説明

ワイヤーハーネス用プロテクタ

【課題】効果的に軽量化と強度確保が得られるワイヤーハーネス用プロテクタを提供すること。
【解決手段】ワイヤーハーネスが挿通される断面凹形状のプロテクタ本体2と該プロテクタ本体2とロック結合する蓋体3からなるワイヤーハーネス用プロテクタ1であって、前記プロテクタ本体2及び/又は前記蓋体3の外面において、その外面形状の峰6および谷7となる部位以外の平面部位には、溝等の肉抜き部4,5が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤーハーネス用プロテクタに関し、さらに詳しくは効果的に軽量化と強度確保が得られるワイヤーハーネス用プロテクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車に配索されるワイヤーハーネスには、外部干渉材からのワイヤーハーネスの保護およびワイヤーハーネスの配索ラインを規制するなどの目的から、樹脂成型品であるプロテクタが用いられており、そのプロテクタ内部にワイヤーハーネスを挿通させて組み付けてから車体に固定することが行われている。このようなワイヤーハーネス用プロテクタの形状としては、図4に示すように、断面凹形状のプロテクタ本体21にワイヤーハーネスを挿通後、蓋体22をロック結合するタイプが一般的で、材質はPP等の樹脂を射出成型により製造されている。
【0003】
【特許文献1】特開平7−80968号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動車業界では環境保護を考慮することも課題であることから、車載される各部品に対して軽量化が重要なテーマとなりつつある。ワイヤーハーネス用プロテクタはハーネス部品として重要であるが、その反面重量増の原因のひとつとなっている。このプロテクタを軽くするためには、小型化や薄肉化という手法が考えられるが、プロテクタの大きさはハーネス径と車両の形状に左右されることから小型化が困難であり、また薄肉化は軽量化に有効ではあるが、薄肉化に伴う強度不足によりハーネス保護に影響がでるという問題があった。
【0005】
そこで本発明が解決する課題は、効果的に軽量化と強度確保を得られるワイヤーハーネス用プロテクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため本発明に係るワイヤーハーネス用プロテクタは、ワイヤーハーネスが挿通される断面凹形状のプロテクタ本体と該プロテクタ本体とロック結合する蓋体からなるワイヤーハーネス用プロテクタであって、前記プロテクタ本体及び/又は前記蓋体の外面において、その外面形状の峰および谷となる部位以外の平面部位には、溝等の肉抜き部が設けられていることを要旨とするものである。
【0007】
この場合、少なくとも他の部材への取り付け部となる平面部位には前記肉抜き部が設けられていない構成であると良い。
【発明の効果】
【0008】
上記構成を有するワイヤーハーネス用プロテクタによれば、ワイヤーハーネスが挿通される断面凹形状のプロテクタ本体と該プロテクタ本体とロック結合する蓋体の双方またはいずれか一方の外面において、その外面形状の峰および谷となる部位以外の平面部位には、溝等の肉抜き部が設けられている構成なので、プロテクタ内面に位置するハーネスを傷つけることがなく、外面から肉を抜いた分だけ軽量化でき、更には外面形状の峰および谷となる部位には肉抜き部を設けないことにより強度も確保されるというもので、効果的に軽量化と強度確保を得られ、ハーネス保護性能も落ちないワイヤーハーネス用プロテクタである。
【0009】
この場合、少なくとも他の部材への取付部となる平面部位には前記肉抜き部が設けられていない構成、例えばエンジンに直接取り付けるワイヤーハーネス用プロテクタであれば、その取付部には肉抜き部を設けないことで、従来と同等のハーネス保護性能を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明に係るワイヤーハーネス用プロテクタの実施の形態について図1〜3を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るワイヤーハーネス用プロテクタの概略構成を示した図である。
【0011】
図示されるように、ワイヤーハーネス用プロテクタ1は自動車に配索される図示しないワイヤーハーネスを収容するプロテクタ本体2とそのプロテクタ2の上方開口部2aを閉鎖する蓋体3とからなる。
【0012】
プロテクタ本体2は底壁2bと両側壁2c,2cとからなる断面凹形状であり、底壁2bと両側壁2c,2cに囲まれた内部空間をワイヤーハーネスの挿通部とし、途中位置より屈曲された形状を有している。両側壁2c,2cの手前側及び奥側の外面には、蓋体3のロック片3cを挿入係止するロック枠2dが突設されている。
【0013】
