説明

ワークを等温で乾式機械加工するための装置、システム及び方法及び組付治具

等温被加工品保持システムは、振動減衰、低熱伝達率、低熱膨張係数(TCE)ポリマー複合材料製保持体を使用して、工作機械の振動及びビビリを防振する一方で、ワークを適所に、機械加工中、真空及び/又は機械的クランプによって、正確に強固に維持する。ワークに接触する高熱伝導性プレートを有する冷却用流体チャネルにより、ワークへ/から熱エネルギーを伝達して、ワークを、機械加工、検査、及び組付中に等温に維持し、その結果寸法変化を排除し、プロセス再現性を増大させる。ビビリを抑制することで、サイクル時間を減少し、表面仕上げを向上させ、それにより手動による再作業を排除する。このシステムでは、真空ポンプ及び冷媒流体ポンプ、冷温装置、温度センサ及びコントローラを用いて、高精度の寸法公差で部品を機械加工でき、それにより誤差の増大や、組付費用を軽減できる。等温治具については、シムの使用を減らして、精確な位置で、部品を組付する、及び自動でリベットを打込むことに関して、開示している。本発明の等温システムを、リニア誘導モータのTCE/IR作用を制御するのに適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に乾式機械プロセスで、機械加工するワーク用のホルダ、特には、連続的に高周波振動を減衰させ、且つ、大型で薄断面の、曲線及び/又は複雑な形状又はマルチパートのワーク内で熱が蓄積するのを防止すると同時に、ワークを、機械加工及び/又は検査運転中に、等温の安定した状態に維持する、装置、自動制御システム及び方法に関する。本発明の等温ワーク保持システムにより、ビビリや機械加工による熱の発生によるTCEに起因する工作誤差を軽減し、その結果高精度機械加工を、短い工作時間で、規格に適合した加工部品を高歩留まりで行える。また、本発明のシステムは、精密部品組付用治具に、実質的にTCEが誘発する部品のズレを、該部品を組付中に等温で隔離して保持することで排除するようにして、適用もできる。また、本発明のシステムは、極めて大量の熱を発生するリニア誘導モータからの、TCEが誘発する機械フレーム及びフライスベッドの歪みを防止するのにも、適用できる。磁気ロケータシステムについても、航空宇宙機構成要素の翼及び本体の組付中に、自動リベット打ち機によるブラインド開穴及び鋲止めに役立てるため、開示している。
【背景技術】
【0002】
高精度工作機械産業では、あらゆるワークを厳密な寸法公差で、再現的に表面を滑らかに仕上げつつ、高速に機械加工することが不可欠である。特に関心があるのは、大型で、比較的薄い断面をした曲線及び/又は複雑なワークを、正確、迅速に、且つ再現的に製造することである。こうした種類のワークを、強固に、正確に、安価に保持するのは極めて難しい、というのもワークが本質的にビビリの影響を受け易いためである。ビビリは、例えば、動作又は回転する切削工具に対するワーク表面の高周波振動である。ビビリは、工具がワーク表面を横断する経路毎に、個々の高さに差が出る原因となる。こうした高差が発生すると必ず、鋭角(90°)ができ、各鋭角の所で、静的、動的及び周期的な引張応力が集中する。
【0003】
応力が集中すると、応力腐食割れと腐食疲労の両方を、大気中の腐食物の存在下で引き起こす可能性がある。応力腐食割れは、金属における進行性の破壊メカニズムであり、使用中に腐食物と持続的な引張応力が同時に相互作用することで生じる。また、腐食が誘発する疲労は、使用中に周期的にかかる応力による進行性の割れを引き起こす幾分同様の破壊メカニズムの原因となる場合もある。どちらの破壊メカニズムも、通常使用時に、ワークの致命的な不良に繋がる可能性がある。
【0004】
