説明

ワイヤハーネスの保護具

【課題】煩雑な作業を要さずに簡易に支持体の貫通孔の部分とワイヤハーネスの保護具との間の隙間を塞ぎ、支持体を境界とする一方の側の内領域の防水及び防塵を実現できること。
【解決手段】ワイヤハーネスの保護具であるエッジプロテクタ1は、支持体6の貫通孔6Aに挿入される筒状に形成された筒部材10及び環状のパッキン部材20を備える。筒部材には、支持体6の貫通孔6Aの縁部の第一の面に対向するフランジ部13と、貫通孔6Aの縁部の第二の面に引っ掛かる位置から内側へ弾性変位可能なロック部14とが形成されている。パッキン部材20は、筒部材10におけるフランジ部13とロック部14との間の位置においてフランジ部13に沿って環状に形成された弾性体からなり、フランジ部13と支持体6の貫通孔6Aの縁部の第一の面との間に挟み込まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のボディなどの支持体の貫通孔の部分においてその貫通孔に通されるワイヤハーネスの保護具に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両に搭載されるワイヤハーネスが、車両のボディを形成する金属パネルなどの支持体における貫通孔に通される場合、ワイヤハーネスが支持体における貫通孔の縁部の角と接触して傷つくことを防ぐ必要がある。そのため、ワイヤハーネスの通路となる支持体の貫通孔の部分には、エッジプロテクタと称される保護具が取り付けられる。
【0003】
エッジプロテクタは、例えば、特許文献1及び特許文献2などに示されるように、ワイヤハーネスが通される筒状に形成され、板状の支持体における貫通孔の縁部に取り付けられる保護具である。
【0004】
一般に、エッジプロテクタは、支持体の貫通孔に挿入される筒状の本体部と、その本体部の一部に形成されたフランジ部及びロック部とを備えている。フランジ部は、筒状の本体部の外側面から外側へ張り出して環状に形成され、支持体の貫通孔の縁部の一方の面に対向する部分である。また、ロック部は、筒状の本体部の外側の部分に形成され、支持体の貫通孔の縁部の他方の面に引っ掛かる位置から内側へ弾性変位可能な部分である。
【0005】
エッジプロテクタは、フランジ部及びロック部が支持体における貫通孔の縁部をその両側から挟む状態で、支持体における貫通孔の部分に取り付けられる。また、エッジプロテクタは、支持体の貫通孔に通されたワイヤハーネスとその貫通孔の縁部との間に介在することにより、ワイヤハーネスが支持体における貫通孔の縁部と接触して傷つくことを防ぐ。
【0006】
ここで、支持体を境界として一方の側の領域を外領域、他方の側の領域を内領域と称する。内領域の防水及び防塵が必要な場合、エッジプロテクタは、特許文献3に示されるように、グロメットと組み合わされて用いられる。グロメットは、ワイヤハーネスが通される筒状の弾性体からなり、支持体における貫通孔が形成された部分に取り付けられる。エッジプロテクタがグロメットと組み合わされる場合、エッジプロテクタは、筒状のグロメットの内側に嵌め入れられる。そして、グロメットは、外領域において支持体とエッジプロテクタ及びワイヤハーネスとの間の隙間を塞ぎ、内領域の防水機能及び防塵機能を果たす。なお、特許文献3における樹脂インナーがエッジプロテクタに相当する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平5−38727号公報
【特許文献2】特開平8−138471号公報
【特許文献3】特開2003−134644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、グロメットをその内側から外側へ拡張させつつ、グロメットの中空部にワイヤハーネスを通すとともに、エッジプロテクタの外側にグロメットを被せる作業は煩雑である。即ち、従来のエッジプロテクタは、支持体の貫通孔の部分と間の隙間を塞いで支持体を境界とする一方の側の内領域の防水及び防塵を実現するために、グロメットをワイヤハーネス及びエッジプロテクタに装着する煩雑な作業を必要とするという問題点を有している。
