説明

ワイヤレスコールシステム及び携帯型送受信器

【課題】第1ユーザに対する迅速な対応、第2ユーザの円滑な業務遂行を可能とする。
【解決手段】携帯型送受信器20が、ワイヤレス送信器10から送信される無線信号を受信したことに応じて、無線信号に含まれる識別情報と対応付けられたワイヤレス送信器10を視覚的に特定するシンボル情報を表示部30に表示させるよう制御し、音声入力部32、無線送信部22、無線受信部23、音声出力部37により音声通話を可能とすることで実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作信号を送信して呼び出しなどの要求を行うワイヤレスコールシステム及び携帯型送受信器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、飲食店などにおいては、顧客に対する従業員の迅速な対応を目的として、客席の卓上毎に、所定の呼出ボタンの押下に応じて呼出信号を送信するワイヤレス送信器を設けるとともに、このワイヤレス送信器からの呼出信号を従業員によって管理される所定のワイヤレス受信器によって受信することにより、呼び出しがあった旨を従業員に通知するワイヤレスコールシステムが考案、実施されている。
【0003】
ワイヤレス受信器には、店舗内の従業員が視認し易い位置に設置され、複数の呼出信号の受信結果を同時に表示することができる固定設置型のワイヤレス受信器の他に、各従業員が携帯して、呼出信号の受信結果を表示、報知することができる携帯型のワイヤレス受信器がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
飲食店などのサービス提供者は、このようなワイヤレスコールシステムを利用することにより、最低限、顧客からの要求があった場合に接客などの各種サービスを提供すればよいため、必要以上に従業員を雇うことを回避することができ、経営上の無駄なコストを削減することができる。また、従業員が、顧客の要求に迅速に対応することが可能となることから、来店した顧客のサービスに対する満足度が向上し、営業上の大きなメリットを獲得することができる。
【特許文献1】特開平11−161859号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、ワイヤレス送信器によって送信される呼出信号をワイヤレス受信器で受信して呼び出し要求があった旨が通知されると、従業員は、呼び出し要求をした顧客の対応に向かうことになる。しかしながら、混雑時などには、従業員達も混乱が発生しやすい状況に陥ることから、呼び出し要求がなされた顧客のもとへ、異なる従業員が重複して対応に向かったり、他の従業員の応援が必要なときであっても目の前の要求への対応に追われて応援要請をすることすらできないなど、円滑な業務の遂行を実現することができないといった問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、上述したような問題を解決するために案出されたものであり、顧客などのサービスを受ける側のユーザに対して迅速な対応を行い、サービスを提供する側のユーザが混乱することなく円滑に業務を遂行することができるワイヤレスコールシステム及び携帯型送受信器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のワイヤレスコールシステムは、第1ユーザによる操作に応じて固有の識別情報を含む操作信号を送信するワイヤレス送信器と、前記操作信号を受信して操作信号に含まれる前記識別情報に基づき、前記識別情報で特定される前記ワイヤレス送信器からの要求を第2ユーザに通知する携帯型送受信器とを備えるワイヤレスコールシステムであって、前記携帯型送受信器が、前記操作信号を受信したことに応じて、前記操作信号に含まれる前記識別情報と対応付けられた前記ワイヤレス送信器を視覚的に特定するシンボル情報を表示部に表示させるよう制御する表示制御手段と、音声を入力する音声入力手段と、前記音声入力手段に入力された音声を音声信号として送信する音声信号送信手段と、外部装置から送信された音声信号を受信する音声信号受信手段と、前記音声信号受信手段で受信した音声信号を音声として出力する音声出力手段と、前記音声入力手段、前記音声信号送信手段、前記音声信号受信手段、前記音声出力手段による、他の携帯型送受信器との音声通話を制御する音声通話制御手段とを有することにより、上述の課題を解決する。
【0008】
また、本発明のワイヤレスコールシステムは、前記携帯型送受信器が、前記表示制御手段の制御によって前記表示部に表示された前記シンボル情報に関する詳細情報を音声として、前記音声出力手段から出力させるように制御する音声信号制御手段を有することにより、上述の課題を解決する。
