ワイパーアーム
【課題】
アームヘッドとアーム本体を連結ピンを介して回動可能に連結するとともに、アームヘッドとアーム本体との間に、フック部材を介してスプリングを介装したワイパーアームにおいて、フック部材のワイパーアームの下方へのはみ出しを無くすことにより、薄型化され、外観が向上されたワイパーアームを提供する。
【解決手段】
ワイパーアーム1において、スプリング7の取り付けのためのフック部材6を、アームヘッド2とリテーナ3を連結する連結ピン5に対して、リテーナ3が起立していく側に配置した。アームヘッド2及びリテーナ3の上面には、それぞれ切り欠き部2C及び3Bを形成し、リテーナ3が起立状態へと回動したときには、フック部材6が切り欠き部2C及び3B内に配置されるようにした。
アームヘッドとアーム本体を連結ピンを介して回動可能に連結するとともに、アームヘッドとアーム本体との間に、フック部材を介してスプリングを介装したワイパーアームにおいて、フック部材のワイパーアームの下方へのはみ出しを無くすことにより、薄型化され、外観が向上されたワイパーアームを提供する。
【解決手段】
ワイパーアーム1において、スプリング7の取り付けのためのフック部材6を、アームヘッド2とリテーナ3を連結する連結ピン5に対して、リテーナ3が起立していく側に配置した。アームヘッド2及びリテーナ3の上面には、それぞれ切り欠き部2C及び3Bを形成し、リテーナ3が起立状態へと回動したときには、フック部材6が切り欠き部2C及び3B内に配置されるようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アームヘッドとアーム本体を連結ピンを介して回動可能に連結するとともに、アームヘッドとアーム本体との間に、フック部材を介してスプリングを介装したワイパーアームに関する。
【発明の概要】
【0002】
ワイパー装置に備えられるワイパーアームには、図9に示すようなものがある。図示されるように、ワイパーアーム101は、駆動モータ(図示せず)に連係されるアームヘッド102と、アームヘッド102に対して連結ピン105を介して回動可能に連結されたリテーナ103と、リテーナ103に固定されたアームピース104とを備えている。
【0003】
図10及び図11には、ワイパーアーム101におけるアームヘッド102とリテーナ103の連結部分の断面図を示す。図示されるように、ワイパーアーム101は、フック部材106と、スプリング107とを備えている。
【0004】
フック部材は、C字型の形状を有するものであり、連結ピン105の下方に配置されている。フック部材106は、一端において、アームヘッド2に固定された係止ピン108に係合する一方で、他端において、スプリング107の一端に係合している。これに対して、スプリング107の他端は、リテーナ3に固定された係止ピン109に係合している。このような構成により、スプリング107が、フック部材106を介してアームヘッド2とリテーナ103との間に介装されるので、ワイパーアーム1の使用時において、リテーナ103がスプリング107により下方に回動する方向に付勢され、結果として、アームピース104に保持されたワイパーブレードが適度な押し付け力で被払拭面(例えば自動車のガラス面)に押し付けられるようになっている。
【0005】
リテーナ103は、通常使用状態においては、図10に示すようにアームヘッド102と略一直線上に配置された状態にあるが、必要に応じて、図11に示すように上方に回動させられ、アームヘッド102に対して角度を持って配置された起立状態とできるようになっている。このようにリテーナ103を起立させていくと、フック部材106は、上方に移動し、連結ピン105に近づいていくが、フック部材106はC字型の形状を有しているので、図11に示すように連結ピン105がフック部材106のC字型の内側に入り込む配置となり、連結ピン105とフック部材106との間で干渉が生じないようになっている。
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、従来のワイパーアーム101においては、C字型形状のフック部材106が、連結ピン105の下方に配置されていたので、ワイパーアーム101の通常使用状態において、図9又は図10に示すように、フック部材106がワイパーアーム101の下側からはみ出してしまっていた。このため、ワイパーアーム101の厚みは、フック部材106の張り出し分だけ厚くなってしまい、ワイパー装置を自動車のガラス面に設置したときに、ワイパーアーム101がガラス面の中で配置される位置が高くなってしまい、その分、運転者の視界を狭めてしまっていた。また、フック部材106のはみ出しは、ワイパーアーム1の外観も損ねていた。
【0007】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、アームヘッドとアーム本体を連結ピンを介して回動可能に連結するとともに、アームヘッドとアーム本体との間に、フック部材を介してスプリングを介装したワイパーアームにおいて、フック部材のワイパーアームの下側からのはみ出しを無くすことにより、薄型化され、外観が向上されたワイパーアームを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、駆動機構に連結可能なアームヘッドと、前記アームヘッドに対して連結ピンを介して連結され、前記アームヘッドに対して起立した状態へと回動可能なアーム本体と、前記アームヘッドに取り付けられ、前記連結ピンに隣接して配置されたフック部材と、前記フック部材と前記アーム本体との間に設けられたスプリングとを備えたワイパーアームにおいて、前記フック部材を、前記連結ピンに対して、前記アーム本体が起立する側に配置した。
【0009】
前記アームヘッドの上面と前記アーム本体の上面に、それぞれ切り欠き部を備え、前記アーム本体が上方に回動したときに、前記フック部材が前記切り欠き部内に配置されるようにしてもよい。
【0010】
前記アームヘッドに、前記アーム本体が所定の角度を超えて回動しようとしたときに前記フック部材と当接して前記アーム本体の回動を制限するストッパ部を備えてもよい。
前記ストッパ部は、前記アームヘッドに形成された切り欠き部の端部であってもよい。
【0011】
前記ストッパ部は、前記アームヘッドに取り付けられたストッパ部材に設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ワイパーアーム(例えばワイパーアーム1)において、フック部材(例えばフック部材6)が、アームヘッド(例えばアームヘッド2)とアーム本体(例えばリテーナ3とアームピース4)を連結する連結ピン(例えば連結ピン5)に対して、アーム本体が起立していく側に配置されているので、ワイパーアームが、アームヘッドとアーム本体が略一直線上に配置された通常使用状態にあるときにも、フック部材は、アームヘッド及びリテーナの下側に、はみ出すことがない。したがって、フック部材のはみ出しがない分、ワイパーアームの厚みを小さくすることができるので、自動車に装着した時にワイパーアーム全体を低い位置に配置でき、運転者の視界を妨げないようにできる。また、ワイパーアームの外側にフック部材がはみ出していないので、ワイパーアームの外観が向上する。
【0013】
また、アームヘッドの上面とアーム本体の上面に、それぞれ切り欠き部(例えば切り欠き部2C及び切り欠き部3B)を備え、アーム本体が回動したときに、フック部材が切り欠き部内に配置されるようにすれば、フック部材が連結ピンの上側に配置されているにもかかわらず、アーム本体を起立させていくときに、フック部材がアームヘッド又はアーム本体と干渉することはなく、アーム本体の起立動作が妨げられないようにできる。
【0014】
また、アームヘッドに、前記アーム本体が所定の角度を超えて回動しようとしたときにフック部材と当接してアーム本体の回動を制限するストッパ部(例えば、切り欠き部2Cの端部2D、ストッパ部材10の前端部10C、ストッパ部材11の下端部11A)を備えれば、起立状態におけるアームヘッドとアーム本体の間の角度を、適切な角度に制限することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して本発明の各実施形態を説明する。
図1及び図2には、本発明の実施形態におけるワイパーアーム1の全体構成を示す。図示されるように、ワイパーアーム1は、アームヘッド2と、アームヘッド2に連結されたリテーナ3と、リテーナ3に取り付けられたアームピース4とから構成される。なお、リテーナ3とアームピース4により、アーム本体が構成される。
【0016】
アームヘッド2は、ワイパーアーム1全体の基端部分を構成する部材であり、図示されない駆動モータと連結される基端部2Aと、リテーナ3と連結された先端部2Bとを備えている。リテーナ3は、天面と両側面からなる断面コの字型の部材であり、基端部3Aにおいて、ワイパーアーム1を横切る方向に延びる連結ピン5を介して、アームヘッド2の先端部2Bに対して回動可能に取り付けられている。アームピース4は、図示されないワイパーブレードを保持する部分であり、その先端部分に、ワイパーブレードとの係合部であるUフック部4Aを備えている。