これまでのワークのビビリを軽減させる試みとして、ワーク自体を修正することの他、切削工具形状、加工パラメータ、及びワーク段取り台を再設計することが挙げられる。いずれも、薄肉断面のワークを制振、或いはワークの温度を制御してはいない。他のビビリ軽減方法として、塑像用粘土、非線形金属製バネ、ガス及び油圧緩衝装置、同調共振構造、及び機械的予圧を利用することが挙げられる。弾性材料を使用する試みでは、適合材料の部分的圧縮に頼るため、結果的にワークを支持するには剛性が不足してしまう。ワークを剛性に保てないので、表面仕上げの際に、波や鋭い肩部を発生させずに、滑らかに研磨するために、工具の回転を遅くして切削の深さを浅くし、段差を小さく、及び/又は送り速度を遅くする必要がある。
【0005】
適合材料又は粘弾性材料は、熱伝導率が極めて低く、ヒートシンクよりはむしろ断熱材として機能する。機械加工プロセスでは熱エネルギーを発生するため、その熱エネルギーの一部が、極めて高温の切屑がワークから放出されるに応じて、ワークから離れて伝達される。しかしながら、せいぜい熱エネルギーの75%だけが、切屑で伝えられる。残留した熱エネルギーは、工具/スピンドルとワークの両方で吸収されることになる。工具/スピンドルに伝達されない如何なる残留熱エネルギーも、ワークに蓄積されることになる。また、適合材料により、ワークに全く新たな一連の発振周波数となるかも知れない。従って、該材料が幾らか振動周波数を減衰させる可能性があるものの、異なる、通常低い、ワークでの振幅運動が大きくなる振動周波数となる場合がある。粘弾性材料を、ワークの外側周縁部に沿って塗布する、或いは不十分な量を使用した場合には、ワークを粘弾性材料を使用せずに保持した際とは異なる他の振動となる。経験的に、このようなビビリ軽減方法の組み合わせでは、サイクル時間が長くなり、ワーク内に熱が集中することが、分かっている。こうしたビビリを防止してワークを保持する方法の欠陥により、不良なワークが大量に発生し、その結果費用がかかり、不良品について手作業で再加工する必要がでてくる。
【0006】
ビビリと熱蓄積は両方とも、冷媒又は潤滑剤を使用しない“乾式”機械加工では悪化する。航空宇宙産業では、ワークが巨大過ぎて“濡らして”機械加工できないため、乾式機械加工となる。殆どの長い航空宇宙機のワークは、部品寸法範囲が長さ50〜112フィートになるため、アルミニウムから乾式機械加工される。アルミニウムは、高熱伝導性と高熱膨張係数(TCE又はCTE)を有する。大型で、薄く、曲線の非対称的なアルミニウム製ワークは、実際に、機械加工中に寸法が移動する対象物である。膨張速度及び収縮速度は、ワークによって著しく変化する可能性がある。
【0007】
国内外の航空宇宙企業が発行する最近の精度仕様では、こうした長く、薄い、曲線の表面をしたワークの厚さについて、極めて厳しい公差に収めなければならないと、指示している。こうした新仕様では、個々のワークの厚さを、多くの代表点で測定して、±0.003の高精度公差に収めるよう求めている。これらの測定値及び位置を、契約要求事項を満たすために、記録しなければならない。こうした新仕様は、二面の課題を提示する:第1に、工作機械自体を、更に精密、且つ再現可能にしなければならない。第2に、ワークのTCEで変動する厚みの変化率を制御して、全体的な寸法公差の範囲内に収めなければならない。現在のところ、こうした新たな品質仕様には、構造フレーム部品の相手先商標製造(OEM)業者はまだ対応できていない。
【0008】