【0009】
本発明は、煩雑な作業を要さずに簡易に支持体の貫通孔の部分とワイヤハーネスの保護具との間の隙間を塞ぎ、支持体を境界とする一方の側の内領域の防水及び防塵を実現できることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るワイヤハーネスの保護具(エッジプロテクタ)は、ワイヤハーネスが通される筒状に形成され、支持体における貫通孔の縁部に取り付けられる用具であり、以下の各構成要素を備える。
(1)第1の構成要素は、支持体の貫通孔に挿入される筒状に形成された筒部材である。但し、この筒部材には、フランジ部及びロック部が形成されている。フランジ部は、筒部材の外側面から外側へ張り出して環状に形成され支持体の貫通孔の縁部の第一の面に対向する部分である。また、ロック部は、筒部材の外側の部分に形成され支持体の貫通孔の縁部の第二の面に引っ掛かる位置から内側へ弾性変位可能な部分である。なお、筒部材は、例えば、樹脂の成形部材からなる。
(2)第2の構成要素は、筒部材におけるフランジ部とロック部との間の位置においてフランジ部に沿って環状に形成された弾性体からなり、フランジ部と支持体の貫通孔の縁部の第一の面との間に挟み込まれるパッキン部材である。
【0011】
また、本発明に係るワイヤハーネスの保護具において、筒部材におけるロック部を基準にフランジ部側に対する反対側の端部に結束用突出部が形成されていれば好適である。結束用突出部は、筒部材が支持体の貫通孔に挿入された状態で斜め上方となる方向へ突出して形成され、筒部材の中空部に通されたワイヤハーネスとともに結束される部分である。
【0012】
また、本発明に係るワイヤハーネスの保護具において、筒部材及びパッキン部材が以下の構成を備えていることが考えられる。即ち、筒部材は、ワイヤハーネスの両側から組み合わされることによって筒状となる半筒状の第一半筒部材及び第二半筒部材からなる。また、パッキン部材は、第一半筒部材及び第二半筒部材各々に接着され第一半筒部材及び第二半筒部材が組み合わされることによって環状となる半環状の第一弾性部材及び第二弾性部材からなる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るワイヤハーネスの保護具は、フランジ部及びロック部が、支持体における貫通孔の縁部及びこれに重なるパッキン部材をその両側から挟む状態で、支持体における貫通孔の部分に取り付けられる。なお、支持体を境界としてフランジ部が位置する側の領域が、液体又は粉塵の発生元となる外領域であり、支持体を境界としてロック部が位置する側の領域が、防水及び防塵を要する内領域である。
【0014】
本発明に係るワイヤハーネスの保護具が支持体における貫通孔の部分に取り付けられるだけで、フランジ部に沿って環状に形成されたパッキン部材が、フランジ部と支持体の貫通孔の縁部と間の隙間を塞ぎ、支持体の貫通孔の部分における外領域から内領域への液体及び粉塵の浸入を遮断する。即ち、本発明によれば、グロメットを装着する煩雑な作業を要さずに、簡易に支持体の貫通孔の部分とワイヤハーネスの保護具との間の隙間が塞がれ、内領域の防水及び防塵が実現される。
【0015】
また、本発明に係るワイヤハーネスの保護具において、筒部材の端部に結束用突出部が形成されていれば、その結束用突出部とともに結束されたワイヤハーネスは、筒部材の端部から斜め上方へ傾斜した状態で維持される。そのため、万一、液体がワイヤハーネスを伝って外領域から内領域へ浸入した場合でも、その液体が、さらに内領域のワイヤハーネスを伝ってそのワイヤハーネスに接続された電装機器にまで到達することを防止できる。
【0016】
