説明

ワイパ制御装置及びワイパ制御方法

【課題】リバーシングワイパ装置における経年変化によるワイパ動作の制御ズレに対応し得るワイパ制御装置及び制御方法を提供する。
【解決手段】正逆回転可能なワイパモータは、ワイパブレードの位置に対応して設定された目標速度マップに基づいて制御される。ワイパブレードが実際に往復揺動する時間を示す実周期を算出し、目標周期と実周期とを比較する(S1)。実周期が目標周期の範囲外となった場合、実周期が目標周期の範囲内に収まるように目標速度マップ71を自動調整する(S2〜S14)。実周期と目標周期の大小関係により目標速度マップ71を調整(S2〜S4)した後、ブレード反転位置を測定して(S5)、反転目標位置と比較する(S6,S10)。ブレードが反転目標位置から所定角度以上離れた位置で反転している場合、目標速度を再調整する(S7〜S9,S11〜S13)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータの正逆転によってワイパアームを往復動させるリバーシングワイパ装置の制御技術に関し、特に、モータの経年変化による特性変化に対応してワイパ装置の制御形態を自動的に調整するワイパ制御装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両に搭載されるリバーシングワイパ装置では、ワイパアームの位置に対応して目標速度を設定し、この目標速度に基づいて駆動源であるモータをフィードバック制御している。また、ワイパアームの作動方向が切り替わる上下の反転位置では、ワイパアームを所定位置にてスムーズに反転させるため、アームの惰走距離に基づいた反転制御が実施されている。この反転制御では、反転位置付近にアームが到達すると、モータの現在速度から、モータ出力を停止したときのアームの惰走距離が推定され、この推定惰走距離と反転位置までの距離とに基づいて、反転位置の手前でモータの出力を停止する。そして、アームが反転位置に至る直前に、予め規定された逆転出力を開始する。これにより、モータ逆転時における過大電流やノイズを防止しつつ、ワイパアームが所定の反転位置にてタイムラグなく反転する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2004-504202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようなリバーシングワイパ装置では、各種制御定数が初期のモータ特性やモータ負荷に合わせて設定されているため、経年変化によってモータ特性やモータ負荷が変化すると、払拭周期や反転位置が規定の状態からずれてしまう可能性がある、という問題があった。例えば、前述の目標速度によるフィードバック制御では、経年変化によってモータ出力が低下すると、モータが制御に追従できず、制御遅れが生じて所定の払拭周期が維持できないおそれが生じる。この場合、制御遅れを取り戻すべくモータへの供給電流を増大させると、アームの速度や加速度が過大となり、今度は反転位置をオーバーランしてしまうおそれがある。
【0005】
また、前述の反転制御では、モータ出力が低下しているにもかかわらず初期時と同様の制御を行うと、想定よりも手前でアームが停止し、反転位置にてショートランが生じたり、反転時に停止タイムラグが生じたりするおそれがある。この場合も、ショートランを検知してモータへの供給電流を増大させると、ブレード速度が速くなり過ぎ、払拭周期が短くなったり、次の反転位置をオーバーランしてしまったりするおそれがある。さらに、モータ負荷の変動によっても、同様に払拭周期や反転位置のズレが生じるおそれがあり、このような経年変化によるワイパ動作の変化への対策が求められていた。
【0006】
本発明の目的は、リバーシングワイパ装置における経年変化によるワイパ動作の制御ズレに対応し得るワイパ制御装置及び制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のワイパ制御装置は、正逆回転可能な電動モータと、ガラス面上に配置され、前記電動モータを正逆回転させることにより、前記ガラス面上にて往復揺動するワイパブレードと、前記ガラス面上における前記ワイパブレードの位置に対応して設定された目標速度に基づいて、前記電動モータの回転速度を制御するモータ駆動指令部と、を有するワイパ制御装置であって、該ワイパ制御装置は、前記ワイパブレードが前記ガラス面上を実際に往復揺動する時間を示す実周期を算出する実周期算出部と、前記ワイパブレードが前記ガラス面上にて往復揺動する時間の目標値を所定範囲にて示した目標周期と前記目標速度が格納された記憶手段と、前記目標周期と前記実周期とを比較する周期比較部と、前記実周期が前記目標周期の範囲外となった場合、前記実周期が前記目標周期の範囲内に収まるように前記目標速度を調整する制御変更部と、を有することを特徴とする。
【0008】
本発明にあっては、実際の払拭周期を計測し、それを所定の目標周期と比較する。そして、実周期が目標周期の範囲外となった場合、目標速度を自動調整して周期を調整する。これにより、経年によってモータ特性やモータ負荷が変化し、ワイパ払拭時間に変化が生じても、適宜モータ制御形態を調整してこの変化に対応できる。
