説明

ワルファリン存在下でのチゲサイクリンの送達

本開示は、チゲサイクリンおよびワルファリンの併用治療ならびにチゲサイクリンおよびワルファリンの投与法に関する。例えば、チゲサイクリンは、ワルファリン用量を調整することなく、ワルファリンと投与され得る。また、少なくとも1つのグリシルサイクリン(例えば、チゲサイクリン)およびワルファリンを含む組成物が開示される。別の実施形態は、少なくとも1つのグリシルサイクリンおよびワルファリンの投与を含む併用治療である。別の実施形態は、少なくとも1つのグリシルサイクリンおよびワルファリンおよび少なくとも1つの薬学的に受容可能な賦形剤を含む薬学的組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一実施形態において、本開示は、チゲサイクリン(tigecycline)とワルファリンとの併用治療およびチゲサイクリンとワルファリンとの投与方法に関する。
【背景技術】
【0002】
チゲサイクリン((9−(t−ブチル−グリシルアミド)−ミノサイクリン、TBA−MINO、(4S,4aS,5aR,12aS)−9−[2−(tert−ブチルアミノ)アセトアミド]−4,7−ビス(ジメチルアミノ)−1,4,4a,5,5a,6,11,12a−オクタヒドロ−3,10,12,12a−テトラヒドロキシ−1,11−ジオキソ−2−ナフタセンカルボキサミド)は、グリシルサイクリン(glycylcycline)抗生物質、そして半合成テトラサイクリン、ミノサイクリンのアナログである。チゲサイクリンは、ミノサイクリンの9−t−ブチルグリシルアミド誘導体、式(I)
【0003】
【化9】

である。
【0004】
チゲサイクリンは抗生物質への耐性の出現の世界規模の脅威に応じて開発され、インビトロおよびインビボの両方で拡張された広範な抗菌活性を有する。グリシルサイクリン抗生物質は、テトラサイクリン抗生物質と同様に、細菌のタンパク質翻訳を阻害することによって作用する。
【0005】
チゲサイクリンは、多くの抗生物質耐性グラム陽性病原性菌(例えば、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、ペニシリン耐性肺炎連鎖球菌、およびバンコマイシン耐性腸球菌)に対して活性である(非特許文献1;非特許文献2[誤植がJ Antimicrob Chemother 1996 May;37(5):1046に発表された];非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6)。チゲサイクリンはまた、テトラサイクリン耐性の2つの主要な形態(流出およびリボソーム保護)を保持する細菌株に対して活性である(非特許文献7;非特許文献8;非特許文献9;非特許文献10;非特許文献11)。
【0006】
チゲサイクリンは、多くの細菌感染症(例えば、合併型腹腔内感染症(cIAI)、合併性の皮膚および皮膚構造の感染症(complicated skin and skin structure infections)(cSSSI)、市中肺炎(CAP)および院内感染性肺炎(HAP)の適応症)の処置に使用され得、これらの細菌感染症は、グラム陰性病原体およびグラム陽性病原体、嫌気性菌、ならびに黄色ブドウ球菌のメチシリン感受性株およびメチシリン耐性株(MSSAおよびMRSA)の両方によって引き起こされ得る。さらに、チゲサイクリンは、TetM耐性決定因子およびTetK耐性決定因子を有する細菌によって引き起こされる温血動物の細菌感染症を処置または管理するために使用され得る。また、チゲサイクリンは、骨および関節の感染症、カテーテル関連菌血症(catheter−related bacteremia)、好中球減少症、産婦人科の感染症(obstetrics and gynecological infection)を処置するためにか、または他の耐性病原体(例えば、VRE、ESBL、腸の、迅速に増殖するマイコバクテリアなど)を処置するために使用され得る。Hlavakaらの特許文献1は、温血動物の細菌感染症を処置または管理する方法を開示し、この方法は、薬理学的に有効な量の7−置換−9−(置換アミノ)−6−デメチル−6−デオキシテトラサイクリン(チゲサイクリンは、この記載された属のメンバーである)を投与する工程を包含する。特許文献1はまた、TetM耐性決定因子およびTetK耐性決定因子を有する細菌によって引き起こされる温血動物の細菌感染症を処置または管理する方法を開示し、この方法は、薬理学的に有効な量の7−置換−9−(置換アミノ)−6−デメチル−6−デオキシテトラサイクリン(チゲサイクリンは、この記載された属のメンバーである)を投与する工程を包含する。特許文献1は、その全体が参考として本明細書に援用される。
【0007】
チゲサイクリンは、凍結乾燥によって調製され得、そして処方され得る(例えば、IV溶液としての再構成のために病院の薬局で構成され得る)。チゲサイクリンは、しばしば、他の希釈剤および薬物と同時に投与される。したがって、一実施形態において、チゲサイクリンは、他の薬物を一緒に与える場合に、その薬物の投与と相互作用もせず、その薬物の投与にも有害な影響を与えるべきではない。
【0008】
ワルファリンナトリウムは、ビタミンK依存性凝固因子を阻害することによって作用する、広範に使用される抗血液凝固薬である。2004年に、アメリカ人は、ワルファリンについての約16.1百万件の処方箋を調剤した[Top 200 Generic Drugs by Prescription in 2004, http://www.drugtopics.com/drugtopics/article/articleDetail.jsp?id=150069.2005年5月25日にアクセスした]。
【0009】
化学的に、ワルファリンは、3−(α−アセトニルベンジル)−4−ヒドロキシクマリンであり、そしてR−エナンチオマーおよびS−エナンチオマーのラセミ混合物である。結晶性ワルファリンナトリウムは、イソプロパノール包接体である。その実験式は、C19H15NaO4であり、その構造式は、以下
【0010】
【化10】