【0017】
図3及び図4には、アームヘッド2とリテーナ3の連結部分の断面図を示す。図3は、アームヘッド2に対してリテーナ3が略一直線上に配置された通常使用状態におけるワイパーアーム1を、図4は、アームヘッド2に対してリテーナ3が起立した状態へと回動した起立状態におけるワイパーアーム1を、それぞれ示している。図示されるように、ワイパーアーム1は、連結ピン5の周囲に配設されたフック部材6と、リテーナ3の両側面の間に配置されたスプリング7とを備えている。
【0018】
フック部材6は、基端部6Aと、先端部6Bと、湾曲部6Cとを備えた略C字型の部材である。基端部6Aは、アームヘッド2に設けられた係止ピン8に係合している。一方、先端部6Bは、スプリング7の基端部7Aと係合している。湾曲部6Cは、基端部6Aと先端部6Bとの間の略C字型に湾曲した部分であり、連結ピン5を上側から取り囲むように、連結ピン5の周りに配置されている。このように、本実施形態のワイパーアーム1においては、フック部材6が連結ピン5の上側(リテーナ3が起立していく側)に配置されているので、ワイパーアーム1が通常使用状態(図3の状態)にあるときでも、フック部材6がアームヘッド2及びリテーナ3の下側にはみ出すことがないようになっている。
【0019】
スプリング7は、両端に基端側係合部7Aと先端側係合部7Bとを備えている。基端側係合部7Aは、フック部材6の先端部6Bに係合している。先端側係合部7Bは、リテーナ3に固定された係止ピン9に係合している。これにより、スプリング7は、アームヘッド2とリテーナ3との間に、フック部材6を介して介装され、ワイパーアーム1の使用時(通常使用状態)においては、リテーナ3を下方に回動する方向に付勢して、ワイパーブレードを適度な押し付け力で被払拭面(例えば自動車のガラス面)に押し付けるようになっている。
【0020】
アームヘッド2の先端2Bの上面及びリテーナ3の基端部3Aの上面には、それぞれ切り欠き部2C及び切り欠き部3Bが形成されている。これらの切り欠き部2C及び切り欠き部3B内に、フック部材6の湾曲部6Cが配置される。これにより、リテーナ3をアームヘッド2に対して起立状態へと(上方に)回動させたとき、切り欠き部2C及び切り欠き部3B内に配置されたフック部材6の湾曲部6Cが上方に移動することができ、フック部材6がアームヘッド2又はリテーナ3とぶつかって、リテーナ3の起立動作が阻害されることがないようになっている。
【0021】
アームヘッド2の切り欠き部2Cは、基端側に余裕をもって形成されており、リテーナ3を起立させたときに、フック部材6の基端方向への動きを許容するようになっている。この場合、切り欠き部2Cの基端側の端部2Dは、ストッパ部として機能する。すなわち、リテーナ3を所定の角度を超えて回動させようとすると、ワイパーアーム1の基端側に移動したフック部材6がストッパ部2Dに当接するため、リテーナ3のそれ以上の回動が禁止される。これにより、リテーナ3の起立のための回動が、所定の角度に適切に制限されるようになっている。
【0022】
以上のように、本実施形態のワイパーアーム1によれば、フック部材6は、アームヘッド2とリテーナ3を連結する連結ピン5に対して、リテーナ3が起立していく側(上側)に配置されているので、ワイパーアーム1が通常使用状態(図3の状態)にあるときにもフック部材6がアームヘッド2及びリテーナ3の下側に、はみ出すことがない。したがって、フック部材6のはみ出しがない分、ワイパーアーム1の厚みを小さくすることができるので、自動車に装着した時にワイパーアーム1全体を低い位置に配置でき、運転者の視界を妨げないようにできる。また、ワイパーアーム1の外側にフック部材6がはみ出していないので、ワイパーアーム1の外観が向上する。
【0023】
一方、ワイパーアーム1を起立状態(図4の状態)とするときには、フック部材6は、アームヘッド2及びリテーナ3に形成された切り欠き部2C及び切り欠き部3B内に配置されるので、フック部材6が連結ピン5の上側に配置されているにもかかわらず、リテーナ3の回動中に、フック部材6とアームヘッド2又はリテーナ3とが干渉しあうことはなく、リテーナ3の起立動作が妨げられることはない。また、リテーナ3が所定の角度まで回動すると、フック部材6がストッパ部である端部2Dに当接して、リテーナ3の回動を制限するので、起立状態におけるアームヘッド2とリテーナ3の間の角度を、適切な角度に保持することができる。