【0009】
前記ワイパ制御装置において、前記ワイパ制御装置に、前記ワイパブレードの反転位置を測定する反転位置測定部と、前記反転位置測定部にて測定された前記ワイパブレードの実際の反転位置と、前記ガラス面上にて予め設定された反転目標位置とを比較する反転位置等確認部と、をさらに設け、前記目標速度を調整した後、前記反転目標位置から所定角度以上離れた位置にて反転している場合、前記制御変更部によって、前記目標速度を再調整するようにしても良い。
【0010】
また、前記反転位置測定部によって、前記ワイパブレードの反転時における初動加速度を算出すると共に、反転位置等確認部によって、前記反転位置測定部にて算出された前記初動加速度と所定の閾値と比較し、前記目標速度を調整した後、前記ワイパブレードの前記加速度が、前記閾値が示す規定範囲外となった場合、前記制御変更部によって、前記目標速度を再調整するようにしても良い。
【0011】
さらに、前記格納部に、前記ワイパブレードの位置をパラメータとして前記目標速度を規定した目標速度マップを格納し、前記制御変更部によって、前記目標速度マップを調整するようにしても良い。この場合、前記目標速度マップを、前記ワイパブレードが初動時から所定速度に達するまでの加速領域における前記目標速度を示す加速マップと、前記ワイパブレードが加速領域後に所定速度にて駆動される定速領域における前記目標速度を示す定速度マップと、前記ワイパブレードが定速領域後に反転位置に向かって減速される減速領域における前記目標速度を示す減速マップと、を備えた構成としても良い。
【0012】
一方、本発明のワイパ制御方法は、正逆回転可能な電動モータと、ガラス面上に配置され、前記電動モータを正逆回転させることにより前記ガラス面上にて往復揺動するワイパブレードと、を有し、前記ガラス面上における前記ワイパブレードの位置に対応して設定された目標速度に基づいて、前記電動モータの回転速度が制御されるワイパ装置の制御方法であって、前記ワイパブレードが前記ガラス面上を実際に往復揺動する時間を示す実周期を算出し、前記ワイパブレードが前記ガラス面上にて往復揺動する時間の目標値を所定範囲にて示した目標周期と前記実周期とを比較し、前記実周期が前記目標周期の範囲外となった場合、前記実周期が前記目標周期の範囲内に収まるように前記目標速度を調整することを特徴とする。
【0013】
本発明にあっては、実際の払拭周期を計測し、それを所定の目標周期と比較する。そして、実周期が目標周期の範囲外となった場合、目標速度を自動調整して周期を調整する。これにより、経年によってモータ特性やモータ負荷が変化し、ワイパ払拭時間に変化が生じても、適宜モータ制御形態を調整してこの変化に対応できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のワイパ制御装置によれば、電動モータを正逆回転させることによりガラス面上にて往復揺動するワイパブレードを備え、ガラス面上におけるワイパブレードの位置に対応して設定された目標速度に基づいて、電動モータの回転速度を制御するワイパ制御装置にて、ワイパブレードの実周期を算出する実周期算出部と、記憶手段に格納された目標周期と実周期とを比較する周期比較部と、実周期が目標周期の範囲外となった場合、実周期が目標周期の範囲内に収まるように目標速度を調整する制御変更部と、を設けたので、経年によってモータ特性やモータ負荷が変化し、ワイパ払拭時間に変化が生じても、実周期が目標周期の範囲内に収まるように目標速度を自動調整することができる。このため、モータ特性等に経年変化が生じても、ワイパ払拭動作を所定の形態にて制御でき、ワイパシステムの性能保証年数を拡大することが可能となる。
【0015】
また、本発明のワイパ制御方法によれば、電動モータを正逆回転させることによりガラス面上にて往復揺動するワイパブレードを備え、ガラス面上におけるワイパブレードの位置に対応して設定された目標速度に基づいて、電動モータの回転速度が制御されるワイパ装置の制御方法にて、ワイパブレードがガラス面上を実際に往復揺動する時間を示す実周期を算出し、この実周期と予め設定された目標周期とを比較し、実周期が目標周期の範囲外となった場合、実周期が目標周期の範囲内に収まるように目標速度を調整するので、経年によってモータ特性やモータ負荷が変化し、ワイパ払拭時間に変化が生じても、実周期が目標周期の範囲内に収まるように目標速度を自動調整することができる。このため、モータ特性等に経年変化が生じても、ワイパ払拭動作を所定の形態にて制御でき、ワイパシステムの性能保証年数を拡大することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施例である制御処理が適用されるワイパモータを備えたリバーシングワイパ装置を示す説明図である。
【図2】DR側のワイパモータの構成を示す断面図である。
【図3】本発明におけるモータ制御系の構成を示す説明図である。
【図4】本発明による経年変化調整系の構成を示すブロック図である。
【図5】ワイパモータの制御形態を示す説明図である。