【0009】
また、本発明のワイヤレスコールシステムは、前記ワイヤレス送信器が、相異なる複数の要求がそれぞれ割り当てられた複数の操作手段と、前記操作手段が操作されたことに応じて、操作された前記操作手段を一意に特定する操作識別情報を送信する送信手段とを有し、前記携帯型送受信器の音声信号制御手段が、前記表示部に表示された前記シンボル情報に関する詳細情報として、前記操作識別情報で特定される前記操作手段に割り当てられた要求を音声として前記音声出力手段から出力するよう制御することにより、上述の課題を解決する。
【0010】
また、本発明のワイヤレスコールシステムは、前記携帯型送受信器の音声信号制御手段が、前記表示部に表示される表示内容を音声として前記音声出力手段から出力するよう制御することにより、上述の課題を解決する。
【0011】
本発明の携帯型送受信器は、第1ユーザによる操作に応じて、ワイヤレス送信器から送信される固有の識別情報を含む操作信号を受信し、操作信号に含まれる前記識別情報に基づき、前記識別情報で特定される前記ワイヤレス送信器からの要求を第2ユーザに通知する携帯型送受信器であって、前記操作信号を受信したことに応じて、前記操作信号に含まれる前記識別情報と対応付けられた前記ワイヤレス送信器を視覚的に特定するシンボル情報を表示部に表示させるよう制御する表示制御手段と、音声を入力する音声入力手段と、前記音声入力手段に入力された音声を音声信号として送信する音声信号送信手段と、外部装置から送信された音声信号を受信する音声信号受信手段と、前記音声信号受信手段で受信した音声信号を音声として出力する音声出力手段と、前記音声入力手段、前記音声信号送信手段、前記音声信号受信手段、前記音声出力手段による、他の携帯型送受信器との音声通話を制御する音声通話制御手段とを備えることにより、上述の課題を解決する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、携帯型送受信器が、他の携帯型送受信器と音声通話をすることができるため、第2ユーザは、ワイヤレス送信器からの要求に応じて表示部に表示されるワイヤレス送信器のシンボル情報を視覚的に確認しながら、同時に音声による指示を他の携帯型送受信器に対して容易に出すことができる。これにより、効率よく迅速な第1ユーザへの対応を可能とし、第2ユーザの円滑な業務遂行を可能とする。
【0013】
また、本発明によれば、携帯型送受信器の表示部で表示できる情報量以上の詳細情報を音声により提供することができるため、第2ユーザの利便性を向上させることを可能とする。
【0014】
また、本発明によれば、ワイヤレス送信器を介してなされる第1ユーザの具体的な要求を詳細情報として直接音声により提供することができるため、非常に効率的で円滑な対応を実現することを可能とする。
【0015】
また、本発明によれば、第2ユーザは、携帯型送受信器の表示部の表示内容を視認することなく音声によって把握することができるため、音声により次にとるべき行動を把握して準備することができ、より円滑な第1ユーザへの対応を実現することを可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0017】
まず、図1を用いて、本発明の実施の形態として示すワイヤレスコールシステムについて説明をする。
【0018】
このワイヤレスコールシステムは、当該ワイヤレスコールシステムによってサービスを受ける、例えば、飲食店の顧客といった非システム管理者側のユーザ(以下、第1ユーザと呼ぶ。)と、ワイヤレスコールシステムを主体的に利用して顧客にサービスを提供する、例えば、飲食店の従業員といったシステム管理者側のユーザ(以下、第2ユーザと呼ぶ。)とによって利用される。図1に示すように、ワイヤレスコールシステムは、第1ユーザによって利用される複数のワイヤレス送信器10(nは、自然数)と、第2ユーザによって利用され、ワイヤレス送信器10と所定の周波数帯域を利用して無線通信することができる複数の携帯型送受信器20(mは、自然数)と、同じく第2ユーザによって利用され、ワイヤレス送信器10と所定の周波数帯域を利用して無線通信することができる設置型の表示受信器40とを備えている。
【0019】
このワイヤレスコールシステムは、第1ユーザによりワイヤレス送信器10を介してなされる呼び出し要求などの要求に対して、携帯型送受信器20、表示受信器40により要求を第2ユーザに通知することができる。
【0020】
(ワイヤレス送信器10の構成)