このプロテクタ本体2の上方開口部2aを閉鎖する蓋体3は、上壁3aからなる平板形状であり、上壁3aの左右外面には、プロテクタ本体2のロック枠2dに挿入係止されるロック片3cが突設されている。
【0014】
このようなワイヤーハーネス用プロテクタ1の壁の外面には、図示されるように、プロテクタの長さ方向に対して傾めに延びる複数条の溝からなる肉抜き部4,5がプロテクタ本体2及び蓋体3にそれぞれ形成されている。
【0015】
この肉抜き部4,5は、ワイヤーハーネス用プロテクタ1の軽量化に際して単純に側壁等の肉厚を薄くするのではなく、一定の肉抜き部を設けることにより強度を変えず軽量化を図るためのものである。
【0016】
この場合、プロテクタの壁を貫通する肉抜きを行うとその個所で内部のワイヤーハーネスと擦れる可能性があるので、肉抜き部4,5は、図2にも示されるように内面まで達しない凹状の構造とし、内面は従来通りの面構成となっている。
【0017】
蓋体3の上壁3aの外面、つまり上面にはその全面にわたって肉抜き部5が設けられているが、プロテクタ本体2の両側壁2cの外面に形成される肉抜き部4は、この場合、その両側壁2cの外面形状において、屈曲に伴って形成される峰6及び谷7となる部位以外の平面部位8a,8b,8cに設けられている。また、底壁2bと側壁2c,2cとによる稜線部9にも肉抜き部は設けられていない。このように面の端部での肉抜きを設けない理由は、強度低下を防止するためである。
【0018】
また、プロテクタ本体2の底壁2bの外面、つまり下面は、例えば、車両ボディーやエンジン等の他の部材への取付部としての機能を有する面であるとして、この実施例では、側壁2cのような肉抜き部4が形成されていない。特にエンジンに取り付ける場合などのように内部のワイヤーハーネスの保護が重要なプロテクタの壁の平面部位には肉抜き部を設けないで、従来通りの面構成とするほうが良い。
【0019】
図3は上述した複数条の溝からなる肉抜き部の変形例が示されており、(a)はプロテクタ1の長さ方向に対し溝が直交状に延びる肉抜き部10、(b)はプロテクタ1の長さ方向に対し溝が平行に延びる肉抜き部11、(c)はプロテクタ1の長さ方向に対し直行状に延びる溝と平行に延びる溝による格子形状の肉抜き部12、(d)はプロテクタ1の長さ方向に対しそれぞれ反対方向に傾斜した溝が交差した肉抜き部13である。
【0020】
以上説明したように本発明に係るワイヤーハーネス用プロテクタによれば、車両要件やワイヤーハーネス仕様などに左右されず軽量化でき、強度を変えずに重量低減ができる構成である。また、プロテクタの壁を貫通した肉抜き構造ではないので収容するワイヤーハーネス保護は従来通りの性能を有するというものである。
【0021】
尚、本発明はこうした実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施できることは勿論である。実施例で示した肉抜きのパターンは一例であり、また、実施例のプロテクタは箱型であるが形状はこの限りではない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態に係るワイヤーハーネス用プロテクタの概略構成を示した図である。
【図2】図1のプロテクタの横断面を示した図である。
【図3】プロテクタに設けられる複数条の溝からなる肉抜き部の変形例を示した図である。
【図4】従来より用いられてきたワイヤーハーネス用プロテクタの概略構成を示した図である。
【符号の説明】
【0023】
1 ワイヤーハーネス用プロテクタ
2 プロテクタ本体
2a 上方開口部
2b 底壁
2c 側壁
2d ロック枠
3 蓋体
3a 上壁
3c ロック片
4,5 肉抜き部
6 峰部
7 谷部
8a,8b,8c 平面部位
9 稜線部
10〜13 肉抜き部
21 プロテクタ本体
22 蓋体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤーハーネスが挿通される断面凹形状のプロテクタ本体と該プロテクタ本体とロック結合する蓋体からなるワイヤーハーネス用プロテクタであって、前記プロテクタ本体及び/又は前記蓋体の外面において、その外面形状の峰および谷となる部位以外の平面部位には、溝等の肉抜き部が設けられていることを特徴とするワイヤーハーネス用プロテクタ。
【請求項2】
少なくとも他の部材への取付部となる平面部位には前記肉抜き部が設けられていないことを特徴とする請求項1に記載のワイヤーハーネス用プロテクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−25515(P2006−25515A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−200389(P2004−200389)
【出願日】平成16年7月7日(2004.7.7)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】