説明

ワイパ制御装置

【課題】ワイパを格納位置に停止させる制御を遅滞なく行うワイパ制御装置を提供する。
【解決手段】ワイパモータ21の回転と共に接点が切り換えられるカムプレート22からワイパが格納位置に到達したことを示す信号が入力されると停止信号を出力するマイコン14と、ワイパスイッチ30が「Lo」位置になるとマイコン14への電力の供給を停止すると共にワイパスイッチ30が「O」位置になるとマイコン14への電力の供給を開始し、かつ可動接点を切り換えるための電力を出力する電源回路15と、可動接点が端子109、及び端子202に切り換えられるリレー11と、電源回路15から電力が供給されると端子109に可動接点を切り換えると共に、マイコン14から停止信号が入力された場合に、ワイパスイッチ30が「O」位置になった状態で可動接点を端子202に切り換えるリレー駆動回路13とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイパ制御装置に係り、特にワイパを作動状態から停止状態に移行させる機能を備えたワイパ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のフロントウィンドウガラスを払拭するワイパ制御装置では、通電経路をリレーによってオン及びオフしている。リレーはアナログ回路で制御することも可能だが、近年は、間欠作動(以下、「INT作動」と記載)の時間精度を高めるために、さらにはワイパとウィンドウウォシャ装置との連動をきめ細かく行うために、ECU等のマイコン(マイクロコンピュータ)による制御が主流となっている。
【0003】
特許文献1には、電子制御部を使用した電子制御方式のワイパ制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−264787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されているワイパ制御装置は、マイコンを含む電子制御部の制御により、ワイパ制御装置のリレーのコイルが常時励磁された状態で電源から当該リレーの接点を介した導通を確保し、当該リレーに接続されたスイッチの操作で低速作動(以下、「Lo作動」と記載)と高速作動(以下、「Hi作動」と記載)とを切り換えるようになっている。
【0006】
間欠的にワイパを動かすINT作動及び、ワイパを格納位置で停止させる場合であれば、マイコン制御のリレーによるスイッチングを用いる必要があるが、ワイパモータを連続的に回転させれば足りるLo作動又はHi作動では、マイコン制御のリレーによるスイッチングは必ずしも必要ではない。しかしながら、常時リレーのコイルが励磁された状態であるためリレーを消耗させるという問題があった。
【0007】
そのため、Lo作動時には、マイコンへの電力供給をオフにしてリレーのマイコン制御を解除して、リレーのコイルを励磁させない状態とし、ワイパスイッチからの電力をコイルが励磁されていないリレーを介してワイパモータに供給するワイパ制御装置が考えられている。だが、かかるワイパ制御装置では、ワイパスイッチをオフにすると、ワイパモータへの電力の供給が突然遮断されてしまう。
【0008】
ワイパを停止させるには、ワイパを格納位置に停止させる制御が不可欠であり、かかる制御を行うには、マイコンによってリレーを制御する必要がある。
【0009】
しかしながら、マイコンは電源が供給された後、初期化処理のための所定の時間が必要であり、当該初期化処理のための時間が経過しない限り、マイコンは動作状態にならない。
【0010】
従って、上記ワイパスイッチによってワイパモータに電力が供給されている間にマイコンの電源がオフになっていると、上記ワイパスイッチをオフにした時に急遽マイコンの電源をオンにしても前述の初期化処理が完了するまでは、ワイパを格納位置に停止させるためのリレーの制御を行うことができない、という問題点があった。
【0011】
本発明は上記問題点を解消するためになされたものであり、スイッチがワイパ作動状態からオフに切り換わった時に、ワイパを格納位置に停止させる制御を遅滞なく行うワイパ制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明に係るワイパ制御装置は、電力の供給が開始された場合に初期化処理を行うと共に、初期化処理後、ワイパを作動させるモータの回転と共に回転して接点が切り換えられるカムプレートからワイパが格納位置に到達したことを示す信号が入力された場合に、停止信号を出力する制御回路と、ワイパの作動及び停止を切り換えるための切換スイッチがワイパを作動させる位置に切り換えられた場合に、前記制御回路への電力の供給を停止すると共に前記切換スイッチがワイパを停止させる位置に切り換えられた場合に、前記制御回路への電力の供給を開始し、かつ可動接点を切り換えるための電力を出力する電源回路と、前記カムプレートの接点と前記モータとの間に接続され、可動接点が前記カムプレートの接点に接続される第1の側、及び前記切換スイッチがワイパを作動させる位置に切り換えられた際に車載バッテリに接続される第2の側に切り換えられるリレーと、前記電源回路から出力された電力が供給された場合に、前記カムプレートの接点を介して車載バッテリから前記モータに電力が供給される第1の側に前記可動接点を切り換えると共に、前記制御回路から停止信号が入力された場合に前記可動接点を第2の側に切り換えるリレー駆動回路と、を含んでいる。
【0013】
請求項1記載のワイパ制御装置は、電力の供給が開始された場合に初期化処理を行うと共に、初期化処理後、ワイパを作動させるモータの回転と共に回転して接点が切り換えられるカムプレートからワイパが格納位置に到達したことを示す信号が入力された場合に、停止信号を出力する制御回路が設けられている。
【0014】
また、請求項1のワイパ制御装置には、ワイパの作動及び停止を切り換えるための切換スイッチがワイパを作動させる位置に切り換えられた場合に、制御回路への電力の供給を停止すると共に切換スイッチがワイパを停止させる位置に切り換えられた場合に、制御回路への電力の供給を開始し、かつ可動接点を切り換えるための電力を出力する電源回路が設けられている。
【0015】
また、請求項1のワイパ制御装置には、カムプレートの接点とモータとの間に接続され、可動接点がカムプレートの接点に接続される第1の側、及び切換スイッチがワイパを作動させる位置に切り換えられた際に車載バッテリに接続される第2の側に切り換えられるリレーが設けられている。
【0016】
さらに、請求項1のワイパ制御装置には、電源回路から出力された電力が供給された場合に、カムプレートの接点を介して車載バッテリからモータに電力が供給される第1の側に可動接点を切り換えると共に、制御回路から停止信号が入力された場合に、切換スイッチがワイパを停止させる位置に切り換えられた状態で可動接点を第2の側に切り換えるリレー駆動回路が設けられている。
【0017】
ここで、リレー駆動回路は、切換スイッチがワイパを停止させる位置に切り換えられ、電源回路から出力された電力が供給された場合に、カムプレートの接点を介して車載バッテリからモータに電力が供給される第1の側に可動接点を切り換えるので、制御回路の初期化を待たずに、カムプレートとリレーとを介してモータに車載バッテリの電力を供給してワイパを格納位置まで動かすようにモータを回転させることができる。
【0018】
また、制御回路は、カムプレートからワイパが格納位置に到達したことを示す信号が入力されると、可動接点を、切換スイッチがワイパを停止させる位置に切り換えられたために車載バッテリからの電力が供給されなくなった第2の側に切り換える。
【0019】
このように、請求項1に記載のワイパ制御装置によれば、リレー駆動回路が、切換スイッチがワイパを停止させる位置になった時に、カムプレートの接点を介してモータに電力が供給されるように可動接点を切り換え、制御回路は格納位置にワイパが停止した時に停止信号をリレー駆動回路に出力するので、格納位置にワイパが停止したタイミングでモータを停止させる制御を遅滞なく行うことができる。
【0020】
なお、請求項1記載の発明は、請求項2記載のように、前記リレー駆動回路は、前記電源回路から電力が供給された場合にオン状態になることで前記リレーの励磁コイルに車載バッテリから電力が供給されるようにする第1のトランジスタを有し、前記リレーは、励磁コイルに電力が供給された場合に、前記カムプレートの接点を介して車載バッテリから前記モータに電力が供給される第1の側に前記可動接点を切り換えることが好ましい。
【0021】
この請求項2の発明によれば、電源回路からの電力供給で直にオン状態となる第1のトランジスタによってリレーの励磁コイルに電力を供給できるので、制御回路の初期化を待たずに可動接点をカムプレートの接点を介して車載バッテリから前記モータに電力が供給される第1の側に切り換えることができる。
【0022】
請求項2記載の発明は、請求項3記載の発明のように、前記リレー駆動回路は、前記制御回路から停止信号が入力された場合にオン状態になることで前記第1のトランジスタをオフ状態にする第2のトランジスタをさらに有することが好ましい。
【0023】
この請求項3記載の発明によれば、モータが停止後、第2のトランジスタをオン状態にすることで、リレーの励磁コイルに電力を供給させる第1のトランジスタをオフ状態にし、その結果、リレーの励磁コイルに供給される電力を停止できるので、リレーの無用な消耗を抑えることができる。