また、本発明に係るワイヤハーネスの保護具において、筒部材が第一半筒部材及び第二半筒部材から構成されていることが考えられる。この場合、筒部材の内側面とワイヤハーネスの外装部材とが、密接する構造又は凹凸による嵌め合い構造を有する場合であっても、筒部材の中空部にワイヤハーネスを容易に通すことができる。そして、パッキン部材が、第一半筒部材及び第二半筒部材の各々に接着された半環状の2つの弾性部材から構成されていれば、第一半筒部材及び第二半筒部材を組み合わせた後に環状のパッキン部材を筒部材に装着する煩雑な作業が省略され好適である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態に係るエッジプロテクタ1の斜視図である。
【図2】エッジプロテクタ1の断面図である。
【図3】エッジプロテクタ1の分解斜視図である。
【図4】ワイヤハーネスに取り付けられる前のエッジプロテクタ1の斜視図である。
【図5】支持体の貫通孔の部分に取り付けられたエッジプロテクタ及びワイヤハーネスの断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係るエッジプロテクタ1Aの斜視図である。
【図7】エッジプロテクタ1Aの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0019】
<第1実施形態>
まず、図1から図5を参照しつつ、本発明の第1実施形態に係るエッジプロテクタ1の構成について説明する。エッジプロテクタ1は、ワイヤハーネスが通される筒状に形成され、板状の支持体6における貫通孔6Aの縁部に取り付けられる保護具である。なお、図1及び図2において、支持体6における貫通孔6Aの部分は、仮想線(二点鎖線)により示されている。
【0020】
図4及び図5に示されるように、エッジプロテクタ1の保護対象となるワイヤハーネス9は、電線7とその電線7の周囲を覆うコルゲートチューブ8とを備えている。コルゲートチューブ8は、ワイヤハーネス9が、その外装部材として備える保護チューブの一例である。
【0021】
コルゲートチューブ8は、電線7の周囲を覆う筒状の部材であり、長手方向に沿って表面に環状の凹み部81と環状の凸部82とが交互に形成された蛇腹構造を有する。コルゲートチューブ8は、例えば、ポリアミド(PA)、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ABS樹脂又はポリエチレン(PE)などの樹脂からなる一体成形部材である。
【0022】
また、図1及び図2に示されるように、エッジプロテクタ1は、支持体の貫通孔に通される筒状の樹脂部材である筒部材10と、弾性体からなるパッキン部材20とを備えている。筒部材10は、例えば、ポリアミド(PA)、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ABS樹脂又はポリエチレン(PE)などの樹脂の成形部材である。なお、図1、図3及び図4において、パッキン部材20にはハッチングが記されている。
【0023】
エッジプロテクタ1の筒部材10は、本体部12と、その本体部12の一部に形成されたフランジ部13、ロック部14及び結束用突出部18とを備えている。なお、便宜上、図3及び図4において、結束用突出部18は破線により示されている。
【0024】
本体部12は、支持体6の貫通孔6Aに挿入される筒状の部分である。以下、支持体6を境界として一方の側の領域を外領域、他方の側の領域を内領域と称する。本体部12は、支持体6の貫通孔6Aに対し、外領域から内領域へ挿入される。本体部12は、支持体6の貫通孔6Aに通されたワイヤハーネス9とその貫通孔6Aの縁部との間に介在することにより、ワイヤハーネス9が支持体6における貫通孔6Aの縁部と接触して傷つくことを防ぐ。
【0025】
筒部材10のフランジ部13は、筒状の本体部12の一方の端部の外側面から外側へ張り出して環状に形成された部分である。このフランジ部13は、支持体6における貫通孔6Aの縁部に沿う環状に形成され、支持体6における貫通孔6Aの縁部の外領域側の面に対向する部分である。
【0026】
筒部材10のロック部14は、筒部材10の外側の部分、即ち、本体部12の外側の部分に、片持ち梁状に形成されている。これにより、ロック部14は、本体部12から外側へ張り出して支持体6における貫通孔6Aの縁部の内領域側の面に引っ掛かる位置からそれよりも内側の位置へ弾性変位可能に構成されている。