【図6】本発明による経年変化調整処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の一実施例である制御処理が適用されるワイパモータを備えたリバーシングワイパ装置を示す説明図である。図1のワイパシステム11は、自動車のウインドガラス(フロントガラス)12に付着した雨水等を拭き取って運転者の視界を確保するために設けられている。
【0018】
ワイパシステム11には、被動部材として、ウインドガラス12に弾圧的に接触する運転席側(DR側)のワイパブレード13aと、助手席側(AS側)のワイパブレード13bが設けられている。ワイパブレード13aはワイパアーム14aに、ワイパブレード13bはワイパアーム14bにそれぞれ取り付けられている。ワイパアーム14a,14bは、車体の左右両側部に配置されたワイパ軸15a,15bに取り付けられており、ワイパ軸15a,15bの回転に伴い、所定の角度範囲で揺動する。ワイパシステム11は対向払拭型の装置となっており、ワイパブレード13a,13bは、ウインドガラス12の左右両側の上反転位置と、中央部の下反転位置との間の払拭範囲で揺動(往復動)する。
【0019】
DR側のワイパアーム14aを揺動させるため、車体にはワイパモータ21aが取り付けられている。ワイパモータ21aは、出力軸22aが所定の範囲で正逆回転し、出力軸22aは、伝達機構を介してワイパ軸15aと接続されている。伝達機構は、出力軸22aに固定されたクランクアーム23a、クランクアーム23aに接続された連結ロッド24a、連結ロッド24aに接続されワイパ軸15aに固定された駆動レバー25aなどの機構部品から構成されている。ワイパモータ21aが作動し出力軸22aが回転すると、その回転運動が伝達機構を介してワイパ軸15aに伝わり、ワイパアーム14aとワイパブレード13aが揺動する。
【0020】
AS側もDR側と同様の構成となっており、車体には、ワイパアーム14bを揺動駆動するためのワイパモータ21bが取り付けられている。ワイパモータ21bもまた、出力軸22bが所定の範囲で正逆回転し、ワイパモータ21bの出力軸22bは、DR側と同様に、伝達機構を介してワイパ軸15bと接続されている。伝達機構は、出力軸22bに固定されたクランクアーム23b、クランクアーム23bに接続された連結ロッド24b、連結ロッド24bに接続されワイパ軸15bに固定された駆動レバー25bなどの機構部品から構成されている。ワイパモータ21bが作動し出力軸22bが回転すると、その回転運動が伝達機構を介してワイパ軸15bに伝わり、ワイパアーム14bとワイパブレード13bが揺動する。
【0021】
次に、各ワイパモータ21a,21bの構造について説明する。図2は、DR側のワイパモータ21aの構成を示す断面図である。なお、DR側のワイパモータ21aとAS側のワイパモータ21bは基本的に同様の構造となっているため、以下では主にDR側のワイパモータ21aについて説明する。
【0022】
図2に示すように、ワイパモータ21aは減速機構付き電動モータとなっており、モータ本体31と減速機32とを有している。モータ本体31は、いわゆるブラシ付き直流モータとなっている。モータ本体31は、有底筒状に形成されたモータヨーク33を有している。モータヨーク33の内部には、アマチュア軸34aを備えたアマチュア34が回転自在に収容されている。アマチュア軸34aには、コミュテータ35が固定されている。コミュテータ35には、ブラシホルダ36に保持された一対のブラシ37(図中では一方のみを示す)が摺接している。ブラシ37を介してアマチュア34に駆動電流が供給されると、その駆動電流の向きに応じて、アマチュア軸34aが正転または逆転方向に回転する。
【0023】
減速機32は、ギヤケース38を有している。ギヤケース38は、バスタブ状に形成された金属製のケース本体38aと、ケース本体38aを閉塞する樹脂製のカバー38bとを備えている。ケース本体38aは、モータ本体31のモータヨーク33に固定されている。ギヤケース38の内部には、減速機構41が収容されている。アマチュア軸34aの回転は、この減速機構41によって所定の回転数にまで減速され、出力軸22aから出力される。
【0024】
減速機構41は、ウォームギヤ機構となっている。減速機構41のウォーム41aは、ケース本体38aの内部に突出するアマチュア軸34aの外周面に、アマチュア軸34aと一体に形成されている。ウォーム41aに噛み合うウォームホイル41bは、ケース本体38aの内部に突出する出力軸22aの基端部に固定されている。ケース本体38aにはボス部38cが設けられており、出力軸22aは、このボス部38cに回転自在に支持されている。出力軸22aの先端部は、ギヤケース38の外部に突出し、前述のクランクアーム23aに連結されている。
【0025】
モータ本体31の動作を制御するため、ワイパモータ21aには、制御基板42が設けられている。制御基板42は、カバー38bの内側に固定された状態でギヤケース38の内部に収容されている。制御基板42は、配線が施された基板42aを備えており、基板42a上には、複数の電気部品42b(図中には一つのみ示す)が搭載されている。電気部品42bとしては、モータ制御装置であるCPU51やROM52,RAM53等の制御系の素子と、FET54等のパワー系の素子等が搭載されている。