検査済みワークを、作業の間に垂架した後にも、該ワークは周囲温度まで上昇する。50フィートのワークを50°Fで機械加工する場合、機械ベッドから取り外したとき、該ワークは、例えば、68°±1°Fまで上温し、全体の端から端までのTCEによる膨張は、約+0.140インチとなる。当初中心で±0.030インチの許容差ウィンドウであったが、基準端部から150インチ(12.5フィート)超に位置する任意の寸法的特徴は、該端部からの許容可能な距離を超えて膨張するだろう。低温時に許容可能であったワークも、熱膨張して低品質で販売不可能な不良品となり、再加工、又は廃棄しなければならなくなる。こうした問題は、航空機産業で、強度が高い、アルコア社製7075−B合金が採用されたことで悪化するが、というのは、ビビリ問題により、高強度アルミニウム合金の機械加工の最高効率が低下し、機械加工中に、熱によるTCEで、精密化が不可能になるためである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、当技術分野において、乾式切断機の摩擦によるTCEが誘発するワークの膨張、及び表面仕上げが不均一となったり、仕様から外れた寸法誤差を結果的に招く切断機/ワークの相互作用によるビビリという、重大で費用がかかる問題に対する解決方法を提供する、深刻で、緊急の、未対応のニーズが依然存在している。また、複雑な形状、大型及び薄断面のワークへの多様な機械加工作業に適応可能なシステムで、しかも設置及び操作が容易で、比較的安価で、以前に設置した大型工作機械にもレトロフィットでき、特に航空宇宙産業において、短い実行時間、高歩留で、高品質の乾式機械加工部品を製造するのに使用できるシステムに対するニーズも、存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、等温で、高周波振動を防振して、ワークを保持し、組付する治具装置、制御システム、及び、特に寸法精度が厳密な仕様を満たす大型ワークの乾式機械加工といった、作業の方法を、対象とする。
【0011】
ワークを保持する用途では、本発明のシステムを、主に乾式機械加工において使用して、実質的に大幅にワークのビビリを低減し、TCEによる誤差を、ワークを予め選択した略等温度に維持することによって、減少させる。より詳細には、本発明は、継続的に高周波振動を防振し、大型の薄断面をした、曲線及び/又は複雑な形状又はマルチパートのワークにおける発熱を防止すると同時に、ワークを機械加工、検査及び/又は組付作業中に、等温的に安定して維持する、装置、自動制御システム及び方法、に関する。本発明の等温ワーク保持/組付治具システムにより、機械加工で発生した熱によるビビリ及びTCEから生じる機械加工及び/又は組付誤差を低減し、その結果、高精度で、短い作業処理時間で、仕様に適合する加工部品を高歩留まりで機械加工できる。本発明は特に、大小型民生用、商用及び軍用航空及び宇宙機を含む、航空宇宙産業で使用する大型部品を乾式機械加工するのに有用である。
【0012】
本発明のシステムには以下を含む:
・ワーク保持体には:剛性、非粘弾性、及び略非圧縮性、非可鍛性、非導電性の材料であって、優れた高周波振動減衰特性、及び超低熱伝導特性を有し、強固で精確なワークの寸法支持体として、その保持体の大部分を、ワークの少なくとも1面(本明細書では、“安定面”)と密着状態に保持する該材料、を備える;
・クランプシステムには:複数の機械的クランプ、又は好適には、真空クランプシステムを備え、該真空クランプシステムには:ワーク保持体に形成又は定置する真空導管、適当なシール、1つ又は複数の真空ポンプに繋がるマニホルド及び配管を備えて、ワークの安定面を引き付けて、ワーク保持体と密着した状態に維持すると共に、作動、運転、遮断中に真空システムをモニタ及び制御するための適切な弁、ゲージ、センサを含む;