【0027】
ロック部14は、支持体6の貫通孔6Aを通過する際に、その貫通孔6Aの縁部に接触しつつ、支持体6の貫通孔6A内に収まる位置まで内側へ変位する。さらに、ロック部14は、支持体6の貫通孔6Aを通過後、支持体6における貫通孔6Aの縁部の内領域側の面に引っ掛かる位置へ戻る。エッジプロテクタ1は、フランジ部13及びロック部14が支持体6における貫通孔6Aの縁部及びパッキン部材20をその両側から挟む状態で、支持体6における貫通孔6Aの部分に支持される。
【0028】
結束用突出部18は、筒部材10におけるロック部14を基準にフランジ部13側に対する反対側の端部に形成されている。さらに、結束用突出部18は、筒部材10が支持体6の貫通孔6Aに挿入された状態で斜め上方となる方向へ突出して形成されている。
【0029】
図5に示されるように、この結束用突出部18は、筒部材10の中空部、即ち、筒状の本体部12の中空部に通されたワイヤハーネス9とともに、粘着テープ又は結束ベルトなどの結束材5によって結束される部分である。
【0030】
本実施形態における結束用突出部18は、筒部材10における中空部の上側の縁部に設けられている。この場合、結束用突出部18は、ワイヤハーネス9の荷重を結束材5を介して支える。なお、結束用突出部18は、筒部材10における中空部の下側の縁部に設けられてもよい。この場合、結束用突出部18は、ワイヤハーネス9の荷重を直接下側から支える。
【0031】
パッキン部材20は、筒部材10におけるフランジ部13とロック部14との間の位置においてフランジ部13に沿って環状に形成された弾性体からなる部材である。パッキン部材20の内側の縁部の形状は、筒部材10におけるフランジ部13の根元部分の外縁の形状と同じ形状に形成されている。エッジプロテクタ1が支持体6の貫通孔6Aの部分に取り付けられた状態において、パッキン部材20は、フランジ部13と支持体6における貫通孔6Aの縁部の外領域側の面との間に挟み込まれ、フランジ部13と支持体6との間の隙間を塞ぐ。
【0032】
パッキン部材20は、弾性を有する材料からなる部材であり、例えば、それ全体がゴム又はゴム系材料であるエラストマー(elastic polymer)からなる部材である。なお、エラストマーには、天然ゴム及び合成ゴムなどの加硫ゴム、並びにウレタンゴム、発泡ウレタン、シリコーンゴム及びフッ素ゴムなどの熱硬化性樹脂系エラストマーが含まれる。
【0033】
また、エッジプロテクタ1の筒部材10の内側の面には、周方向に沿って形成された環状の突起部であるリブ15が形成されている。このリブ15は、図5に示されるように、ワイヤハーネス9が備えるコルゲートチューブ8の外面の凹み部81に嵌る部分である。即ち、筒部材10の内側面とワイヤハーネス9の外装部材であるコルゲートチューブ8とは、凹凸による嵌め合い構造を有する。リブ15がコルゲートチューブ8の凹み部81に嵌ることにより、エッジプロテクタ1とコルゲートチューブ8との間の隙間が塞がれ、さらに、エッジプロテクタ1に対するコルゲートチューブ8の位置ずれが防止される。
【0034】
エッジプロテクタ1において、筒部材10及びパッキン部材20は、それぞれ2つの部材が組み合わされた部材である。図3及び図4に示されるように、筒部材10は、ワイヤハーネス9の両側から組み合わされることによって筒状となる半筒状の第一半筒部材101材及び第二半筒部材102からなる。第一半筒部材101材及び第二半筒部材102がコルゲートチューブ8の両側から組み合わされる際に、第一半筒部材101材及び第二半筒部材102の各々に設けられたリブ15が、コルゲートチューブ8の凹み部81に嵌り込む。
【0035】
同様に、パッキン部材20は、第一半筒部材101及び第二半筒部材102各々に接着された半環状の第一弾性部材201及び第二弾性部材202からなる。第一弾性部材201及び第二弾性部材202は、第一半筒部材101及び第二半筒部材102が組み合わされることにより、それぞれの端部が接触して環状となる。第一弾性部材201及び第二弾性部材202は、例えば、両面テープ又はその他の接着剤により第一半筒部材101及び第二半筒部材102の各々に固定される。
