説明

ワイヤーハーネスの配索構造

【課題】 製造コストを抑制しつつ、分岐部を確実に保護することができるワイヤーハーネスの配索構造を提供する。
【解決手段】本発明に係るワイヤーハーネスの配索構造1では、本線11と該本線11から分岐部13を介して分岐する支線12とを有するワイヤーハーネス10が長尺状のコルゲートチューブ20により外装される。コルゲートチューブ20は、本線11を覆うとともに支線12側に配置される第1開口端21Aを有する第1チューブ21と、本線11を覆うとともに第1開口端21Aに突き当たる第2開口端22Aを有する第2チューブ22とを備える。第1開口端21A及び第2開口端22Aには、支線12の断面形状に合うように切り欠けられる切欠部30が設けられる。切欠部30は、第1開口端21Aに形成される第1切欠部分31と、第2開口端22Aに形成される第2切欠部分32とによって構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本線と支線とを有するワイヤーハーネスが長尺状のコルゲートチューブ(管体)により外装されたワイヤーハーネスの配索構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車などの車体に配索される複数本の電線からなるワイヤーハーネスは、長尺状(円筒状)のコルゲートチューブ(管体)により外装されることで、他の部材との干渉や飛石などの衝撃から保護されている。
【0003】
このようなワイヤーハーネスにおける本線から支線に分岐する分岐部において、支線が干渉してコルゲートチューブを外装できないため、分岐部の形状に合わせたT字型の継手部材を設けることが一般的である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−84611号公報(第2〜第4頁、第1及び第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の技術では、分岐部を保護することができるものの、継手部材などの別部材を設ける必要がある。このため、部品点数の増大を招いてしまい、製造コストが増大するという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、製造コストを抑制しつつ、分岐部を確実に保護することができるワイヤーハーネスの配索構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本発明は、次のような特徴を有している。まず、本発明の第1の特徴は、本線(本線11)と前記本線から分岐部(分岐部13)を介して分岐する支線(支線12)とを有するワイヤーハーネス(ワイヤーハーネス10)が長尺状の管体(コルゲートチューブ20)により外装されたワイヤーハーネスの配索構造(ワイヤーハーネスの配索構造1)であって、前記管体は、前記本線を覆うとともに、前記支線側に配置される第1開口端(第1開口端21A)を有する第1管体(第1チューブ21)と、前記本線を覆うとともに、前記第1開口端に突き当たる第2開口端(第2開口端22A)を有する第2管体(第2チューブ22)とを備え、前記第1開口端及び前記第2開口端には、前記支線の断面形状に合うように切り欠けられる切欠部(切欠部30)が設けられ、前記切欠部は、前記第1開口端に形成される第1切欠部分(第1切欠部分31)と、前記第2開口端に形成される第2切欠部分(第2切欠部分32)とによって構成されることを要旨とする。
【0008】
かかる特徴によれば、切欠部は、支線の断面形状に合うように切り欠けられる。すなわち、第1開口端と第2開口端とが突き当たった状態で、第1切欠部分及び第2切欠部分は、支線の断面形状に合っている。これにより、第1管体及び第2管体によって分岐部近傍を確実に保護することができる。従って、他の部材との干渉や飛石などの衝撃からワイヤーハーネスを確実に保護することができる。
【0009】
また、第1開口端及び第2開口端に、第1切欠部分と第2切欠部分とによって構成される切欠部が設けられる。これにより、第1切欠部分及び第2切欠部分を支線に合わせて嵌め込み、第1開口端と第2開口端とが突き当たるのみで、本線と支線とが分岐する分岐部を保護できる。つまり、分岐部を保護するために、従来のような別部材を設ける必要がなく、この別部材を取り付ける作業もなくなる。このため、作業効率の低減を図ることができるとともに、部品点数の増大を招くことなく、製造コストを抑制することができる。
【0010】