【0024】
また、請求項1から請求項3のいずれか1項記載の発明は、請求項4記載の発明のように、前記リレーは、励磁コイルが励磁されないときに可動接点が第2の側に切り換えられ、励磁コイルが励磁されたときに可動接点が第1の側に切り換えられることが好ましい。
【0025】
この請求項4項記載の発明によれば、励磁コイルは、切換スイッチがワイパ作動状態からワイパを停止させる位置に切り換えられたときからワイパが格納位置に停止されたときまでの間の短い時間励磁されるため、車載バッテリの電力を消費しないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本実施の形態に係るワイパ制御装置の回路図である。
【図2】本実施の形態に係るワイパ制御装置のワイパ制御回路の詳細な回路図である。
【図3】本実施の形態に係るワイパ制御装置のワイパを格納位置に停止させる場合のマイコンの制御を示すフローチャートである。
【図4】本実施の形態に係るワイパ制御装置における、ワイパスイッチ、マイコン、電圧Vcc、トランジスタ、リレー、ワイパ位置、カムプレート位置の相関の一例を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態に係るワイパ制御装置の回路図である。
【0028】
図1のワイパ制御装置は、ワイパを制御するワイパ制御回路10と、ワイパを駆動するワイパモータユニット20とを有する。
【0029】
また、ワイパ制御回路10には、ワイパ制御回路10とワイパモータユニット20とを動作させる電力を、Hi作動時にはHi接点31、Lo作動時にはLo接点32、ワイパがオフの時はO接点33、並びにINT作動時にはLo接点32及びO接点33の双方、に各々切り換えるワイパスイッチ30が接続されている。
【0030】
ワイパスイッチ30には、車両に搭載された電源(車載バッテリ)41からの電力がイグニッションスイッチ42を介して供給される。
【0031】
さらに、ワイパ制御回路10には、ウィンドウウォシャ装置を駆動させるウォッシャモータ60と、ウォッシャモータ60へ供給する電力をオンオフするウォッシャスイッチ50とが接続されている。ウォッシャスイッチ50には、電源41からの電力がイグニッションスイッチ42を介して供給される。
【0032】
ワイパ制御回路10は、リレー11、リレー12、リレー11とリレー12とを駆動させるリレー駆動回路13、リレー駆動回路13を制御するマイコン14、及びマイコン14に電圧Vccの電力を供給する電源回路15を有する。
【0033】
ワイパ制御回路10には、ワイパスイッチ30のO接点33、Lo接点32及びHi接点31からの電力が、各々、端子101、端子201及び端子301を介して供給される。さらに、O接点33から供給された電力は、端子102を介してワイパモータユニット20に送られる。
【0034】
ワイパモータユニット20は、ワイパを払拭動作させるワイパモータ21、及びワイパモータ21の出力軸と同軸に取り付けられ、ワイパモータ21の出力軸の回転に従って回転することにより、端子105と端子103との接続及び端子105と端子104との接続を切り換えるカムプレート22を有している。
【0035】
端子103には、端子102を介してワイパスイッチ30のO接点33からの電力が供給される。また、端子104はGNDに接続されている。カムプレート22は、ワイパが格納位置に到達したときに、端子105と端子104とが接続されるように接点を切り換える。
【0036】
端子105は、ワイパ制御回路10に設けられた端子106に接続されており、端子106は、リレー12の端子107に接続されると共に、ダイオードを介してマイコン14に接続されている。
【0037】
ワイパモータ21は、端子201、リレー11の端子202及び端子203、並びに端子204を介してワイパスイッチ30のLo接点32からLo作動のための電力が供給されるLo端子211と、端子301及び端子302を通じてワイパスイッチ30のHi接点31からHi作動のための電力が供給されるHi端子311と、接地されているGND端子411とを備えている。
【0038】
Hi接点31、端子301及び端子302を介してワイパモータ21のHi端子に至る電源供給経路にはリレー等のスイッチは設けられていない。従って、ワイパスイッチ30が「Hi」位置に切り換えられ、Hi接点31に車載バッテリからの電力が供給されると、ワイパモータ21は、高速でワイパを払拭動作させるHi作動を行う。
【0039】
リレー12は、励磁コイルL1に電力が供給されていない時、すなわち非励磁状態では、可動接点が端子107に切り換わる。リレー12の励磁コイルL1が励磁されると、リレー12の可動接点は端子110に切り換わってINT作動を行う。
