説明

ワンタッチ式仕切構造体

【課題】 剛性が高く製造容易な仕切構造体を提供する。
【解決手段】 容器40内を複数の収納空間に仕切る仕切構造体1であって、矩形状の底壁2と、底壁2の両側から起立する一対の側壁4,6と、一対の側壁4,6間に設けられる複数の仕切板20,22とを備え、仕切板20,22は、一方の側壁4の上縁から延出し、それぞれの先端が連結板24に結合されており、前記仕切板20,22を前記底壁2に対して起立するように折り曲げ、前記連結板24を他方の前記側壁6に接合して構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仕切構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工場等において、種々の部品を収納箱に収納して工場内などで移動させることが行われている。このような収納箱は、多種類の部品を収納する目的で、仕切構造体により複数の区画に仕切られるのが一般的である。
【0003】
従来の仕切構造体としては、例えば特許文献1に記載されているように、複数の縦仕切板及び横仕切板とを井桁状に組み合わせた構成が一般的である。ところが、このような仕切構造体は、それぞれが別体である縦仕切板及び横仕切板を順番に組み合わせる必要があるため、作業が繁雑なだけでなく、製造コストが高くなり、更には剛性が低いという問題があった。
【0004】
そこで、別体の仕切板を組み合わせるのではなく、板紙や段ボール原紙の一部を折り曲げて形成された仕切構造体が知られている。例えば、特許文献2には、原紙の一部に余白部を残した状態で、余白部の下方に切れ目を設けて折り曲げることにより、余白部を横片部とし、折り曲げ部分を縦片部とした仕切構造体を得ることが開示されている。ところが、この仕切構造体は、縦片部及び横片部を上下の異なる高さ位置に備えることから、仕切構造体の高さが低い場合には、縦片部及び横片部を形成することが困難であり、高さが低い被収納物の収納には適さないという問題があった。また、縦片部を折り曲げて形成することにより縦片部の周囲に空隙が形成されるため、十分な剛性が得られないという問題があった。
【0005】
また、特許文献3には、4つの側壁部分の各下縁から下方に延びる4つの底フラップの下縁にそれぞれ仕切フラップを設け、各仕切フラップを折り曲げて組み合わせることにより、仕切構造体を構成することが開示されている。ところが、この仕切構造体は、仕切フラップがその構造から必然的に4つに限定されるため、区画の自由度が少ないという問題があり、更に、剛性の面でも問題を有していた。
【特許文献1】特開平9−295632号公報
【特許文献2】特開2007−145427号公報
【特許文献3】特開2003−312647号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、剛性が高く製造容易な仕切構造体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の前記目的は、容器内を複数の収納空間に仕切る仕切構造体(1)であって、矩形状の底壁(2)と、前記底壁(2)の両側から起立する一対の側壁(4,6)と、一対の前記側壁(4,6)間に設けられる複数の仕切板(20,22)とを備え、前記仕切板(20,22)は、一方の前記側壁(4)の上縁から延出し、それぞれの先端が連結板(24)に結合されており、前記仕切板(20,22)を前記底壁(2)に対して起立するように折り曲げ、前記連結板(24)を他方の前記側壁(6)に接合して構成された仕切構造体により達成される。
【0008】
この仕切構造体において、一方の前記側壁(4)及び連結板(24)は、それぞれ前記仕切板(20,22)との境界部(20a,22a,20d,22d)を底辺とする三角形の2辺のうちの一方の辺に沿って切込部(20b,22b,20e,22e)が形成され、他方の辺に沿って折曲部(20c,22c,20f,22f)が形成されていることが好ましく、前記仕切板(20,22)は、前記境界部(20a,22a,20d,22d)および折曲部(20c,22c,20f,22f)で折り曲げることにより、前記底壁(2)に対して起立するように構成することができる。
【0009】