本発明の第2の特徴は、本発明の第1の特徴に係り、前記第1管体及び前記第2管体の少なくとも一方には、前記管体の長手方向に沿ったスリット(スリット21B,22B)が形成され、前記切欠部は、前記スリットを跨ぐように形成されることを要旨とする。
【0011】
かかる特徴によれば、切欠部は、スリットを跨ぐように形成される。これにより、第1管体や第2管体に切欠部を形成する際、スリットが切欠部を形成する位置の目印となり、切欠部を形成する作業の効率化を図ることができる。
【0012】
また、切欠部側から本線に向けて挿入するように、管体を本線に取り付けることができる。このため、本線への管体の取付時において、スリットにより形成されるエッジ部分が本線へ接触しにくくなり、本線の損傷を防止することができる。
【0013】
本発明の第3の特徴は、本発明の第1又は第2の特徴に係り、前記第1切欠部分及び前記第2切欠部分は、同一形状であることを要旨とする。
【0014】
かかる特徴によれば、第1切欠部分及び第2切欠部分は、同一形状である。これにより、第1切欠部分及び第2切欠部分が違う形状である場合と異なり、第1切欠部分や第2切欠部分のそれぞれを使い分ける必要がなくなる。このため、第1管体や第2管体に切欠部を形成する作業が容易となるとともに、第1管体及び第2管体の管理が煩雑となることを防止でき、製造コストを抑制することができる。
【0015】
本発明の第4の特徴は、本発明の第3の特徴に係り、前記支線の断面形状は、円形状であり、前記第1切欠部分及び前記第2切欠部分は、U字状に形成されることを要旨とする。
【0016】
かかる特徴によれば、支線の断面形状は、円形状であり、第1切欠部分及び第2切欠部分は、U字状に形成される。これにより、一般的な支線の断面形状が円形状である場合に、特に、分岐部近傍を保護し易くなる。
【0017】
本発明の第5の特徴は、本発明の第1乃至第4の特徴に係り、前記第1開口端は、前記第1管体の最も小径の位置に形成され、前記第2開口端は、前記第2管体の最も小径の位置に形成されることを要旨とする。
【0018】
かかる特徴によれば、第1開口端は、第1管体の最も小径の位置に形成され、第2開口端は、第2管体の最も小径の位置に形成される。これにより、第1開口端や第2開口端に形成される端縁部分が管体の長手方向に向かって突出しない。このため、本線への管体の取付時において、第1開口端や第2開口端に形成される端縁部分が本線に接触しないため、本線の損傷をより防止し易くなる。
【0019】
本発明の第6の特徴は、本発明の第1乃至第4の特徴に係り、前記第1開口端は、前記第1管体の最も大径の位置に形成され、前記第2開口端は、前記第2管体の最も小径の位置に形成されることを要旨とする。
【0020】
かかる特徴によれば、第1開口端は、第1管体の最も大径の位置に形成され、第2開口端は、第2管体の最も小径の位置に形成される。これにより、第2開口端が第1開口端内に入り込んで位置決めされるため、第1管体及び第2管体を本線へ装着し易くなる。また、第1管体の一部と第2管体の一部とが重なり合うため、分岐部近傍が補強され、分岐部近傍をより保護し易くなる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の特徴によれば、製造コストを抑制しつつ、分岐部を確実に保護することができるワイヤーハーネスの配索構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本実施形態に係るワイヤーハーネスの配索構造1を示す斜視図である。
【図2】図2は、本実施形態に係るワイヤーハーネスの配索構造1を示す分解斜視図である。
【図3】図3(a)は、本実施形態に係るコルゲートチューブ20を示す平面図であり、図3(b)は、本実施形態に係るコルゲートチューブ20を示す側面図である。
【図4】図4は、本実施形態に係るコルゲートチューブ20の製造方法を示す図である。
【図5】図5は、本実施形態に係るコルゲートチューブ20をワイヤーハーネス10に組み付ける方法を示す図である。
【図6】図6(a)は、変更例に係るコルゲートチューブ20を示す平面図(突合前)であり、図6(b)は、変更例に係るコルゲートチューブ20を示す平面図(突合後)である。
【図7】図7は、その他の実施形態に係るワイヤーハーネスの配索構造1を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明に係るワイヤーハーネスの配索構造の実施形態について、図面を参照しながら説明する。具体的には、(1)ワイヤーハーネスの配索構造の説明、(2)コルゲートチューブの製造方法、(3)コルゲートチューブの組付方法、(4)作用・効果、(5)変更例、(6)その他の実施形態について説明する。
【0024】
なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。
【0025】
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0026】
(1)ワイヤーハーネスの配索構造の説明
まず、本実施形態に係るワイヤーハーネスの配索構造1について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係るワイヤーハーネスの配索構造1を示す斜視図である。図2は、本実施形態に係るワイヤーハーネスの配索構造1を示す分解斜視図である。図3(a)は、本実施形態に係るコルゲートチューブ20を示す平面図であり、図3(b)は、本実施形態に係るコルゲートチューブ20を示す側面図である。
【0027】
図1及び図2に示すように、ワイヤーハーネスの配索構造1では、ワイヤーハーネス10が長尺状のコルゲートチューブ20(管体)により外装されている。これにより、ワイヤーハーネス10は、他の部材との干渉や飛石などの衝撃から保護される。
【0028】
ワイヤーハーネス10は、自動車などの車体(不図示)に配索される複数本の電線によって構成される。このワイヤーハーネス10は、略円筒状の本線11(幹線)と、本線11から分岐部13を介して一方向(1本)に分岐する略円筒状の支線12(枝線)とを有する。本実施形態では、本線11の断面形状及び支線12の断面形状は、それぞれ円形状である。
【0029】
コルゲートチューブ20は、ワイヤーハーネス10を覆い、略円筒状の樹脂製の部材(例えば、外周面に凹凸を有するチューブ)によって形成されている。このコルゲートチューブ20は、分岐部13の一側で本線11を覆う第1チューブ21(第1管体)と、分岐部13の他側で本線11を覆う第2チューブ22(第2管体)とを備えている。
【0030】
第1チューブ21は、支線12側に配置される第1開口端21Aを有する。本実施形態では、図3に示すように、第1開口端21Aは、第1チューブ21の最も小径(PL;Path,Lane)の位置、すなわち、外周面の凹部分に形成されている。また、第1チューブ21には、コルゲートチューブ20の長手方向Lに沿ったスリット21Bが形成されている。
【0031】
第2チューブ22は、第1チューブ21と同径である。この第2チューブ22は、支線12側に配置されるとともに、第1開口端21Aに突き当たる第2開口端22Aを有する。本実施形態では、図3に示すように、第2開口端22Aは、第2チューブ22の最も小径(PL;Path,Lane)の位置、すなわち、外周面の凹部分に形成されている。また、第2チューブ22には、コルゲートチューブ20の長手方向Lに沿ったスリット22Bが形成されている。
【0032】
このような第1開口端21A及び第2開口端22Aには、図1〜図3に示すように、支線12の断面形状に合うように(本実施形態では、支線12に沿うように)切り欠けられる切欠部30が設けられる。
【0033】
ここで、「切欠部30が支線12の断面形状に合う」とは、切欠部30が支線12の断面形状に完全に一致していることや、切欠部30が支線12の断面形状と若干異なる(例えば、切欠部30が支線12の断面形状よりも若干大きい(すなわち、支線12と切欠部30との間に若干隙間が形成されている))ことが含まれる。
【0034】
切欠部30は、第1開口端21Aに形成される第1切欠部分31と、第2開口端22Aに設けられる第2切欠部分32とによって構成されている。図3(a)に示すように、第1切欠部分31及び第2切欠部分32(切欠部30)は、スリット21B,22Bをそれぞれ跨ぐように形成されている。また、第1切欠部分31及び第2切欠部分32は、U字状(半円弧状)に形成される。
【0035】
(2)コルゲートチューブの製造方法
次に、上述したコルゲートチューブ20(第1チューブ21及び第2チューブ22)の製造方法について、図面を参照しながら説明する。図4は、本実施形態に係るコルゲートチューブ20の製造方法を示す図である。
【0036】
図4(a)に示すように、コルゲートチューブ20には、予めスリットSが形成されている。このスリットSが形成されたコルゲートチューブ20は、図4(b)に示すように、分岐部13に相当する位置で切断され、第1チューブ21及び第2チューブ22に分割される。これにより、第1チューブ21には、第1開口端21Aが形成され、第2チューブ22には、第2開口端22Aが形成される。
【0037】
そして、図4(c)に示すように、第1チューブ21の第1開口端21A及び第2チューブ22の第2開口端22Aのそれぞれには、切欠部30(U字状の第1切欠部分31及び第2切欠部分32)が形成される。このとき、第1切欠部分31及び第2切欠部分32は、スリット21B,22Bをそれぞれ跨ぐように形成される。