【0040】
INT作動では、リレー11の励磁コイルL2が励磁されてリレー11の可動接点が端子109と端子203とに接続されている場合に、リレー駆動回路13によってリレー12の励磁コイルL1が間欠的に励磁される。
【0041】
リレー12の端子108は、リレー11の端子109に接続されている。また、リレー11の端子202には、端子201を介して、ワイパスイッチ30のLo接点32からの電力が供給される。
【0042】
リレー11は、励磁コイルL2が励磁されていない時、可動接点が端子202に切り換わり、ワイパモータ21には、端子203と端子204とを介して、ワイパスイッチ30のLo接点32から、Lo作動用の電力が供給される。
【0043】
リレー駆動用回路13には、各々複数のトランジスタを備えたリレー11用の駆動回路及びリレー12用の駆動回路が設けられている。本願では、ワイパが連続して作動している状態から停止する際に用いられるリレー11用の駆動回路について説明し、リレー12用の駆動回路については説明を省略する。
【0044】
図2に示したように、リレー11用の駆動回路には、トランジスタ16が設けられている。励磁コイルL2の一端は、トランジスタ16のコレクタに接続され、トランジスタ16のエミッタは接地されている。トランジスタ16のコレクタとエミッタの間には、ツェナーダイオードDが接続されている。
【0045】
トランジスタ16のベースは、抵抗R1を介して接地され、抵抗R2を介して電源回路15の出力端に接続されると共に、トランジスタ17のコレクタに接続されている。トランジスタ17のエミッタは接地され、ベースは抵抗R3を介して接地されると共に、抵抗R4を介してマイコン14に接続されている。
【0046】
また、端子601を介して、ウォッシャ装置からの配線がマイコンに接続されており、マイコン14には当該配線を通じて、ウォッシャ装置の動作状況が通知される。
【0047】
なお、ワイパモータ21の出力軸にはワイパモータ21の回転運動を往復運動に変換する図示しないクランク機構が連結されており、当該クランク機構による往復運動はワイパが取り付けられているワイパアームに伝達され、車両のフロントウィンドウガラスを払拭するように当該ワイパアームを動作させる。
【0048】
ワイパは、フロントウィンドウガラスの下端に相当する格納位置から略扇状の軌跡を描くように動き、フロントウィンドウガラス上の所定位置で反転する。
【0049】
本実施の形態では、ワイパモータ21の回転運動は上述したクランク機構により往復運動に変換されるので、ワイパモータ21の出力軸が1回転する毎に、ワイパは、格納位置からフロントウィンドウガラス上の所定位置への移動、所定位置での反転、所定位置から格納位置へ戻る動作を行う。
【0050】
次に本実施の形態に係るワイパ制御装置の作動の状態について説明する。
【0051】
電源回路15からマイコン14及びリレー駆動回路13に電力が供給されていない状態では、リレー駆動回路13の複数のトランジスタがオフされていることから、リレーの励磁コイルL1、L2の各々は非励磁状態にあり、リレー11の接点は端子202側に切り換えられ、リレー12の接点は端子107側に切り換えられている。
【0052】
イグニッションスイッチ42がオン状態で、かつワイパスイッチ30において「Lo」位置が選択され、端子202、端子203、及び端子204を経由してワイパモータ21にLo作動用の電力が供給される。
【0053】
ワイパモータ21が低速で連続して回転するLo作動の状態では、特段、マイコンによる制御は要しないので、電源回路15からマイコン14への電力供給を停止することで、本実施の形態では省電力を図っている。
【0054】
ワイパモータ21のLo作動に応じてカムプレート22が回転され、接点が端子104と端子103とに交互に切り換えられる。
【0055】
次に、本実施の形態に係るワイパ制御装置のワイパを格納位置に停止させる場合について説明する。ワイパスイッチ30が「Lo」位置から「OFF」位置に切り換えられると、電力がワイパスイッチ30のO接点33から端子101及び電源回路15を介してマイコン14に電圧Vccの電力が供給され、電力の供給が開始されるとマイコン14が初期化処理を開始する。
【0056】
マイコン14の初期化処理が完了するまでには所定の時間を要するので、ワイパスイッチ30が「Lo」位置から「OFF」位置に切り換わった直後では、マイコン14はリレー駆動回路13の制御を行うことができない。
【0057】
車載バッテリの電力が電源回路15に供給されて、マイコン14に電力が供給されると同時に、電源回路15から抵抗R2を介してトランジスタ16のベースに電力が供給され、トランジスタ16がオンする。
