説明

ワクチン

本発明は、乳児にマラリアに対するワクチン接種をするための医薬の製造における、製薬的に許容されるアジュバントと組み合わせた、マラリア感染の前赤血球期に発現されるPlasmodium falciparumのスポロゾイト周囲タンパク質(CS)タンパク質由来の抗原の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マラリア疾患に対して免疫するためのマラリア抗原の新規使用に関する。本発明は、特に、乳児をマラリア疾患に対して免疫するための、P. falciparum由来のスポロゾイト周囲(CS)タンパク質またはその断片の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
マラリアは世界の主要な保健問題の1つである。20世紀中に、経済的および社会的発達の結果、抗マラリア運動とともに、世界の広い地域からマラリアが根絶され、世界の表面のうち影響を受ける地域は50%から27%に減少している。それにもかかわらず、人口増加の予測を考慮すると、2010年までに世界の人口の半分、35億人近くがマラリアが伝染する地域に住んでいることが予測される1。最近の見積りでは、毎年マラリアのせいで100万人を十分に上回る死が生じることが示唆され、アフリカ単独での経済的コストは驚異的で、毎年少なくとも数十億米国ドルの範囲であると考えられる2
【0003】
これらの数字は世界的なマラリア危機を強調し、かつそれが国際的保健界(international health community)に対してもたらす難題を強調する。この危機の理由は複数であり、利用可能で手ごろで以前は非常に有効であった薬物に対する広範な耐性の出現から、医療制度の崩壊および不備、資源の欠如におよぶ。この疾患を抑制する方法を発見しない限り、健康および子供の生存を改善し、貧困を減少させ、安全対策を増やし、かつ最も脆弱な社会を強化する世界的な取り組みは失敗する。
【0004】
最も急性型の該疾患の1つは、原生動物寄生虫Plasmodium falciparumに起因する。Plasmodium falciparumはマラリアに起因する死のほとんどに関与する。
【0005】
プラスモジウム属の生活環は複雑であり、その完了のために2つの宿主、ヒトおよび蚊を必要とする。ヒトの感染は、かみつく感染蚊(a biting and infected mosquito)の唾液からスポロゾイトが導入されることによって開始される。スポロゾイトは肝臓に移動して肝細胞に感染し、肝細胞でそれらは、赤血球外細胞内期(exoerythrocytic intracellular stage)を経て、分化して増殖し、メロゾイト期に入り、赤血球(RBC)に感染して、無性血液期(asexual blood stage)の周期的複製を開始する。このサイクルは、RBC中で多数のメロゾイトが分化して有性期配偶母体になることによって完了する。有性期配偶母体は蚊によって摂取され、それらは蚊の中腸において一連の段階を通して発生してスポロゾイトを生産し、スポロゾイトは唾液腺に移動する。
【0006】
スポロゾイト期のプラスモジウム属はマラリアワクチンの潜在的標的として同定されている。不活性化された(照射を受けた)スポロゾイトでのワクチン接種は実験的ヒトマラリアに対する防御を誘発することが示されている(Am. J, Trop. Med. Hyg 24: 297-402, 1975)。しかし、実施および事実遂行上、照射を受けたスポロゾイトを用いて、この方法論に基づく一般集団のためのマラリアのワクチンを製造することは可能になっていない。
【0007】
スポロゾイトの主要な表面タンパク質はスポロゾイト周囲タンパク質(CSタンパク質)として知られる。それは、蚊による接種の初期部位から、肝臓へ移動する場である循環へのその通過の際にスポロゾイトの運動性および侵入に関与すると考えられる。
【0008】
プラスモジウム種のCSタンパク質は、非反復アミノ(N末端)およびカルボキシ(C末端)断片に隣接する中央反復ドメイン(反復領域)によって特徴付けられる。P. falciparumのCSタンパク質は非常に保存された中央反復領域を有する。
【0009】
いくつかのグループがスポロゾイト周囲タンパク質の種々の型または部分に基づくサブユニットワクチンを提唱している。中央反復配列に排他的に基づくこれらのワクチンのうちの2つは1980年代の初めに臨床試験を受けている。その一方は合成ペプチドであり、他方は組換えタンパク質である(Ballou et al Lancet: June 6 (1987) 1277ページより。およびHerrington et al Nature 328:257 (1987))。これらのワクチンは抗スポロゾイト応答の誘発に成功した。それにもかかわらず、応答の大きさは期待はずれであり、ワクチン接種を受けた人の中にはまったく応答しない人もいた。さらに、その後の注射後の抗体レベルの「ブースト(boosting)」の不存在およびin vitroリンパ球増殖アッセイの結果から、ほとんどの前記ボランティアのT細胞が該免疫優性反復を認識しないことが示唆された。さらに、これらの2つのワクチンの効力が不十分であり、ワクチン接種を受けたボランティアの1人のみが寄生虫血症を発症しないだけであった。したがってこれらのワクチンはそれ以上探求されなかった。
【0010】
WO 93/10152およびWO 98/05355では、P. falciparumのCSタンパク質由来のワクチンが記載され、該文献に記載のアプローチを使用してP. falciparumに対するワクチン接種へのいくらかの進歩が生じたことを明らかにしている。さらにHeppner et al. 2005, Vaccine 23, 2243-50を参照のこと。
【0011】
P. falciparum由来のCSタンパク質は、種々の系統、例えばNF54系統、クローン3D7に関して、クローニングされ、発現され、かつシークエンシングされている(Caspers et al., Mol. Biochem. Parasitol. 35, 185-190, 1989)。系統3D7由来の該タンパク質は、40回反復するが4つのマイナーリピートAsn-Val-Asp-Proが散在しているテトラペプチドAsn-Ala-Asn-Proを含む中央免疫優性反復領域を有することによって特徴付けられる。他の系統では、メジャーおよびマイナーリピートの数ならびにそれらの相対的位置は様々である。この中央部分には、CSタンパク質のリピートレス部分と称される非反復アミノ酸配列からなるNおよびC末端部分が隣接する。
【0012】
GlaxoSmithKline Biologicalsの、CSタンパク質に基づくRTS,Sマラリアワクチンは1987年から開発中であり、現在、最も進歩した、研究中のマラリアワクチン候補である4。このワクチンは前赤血球期のP. falciparumを特異的に標的にし、マラリアナイーブ成人ボランティアにおいて、研究室で育てられた感染蚊によって送達されるP. falciparumスポロゾイトの感染に対する防御をもたらし、部分免疫された成人において天然曝露に対する防御をもたらす5,6
【0013】
RTS,S/AS02A (RTS,Sプラスアジュバント系)は、6-11歳および1-5歳の子供が参加するガンビアで行われた継続的第I相研究において使用され、該ワクチンが安全で忍容性良好でかつ免疫原性であることが確認された7。後に、モザンビークの1-4歳の子供が参加する第I相研究において小児ワクチン用量が選択および研究され、それが安全で忍容性良好でかつ免疫原性であることが見出された8
【0014】
WO 2006/029887では、1〜4歳の子供の重症マラリアを治療するためのRTS,Sの使用が記載される。
【0015】
重症マラリア疾患はWHO診療規準に記載されている(Page: 4 World Health Organization. Management of severe malaria, a practical handbook. Second edition, 2000. http://mosquito.who.int/docs/hbsm.pdf)。WHOに基づく重症マラリアの定義にしたがう子供の分類は、非常に具合が悪く死の危険性が高い子供を特定する。危険性が高いとは、約30%以上の死の危険を意味すると解される。
【0016】
モザンビークの1-4歳の子供の026臨床研究では、感染に対するトータルのワクチン効力は、該当する子供の血液中で寄生虫検出が開始されるまでの時間の遅延として測定された場合に45%の範囲であると算出された。臨床疾患に対する防御パーセンテージは35%の範囲であり、重症マラリア疾患に対する防御パーセンテージは50%の範囲であった。この効力レベルは約18か月間持続することが見出された。(Alonso et al Lancet: 204, 364, page 1411-1420 205, およびLancet 366 pages 2012-2018)。
【0017】
026試験では、年齢と、非重症臨床マラリア疾患に対する全般的ワクチン効力の間の相互作用についての証拠はなかった。これは、年齢が高くなっても効力が大きく変化しなかったことを示唆する。しかし、追加の探索的亜群分析が実施され、マラリア疾患の矛先(brunt)を保持する若い年齢群のワクチン効力が評価された。
【0018】
興味深いことに、この亜群分析は、該試験において、若い子供においてほど、重症マラリアに対する効力が高かったことを示唆するようであった。この分析から、感染に対する防御または全般的効力、すなわち臨床マラリア徴候の発症の遅延が、概して、若い年齢群であるほど良好であることは示唆されなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
発明者らが知る限り、いくつかの理由で1歳以下の乳児に投与されたことがあるのは1つのマラリアワクチンのみであり、該理由には、新規アジュバントを含有する実験製剤の潜在的毒性の懸念および/または乳児の免疫系が未成熟であり、ゆえに該ワクチン接種によってマラリア感染に対する有効な防御は誘発されないという理論が含まれる。例えばQS21および/またはMPLを含むマラリア製剤中で用いられる強いアジュバントは、概して、小児ワクチンでは使用されない。その代わりに、乳児用ワクチンは概して古いアルミニウム塩アジュバントを用いる。
【0020】
しかし、マラリアワクチンSPf66を用いるガンビアでの試験は6〜11か月の月齢の乳児において実施された(Alonso et al Parasite Immunology, 1997:19: 579-581)。タンザニアの激しい伝染地域では、1〜4歳の子供においてSPf66がマラリアの一次攻撃(first attack)に対する31%防御を示していた。それにもかかわらず、6〜11か月の月齢の乳児で試験された場合、結果は、SPf66ワクチンを投与された子供における臨床マラリアの発生率が、コントロール製剤(不活性化されたポリオワクチン)を投与された乳児より高いことを示すようであった。高用量のSPf66を投与された乳児において影響が最も顕著であった。