【0024】
図5及び図6には、本発明の他の実施形態を示す。本実施形態において、ワイパーアーム1は、上記図1〜図4の実施形態のように、アームヘッド2の切り欠き部2Cの端部2Dをストッパ部とする代わりに、アームヘッド2に取り付けられたストッパ部材10を備えている。
【0025】
図示されるように、ストッパ部材10は、中間部10Aと、中間部10Aの両端から直角方向に延びる後端部10B及び前端部10Cとからなるコの字型の部材であり、後端部10Bにおいて、アームヘッド2の上面に固定されている。一方、前端部10Cは、フック部材6の下側に配置され、フック部材6が、後端部10Bと前端部10Cの間に配置されるようになっている。このような構成により、ストッパ部材10の前端部10Cは、フック部材6とアームヘッド2の上面に当接するストッパ部として機能する。すなわち、リテーナ3を所定の角度を超えて回動させようとすると、リテーナ3の回動に伴って後方に移動してきたフック部材6とアームヘッド2の上面との隙間に、ストッパ部材10の前端部10Cが移動することにより、アーム本体が略一直線上になるのが制限されるようになっている。
【0026】
図7及び図8には、本発明のさらに他の実施形態を示す。図示されるように、本実施形態において、ワイパーアーム1は、図5及び図6の実施形態におけるストッパ部材10に代えて、ストッパ部材11を備えている。図示されるように、ストッパ部材11は、アームヘッド2に固定された下端部11Aと、下端部11Aから上方に延び出してフック部材6の上方に配置された上端部11Bとを備えている。このような構成により、ストッパ部材11の下端部11Aは、フック部材6に当接するストッパ部として機能する。すなわち、リテーナ3を所定の角度まで回動させると、フック部材6とアームヘッド2の上面との隙間に、ストッパ部材11の下端部11Aが移動することにより、アーム本体が略一直線上になるのが制限されるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態におけるワイパーアームの全体構成を示す平面図である。
【図2】同じくワイパーアームの全体構成を示す平面図である。
【図3】同じく通常使用状態にあるワイパーアームのアームヘッドとリテーナの連結部分を示す断面図である。
【図4】同じく起立状態にあるワイパーアームのアームヘッドとリテーナの連結部分を示す断面図である。
【図5】本発明の他の実施形態におけるワイパーアームを示す平面図である。
【図6】同じく側面図である。
【図7】本発明のさらに他の実施形態におけるワイパーアームを示す平面図である。
【図8】同じく側面図である。
【図9】従来のワイパーアームを示す側面図である。
【図10】従来のワイパーアームにおける通常使用状態にあるワイパーアームのアームヘッドとリテーナの連結部分を示す断面図である。
【図11】同じく起立状態にあるワイパーアームのアームヘッドとリテーナの連結部分を示す断面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 ワイパーアーム
2 アームヘッド
2C 切り欠き部
2D 切り欠き部の端部
3 リテーナ
3B 切り欠き部
4 アームピース
4A フック部
5 連結ピン
6 フック部材
7 スプリング
8 係止ピン
9 係止ピン
10 ストッパ部材
10C ストッパ部材の前端部
11 ストッパ部材
11A ストッパ部材の下端部
【技術分野】
【0001】
本発明は、アームヘッドとアーム本体を連結ピンを介して回動可能に連結するとともに、アームヘッドとアーム本体との間に、フック部材を介してスプリングを介装したワイパーアームに関する。
【発明の概要】
【0002】
ワイパー装置に備えられるワイパーアームには、図9に示すようなものがある。図示されるように、ワイパーアーム101は、駆動モータ(図示せず)に連係されるアームヘッド102と、アームヘッド102に対して連結ピン105を介して回動可能に連結されたリテーナ103と、リテーナ103に固定されたアームピース104とを備えている。
【0003】
図10及び図11には、ワイパーアーム101におけるアームヘッド102とリテーナ103の連結部分の断面図を示す。図示されるように、ワイパーアーム101は、フック部材106と、スプリング107とを備えている。
【0004】