によって示され得る。
【0011】
抗血液凝固薬療法の目的は、自発性の出血を回避しながら、血栓症を予防するように、血液の凝固能力を低下させることである。
【0012】
ワルファリンは、例えば、静脈性血栓症およびその延長(extension)ならびに肺動脈塞栓症の予防および/または処置、心房性細動および/または心臓弁置換を伴う血栓塞栓性合併症の予防および/または処置に適し、そして、死亡、再発性心筋梗塞、および血栓塞栓事象(例えば、心筋梗塞の脳卒中または全身性塞栓症)の危険性を低下させる。
【0013】
最適な治療上の血漿濃度のワルファリンは、その毒性濃度のように、個体間の大きな変動を示し、ワルファリンは、狭い治療係数を有するとして記載されている(非特許文献12;非特許文献13;非特許文献14)。したがって、同時に使用される他の薬物との薬物動態(PK)の相互作用の結果として、この濃度の任意の変化は、薬理学的応答における臨床的に重要な低下または望ましくない毒性効果の発生率の増大のいずれかをもたらし得る。
【0014】
テトラサイクリンのクラス(例えば、テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、デメクロサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、メタサイクリンおよびドキシサイクリン)(広範に使用される抗生物質のクラス)は、ワルファリンのみの投与と比べて、ワルファリンナトリウム(「ワルファリン」)との有害な相互作用(一般的に、国際標準比(INR)の増大を引き起こす)を有することが知られている。(非特許文献15;非特許文献16;非特許文献17)。
【0015】
例えば、ミノサイクリン(チゲサイクリンはこのアナログである)は、ワルファリンと、実証された不適合性を有する。(非特許文献18;非特許文献19;非特許文献20;非特許文献21;非特許文献22;非特許文献23;非特許文献24)。
【特許文献1】米国特許第5,529,990号明細書
【非特許文献1】Eliopoulos,G.M.ら、Antimicrob Agents Chemother(1994)38:534〜41
【非特許文献2】Fraise,A.P.ら、Journal of Antimicrobial Chemotherapy.(1995)35:877〜81
【非特許文献3】Garrison,M.W.ら、Clinical Therapeutics(2005)27:12〜22
【非特許文献4】Goldstein,F.W.ら、Antimicrobial Agents & Chemotherapy.(1994)38:2218〜20
【非特許文献5】Postier,R.G.ら、Clin Ther(2004)26:704〜714
【非特許文献6】Weiss,W.J.ら、Journal of Antimicrobial Chemotherapy.(1995)36:225〜30
【非特許文献7】Hirata,T.ら、Antimicrob Agents Chemother.(2004)48:2179〜84
【非特許文献8】Orth,P.ら、Journal of Molecular Biology(1999)285:455〜61
【非特許文献9】Projan,S.J. Pharmacotherapy(2000)20:219S−223S;考察 224S−228S
【非特許文献10】Schnappinger,D.およびW.Hillen. Archives of Microbiology(1996)165:359〜69
【非特許文献11】Someya,Y.ら、Antimicrob Agents Chemother.(1995)39:247〜249
【非特許文献12】Ansell,J.およびD.Bergqvist. Drugs.(2004)64 補遺1:1−5
【非特許文献13】Glasheen,J.J. Southern Medical Journal(2005)98:96−103
【非特許文献14】Wittkowsky,A.K. American Journal of Managed Care(2004)10:S297−306;考察S312−7
【非特許文献15】World Health Organization Technical Report Series.(1983)687:1−184
【非特許文献16】Loeliger,E.A.ら、Thrombosis & Haemostasis(1985)53:148−54
【非特許文献17】Poller,L. Journal of Thrombosis & Haemostasis(2004)2:849−60
【非特許文献18】Caraco,Y.およびA.Rubinow. Annals of Pharmacotherapy(1992)26:1084−6
【非特許文献19】Ceccaldi,B.ら、Presse Medicale(1998)27:571
【非特許文献20】Ciancio,S.G.ら、Journal of Periodontology(1980)51:530−4
【非特許文献21】Baciewicz,A.M.およびB.S.Bal. Archives of Internal Medicine.(2001)161:1231
【非特許文献22】Danos,E.A. Clinical Pharmacy(1992)11:806−8
【非特許文献23】Raasch,R.H. Geriatrics(1987)42:69−74
【非特許文献24】Westfall,L.K.ら、American Journal of Hospital Pharmacy(1980)37:1620
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0016】
しかしながら、驚くべきことに、本明細書において、チゲサイクリンがワルファリンと投与され得ることが見出された。さらに、例えば、チゲサイクリンは、ワルファリン用量を調整することなく、ワルファリンと投与され得る。
【0017】
少なくとも1つのグリシルサイクリン(例えば、チゲサイクリン)およびワルファリンを含む組成物が開示される。別の実施形態は、少なくとも1つのグリシルサイクリンおよびワルファリンの投与を含む併用治療である。別の実施形態は、少なくとも1つのグリシルサイクリンおよびワルファリンおよび少なくとも1つの薬学的に受容可能な賦形剤を含む薬学的組成物である。一実施形態において、本明細書で使用されるチゲサイクリンは、他のグリシルサイクリンと置き換えられ得るか、または組み合され得る。また、少なくとも1つのグリシルサイクリンおよびワルファリンを使用する方法が開示される。
【0018】
本開示の別の実施形態は、少なくとも2つの別個の区画を備える医療装置であり、第一の区画は少なくとも1つのグリシルサイクリンを含み、そして第二の区画はワルファリンを含み、ここで、この第一の区画と第二の区画とが回路(line)によって結合される。例えば、この第一の区画と第二の区画とが同一の投与の組に結合され得、第一の区画と第二の区画との内容物が投与前に混合され得る。さらに、例えば、この投与の組は、Y部位を含み得、ここで第一の区画と第二の区画との内容物が投与前に混合される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(定義)
本明細書および特許請求の範囲(以下の詳細な説明を含む)を通して、以下の定義を適用する。
【0020】
本明細書および添付の特許請求の範囲に使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、その内容が明確に他を指示しない限り、複数の指示を含むことに留意しなければならない。したがって、例えば、「1つの化合物」を含む組成物への言及は、2つ以上の化合物の混合物を含む。また、用語「or」は、その内容が明確に他を指示しない限り、一般的に「and/or」を含むその意味で使用されることに留意しなければならない。
【0021】
本明細書で使用される「グリシルサイクリン」とは、任意のテトラサイクリンの任意のグリシル誘導体をいい、任意の塩形態(例えば、任意の薬学的に受容可能な塩、エナンチオマーおよび立体異性体)を含む。Sum P.E.ら、J Med Chem 1993;37:184−188を参照のこと。本明細書で使用されるグリシルサイクリンは、当該分野で公知の方法にしたがって処方され得る。
【0022】
本明細書で使用される「チゲサイクリン」は、遊離の塩基形態および塩形態(例えば、任意の薬学的に受容可能な塩、エナンチオマーおよび立体異性体)でのチゲサイクリンを含む。本明細書で使用されるチゲサイクリンは、当該分野で公知の方法にしたがって処方され得る。非限定的な例として、チゲサイクリンは、必要に応じて1つ以上の薬学的に受容可能な賦形剤と組み合わされ得、そして錠剤、カプセル、分散性の粉末、顆粒、または、例えば、約0.05%〜5%の懸濁剤を含む懸濁物、例えば、約10%〜50%の糖を含むシロップ、および、例えば、約20%〜50%のエタノールを含むエリキシル剤などのような形態で経口投与され得るか、あるいは、等張性媒体中に約0.05%〜5%の懸濁剤を含む無菌の注射可能な溶液もしくは懸濁物の形態で非経口投与され得る。このような薬学的調製物は、例えば、キャリアと組み合わせて、約25%〜約90%の活性成分を含み得、より通常には、約5重量%および60重量%の間の活性成分を含み得る。他の処方物は、米国特許第5,494,903号および同第5,529,990号(これらは、参考として援用される)で検討される。
【0023】
本明細書で使用される「ワルファリン」としては、薬学的に受容可能な塩(例えば、ナトリウム塩)ならびに全てのエナンチオマーおよび立体異性体を含む、ワルファリンおよびその誘導体が挙げられる。ワルファリンは、また当該分野で公知の方法にしたがって処方され得る。
【0024】
本明細書で使用される「薬学的組成物」とは、薬用組成物をいう。
【0025】