【課題を解決するための手段】
【0021】
最近の臨床試験(本明細書中で038研究と称される)は、最初のワクチン投与時点で10週齢ほどの若い乳児において実施され、いくつかの驚くべき結果が得られた(下記考察を参照のこと)。
【0022】
本発明は、乳児にマラリアに対するワクチン接種をするための医薬の製造における、製薬的に許容されるアジュバントと組み合わせたPlasmodium falciparumのCSタンパク質由来の抗原の使用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1−1】図1は、038試験の研究設計の概略を示す。
【図1−2】図1aは、試験設計の概略を示す。
【図2−1】図2aは、全身の反応原性(reactogenicity)の発生率を示す。図2bは、局所の反応原性の発生率を示す。
【図2−2】図2cは、ワクチン接種後7日間に報告された応答型(solicited)全身症状を伴う投与の割合を示す。
【図3】図3は、ワクチン効力データを示す。
【図4】図4は、038試験に関するカプラン・マイヤー曲線を示す。
【図5−1】図5aは、026試験に関するカプラン・マイヤー曲線を示す(比較データ)。
【図5−2】図5bは、026試験に関するカプラン・マイヤー曲線を示す(比較データ)。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図3の表は、ATPコホートに関するRTSSまたはEngerixの3回目の投与の14日後から6か月(横断的訪問)までの追跡期間にわたるVEの評価を示す。これは、少なくとも3用量のRTS,SまたはEngerix-B、クリアランス薬物を投与されかつADIにおける追跡期間を有する被験体を含む。感染および疾患に対するVEの評価をともに示す。ITTコホートに関する0か月(最初のワクチン接種の日)から6か月までの期間にわたって疾患を評価するプロトコール探索的(Protocol Exploratory)評価項目を疾患3に示す。
【0025】
図3中:
PYAR: 発症/リスク人年;
VE: ワクチン効力;
CI: 信頼区間
a最初の発症までの時間; 1μLあたり0を超えるP. falciparum無性寄生虫血症の存在
b最初の発症までの時間; 1μLあたり500を超えるP. falciparum無性寄生虫血症の存在および不調で治療に連れて来られた子供における37.5℃以上の熱の存在
c最初の発症までの時間; 任意のレベルのP. falciparum無性寄生虫血症および不調で治療に連れて来られた子供における37.5℃以上の熱の存在または24時間以内の発熱歴
d最初の発症までの時間; 1μLあたり500を超えるP. falciparum無性寄生虫血症の存在および不調で治療に連れて来られた子供における37.5℃以上の熱の存在(ITT 0-6)。
【0026】
評価は、地域および保健センターからの距離に関して補正されている。
【0027】
本明細書の内容でのマラリアは、マラリア感染(下で定義される)および/または臨床マラリア疾患(これも下で定義される)を表すものとする。
【0028】
一実施形態では、本発明のワクチン接種はマラリア感染のリスクの低減をもたらす。一態様では、ワクチン接種後の感染リスクの算出された低減率は、少なくとも約30、40、50%、例えば60、例えば65%である。
【0029】
一実施形態では、本発明のワクチン接種はマラリアの臨床症状の発症リスクの低減をもたらす。一態様では、例えば3か月の研究期間での3用量の投与後の臨床疾患のリスクは、3回目の投与後に少なくとも約30、40、50%、例えば60、例えば約65%低減する。
【0030】
一実施形態では、マラリアは非重症(non-severe)マラリアである。
【0031】
一実施形態では、ワクチン接種は、以下の臨床病徴: 任意のレベルのP. falciparum無性寄生虫血症および37.5℃以上の熱の存在または24時間以内の発熱歴を発症するリスクの低減をもたらす。
【0032】
一態様では、マラリア感染のリスクの低減および/またはマラリアの臨床症状を発症するリスクの低減を最終ワクチン接種後3か月間にわたって評価する。
【0033】
038研究では、小児用製剤中のアジュバントを伴うRTS,Sの3用量を、0、1か月および次いで2か月時点と指定されるほぼ1月間隔(または4週間隔)の3時点で乳児に投与した。後者の治療計画は本発明の一態様を形成する。
【0034】
該ワクチンは、1、2または3用量として適切な間隔、例えば2、3、4または5週間隔、例えば4週間隔で投与してよい。
【0035】
これらの乳児の多くはマラリア感染に対し厳密にナイーブ(未感作)である可能性が非常に高く、その理由は、感染蚊に実質的に曝露されていないからであった。
【0036】
大きな安全性または毒性問題は発生せず、実際、該研究におけるマラリアワクチンは一般に使用される乳児ワクチンAventis Pasteur製TETRActHibTM (少なくともジフテリア、破傷風、百日咳(pertusis)に対する抗原を含有する)と類似の反応原性プロファイルを示し、B型肝炎ワクチンEngerix-BTMとも類似の反応原性を示した。
【0037】
さらにかつ驚くべきことに、038研究で用いられたマラリアワクチンの推定効力は、対照群と比較して臨床マラリア(全般的/非重症)に対して約65% (補正ワクチン効力)であった(表3のデータ)。この効力は、026試験の臨床非重症疾患の結果に対して、高年齢の子供において観察された効力より約30%高い。026試験では、非重症マラリアに対する効力は30〜35%の範囲であった。後者の数値は非重症臨床マラリア徴候に対する効力を反映し、重症マラリアに対する効力を反映しない。重症マラリアに対する効力は、026試験における亜群分析として実施された。ゆえに、本発明のワクチン接種は、この研究における対照群と比較して、およびさらに026試験におけるワクチン接種を受けた高年齢の子供と比較して、非重症臨床型のマラリアを獲得するリスクの低減を生じさせると思われる。
【0038】
臨床マラリアは、本明細書中で、血液1μLあたり500を超えるP. falciparumの無性寄生虫血症(parasitaemia)が存在する37.5℃以上の発熱として定義される(例えば感度および特異性が90%を超える場合)。
【0039】
また、038試験で観察された感染に対する防御パーセンテージが約65%であったこと(表3)は驚くべきことである。026試験における比較可能な結果が約45%であったので、これは前例がなく予想外であると発明者らは考える。
【0040】
2つの試験(038, 表3を参照のこと, および026)における効力データは、長さが異なる観察期間から得られたものである。
【0041】
この内容でのマラリア感染は、能動的感染検出(active detection of infection) (ADI)または受動的症例検出(passive case detection) (PCD)によって検出される任意の無性Plasmodium falciparum寄生虫血症を表すものとする。
【0042】
3か月のモニター時点(すなわち最後のワクチン接種の3か月後)で、コンパレータ(comparator)/コントロールワクチン接種を受けた群での40%超と比較して、038試験においてマラリアワクチンでワクチン接種された乳児の20%未満 約17%が任意の感染徴候を示した。
【0043】
これらの観察から、発明者らは、実際、マラリア寄生虫の感染および臨床マラリアに対する防御を提供するためのワクチン接種に最適な年齢群は乳児であるという結論に至る。
【0044】
本明細書の関連での乳児は1歳未満であり、例えば約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50週齢である。さらに具体的には、約10、約14および/または約18週齢である。
【0045】
一実施形態では、第1のワクチン接種は出生の約6〜10週後、例えば10週後に乳児に施される。
【0046】
一実施形態では、第2のワクチン接種は出生の約10〜14週後、例えば14週後に乳児に施される。
【0047】
一実施形態では、第3のワクチン接種は出生の約14〜18週後、例えば16-18週後に乳児に施される。
【0048】
最初のワクチン接種過程が施された後に追加免疫ワクチン接種を施すことができる。この追加免疫は、該最初の過程が完了した6〜24か月後に施してよい。
【0049】
理論によって拘束されることを望まないが、038において3回目の投与の3か月後までのデータに関して高いGMTへの傾向が観察されるにもかかわらず、この038試験で入手可能な証拠は、抗CS力価が、026試験で観察された抗CS力価と顕著に異なっていたことを示唆しない。
【0050】
ゆえに、マラリア感染への顕著な天然曝露前のナイーブな乳児に対してマラリアワクチンを提供することは有益である。
【0051】
本明細書の関連でのナイーブは、乳児が、例えばELISAによって測定される検出可能な、CSタンパク質に対する抗体を有さないか、または非常に少量しか有さないこと、または乳児が、出生後にP. falciparum寄生虫による感染を経験していないと考えることが合理的であるほど若いことを意味するものとする。
【0052】
低レベルは、該当する抗CS ELISAに関して規定されるカットオフレベル未満である。好適なアッセイに関する追加の情報に関しては、例えばGorden et al J. Infectious Disease 1995; 171:1576-1585またはStout el al J. Infectious Diseases 1998; 178: 1139-1144を参照のこと。
【0053】
本発明の一態様では、ワクチンで治療された乳児の少なくとも65%、例えば75、85、90、95または99%がナイーブである。
【0054】
出生後、自宅および居住区/寝室等に殺虫剤、例えばDDTをスプレーすることによってマラリア感染への曝露から乳児を防御することは有益である。代替または追加の防御は、蚊帳によって提供することもできる。蚊帳を好適な殺虫剤で処理してもよい。これらのステップは、マラリアワクチンが投与できるまで、乳児をナイーブなままで維持することを支援する。
【0055】
興味深いことに、038試験では、該ワクチン接種によって提供される抗体の産生レベルと防御の間に相関があることを示唆するようであった。最高の三分位値のCS抗体レベルを有する乳児は低い三分位値のCS抗体レベルを有する乳児より71%低い感染ハザードリスクを有した。
【0056】