【0038】
(3)コルゲートチューブの組付方法
次に、上述したコルゲートチューブ20(第1チューブ21及び第2チューブ22)をワイヤーハーネス10に組み付ける方法について、図面を参照しながら説明する。図5は、本実施形態に係るコルゲートチューブ20をワイヤーハーネス10に組み付ける方法を示す図である。
【0039】
図5(a)に示すように、第1チューブ21の第1開口端21Aに形成された第1切欠部分31側を本線11に向けて挿入し、第1チューブ21を本線11に取り付ける。そして、図5(b)に示すように、第1チューブ21を回転させながら第1切欠部分31を支線12に突き当てる。
【0040】
同様に、第2チューブ22の第2開口端22Aに形成された第2切欠部分32側を本線11に向けて挿入し、第2チューブ22を本線11に取り付ける。そして、図5(c)に示すように、第2チューブ22を回転させながら第2切欠部分32を支線12に突き当てる。これにより、第2開口端22Aは、第1開口端21Aにも突き当たる。
【0041】
その後、図5(d)に示すように、粘着テープ40等を分岐部13の周囲に巻き付けることによって、第1チューブ21と第2チューブ22とを固定する。なお、支線12に不図示のコルゲートチューブを組み付けた後に、粘着テープ40等を分岐部13の周囲に巻き付けてもよい。
【0042】
(4)作用・効果
以上説明した本実施形態では、切欠部30は、支線12の断面形状に合うように切り欠けられる。すなわち、第1開口端21Aと第2開口端22Aとが突き当たった状態で、第1切欠部分31及び第2切欠部分32は、支線12の断面形状に合っている。これにより、第1チューブ21及び第2チューブ22によって分岐部13近傍を確実に保護することができる。従って、他の部材との干渉や飛石などの衝撃からワイヤーハーネス10を確実に保護することができる。
【0043】
また、第1開口端21A及び第2開口端22Aに、第1切欠部分31と第2切欠部分32とによって構成される切欠部30が設けられる。これにより、第1切欠部分31及び第2切欠部分32を支線12に合わせて嵌め込み、第1開口端21Aと第2開口端22Aとが突き当たるのみで、本線11と支線12とが分岐する分岐部13を保護できる。つまり、分岐部13を保護するために、従来のような別部材を設ける必要がなく、この別部材を取り付ける作業もなくなる。このため、作業効率の低減を図ることができるとともに、部品点数の増大を招くことなく、製造コストを抑制することができる。
【0044】
本実施形態では、切欠部30は、スリット21B,22Bを跨ぐように形成される。これにより、切欠部30側から本線11に向けて挿入するように、コルゲートチューブ20を本線11に取り付けることができる。このため、本線11へのコルゲートチューブ20の取付時において、スリット21B,22Bにより形成されるエッジ部分が本線11へ接触しにくくなり、本線11の損傷を防止することができる。
【0045】
本実施形態では、切欠部30は、第1切欠部分31と、第2切欠部分32とによって構成される。これにより、第1チューブ21や第2チューブ22に切欠部30を形成する際、スリット21B,22Bが切欠部30を形成する位置の目印となり、切欠部30を形成する作業の効率化を図ることができる。
【0046】
また、切欠部30側から本線11に向かって挿入するように、第1チューブ21及び第2チューブ22の両方を本線11に取り付けることができる。このため、本線11への第1チューブ21及び第2チューブ22の取付時において、スリット21B,22Bにより形成されるエッジ部分が本線11へ接触し難くなり、本線11の損傷を防止することができる。
【0047】
本実施形態では、第1切欠部分31及び第2切欠部分32は、同一形状である。これにより、第1切欠部分31及び第2切欠部分32が違う形状である場合と異なり、第1切欠部分31や第2切欠部分32のそれぞれを使い分ける必要がなくなる。このため、第1チューブ21や第2チューブ22に切欠部30を形成する作業が容易となるとともに、第1チューブ21及び第2チューブ22の管理が煩雑となることを防止でき、製造コストを抑制することができる。
【0048】
本実施形態では、支線12の断面形状は、円形状であり、第1切欠部分31及び第2切欠部分32は、U字状に形成される。これにより、一般的な支線12の断面形状が円形状である場合に、特に、分岐部13近傍を保護し易くなる。
【0049】