本明細書で使用される「薬学的に受容可能な賦形剤」とは、本明細書で提供される化合物の投与に適する薬学的キャリアまたはビヒクルをいい、これとしては、投与の特定の様式に適するような、当業者に公知の任意のキャリアが挙げられる。例えば、非経口適用、皮内適用、皮下適用または局所適用に使用される溶液または懸濁物は、無菌の希釈剤(例えば、注射用水、生理食塩溶液および不揮発性油など);天然に存在する植物油(例えば、ゴマ油、ココナッツ油、ピーナッツ油および綿実油など);合成脂肪性ビヒクル(例えば、オレイン酸エチル、ポリエチレングリコール、グリセリンおよびプロピレングリコールなど、他の合成溶媒を含む);抗菌剤(例えば、ベンジルアルコールおよびメチルパラベンなど);抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸および亜硫酸水素ナトリウムなど);キレート化剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)など);緩衝剤(例えば、酢酸塩、クエン酸塩およびリン酸塩など);および/または、張性を調整するための薬剤(例えば、塩化ナトリウムおよびデキストロースなど);あるいはこれらの混合物を含み得る。さらなる例として、静脈内に投与される場合、適切なキャリアは、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、および増粘剤および可溶化剤(例えば、グルコース、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールなど)を含む溶液、ならびにこれらの混合物を含む。
【0026】
本明細書で使用される「投与の組」とは、静脈に挿入された針またはカテーテルを介して、容器からの流体を患者の血管系に投与するために使用されるデバイスをいう。このデバイスとしては、例えば、針またはカテーテル、管(tubing)、流量調整器(flow regulator)、点滴チャンバー(drip chamber)、直列フィルター(in−line filter)、IVの組の栓(IV set stopcock)、流体送達管、注入ポンプ、この組の一部の間のコネクター、注射部位として働くキャップを有するY部位または側管、IVバッグまたは他の注入流体容器へ管を貫通および結合させる中空のスパイク(spike)が挙げられ得る。
【0027】
本明細書で使用される「共投与」とは、薬物Bと同時、薬物Bの投与の前または薬物Bの投与の後の薬物Aの投与をいう。一実施形態において、この投与は、直前または直後である。本発明の一実施形態において、薬物Aはチゲサイクリンであり、薬物Bはワルファリンである。
【0028】
本明細書で使用される「併用治療」としては、薬物Aおよび薬物Bの共投与を使用する治療をいう。本発明の一実施形態において、薬物Aはチゲサイクリンであり、薬物Bはワルファリンである。
【0029】
本明細書で使用される「投与」とは、経口的にか、非経口的(静脈内注射(IV)、筋肉内注射(IM)、デポー(depo)−IM、皮下注射(SCまたはSQ)、またはデポー−SQによって)にか、舌下にか、鼻内(吸入)にか、髄腔内にか、局所にか、または直腸に組成物を提供することをいう。
【0030】
本明細書で使用される「治療有効量」とは、本発明に記載の組成物の投与によって処置可能な状態を処置または防止するために、宿主に投与される治療薬剤の量をいう。この量は、処置されている疾患の少なくとも1つの症状を低減または減少させるためにか、あるいは疾患の1つ以上の臨床マーカーまたは症状の発症を低下または遅延させるために十分な量である。
【0031】
用語「薬学的に受容可能な塩」および「その塩」とは、本開示の化合物の酸付加塩または塩基付加塩をいう。薬学的に受容可能な塩は、親化合物の活性を保持し、かつ投与される被験体および投与される状況にあらゆる有害または望ましくない影響も与えない任意の塩である。薬学的に受容可能な塩は、無機酸および有機酸の両方の塩を含む。薬学的に受容可能な塩としては、酢酸塩、アスパラギン酸塩、アクセチル(axetil)、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸(bisulfuric)塩、重酒石酸(bitartaric)塩、酪酸、エデト酸カルシウム、カムシル酸(camsylic)塩、カルボン酸塩、クロロ安息香酸塩、シレキセチル(cilexetil)、クエン酸塩、エデト酸塩、エデシル酸(edisylic)塩、エストリン(estolic)酸塩、エシル酸(esyl)塩、エシリル酸(esylic)塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸(gluceptic)塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコールイルアルサニン酸(glycolylarsanilic)塩、ヘキサミン酸(hexamic)塩、ヘキシルレソルシノン酸(hexylresorcinoic)塩、ヒドラバミン酸(hydrabamic)塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、ヒドロキシナフトエ酸(ヒドロキシnaphthoic)塩、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、粘液酸(mucic)塩、ムコン酸塩、ナプシル(napsylic)酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、p−ニトロメタンスルホン酸塩、パモ酸塩、パントテン酸塩、リン酸、1水素リン酸塩、2水素リン酸塩、フタル酸塩、ポリガラクツロ酸塩、プロピオン酸、サリチル酸、ステアリン酸塩、コハク酸塩、スルファミン酸、スルファニル酸、スルホン酸塩、硫酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクリン酸(teoclic)塩、トルエンスルホン酸塩などのような酸塩が挙げられる。他の受容可能な塩は、例えば、Stahlら、Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use,Wiley−VCH;第1版(June 15,2002)に見出され得る。
【0032】
本明細書で使用される「単位投薬形態」とは、単一の投薬量として適切な、物理的に分離した単位をいい、各々の単位は、所望の治療効果を生成するように計算された、活性材料の所定量を含む。
【0033】
本明細書で使用される「製品」、「医療装置」および「医療製品」とは、例えば、チゲサイクリンおよびワルファリンを使用する予防または処置に有用な材料(例えば、ラベル付きもしくはラベル無しの区画、容器(container)、または容器(vessel))をいう。ラベルは、種々の方法で製品に付随され得る。この方法としては、例えば、ラベルは、区画上にあり得るか、またはラベルは、包装挿入物として区画内にあり得る。適切な区画としては、例えば、ブリスターパック、瓶、バッグ、バイアル、シリンジおよび試験管などが挙げられる。この区画は、種々の材料(例えば、ガラス、金属、プラスティック、ゴムおよび紙など)から形成され得る。製品は、バルク量またはそれ以下のチゲサイクリンを含み得る。区画上のラベルまたは区画に付随するラベルは、チゲサイクリンの使用についての説明、投薬量についての説明、およびワルファリンとの適合性を含む投与方法についての説明を提供し得る。この製品は、さらに複数の区画を含み得、本明細書においてキットとも呼ばれ得る。これは、さらに、商用および使用者の観点から望ましい他の材料(他の緩衝剤、希釈剤、フィルター、針、シリンジおよび/または使用についての説明を含む包装挿入物が挙げられる)を含み得る。
【0034】
(発明の詳細な説明)
チゲサイクリンは、合併型腹腔内感染症(cIAI)、合併性の皮膚および皮膚構造の感染症(cSSSI)、市中肺炎(CAP)および院内感染性肺炎(HAP)の適応症(これらは、グラム陰性病原体およびグラム陽性病原体、嫌気性菌、ならびに黄色ブドウ球菌のメチシリン感受性株およびメチシリン耐性株(MSSAおよびMRSA)の両方によって引き起こされ得る)のような多くの細菌感染症の処置に使用され得る抗生物質である。さらに、チゲサイクリンは、TetM耐性決定因子およびTetK耐性決定因子を有する細菌によって引き起こされる温血動物の細菌感染症を処置または管理するために使用され得る。また、チゲサイクリンは、骨および関節の感染症、カテーテル関連菌血症、好中球減少症、産婦人科の感染症を処置するためにか、あるいは他の耐性病原体(例えば、VRE、ESBL、腸の、迅速に増殖するマイコバクテリアなど)を処置するために使用され得る。
【0035】
他のグリシルサイクリン抗生物質は、本開示の実施において、チゲサイクリンの代わりにか、またはチゲサイクリンと組み合わせて使用され得る。他のグリシルサイクリンの非限定的な例としては、(9−(N,N−ジメチルグリシルアミド)−6−デメチル−6−デオキシテトラサイクリン)、(9−(N,N−ジメチルグリシルアミド)−ミノサイクリン)、および米国特許第5,494,903号(これは、参考として本明細書に援用される)に含まれる化合物が挙げられる。
【0036】
チゲサイクリンは、しばしば、他の希釈剤および薬物と同時に投与される。したがって、一実施形態において、チゲサイクリンは、他の薬物が共に与えられる場合に、この薬物の用量および投与と相互作用すべきでもなく、これらに有害に影響すべきでもない。
【0037】
チゲサイクリンがワルファリンとともに投与され得、例えば、ワルファリン用量を調整することなくワルファリンと投与され得ることが発見された。特に、チゲサイクリンの治療レジメンによるワルファリンの投与が、R−ワルファリンおよびS−ワルファリンの曝露(AUC)をそれぞれ68%および29%上昇させるが、このAUCの上昇は、ワルファリンの抗血液凝固薬プロフィール(INRによって測定される)を有意に変更しないことが発見された。健常な被験体において、50mgのIVチゲサイクリンと単回の25mg経口用量のワルファリンとの組み合わせた複数回用量の投与後の安全性に関する懸念は確認されない。したがって、チゲサイクリンがワルファリンとともに投与される場合に、投薬量の調整がないことが保証される。
【0038】
式:
【0039】
【化11】