続いて、図2を用いて、ワイヤレス送信器10の構成について説明をする。ワイヤレス送信器10は、携帯型送受信器20、表示受信器40に無線信号を送信するアンテナ部11、無線送信部12と、無線送信部12で送信する搬送波を出力するPLL(Phase Locked Loop)制御部13と、当該ワイヤレス送信器10を統括的に制御する信号処理部14と、少なくとも当該ワイヤレス送信器10を一意に特定する固有の識別情報を記憶しているデータ記憶部15と、携帯型送受信器20、表示受信器40に送信する無線信号の送信要求を入力する、例えば、押下ボタンなどである操作部16と、当該ワイヤレス送信器10に電源供給をする電池部17とを備えている。
【0021】
このような構成のワイヤレス送信器10は、小型形状をしており電源として電池部17を有しているため、持ち運び自在であり、例えば、飲食店などの各テーブル上に簡易的に配置される。
【0022】
信号処理部14は、操作部16が操作されたことに応じて、データ記憶部15に記憶されている当該ワイヤレス送信器10を一意に特定する識別情報を読み出し、PLL制御部13、無線送信部12を制御して、読み出した識別情報を添付した無線信号をアンテナ部11を介して携帯型送受信器20、表示受信器40に送信する。この無線信号は、例えば、任意の携帯型送受信器20を呼び出すため、あるいは呼び出し要求があったことを表示受信器40を介して第2ユーザに対して通知するための呼出信号などである。
【0023】
(携帯型送受信器20の構成)
続いて、図3を用いて携帯型送受信器20の構成について説明をする。
【0024】
図3に示すように、携帯型送受信器20は、アンテナ部21と、無線送信部22と、無線受信部23と、PLL制御部24と、送信する信号に応じてアンテナ部21を切り替える切替部25と、当該携帯型送受信器20を統括的に制御する信号処理部26と、少なくともワイヤレスコールシステムを構成する全てのワイヤレス送信器10の識別情報を記憶したデータ記憶部27と、チャンネル設定部28と、ユーザによる操作命令を入力する、例えば、押下ボタンなどである操作部29と、ワイヤレス送信器10からの呼び出し要求などの要求に応じて、ワイヤレス送信器10を視覚的に特定するシンボル情報などを表示する、例えば、液晶ディスプレイなどである表示部30と、鳴動によりワイヤレス送信器10からの要求があったことを報知する報知部31と、音声入力部32と、アンプ33と、変調部34と、復調部35と、アンプ36と、音声出力部37と、固定音声記憶部38と、当該携帯型送受信器20に電源供給をする電池部39とを備えている。
【0025】
このような携帯型送受信器20は、例えば、図1に示すように、従業員などである第2ユーザが常に携帯できるような形状、重量となっており、内蔵される電池部39で電源を確保している。また、携帯型送受信器20は、図1に示すように、クリップ状の取り付け部20Aにより、第2ユーザの胸ポケットなどに容易に差し込めて携帯することもできる。このように、取り付け部20Aを設けた場合、携帯型送受信器20を胸ポケットなどに差し込んだ際に表示面30aが上面方向を向くように表示部30を配置する。これにより、第2ユーザは、下部方向へ視線を若干ずらしだけで、表示部30の表示面30a上に表示される情報を視認することができる。
【0026】
また、マイクなどである音声入力部32と、イヤフォンなどである音声出力部37とを、いわゆるヘッドセットなどとすることで、後述する第2ユーザ同士の携帯型送受信器20を介した音声通話を容易に実行することができる。
【0027】
無線送信部22は、操作部29の操作に応じた無線信号の送信処理をする無線送信部22aと、デジタル音声信号の送信処理をする無線送信部22bと、アナログ音声信号の送信処理をする無線送信部22cとを有している。
【0028】
無線受信部23は、ワイヤレス送信器10、他の携帯型送受信器20から送信される無線信号の受信処理をする無線受信部23aと、デジタル音声信号の受信処理をする無線受信部23bと、アナログ音声信号の受信処理をする無線受信部23cとを有している。
【0029】
PLL制御部24は、無線受信部23での周波数変換に用いる局部発振信号を与えるとともに、無線送信部22で用いる搬送波を出力する。
【0030】
データ記憶部27は、ワイヤレス送信器10を識別する識別情報と、当該ワイヤレス送信器10が置かれているテーブルの位置や領域などを特定する表示番号情報といった表示部30に表示させることで、ワイヤレス送信器10を特定することができるシンボル情報が対応付けられたテーブルを記憶している。このテーブルは、ワイヤレス送信器10が置かれたテーブルや領域などを把握するために用いられる。
【0031】
チャンネル設定部28は、当該携帯型送受信器20の送信周波数の切り替えを行う。チャンネル設定部28は、例えば、ディップスイッチにより構成され、ディップスイッチを切り替えることで使用する周波数帯を選択することができる。