【0036】
第一半筒部材101は、第二半筒部材102に対して結束用突出部18のみが追加された形状の部材である。第一半筒部材101及び第二半筒部材102は、相互に組み合わされた状態を維持するロック機構を備えている。図3及ぶ図4に例示される第一半筒部材101及び第二半筒部材102のロック機構は、突起161が設けられたアーム部16と、穴171が設けられた受け部17とにより構成されている。第一半筒部材101及び第二半筒部材102が組み合わされることにより、一方の半筒部材におけるアーム部16の突起161が、他方の半筒部材における受け部17の穴171に嵌り込み、第一半筒部材101及び第二半筒部材102は筒状に組み合わされた状態で維持される。
【0037】
<効果>
エッジプロテクタ1が支持体6における貫通孔6Aの部分に取り付けられるだけで、図5に示されるように、フランジ部13に沿って環状に形成されたパッキン部材20が、フランジ部13と支持体6の貫通孔6Aの縁部と間の隙間を塞ぎ、支持体6の貫通孔6Aの部分における外領域から内領域への液体及び粉塵の浸入を遮断する。従って、エッジプロテクタ1が採用されれば、グロメットを装着する煩雑な作業を要さずに、簡易に支持体6の貫通孔6Aの部分とエッジプロテクタ1との間の隙間が塞がれ、内領域の防水及び防塵が実現される。
【0038】
また、筒部材10の端部に結束用突出部18が形成されているため、図5に示されるように、結束用突出部18とともに結束されたワイヤハーネス9は、内領域において筒部材10の端部から斜め上方へ傾斜した状態で維持される。そのため、万一、液体がワイヤハーネス9を伝って外領域から内領域へ浸入した場合でも、その液体が、さらに内領域のワイヤハーネス9を伝ってそのワイヤハーネス9に接続された電装機器にまで到達することを防止できる。
【0039】
また、エッジプロテクタ1において、筒部材10が第一半筒部材101及び第二半筒部材102から構成されているため、筒部材10の内側面とワイヤハーネス9の外装部材とが、密接する構造又は凹凸による嵌め合い構造を有する場合であっても、筒部材10の中空部にワイヤハーネス9を容易に通すことができる。
【0040】
さらに、パッキン部材20が、第一半筒部材101及び第二半筒部材102の各々に接着された半環状の2つの弾性部材201,202から構成されているため、第一半筒部材101及び第二半筒部材102を組み合わせた後に環状のパッキン部材を筒部材10に装着する作業が省略される。
【0041】
<第2実施形態>
次に、図6及び図7を参照しつつ、本発明の第2実施形態に係るエッジプロテクタ1Aについて説明する。エッジプロテクタ1Aは、図1から図5に示されたエッジプロテクタ1と比較して、筒部材10に相当する筒部材10Aが一体の成形部材であること、パッキン部材20に相当するパッキン部材20Aが一体の弾性部材であること、及び筒部材10Aの内側面のリブ15がないことのみが異なる構成を有している。以下、エッジプロテクタ1Aにおけるエッジプロテクタ1と異なる点についてのみ説明する。
【0042】
図6は、エッジプロテクタ1Aの斜視図であり、図1に示されるエッジプロテクタ1の斜視図に相当する。また、図7はエッジプロテクタ1Aの分解斜視図であり、図3に示されるエッジプロテクタ1の分解斜視図に相当する。なお、図6及び図7において、図1から図5に示される構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号が付されている。また、便宜上、図7において、結束用突出部18は破線で記されている。
【0043】
エッジプロテクタ1Aの筒部材10Aは、エッジプロテクタ1における2つの半筒部材101,102が組み合わされることにより構成された筒部材10と形状及び機能が同じである。但し、筒部材10Aの内側面には、ワイヤハーネス9の外装部材との嵌め合い構造を構成するリブ15は形成されていない。
【0044】