・等温冷却/加熱システムには:ワーク保持体に、又はワークの安定面と接触した状態のワーク保持体表面と関連して、形成又は定置する導管、チャネル又は溝、及び適当なシール、マニホルド、及び非腐食性流体冷媒と共に用いる1つ又は複数の加熱又は冷却ユニットに繋げる配管を備えて、ワーク全体を、機械加工中に正確に等温に維持すると共に、作動、運転、遮断中に等温システムを維持及び制御するための適切な弁、ゲージ、温度センサを含む;
及び
・コントローラシステムには:プログラマブル・コントローラユニット、データ及び命令入力部及びディスプレイを含むオペレータコンソール、多様な入力及び出力リード線、オペレーティング・ソフト、遠隔モニタリング及び運転制御用通信モジュール、メモリ付記録装置を備え、これらで協働してシステム全体を運転及び制御を実施するよう機能する;
・任意に、本システムには:1枚又は複数枚の補助伝熱板であって、該伝熱板には、ワーク安定面と保持体との中間に配置する高熱伝導性の成形性材料を含むことができる;伝熱板には、シール及び、1つ又は複数の真空システム及び冷却システムとの導管又は溝連結部、及び伝熱板に内蔵又は固定して、運転中に動作をモニタするセンサを、含んでもよい。
【0013】
本発明のワーク保持体により、垂直から水平まであらゆる角度で適所に保持したワークを、精確、強固、大規模、構造的に支持可能になる。保持体を、ワークの少なくとも1安定面と面密着させて配置する。ワークを、保持体の適所に、真空でしっかりと保持する。即ち、真空システムは、ワークの、非作業側から以外の全域に亘り均一にワークを保持する“全面クランプシステム”として、効率的に機能する。従来技術のような、不均等な圧力、実質的に点圧をワークに印加する離隔したクランプを有する代わりに、本発明の真空ホルダアセンブリにより、ワーク全体を、ワーク保持体に対するワークの全面に亘って保持する。点保持又は挟持する代わりに、本発明のシステムでは、吸引で保持する延長面を設ける。
【0014】
ワーク保持体により、ワークの少なくとも1面の大部分を被覆して、安定面を作成する。該保持体を、好適には、ワークとの面密着を維持するために、必要に応じて曲線にした、略連続した面とする。ワーク毎に、専用の保持体、即ち、特定のワークの曲線にした保持体を有して、該保持体を機械加工設備の在庫に保有して、必要に応じて工作機械ベッドに定置してもよい。
【0015】
重要な変形例では、保持体を1つ又は複数の延長体を有するモジュール式にして、異なるサイズ、曲線及び/又は形状のワークに適応させてもよい。このモジュール式システムを用いることで、限られた手持ちのホルダ体メニューの中から、該ホルダ体を混合及び組合せて、全組のワークに適用できる、様々な表面を提供できる。
【0016】
保持体を、非導電性、成形可能とし(例えば、キャスティングにより)、該保持体の熱伝導率を極めて低くし、該保持体を、機械加工するワークの熱質量体と比較して相対的に大熱質量体として設ける。例えば円筒形をした外郭形状のシール、例えばOリングと嵌合するシール溝を、保持体及び保持体延長部に、又は伝熱板に設けて、保持体及び/又は伝熱板の表面で、真空と液体冷媒の両ポート、溝及び導管を画定する。典型的には、溝を半円形又はそれより若干長く(開放したC字型)として、シール溝に圧入されるOリング又は他の種類の粘弾性シール部材を保持する。
【0017】
該ポート又は溝と連通する複数の真空導管を、保持体又は伝熱板に設けて、又は定置して、大気をワークの下から排出可能にする。加えて、本システムには、大気をワークの下から真空導管及び真空搬送ラインを介して引き出すために、少なくとも1つの真空ポンプを含む。シールが圧縮して、ワークを引き付けて、保持体の合わせ面と接触可能となり、それにより安定面の全面をクランプする。保持体の面に形成した複数の露出した溝、チャネル又は導管により、冷媒流体を、伝熱板を介して、ワークと熱的に密着した状態で循環可能にする。ワークの非加工側への全面真空クランプと等温冷却とを組み合わせて、安定面を作成する。