また、一対の前記側壁(4,6)間に介在するように前記底壁の両側に立設した一対の端壁(8,10)を更に備え、前記端壁(8,10)は、両端部に保護フラップ(12,14,16,18)を備えることが好ましく、前記保護フラップ(12,14,16,18)を折り曲げて前記側壁(4,6)の表面側に接合することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、剛性が高く製造容易な仕切構造体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る仕切構造体の表面側を示す展開図である。
【0012】
図1に示すように、仕切構造体のブランク100は、紙製やプラスチック製のダンボール原紙などの板紙から構成され、矩形状の底壁2の各辺に、一対の側壁4,6及び一対の端壁8,10がそれぞれ連設されている。図1に示す底壁2には、一部を切り欠いて段(フルート)fを模式的に示しており、段fが反復して形成される方向を流れ方向(長辺に沿った矢印A方向)と呼び、この流れ方向に垂直な方向を反流れ方向(短辺に沿った矢印B方向)と呼ぶ。
【0013】
本実施形態においては、底壁2は長方形状であり、流れ方向に沿って長辺側に側壁4,6が設けられ、短辺側に端壁8,10が設けられている。但し、側壁4,6を短辺側に設けることも可能である。底壁2の形状は、正方形状であってもよい。また、一対の端壁8,10の反流れ方向の両端部には、それぞれ保護フラップ12,14及び16,18が設けられている。
【0014】
図1のブランク100において、切り込み線である「切罫線」は、実線で示す一方、「山折り罫線」は破線で示し、「谷折り罫線」は一点鎖線で示しており、これを適宜折り曲げることにより、仕切構造体が組み立てられる。「山折り罫線」及び「谷折り罫線」は、ブランク100の折り曲げを容易にするために種々の加工がなされており、例えば、段ボールの厚み方向に所定の厚みに切り込んだ半切り罫線や、一定間隔で切り込みを形成するミシン歯罫線とすることができ、更に、このような罫線に対して垂直方向の切り込みを形成することも可能である。
【0015】
図1に示すブランク100は、一対の側壁4,6及び一対の端壁8,10をそれぞれ破線で山折りして裏面側に起立させ、更に、保護フラップ12,14;16,18を山折りして側壁4,6の表面側に貼着などの手段で接合することにより、仕切構造体の外枠を構成する(図3参照)。
【0016】
一対の側壁4,6は、反流れ方向の幅(起立したときの高さ)が互いに相違しており、幅x1が大きい一方の側壁4の外縁4a(起立したときの上縁)から延出するように、複数の帯状の仕切板20,22が連設されている。仕切板20,22の長手方向は、収納区間を平面視矩形状に仕切るために、側壁4の縁部41に対して直交することが好ましい。仕切板20,22の長手方向中央部の両側(起立したときの上下)には、切欠部201,202;221,222が形成されており、上側の切欠部201,221の縁部には、係止片203,223が設けられている。
【0017】
仕切板20,22の幅(起立したときの高さ)xは、側壁4の幅x1と同程度であることが好ましい。仕切板20,22の間には、間隙yが形成されている。
【0018】
側壁4には、仕切板20,22との境界部20a,22aを底辺とする三角形の2辺のうちの一方の辺に沿って切込部20b,22bが形成され、他方の辺に沿って折曲部20c,22cが形成されている。本実施形態においては、2つの仕切板20,22が対向する内側に折曲部20c,22cが設けられ、外側に切込部20b,22bが設けられているが、折曲部20c,22cを外側として切込部20b,22bを内側とすることも可能であり、或いは、折曲部20c,22cの一方を内側として他方を外側とすることも可能である。境界部20a,22aに対する切込部20b,22b及び折曲部20c,22cの角度は、約45度であることが好ましい。また、本実施形態においては、境界部20a,22aを底辺とする三角形の一辺の一部が切込部20b,22bとされているが、三角形の一辺全体が切込部であってもよい。
【0019】
また、仕切板20,22の先端には、側壁4に対して長手方向が平行となるように配置された矩形状の連結板24が結合されている。連結板24の幅(起立したときの高さ)x2も、側壁4の幅x1と同程度であることが好ましい。
連結板24も、側壁4と同様に、仕切板20,22との境界部20d,22dを底辺とする三角形の2辺のうちの一方の辺に沿って切込部20e,22eが形成され、他方の辺に沿って折曲部20f,22fが形成されている。本実施形態においては、2つの仕切板20,22が対向する内側に折曲部20f,22fが設けられ、外側に切込部20e,22eが設けられているが、切込部20e,22e及び折曲部20f,22fの形成位置は、側壁4に形成した切込部20b,22b及び折曲部20c,22cの形成位置に合わせることが好ましい。