【0032】
音声入力部32、アンプ33、変調部34、復調部35、アンプ36、音声出力部37は、当該携帯型送受信器20の音声通話を実現するための機能部である。音声入力部32は、いわゆるマイクなどであり、第2ユーザの音声を入力することができる。
【0033】
音声入力部32により入力された音声をアナログ音声信号として扱う場合、入力された音声信号は、アンプ33で増幅され、変調部34で変調され、無線送信部22の無線送信部22cを介してアンテナ部21から他の携帯型送受信器20へ送信される。また、音声入力部32より入力された音声をデジタル音声信号として扱う場合、入力された音声信号は、信号処理部26でデジタル信号に変換され無線送信部22の無線送信部22bを介してアンテナ部21から他の携帯型送受信器20へ送信される。
【0034】
音声出力部37は、いわゆるイヤフォンなどであり、音声信号を音声として出力することができる。音声出力部37は、アンテナ部21、無線受信部23の無線受信部23cを介して受信され、復調部35で復調されアンプ36で増幅されたアナログ音声信号を音声として出力する。音声出力部37は、アンテナ部21、無線受信部23の無線受信部23bを介して受信され、信号処理部26によりアナログ音声信号に変換され、アンプ36で増幅されたデジタル音声信号を音声として出力する。
【0035】
また、音声出力部37は、固定音声記憶部38に記憶され、信号処理部26の制御により読み出されアンプ36で増幅された音声情報を音声として出力する。
【0036】
固定音声記憶部38は、音声情報をデジタル音声情報として記憶することができる、例えば、フラッシュメモリなどである。固定音声記憶部38は、例えば、あらかじめデフォルトデータとして設定されている音声情報が記憶されている記憶領域と、音声入力部32を介して入力された音声を音声情報として記憶することができる記憶領域とを有している。
【0037】
固定音声記憶部38に記憶される音声情報は、信号処理部26の制御により表示部30で表示される表示内容、例えば、ワイヤレス送信器10を視覚的に特定するシンボル情報と同等の内容を音声化した音声情報や、さらに表示内容を補足したり、表示内容に付加する詳細な情報(詳細情報)を含んだものとなっている。例えば、固定音声記憶部38には、ワイヤレス送信器10が設置された位置や領域を特定する番号情報を音声化した音声情報や、設置位置や領域の特徴を番号情報以外で具体的に説明した音声情報などが記憶されている。
【0038】
ところで、携帯型送受信器20のデータ記憶部27には、例えば、図4に示すようにワイヤレス送信器10を一意に特定する識別情報と、表示部30に表示させる設置位置を示す表示番号情報と、詳細情報を音声化した音声情報が記憶された固定音声記憶部38のアドレスとが対応付けられたテーブルが記憶されている。なお、図4には、固定音声記憶部38に記憶された音声情報の一例をメッセージ内容として記載している。
【0039】
信号処理部26は、ワイヤレス送信器10から送信される識別情報を添付した無線信号を受信したことに応じて、データ記憶部27に記憶された図4に示すようなテーブルを参照し、識別情報に対応付けられた固定音声記憶部38のアドレスを取得する。信号処理部26は、固定音声記憶部38の取得したアドレスに記憶されている音声情報を読み出して、アンプ36、音声出力部37を介して詳細情報を音声として出力させる。
【0040】
この固定音声記憶部38に音声情報として記憶される詳細情報は、第2ユーザによって書き換えが可能であり、必要に応じて、固定音声記憶部38の所定の記憶領域に記憶させることができる。新たに詳細情報を記憶、または更新した場合、信号処理部26は、データ記憶部27に記憶されているテーブルに、ワイヤレス送信器10の識別情報と対応がとれるように固定音声記憶部38の詳細情報を記憶させたアドレスを書き込む。
【0041】
また、固定音声記憶部38には、当該携帯型送受信器20の操作部29の操作に対応した音声情報も記憶されている。例えば、操作部29は、他の当該携帯型送受信器20からの通話機能を利用した応援要求に対応した旨を通知するための対応ボタンを有している。信号処理部26は、この対応ボタンの押下に応じて他の携帯型送受信器20に送信する信号に、当該信号を特定するIDを含ませる。そこで、このIDと、固定音声記憶部38に記憶させる音声情報とを対応付けておくことで、対応ボタンの操作に応じた音声を出力させることができる。
【0042】