【0058】
トランジスタ16がオンになることにより、励磁コイルL2には車載バッテリから電力が供給されてリレー11の可動接点は端子109に切り換わり、端子109と端子203とが接続される。
【0059】
リレー11の可動接点が切り換わることにより、Lo端子からワイパモータ21への電源供給経路は遮断されるが、ワイパアームが格納位置に存在しないときはカムプレート22の接点が端子103と接続されているため、車載バッテリからO接点、カムプレート22の接点、リレー12の可動接点、及びリレー11の可動接点を介してワイパモータ21への電力の供給が継続され、ワイパモータ21は回転を継続する。
【0060】
トランジスタ16は、電源回路15からの電力供給によって直にオンになるので、ワイパスイッチ30が「Lo」位置から「OFF」位置に切り換わった直後にリレー11の励磁コイルを励磁させることができる。従って、マイコン14の初期化処理の終了を待たずに、リレー11の励磁コイルL2への電力供給が可能となる。
【0061】
ワイパアームが格納位置に到達すると、カムプレートの端子105と端子104とが接続され、リレー11及びリレー12を介してワイパモータ21のLo端子211がGNDに接地される。その結果、ワイパモータ21は、ワイパが格納位置に停止したタイミングでブレーキがかかり、回転を停止する。
【0062】
カムプレート22において、端子105と端子103との接続が、端子105と端子104との接続に切り換わるまでには若干の時間がかかるので、その時間内に初期化処理を完了できる。
【0063】
初期化処理を完了したマイコン14は、端子106を介して、ワイパモータ21のLo端子211が接地されたことを、端子106を介して検知し、図2のトランジスタ17をオンにする制御を行う。
【0064】
トランジスタ17をオンにすることで、トランジスタ16のベースが接地されることから、トランジスタ16はオフになり、その結果、リレー11の励磁コイルL2への電力の供給がオフとなるので、リレーによる無用な電力の消費を抑制することができる。
【0065】
励磁コイルL2への電力の供給がオフになると、リレー11の可動接点は端子202に切り換わる。
【0066】
よって、ワイパスイッチが「OFF」位置に切り換わった場合に、励磁コイルL2に供給していた電力をオフにすることで、ワイパを格納位置で停止させた状態を、リレーに負荷をかけることなく維持できる。
【0067】
図3は、本実施の形態に係るワイパ制御装置におけるワイパを格納位置に停止させる場合のマイコンの制御を示すフローチャートである。
【0068】
マイコン14の電源がオンになると、ステップ702でマイコン14は初期化処理を開始し、ステップ704において初期化処理が完了したと判断された場合に、ステップ706でカムプレート22からの信号を取り込む。そして、ステップ708でカムプレートが端子104を介してGNDに接続されたことを検知すると、ステップ710で図2のトランジスタ17をオンにする。
【0069】
図4は、本実施の形態に係るワイパ制御装置における、ワイパスイッチ、マイコン、電圧Vcc、トランジスタ、リレー、ワイパ位置、カムプレート位置の相関の一例を示すタイムチャートである。
【0070】
図4では、時刻t1まではワイパスイッチが「Lo」位置の状態であり、ワイパモータはLo作動を行っている。
【0071】
時刻t1で、ワイパスイッチが「Lo」位置から「INT」位置に切り替わると、ワイパスイッチのO接点33にも電力が供給され、電源回路が電圧Vccの電力をマイコンと図2に示したトランジスタ16とに供給し始める。本実施の形態では、ワイパスイッチは、「Lo」位置から「INT」位置を経由して「OFF」位置に切り換わるので、図4も時刻t1でワイパスイッチが「INT」位置に切り換わり、時刻t2でワイパスイッチが「OFF」位置に切り換わる。
【0072】
本実施の形態では、前述のように、ワイパスイッチが「INT」位置の時は、Lo接点32とO接点33との双方に電力が供給されるので、時刻t1の時点で、マイコンとトランジスタ16に電力が供給され、トランジスタ16は当該電力の供給によりオンになり、その結果、リレー11の励磁コイルへの電力供給をオンにする。また、マイコンは、電力が供給され始めた時刻t1から初期化時間TINIが経過してから動作状態になっている。
【0073】
時刻t2からt3までの間は、ワイパを格納位置に停止させる制御が行われている。カムプレートは端子103と端子105を接続する位置にあり、ワイパモータにはカムプレート、リレー12及びリレー11を経由して、ワイパを格納位置に収めるための電力が供給されている。
【0074】