の化合物およびその薬学的に受容可能な塩または米国特許第5,494,903号(これは、参考として本明細書に援用される)に含まれる化合物から選択される、少なくとも1つのグリシルサイクリンならびに少なくとも1つのワルファリンを含む組成物が開示され、ここで、
Xは、アミノ、NRまたはハロゲンから選択され、このハロゲンは、臭素、塩素、フッ素またはヨウ素から選択され;Rは、水素、メチル、エチル、n−プロピル、1−メチルエチル、n−ブチルおよび1−メチルプロピルから選択され;Rは、メチル、エチル、n−プロピル、1−メチルエチル、n−ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピルおよび1,1−ジメチルエチルから選択され、
XがNRであり、かつRが水素である場合、
は、メチル、エチル、n−プロピル、1−メチルエチル、n−ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピルまたは1,1−ジメチルエチルであり、
がメチルまたはエチルである場合、
は、メチル、エチル、n−プロピル、1−メチルエチル、n−ブチル、1−メチルプロピルまたは2−メチルプロピルであり、
がn−プロピルである場合、
は、n−プロピル、1−メチルエチル、n−ブチル、1−メチルプロピルまたは2−メチルプロピルであり
が1−メチルエチルである場合、
は、n−ブチル、1−メチルプロピルまたは2−メチルプロピルであり、
がn−ブチルである場合、
は、n−ブチル、1−メチルプロピルまたは2−メチルプロピルであり、
が1−メチルプロピルである場合、
は、2−メチルプロピルであり;
Rは、R(CHCO−またはR4’(CHSO2−から選択され;そしてnは0から4であり;
RがR(CHCO−かつnが0である場合、
は、アミノ;直鎖もしくは分枝(C−C)アルキルアミノ、シクロプロピルアミノ、シクロブチルアミノ、ベンジルアミノまたはフェニルアミノから選択される一置換アミノ;ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、エチル(1−メチルエチル)アミノ、モノメチルベンジルアミノ、ピペリジニル、モルホリニル、1−イミダゾリル、1−ピロリル、1−(1,2,3−トリアゾリル)または4−(1,2,4−トリアゾリル)から選択される二置換アミノ;シアノ、アミノまたは(C−C)アシルから選択される置換を有する置換(C−C)シクロアルキル基;ハロ、(C−C)アルコキシ、トリハロ(C−C)−アルキル、ニトロ、アミノ、シアノ、(C−C)アルコキシカルボニル(C−C)アルキルアミノまたはカルボキシから選択される置換を有する置換(C−C10)アリール基;アミノメチル、.−アミノエチル、.−アミノプロピルまたは.−アミノ−ブチルから選択される.−アミノ−(C−C)アルキル;アミノ酢酸、.−アミノ酪酸または.−アミノプロピオン酸から選択されるカルボキシ(C−C)−アルキルアミノ、およびその光学異性体;(C−C)アラルキルアミノ;(C−C)アルコキシカルボニルアミノ置換(C−C)アルキル基;
ヒドロキシメチル、.−ヒドロキシエチルまたは.−ヒドロキシ−1−メチルエチルまたは.−ヒドロキシプロピルから選択される、.−ヒドロキシ(C−C)アルキル、;メルカプトメチル、.−メルカプトエチル、.−メルカプト−1−メチルエチルまたは.−メルカプトプロピルから選択される、.−メルカプト(C−C)アルキル;ハロ−(C−C)アルキル基;からなる群より選択される複素環、1つのN、O、SまたはSeヘテロ原子を含み、必要に応じて縮合されたベンゾ環またはピリド環を有する5員の芳香族環または飽和環、2つのN、O、SまたはSeヘテロ原子を含み、必要に応じて縮合されたベンゾ環またはピリド環を有する5員の芳香族環、1〜3つのN、O、SまたはSeヘテロ原子を含む6員の芳香族環、または1〜2つのN、O、SまたはSeヘテロ原子および隣接して付加されるOヘテロ原子を含む6員の飽和環;アセチル、プロピオニル、クロロアセチル、トリフルオロアセチルから選択されるアシルまたはハロアシル基;ベンゾイルまたはナフトイルから選択される(C−C)シクロアルキルカルボニル(cycloalcylcarbonyl)、(C−C10)アロイル;ハロ置換(C−C10)アロイル;(C−C)アルキルベンゾイルまたは(複素環)−カルボニル(この複素環は、上記に定義される);
メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、直鎖もしくは分枝プロポキシルカルボニル、直鎖もしくは分枝ブトキシカルボニルまたはアリルオキシカルボニルから選択される(C−C)アルコキシカルボニル;ハロゲン、ハロ(C−C)アルキルまたは、ハロ、(C−C)−アルコキシ、トリハロ(C−C)アルキル、ニトロ、アミノ、シアノ、(C−C)アルコキシカルボニル、(C−C)アルキルアミノもしくはカルボキシから選択される置換を有する置換(C−C10)アリール基から選択される置換を有する置換ビニル基;
(C−C)アルコキシ基;フェノキシ、または、ハロ、(C−C)アルキル、ニトロ、シアノ、チオール、アミノ、カルボキシ、ジ(C−C)アルキルアミノから選択される置換を有する置換フェノキシから選択されるC−アリールオキシ;(C−C10)アラルキルオキシ;ビニルオキシ基または、(C−C)アルキル、シアノ、カルボキシまたは.−ナフチルもしくは.−ナフチルから選択される(C−C10)アリールフェニルから選択される置換を有する置換ビニルオキシ基;Rアミノ(C−C)アルコキシ基(Rは、メチル、エチル、n−プロピル、1−メチルエチル、n−ブチル、1−メチルプロピルまたは2−メチルプロピルから選択される直鎖もしくは分枝(C−C)アルキルであるか、Rは、(CH2)m(ここで、mは2〜6である)もしくは(CHW(CH(ここで、Wは、−N(C−C)アルキル、O、S、−NH、−NOBから選択され、Bは、水素または(C−C)アルキルから選択される)である);またはRアミノキシ基(ここで、Rは、メチル、エチル、n−プロピル、1−メチルエチル、n−ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピルまたは1,1−ジメチルエチルから選択される直鎖もしくは分枝(C−C)アルキルであるか、あるいはRは、(CH2)m(ここで、mは2〜6である)もしくは−(CHW(CH(ここで、Wは、−N(C−C)アルキル、O、S、−NH、−NOBから選択され、Bは、水素または(C−C)アルキルから選択される)である)から選択され、
RがR(CHCO−であり、かつnが1〜4である場合、Rは、アミノ;
シアノ、アミノまたは(C−C)アシルから選択される置換を有する置換(C−C)シクロアルキル基、;ハロ、(C−C)−アルコキシ、トリハロ(C−C)アルキル、ニトロ、アミノ、シアノ、(C−C)アルコキシカルボニル、(C−C)アルキルアミノまたはカルボキシから選択される置換を有する置換(C−C10)−アリール基;アセチル、プロピオニル、クロロアセチル、トリクロロセチル、(C−C)シクロアルキルカルボニル、ベンゾイルもしくはナフトイルから選択される(C−C10)アロイル、ハロ置換(C−C10)アロイル、(C−C)アルキルベンゾイルまたは(複素環)−カルボニル(この複素環は、上記で定義される)から選択される、アシルオキシ基もしくはハロアシルオキシ基;
(C−C)アルコキシ;フェノキシまたは、ハロ、(C−C)−アルキル、ニトロ、シアノ、チオール、アミノ、カルボキシ、ジ(C−C)−アルキルアミノから選択される置換を有する置換フェノキシから選択されるC−アリールオキシ;(C−C10)アラルキルオキシ;メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオまたはアリルチオから選択される(C−C)アルキルチオ基;フェニルチオまたは、ハロ、(C−C)アルキル、ニトロ、シアノ、チオール、アミノ、カルボキシ、ジ(C−C)アルキルアミノから選択される置換を有する置換フェニルチオから選択される、C−アリールチオ基;フェニルスルホニルまたは、ハロ、(C−C)アルコキシ、トリハロ(C−C)アルキル、ニトロ、アミノ、シアノ、(C−C)アルコキシカルボニル、(C−C)アルキルアミノもしくはカルボキシから選択される置換を有する置換フェニルスルホニルから選択されるC−アリールスルホニル基;(C7−C8)アラルキルチオ基;上記で定義された複素環;ヒドロキシ;メルカプト;メチル、エチル、n−プロピル、1−メチルエチル、n−ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、2−メチルブチル、1,1−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、3−メチルブチル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、2−メチルペンチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチルまたは1−メチル−1−エチルプロピルから選択されるアルキルを有するモノもしくはジ−直鎖もしくは分枝鎖(C−C)−アルキルアミノ;(C−C)アザシクロアルキル基;アミノ酢酸、.−アミノプロピオン酸、.−アミノ酪酸およびこれらの光学異性体から選択されるカルボキシアルキルを有するカルボキシ(C−C)アルキルアミノ基;ヒドロキシメチル、.−ヒドロキシエチル、または.−ヒドロキシ−1−メチルエチル、または.−ヒドロキシプロピルから選択される.−ヒドロキシ(C−C)アルキル;ハロ(C−C)アルキル基;アセチル、プロピオニル、クロロアセチル、トリフルオロアセチルから選択されるアシルもしくはハロアシル;(C−C)シクロアルキルカルボニル;ベンゾイルまたはナフトイルから選択される(C−C10)アロイル;ハロ置換(C−C10)アロイル;(C−C)アルキルベンゾイル、または(複素環)カルボニル(この複素環は、上記で定義される);
tert−ブトキシカルボニルアミノ、アリルオキシカルボニルアミノ、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノまたはプロポキシカルボニルアミノから選択される(C−C)アルコキシカルボニルアミノ基;メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、直鎖もしくは分枝プロポキシカルボニル、アリルオキシカルボニルまたは直鎖もしくは分枝ブトキシカルボニルから選択される(C−C)アルコキシカルボニル基;
アミノ(C−C)アルコキシ基(Rは、メチル、エチル、n−プロピル、1−メチルエチル、n−ブチル、1−メチルプロピルまたは2−メチルプロピルから選択される直鎖もしくは分枝(C−C)アルキルであるか、Rは、(CH2)(ここで、mは2〜6である)もしくは−(CHW(CH(ここで、Wは、−N(C−C)アルキル、O、S、−NH、−NOBから選択され、Bは、水素または(C−C)アルキルから選択される)である);またはRアミノキシ基(ここで、Rは、メチル、エチル、n−プロピル、1−メチルエチル、n−ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピルまたは1,1−ジメチルエチルから選択される直鎖もしくは分枝(C−C)アルキルであるか、あるいはRは、(CH2)(ここで、mは2〜6である)もしくは−(CHW(CH(ここで、Wは、−N(C−C)アルキル、O、S、−NH、−NOBから選択され、Bは、水素または(C−C)アルキルから選択される)である)から選択され、
RがR4’(CHSO−であり、かつnが0である場合、
4’は、アミノ;直鎖もしくは分枝(C−C)アルキルアミノ、シクロプロピルアミノ、シクロブチルアミノ、ベンジルアミノまたはフェニルアミノから選択される一置換アミノ;ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、エチル(1−メチルエチル)アミノ、モノメチルベンジルアミノ、ピペリジニル、モルホリニル、1−イミダゾリル(imidazoyl)、1−ピロリル、1−(1,2,3−トリアゾリル)または4−(1,2,4−トリアゾリル)から選択される二置換アミノ;シアノ、アミノまたは(C−C)アシルから選択される置換を有する、置換(C−C)シクロアルキル基;ハロ(C−C)アルキル基;上記で定義される複素環;
アミノ(C−C)アルコキシ基(Rは、メチル、エチル、n−プロピル、1−メチルエチル、n−ブチル、1−メチルプロピルまたは2−メチルプロピルから選択される直鎖もしくは分枝(C−C)アルキルであるか、Rは、(CH2)(ここで、mは2〜6である)もしくは−(CHW(CH(ここで、Wは、−N(C−C)アルキル、O、S、−NH、−NOBから選択され、Bは、水素または(C−C)アルキルから選択される)である);またはRアミノキシ基(ここで、Rは、メチル、エチル、n−プロピル、1−メチルエチル、n−ブチル、1−メチルプロピル、または2−メチルプロピルから選択される直鎖もしくは分枝(C−C)アルキルであるか、あるいはRは、(CH2)(ここで、mは2〜6である)もしくは−(CHW(CH(ここで、Wは、−N(C−C)アルキル、O、S、−NY、−NOBから選択され、Bは、水素または(C−C)アルキルから選択される)である)から選択され、
RがR4’(CHSO−であり、かつnが1〜4である場合、
4’は、C−C)カルボキシアルキル;シアノ、アミノまたは(C−C)−アシルから選択される置換を有する置換(C−C)シクロアルキル基;(C−C)アルコキシ;フェノキシまたは、ハロ、(C−C)アルキル、ニトロ、シアノ、チオール、アミノ、カルボキシ、ジ(C−C)アルキルアミノから選択される置換を有する置換フェノキシから選択される、C−アリールオキシ;(C−C10)アラルキルオキシ;Rアミノ(C−C)アルコキシ基(Rは、メチル、エチル、n−プロピル、1−メチルエチル、n−ブチル、1−メチルプロピルまたは2−メチルプロピルから選択される直鎖もしくは分枝(C−C)アルキルであるか、Rは、(CH2)(ここで、mは2〜6である)もしくは−(CHW(CH(ここで、Wは、−N(C−C)アルキル、O、S、−NY、−NOBから選択され、Bは、水素または(C−C)アルキルから選択される)である);またはRアミノキシ基(ここで、Rは、メチル、エチル、n−プロピル、1−メチルエチル、n−ブチル、1−メチルプロピル、または2−メチルプロピルから選択される直鎖もしくは分枝(C−C)アルキルであるか、あるいはRは、(CH2)(ここで、mは2〜6である)もしくは−(CHW(CH(ここで、Wは、−N(C−C)アルキル、O、S、−NH、−NOBから選択され、Bは、水素または(C−C)アルキルから選択される)である);メチルチオ、エチルチオまたはn−プロピルチオから選択される(C−C)アルキルチオ;フェニルチオまたは、ハロ、(C−C)アルキル、ニトロ、シアノ、チオール、アミノ、カルボキシ、ジ(C−C)アルキルアミノから選択される置換を有する置換フェニルチオから選択されるC−アリールチオ;(C−C)アラルキルチオ;上記で定義された複素環;ヒドロキシ;メルカプト;メチル、エチル、n−プロピル、1−メチルエチル、n−ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、2−メチルブチル、1,1−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、3−メチルブチル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、2−メチルペンチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチルまたは1−メチル−1−エチルプロピルから選択されるアルキルを有するモノもしくはジ−直鎖もしくは分枝(C−C)アルキルアミノ基;ハロ(C−C)アルキル;アセチル、プロピオニル、クロロアセチル、トリフルオロアセチルから選択されるアシルまたはハロアシル;(C−C)シクロアルキルカルボニル;ベンゾイルまたはナフトイルから選択される(C−C10)アロイル;ハロ置換(C−C10)アロイル、(C−C)アルキルベンゾイル、または(複素環)カルボニル(この複素環は、上記で定義される);メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、直鎖もしくは分枝プロポキシカルボニル、アリルオキシカルボニルまたは直鎖もしくは分枝ブトキシカルボニルから選択される(C−C)アルコキシカルボニルから選択され、
は、水素;メチル、エチル、n−プロピルまたは1−メチルエチルから選択される直鎖もしくは分枝(C−C)アルキル;フェニル、.−ナフチルまたは.−ナフチルから選択される(C−C10)アリール;(C−C)アラルキル基;上記で定義された複素環;または−(CHCOOR(ここで、nは0〜4であり、かつRは、水素;メチル、エチル、n−プロピルもしくは1−メチルエチルから選択される直鎖もしくは分枝(C−C)アルキル基;または、フェニル、.−ナフチルもしくは.−ナフチルから選択される(C−C10)アリール基から選択される)から選択され、
は、水素;メチル、エチル、n−プロピルもしくは1−メチルエチルから選択される直鎖もしくは分枝(C−C)アルキル基;フェニル、.−ナフチルもしくは.−ナフチルから選択される(C−C10)アリール基;(C−C)−アラルキル基;上記で定義された複素環;または−CH(COOR7’(ここで、nは0〜4であり、かつR7’は、水素;メチル、エチル、n−プロピルもしくは1−メチルエチルから選択される直鎖もしくは分枝(C−C)アルキル;または、フェニル、.−ナフチルもしくは.−ナフチルから選択される(C−C10)アリールから選択される)から選択されるが、ただし、RとRとが両方とも水素にはなり得ず、あるいは、RおよびRは一緒になって−(CHW(CH−であり、ここでWは、qは0〜1である(CH、−NH、−N(C−C)−アルキル、−N(C−C)アルコキシ、酸素、硫黄または(LまたはD)プロリン、エチル(LまたはD)プロリネート(prolinate)、モルホリン、ピロリジンもしくはピペリジンから選択される置換同類物から選択される。
【0040】
本開示の一実施形態において、上記の少なくとも1つのグリシルサイクリンはチゲサイクリンである。例えば、組成物は、式I
【0041】
【化12】