一態様では、本発明は、CSタンパク質に対する適切な抗体応答を生じさせるためのワクチン接種の使用であって、例えば、本発明にしたがってワクチン接種を受けた乳児の80、85、90、95、96、97または98%が、最後のワクチン接種を受けた約1か月〜約4か月後、例えばその1か月後および4か月後に、該当するELISA (例えば臨床試験でGSKによって使用されるもの)に関して規定されるカットオフ限界を上回る抗CS抗体を有する、使用を提供する。
【0057】
一実施形態では、抗体応答は、ワクチン接種を受けた乳児においてマラリア感染のリスクの低減および/または臨床マラリアのリスクの低減を提供するために十分な抗体応答である。
【0058】
一態様では、本発明は、マラリア寄生虫の乳児への感染を遅延させ、かつ/またはマラリアの臨床症状の発症を遅延させるためのワクチンの使用を提供する。最初のマラリア感染発症または臨床マラリアまでの時間は、例えば、Cox回帰モデルを使用して測定することができる。
【0059】
本発明は、特に、P. falciparumに起因する臨床マラリア、例えばその重症および/または軽症型の発生率の低減に関する。とは言え、一態様では、本発明は、非重症マラリアの臨床症状に対する防御を提供した。
【0060】
非重症マラリアは、本明細書中で、重症でないマラリアのすべての臨床例として定義される。
【0061】
本発明のCS抗原は、寄生虫生活環のスポロゾイトまたは前赤血球期、例えば肝臓期に発現される任意の抗原、例えば肝臓期抗原-1 (LSA-1)、肝臓期抗原-3 (LSA-3)、トロンボスポンジン関連無名タンパク質(TRAP)、メロゾイト表面タンパク質-1 (MSP1) 主要メロゾイト表面タンパク質、およびアピカルメレゾイト(apical merezoite)抗原-1 (AMA-1) ((赤血球期に加えて)肝臓期に存在することが最近示されている)から選択される別の抗原と組み合わせて使用してよい。すべてのこれらの抗原は当技術分野において周知である。該抗原はタンパク質全体またはその免疫原性断片であってよい。マラリア抗原の免疫原性断片は周知であり、例えばAMA-1由来の外部ドメインである。
【0062】
一実施形態では、P. falciparum抗原をB型肝炎由来の表面抗原(HBsAg)に融合させる。ゆえに、本発明での使用に好適なスポロゾイト周囲(CS)タンパク質抗原はHBsAgとの融合タンパク質の形態である。該抗原はP. falciparum由来のCSタンパク質全体またはその部分であってよく、それには、CSタンパク質の断片または断片群が含まれ、それをともに融合させてよい。
【0063】
一実施形態では、該CSタンパク質に基づく抗原は、P. falciparumのCSタンパク質の実質的にすべてのC末端部分、該CSタンパク質免疫優性領域の4以上のタンデムリピート、およびB型肝炎由来の表面抗原(HBsAg)を含むハイブリッドタンパク質の形態である。一態様では、該融合タンパク質は、該CSタンパク質のC末端部分に実質的に相同な少なくとも160アミノ酸を含有する配列を含む。
【0064】
特に該CSタンパク質の「実質的にすべての」C末端部分には、疎水性アンカー配列を欠いているC末端が含まれる。該CSタンパク質は、C末端から最後の12〜14 (例えば12)アミノ酸を欠いていてもよい。
【0065】
一実施形態では、本発明で使用するための融合タンパク質は、線状リンカーを介してHBsAgのN末端にインフレームで融合されている、NF54系統由来のP. falciparum 3D7クローン(Caspers et al, 上記)のアミノ酸207-395に実質的に対応するP. falciparumのCSタンパク質の部分を含むタンパク質である。該リンカーは、HBsAg由来のpreS2領域の部分または全体を含んでよい。
【0066】
本発明での使用に好適なCS構築物はWO 93/10152に概説される。特に好適なのは、WO 93/10152 (該文献では、RTS*と示される)およびWO 98/05355に記載のRTSとして知られるハイブリッドタンパク質である。該両文献の内容全体は参照によりここに組み入れられる。
【0067】
特に好適な融合タンパク質は以下のものからなるRTSとして知られる融合タンパク質である:
・Sacchromyes cerevisiae TDH3遺伝子配列由来の、ヌクレオチド1059〜1061によってコードされるメチオニン残基。(Musti A.m. et al Gene 1983 25 133-143)
・該ハイブリッド遺伝子の構築に使用されるクローニング手順によって作製されるヌクレオチド配列(1062〜1070)由来の3アミノ酸Met Ala Pro。
・Plasmodium falciparum系統3D7のスポロゾイト周囲タンパク質(CSP) (Caspers et al, 上記)のアミノ酸207〜395に相当する、ヌクレオチド1071〜1637によってコードされる一つながりの189アミノ酸。
・該ハイブリッド遺伝子の構築に使用されるクローニング手順によって作製される、ヌクレオチド1638〜1640によってコードされるアミノ酸(Gly)。
・ヌクレオチド1641〜1652によってコードされ、かつB型肝炎ウイルス(adw血清型) preS2タンパク質の4カルボキシ末端残基(Nature 280: 815-819, 1979)に相当する、4アミノ酸Pro Val Thr Asn。
・ヌクレオチド1653〜2330によってコードされ、かつB型肝炎ウイルス(adw血清型)のSタンパク質を特定する一つながりの226アミノ酸。
【0068】
一実施形態では、RTSはRTS,Sの免疫原性粒子の形態である。
【0069】
該RTS,S構築物は、例えば、同時に合成されかつ自発的に複合粒子構造(RTS,S)を形成する2つのポリペプチドRTSおよびSを含みうる。
【0070】
該RTSタンパク質は、好ましくは、遺伝子操作された酵母細胞、最も好ましくはS. cerevisiaeまたはPicha pastorisで発現される。そのような宿主では、RTSはリポタンパク質粒子(本明細書中で免疫原性粒子またはウイルス様粒子とも称される)として発現される。好ましいレシピエント酵母系統は、好ましくは、そのゲノム中にB型肝炎S発現カセットのいくつかの組み込みコピーをすでに有する。したがって、得られた系統は、2つのポリペプチド、SおよびRTSを合成し、それらは自発的に結合して複合(RTS,S)リポタンパク質粒子になる。これらの粒子は、有益には、その表面に該ハイブリッドのCSP配列を提示する。有益には、これらの複合粒子中のRTS:Sの比は例えば1:4である。
【0071】
B型肝炎由来の表面抗原の存在およびRTS,S粒子の形成は該ハイブリッドタンパク質のCSタンパク質部分の免疫原性をブーストし、安定性を促進し、かつ/または該タンパク質の再現性のよい製造を支援することが考えられる。
【0072】
あるいは、該ハイブリッドタンパク質はP. falciparumのCSタンパク質由来のN末端断片を含有する。
【0073】
一態様では、該ハイブリッドタンパク質はP. falciparumの中央領域由来の1以上の反復単位を含む。例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9またはそれ以上の反復単位である。
【0074】
あるいは、該ハイブリッドタンパク質はP. falciparumのCSタンパク質由来のC末端断片を含有する。
【0075】
理論によって拘束されることを望まないが、NおよびC末端および中央反復断片がいくつかのTおよびB細胞エピトープを含むと考えられる。
【0076】
組換えタンパク質においては、天然と異なるアミノ酸がクローニングプロセス中に導入され、それが最終発現タンパク質中に観察されることがしばしばある。例えばいくつかの、例えば1、2、3、4または5アミノ酸をタンパク質の先頭(N末端)に挿入してよい。タンパク質の先頭に4アミノ酸が挿入される場合、それらは例えばMMAPであってよい。さらにまたはあるいは、タンパク質の活性および特性、例えば免疫原性が悪影響を受けない限り、1、2、または3、例えば1アミノ酸をタンパク質の本体/中間部に挿入してよい。
【0077】
ここに記載されるマラリアワクチンの使用は、例えば1種以上の以下の疾患: ジフテリア、破傷風、百日咳(pertusis)、麻疹、経口ポリオおよび/またはB型肝炎に対する防御を提供するために、年齢1歳未満の乳児に一般に投与される1種以上の他のワクチンと組み合わせてもよい。例えばそのようなワクチンは、必要に応じて1、2、3、4、5、6、7、8、または9月齢、例えば6、10および14週齢の時点で投与してよい。一態様では、提供される該乳児ワクチンは、経口ポリオ(polo)ワクチンを場合により伴うDTPw-Hibである。
【0078】
本発明のマラリアワクチンは、例えば本発明のワクチンの1、2週またはそれ以上前に投与されるBCGワクチンと併用してよい。
【0079】
ワクチン、例えば経口ポリオ、BCGおよび/またはB型肝炎ワクチンを出生後約1週間以内の時点で投与してよい。
【0080】
本発明のマラリアワクチンが別の1種以上の乳児ワクチンと組み合わせて投与される場合、該ワクチンは、同時にまたは約15、20、25日またはそれ以上の日数をあけて投与してよい。後者により、2種以上のワクチンの任意の有害な相互作用が回避される。
【0081】
本発明はまた、感染および/または臨床マラリアの発症に対する防御を提供するために本明細書中に記載のワクチンの治療有効量を乳児に投与するステップを含む治療方法に関する。
【0082】
本発明での使用に好適なワクチン接種計画には、1月間隔での3用量のワクチンの投与が含まれる。本発明の代替の実施形態では、1、2、3またはそれ以上の用量を用い、1、2、3、4、5、6、7、8週またはそれ以上の間隔をあけて投与する。同ワクチンでの追加免疫を用いて、上記最初のワクチン接種過程を補完してよい。
【0083】
本明細書中に記載のマラリアワクチンと組み合わせてマラリアの予防に一般的に良好な手法を使用することが適切であることもある。最良の手法には、個体が蚊に曝露されることを低減するために殺虫剤を寝室等にスプレーし、かつ/または蚊帳を用いる等の手法が含まれる。038試験では、RTS,Sに基づくマラリアワクチンと組み合わせてそのような手法が使用された。
【0084】
038試験の主要評価項目として、マラリアの臨床発症には、例えば、ギムザ染色された厚層血液塗抹標本上の1μLあたり500を超えるかまたは0を超えるP. falciparum無性寄生虫血症の存在および熱(37.5℃以上の温度)の存在を有することが必要とされる。
【0085】
重症マラリアの定義は、例えば、以下の症状: 重症マラリア貧血(PCV <15%)、脳性マラリア(Blantyre comaスコア<2)または他の身体系の重症疾患、例えば多発性発作(multiple seizures) (前24時間の2回以上の全身けいれん)、疲はい(自力で座ることができないことと定義される)、低血糖(<2.2mmol/dLまたは<40mg/dL)、臨床的に疑われるアシドーシスまたは循環虚脱の1種以上の存在を含む。これらを以下の表1に挙げる。