【0026】
図3は、本発明におけるモータ制御系の構成を示す説明図である。図3に示すように、CPU51は、イグニッションスイッチ43を介してバッテリ44と接続されており、ワイパスイッチ55によってワイパアーム14a,14bの動作形態(OFF,INT,LO,HI)を切り替えられるようになっている。また、アマチュア軸34aの回転を検出するため、制御基板42には一対の回転センサ46a,46bが設けられており、これに対応して、アマチュア軸34aには第1のセンサマグネット45が固定されている。さらに、出力軸22aの回転角度を検出するため、制御基板42には角度センサ48が設けられており、これに対応して、出力軸22aの基端部には第2のセンサマグネット47が固定されている。CPU51は、回転センサ46a,46bから入力されるパルス信号と、角度センサ48から入力される角度検出信号に基づいて、モータ本体31の動作を制御する。
【0027】
第1のセンサマグネット45は、多極着磁マグネットとなっており、環状(リング状)に形成されている。第1のセンサマグネット45の外周には、N極とS極とが周方向に交互に並ぶように10極の磁極が着磁されている。第1のセンサマグネット45は、アマチュア軸34aに嵌合固定され、アマチュア軸34aと共に回転する。回転センサ46a,46bには、ホール素子センサ(ホールIC)が使用されている。回転センサ46a,46bは、それぞれ互いに所定の間隔を空けて制御基板42上に固定され、第1のセンサマグネット45の外周面に対向している。アマチュア軸34aが回転すると、回転センサ46a,46bからは、アマチュア軸34aの回転速度に応じた周期のパルス信号が出力される。回転センサ46a,46bは、出力されるパルス信号の位相が互いに90度ずれるように所定の間隔を空けて配置されており、位相のずれ方向は、アマチュア軸34aの回転方向に応じて反転する。
【0028】
回転センサ46a,46bは、CPU51に配線を介して接続されており、回転センサ46a,46bが出力するパルス信号は、CPU51に入力される。回転センサ46a,46bからパルス信号が入力されると、CPU51は、各パルス信号の出現順に基づいてアマチュア軸34aの回転方向を認識すると共に、各パルス信号の周期に基づいてアマチュア軸34aの回転速度を認識する。そして、これらの認識情報に基づいて、モータ本体31の動作を制御する。
【0029】
一方、第2のセンサマグネット47は円錐台状に形成されており、その外周には、周方向に並ぶ一対の磁極が着磁されている。第2のセンサマグネット47は、出力軸22aと同軸となるように、当該出力軸22aの基端部に、制御基板42に対向して固定されている。出力軸22aが回転すると、第2のセンサマグネット47は出力軸22aと共に回転する。角度センサ48は、第2のセンサマグネット47の軸方向端面に対向するように制御基板42上に固定されている。角度センサ48は、磁気抵抗素子センサ(MRセンサ)となっており、出力軸22aが回転すると、角度センサ48からは出力軸22aの基準位置Ps1からの回転角度a1に応じた角度検出信号が出力される。
【0030】
本実施例では、ワイパアーム14aの下反転位置に対応する位置が基準位置Ps1とされている。基準位置Ps1から、ワイパアーム14aの上反転位置に対応する位置まで出力軸22aが回転すると、その回転角度a1に比例した角度検出信号が角度センサ48から出力される。つまり、角度センサ48は、ワイパアーム14aの上下反転位置間にて、出力軸22aの回転角度a1に比例した角度検出信号を出力する。
【0031】
角度センサ48もまたCPU51に配線を介して接続されており、CPU51には角度センサ48からの角度検出信号が入力される。CPU51は、角度センサ48から角度検出信号が入力されると、この角度検出信号に基づいて、出力軸22aの回転角度a1、つまり、ワイパアーム14aの絶対位置を認識する。CPU51は、この認識情報に基づいて、モータ本体31の動作を制御する。
【0032】
なお、DR側のワイパモータ21aの制御基板42と、AS側のワイパモータ21bの制御基板42は、互いに通信線49a,49bによって接続されている。ワイパモータ21aの角度センサ48が出力した角度検出信号は、ワイパモータ21bのCPU51にも入力される。また、ワイパモータ21bの角度センサ48が出力した角度検出信号は、ワイパモータ21aのCPU51にも入力される。DR側とAS側のCPU51は、それぞれ相手方の角度検出信号を取得して両ワイパアーム14a,14bの位置を認識し、両者が干渉しないようにモータ本体31を作動させる。
【0033】