このような携帯型送受信器20において、信号処理部26は、ワイヤレス送信器10から呼出信号を受信することによって第1ユーザによる呼び出し要求があったことを検出すると、データ記憶部27に記憶されたテーブルを参照し、呼び出し要求があったワイヤレス送信器10を特定するシンボル情報を表示部30に表示させるとともに、報知部31を動作させる。このとき、信号処理部26は、表示させたシンボル情報のようにワイヤレス送信器10を特定する音声や、シンボル情報に関する詳細情報を音声にて通知するように、該当する音声情報を固定音声記憶部38から読み出して、アンプ36、音声出力部37を介して出力させる。
【0043】
(携帯型送受信器20の基本処理動作)
続いて、図5に示すタイミングチャートを用いて携帯型送受信器20を中心としたワイヤレスコールシステムの基本的な処理動作について説明をする。なお、説明のため、ある店舗内のテーブル上に配置されたワイヤレス送信器10と、ある3人の第2ユーザがそれぞれ携帯している携帯型送受信器20,20,20とで呼び出し要求に対する処理がなされる場合を想定して説明をする。
【0044】
まず、ステップS1において、ワイヤレス送信器10の信号処理部14は、操作部16が第1ユーザに押下されたことに応じて、当該ワイヤレス送信器10を一意に特定する識別情報を添付した呼出信号を送信する。
【0045】
ステップS2において、携帯型送受信器20,20,20、表示受信器40は、ワイヤレス送信器10から送信された呼出信号を受信したかどうかを判断する。
【0046】
携帯型送受信器20,20,20の信号処理部26は、ワイヤレス送信器10から送信された呼出信号を受信したことに応じて、受信した呼出信号を復調して添付された識別情報を取り出す。信号処理部26は、取り出した識別情報を用いて、データ記憶部27を参照し、この識別情報と対応付けて記憶されているワイヤレス送信器10の設置位置などを特定するシンボル情報である表示番号情報を取得する。そして、信号処理部26は、取得した表示番号情報を、表示部30に表示させるとともに、報知部31による報知処理(鳴動)を実行し、呼び出し要求があった旨を知らせる。表示受信器40も、携帯型送受信器20,20,20と同様の処理により、ワイヤレス送信器10の設置位置を表示部41に表示するとともに、鳴動により呼び出し要求があった旨を知らせる。
【0047】
また、携帯型送受信器20,20,20の信号処理部26は、表示部30に表示させた表示番号情報に対応する音声情報を固定音声記憶部38から読み出して、アンプ36、音声出力部37を介して音声として出力させる。例えば、表示番号情報が“5”であった場合には、“5番呼び出し”という音声が出力される。
【0048】
さらに、信号処理部26は、表示部30に表示させたシンボル情報である表示番号情報に関するさらに詳細な情報を固定音声記憶部38から読み出して、アンプ36、音声出力部37を介して音声として出力させる。例えば、ワイヤレス送信器10が設置されている5番という位置が店舗内の西側に存在し、禁煙席であった場合には、“西側禁煙席5番呼び出し”という音声が出力される。これにより、第2ユーザは、ワイヤレス送信器10が設置されている5番という位置を、店舗内の具体的な位置として明確にイメージすることができるため迅速な対応をすることができる。
【0049】
この呼び出し要求に、携帯型送受信器20を携帯している第2ユーザが対応したとする。
【0050】
ステップS3において、携帯型送受信器20を携帯している第2ユーザは、呼び出し要求に対応したものの1人では対応することができないため、操作部29の送話ボタンを押下する。
【0051】
これにより携帯型送受信器20は、送話モードとなり、他の携帯型送受信器20,20に音声を送信することができるようになる。携帯型送受信器20が送話モードとなると、携帯型送受信器20,20は、受話モードとなり送信された音声を受信することができる。
【0052】
ステップS4において、第2ユーザは、操作部29の送話ボタンを押下しながら、発話して携帯型送受信器20の音声入力部32に音声を入力する。例えば、第2ユーザは、“○○さん、お願いします”というように、特定の他の第2ユーザに応援を要請する音声や、“5番、応援お願いします”というような音声を入力する。音声入力部32から入力された音声は、アンプ33、変調部34、無線送信部22cを介して音声信号としてアンテナ部21より送信される。
【0053】
第2ユーザは、音声の発話が終了すると操作部29の送話ボタンの押下を終了する。これに応じて、携帯型送受信器20,20,20は、待機モードとなる。
【0054】
ステップS5において、ステップS4で送信された音声信号をアンテナ部21、無線受信部23cで受信した携帯型送受信器20,20の信号処理部26は、復調部35、アンプ36、音声出力部37を介して音声として出力する。出力された音声を聞いた、携帯型送受信器20を携帯している第2ユーザは、この音声に応答し操作部29の送話ボタンを押下する。