【0086】

【0087】
本発明では、精製されたハイブリッドタンパク質の水性溶液を直接使用し、好適なアジュバントまたは担体と組み合わせてよい。あるいは、好適なアジュバントまたは担体と混合する前に該タンパク質を凍結乾燥することができる。
【0088】
本発明での好適なワクチン用量は、例えば250〜500μl (最終液体製剤)中の、用量あたり1〜100μgの範囲の抗原(例えばRTS,S)、例えば5〜75μgの範囲の抗原(例えばRTS,S)、特に25μgの抗原(例えばRTS,Sタンパク質)からなる1用量である。
【0089】
本発明の小児製剤用の抗原の特に好適な用量は、例えば最終容量0.5 ml中の、25μgである。
【0090】
本発明の一態様では、抗原をアジュバントまたは担体と組み合わせる。
【0091】
特にTh1型応答の選択的刺激因子であるアジュバント等のアジュバントを存在させる。
【0092】
好適なアジュバントには、非限定的に、任意の供給源由来の無毒化されたリピドAおよびリピドAの無毒の誘導体、サポニンならびに、Th1細胞応答(本明細書中でTh1型応答とも称される)の選択的刺激因子である他の免疫賦活剤が含まれる。
【0093】
免疫応答は、2つの両極のカテゴリーに広く分類される。該カテゴリーは、体液性または細胞性免疫応答(伝統的に、抗原特異的抗体を産生するBリンパ球と、防御の抗原特異的細胞エフェクターとして機能するTリンパ球とによって特徴付けられる)である。TH1型応答(細胞性エフェクター免疫応答を促進する)およびTH2型応答(抗体応答の誘発を促進する)である。
【0094】
極端なTH1型免疫応答は、抗原特異的、ハプロタイプ拘束細胞傷害性Tリンパ球、およびナチュラルキラー細胞応答の発生によって特徴付けられる。マウスでは、TH1型応答は、IgG2aサブタイプの抗体の産生によって特徴付けられることがよくあるが、ヒトでは、これらはIgG1型抗体に相当する。TH2型免疫応答は、マウスではIgG1を含む一連の免疫グロブリンアイソタイプの産生によって特徴付けられる。
【0095】
これらの2つのタイプの免疫応答の発生の背後にある推進力はサイトカインであると考えることができる。高レベルのTH1型サイトカインは所定の抗原に対する細胞性免疫応答の誘発を促進する傾向があり、高レベルのTH2型サイトカインは該抗原に対する体液性免疫応答の誘発を促進する傾向がある。
【0096】
TH1とTH2型免疫応答の区別は絶対的ではなく、これらの2つの両極の間の連続状態の形態をとりうる。現に、個体は、TH1優勢またはTH2優勢であると説明される免疫応答を支持する。しかし、Mosmann and CoffmanによってマウスCD4陽性T細胞クローンに記載される観点からサイトカインのファミリーを考慮すると好都合であることがよくある(Mosmann, T.R. and Coffman, R.L. (1989) TH1 and TH2 cells: different patterns of lymphokine secretion lead to different functional properties. Annual Review of Immunology, 7, p145-173)。伝統的に、TH1型応答はTリンパ球によるINF-γサイトカインの生産と関連する。TH1型免疫応答の誘発と直接関連することがよくある他のサイトカイン、例えばIL-12はT細胞によって生産されない。対照的に、TH2型応答はIL-4、IL-5、IL-6、IL-10および腫瘍壊死因子-β(TNF-β)の分泌と関連する。
【0097】
特定のワクチンアジュバントはTH1またはTH2型サイトカイン応答のいずれかの刺激に特に適していることが知られる。伝統的に、ワクチン接種または感染後の免疫応答のTH1:TH2バランスの指標には、抗原での再刺激後のin vitroでのTリンパ球によるTH1またはTH2サイトカインの生産の直接測定、および/または抗原特異的抗体応答のIgG1:IgG2a比の(少なくともマウスでの)測定が含まれる。
【0098】
ゆえに、TH1型アジュバントは、単離されたT細胞集団を刺激して、in vitroで抗原で再刺激された場合に高レベルのTH1型サイトカインを生産させ、TH1型アイソタイプと関連する抗原特異的免疫グロブリン応答を誘発するアジュバントである。
【0099】
TH1細胞応答の選択的刺激が可能なアジュバントはWO 94/00153およびWO 95/17209に記載されている。
【0100】
本発明での使用に好適なアジュバントを生産するように製剤化することができる好ましいTh1型免疫賦活剤には、以下のものが含まれるが、それらに限定されない。
【0101】
ずっと以前から、腸内細菌リポ多糖(LPS)が免疫系の強力な刺激因子であることが知られているが、アジュバント中のその使用はその毒性作用によって抑制されている。還元末端グルコサミンからのコア炭水化物基およびリン酸基の除去によって得られるLPSの無毒の誘導体、モノホスホリルリピドA (MPL)はRibi et al (1986, Immunology and Immunopharmacology of bacterial endotoxins, Plenum Publ. Corp., NY, p407-419)に記載されていて、以下の構造を有する。
【化1】

【0102】
さらに無毒化されたタイプのMPLが二糖主鎖の第3位からのアシル鎖の除去によって生じ、3-O-脱アシル化モノホスホリルリピドA (3D-MPL)と称される。それはGB 2122204Bに教示される方法によって精製および製造することができる。該参考文献はまた、ジホスホリルリピドA、およびその3-O-脱アシル化変異体の製造を開示している。
【0103】
3D-MPLの好ましい形態は、直径0.2μm未満の小粒子サイズを有するエマルジョンの形態であり、その製造方法はWO 94/21292に開示されている。モノホスホリルリピドAおよび界面活性剤を含む水性製剤はWO 98/43670に記載されている。
【0104】
本発明で使用するための細菌リポ多糖由来のアジュバントを細菌供給源から精製およびプロセシングするか、あるいはそれらを合成してよい。例えば、精製されたモノホスホリルリピドAはRibi et al 1986 (上記)に記載され、サルモネラ属菌種由来の3-O-脱アシル化モノホスホリルまたはジホスホリルリピドAはGB 2220211およびUS 4912094に記載されている。他の精製および合成リポ多糖も報告されている(Hilgers et al., 1986, Int.Arch.Allergy.Immunol., 79(4):392-6; Hilgers et al., 1987, Immunology, 60(1):141-6; およびEP 0 549 074 B1)。特に好ましい細菌リポ多糖アジュバントは3D-MPLである。
【0105】
したがって、本発明で使用されるLPS誘導体は、LPSまたはMPLまたは3D-MPLと構造が類似の免疫賦活剤である。別法では、LPS誘導体は、上記MPL構造の一部分(sub-portion)であるアシル化された単糖であってよい。
【0106】
サポニンもまた、本発明の好適なTh1免疫賦活剤である。サポニンは周知のアジュバントであり、Lacaille-Dubois, M and Wagner H. (1996. A review of the biological and pharmacological activities of saponins. Phytomedicine vol 2 pp 363-386)に教示されている。例えば、Quil A (南米の樹木Quillaja Saponaria Molinaの樹皮由来)、およびそのフラクションはUS 5,057,540および「Saponins as vaccine adjuvants」, Kensil, C. R., Crit Rev Ther Drug Carrier Syst, 1996, 12 (1-2):1-55; およびEP 0 362 279 B1に記載されている。溶血性(haemolytic)サポニンQS21およびQS17 (Quil AのHPLC精製フラクション)は強力な全身性アジュバントとして報告されており、その製造方法は米国特許No. 5,057,540およびEP 0 362 279 B1に開示されている。これらの参考文献には、全身ワクチンの強力なアジュバントとして機能するQS7 (Quil-Aの非溶血性フラクション)の使用も記載されている。QS21の使用は、Kensil et al. (1991. J. Immunology vol 146, 431-437)にさらに記載されている。QS21とポリソルベートまたはシクロデキストリンの組み合わせも公知である(WO 99/10008)。QuilAのフラクション、例えばQS21およびQS7を含む粒子アジュバント系はWO 96/33739およびWO 96/11711に記載されている。
【0107】
別の免疫賦活剤は非メチル化CpGジヌクレオチド(「CpG」)を含有する免疫賦活性オリゴヌクレオチドである。CpGはDNA中に存在するシトシン-グアノシンジヌクレオチドモチーフの略語である。CpGは、全身および粘膜の両経路で投与された場合にアジュバントであることが当技術分野において知られている(WO 96/02555, EP 468520, Davis et al., J.Immunol, 1998, 160(2):870-876; McCluskie and Davis, J.Immunol., 1998, 161(9):4463-6)。歴史的に、BCGのDNAフラクションは抗腫瘍効果を発揮することが観察された。別の研究では、BCG遺伝子配列由来の合成オリゴヌクレオチドが(in vitroおよびin vivoの両方で)免疫賦活性効果を誘発可能であることが示された。これらの研究の著者らは、中央CGモチーフを含む特定のパリンドローム配列がこの活性を有すると結論した。免疫賦活化におけるCGモチーフの中心的役割は、後に、Krieg, Nature 374, p546 1995の公表において解明された。詳細な分析では、CGモチーフが特定の配列関係にある必要があること、およびそのような配列は細菌DNAでは一般的であるが、脊椎動物DNAではまれであることが示されている。免疫賦活性配列は、プリン、プリン、C、G、ピリミジン、ピリミジン(該配列中、CGモチーフはメチル化されていない)であることがよくあるが、他の非メチル化CpG配列が免疫賦活性であることも知られ、それを本発明で使用することができる。
【0108】