ここで、従来のリバーシングワイパ装置では、前述のように、ワイパモータ21a,21bを、初期のモータ特性やモータ負荷に合わせた制御形態にて駆動しており、モータ特性やモータ負荷の経年変化は特に考慮されていなかった。このため、モータ特性等の経年変化により、払拭周期や反転位置が規定の状態からずれてしまい、払拭周期の変動や、ワイパブレードのオーバーランやショートランが生じるおそれがあった。そこで、本発明のワイパシステム11では、払拭周期(ワイパアーム14aが下反転位置から上反転位置を経て下反転位置に戻るまでの一払拭動作の払拭時間)や反転位置を、モータ特性等が経年変化した場合を想定して設けられた規定の閾値と比較する。そして、払拭周期等が所定条件を満たした場合には、経年変化調整処理を開始して、制御形態を現在のモータ特性等に合わせて調整し、オーバーラン等のワイパ動作のズレを未然に防止する。
【0034】
図4は、このような制御処理を行うCPU51における経年変化調整系の構成を示すブロック図である。図4に示すように、CPU51には、回転センサ46a,46bと角度センサ48の信号からモータ速度やブレード位置等を算出し、これらのデータに基づいてワイパモータ21aをフィードバック制御するモータ駆動指令部60が設けられている。モータ駆動指令部60は、ROM52内に格納されている目標速度マップ71や、反転目標位置、逆転出力定数、ブレーキ開始ポイント等の各種制御条件に従って、ワイパモータ21aの駆動制御を行い、ワイパアーム14aの位置に応じてアーム速度を制御し、上下反転位置にてワイパモータ21aを反転させる。
【0035】
目標速度マップ71には、ワイパブレード13aの位置に対応して設定されたワイパモータ21aの目標速度(PWM制御のduty比)が格納されている。ワイパモータ21aは、ワイパアーム14a(ワイパブレード13a)の位置、すなわち、出力軸22aの回転角度に応じて、目標速度マップ71を参照しつつ、図5のような制御形態にてPWM制御される。図5に示すように、ワイパモータ21aの制御形態は、反転位置から加速終了ポイントP1までは加速領域、加速終了ポイントP1からブレーキポイントP2までは定速領域、ブレーキポイントP2から反転位置までは減速領域となっている。
【0036】
目標速度マップ71は、加速マップ71aと定速度マップ71b、減速マップ71cとを備えている。加速マップ71aには、反転時におけるワイパブレード13a(ワイパモータ21a)の初動加速度や、その後の加速制御形態が示されている。ブレードの初動加速度は、反転位置にてワイパモータ21aを逆転させる際に、反転位置直前の速度に対して設定される逆転出力定数(duty)と関係しており、逆転出力定数が大きくなるほど、初動加速度は大きくなる。また、定速度マップ71bには、定速領域でのワイパモータ21aの目標速度が示されている。さらに、減速マップ71cには、ブレーキポイントP2以後におけるワイパモータ21aの減速制御形態が示されている。各マップには、出力軸22aの回転角度(ワイパアーム14aの位置)に対応して、例えば、「ワイパアーム14aが下反転位置からθ度の位置ではdutyX%」のような形で、ワイパモータ21aの駆動状態が設定されている。
【0037】
CPU51は、モータ駆動指令部60に加えて、払拭周期算出部61、経年変化調整処理開始判定部62(以下、処理開始判定部62と略記する)及び払拭周期比較部63を備えている。払拭周期算出部61は、回転センサ46a,46bと角度センサ48からの信号に基づいて、ワイパアーム14aの実際の払拭周期(実払拭周期)を算出する。処理開始判定部62は、払拭周期算出部61にて算出した実払拭周期と、払拭周期に対して設定された上下の判定閾値(払拭周期調整上限値,払拭周期調整下限値:ROM52内に格納)とを比較して、経年変化調整処理の要否を判定する。払拭周期比較部63は、払拭周期算出部61にて算出した実払拭周期と、ROM52内に格納されている制御上の目標周期とを比較する。
【0038】
CPU51にはさらに、反転位置測定部64と反転位置等確認部65が設けられている。反転位置測定部64は、回転センサ46a,46bと角度センサ48からの信号に基づいて、ワイパアーム14aの上下反転位置を検出する。また、反転位置測定部64は、併せて、反転時におけるワイパブレード13aの初動加速度を算出し、初動加速度に対して設定された上下の判定閾値(初動加速度上限値,初動加速度下限値:ROM52内に格納)とを比較する。反転位置等確認部65は、反転位置測定部64における反転位置の測定結果や初動加速度の算出結果から、ワイパブレード13aのオーバーラン・ショートランの検出や、初動加速度と閾値(初動加速度上限値・下限値)との比較を行う。
【0039】
加えて、CPU51には、払拭周期比較部63や反転位置等確認部65での結果に基づき、ワイパモータ21a(ワイパアーム14a)の制御形態を変更する制御変更部66が設けられている。制御変更部66は、払拭周期比較部63での実払拭周期と目標周期との比較に基づき、定速度マップ71bを調整して払拭周期を変更する。また、制御変更部66は、反転位置測定部64における測定結果(反転位置,反転初動加速度)に基づき、定速度マップ71bや減速マップ71c、逆転出力定数を適宜調整し、経年変化によるワイパ動作の変化に対応する。
【0040】