また、エッジプロテクタ1Aにおけるパッキン部材20Aは、エッジプロテクタ1における2つの弾性部材201,202が組み合わされることにより構成されたパッキン部材20と形状及び機能が同じである。
【0045】
環状に形成された一体の部材であるパッキン部材20Aは、筒部材10におけるフランジ部13とロック部14との間の位置に押し込まれるだけで、フランジ部13とロック部14との間の位置に保持される。そのため、パッキン部材20Aは、あえて筒部材10に接着されることを要しない。もちろん、パッキン部材20Aが筒部材10に接着されてもよい。
【0046】
エッジプロテクタ1Aが採用されることにより、リブ15により得られる効果を除き、エッジプロテクタ1が採用されることにより得られる効果と同じ効果が得られる。図6及び図7に示されるようなエッジプロテクタ1Aも、本発明の実施形態の一つである。
【0047】
<その他>
以上に示された各実施形態に係るエッジプロテクタ1,1Aが、結束用突出部18を除いた残りの構成を備えることも考えられる。また、前述したように、結束用突出部18は、筒部材10における中空部の下側の縁部に設けられてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1,1A エッジプロテクタ
5 結束材
6 支持体
6A 貫通孔
7 電線
8 コルゲートチューブ
9 ワイヤハーネス
10,10A 筒部材
12 筒部材の本体部
13 筒部材のフランジ部
14 筒部材のロック部
15 筒部材のリブ
16 半筒部材のアーム部
17 半筒部材の受け部
18 結束用突出部
20,20A パッキン部材
81 コルゲートチューブの凹み部
82 コルゲートチューブの凸部
101 第一半筒部材
102 第二半筒部材
161 突起
171 穴
201 第一弾性部材
202 第二弾性部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤハーネスが通される筒状に形成され、支持体における貫通孔の縁部に取り付けられるワイヤハーネスの保護具であって、
前記支持体の貫通孔に挿入される筒状に形成された部材であり、外側面から外側へ張り出して環状に形成され前記支持体の貫通孔の縁部の第一の面に対向するフランジ部、及び外側の部分に形成され前記支持体の貫通孔の縁部の第二の面に引っ掛かる位置から内側へ弾性変位可能なロック部を有する筒部材と、
前記筒部材における前記フランジ部と前記ロック部との間の位置において前記フランジ部に沿って環状に形成された弾性体からなり、前記フランジ部と前記支持体の貫通孔の縁部の第一の面との間に挟み込まれるパッキン部材と、を備えることを特徴とするワイヤハーネスの保護具。
【請求項2】
前記筒部材における前記ロック部を基準に前記フランジ部側に対する反対側の端部に、前記筒部材が前記支持体の貫通孔に挿入された状態で斜め上方となる方向へ突出して形成され、前記筒部材の中空部に通された前記ワイヤハーネスとともに結束される結束用突出部が形成されている、請求項1に記載のワイヤハーネスの保護具。
【請求項3】
前記筒部材は、前記ワイヤハーネスの両側から組み合わされることによって筒状となる半筒状の第一半筒部材及び第二半筒部材からなり、
前記パッキン部材は、前記第一半筒部材及び前記第二半筒部材各々に接着され前記第一半筒部材及び前記第二半筒部材が組み合わされることによって環状となる半環状の第一弾性部材及び第二弾性部材からなる、請求項1又は請求項2に記載のワイヤハーネスの保護具。
【請求項4】
前記筒部材は樹脂の成形部材からなる、請求項1から請求項3のいずれかに記載のワイヤハーネスの保護具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−175716(P2012−175716A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−31881(P2011−31881)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】