の化合物およびその薬学的に受容可能な塩から選択される少なくとも1つのグリシルサイクリン、ならびに少なくとも1つのワルファリンを含む。例えば、上記ワルファリンはワルファリンナトリウムであり得る。別の実施形態において、この組成物は、非経口投与、特に静脈内投与に適する。
【0042】
別の実施形態は、少なくとも1つのグリシルサイクリン、少なくとも1つのワルファリンおよび少なくとも1つの薬学的に受容可能な賦形剤を含む薬学的組成物である。例えば、このワルファリンはワルファリンナトリウムであり得る。別の実施形態において、この組成物は、非経口投与、特に静脈内投与に適する。
【0043】
別の実施形態は、連続的にか、または混合物としてのいずれかでの少なくとも1つのグリシルサイクリンおよび少なくとも1つのワルファリンの投与を含む併用治療である。例えば、このワルファリンはワルファリンナトリウムであり得る。さらなる例として、このワルファリン用量は、併用治療の前の用量と実質的に同じままであり得る。別の実施形態において、この併用治療は、非経口投与、特に静脈内投与に適する。さらなる例として、上記の少なくとも1つのグリシルサイクリンおよび少なくとも1つのワルファリンは実質的に同時に投与されるか、または少なくとも1つのワルファリンが投与される12時間(例えば、10時間、8時間、6時間、4時間または2時間のように)前および少なくとも1つのワルファリンが投与されてから12時間(例えば、10時間、8時間、6時間、4時間または2時間のように)後の間に投与される。例えば、ワルファリンは、チゲサイクリンと実質的に同時に投与され得、最初の投与から少なくとも1つの投薬間隔の間、その後、例えば、6時間、12時間、24時間または48時間の間隔で続いてチゲサイクリンが投与され得る。さらに、例えば、ワルファリンは、チゲサイクリンと実質的に同時に投与され得、最初の投与から4日間、その後、12時間の間隔で続いてチゲサイクリンが投与され得る。
【0044】
本開示の別の実施形態は、少なくとも2つの別個の区画を備える医療装置であり、ここで、第一の区画は少なくとも1つのグリシルサイクリンを含み、第二の区画は少なくとも1つのワルファリンを含み、そしてこの第一の区画と第二の区画とが一つの投与の組に結合される。例えば、この第一の区画と第二の区画とが同一の投与の組に結合され得、第一の区画の内容物と第二の区画の内容物とが投与の前に混合され得る。さらなる例として、この投与の組は、第一の区画の内容物と第二の区画の内容物とが投与前に混合されるY部位を含み得る。
【0045】
別の実施形態は、少なくとも1つのグリシルサイクリンと少なくとも1つのワルファリンとを投与するための方法であり、この方法は、投与を必要とする患者に治療有効量の少なくとも1つのグリシルサイクリンを投与する工程、および投与を必要とする患者に治療有効量の少なくとも1つのワルファリンを投与する工程を包含する。例えば、この方法および他の方法および開示された組成物は、ワルファリン用量を、少なくとも1つのグリシルサイクリンによる投与の前の用量と実質的に同じままにすることを可能にし得る。例えば、このワルファリンはワルファリンナトリウムであり得る。別の実施形態において、この組成物は、非経口投与、特に静脈内投与に適する。さらなる例として、この少なくとも1つのグリシルサイクリンおよび少なくとも1つのワルファリンは実質的に同時に投与されるか、または少なくとも1つのワルファリンが投与される12時間(例えば、10時間、8時間、6時間、4時間または2時間のような)前および少なくとも1つのワルファリンが投与されてから12時間(例えば、10時間、8時間、6時間、4時間または2時間のような)後の間に投与される。例えば、ワルファリンは、チゲサイクリンと実質的に同時に投与され得、最初の投与から少なくとも1つの投薬間隔の間、その後、例えば、6時間、12時間、24時間または48時間の間隔で続いてチゲサイクリンが投与され得る。さらに、例えば、ワルファリンは、チゲサイクリンと実質的に同時に投与され得、最初の投与から4日間、その後、12時間の間隔で続いてチゲサイクリンが投与され得る。
【0046】
さらなる実施形態は、抗生物質を投与する方法であり、この方法は、投与を必要とする患者に治療有効量の少なくとも1つのグリシルサイクリンを投与する工程、および投与を必要とする患者に治療有効量の少なくとも1つのワルファリンを投与する工程を包含する。さらなる例として、この少なくとも1つのグリシルサイクリンおよび少なくとも1つのワルファリンは実質的に同時に投与されるか、少なくとも1つのワルファリンが投与される12時間(例えば、10時間、8時間、6時間、4時間または2時間のように)前および少なくとも1つのワルファリンが投与されてから12時間(例えば、10時間、8時間、6時間、4時間または2時間のように)後の間に投与される。例えば、ワルファリンは、チゲサイクリンと実質的に同時に投与され得、最初の投与から少なくとも1つの投薬間隔の間、その後、例えば、6時間、12時間、24時間または48時間の間隔で続いてチゲサイクリンが投与され得る。さらに、例えば、ワルファリンは、チゲサイクリンと実質的に同時に投与され得、最初の投与から4日間、その後、12時間の間隔で続いてチゲサイクリンが投与され得る。
【0047】
別の実施形態は、グラム陰性病原体およびグラム陽性病原体、嫌気性菌、ならびに黄色ブドウ球菌のメチシリン感受性株およびメチシリン耐性株(MSSAおよびMRSA)の両方によって引き起こされる細菌感染症(例えば、合併型腹腔内感染症(cIAI)ならびに合併性の皮膚および皮膚構造の感染症(cSSSI))を処置する方法であり、この方法は、処置を必要とする患者に治療有効量の少なくとも1つのグリシルサイクリンを投与する工程、および処置を必要とする患者に治療有効量の少なくとも1つのワルファリンを投与する工程を包含する。さらなる例として、開示される方法において、この少なくとも1つのグリシルサイクリンおよび少なくとも1つのワルファリンは実質的に同時に投与されるか。または少なくとも1つのワルファリンが投与される12時間(例えば、10時間、8時間、6時間、4時間または2時間のように)前および少なくとも1つのワルファリンが投与されてから12時間(例えば、10時間、8時間、6時間、4時間または2時間のように)後の間に投与される。例えば、ワルファリンは、チゲサイクリンと実質的に同時に投与され得、最初の投与から少なくとも1つの投薬間隔の間、その後、例えば、6時間、12時間、24時間または48時間の間隔で続いてチゲサイクリンが投与され得る。さらに、例えば、ワルファリンは、チゲサイクリンと実質的に同時に投与され得、最初の投与から4日間、その後、12時間の間隔で続いてチゲサイクリンが投与され得る。
【0048】
別の実施形態は、ワルファリンを受容している患者に抗生物質を投与する方法であり、投与を必要とする患者に治療有効量の少なくとも1つのグリシルサイクリンを投与する工程を包含する。別の実施形態は、ワルファリンを受容している患者に少なくとも1つのグリシルサイクリンを投与する方法であり、投与を必要とする患者に治療有効量の少なくとも1つのグリシルサイクリンを投与する工程を包含する。
【0049】
別の実施形態は、細菌感染症の処置に少なくとも1つのグリシルサイクリン(本明細書に開示されるようなもの)を使用する方法であり、この方法は、患者に治療有効量の少なくとも1つのグリシルサイクリンに提供する工程、ならびに、患者および/または投与医療従事者に、ワルファリン用量が少なくとも1つのグリシルサイクリンによる投与の前の用量と実質的に同じままであり得ることを知らせる工程を包含する。
【0050】
別の実施形態は、少なくとも1つのグリシルサイクリンを含む組成物(例えば、薬学的組成物)または本明細書に開示される任意の組成物であり、少なくとも1つのグリシルサイクリン(例えば、チゲサイクリン)がワルファリンとともに投与され得るという情報とともにこの組成物を包装することを含む。例えば、包装物は、ワルファリン用量が、少なくとも1つのグリシルサイクリンによる投与の前の用量の実質的に同じままであり得ることを説明し得る。また、医療従事者または投与を必要とする患者にこのような組成物を供給する方法も開示される。
【0051】
別の実施形態は、印刷された表示容器または区画をさらに含む、本明細書に開示される方法または組成物であり、この表示は、少なくとも1つのグリシルサイクリン(例えば、チゲサイクリン)がワルファリンとともに投与され得ることを教示する(例えば、ワルファリン用量が少なくとも1つのグリシルサイクリンによる投与の前の用量と実質的に同じままであり得ることを教示する)。例えば、本明細書に開示される組成物または方法は、さらに、治療有効量の少なくとも1つのグリシルサイクリンがワルファリンとともに投与される場合に、ワルファリン用量が少なくとも1つのグリシルサイクリンによる投与の前の用量と実質的に同じままであり得るという情報を提供し得る。さらなる例として、本明細書に開示される組成物または方法は、さらに、治療有効量の少なくとも1つのグリシルサイクリンがワルファリンとともに投与される場合に、グリシルサイクリン用量が少なくとも1つのワルファリンによる投与の前の用量と実施的に同じままであり得るという情報を提供し得る。
【0052】
一実施形態は、組成物の包装およびこのような組成物を使用する方法であり、これは、少なくとも1つのグリシルサイクリンがワルファリンとともに投与され得るという情報を有する少なくとも1つのグリシルサイクリンを含み、例えば、ワルファリン用量が少なくとも1つのグリシルサイクリンによる投与の前の用量と実質的に同じままであり得る。
【0053】
別の実施形態において、少なくとも1つのグリシルサイクリンは、キットの形態で提供され得、このキットは、必要に応じて使用のために組み立てることができる構成部品を含む。例えば、凍結乾燥形態の少なくとも1つのグリシルサイクリンおよび適切な希釈剤は、使用前に組み合わすための別個の構成要素として提供され得る。キットは、複数の区画を備え得、各々の区画は少なくとも1つの単位用量の少なくとも1つのグリシルサイクリンを保持する。これらの区画は、好ましくは、所望の投与様式(例えば、経口投与のための丸剤、錠剤、カプセル、粉末、ゲルもしくはゲルカプセル、徐放性カプセルまたはエリキシル剤形態、および/またはこれらの組み合わせなど、非経口投与のための、デポー製品、事前に充填されたシリンジ、アンプルおよびバイアルなど、ならびに、局所投与のためのパッチ、医療用パッド(medipad)およびクリームなどが挙げられる)に適合される。
【0054】
例えば、キットは、(a)少なくとも1つのグリシルサイクリンの少なくとも1つの投薬形態;(b)少なくとも1つのグリシルサイクリンが保存される少なくとも1つの区画を含み得、そして、キットはまた(c)包装挿入物を含み得、この包装挿入物は、i)少なくとも1つのグリシルサイクリンの投薬形態の投薬量および曝露の持続時間についての情報を含み、および/またはii)少なくとも1つのグリシルサイクリンの投薬形態がワルファリンとともに投与され得、ここでワルファリン用量が少なくとも1つのグリシルサイクリンによる投与の前の用量と実質的に同じままであり得ることを提供する。
【0055】