【0020】
このように構成されたブランク100は、図4(a)に示すように、仕切板20,22を、長手方向一方側の折曲部20c,22cで山折りし、境界部20a,22aで谷折りすることにより、側壁4に対して起立させると共に、仕切板20,22の他方側についても、折曲部20f,22fで山折りし、境界部20d,22dで谷折りすることにより、図4(b)に示すように、互いに平行な側壁4及び連結板24に対して、仕切板20,22が直交した状態になる。
次に、一対の側壁4,6及び一対の端壁8,10を起立させて仕切構造体の外枠を構成することにより、仕切板20,22を底壁2の所定位置に起立させる。そして、連結板24を、対向する他方の側壁6の内面に貼着等で面接合する。他方の側壁6の高さは、連結板24を確実に接合するのに十分な高さであればよく、本実施形態では一方の側壁4よりも低い高さとしているが、一方の側壁4と同じ高さであってもよい。また、本実施形態では、連結板24を側壁6の内面に接合しているが、連結板24が側壁6を乗り越えて、側壁6の外面に連結板24を接合することも可能である。
【0021】
最後に、図2に示す横断板30を仕切板20,22に対して直交するように差し込むことで、図3に斜視図で示すように、仕切構造体1が完成する。
【0022】
図2に示す横断板30は、長手方向が底壁2の長辺とほぼ同じ長さを有する矩形状に形成されており、2つの長辺側縁部に、切欠部301,302;303,304を有している。また、一方の長辺側縁部に形成された切欠部301,302の縁部には、係止片305,306が設けられている。この横断板30は、係止片305,306を有する切欠部301,302を仕切板20,22に対して上方から差し込むことにより、係止片305,306が仕切板20,22の下側の切欠部202,222に係合すると共に、仕切板20,22に設けられた係止片203,223が横断板30の切欠部303,304に係合する。こうして、横断板30は、仕切板20,22とほぼ同じ高さで、仕切板20,22と直交するように支持される。
【0023】
この仕切構造体1は、図3に示すように、容器40に収容することで、容器40内を仕切板20,22及び横断板30により複数の収納空間に仕切ることができる。また、この仕切構造体1は、底壁2を有するため、容器40内で多段積みを行うことも可能であり、多くの収納空間が必要とされる場合にも対応可能である。仕切構造体1の底壁2の大きさは、容器40の内部底面とほぼ同じ大きさであることが好ましく、一対の側壁4,6及び一対の端壁8,10を容器40の内壁に当接させることで、各収納空間の被収納物を確実に保持することができる。
【0024】
以上のように、本実施形態の仕切構造体1によれば、簡単な折り曲げだけで仕切板20,22を底壁2上に確実に起立させることができるので、製造が容易である。また、連結板24を他方の側壁6に接合することにより、一対の側壁4,6間に仕切板20,22を確実に挟持することができるので、十分な剛性を確保することができ、自動車部品等の比較的硬質の部品の仕切りとしても好適に使用することができる。
また、本実施形態のブランク100は、連結板24を側壁6に接合した後、図5(a)に示すように、仕切板20,22を中央線C1,C2で同方向に折り畳みながら、この仕切板20,22を内包するように底壁2及び一対の端壁8,10の連設方向に延びる中央線C3で折り畳むことにより、図5(b)に平面視で示すようにコンパクトな構成にすることができ、輸送時などに好適である。
【0025】
また、一対の側壁4,6間に介在するように、一対の端壁8,10を起立させることにより、底板2をフラットな状態にすることができ、上記のように底板2に折り曲げ線C3を形成した場合に、特に効果的である。また、端壁8,10の両端部に形成された保護フラップ12,14;16,18を側壁4,6に接合することにより、側壁4,6を補強することができ、ひいては仕切板20,22の剛性をより高めることができる。但し、本発明において、一対の端壁8,10は必須の構成ではなく、これを備えない構成にすることも可能である。
【0026】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明の具体的な態様は上記実施形態に限定されない。例えば、本実施形態においては、連結板24に結合される仕切板20,22の数を2つとしているが、3つ以上とすることも可能であり、それぞれの間隔を調整することにより、所望の数及び大きさの収納空間を形成することができる。また、横断板30についても、本実施形態では1つとしているが、2つ以上とすることも可能であり、或いは、横断板30を設けない構成にすることもできる。