【0018】
しかし、当然ながら、本発明のシステムを、真空クランプと機械的クランプを組み合わせたものと共に使用できる、或いは等温冷却システム及び保持体を、機械的クランプシステムのみと併用できる。機械的クランプを使用する場合には、複数の機械的クランプ部材を、ワークと関連させて配列して、ワークと伝熱板と保持体との間で熱的に密着した状態を機械的に維持するが、該クランプを適宜配列して、ワークを良好に被覆する。
【0019】
保持体の表面内に、表面上に、又は関連して設ける伝熱板は、熱エネルギーを、被工作物から循環冷媒流体まで伝達する機能を果たす。真空ポート又は溝の場合と同様に、冷媒システムには、適当な軟質弾性シールを含み、該シールを、好適には保持体の溝、又は逆に伝熱板に配設して、冷媒液体を、冷媒溝及び導管内に密封し、閉じ込める。
【0020】
好適には、伝熱板を、保持体面にある冷媒溝の範囲内に限定し、それによりワークの安定面が、保持体との合わせ面で、伝熱板の連続、パターン、又は配列を“見る”ようにし、該伝熱板の下には、冷媒溝を存在させる。伝熱板により、冷媒溝を密閉し、それにより冷媒を、直接ワークと接触させるよりは、むしろ伝熱板の下面と接触させるようにする。
【0021】
等温システムには:流体導管を通り流れ、熱エネルギーをワークから流体冷温装置に伝達する、或いは逆に、熱を流体冷温装置からワークへと伝達する機能を果たす高熱伝導性流体;高熱伝導性流体を、流体冷温装置ユニットから液体搬送ラインを通りワーク保持体まで搬送する液体ポンプ;容易に流体を搬送するための1組の液体搬送ライン、とを備える。
【0022】
制御システムには:ワーク自体の直接温度を測定して、高熱伝導性流体がワークを約±0.5〜1.0°Fの等温に維持するのに必要な加熱又は冷却程度を計算するのに使用にするフィードバックと、ワークを等温度に維持するのに必要な加熱/冷却量を計算及び制御するためのモデル予測制御装置(MPC)とを提供するための少なくとも1つの温度検知装置、を含む。様々な入力部及び出力部を有する適当なオペレータコンソールを、必要に応じて、例えば、ディスプレイパネル、キーボード、マウス、タッチポイントスクリーン、データ記録装置、磁気記憶装置、及び通信システムを設けて、1つ又は複数の遠隔サイトへ及びから本システムをモニタリング、通報、アーカイブ及び制御する。
【0023】
従って、本発明の等温ワーク保持システムは、その要素と特徴の組み合わせを考慮すると、現在の工作機械運転に完全に対応できる。本システムは、既に設置した工作機械インフラへの費用がかかる変更、又はオペレータ人材の必要がないだけでなく、大幅な増産や高歩留まりを提供する。更に、本システムは、大きさ的にも、使用するにも、現代の高速切削工作機と適合して拡張可能である。本発明のシステムは、10,000rpm未満に制限するよりはむしろ、高速機械加工の増大する性能要件を満たし、最高約30,000rpmのカッター速度で運転可能である。
【0024】
本発明のシステム装置の第1好適実施例では、ワークを、ワーク保持体に対して、精確な位置に真空、機械的クランプ、又は真空と機械的クランプの組み合わせで、強固に保持する。この精確な位置決め及び強固な固定により、確実に、正確な深さでワークを切削できる。
【0025】