別の実施形態において、製品は、印刷された説明表示ともに、少なくとも1つのグリシルサイクリンを保持する区画を含み得、この説明表示は、ワルファリンと、例えば、他のテトラサイクリンとは対照的に少なくとも1つのグリシルサイクリンとの適合性を示す検討を提供する。この説明表示は、例えば、先に記載した処置方法と一致し得る。この表示は、これら2つを物理的に近接させて保持する任意の手段によって区画に付随され得る。非限定的な例として、これらは、共に包装材料(例えば、箱またはプラスティック収縮ラップ)に含まれ得るか、または、例えば、説明表示をぼかさない接着剤または他の接着もしくは保持手段によって、説明が区画に接着され得ることによって付随され得る。
【0056】
例えば、製品は、(a)少なくとも1つのグリシルサイクリンの投薬形態、(b)包装挿入物または印刷された表示(これは、少なくとも1つのグリシルサイクリンの投薬形態がワルファリンと共投与され得、ワルファリン用量が少なくとも1つのグリシルサイクリンによる投与の前の用量と実質的に同じままであり得ることを提供する);ならびに(c)少なくとも1つのグリシルサイクリンが保存される少なくとも1つの区画を含み得る。
【0057】
非限定的な例として、体重1kgあたり0.5mg〜100.0mg、例えば、体重1kgあたり0.5〜15mg、さらなる例として、体重1kgあたり0.5〜1mgの範囲に及ぶ有効量のチゲサイクリンは、一日あたり、1回〜5回投与され得る。例えば、チゲサイクリンは、100mgの負荷用量で投与され得、30−60分間の期間にわたる注入による50mgの両方の続いての投与が患者に実施される。先の例において、100mgの負荷用量は、再構成されたチゲサイクリンのバイアル2つを100mLのノーマルセーラインまたは水中のデキストロース5%(「D5W」)の静脈内用区画へ添加すること(1mg/mLの最終濃度をもたらす)によって調製され得るが、50mgの続いての用量は、再構成されたチゲサイクリンのバイアル1つを100mLのノーマルセーラインまたはD5Wの静脈内用区画(0.5mg/mLの最終濃度をもたらす)へ添加することによって調製され得る。しかしながら、任意の特定の患者に対する具体的な用量レベルおよび投薬頻度が変動され得、年齢、体重、全体的な健康、性別、食事および処置されている状態の重症度などを含む種々の要因に依存することが理解される。
【0058】
チゲサイクリンの再構成は、例えば、製造者または頒布者によって含まれる説明にしたがってか、または通常の医療手順を使用して当業者によって理解され、製造者によって供給される凍結乾燥チゲサイクリン遊離塩基を再構成および投与するために、再構成は、チゲサイクリン製品ラベルにおいて、無菌の受容可能な再構成媒体および本明細書に記載される無菌の投与区画のみを使用することを包含する。
【0059】
ワルファリンの投薬量および投与は、PT/INRによって測定される薬物に対する患者の応答に関する。プロトロンビン時間(PT)は、ビタミンK依存性凝固因VII、XおよびIIの減衰を反映し、そして抗凝固の程度を表す。経口抗血液凝固薬の制御(control)におけるPTを標準化するシステムが、1983年に世界保健機関によって導入された。World Health Organization Technical Report Series.1983,687:1−184。
【0060】
これは、PT結果の連絡についての共通の基礎および治療域の解釈を提供する国際標準比(INR)の測定に基づく。報告についてのINRシステムは、試験調製物のPT比と標準品(reference preparation)のPT比との間の対数の関係に基づく。INRは、国際標準品(International Reference Preparation)(IRP)(1.0のISIを有する)を使用して試験を実行する場合に、取得され得るPT比である。経口抗血液凝固薬についての初期の臨床研究(正常なコントロールの平均PTの1.5〜2.5倍の推奨される治療域についての基礎を形成した)は、感受性のヒト脳トロンボプラスチンを使用した。INRは、INR=(観察されたPT比)ISIとして計算され得、ここで、ISI(国際感度指数)は、この式における補正因数(correction factor)であり、この式は、標準品に対する局所の試薬(local reagent)のPT比に関し、ビタミンK依存性凝固因子の低減への所定のトロンボプラスチンの感度の尺度である。ISIが低ければ低いほど、試薬はより「感受性」になり、得られたINRは、より観察されたPT比に近くなる。最も一般的なAmerican College of Chest Physicians(ACCP)が報告したINRは、2.0〜3.0である。Geerts,W.H.ら、2004. Chest 126:338S−400S;Monagle,P.ら、2004.Chest 126:645S−687S;Rockson,S.G.,およびG.W.Albers.2004. Journal of the American College of Cardiology 43:929−35;Yim,J.M.ら、1996.Annals of Pharmacotherapy 30:1390−5。
【0061】
実施例以外に、および他で示される場合に、本明細書および特許請求の範囲で使用される全ての数字は、全ての場合において用語「約」によって修飾されるように理解されるべきである。したがって、反対のことを示さない限り、本明細書および添付の特許請求の範囲に示される数字のパラメーターは、本開示によって得ることを試みられる所望の特性にしたがって変動し得る近似値である。少なくとも、特許請求の範囲への等価物の理論の適用を制限しようとする試みとしてではなく、各々の数字のパラメーターは、有効数字の数および通常の丸めのアプローチを鑑みて、解釈されるべきである。
【0062】
本開示の広い範囲を示す数字の範囲およびパラメーターは近似値であるが、具体的な実施例に示される数値は可能な限り正確に報告される。しかしながら、任意の数値は、それらの各々の試験測定に見られる標準偏差に必然的に起因する、ある程度の誤差を本質的に含む。
【0063】
以下の実施例は、非限定的な様式で本発明を説明するように意図される。
【実施例】
【0064】
(実施例1:チゲサイクリンとワルファリンとの間の可能性のある薬物相互作用の薬物動態研究)
これは、単一の研究場で、健常な被験体を使用して実行した、非盲検の、無作為化されていない、入院患者/外来患者での2つの期間、2つの処置の研究である。
【0065】
(用量および投与)
注射用無菌チゲサイクリン粉末は、5mLフリントガラスバイアル(各々、50mgのチゲサイクリンと等価な凍結乾燥した遊離塩基を含み、添加剤も保存剤も含まない)で供給される。バイアルの内容物を、無菌のノーマルセーライン(0.9% NaCl Injection、USP)で再構成する。ワルファリンナトリウムは、Coumadin(登録商標)10mgおよび5mg錠剤として供給される。
【0066】
全被験体は、期間1の研究第1日に25mgの経口用量のワルファリンを受容した。研究第8日に、被験体を研究場から開放し、5日間の洗い流し(washout)休止期間(この間、試験物質を与えない)を開始する。期間2の研究第1日〜第8日に、被験体は100mgの負荷用量のチゲサイクリンを受容し、次に50mgのIVチゲサイクリンの投与を15回受容した(12時間ごとに1回の投与)。全てのチゲサイクリン注入を、注入ポンプを介して200mL/hで30分間かけて100mLのノーマルセーラインの用量で投与される。期間2の研究第5日に、チゲサイクリンの投与の直前に、被験体は、25mgの経口用量のワルファリンを受容する。全ての被験体は、試験物質の投与の約1時間前に中程度の脂肪食(medium−fat meal)を消費する。
【0067】
(薬物動態的方法、薬力学的方法および統計学的方法)
チゲサイクリン血清濃度の決定のために、血液サンプルを、チゲサイクリン注入前の期間2の第1日、ならびに、第4日および第5日の、チゲサイクリン注入開始から時間0(投与前)、0.5(注入終了)、1、1.5、2、3、4、6、8、および12時間後に集める。さらに、R−ワルファリンおよびS−ワルファリン血漿濃度の決定ならびにプロトロンビン時間(PT)および国際標準比(INR)の決定のために、血液サンプルを、期間1の第1日および期間2の第5日、ワルファリンの投与から時間0(投与前)、0.5、1、2、3、4、6、8、12、24、36、48、72、96、120、144、および168時間後に集める。標準非区画PK方法(standard noncompartmental PK method)を使用して、チゲサイクリン血清濃度データならびにR−ワルファリンおよびS−ワルファリン血漿濃度データを分析する。2因数の分散分析(ANOVA)を使用して、単剤治療(monotherapy)と併用治療との間で、チゲサイクリン血清濃度、R−ワルファリンおよびS−ワルファリンの血漿濃度ならびにPKパラメーターを比較し、2因数の共分散分析(ANCOVA)を使用して、ワルファリン単剤治療と併用治療との間でPTおよびINRを比較する。
【0068】
(血液サンプル収集および加工)
血清中のワルファリン濃度の決定のために、期間1の研究第1日〜第8日および期間2の研究第5日〜第12日の、以下の時間に静脈の血液サンプル(3mL)を収集する:ワルファリンナトリウム用量投与前の2時間以内、ならびにワルファリンナトリウム用量投与後、0.5時間、1時間、2時間、3時間、4時間、6時間、8時間、12時間、24時間、36時間、48時間、72時間、96時間、120時間、144時間、および168時間。血清中のチゲサイクリンPK測定のために、静脈の血液サンプル(7mL)を、研究の期間2の間の以下の時間に収集する:研究第1日(投与前−チゲサイクリン投与の2時間前に収集する)、12時間(チゲサイクリンの夕方の投与前)、ならびに、研究第4日および第5日のチゲサイクリンの朝の投与の直前、ならびに午前8時の投与から0.5時間後、1時間後、1.5時間後、2時間後、3時間後、4時間後、6時間後、8時間後、および12時間後。
【0069】
チゲサイクリン血液サンプルを、留置カテーテルからか、または静脈直接穿刺によって収集する。カテーテルを血液収集に使用する場合に、抗血液凝固薬を何ら含まないチューブによってサンプルを収集する前に、約0.5mLの血液を捨てるべきである。各々被験体から収集される血液の総量は、約640mLである。ワルファリン分析のための血液を収集チューブ中のワルファリンと穏やかに混合し、このチューブを、直ぐに氷上に置く。このチューブを、およそ1000gで約10分間遠心分離して、15分以内に収集する。次に、分離した血漿を、水密性のラベルされたポリプロピレンチューブに移し、搬送されるまで−70℃以下、垂直位置で凍結させて保存する。
【0070】
チゲサイクリン分析のための血液チューブを、直ぐに、血餅が形成されるまで氷上に置く。このチューブを、冷却遠心分離機で、およそ1000gで約10分間遠心分離する。血清を集め、ラベルされたポリプロピレンチューブに移し、搬送されるまで−70℃以下、垂直位置で凍結させて保存する。
【0071】
(サンプルの分析)
血清中のチゲサイクリンの濃度を、タンデム型質量分析機検出を備える高感度および特別な液体クロマトグラフィー方法(LC/MS/MS)によって決定し、血漿中のR(+)−ワルファリンおよびS(−)−ワルファリンの濃度を、別のLC/MS/MS手順によって決定する。この研究からの血清サンプルおよび血漿サンプルの分析の間のチゲサイクリンおよびワルファリンアッセイの性能を表1、2および3にまとめる。
【表1】