このような装置構成と処理系を備えたワイパシステム11では、次のようにしてワイパモータ21a,21bが駆動制御される。図6は、そのフローチャートである。まず、イグニッションスイッチ43がオンされると、制御基板42上のCPU51等に電源が供給される。このときCPU51は、ワイパアーム14aが下反転位置にあるときには、角度センサ48からの角度検出信号に基づいて、ワイパアーム14aが下反転位置つまり基準位置Ps1にあると認識する。この状態でワイパスイッチ55がオンされると、CPU51は、ワイパアーム14aを上反転位置に向けて移動させるようにモータ本体31を作動させる。モータ本体31が作動すると、CPU51は、回転センサ46a,46bからのパルス信号に基づいてアマチュア軸34aの回転速度を認識し、認識した回転速度に基づいて、目標速度マップ71を参照しつつ、モータ本体31をPWM制御する。
【0041】
ワイパアーム14aが上反転位置にまで達すると、CPU51は、角度センサ48からの角度検出信号に基づいてワイパアーム14aが上反転位置に達したことを認識する。上反転位置への到達を認識したCPU51は、モータ本体31の作動方向を反転させ、ワイパアーム14aを上反転位置から下反転位置に向けて移動させる。そして、ワイパアーム14aが下反転位置に達すると、CPU51は、角度センサ48からの角度検出信号によりワイパアーム14aが下反転位置に達したことを認識し、モータ本体31の動作方向を再度反転させる。以下、同様の行程を繰り返すことにより、ワイパアーム14aが所定の角度範囲で揺動払拭動作を行う。
【0042】
一方、モータ出力中は、払拭周期算出部61によって、ワイパアーム14aの払拭周期が算出されている。システム作動中は、ここで算出した実払拭周期と前述の払拭周期調整上限値及び下限値とが、払拭周期比較部63にて常時比較されており、処理開始判定部62では、この比較結果に基づいて経年変化調整処理の要否を判定する(ステップS1)。その際、実払拭周期が払拭周期調整下限値以上か、払拭周期調整上限値以下の場合は、払拭周期に特に問題はなく、経年変化も認められないと判断してルーチンを抜ける。一方、実払拭周期が払拭周期調整下限値未満、あるいは、払拭周期調整上限値を超えている場合は、払拭周期が遅すぎるか早すぎる状態であり、経年変化のおそれあり、と判断してステップS2以下の経年変化調整処理に進む。なお、S2における調整処理開始条件の具備、不備は、1回の判定結果によって決定すると、ノイズや特異データの存在により制御精度の低下を招来するおそれがあるため、条件具備という結果が複数回得られた場合など、判定結果の累積や頻度、連続等によって結果をフィルタリングしても良い。
【0043】
経年変化調整処理では、払拭周期や反転位置をCPU51内にて計測し、(A)払拭周期が規定範囲を超えた状態が一定期間継続した場合、目標速度マップ71を自動調整して周期を調整する。次に、(B)周期調整後、反転位置を確認し、調整後の実際のブレード反転位置が反転目標位置から所定角度以上離れている場合、目標速度マップ71を再調整したり、反転前後のモータ速度の変化からブレードの初動加速度を考慮し、ブレーキ開始条件や逆転出力定数等を自動調整したりする。そして、(A),(B)の処理を払拭周期が規定範囲内になるまで繰り返すことにより、経年変化によるワイパ動作の変化を調整する。
【0044】
そこで、経年変化調整処理に入ると、ステップS2では、払拭周期比較部63にて、改めて実払拭周期と目標周期とが比較される。S2にて目標周期が実払拭周期を超えている場合は、ワイパ速度が遅いと判断し、ステップS3に進み、定速度マップ71bを調整してアーム速度をアップさせ、実払拭周期を短くする。これに対し、S2にて目標周期が実払拭周期以下の場合は、ワイパ速度が速いと判断し、ステップS4に進み、定速度マップ71bを調整してアーム速度をダウンさせ、実払拭周期を長くする。ステップS3,S4における定速度マップ71bの調整は、固定した所定値(duty:x%)の変更であっても、目標周期と実払拭周期との差異に応じた変更(差異がyms→z%)であっても良い。なお、以下のマップ調整や定数調整もこれと同様である。
【0045】
ステップS2〜S4の処理により、実払拭周期と目標周期に基づいてアーム速度を調整した後、ステップS5に進み、反転位置測定部64によって反転位置の測定が行われる。S5では、回転センサ46a,46bと角度センサ48からの信号に基づいて、ワイパアーム14aの上下反転位置を検出する。また、S5では、ワイパブレード13aの初動加速度(ブレード加速度)の検出も行われる。ステップS5にて反転位置やブレード加速度の検出を行った後、ステップS6に進み、反転位置等確認部65によって、反転位置の確認や初動加速度と閾値との比較が行われる。
【0046】
ステップS6に進むと、反転位置等確認部65によって、反転位置の確認等を行ってワイパブレード13aのオーバーラン発生を検出すると共に、初動加速度と閾値(初動加速度上限値・下限値)との比較を行う。ステップS6では、ワイパブレード13aにオーバーランが発生しているか(測定された実際の反転位置が反転目標位置を所定角度以上超えているか)、あるいは、ブレード加速度が、閾値が示す規定範囲外となっていないか(初動加速度上限値を超えているかどうか)が判断される。この際、ブレード加速度についても検討を行うのは、初動加速度が大きい過ぎると払拭周期が短くなる可能性が高く、オーバーランも生じ易くなるためである。