フック部材は、C字型の形状を有するものであり、連結ピン105の下方に配置されている。フック部材106は、一端において、アームヘッド2に固定された係止ピン108に係合する一方で、他端において、スプリング107の一端に係合している。これに対して、スプリング107の他端は、リテーナ3に固定された係止ピン109に係合している。このような構成により、スプリング107が、フック部材106を介してアームヘッド2とリテーナ103との間に介装されるので、ワイパーアーム1の使用時において、リテーナ103がスプリング107により下方に回動する方向に付勢され、結果として、アームピース104に保持されたワイパーブレードが適度な押し付け力で被払拭面(例えば自動車のガラス面)に押し付けられるようになっている。
【0005】
リテーナ103は、通常使用状態においては、図10に示すようにアームヘッド102と略一直線上に配置された状態にあるが、必要に応じて、図11に示すように上方に回動させられ、アームヘッド102に対して角度を持って配置された起立状態とできるようになっている。このようにリテーナ103を起立させていくと、フック部材106は、上方に移動し、連結ピン105に近づいていくが、フック部材106はC字型の形状を有しているので、図11に示すように連結ピン105がフック部材106のC字型の内側に入り込む配置となり、連結ピン105とフック部材106との間で干渉が生じないようになっている。
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、従来のワイパーアーム101においては、C字型形状のフック部材106が、連結ピン105の下方に配置されていたので、ワイパーアーム101の通常使用状態において、図9又は図10に示すように、フック部材106がワイパーアーム101の下側からはみ出してしまっていた。このため、ワイパーアーム101の厚みは、フック部材106の張り出し分だけ厚くなってしまい、ワイパー装置を自動車のガラス面に設置したときに、ワイパーアーム101がガラス面の中で配置される位置が高くなってしまい、その分、運転者の視界を狭めてしまっていた。また、フック部材106のはみ出しは、ワイパーアーム1の外観も損ねていた。
【0007】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、アームヘッドとアーム本体を連結ピンを介して回動可能に連結するとともに、アームヘッドとアーム本体との間に、フック部材を介してスプリングを介装したワイパーアームにおいて、フック部材のワイパーアームの下側からのはみ出しを無くすことにより、薄型化され、外観が向上されたワイパーアームを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、駆動機構に連結可能なアームヘッドと、前記アームヘッドに対して連結ピンを介して連結され、前記アームヘッドに対して起立した状態へと回動可能なアーム本体と、前記アームヘッドに取り付けられ、前記連結ピンに隣接して配置されたフック部材と、前記フック部材と前記アーム本体との間に設けられたスプリングとを備えたワイパーアームにおいて、前記フック部材を、前記連結ピンに対して、前記アーム本体が起立する側に配置した。
【0009】
前記アームヘッドの上面と前記アーム本体の上面に、それぞれ切り欠き部を備え、前記アーム本体が上方に回動したときに、前記フック部材が前記切り欠き部内に配置されるようにしてもよい。
【0010】
前記アームヘッドに、前記アーム本体が所定の角度を超えて回動しようとしたときに前記フック部材と当接して前記アーム本体の回動を制限するストッパ部を備えてもよい。
前記ストッパ部は、前記アームヘッドに形成された切り欠き部の端部であってもよい。
【0011】
前記ストッパ部は、前記アームヘッドに取り付けられたストッパ部材に設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ワイパーアーム(例えばワイパーアーム1)において、フック部材(例えばフック部材6)が、アームヘッド(例えばアームヘッド2)とアーム本体(例えばリテーナ3とアームピース4)を連結する連結ピン(例えば連結ピン5)に対して、アーム本体が起立していく側に配置されているので、ワイパーアームが、アームヘッドとアーム本体が略一直線上に配置された通常使用状態にあるときにも、フック部材は、アームヘッド及びリテーナの下側に、はみ出すことがない。したがって、フック部材のはみ出しがない分、ワイパーアームの厚みを小さくすることができるので、自動車に装着した時にワイパーアーム全体を低い位置に配置でき、運転者の視界を妨げないようにできる。また、ワイパーアームの外側にフック部材がはみ出していないので、ワイパーアームの外観が向上する。