また、第1チューブ21及び第2チューブ22は、同径である。これにより、第1チューブ21及び第2チューブ22が異径である場合と比較して、分岐部13近傍において粘着テープ40等により第1チューブ21と第2チューブ22とを固定し易くなる。
【0050】
本実施形態では、第1開口端21Aは、第1チューブ21の最も小径の位置に形成され、第2開口端22Aは、第2チューブ22の最も小径の位置に形成される。これにより、第1開口端21Aや第2開口端22Aに形成される端縁部分がコルゲートチューブ20の長手方向Lに向かって突出しない。このため、本線11へのコルゲートチューブ20の取付時において、第1開口端21Aや第2開口端22Aに形成される端縁部分が本線11に接触しないため、本線11の損傷をより防止し易くなる。
【0051】
(5)変更例
次に、上述した実施形態に係るコルゲートチューブ20の変更例について、図面を参照しながら説明する。図6(a)は、変更例に係るコルゲートチューブ20を示す平面図(突合前)であり、図6(b)は、変更例に係るコルゲートチューブ20を示す平面図(突合後)である。なお、上述した実施形態に係るコルゲートチューブ20と同一部分には同一の符号を付して、相違する部分を主として説明する。
【0052】
上述した実施形態では、第1開口端21Aは、第1チューブ21の最も小径の位置に形成され、第2開口端22Aは、第2チューブ22の最も小径の位置に形成されている。
【0053】
これに対して、変更例では、図6に示すように、第1開口端21Aは、第1チューブ21の最も大径(LD;Large,Diameter)の位置、すなわち、外周面の凸部分に形成されている。また、第2開口端22Aは、第2チューブ22の最も小径(PL;Path,Lane)の位置、すなわち、外周面の凹部分に形成されている。
【0054】
このような変更例では、第2開口端22Aが第1開口端21A内に入り込んで位置決めされるため、第1チューブ21及び第2チューブ22を本線11へ装着し易くなる。また、第1チューブ21の一部と第2チューブ22の一部とが重なり合うため、分岐部13近傍が補強され、分岐部13近傍をより保護し易くなる。
【0055】
なお、第1開口端21Aが第1チューブ21の最も大径の位置に形成され、第2開口端22Aが第2チューブ22の最も小径の位置に形成されているものとして説明したが、これに限定されるものではなく、第1開口端21Aが第1チューブ21の最も小径の位置に形成され、第2開口端22Aが第2チューブ22の最も大径の位置に形成されていてもよい。
【0056】
(6)その他の実施形態
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0057】
例えば、本発明の実施形態は、次のように変更することができる。具体的には、管体としては、外周面に凹凸を有するコルゲートチューブ20であるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、外周面に凹凸を有しないコルゲートチューブであってもよく、ワイヤーハーネス10を覆うものであればよい。
【0058】
また、支線12は、本線11から分岐部13を介して一方向(1本)に分岐するものとして説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、図7に示すように、三方向(3本)に分岐していてもよく、複数方向に分岐していても勿論よい。この場合、切欠部30は、複数方向に分岐する支線12にできる限り沿った状態で支線12を保護し易くするために、楕円状であることが好ましい。
【0059】
ここで、従来の技術のような継手部材などの別部材により分岐部13を保護している場合、継手部材などの別部材を予め分岐部13に対応する形状で作製しなければならない。このため、継手部材などの別部材が分岐部13の形状に合わない場合(例えば、1つの分岐部13で複数方向に支線12が分岐する場合)には対応できず、継手部材では汎用性が無い。しかし、本願では、上述したように切欠部30が楕円状である場合など、様々な分岐部13の形状に合わせることが可能であるため、汎用性にも優れている。
【0060】
また、切欠部30は、第1開口端21A及び第2開口端22Aの両方に設けられるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、第1開口端21A及び第2開口端22Aの少なくとも一方に設けられていてもよい。
【0061】