【0055】
これにより携帯型送受信器20は、送話モードとなり、他の携帯型送受信器20,20に音声を送信することができるようになる。携帯型送受信器20が送話モードとなると、携帯型送受信器20,20は、受話モードとなり送信された音声を受信することができる。
【0056】
ステップS6において、ユーザは、操作部29の送話ボタンを押下しながら、発話して携帯型送受信器20の音声入力部32に音声を入力する。例えば、ユーザは、“了解しました”というように、ステップS4で送信された音声による応援要求に応答する音声を入力する。音声入力部32から入力された音声は、アンプ33、変調部34、無線送信部22cを介して音声信号としてアンテナ部21より送信される。
【0057】
第2ユーザは、音声の発話が終了すると操作部29の送話ボタンの押下を終了する。これに応じて、携帯型送受信器20,20,20は、待機モードとなる。
【0058】
ステップS7において、携帯型送受信器20を携帯している第2ユーザは、応援要求に応答する音声を入力したことに応じて、他の携帯型送受信器20,20、表示受信器40に、対応する旨を通知する操作部29の対応ボタンを押下する。
【0059】
ステップS8において、携帯型送受信器20の信号処理部26は、操作部29の対応ボタンが押下されたことに応じて、各表示部30、表示部41に表示されている情報、ここでは、呼出信号を送信したワイヤレス送信器10の設置位置を特定する表示番号情報を消去するコマンドを含んだ消去要求信号を送信する。
【0060】
ステップS9において、携帯型送受信器20の信号処理部26は、操作部29の対応ボタンが押下されたことに応じて表示部30に表示されている表示番号情報を消去する。また、携帯型送受信器20,20の信号処理部26、表示受信器40は、携帯型送受信器20から送信された消去要求信号を受信したことに応じて、表示部30、表示部41に表示されているワイヤレス送信器10の表示番号情報を消去する。
【0061】
そして、携帯型送受信器20,20の信号処理部26は、表示部30に表示させ消去した表示番号情報に対応する音声情報を固定音声記憶部38から読み出して、アンプ36、音声出力部37を介して音声として出力させる。例えば、表示番号情報が“5”であった場合には、“5番消去”という音声が出力される。
【0062】
このようにして、ワイヤレスコールシステムは、携帯型送受信器20を介して第2ユーザ同士で音声による通話をすることができる。したがって、第2ユーザは、ワイヤレス送信器10からの呼び出し要求などに応じて表示部30に表示されるワイヤレス送信器10のシンボル情報を視覚的に確認しながら、同時に音声による応援要求などの指示を容易に出すことができるため、効率よく第1ユーザへの対応を実行することができる。
【0063】
また、携帯型送受信器20の信号処理部26は、表示部30に表示される表示内容に対応する音声を音声出力部37から出力するように制御する。
【0064】
これにより、第2ユーザは、表示部30の表示内容を視認することなく音声によって把握することができる。したがって、例えば、混雑時など、目の前の第1ユーザへの対応をしながら、音声により次にとるべき行動を把握して準備することができるため、より円滑な第1ユーザへの対応を実現することができる。
【0065】
さらに、携帯型送受信器20の信号処理部26は、表示部30に表示させるシンボル情報に関連したさらに詳細な情報として、固定音声記憶部38に記憶されている音声情報を読み出して音声出力部37から音声出力することができる。
【0066】
これにより、第2ユーザは、携帯型送受信器20の表示部30で表示できる情報量以上の情報を音声により取得することができる。例えば、ワイヤレス送信器10が設置された場所の詳細な説明や、第1ユーザが要求している内容など、表示部30で表示することのできない情報を音声にて第2ユーザへと通知することができるため、第2ユーザの利便性が向上する。また、このように音声によりシンボル情報を補うようにすることで、表示部30は、単純な表示だけできればよいので、携帯型送受信器20のコストダウン、小型化、軽量化が可能となる。
【0067】
(ワイヤレス送信器10の別な構成)
続いて、図6を用いて、ワイヤレス送信器10の別な構成であるワイヤレス送信器10Sについて説明をする。図6に示すように、ワイヤレス送信器10Sは、操作部16として操作ボタン16A,16B,16Cを備えている。なお、ワイヤレス送信器10Sは、図6に示すように操作部16の構成が異なるだけであって、図2を用いて説明したワイヤレス送信器10の構成とほぼ同じ構成であるため、重複する箇所については説明を省略する。