【0047】
そして、S6の条件の少なくとも何れか一方が満たされている場合、すなわち、オーバーランが生じているか、ブレード加速度が上限値を超えている場合は、アームの速度や加速度が過大と判断し、ステップS7〜S9に進む。ステップS7〜S9の処理は制御変更部66によって行われ、まずS7では、定速度マップ71bを調整して定速度領域でのアーム速度をダウンさせる。次に、ステップS8では、減速マップ71cをダウン(duty値を低下)させたり、ブレーキポイントP2を早く設定したりする。さらに、ステップS9では、逆転出力定数を調整して(低下させて)ブレード加速度を低下させる。このようなステップS7〜S9の処理により、アーム速度(モータ速度)が低下し、オーバーランが抑えられる。その後、ステップS14にて、実周期が再計測され、再びステップS2に戻り、実払拭周期と目標周期とを比較しステップS3以下の処理が繰り返される。
【0048】
これに対し、ステップS6にて前述の条件が共に満たされていない場合、すなわち、オーバーランは生じておらず、ブレード加速度も上限値を超えていない場合は、ステップS10に進む。このステップS10では、ステップS6とは逆に、ワイパブレード13aにショートランが発生しているか(測定された実際の反転位置が反転目標位置より所定角度以上手前か)、あるいは、ブレード加速度が、閾値が示す規定範囲外となっていないか(初動加速度下限値未満となっているかどうか)が判断される。そして、S10の条件が共に満たされていない場合は、S2〜S4の周期調整が効を奏し、ブレードの反転位置も加速度も許容範囲内に収まっていると判断し、ルーチンを抜ける。
【0049】
一方、ステップS10にて条件が共に満たされていない場合、すなわち、ショートランが生じているか、ブレード加速度が初動加速度下限値未満となっている場合は、アームの速度や加速度が過小と判断して、ステップS11〜S13に進む。ステップS11〜S13の処理もまた制御変更部66によって行われ、まずS11では、定速度マップ71bを調整して定速度領域でのアーム速度をアップさせる。次に、ステップS12では、減速マップ71cをアップ(duty値を上昇)させたり、ブレーキポイントP2を遅く設定したりする。さらに、ステップS13では、逆転出力定数を調整して(増加させて)ブレード加速度を増加させる。このようなステップS11〜S13の処理により、アーム速度(モータ速度)が増加し、ショートランが抑えられる。
【0050】
ステップS11〜S13を行った後、ステップS7〜S9の場合と同様に、ステップS14を経て再びステップS2に戻り、実払拭周期と目標周期とを比較し、ステップS3以下の処理が繰り返される。そして、ステップS10の条件を満たし、ブレードの反転位置や加速度が許容範囲内となるまで、ステップS2〜S13の調整処理が繰り返される。なお、ステップS7〜S9やステップS11〜S13の処理はそれぞれ順不同であり、各処理において何れのステップを先に実行しても良い。
【0051】
このように、本発明にあっては、払拭周期や反転位置を計測して目標速度マップ71を自動調整して周期を調整するので、経年によってモータ特性やモータ負荷が変化し、ワイパ払拭時間や反転位置に変化が生じても、適宜モータ制御形態を調整してこの変化に対応することができる。このため、モータ特性等に経年変化が生じても、運転者にその変化を感じさせることなく、精度良くワイパ払拭動作の制御を行うことができ、初期時と同様の払拭動作を維持することが可能となる。従って、ワイパシステムの性能保証年数を拡大することができ、製品寿命を向上させることが可能となる。
【0052】
また、目標速度マップ71の調整後に、反転位置の確認を行うことにより、調整後の制御形態をチェックし、調整自体を自動修正するので、さらに精度の高いワイパ制御が実施可能となる。さらに、モータ特性の変化に適宜対応できるため、初期時におけるモータ特性のバラツキにも対応可能であり、モータ特性のバラツキに対する許容範囲を大きく取ることができ、モータの歩留まりが改善され、システムコストの低減が図られる。
【0053】
本発明は前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
例えば、前述の実施例では、運転席側と助手席側それぞれにモータを配した対向払拭型のワイパシステムに本発明を適用した例について説明したが、1個のモータを駆動源とし、リンク機構によって運転席側と助手席側のワイパアームを連動させる平行払拭型のリバーシングワイパ装置などにも本発明は適用可能である。また、本実施例では、ワイパアームの絶対位置検出に、磁界の変化を電気抵抗の変化として検出する非接触式の磁気センサ(MRセンサ)を用いているが、基準位置にて信号を出力するセンサ(ホールICなど)と回転センサ46a,46bの組み合わせによってワイパアームの位置検出を行っても良い。
【符号の説明】
【0054】
11 ワイパシステム