6ヌクレオチドの特定の組み合わせ中にパリンドローム配列は存在する。複数のこれらのモチーフが、1モチーフの反復または異なるモチーフの組み合わせとして、同一オリゴヌクレオチド中に存在することができる。オリゴヌクレオチドを含有する1種以上のこれらの免疫賦活性配列の存在は、ナチュラルキラー細胞(インターフェロンγを生産し、かつ細胞溶解活性を有する)およびマクロファージを含む種々の免疫サブセットを活性化することができる(Wooldrige et al Vol 89 (no. 8), 1977)。現在では、このコンセンサス配列を有さない他の非メチル化CpG含有配列もまた、免疫調節性であることが示されている。
【0109】
CpGは、ワクチンに製剤化されると、遊離抗原とともに遊離溶液中で全身投与される(WO 96/02555; McCluskie and Davis, 上記)か、または共有結合によって抗原にコンジュゲートされる(WO 98/16247)か、または水酸化アルミニウム等の担体とともに製剤化される((肝炎表面抗原) Davis et al. 上記; Brazolot-Millan et al., Proc.Natl.Acad.Sci., USA, 1998, 95(26), 15553-8)。
【0110】
そのような上記免疫賦活剤は、担体、例えばリポソーム、水中油型エマルジョン、および/または金属塩、例えばアルミニウム塩(例えば水酸化アルミニウム)とともに製剤化することができる。例えば、水酸化アルミニウム(EP 0 689 454)または水中油型エマルジョン(WO 95/17210)を用いて3D-MPLを製剤化してよく; コレステロール含有リポソーム(WO 96/33739)、水中油型エマルジョン(WO 95/17210)またはミョウバン(WO 98/15287)を用いてQS21を好都合に製剤化してよく; ミョウバン(Davis et al. 上記; Brazolot-Millan 上記)または他のカチオン性担体を用いてCpGを製剤化してよい。
【0111】
免疫賦活剤の組み合わせもまた好ましく、特にモノホスホリルリピドAおよびサポニン誘導体(WO 94/00153; WO 95/17210; WO 96/33739; WO 98/56414; WO 99/12565; WO 99/11241)の組み合わせ、より具体的にはWO 94/00153に開示されているQS21および3D-MPLの組み合わせが好ましい。あるいは、CpGプラスサポニン、例えばQS21の組み合わせもまた、本発明で使用するための強力なアジュバントを形成する。
【0112】
ゆえに、好適なアジュバント系には、例えば、アルミニウム塩とともに、モノホスホリルリピドA、好ましくは3D-MPLを組み合わせたものが含まれる。
【0113】
増強された系には、モノホスホリルリピドAおよびサポニン誘導体の組み合わせ、特にWO 94/00153に開示されるQS21および3D-MPLの組み合わせ、またはWO 96/33739に開示される、QS21がコレステロール含有リポソーム(DQ)でクエンチされている低反応原性組成物が含まれる。
【0114】
水中油型エマルジョン中にQS21、3D-MPL & トコフェロールを含む特に強力なアジュバント製剤がWO 95/17210に記載され、それは本発明で使用するための別の好ましい製剤である。
【0115】
別の好ましい製剤は、CpGオリゴヌクレオチドを単独でまたはQS21、3D-MPLとともにまたはアルミニウム塩とともに含む。
【0116】
したがって、本発明の一実施形態では、乳児のマラリア疾患および/または感染の予防用ワクチンを製造するための、本明細書中に記載のマラリア抗原と組み合わせた、無毒化されたリピドAまたはリピドAの無毒の誘導体、より好ましくはモノホスホリルリピドAまたはその誘導体、例えば3D-MPLの使用を提供する。
【0117】
本発明の一実施形態では、乳児のマラリア疾患および/または感染の予防用ワクチンを製造するために、本明細書中に記載のマラリア抗原と組み合わせてサポニン、例えばQS21を使用する。または、それを用いて乳児を治療する方法を提供する。
【0118】
一実施形態では、本発明は、乳児のマラリア疾患および/または感染の予防用ワクチンを製造するための、サポニン、例えばQS21、および本明細書中に記載のマラリア抗原と組み合わせた、無毒化されたリピドAまたはリピドAの無毒の誘導体、より好ましくはモノホスホリルリピドAまたはその誘導体、例えば3D-MPLの使用を提供する。本発明はまた、これらの態様を用いて乳児を治療する方法におよぶ。
【0119】
一実施形態では、本発明は、さらに、水中油型エマルジョンまたはリポソームを用いる。
【0120】
本発明での使用に好適なアジュバントの組み合わせは以下の通りである:
1. 3D-MPL、QS21および水中油型エマルジョン。
【0121】
2. リポソーム製剤中の3D-MPLおよびQS21。
【0122】
3. リポソーム製剤中の3D-MPL、QS21およびCpG。
【0123】
使用される3D-MPLの量は概して少量であるが、ワクチン製剤に応じて、1〜1000μg/用量、概して1〜500μg/用量の範囲、例えば1〜100μg/用量(10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80または90μg/用量)の範囲であってよい。
【0124】
本発明のアジュバント中で使用するためのサポニンの量は、1〜1000μg/用量、概して1〜500μg/用量、さらに例えば1〜250μg/用量の範囲、より具体的には1〜100μg/用量(10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80または90μg/用量)の範囲であってよい。
【0125】
本発明のアジュバントまたはワクチン中のCpGまたは免疫賦活性オリゴヌクレオチドの量は概して少量であるが、ワクチン製剤に応じて、1〜1000μg/用量、概して1〜500μg/用量の範囲、さらに例えば1〜100μg/用量(10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80または90μg/用量)の範囲であってよい。
【0126】
本発明の一態様では、用量は0.5 mlの最終容量を有する。
【0127】
本発明のワクチンは、任意の種々の経路、例えば経口、局所、皮下、粘膜)、静脈内、筋肉内、鼻腔内、舌下および皮内経路で提供してよい。
【0128】
免疫化は予防的または治療的であってよい。本明細書中に記載の発明は、排他的にではないが主に、マラリアに対する予防ワクチン接種に関し、より具体的にはマラリア感染および/またはマラリア疾患の可能性を予防または低減するための予防ワクチン接種に関する。
【0129】
本発明での使用に適切な製薬的に許容される担体または賦形剤は当技術分野において周知であり、それには、例えば水またはバッファーが含まれる。ワクチンの製造は概してPharmaceutical Biotechnology, Vol.61 Vaccine Design - the subunit and adjuvant approach, edited by Powell and Newman, Plenum Press New York, 1995. New Trends and Developments in Vaccines, edited by Voller et al., University Park Press, Baltimore, Maryland, U.S.A. 1978に記載されている。リポソーム内のカプセル化は、例えば、Fullerton, 米国特許4,235,877に記載されている。高分子へのタンパク質のコンジュゲーションは、例えば、Likhite, 米国特許4,372,945およびArmor et al., 米国特許4,474,757に開示されている。
【0130】
本明細書の関連で、「含む(comprising)」とは「含む(including)」と解釈されるものとする。
【0131】
特定の要素を含む本発明の態様は、関連要素からなるかまたは関連要素から本質的に構成される該態様にもおよぶものとし、適切であれば逆もまた同様であるものとする。
【実施例】
【0132】
研究設計
研究は、Centro de Investigacao em Saude de Manhica (CISM, Manhica Health Research Centre)で、CISM本部があるManhica市の約50 km北の2つの自治体Ilha JosinaおよびTaningaにおいて2005年6月〜2007年3月の間に行われた。研究地域全体およびIlha Josinaの特徴は以前に報告されている(Alonso PL, Sacarlal J, Aponte JJ, Leach A, Macete E, Milman J, et al. Efficacy of the RTS,S/AS02A vaccine against Plasmodium falciparum infection and disease in young African children: randomised controlled trial. Lancet 2004 Oct 16-22;364(9443):1411-20)。TaningaはIncomati川の氾濫原を直接横切るIlha Jossinaに面する農村である。気候は亜熱帯性気候であり、2つの異なる季節:11月〜4月までの暖かい雨季および1年の残りの期間の概して涼しい乾季を有する。マラリア伝染はいくらかの季節性を有するものの通年性であり、ほとんどの場合、P. falciparumに起因する。Anopheles funestusが主な媒介生物である。アモジアキンおよびスルファドキシン-ピリメタミン(sulphadoxine-pirimethamine)に基づく併用療法は、アルテスナート(artesunate)およびスルファドキシン-ピリメタミンを使用するアーテミシニンに基づく併用療法(ACT)に変更された2006年9月まで、無併発性マラリアの一次治療であった。2005年から、Ministry of Healthのマラリア抑制活動の一環として、1年ごとの屋内残留スプレー(IRS)が実施された。2005年12月の1回目の際は、IRSはカルバマート(ICON(登録商標))に基づくものであったが、2006年12月にDDTに変更された。研究活動の一環として、かつ国の推奨にしたがって、殺虫剤で処理された蚊帳(ITN)がその使用に関する指示書とともにスクリーニング中の妊婦に与えられた。Ilha JosinaおよびTaningaの両自治体は、基礎的な治療および予防医療を提供する簡易の保健所(health post)および産科病院を有する。研究のために、施設を改良し、24時間医療が可能になり、CISMに隣接するManhica District Hospitalへの紹介のために交通手段を用意した。
【0133】