【0027】
また、本実施形態においては、仕切板20,22を一方の側壁4のみから延出するように構成しているが、図6に示すように、一対の側壁4,6の双方から延出するように構成することも可能であり、側壁4,6の一方から延びる仕切板20,22の連結板24を、側壁4,6の他方に接合することにより、仕切板の剛性を良好に維持しつつ、多数の仕切板を有する仕切構造体を容易に製造することができる。なお、図6において、図1と同様の構成要素には同一の符号を付して、説明を省略する。
【0028】
以上のように、本発明の仕切構造体は、側壁と一体となった仕切板を設けることによって、例えば、この仕切板20,22の中央において、中央線C3と平行に折畳み用の中央線C1およびC2を設け、これにより、C1〜C3に沿ってワンタッチで仕切構造体を平板状に折畳むことができ、かつ、ワンタッチで折畳んだ仕切構造体を組立てることができるという、技術的効果を奏することができる。すなわち、本発明の仕切板は、側壁と一体となっているため、折畳み/組立工程の間に、既知の仕切構造体のようにバラバラになることを防止することができたのである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態に係る仕切構造体の表面側を示す展開図である。
【図2】図1に示す仕切構造体に組み合わせる横断板の平面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る仕切構造体及びこれを収容する容器の斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る仕切構造体の組み立てを説明するための図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る仕切構造体の折り畳みを説明するための図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係る仕切構造体の展開図である。
【符号の説明】
【0030】
1 仕切構造体
100 仕切構造体のブランク
2 底壁
4,6 側壁
8,10 端壁
12,14,16,18 保護フラップ
20,22 仕切板
20a,22a,20d,22d 境界部
20b,22b,20e,22e 切込部
20c,22c,20f,22f 折曲部
24 連結板
40 容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内を複数の収納空間に仕切る仕切構造体であって、
矩形状の底壁と、前記底壁の両側から起立する一対の側壁と、一対の前記側壁間に設けられる複数の仕切板とを備え、
前記仕切板は、一方の前記側壁の上縁から延出し、それぞれの先端が連結板に結合されており、
前記仕切板を前記底壁に対して起立するように折り曲げ、前記連結板を他方の前記側壁に接合して構成された仕切構造体。
【請求項2】
一方の前記側壁及び連結板は、それぞれ前記仕切板との境界部を底辺とする三角形の2辺のうちの一方の辺に沿って切込部が形成され、他方の辺に沿って折曲部が形成されており、
前記仕切板は、前記境界部および折曲部で折り曲げることにより、前記底壁に対して起立する請求項1に記載の仕切構造体。
【請求項3】
一対の前記側壁間に介在するように前記底壁の両側に立設した一対の端壁を更に備え、
前記端壁は、両端部に保護フラップを備えており、
前記保護フラップを折り曲げて前記側壁の表面側に接合した請求項1または2に記載の仕切構造体。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の仕切構造体により複数の収納空間に仕切られた容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−95284(P2010−95284A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−267239(P2008−267239)
【出願日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(593122789)ユーテック株式会社 (118)
【Fターム(参考)】