【0013】
また、アームヘッドの上面とアーム本体の上面に、それぞれ切り欠き部(例えば切り欠き部2C及び切り欠き部3B)を備え、アーム本体が回動したときに、フック部材が切り欠き部内に配置されるようにすれば、フック部材が連結ピンの上側に配置されているにもかかわらず、アーム本体を起立させていくときに、フック部材がアームヘッド又はアーム本体と干渉することはなく、アーム本体の起立動作が妨げられないようにできる。
【0014】
また、アームヘッドに、前記アーム本体が所定の角度を超えて回動しようとしたときにフック部材と当接してアーム本体の回動を制限するストッパ部(例えば、切り欠き部2Cの端部2D、ストッパ部材10の前端部10C、ストッパ部材11の下端部11A)を備えれば、起立状態におけるアームヘッドとアーム本体の間の角度を、適切な角度に制限することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して本発明の各実施形態を説明する。
図1及び図2には、本発明の実施形態におけるワイパーアーム1の全体構成を示す。図示されるように、ワイパーアーム1は、アームヘッド2と、アームヘッド2に連結されたリテーナ3と、リテーナ3に取り付けられたアームピース4とから構成される。なお、リテーナ3とアームピース4により、アーム本体が構成される。
【0016】
アームヘッド2は、ワイパーアーム1全体の基端部分を構成する部材であり、図示されない駆動モータと連結される基端部2Aと、リテーナ3と連結された先端部2Bとを備えている。リテーナ3は、天面と両側面からなる断面コの字型の部材であり、基端部3Aにおいて、ワイパーアーム1を横切る方向に延びる連結ピン5を介して、アームヘッド2の先端部2Bに対して回動可能に取り付けられている。アームピース4は、図示されないワイパーブレードを保持する部分であり、その先端部分に、ワイパーブレードとの係合部であるUフック部4Aを備えている。
【0017】
図3及び図4には、アームヘッド2とリテーナ3の連結部分の断面図を示す。図3は、アームヘッド2に対してリテーナ3が略一直線上に配置された通常使用状態におけるワイパーアーム1を、図4は、アームヘッド2に対してリテーナ3が起立した状態へと回動した起立状態におけるワイパーアーム1を、それぞれ示している。図示されるように、ワイパーアーム1は、連結ピン5の周囲に配設されたフック部材6と、リテーナ3の両側面の間に配置されたスプリング7とを備えている。
【0018】
フック部材6は、基端部6Aと、先端部6Bと、湾曲部6Cとを備えた略C字型の部材である。基端部6Aは、アームヘッド2に設けられた係止ピン8に係合している。一方、先端部6Bは、スプリング7の基端部7Aと係合している。湾曲部6Cは、基端部6Aと先端部6Bとの間の略C字型に湾曲した部分であり、連結ピン5を上側から取り囲むように、連結ピン5の周りに配置されている。このように、本実施形態のワイパーアーム1においては、フック部材6が連結ピン5の上側(リテーナ3が起立していく側)に配置されているので、ワイパーアーム1が通常使用状態(図3の状態)にあるときでも、フック部材6がアームヘッド2及びリテーナ3の下側にはみ出すことがないようになっている。
【0019】
スプリング7は、両端に基端側係合部7Aと先端側係合部7Bとを備えている。基端側係合部7Aは、フック部材6の先端部6Bに係合している。先端側係合部7Bは、リテーナ3に固定された係止ピン9に係合している。これにより、スプリング7は、アームヘッド2とリテーナ3との間に、フック部材6を介して介装され、ワイパーアーム1の使用時(通常使用状態)においては、リテーナ3を下方に回動する方向に付勢して、ワイパーブレードを適度な押し付け力で被払拭面(例えば自動車のガラス面)に押し付けるようになっている。
【0020】
アームヘッド2の先端2Bの上面及びリテーナ3の基端部3Aの上面には、それぞれ切り欠き部2C及び切り欠き部3Bが形成されている。これらの切り欠き部2C及び切り欠き部3B内に、フック部材6の湾曲部6Cが配置される。これにより、リテーナ3をアームヘッド2に対して起立状態へと(上方に)回動させたとき、切り欠き部2C及び切り欠き部3B内に配置されたフック部材6の湾曲部6Cが上方に移動することができ、フック部材6がアームヘッド2又はリテーナ3とぶつかって、リテーナ3の起立動作が阻害されることがないようになっている。