研究は、10、14および18週齢で施される免疫化で乳児に投与された場合のRTS,S/AS02Dマラリアワクチン候補の構想の安全性、免疫原性および効力試験を評価する第I/IIb相二重盲検無作為化比較試験であった。プロトコールはMozambican National Bioethics Committee、Hospital Clinic of Barcelona Ethics Review CommitteeおよびPATH Human Subjects Protection Committeeによって承認された。試験登録番号はNCT00197028であり、IND番号はBB-IND 10514である。試験は、International Conference of Harmonization Good Clinical Practicesのガイドラインにしたがって行われ、GSK Biologicalsによって監視された。Local Safety MonitorおよびData and Safety Monitoring Boardは試験の設計管理および結果を厳密に審査した。
【0134】
参加者
CISMは、両研究地域を含むほぼ半分の地区で人口調査システムを作動させている。自分の乳児の登録を考慮するであろう、研究地域に居住する妊娠第3期の妊婦に、インフォームドコンセントプロセスに参加するよう依頼した。初回訪問時に、特別に訓練されたスタッフによって妊婦グループに情報シートが音読および説明された。発明者らは、情報の理解を調べるために設計された個別の口頭理解試験に女性が合格した後のみ、個別の同意を求めた。インフォームドコンセントの書類にサイン(または読み書きができない場合は拇印)するよう彼女らに求めた。本調査研究に関連していない自治体のメンバーは先入観のない証人として働き、同意書に副署した。インフォームドコンセントを与えた人はカウンセリングを受け、HIV (DetermineTM HIV1-2, Abbot LaboratoriesおよびUNI-GOLD HIV, Trinity Biotech PLC)およびB型肝炎(DetermineTM HBsAg, Abbot Laboratories)に関してスクリーニングされた。HIV陽性であることが判明した女性は、医学的評価およびNational Guidelinesにしたがう管理のためにManhica District Hospitalの政府保健サービスに紹介された。これらには、母子感染の低減ならびに臨床および社会的基準を満たす人に対する抗レトロウイルス治療の無料提供が含まれた。B型肝炎陽性の母親は子孫への感染リスクについて助言され、新生児に対して出生時にB型肝炎ワクチンが提供された。
【0135】
母親の別のインフォームドコンセントにしたがって、かつ以前に記載された手順と同様の手順を使用して、6〜12週齢の範囲の乳児をスクリーニングした。これには、簡単な病歴および身体検査ならびにベースライン血液学、生化学および免疫学に関するヒールプリック(heel prick)または静脈穿刺による血液サンプリングが含まれた。試験対象患者基準には、とりわけ、正常な妊娠期間および明らかな医学的異常の不存在が含まれた。B型肝炎およびHIV陽性の母親の下に生まれた子供は該ウイルスの新生児獲得のリスクが高いので、彼らを試験に参加させなかった。他の基準のうち、ワクチン接種研究の開始の少なくとも1週間前にBCGが投与されなかったか、またはBCGを伴う出生時に施されたOPVの初回投与以外の任意の他のワクチン接種が登録前に施されていた子供を参加対象外とした。
【0136】
個別の写真識別カードを登録直後に提供した。これには、子供および母親の名前ならびに国勢調査の個人識別番号(Alonso P, Saute F, Aponte JJ. Manhica DSS, Mozambique. In: Sankoh OA, Ngom P, Nyarko P, Mwageni E, Kahn K, editors. Population and health in developing countries; vol.1, population, health and survival at INDEPTH sites. Ottawa: International development research center (IDRC); 2002. p.189-95)およびスクリーニング訪問時に発行された固有の研究番号が含まれた。2005年6月24日に現地活動を開始した。最初の乳児は2005年8月23日に登録され、最後の乳児は2006年9月12日に登録された。二重盲検相の追跡活動は2007年3月6日に最後に登録された子供がその6か月の研究訪問に達した時点で完了した。
【0137】
手順
モザンビーク(Mozambique)のEPIは、出生時のBCGワクチンおよび経口ポリオワクチン(OPV)、8、12および16週齢の時点でOPVと共投与される3回投与のジフテリア(Dipheteria)・破傷風・百日咳(Pertusis)全細胞(DTPw)およびB型肝炎ワクチンならびに9月齢での麻疹ワクチンを含む。研究のために、発明者らはこのスキームに2つの変更を導入した。Hibワクチンの使用が高速に拡大して、より多くのアフリカの国々でEPIの部分になっていることを考えると、発明者らは、DTPwと組み合わせてそれを加えることを決定した。それが試験に参加する子供に追加の利益を提供するであろうからである。B型肝炎ワクチンはDTPwとともに投与されなかった。RTS,Sが、匹敵する抗HBsAg力価を誘発することが示されているからである。図1aは、試験設計および追跡スキームを示す。DTPw/Hib [TETRActHibTM Aventis Pasteur]での初回ワクチン接種の日に、対象となる子供を登録した。DTPw/Hibでの初回ワクチン接種の時点で、DTPw/HibおよびOPVワクチンと2週間ずらされて10、14および18週齢の時点で投与される3回投与のRTS,S/AS02D (GSK Biologicals, Rixensart. Belgium)またはB型肝炎ワクチン(Engerix-BTM, GSK Biologicals, Rixensart, Belgium)のいずれかを投与されるように子供をランダムに割り当てた。SASソフトウェアバージョン8 (比1:1, ブロックサイズ2)を用いてGSK Biologicalsでブロックランダム化を行った。データベースをモニターし、整理し(cleaned)かつロックした後にランダム化コードを研究者に公開した。
【0138】
マラリアワクチン群の小児製剤にランダム化された乳児に、25μgのRTS,Sおよびアジュバント系AS02Dを含有する0.5mlのRTS,S/AS02D製剤を投与した。RTS,Sは、B型肝炎ウイルスのS抗原(HBsAg)のアミノ末端に融合されたP. falciparum CSタンパク質中央タンデムリピートおよびカルボキシ末端領域からなるハイブリッド組換えタンパク質である。該タンパク質は自己組立てにより、未融合S抗原をさらに含む粒子を形成する。抗原およびGlaxoSmithKlineの専売AS02Dアジュバント系は他で詳細に説明されている(Macete EV, Sacarlal J, Aponte JJ, Leach A, Navia MM, Milman J, et al. Evaluation of two formulations of adjuvanted RTS, S malaria vaccine in children aged 3 to 5 years living in a malaria-endemic region of Mozambique: a Phase I/IIb randomized double-blind bridging trial. Trials 2007 Mar 26;8:11)。
【0139】
DTPw/Hibを右前外側大腿に筋肉内(IM)経路で投与し、RTS,S/AS02DまたはEngerix-BTMを左前外側大腿にIM投与した。RTS,S/AS02DまたはEngerix-BTMワクチン接種を二重盲検様式で送達した(観察者:盲検化、参加者:盲検化)。ワクチン接種チームはワクチンを調製し、乳児の免疫化のための臨床チームにシリンジを提供する前にシリンジの内容物を不透明なテープでマスクした。研究に使用される2種のワクチンは異なる外観のワクチンであったため、ワクチン接種チームは盲検化されず、いずれの他の研究手順にも関与しなかった。
【0140】
各ワクチン接種後、少なくとも1時間乳児を観察した。訓練された現地調査員がその後6日間毎日、自宅に子供を訪問して、すべての有害事象(AE)を記録した。この期間中の応答型(solicited)局所および全身有害事象を記録した。医療施設に基づく罹患率調査システムによって各投与後30日間、非応答型(unsolicited)有害事象を記録した。重篤有害事象(SAE)を同様に検出し、研究中ずっと記録した。応答型および非応答型有害事象ならびにSAEの定義の詳細な説明は他に見出すことができる11。図1aに示されるように複数の時点で測定される腎機能および肝機能を含む血液学的および生化学的評価によって追加の安全性評価を実施した。ベースラインおよびRTS,S/AS02DまたはEngerix-BTMの3回目の投与の1か月後に抗HBsAg抗体力価を測定した。ベースライン、およびRTS,S/AS02DまたはEngerix-BTMの3回目の投与の1か月および3か月半後に抗CS抗体力価を測定した。ジフテリア毒素および破傷風毒素ならびにb型H. influenzaeのポリリボシルリビトールリン酸(PRP)に対する抗体をDTPw/Hibの3回目の投与の1か月後に測定した。ベースラインおよびDTPw/Hibの3回目の投与の1か月後にB. pertussisに対する抗体を測定した。
【0141】
研究地域の医療施設で能動的感染検出(ADI)および受動的症例検出(PCD)によってP. falciparumによるマラリア感染の症例をモニターした。ADIは、所定の間隔での研究参加者への反復訪問から構成された(図1a)。各訪問時に、寄生虫血症判定のための血液スライドを徴候の有無と無関係に回収し、腋窩温を記録した。陽性スライドの子供を、徴候の存在にかかわらず一次治療で治療し、追加のADI評価の対象外とした。ADI追跡調査を開始する前に、アモジアキン(3日間にわたり10mg/kg/日)および1回投与のスルファドキシン-ピリメタミン(スルファドキシン25mg/kgおよびピリメタミン1,25 mg/kg)の組み合わせをRTS,S/AS02DまたはEngerix-BTMの3回目および最後の投与の2週間前に投与して、すべての子供の無症候性寄生虫血症を推定的に排除した。2週間後に3回目の投与の時点で寄生虫血症を調査し、存在する場合にはCoartem(登録商標)に基づく二次治療で治療した。寄生虫血症を有さない子供のみがADIを開始し、ADIはRTS,S/AS02DまたはEngerix-BTMの3回目の投与の2週間後に始まり、1週間おきに12週間実施された。