【0068】
この操作ボタン16A,16B,16Cには、それぞれ要求が割り当てられており、押下されることで、異なる要求をするコマンドを添付した信号を携帯型送受信器20、表示受信器40に送信する。例えば、操作ボタン16Aは、食後のアフタードリンクを要求する際に押下するボタンであり、操作ボタン16Bは、通常の呼び出し要求をする際に押下するボタンであり、操作ボタン16Cは、水を要求する際に押下するボタンである。
【0069】
実際には、ワイヤレス送信器10Sのデータ記憶部15に、各操作ボタン16A,16B,16Cを一意に識別するボタン識別情報が記憶されており、信号処理部14は、操作ボタン16A,16B,16Cのいずれかが押下されたことに応じて、データ記憶部15から対応するボタン識別情報を読み出し、当該ワイヤレス送信器10Sを一意に特定する固有の識別情報とともに無線信号に添付して送信する。
【0070】
これに対し、携帯型送受信器20のデータ記憶部27には、例えば、図7に示すようにワイヤレス送信器10Sを一意に特定する識別情報と、ボタン識別情報とからなる識別情報と、表示部30に表示させる設置位置を示す表示番号情報と、ボタン識別情報で特定される要件に対応した音声情報が記憶された固定音声記憶部38のアドレスが対応付けられたテーブルが記憶されている。なお、図7には、固定音声記憶部38に記憶された音声情報の一例をメッセージ内容として記載している。
【0071】
固定音声記憶部38に記憶させる、ワイヤレス送信器10Sの操作ボタン16A,16B,16Cに対応した要件に関する音声情報は、第2ユーザによって、音声入力部32から任意に記憶させることができる。
【0072】
これにより、ワイヤレス送信器10に替えてワイヤレス送信器10Sを用いた場合、図5に示したタイミングチャートのステップS1において、操作ボタン16Aが第1ユーザによって押下されると、ワイヤレス送信器10Sの信号処理部14は、ワイヤレス送信器10Sを特定する識別情報と操作ボタン16Aを特定するボタン識別情報を添付した要求信号を送信する。
【0073】
ステップS2において、携帯型送受信器20,20,20、表示受信器40は、ワイヤレス送信器10Sから送信された要求信号を受信したかどうかを判断する。
【0074】
携帯型送受信器20,20,20の信号処理部26は、ワイヤレス送信器10Sから送信された要求信号を受信したことに応じて、受信した要求信号を復調して添付された識別情報、ボタン識別情報を取り出す。信号処理部26は、取り出した識別情報、ボタン識別情報を用いて、データ記憶部27を参照し、この識別情報、ボタン識別情報と対応付けて記憶されているワイヤレス送信器10Sの設置位置を示す表示番号情報を取得する。そして、信号処理部26は、取得した表示番号情報を、表示部30に表示させるとともに、報知部31による報知処理(鳴動)を実行し、なんらかの要求があった旨を知らせる。表示受信器40も、携帯型送受信器20,20,20と同様の処理により、ワイヤレス送信器10Sの表示番号情報を表示するとともに、鳴動によりなんらかの要求があった旨を知らせる。
【0075】
また、携帯型送受信器20,20,20の信号処理部26は、表示部30に表示させた表示番号情報で特定されるワイヤレス送信器10Sからの要求を説明した音声情報を固定音声記憶部38から読み出して、アンプ36、音声出力部37を介して音声として出力させる。例えば、ワイヤレス送信器10Sの操作ボタン16Aが押下され、表示番号情報が“1”であった場合には、“1番アフタードリンク”という音声が出力される。
【0076】
これにより、第2ユーザは、設置位置が1番のワイヤレス送信器10Sから、食後のアフタードリンクを要求されていることを音声を介して把握することができる。したがって、第1ユーザが求めている要求に対して、わざわざ第1ユーザを経由して要件を聞いてから再度対応する必要がないため、非常に効率的で円滑な対応を実現することができる。
【0077】
なお、ワイヤレス送信器10、ワイヤレス送信器10Sと、携帯型送受信器20、表示受信器40とは、直接、無線通信を実行しているように示しているが、本発明はこれに限定されることなく、例えば、中継装置などを介して行うようにしてもよい。
【0078】
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施の形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の実施の形態として示すワイヤレスコールシステムの構成について説明するためのブロック図である。
【図2】前記ワイヤレスコールシステムが備えるワイヤレス送信器の構成について説明するための図である。