【表2】

(薬物動態分析)
各々の被験体についての定常状態のチゲサイクリン血清濃度データを、経験的な、モデル非依存性の薬物動態学的方法を使用して分析する。したがって、ピーク濃度(Cmax)およびピーク濃度までの時間(tmax)を、観察したデータから直接取得する。投薬の1つの間隔にわたっての濃度−時間曲線下の面積(AUC0−12h)を、濃度の低下については対数−台形公式を、そして濃度の上昇については線形−台形公式を使用して計算する。全身のクリアランス(Cl)を、用量/AUCとして計算し、これを、体重に関して補正して示し、また体重に関して補正せずに表す。
【0072】
各々の被験体についての単回用量のR−ワルファリンおよびS−ワルファリンの血漿濃度データもまた、経験的な、モデル非依存性の薬物動態的方法を使用して分析する。見かけの終期処置速度定数(terminal−phase disposition rate constant)(λ)を、最終的な2〜5つの観察された血清濃度(目視検査による対数−線形排除段階(elimination phase)において決定される)の対数−線形回帰によって推定する。見かけの終期処置半減期(terminal−phase disposition half−life)(t1/2)を、t1/2=0.693/λとして計算する。時間Tでの最終的な観察可能な濃度(C)に対する濃度−時間曲線下の面積(AUC)を、濃度の低下については対数−台形公式を、そして濃度の上昇については線形−台形公式を使用して計算し、総AUCを、AUC=AUC+C/λによって推定する。経口用量クリアランス(Cl/F)を用量/AUCとして計算し、見かけの分布の終期容量(terminal−phase volume of distribution)(V/F)を、V/F=[Cl/F]/λとして推定する。
【0073】
(薬力学分析)
R−ワルファリンおよびS−ワルファリンの血漿濃度に対するチゲサイクリンのあらゆる可能性のある影響についての臨床的関連性を評価するために、プロトロンビン時間(秒数およびINRで表される)を、投与前ならびに各々の単回用量ワルファリン投与から0.5時間後、1時間後、2時間後、3時間後、4時間後、6時間後、8時間後、12時間後、24時間後、36時間後、48時間後、72時間後、96時間後、120時間後、144時間後、および168時間後に測定する。ピークINR(INRmax)およびピークINRまでの時間を、観察したデータから直接取得する。168時間の観察区間にわたるINR対時間曲線下の面積を、線形−台形公式を使用して計算する。
【0074】
(薬物動態の結果)
以下の表は、チゲサイクリンのPKプロフィールをまとめる。
【0075】
【表3】

略語:
AUC0−12h=投与間隔0〜12時間の間の濃度時間曲線下の面積;
12h=時間12での濃度;
max=ピーク濃度;
CL=信頼限界;
Cl=静脈内クリアランス;
max=ピーク濃度までの時間
a:対数変換されたデータの2因数ANOVAからの処置p−値
b:相乗平均の比(geometric mean ratio)および90%の信頼限界。
【0076】
ワルファリンの共投与の後、定常状態のチゲサイクリンの全身の平均クリアランスおよび曝露(Cmax、C12hおよびAUC)は、チゲサイクリン単剤治療についての平均値の10%以内である。さらに、相乗平均のパラメーター比の90%の信頼限界は、全て80%〜125%の厳密に生物学的に等価な区間の判断基準(bioequivalence interval criteria)内にある。したがって、ワルファリンの共投与は、チゲサイクリンのPKプロフィールを変更しない。
【0077】
以下の表は、R−ワルファリンおよびS−ワルファリンの薬物動態プロフィールをまとめる。
【0078】
【表4】

略語:
AUC=時間濃度曲線下の面積;
Cl/F=経口用量クリアランス;
max=ピーク濃度
a:対数変換されたデータの2因数ANOVAからの処置p−値
b:相乗平均の比および90%の信頼限界。
【0079】
チゲサイクリンの治療レジメンの共投与は、R−ワルファリンおよびS−ワルファリンの両方の経口用量クリアランスを有意に低下させ、それによって、両方の化合物のCmaxおよびAUCを増大させた。
【0080】
(薬力学の結果)
以下の表は、ワルファリンのINR薬力学プロフィールをまとめる。
【0081】
【表5】