【0142】
Manhica District Hospital、Ilha JosinaおよびTaninga保健所に設置された医療施設に基づく罹患率調査システムにより、医療施設へのすべての出席者の受動的症例検出(PCD)および臨床マラリアの発症の確認が可能になった。この調査システムは他で詳細に説明されている(Alonso PL, Sacarlal J, Aponte JJ, Leach A, Macete E, Milman J, et al. Efficacy of the RTS,S/AS02A vaccine against Plasmodium falciparum infection and disease in young African children: randomised controlled trial. Lancet 2004 Oct 16-22;364(9443):1411-20)。簡単には、3つの施設は、個人識別カードによって研究参加者を特定するよう訓練された24時間医療スタッフを有し、追跡調査中を通して標準化された評価、管理および記録が確保された。発熱(37.5℃以上)または前24時間の発熱歴、または蒼白の記録を有するすべての子供は、寄生虫および血中血球容積(PCV)測定のために血液を採取された。承認基準を満たす子供を入院のためにManhica District Hospitalに紹介した。国の標準ガイドラインにしたがって臨床管理を提供した。入院および退院時にすべての関連情報を、標準化された形式で記録した。
【0143】
寄生虫の存在およびP. falciparum無性期の密度を決定するために、ギムザ染色された血液スライドを、他で説明される標準品質管理手順にしたがって読み取った(Alonso PL, Sacarlal J, Aponte JJ, Leach A, Macete E, Milman J, et al. Efficacy of the RTS,S/AS02A vaccine against Plasmodium falciparum infection and disease in young African children: randomised controlled trial. Lancet 2004 Oct 16-22;364(9443):1411-20)。乾燥生化学光度計VITROS DT II (Orto Clinical Diagnostics, Johnson & Johnson Company, USA)を使用して生化学的パラメータを測定した。Sysmex KX-21N細胞カウンター(Sysmex Corporation Kobe, Japan)を使用して血液学的検査を実施した。遠心分離後にHawksleyヘマトクリットリーダーを使用してヘパリン化マイクロキャピラリーチューブ中でPCVを測定した。
【0144】
配列[NVDP(NANP)15]2LRを含む組換え抗原R32LRが吸着しているプレートを使用する標準ELISAによってCSタンパク質タンデムリピートエピトープに特異的な抗体を測定した。アッセイカットオフを0.5 EU/mlにセットした。アッセイカットオフを10 IU/mlにセットした市販のラジオイムノアッセイ(AUSAB, Abbott)を使用して抗HBsAg抗体レベルを測定した。カットオフを0.15μg/mlにセットしたELISAによって抗PRP抗体を測定した。アッセイカットオフを0.10 IU/mlにセットしたELISAによって抗ジフテリアおよび抗破傷風抗体力価を測定した。アッセイカットオフを15 EL.U/mlにセットしたELISA (Labsystems)によって抗全細胞B. Pertussis抗体力価を測定した。
【0145】
統計解析
試験の主要評価項目はRTS,S/AS02Dワクチン候補の安全性および忍容性であった。DTPw/Hibの少なくとも1回の投与を受けたすべての子供を包括(intention-to-treat; ITT)安全性解析に含めた。
【0146】
95% CIでの幾何平均力価(Geometric Mean Titres) (GMT)によって抗CSおよび抗HBsAg抗体データをまとめた。抗CS血清陽性を0.5 EU/ml以上と定義し、B型肝炎からの血清防御(seroprotection)を10 IU/ml以上と定義した。
【0147】
ワクチン効力(VE)の概念についての試験は、プロトコールに基づく(According to Protocol) (ATP)コホートで実施される、将来を見越して定められたReport & Analysis Plan (RAP)に基づくものであった。すべての適格基準を満たし、ワクチン接種過程を完了し、かつADI期間中の追跡期間に貢献した被験体をATPコホートに含めた。RTS,S/AS02DまたはEngerix-BTMの3回目の投与の14日後に始まり、研究6か月時点の訪問で終了する追跡(約3か月の追跡)期間中に検出されたすべての最初または唯一の無性P. falciparum感染を解析に含めた。この解析に含まれるマラリア感染はADIまたはPCDによって検出された。
【0148】
追加の予備解析では、登録の時点から最後に登録された乳児がADI追跡調査を完了した日(2007年3月6日)までの最初または唯一の発症を含むITTコホートでの臨床マラリアに対するワクチン効力を考慮した。さらに、新規感染の効力評価と同一のATPコホートおよび追跡期間において臨床マラリアの予備解析を実施した。臨床マラリアの一次症例定義は、1マイクロリットルあたり500以上のP. falciparumの無性寄生虫血症を有する発熱(腋窩温37.5℃以上)であった。この定義は90%を超える感度および特異性を有すると報告されている(Saute F, Aponte J, Almeda J, Ascaso C, Abellana R, Vaz N, et al. Malaria in southern Mozambique: malariometric indicators and malaria case definition in Manhica district. Trans R Soc Trop Med Hyg 2003 Nov-Dec;97(6):661-6)。他の効力予備解析では、臨床マラリアの二次症例定義を使用した。該定義は、発熱または前24時間の発熱歴および任意の無性P. falciparum寄生虫血症を含む。リスク人年(person years at risk; PYAR)として報告されたリスク期間を、以前に報告されるように、研究領域からの不在および抗マラリア剤使用に関して補正した(Alonso PL, Sacarlal J, Aponte JJ, Leach A, Macete E, Milman J, et al. Efficacy of the RTS,S/AS02A vaccine against Plasmodium falciparum infection and disease in young African children: randomised controlled trial. Lancet 2004 Oct 16-22;364(9443):1411-20)。これらは、乳児が研究評価項目に寄与すると見込むことができない期間であるからである。
【0149】
VEを1マイナス割合比(1 minus the rate ratio)と定義した。以前に報告されている方法にしたがって算出された医療施設への距離(Alonso PL, Sacarlal J, Aponte JJ, Leach A, Macete E, Milman J, et al. Efficacy of the RTS,S/AS02A vaccine against Plasmodium falciparum infection and disease in young African children: randomised controlled trial. Lancet 2004 Oct 16-22;364(9443):1411-20)および居住地域によってワクチン効力を補正した。特に指定しない限り、文中では、Cox回帰モデルを使用して評価された補正ワクチン効力を報告する。RTS,S/AS02Dを投与された群において、最も低い応答三分位値の乳児の危険率(HR)を最も高い応答三分位値の乳児のHRと比較し、ならびにCox回帰モデルを使用して抗CS抗体力価の倍増あたりのHRを見積もることによって、マラリア感染リスクに対する抗CS抗体力価の影響を評価した。最後に、Wilcoxon Rank Sum検定を使用して、マラリア感染の記録がない子供に対する、少なくとも1回マラリア感染を発症した子供の幾何平均力価の比較を行った。
【0150】
サンプルサイズはワクチン安全性の評価に基づくものであった。各群に100人の被験体を含む試験では、Engerix-BTM群の事象の頻度が10%以上であれば、26%以上の有害事象の割合の相違を検出する80%の能力を有した。このサイズの試験はまた、調査期間にわたって、対照群における75%以上の罹患率を仮定すると、45%以上のマラリア感染に対する効力を検出する90%の能力を有した。SASおよびSTATAを使用して解析を実施した。
【0151】
資金源の役割
GSKおよびCISMはともに、PATH Malaria Vaccine Initiative (MVI)から、この原稿に記載される研究を行うための財政的支持を受けた。MVIは研究設計および解釈のすべての側面に(オーサーシップガイドラインにより)関与した。MVIはBill & Melinda Gates Foundationからの補助金によってこの研究に資金を提供した。CISMの基本的な資金はSpanish Agency for International Cooperation (AECI)から提供されている。
【0152】
結果
図1は試験プロファイルを示す。446人の妊婦のうち326人が適格基準を満たし、329人の新生児を産んだ。そのうち251人の乳児がスクリーニングされ、スクリーニングされた子供の214人(85%)が試験に登録され、DTPw/Hibワクチンの初回投与を受けた。RTS,S/AS02D群の93人(86%)の子供およびEngerix-BTM群の92人(85%)がADI追跡調査に入った。追跡期間中に、RTS,S/AS02D群の7人の子供およびEngerix-BTM群の8人の子供から同意が取り消された。各群の3人の子供は、RTS,S/AS02DまたはEngerix-BTMの2回目の投与の時点で誤ったワクチンを投与された。彼らはATP解析に含まれなかった。両群のベースライン特性を表1に示す。
【0153】