好適な保持体材料を、成型可能な微粒子のポリマー複合組成物(乾燥状態で)とし、以下を含む:a)セメント質特性を有するベース、例えば、ポートランドセメント、ポゾラン灰等;b)充填物、例えば1つ又は複数の凝集体、繊維等;及びc)1つ又は複数のポリマー接着剤。様々な他の添加剤、例えば、着色剤、可塑剤、促進剤、遅延剤、強化用繊維等を、混ぜて使用してもよい。この組成物を、室温で水と混合し、該組成物を剛性体に硬化させる型に入れて成型する。この型を特に個々のワークに対して構成でき、又は基本的な“ブロック”とし、該ブロックをその後、冷媒溝、ネジ付挿入部等を必要に応じて含む、外形寸法及び輪郭に仕上げ研削するブロックとすることができる。“ポリマーコンクリート”として既知の、好適なポリマー複合材料は、工作機による高周波振動を、ワーク安定面を介して、素早く吸収するという、(本発明のシステムに関して)必要な特性を有する。各ポリマー複合材料製保持体は、真の“振動吸収する不動体”であり、振動減衰にゆっくりと反応し、内部で振動が伝搬し、金属体自体内で反響する導管である金属とは異なる。本発明のシステムで使用するポリマー複合材料は、金属(鉄鋼、鋳鉄、アルミニウム等)又はガラスのように“リンギング”しない。同時に、ポリマー複合体の成形性及び機械加工性により、ワークに合う高精度な曲線に対する、正確で滑らかな加工寸法となる。本発明の保持体に適した成形可能なポリマー複合材料としては、市販のポリマー複合材料、例えば、アイティーダブリュー・ポリマー・キャスティング社(ITW Polymer Castings Inc.)製のAnocastブランドのポリマー複合材料が挙げられ、Anocastには、高強度エポキシ樹脂、石英集合体及び特定添加剤を含んでいる。
【0026】
高性能伝熱板を、好適にはCu又はアルミニウム合金製とし、これを、熱的に密着させるために、ワークの安定面に対して押上げる。フィンを、伝熱板の底部側に配設してもよい。フィンを、保持体の面の冷媒溝に収まるよう、寸法決め及び構成する。Oリング又は他の密封要素を、溝又はチャネルの縁部に配置して、密封を維持し、それにより冷媒が漏れてワークと接触しないようにする。当然ながら、用語“冷媒”又は“冷却”を使用した場合、流体により、必要に応じてワークを加熱又は冷却できる。
【0027】
冷媒流量を、好適には一定の流量に制御するが、工具が次第に鈍化する、或いは異なる工具を、機械加工の様々な段階で使用し、異なる熱出力を生じる場合に、冷媒流量を変更できる。機械加工サイクル中に、コントローラの温度センサで、温度上昇を計測した場合、MPCは、冷温装置を作動させて、熱伝達流体を冷却し始める。この冷流体が伝熱板の下を循環すると、伝熱板がより低温になる。機械加工の熱エネルギーでワークの温度が上昇すると、温度勾配が大きくなり始める。勾配が大きくなると、熱エネルギーがワークの高温箇所から低温の伝熱板に伝達される。熱エネルギーは引き続き、伝熱板から冷流体に伝達され、該冷流体は溝を通り、それから流体搬送ラインを介して冷温装置へと圧送され、該装置で、熱エネルギーを、雰囲気又は他のヒートシンク(例えば、冷却塔)に伝達する。温度勾配が大きくなると、MPCは次第に冷媒流体の温度を下降するよう求め、そのため更に熱エネルギー伝達が早まる。このプロセスを平衡状態に達するまで継続し、平衡状態では、機械加工からの熱を、熱が発生すると直ぐに伝達して、ワークの温度をできる限り、予め選択したデータ、例えば、68°F近くで維持する。このように、本発明のシステムによりワークを、様々な異なるサイズ及び形状のワーク、切断加工のカッター、速度、送り、及び深さ、及び他の様々な種類の機械加工に亘り、等温に維持する。
【0028】
本発明の等温ワーク保持システム及び方法により、結果的にワークの滑らかな表面仕上げを作成し、それ以降の手動による再加工及び関連する製造コストが不要になる。手動による再加工を排除することで、必須となる再検査やそれに伴う製造コストを排除できる。本発明の等温ワーク保持システムでは、ワークの裏面に沿って連続的な支持を提供し、該支持により薄断面のワークを強固に、従って極めて正確に、機械加工中、保持する。よって、ワークの厚みに関して、極めて精確な制御を達成できる。