時刻t3では、カムプレートが、ワイパモータを接地させる端子104と端子105とを接続する位置にあり、その結果、ワイパモータは停止する。
【0075】
また、時刻t3では、マイコンが、カムプレートの端子104と端子105との接続によりワイパモータが接地したことを、端子106を経由して検知し、時刻t3から所定の時間であるTOFF後に、図2に示したトランジスタ17をオンにしてトランジスタ16をオフにし、その結果、リレー11の励磁コイルへの電力供給をオフにすることにより、ワイパを格納位置に停止させる制御を完了する。
【0076】
時刻t3からTOFF後にトランジスタ17をオンにするのは、ワイパが格納位置に確実に停止しているタイミングでリレー11の可動接点を端子202に切り換えるためであり、TOFFの具体的な長さは、ワイパ制御装置を構成しているマイコン、ワイパモータ等の特性に応じて適宜変更し得るものである。
【0077】
このように、本実施の形態によれば、ワイパスイッチ30が「OFF」位置になり、電源回路15がオンになった時、リレー11の励磁コイルL2に接続されているトランジスタ16がオンになる。トランジスタ16がオンになることにより、励磁コイルL2には電力が供給されてリレー11の可動接点は端子109に切り換わり、端子103と端子105とが接続するようにカムプレート22が回転することにより、端子101から端子204までの導通が確保され、ワイパモータ21に、ワイパを格納位置にまで戻すための回転運動に必要な電力が供給される。その結果、ワイパを格納位置に停止させる制御を遅滞なく行うことができる。
【符号の説明】
【0078】
1 ワイパ制御装置
10 ワイパ制御回路
11、12 リレー
13 リレー駆動回路
14 マイコン
15 電源回路
16、17 トランジスタ
L1 励磁コイル
L2 励磁コイル
20 ワイパモータユニット
21 ワイパモータ
22 カムプレート
30 ワイパスイッチ
31 Hi接点
32 Lo接点
33 O接点
41 電源
42 イグニッションスイッチ
50 ウォッシャスイッチ
60 ウォッシャモータ
101〜110 端子
201〜204 端子
211 Lo端子
301、302 端子
311 Hi端子
411 GND端子
601 端子
D ツェナーダイオード
R1〜R4 抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力の供給が開始された場合に初期化処理を行うと共に、初期化処理後、ワイパを作動させるモータの回転と共に回転して接点が切り換えられるカムプレートからワイパが格納位置に到達したことを示す信号が入力された場合に、停止信号を出力する制御回路と、
ワイパの作動及び停止を切り換えるための切換スイッチがワイパを作動させる位置に切り換えられた場合に、前記制御回路への電力の供給を停止すると共に前記切換スイッチがワイパを停止させる位置に切り換えられた場合に、前記制御回路への電力の供給を開始し、かつ可動接点を切り換えるための電力を出力する電源回路と、
前記カムプレートの接点と前記モータとの間に接続され、可動接点が前記カムプレートの接点に接続される第1の側、及び前記切換スイッチがワイパを作動させる位置に切り換えられた際に車載バッテリに接続される第2の側に切り換えられるリレーと、
前記電源回路から出力された電力が供給された場合に、前記カムプレートの接点を介して車載バッテリから前記モータに電力が供給される第1の側に前記可動接点を切り換えると共に、前記制御回路から停止信号が入力された場合に前記可動接点を第2の側に切り換えるリレー駆動回路と、
を含むワイパ制御装置。
【請求項2】
前記リレー駆動回路は、前記電源回路から電力が供給された場合にオン状態になることで前記リレーの励磁コイルに車載バッテリから電力が供給されるようにする第1のトランジスタを有し、
前記リレーは、励磁コイルに電力が供給された場合に、前記カムプレートの接点を介して車載バッテリから前記モータに電力が供給される第1の側に前記可動接点を切り換える請求項1に記載のワイパ制御装置。
【請求項3】
前記リレー駆動回路は、前記制御回路から停止信号が入力された場合にオン状態になることで前記第1のトランジスタをオフ状態にする第2のトランジスタをさらに有する請求項2に記載のワイパ制御装置。
【請求項4】
前記リレーは、励磁コイルが励磁されないときに可動接点が第2の側に切り換えられ、励磁コイルが励磁されたときに可動接点が第1の側に切り換えられる請求項1から請求項3のいずれか1項記載のワイパ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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