【0021】
アームヘッド2の切り欠き部2Cは、基端側に余裕をもって形成されており、リテーナ3を起立させたときに、フック部材6の基端方向への動きを許容するようになっている。この場合、切り欠き部2Cの基端側の端部2Dは、ストッパ部として機能する。すなわち、リテーナ3を所定の角度を超えて回動させようとすると、ワイパーアーム1の基端側に移動したフック部材6がストッパ部2Dに当接するため、リテーナ3のそれ以上の回動が禁止される。これにより、リテーナ3の起立のための回動が、所定の角度に適切に制限されるようになっている。
【0022】
以上のように、本実施形態のワイパーアーム1によれば、フック部材6は、アームヘッド2とリテーナ3を連結する連結ピン5に対して、リテーナ3が起立していく側(上側)に配置されているので、ワイパーアーム1が通常使用状態(図3の状態)にあるときにもフック部材6がアームヘッド2及びリテーナ3の下側に、はみ出すことがない。したがって、フック部材6のはみ出しがない分、ワイパーアーム1の厚みを小さくすることができるので、自動車に装着した時にワイパーアーム1全体を低い位置に配置でき、運転者の視界を妨げないようにできる。また、ワイパーアーム1の外側にフック部材6がはみ出していないので、ワイパーアーム1の外観が向上する。
【0023】
一方、ワイパーアーム1を起立状態(図4の状態)とするときには、フック部材6は、アームヘッド2及びリテーナ3に形成された切り欠き部2C及び切り欠き部3B内に配置されるので、フック部材6が連結ピン5の上側に配置されているにもかかわらず、リテーナ3の回動中に、フック部材6とアームヘッド2又はリテーナ3とが干渉しあうことはなく、リテーナ3の起立動作が妨げられることはない。また、リテーナ3が所定の角度まで回動すると、フック部材6がストッパ部である端部2Dに当接して、リテーナ3の回動を制限するので、起立状態におけるアームヘッド2とリテーナ3の間の角度を、適切な角度に保持することができる。
【0024】
図5及び図6には、本発明の他の実施形態を示す。本実施形態において、ワイパーアーム1は、上記図1〜図4の実施形態のように、アームヘッド2の切り欠き部2Cの端部2Dをストッパ部とする代わりに、アームヘッド2に取り付けられたストッパ部材10を備えている。
【0025】
図示されるように、ストッパ部材10は、中間部10Aと、中間部10Aの両端から直角方向に延びる後端部10B及び前端部10Cとからなるコの字型の部材であり、後端部10Bにおいて、アームヘッド2の上面に固定されている。一方、前端部10Cは、フック部材6の下側に配置され、フック部材6が、後端部10Bと前端部10Cの間に配置されるようになっている。このような構成により、ストッパ部材10の前端部10Cは、フック部材6とアームヘッド2の上面に当接するストッパ部として機能する。すなわち、リテーナ3を所定の角度を超えて回動させようとすると、リテーナ3の回動に伴って後方に移動してきたフック部材6とアームヘッド2の上面との隙間に、ストッパ部材10の前端部10Cが移動することにより、アーム本体が略一直線上になるのが制限されるようになっている。
【0026】
図7及び図8には、本発明のさらに他の実施形態を示す。図示されるように、本実施形態において、ワイパーアーム1は、図5及び図6の実施形態におけるストッパ部材10に代えて、ストッパ部材11を備えている。図示されるように、ストッパ部材11は、アームヘッド2に固定された下端部11Aと、下端部11Aから上方に延び出してフック部材6の上方に配置された上端部11Bとを備えている。このような構成により、ストッパ部材11の下端部11Aは、フック部材6に当接するストッパ部として機能する。すなわち、リテーナ3を所定の角度まで回動させると、フック部材6とアームヘッド2の上面との隙間に、ストッパ部材11の下端部11Aが移動することにより、アーム本体が略一直線上になるのが制限されるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態におけるワイパーアームの全体構成を示す平面図である。
【図2】同じくワイパーアームの全体構成を示す平面図である。
【図3】同じく通常使用状態にあるワイパーアームのアームヘッドとリテーナの連結部分を示す断面図である。
【図4】同じく起立状態にあるワイパーアームのアームヘッドとリテーナの連結部分を示す断面図である。