略語:
AUC0−168h=区間0〜168時間の間の時間濃度曲線下の面積;
INR=国際標準比;
max=INRの最大値までの時間
a:対数変換されたデータの2因数ANOVAからの処置p−値
b:相乗平均の比および90%の信頼限界。
【0082】
R−ワルファリンおよびS−ワルファリンの血漿濃度は、チゲサイクリン共投与後に高い(図1を参照のこと:単回経口用量のワルファリン25mgのみと、ワルファリンと同時の12時間毎のチゲサイクリン50mgの複数回IV用量を受容する健常な被験体の平均(SE)R−ワルファリン濃度、図2:単回経口用量のワルファリン25mgのみと、ワルファリンと同時の12時間毎のチゲサイクリン50mgの複数回IV用量を受容する健常な被験体の平均(SE)血漿S−ワルファリン濃度)が、平均INRmax値は、併用処置の投与後に10%低く、そして平均INR AUC0−168h値は変化しない(図3を参照のこと:単回経口用量のワルファリン25mgのみと、ワルファリンと同時の12時間毎のチゲサイクリン50mgの複数回IV用量を受容する健常な被験体の平均(SE)プロトロンビン時間INR)。さらに、INRmaxおよびINR AUC0−168hは、ワルファリン単剤治療およびワルファリンとチゲサイクリンとの併用治療の間の比較についての厳密に生物学的に等価な判断基準に合致する。
【0083】
ワルファリン共投与は、チゲサイクリンのPKプロフィールを変更しない。しかしながら、チゲサイクリンの治療レジメンの投与は、R−ワルファリンおよびS−ワルファリンの曝露(AUC)をそれぞれ68%および29%増大させたが、このAUCの増大は、ワルファリンの抗血液凝固薬プロフィール(INRによって測定される)を有意に変更しなかった。単回の25mgの経口用量のワルファリンのみ、複数回の50mg IV用量のチゲサイクリン、ならびに50mg IVチゲサイクリンと単回の25mgの経口用量のワルファリンとの組み合わせた複数回用量を投与した後の健常な被験体において、安全性に関する懸念は確認されない。したがって、チゲサイクリンとワルファリンとの共投与によって、投薬量の調整がないことが保証される。しかしながら、良好な医療の実施と矛盾なく、患者の処置が変更される(例えば、別の薬物での処置を開始すること)場合はいつでも、適切なレベルの抗血液凝固薬活性をモニタリングしなければならない。
【0084】
本研究は、チゲサイクリンの薬物動態プロフィールに対する単回用量のワルファリンの影響のみを評価する。しかしながら、未変化のチゲサイクリンの胆汁排出、未変化のチゲサイクリンの腎排出、およびグルクロン酸抱合についての所定のチゲサイクリンの主要な除去経路、ワルファリンの反復用量投与が、チゲサイクリンの全身のクリアランスにより大きな影響を与えるとは予想され得ない。
【0085】
本発明の実施形態の検討およびその非限定的な例によって、本発明を説明したが、当業者は、本明細書および特許請求の範囲を読むことにより、やはり本発明の意図される範囲に含まれる他の実施形態および改変法を企図し得る。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ解釈および規定されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】図1は、ワルファリン25mgのみの単回経口用量を受容する健常な被験体、および12時間毎の、チゲサイクリン50mgの複数回IV用量をともに同時に受容する健常な被験体の平均(SE)R−ワルファリン濃度を示す。
【図2】図2は、ワルファリン25mgのみの単回経口用量を受容する健常な被験体、および12時間毎の、チゲサイクリン50mgの複数回IV用量をともに同時に受容する健常な被験体の平均(SE)血漿S−ワルファリン濃度を示す。
【図3】図3は、ワルファリン25mgのみの単回経口用量を受容する健常な被験体、および12時間毎の、チゲサイクリン50mgの複数回IV用量をともに同時に受容する健常な被験体の平均(SE)プロトロンビン時間INRを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下:
【化1】

の式の化合物およびその薬学的に受容可能な塩から選択される少なくとも1つのグリシルサイクリン、ならびに少なくとも1つのワルファリンを含む、組成物。
【請求項2】
前記グリシルサイクリンが遊離の塩基である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ワルファリンがワルファリンナトリウムである、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
非経口投与に適する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
静脈内投与に適する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
さらに、少なくとも1つの薬学的に受容可能な賦形剤を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項7】
式I
【化2】

の化合物およびその薬学的に受容可能な塩から選択される少なくとも1つのグリシルサイクリン、ならびに少なくとも1つのワルファリンの投与を包含する、併用治療であって、該投与は同時的であるか、別個であるか、または連続的である、併用治療。
【請求項8】
前記ワルファリン用量が、前記併用治療の前の用量と実質的に同一のままであり得る、請求項7に記載の併用治療。
【請求項9】
前記グリシルサイクリンと前記ワルファリンとが、前記少なくとも1つのワルファリンが投与される12時間前と前記少なくとも1つのワルファリンが投与された12時間後との間に投与される、請求項7または8に記載の併用治療。
【請求項10】
少なくとも2つの別個の区画を備える医療装置であって、ここで
第一の区画は、式I
【化3】

の化合物およびその薬学的に受容可能な塩から選択される少なくとも1つのグリシルサイクリンを含み、
第二の区画は、少なくとも1つのワルファリンを含み、そして
該第一の区画と第二の区画とが、少なくとも1つの投与の組に結合される、
医療装置。
【請求項11】
前記第一の区画と第二の区画とが同一の投与の組に結合され、かつ投与前に混合される、請求項10に記載の医療装置。
【請求項12】
前記第一の区画と第二の区画とが同一の投与の組に結合され、かつ投与前にY部位で混合される、請求項11に記載の医療装置。
【請求項13】
前記ワルファリン用量が、少なくとも1つのグリシルサイクリンによる投与の前の用量と実質的に同一のままであり得る、請求項10〜12のいずれか一項に医療装置。
【請求項14】
少なくとも1つのグリシルサイクリンと少なくとも1つのワルファリンとを投与するための方法であって、
治療有効量の、式I
【化4】

の化合物およびその薬学的に受容可能な塩から選択される少なくとも1つのグリシルサイクリンを、投与を必要とする患者に投与する工程、ならびに、
治療有効量の少なくとも1つのワルファリンを、投与を必要とする患者に投与する工程、
を包含する、方法。
【請求項15】
グラム陰性病原体およびグラム陽性病原体、嫌気性菌、ならびに黄色ブドウ球菌のメチシリン感受性株およびメチシリン耐性株(MSSAおよびMRSA)の両方によって引き起こされる、合併型腹腔内感染症(cIAI)ならびに合併性の皮膚および皮膚構造の感染症(cSSSI)を処置する方法であって、
治療有効量の、式I
【化5】

の化合物およびその薬学的に受容可能な塩から選択される少なくとも1つのグリシルサイクリンを、処置を必要とする患者に投与する工程、そして
治療有効量の少なくとも1つのワルファリンを、処置を必要とする患者に投与する工程、
を包含する、方法。
【請求項16】
処置を必要とする患者におけるグラム陰性病原体およびグラム陽性病原体、嫌気性菌、ならびに黄色ブドウ球菌のメチシリン感受性株およびメチシリン耐性株(MSSAおよびMRSA)の両方によって引き起こされる、合併型腹腔内感染症(cIAI)ならびに合併性の皮膚および皮膚構造の感染症(cSSSI)を処置する方法であって、式Iのグリシルサイクリンまたはその薬学的に受容可能な塩とワルファリンまたはその薬学的に受容可能な塩とを含む、有効量の組み合わせを該患者に提供する工程を包含する、方法。
【請求項17】
抗生物質を投与する方法であって、
治療有効量の、式I
【化6】

の化合物およびその薬学的に受容可能な塩から選択される少なくとも1つのグリシルサイクリンを、抗生物質を必要とする患者に投与する工程、
治療有効量の少なくとも1つのワルファリンを、抗生物質を必要とする患者に投与する工程、
を包含する、方法。
【請求項18】
(a)式I
【化7】

の化合物およびその薬学的に受容可能な塩から選択される、少なくとも1つのグリシルサイクリンの投薬形態、
(b)該グリシルサイクリンの投薬形態がワルファリンと共投与され得ることを示す、包装挿入物または印刷された表示であって、該ワルファリン用量は、該グリシルサイクリンとの投与の前の用量と実質的に同じままであり得る、包装挿入物または印刷された表示、ならびに
(c)該グリシルサイクリンが保管される少なくとも1つの区画、
を含む、製品。
【請求項19】
(a)式I
【化8】

の化合物およびその薬学的に受容可能な塩から選択される少なくとも1つのグリシルサイクリンの少なくとも1つの投薬形態、
(b)該グリシルサイクリンが保管される少なくとも1つの区画、ならびに、
(c)包装挿入物であって、
i)該グリシルサイクリンの投薬形態の投薬量および曝露の持続時間に関する情報を含み、そして
ii)該グリシルサイクリンの投薬形態がワルファリンとともに投与され得、該ワルファリン用量は、該グリシルサイクリンとの投与の前の用量と実質的に同じままであり得ることを示す、包装挿入物、
を含む、キット。
【請求項20】
処置を必要とする患者において、グラム陰性病原体およびグラム陽性病原体、嫌気性菌、ならびに黄色ブドウ球菌のメチシリン感受性株およびメチシリン耐性株(MSSAおよびMRSA)の両方によって引き起こされる合併型腹腔内感染症(cIAI)ならびに合併性の皮膚および皮膚構造の感染症(cSSSI)を処置するための医薬の調製における、式Iのグリシルサイクリンまたはその薬学的に受容可能な塩の使用であって、該処置はまた、ワルファリンまたはその薬学的な塩の投与も包含する、使用。
【請求項21】
処置を必要とする患者において、グラム陰性病原体およびグラム陽性病原体、嫌気性菌、ならびに黄色ブドウ球菌のメチシリン感受性株およびメチシリン耐性株(MSSAおよびMRSA)の両方によって引き起こされる合併型腹腔内感染症(cIAI)ならびに合併性の皮膚および皮膚構造の感染症(cSSSI)を処置するための医薬の調製における、ワルファリンまたはその薬学的に受容可能な塩の使用であって、該処置はまた、式Iのグリシルサイクリンまたはその薬学的な塩の投与も包含する、使用。
【請求項22】
処置を必要とする患者の、グラム陰性病原体およびグラム陽性病原体、嫌気性菌、ならびに黄色ブドウ球菌のメチシリン感受性株およびメチシリン耐性株(MSSAおよびMRSA)の両方によって引き起こされる合併型腹腔内感染症(cIAI)ならびに合併性の皮膚および皮膚構造の感染症(cSSSI)の処置において、同時にか、別個にか、または連続に使用するための、組み合わせた調製物としての、式Iのグリシルサイクリンまたはその薬学的に受容可能な塩およびワルファリンまたはその薬学的に受容可能な塩を含む製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−540421(P2008−540421A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−510094(P2008−510094)
【出願日】平成18年5月1日(2006.5.1)
【国際出願番号】PCT/US2006/016542
【国際公開番号】WO2006/121666
【国際公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(591011502)ワイス (573)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth
【Fターム(参考)】