【0029】
その結果、本発明のシステムにより、機械はより高速で切削深さをより深く切削可能になり、それによりでサイクル時間及びコストの両方を削減できる。また、剛性及び精度を高めることで、本発明のシステムは、ワークの寸法精度、及び機械加工作業全体の再現性を向上できる。これにより、個々のワーク品質が向上し、複数の同様な片についての実行一貫性が向上する。本発明の等温ワーク保持システムにより、毎回寸法公差を満たす、或いは寸法公差に関して優越するように、ワークを機械加工可能になる。
【0030】
本発明の別の利点は、本発明が、製造コストを最も効果的に削減する方法であるという点、及び可能な限り低コストで製造する方法を提供する最も信頼できる道である点である。本発明の別の利点は、本発明により、機械加工中にワークの温度を一定(等温)に維持する点である。これにより、あらゆる可能性のある源から生じる熱によるTCEの変化が、ワークに影響を及ぼし、許容可能な寸法公差範囲外にすることを、防ぐ。本発明をそのまま、現在整っている工作機械産業に、複雑な、特注の、入手不可能な構成要素なく、適合する。当業者は、本発明のシステムの構成要素については、他の用途下で、既に個別に立証されており、商業的に利用可能であることは容易に理解できる。また、本発明のシステムの組付、取付、運転コストは、大きく高価な不良ワークのコストと比べて、僅少である。
【0031】
本発明のシステムは、取付後直ぐに、効果的に運転可能である。新設計又は新形状のワークの機械加工を始動する際には、本発明のシステムの初期自己“調整期間”がある。この調整期間に、一度一時的に温度が、所望のワーク等温基準温度より3〜5°F上昇してもこれを許容し、それによりコントローラが、調整を実施中の特定の機械加工プロセスについて、この種類のワークの熱応答を定量化し、マッピングできるようにする。初期の切削では、片体を粗削りするため、ワーク寸法における、付随して発生するTCEによる変化は、重要ではなく、つまり後続の機械加工の精密段階に関係してくる。
【0032】
単一のワークを隅々まで調整すると、それ以降の同様又は同一のワークに対しては、其々初期調整ステップを行う必要がなくなる。MPCのCPUで、切削が進むに従い、熱プロファイルデータを受容して、そのデータを使用して、熱応答をマッピングし、その結果を、MPCデータベースへの入力及びアプリケーションのプログラムアルゴリズムの1つとするが、該アルゴリズムによって、冷媒システムの運転、例えばポンプ循環及び冷媒流体容積流量を制御して、ワークを等温状態に維持する。その後、通常運転では、本発明のシステムのコントローラにより、絶え間なくワーク温度を維持するのに必要なあらゆる変化、例えばカッターが次第に切味が鈍くなった場合等に、適応する。この自己調整プロセスは製造を中断して行うものではないため、生産性が向上する。
【0033】
以下の説明では例証として3軸機械に関するが、当然ながら、本発明のシステムは、容易に5軸のシステムにも適応し、該5軸システムでは、ワークを少なくとも2軸で回転可能にする。また、本発明のシステムについて、例として、単一の温度センサを利用し、該センサをワークに接触させて、直接温度を測定すると共に、測定信号をコントローラに、ワーク全体を十分代表する温度プロフィールとして、送信する(単一温度入力は、簡易制御システムで使用可能である)一方で、複数の温度センサ、又は接触式抵抗温度装置(RTD)又は熱電対以外のセンサを、使用でき、ワークの形状によっては、好ましい場合もある。
【0034】
