、係合片22eの撓み状態の変化にてロック部材22がロック方向側(下方)に回動するようになるため、フック部11aの板厚Dの増加によるロック部材22の浮きを容易且つ確実に防止することができる。
【0041】
(3)ロック部材22には、係合片22eの弾性力によるロック方向側(矢印F1と同じ側)への更なる回動がロック位置でベース部材21との係止により規制する規制部22dが備えられている。つまり、フック部11aの板厚Dが増加するとロック部材22がロック方向側(下方)に更に回動力を作用するため、この規制部22dにてロック部材22のロック位置からの沈み込みを防止することができる。尚、この規制部22dは係合片22eを挟んだ両側でベース部材21の側壁部21aにそれぞれ係止するため、ロック部材22のロック方向側への回動をより確実に受け止めて規制することができる。
【0042】
(4)ロック部材22において、ワイパアーム11の上面の一部をカバーするカバー部22xをワイパアーム側に延設した構成とした場合、ロック部材22に浮きが生じるとカバー部22xの特に端部での浮きが顕著となるため、このようなロック部材22に適用するとより効果が大きい。
【0043】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態の連結部材20の構成、即ちベース部材21やロック部材22の形状を適宜変更してもよい。
【0044】
例えばロック部材22において、係合片22eの蛇行形状を変更してもよい。また、係合片22eを幅方向に複数に分割した構成としてもよい。また、係合片22eはフック部11aの外周面11cと湾曲面22fで係合するようにしたが、1つ又は複数の平面で構成した面でフック部11aの外周面11cと係合(当接)する構成としてもよい。また、係合片22eを挟むように幅方向両側に設けた規制部22dにてロック部材22の回動規制を行ったが、規制する構成を適宜変更してもよく、不要であれば省略してもよい。
【0045】
・上記実施形態のワイパ10の構成を適宜変更してもよい。
例えばワイパブレード12において、メインレバー13、2つのヨークレバー14、2つの可動カバー部材15を用いて構成したが、レバーの数やカバー部材の有無等、構成を適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0046】
11…ワイパアーム、11a…フック部、11c…外周面、12…ワイパブレード、20…連結部材(連結装置)、21…ベース部材、21b…装着部、22…ロック部材、22d…規制部、22e…係合片(係合部)、22x…カバー部、D,D1,D2…板厚、L1…直線、O1…円弧中心、O2…回動中心、P1,P2…屈曲点。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイパアームのU字状のフック部に内包されるように装着される装着部を有するベース部材と、前記ベース部材に回動可能に設けられ前記フック部の円弧部分の外周面に係合するロック部材とを備え、
ワイパブレードに装着された前記ベース部材の前記装着部に前記フック部が装着され、前記ロック部材が前記フック部の円弧部分の外周面と係合して前記装着部と前記フック部とが相対移動不能にロックされるロック位置と、前記ロック部材と前記フック部との前記係合が解除されて前記装着部と前記フック部とが離脱可能なロック解除位置との間を、前記ロック部材が回動可能なワイパブレードの連結装置であって、
前記ロック部材は、前記フック部の前記外周面と係合して弾性力を作用させる係合部を有し、前記係合部の前記弾性力は前記ロック位置において前記ロック部材自身のロック方向への回動力として付勢する構成としたことを特徴とするワイパブレードの連結装置。
【請求項2】
請求項1に記載のワイパブレードの連結装置において、
前記ロック部材の係合部は、前記ロック位置において前記フック部の板厚の増加に伴う前記係合部自身の撓み状態の変化にて前記弾性力を前記ロック部材自身のロック方向への回動力として付勢する構成であることを特徴とするワイパブレードの連結装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のワイパブレードの連結装置において、
前記ロック部材の係合部は、その主たる屈曲点が前記フック部の外周面の円弧中心と前記ロック部材の回動中心とを結ぶ直線に対して前記ロック部材の前記ロック方向側に位置するように構成されたことを特徴とするワイパブレードの連結装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のワイパブレードの連結装置において、
前記ロック部材は、前記係合部の前記弾性力による前記ロック方向側への更なる回動を前記ロック位置で前記ベース部材との係止により規制する規制部を備えたことを特徴とするワイパブレードの連結装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のワイパブレードの連結装置において、
前記ロック部材は、前記ワイパアーム側に延設され前記ワイパアームの上面の一部をカバーするカバー部を有するものであることを特徴とするワイパブレードの連結装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の連結装置を備えたことを特徴とするワイパブレード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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