また、第1チューブ21及び第2チューブ22のそれぞれにスリット21B,22Bが設けられるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、第1チューブ21及び第2チューブ22にスリットが設けられていなくてもよく、また、第1チューブ21及び第2チューブ22の少なくとも一方にスリットが設けられていてもよい。
【0062】
また、第1切欠部分31及び第2切欠部分32(切欠部30)は、スリット21B,22Bをそれぞれ跨ぐように形成されるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、スリット21B,22Bを跨いでいなくてもよい。ただし、第1切欠部分31及び第2切欠部分32の少なくとも一部がスリットと連通していることが好ましい。
【0063】
また、支線12の断面形状は、円形状であるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、その他の形状(例えば、楕円状や三角状、四角状)であってもよい。同様に、第1切欠部分31及び第2切欠部分32(切欠部30)は、支線12の断面形状(略円形状)に合うように、U字状に形成されるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、支線12の断面形状に合えばよく、その他の形状(例えば、楕円状や三角状、四角状)であってもよい。
【0064】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められる。
【符号の説明】
【0065】
1…ワイヤーハーネスの配索構造
10…ワイヤーハーネス
11…本線
12…支線
13…分岐部
20…コルゲートチューブ(管体)
21…第1チューブ(第1管体)
21A…第1開口端
21B…スリット
22…第2チューブ(第2管体)
22A…第2開口端
22B…スリット
30…切欠部
31…第1切欠部分
32…第2切欠部分
40…粘着テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本線と前記本線から分岐部を介して分岐する支線とを有するワイヤーハーネスが長尺状の管体により外装されたワイヤーハーネスの配索構造であって、
前記管体は、
前記本線を覆うとともに、前記支線側に配置される第1開口端を有する第1管体と、
前記本線を覆うとともに、前記第1開口端に突き当たる第2開口端を有する第2管体とを備え、
前記第1開口端及び前記第2開口端には、前記支線の断面形状に合うように切り欠けられる切欠部が設けられ、
前記切欠部は、
前記第1開口端に形成される第1切欠部分と、
前記第2開口端に形成される第2切欠部分と
によって構成されることを特徴とするワイヤーハーネスの配索構造。
【請求項2】
請求項1に記載のワイヤーハーネスの配索構造であって、
前記第1管体及び前記第2管体の少なくとも一方には、前記管体の長手方向に沿ったスリットが形成され、
前記切欠部は、前記スリットを跨ぐように形成されることを特徴とするワイヤーハーネスの配索構造。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のワイヤーハーネスの配索構造であって、
前記第1切欠部分及び前記第2切欠部分は、同一形状であることを特徴とするワイヤーハーネスの配索構造。
【請求項4】
請求項3に記載のワイヤーハーネスの配索構造であって、
前記支線の断面形状は、円形状であり、
前記第1切欠部分及び前記第2切欠部分は、U字状に形成されることを特徴とするワイヤーハーネスの配索構造。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れかに記載のワイヤーハーネスの配索構造であって、
前記第1開口端は、前記第1管体の最も小径の位置に形成され、
前記第2開口端は、前記第2管体の最も小径の位置に形成されることを特徴とするワイヤーハーネスの配索構造。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4の何れかに記載のワイヤーハーネスの配索構造であって、
前記第1開口端は、前記第1管体の最も大径の位置に形成され、
前記第2開口端は、前記第2管体の最も小径の位置に形成されることを特徴とするワイヤーハーネスの配索構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−21753(P2013−21753A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150828(P2011−150828)
【出願日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】