図2cは、施された全投与のうちの応答型徴候が記録された割合を示す。DTPw/HibおよびOPVのデータをランダム化割り当てによって分離したため、該図は4群を示す。疼痛を有する子供の割合は高く、すべての群において類似であった。徴候の相対的割合はRTS,S/AS02Dの各注射後に類似であり、程度も同等であった(データは示していない)。RTS,S/AS02D群でグレード3の応答型徴候は記録されず、他の群では発生率が非常に低かった(データは示していない)。2007年3月6日の追跡調査の終了時点まで追跡されたITTコホートでは、RTS,S/AS02D群で31のSAEが存在し、Engerix-BTM群で30のSAEが存在した。それらはいずれもワクチン接種との関連が報告されなかった。この同追跡期間中に4人が死亡した; それはすべて、ADI期間が研究6か月の時点で終了した後であった(RTSS/AS02D群の2人およびEngerix-BTM群の2人)。すべての死は自宅で起こった。口頭剖検では、RTS,S/AS02D群の1人の死は敗血性ショックに起因し、残りの3人の死は胃腸炎および重篤な脱水に起因することが示唆されている。1回目の投与後および3回目の投与後の異常な血液学および生化学値の値および割合は両群において類似であり、いかなる安全性シグナルをも生じさせない(データは示していない)。
【0154】
試験に登録された214人の被験体(RTS,S/AS02D 107人およびEngerix-BTM 107人)に関して、3回目の投与後の151人の被験体(RTS,S/AS02D群の76人および対照群の75人)についてEPI抗原応答のデータが入手可能である。2群の被験体間で血清防御/血清陽性および力価の差異はない(Aide et al, 出版準備中の原稿)。3人を除く子供はすべて、全部のEPI抗原に対して血清防御レベルに達した。これらの3人の子供は、彼らが応答しなかった抗原で再免疫化される。
【0155】
CSおよびHBsAgに対して測定された抗CSおよび抗HBsAg抗体レベルを表2に示す。スクリーニングの時点で、RTS,S/AS02DおよびEngerix-BTM群のそれぞれ24/76 (32%)および26/77 (34%)の乳児は検出可能な抗CS抗体の低い力価を有した。3回目の投与の1か月後、RTS,S/AS02Dを投与された乳児の99% (70/71)は検出可能な抗CS抗体を有したが、Engerix-BTMを投与された乳児の間での対応する数値は4% (3/68)である。3回目の投与の3か月半後(研究6か月)、RTS,S/AS02D群の抗CS陽性の割合は高いまま(98%)であったが、GMTは減少していた。Engerix-BTM群では、検出可能な抗体の保有率は20% (12/61)に増加したが、抗CS GMTは低いままであった。B型肝炎に対する応答は両群で良好であった(表2)。
【0156】
図4は、RTS,S/AS02DまたはEngerix-BTMの3回目の投与の14日後に始まり、研究6か月までのADI追跡期間中に少なくとも1回のマラリア感染発症を有する子供の割合を示す。この追跡期間中にトータル68回の新規感染が記録され、それはRTS,S/AS02D群の22回およびEngerix-BTM群の46回であった。3か月の追跡期間にわたるワクチン効力(VE)のおおよその見積もりは62.2% (95% CI 37.1%; 77.3%, p=0.0002)であった。保健センターからの距離および居住地域によって補正されたVEは65.9% (95% CI 42.6%; 79.8%, p <0.0001)であった(表3)。研究6か月の時点の感染の点(point)有病率は2群間で類似であり(RTS,S/AS02D群の5% vs 対照群の8%, p=0.536)、平均寄生虫密度間にも差異はなかった(RTS,S/AS02D群の2082寄生虫/マイクロリットル(SD 5604) vs 対照群の2579 (SD 6088), p=0.85)。
【0157】
RAPに含まれる探索的評価項目には、異なるコホートおよび症例定義を使用する臨床マラリアの効力見積もりが含まれた。ADIおよびPCDの両方によって検出されるマラリアの一次症例定義(500を超える寄生虫/マイクロリットルを伴う最初または唯一の発熱発症)を使用して0か月から6か月まで追跡されるITTコホートに基づく効力は35.5% (95% CI -7.5%; 61.3%, p=0.093)であった。RTS,S/AS02DまたはEngerix-BTMの3回目の投与の14日後に始まり、6か月の時点での研究訪問までの(感染の一次VE見積もりで使用したのと同じ追跡期間)ATPコホートでの臨床マラリアの追加の効力見積もりを表3に示す。表4は、3回目の投与後12か月間、すなわち3〜14か月の追加の追跡調査の詳細を示す。
【0158】
抗CS抗体力価とマラリアのリスクの関係をいくつかの方法で調査した。最初に、発明者らは、追跡期間中にマラリア感染が記録されない乳児の群と少なくとも1回の発症を有する乳児の群で、RTS,S/AS02DまたはEngerix-BTMの3回目の投与後の抗CS抗体力価を比較した。平均して抗CS抗体力価は前者の群の方が高かった(208 vs. 132, p=0.026)。次に、危険率は、より低い三分位値の乳児の間よりも、より高い三分位値の分布の抗体を示す乳児の間で71%低かった(95% CI 8.4%; 90.7%, p=0.035)。最後に、発明者らは、抗体力価の増加に関連するマラリア感染のリスクを調査した。抗体力価の倍増は新規感染リスクの6.4%の減少に結びついた(95% CI 10.8; 1.8) p=0.007。抗CS力価の10倍増加は新規感染リスクの19.8%減少に結びついた(95% CI 31.6; 5.9)。
【0159】
結果の解析に基づくと、免疫化完了後の3か月の追跡期間にわたって新規感染に関するワクチン効力は65%であった。この効力見積もりは、同研究領域で同等のADI系で追跡されたより年上の1〜4歳の子供の間での以前の試験(026試験)で報告される45%減少より高い(Alonso PL, Sacarlal J, Aponte JJ, Leach A, Macete E, Milman J, et al. Efficacy of the RTS,S/AS02A vaccine against Plasmodium falciparum infection and disease in young African children: randomised controlled trial. Lancet 2004 Oct 16-22;364(9443):1411-20)。この試験および026試験の追跡期間は同一ではなく、年上の子供よりも、乳児においてわずかに短かった。第二に、2つの見積もりの信頼区間は重複する。
【0160】

【0161】

【0162】

【0163】

【0164】
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳児にマラリアに対するワクチン接種をするための医薬の製造における、製薬的に許容されるアジュバントと組み合わせた、マラリア感染の前赤血球期に発現されるPlasmodium falciparumのスポロゾイト周囲タンパク質(CS)由来の抗原の使用。
【請求項2】
標的集団が約1週齢〜約50週齢の乳児である、請求項1または請求項2に記載の使用。
【請求項3】
抗原およびアジュバントの製剤が、CS、LSA-1、LSA-3、AMA-1、MSP-1、TRAP、Exp-1またはその免疫原性断片からなる群から選択される抗原をさらに含む、請求項1または2のいずれか一項に記載の使用。
【請求項4】
CS抗原が、B型肝炎由来の表面抗原(HBsAg)に融合されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
CSタンパク質または断片が、プラスモジウム属のCSタンパク質の実質的にすべてのC末端部分、CSタンパク質免疫優性領域の4つ以上のタンデムリピート、およびB型肝炎由来の表面抗原(HBsAg)を含むハイブリッドタンパク質の形態である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
ハイブリッドタンパク質が、線状リンカーによってHBsAgのN末端にインフレームで融合されたP.falciparum NF54系統3D7クローンCSタンパク質のアミノ酸207-395に実質的に対応するP.falciparumのCSタンパク質の配列を含む、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
ハイブリッドタンパク質が、線状リンカーによってHBsAgのN末端にインフレームで融合されたP.falciparum NF54系統3D7クローンCSタンパク質のアミノ酸207-395に実質的に対応するP.falciparumのCSタンパク質の配列を含む、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
ハイブリッドタンパク質がRTSである、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
RTSが複合粒子RTS,Sの形態である、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
RTS,Sの量が25μg/用量である、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
アジュバントがTh1細胞応答の選択的刺激因子である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の使用。
【請求項12】
アジュバントが3D-MPL、QS21または3D-MPLおよびQS21の組み合わせを含む、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
アジュバントが水中油型エマルジョンをさらに含む、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
アジュバントがリポソームをさらに含む、請求項12に記載の使用。
【請求項15】
アジュバントが小児用量として製剤化される、請求項1〜14のいずれか一項に記載の使用。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【公表番号】特表2010−535836(P2010−535836A)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−520550(P2010−520550)
【出願日】平成20年8月11日(2008.8.11)
【国際出願番号】PCT/EP2008/060505
【国際公開番号】WO2009/021931
【国際公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(305060279)グラクソスミスクライン バイオロジカルズ ソシエテ アノニム (169)
【Fターム(参考)】