【図5】本発明の他の実施形態におけるワイパーアームを示す平面図である。
【図6】同じく側面図である。
【図7】本発明のさらに他の実施形態におけるワイパーアームを示す平面図である。
【図8】同じく側面図である。
【図9】従来のワイパーアームを示す側面図である。
【図10】従来のワイパーアームにおける通常使用状態にあるワイパーアームのアームヘッドとリテーナの連結部分を示す断面図である。
【図11】同じく起立状態にあるワイパーアームのアームヘッドとリテーナの連結部分を示す断面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 ワイパーアーム
2 アームヘッド
2C 切り欠き部
2D 切り欠き部の端部
3 リテーナ
3B 切り欠き部
4 アームピース
4A フック部
5 連結ピン
6 フック部材
7 スプリング
8 係止ピン
9 係止ピン
10 ストッパ部材
10C ストッパ部材の前端部
11 ストッパ部材
11A ストッパ部材の下端部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動機構に連結可能なアームヘッドと、
前記アームヘッドに対して連結ピンを介して連結され、前記アームヘッドに対して起立した状態へと回動可能なアーム本体と、
前記アームヘッドに取り付けられ、前記連結ピンに隣接して配置されたフック部材と、
前記フック部材と前記アーム本体との間に設けられたスプリングとを備えたワイパーアームにおいて、
前記フック部材を、前記連結ピンに対して、前記アーム本体が起立する側に配置したことを特徴とするワイパーアーム。
【請求項2】
前記アームヘッドの上面と前記アーム本体の上面に、それぞれ切り欠き部を備え、前記アーム本体が上方に回動したときに、前記フック部材が前記切り欠き部内に配置されるようにした請求項1に記載のワイパーアーム。
【請求項3】
前記アームヘッドに、前記アーム本体が所定の角度を超えて回動しようとしたときに前記フック部材と当接して前記アーム本体の回動を制限するストッパ部を備えた請求項1又は2に記載のワイパーアーム。
【請求項4】
前記ストッパ部は、前記アームヘッドに形成された切り欠き部の端部である請求項3に記載のワイパーアーム。
【請求項5】
前記ストッパ部は、前記アームヘッドに取り付けられたストッパ部材に設けられている請求項3に記載のワイパーアーム。
【請求項1】
駆動機構に連結可能なアームヘッドと、
前記アームヘッドに対して連結ピンを介して連結され、前記アームヘッドに対して起立した状態へと回動可能なアーム本体と、
前記アームヘッドに取り付けられ、前記連結ピンに隣接して配置されたフック部材と、
前記フック部材と前記アーム本体との間に設けられたスプリングとを備えたワイパーアームにおいて、
前記フック部材を、前記連結ピンに対して、前記アーム本体が起立する側に配置したことを特徴とするワイパーアーム。
【請求項2】
前記アームヘッドの上面と前記アーム本体の上面に、それぞれ切り欠き部を備え、前記アーム本体が上方に回動したときに、前記フック部材が前記切り欠き部内に配置されるようにした請求項1に記載のワイパーアーム。
【請求項3】
前記アームヘッドに、前記アーム本体が所定の角度を超えて回動しようとしたときに前記フック部材と当接して前記アーム本体の回動を制限するストッパ部を備えた請求項1又は2に記載のワイパーアーム。
【請求項4】
前記ストッパ部は、前記アームヘッドに形成された切り欠き部の端部である請求項3に記載のワイパーアーム。
【請求項5】
前記ストッパ部は、前記アームヘッドに取り付けられたストッパ部材に設けられている請求項3に記載のワイパーアーム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−218588(P2012−218588A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86622(P2011−86622)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(000230515)日本ワイパブレード株式会社 (52)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(000230515)日本ワイパブレード株式会社 (52)
【Fターム(参考)】
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