【図3】前記ワイヤレスコールシステムが備える携帯型送受信器の構成について説明するための図である。
【図4】前記携帯型送受信器のデータ記憶部に記憶されるテーブルの一例を示した図である。
【図5】前記ワイヤレスコールシステムの基本処理動作について説明するためのフローチャートである。
【図6】前記ワイヤレス送信器の別な構成について説明するための図である。
【図7】図6に示すワイヤレス送信器を用いたワイヤレスコールシステムにおいて、携帯型送受信器のデータ記憶部に記憶されるテーブルの一例を示した図である。
【符号の説明】
【0080】
10 ワイヤレス送信器
10S ワイヤレス送信器
16 操作部
16A 操作ボタン
16B 操作ボタン
16C 操作ボタン
20 携帯型送受信器
22 無線送信部
23 無線受信部
26 信号処理部
27 データ記憶部
29 操作部
30 表示部
32 音声入力部
37 音声出力部
38 固定音声記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ユーザによる操作に応じて固有の識別情報を含む操作信号を送信するワイヤレス送信器と、前記操作信号を受信して操作信号に含まれる前記識別情報に基づき、前記識別情報で特定される前記ワイヤレス送信器からの要求を第2ユーザに通知する携帯型送受信器とを備えるワイヤレスコールシステムであって、
前記携帯型送受信器は、前記操作信号を受信したことに応じて、前記操作信号に含まれる前記識別情報と対応付けられた前記ワイヤレス送信器を視覚的に特定するシンボル情報を表示部に表示させるよう制御する表示制御手段と、
音声を入力する音声入力手段と、
前記音声入力手段に入力された音声を音声信号として送信する音声信号送信手段と、
外部装置から送信された音声信号を受信する音声信号受信手段と、
前記音声信号受信手段で受信した音声信号を音声として出力する音声出力手段と、
前記音声入力手段、前記音声信号送信手段、前記音声信号受信手段、前記音声出力手段による、他の携帯型送受信器との音声通話を制御する音声通話制御手段とを有すること
を特徴とするワイヤレスコールシステム。
【請求項2】
前記携帯型送受信器は、前記表示制御手段の制御によって前記表示部に表示された前記シンボル情報に関する詳細情報を音声として、前記音声出力手段から出力させるように制御する音声信号制御手段を有すること
を特徴とする請求項1記載のワイヤレスコールシステム。
【請求項3】
前記ワイヤレス送信器は、相異なる複数の要求がそれぞれ割り当てられた複数の操作手段と、
前記操作手段が操作されたことに応じて、操作された前記操作手段を一意に特定する操作識別情報を送信する送信手段とを有し、
前記携帯型送受信器の音声信号制御手段は、前記表示部に表示された前記シンボル情報に関する詳細情報として、前記操作識別情報で特定される前記操作手段に割り当てられた要求を音声として前記音声出力手段から出力するよう制御すること
を特徴とする請求項2記載のワイヤレスコールシステム。
【請求項4】
前記携帯型送受信器の音声信号制御手段は、前記表示部に表示される表示内容を音声として前記音声出力手段から出力するよう制御すること
を特徴とする請求項1記載のワイヤレスコールシステム。
【請求項5】
第1ユーザによる操作に応じて、ワイヤレス送信器から送信される固有の識別情報を含む操作信号を受信し、前記操作信号に含まれる識別情報に基づき、前記識別情報で特定される前記ワイヤレス送信器からの要求を第2ユーザに通知する携帯型送受信器であって、
前記操作信号を受信したことに応じて、前記操作信号に含まれる前記識別情報と対応付けられた前記ワイヤレス送信器を視覚的に特定するシンボル情報を表示部に表示させるよう制御する表示制御手段と、
音声を入力する音声入力手段と、
前記音声入力手段に入力された音声を音声信号として送信する音声信号送信手段と、
外部装置から送信された音声信号を受信する音声信号受信手段と、
前記音声信号受信手段で受信した音声信号を音声として出力する音声出力手段と、
前記音声入力手段、前記音声信号送信手段、前記音声信号受信手段、前記音声出力手段による、他の携帯型送受信器との音声通話を制御する音声通話制御手段とを備えること
を特徴とする携帯型送受信器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−317023(P2007−317023A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−147177(P2006−147177)
【出願日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】