12 ウインドガラス
13a,13b ワイパブレード
14a,14b ワイパアーム
15a,15b ワイパ軸
21a,21b ワイパモータ
22a,22b 出力軸
23a,23b クランクアーム
24a,24b 連結ロッド
25a,25b 駆動レバー
31 モータ本体
32 減速機
33 モータヨーク
34 アマチュア
34a アマチュア軸
35 コミュテータ
36 ブラシホルダ
37 ブラシ
38 ギヤケース
38a ケース本体
38b カバー
38c ボス部
41 減速機構
41a ウォーム
41b ウォームホイル
42 制御基板
42a 基板
42b 電気部品
43 イグニッションスイッチ
44 バッテリ
45 第1のセンサマグネット
46a,46b 回転センサ
47 第2のセンサマグネット
48 角度センサ
49a,49b 通信線
51 CPU
52 ROM(記憶手段)
53 RAM
54 FET
55 ワイパスイッチ
60 モータ駆動指令部
61 払拭周期算出部
62 経年変化調整処理開始判定部
63 払拭周期比較部
64 反転位置測定部
65 反転位置等確認部
66 制御変更部
71 目標速度マップ
71a 加速マップ
71b 定速度マップ
71c 減速マップ
P1 加速終了ポイント
P2 ブレーキポイント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正逆回転可能な電動モータと、
ガラス面上に配置され、前記電動モータを正逆回転させることにより、前記ガラス面上にて往復揺動するワイパブレードと、
前記ガラス面上における前記ワイパブレードの位置に対応して設定された目標速度に基づいて、前記電動モータの回転速度を制御するモータ駆動指令部と、を有するワイパ制御装置であって、該ワイパ制御装置は、
前記ワイパブレードが前記ガラス面上を実際に往復揺動する時間を示す実周期を算出する実周期算出部と、
前記ワイパブレードが前記ガラス面上にて往復揺動する時間の目標値を所定範囲にて示した目標周期と前記目標速度が格納された記憶手段と、
前記目標周期と前記実周期とを比較する周期比較部と、
前記実周期が前記目標周期の範囲外となった場合、前記実周期が前記目標周期の範囲内に収まるように前記目標速度を調整する制御変更部と、を有することを特徴とするワイパ制御装置。
【請求項2】
請求項1記載のワイパ制御装置において、前記ワイパ制御装置は、前記ワイパブレードの反転位置を測定する反転位置測定部と、
前記反転位置測定部にて測定された前記ワイパブレードの実際の反転位置と、前記ガラス面上にて予め設定された反転目標位置とを比較する反転位置等確認部と、をさらに有し、
前記制御変更部は、前記目標速度を調整した後、前記反転目標位置から所定角度以上離れた位置にて反転している場合、前記目標速度を再調整することを特徴とするワイパ制御装置。
【請求項3】
請求項2記載のワイパ制御装置において、
前記反転位置測定部は、前記ワイパブレードの反転時における初動加速度を算出し、
反転位置等確認部は、前記反転位置測定部にて算出された前記初動加速度と所定の閾値と比較し、
前記制御変更部は、前記目標速度を調整した後、前記ワイパブレードの前記加速度が前記閾値が示す規定範囲外となった場合、前記目標速度を再調整することを特徴とするワイパ制御装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載のワイパ制御装置において、前記格納部は、前記ワイパブレードの位置をパラメータとして前記目標速度を規定した目標速度マップを備え、
前記制御変更部は、前記目標速度マップを調整することを特徴とするワイパ制御装置。
【請求項5】
請求項4の何れか1項に記載のワイパ制御装置において、前記目標速度マップは、
前記ワイパブレードが初動時から所定速度に達するまでの加速領域における前記目標速度を示す加速マップと、
前記ワイパブレードが加速領域後に所定速度にて駆動される定速領域における前記目標速度を示す定速度マップと、
前記ワイパブレードが定速領域後に反転位置に向かって減速される減速領域における前記目標速度を示す減速マップと、を有することを特徴とするワイパ制御装置。
【請求項6】
正逆回転可能な電動モータと、ガラス面上に配置され、前記電動モータを正逆回転させることにより前記ガラス面上にて往復揺動するワイパブレードと、を有し、前記ガラス面上における前記ワイパブレードの位置に対応して設定された目標速度に基づいて、前記電動モータの回転速度が制御されるワイパ装置の制御方法であって、
前記ワイパブレードが前記ガラス面上を実際に往復揺動する時間を示す実周期を算出し、
前記ワイパブレードが前記ガラス面上にて往復揺動する時間の目標値を所定範囲にて示した目標周期と前記実周期とを比較し、
前記実周期が前記目標周期の範囲外となった場合、前記実周期が前記目標周期の範囲内に収まるように前記目標速度を調整することを特徴とするワイパ制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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