本発明の別の利点は、本発明は、三次元及び同様のワークを保持するのに必要又は所望する如何なる保持体形状群にも、容易に拡張可能な点である。大型部品用ワークホルダとして大型の複雑なアルミニウム又は鉄鋼製治具を構築するのに、現在、数週間のリードタイムが必要であるが、本発明のシステムは、数日で直ぐに構築できる。別の利点は、工具の鋭利な刃先には継続的なビビリの被曝よるつぶれが出ないため、切削工作機械が長持ちする点である。本発明のシステムのこうした利点全てで累積的に、許容できない(不良な)ワークを戻して手動で再加工して表面仕上げ仕様に合わせる必要性を排除し、更なる再検査ステップも排除する。本発明の更なる目的及び利点について、図面及び関連する説明の検討から明らかになるであろう。
【0035】
このように、先行技術とは対照的に、本発明のシステムは、ポリマーコンクリート製ワークホルダを用いており、該ホルダにより、複雑な形状もより速く形成して、様々形状のワークと精確に合致でき、ワークを広い領域に亘り精確に強固に支持でき、ワークホルダの循環流体を使用して、高性能な伝熱板を加熱又は冷却し、該伝熱板をワークと伝導接触させ、ワークを機械加工するために適所に強固に、一連の離隔した機械的クランプによって、又は好適には、完全に安定面で真空吸引するシステムによって、保持し、単一の接触式伝導温度センサを使用して、正確に直接ワークの温度を測定し、それにより等温冷却/加熱制御システムの運転を簡素化できる。
【0036】
また、本発明の等温ワーク保持システムを、航空宇宙機用精密部品組付のための等温治具に適用できる。本出願では、保持体を、特に、個々の要素を互い(治具)に対して精確な位置に保持して、ドリルによる開穴、リベット打込、接着、溶着等を行うよう、構成するが、該保持体を治具装置に、特別な等温導管及び上記で開示した真空クランプ機能を使用して、設ける。
【0037】
また、本発明の等温システムは、大型のガントリ式フライス盤で使用するリニア誘導モータの磁石であり、固定した機械ベッド及び/又は移動するガントリで永久磁石及び電磁石の両方で使用する該磁石に対して、挿入体を提供する、ブロックを保持するのにも適用できる。冷却導管及び伝熱板を、冷媒流体循環システム、ポンプ、及びコントローラと組み合わせて、磁石によって増大した熱エネルギーを効率的に回収し、熱が機械フレームを通り、基準面、そこからワークへと移動するのを防ぐ。
【0038】
TCEによる変化が、航空宇宙機構成要素の外面、例えば翼スキン等から構造的に支持する縦通材、桁等に、盲穴を開けるのに影響を及ぼすという問題を解決するために、磁気ロケータシステムにより、自動化したロボットのようなリベット打ち機で、縦通材、桁、及び他の構成要素の中心線を正確に位置付けし、それにより調整を、その場で、予め設定したドリル開穴パターンに行い、組付中にTCEに起因する部品膨張又は収縮を補償できる。
【0039】
当業者には、本発明のシステム及び方法が、広範囲な特定用途に適合可能なことは、明らかであり、該特定用途の全てを、本発明の範囲に包含するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1A】本発明の1実施例によるワークホルダの平面図であり、ワークを垂直に保持して、これを示している。
【図1B】例示的な、本発明のワーク保持及び組付システム用制御装置であり、この例では、負のフィードバック温度制御ループとした図である。
【図2】図1Aの2−2線に沿った本発明のホルダの縦断立面図であり、垂直なホルダ体、ワーク、熱エネルギー伝達要素、内部真空ライン及びクランプ部材を示す。
【図3】垂直にしたワークを、本発明の方法に従い、機械加工及び寸法検査サイクル中に、温度を安定化させる場合に従う、一連のステップを示すフローチャートである。
【図4】水平に配向したワークを、本発明の方法に従い、機械加工及び寸法検査サイクル中に、温度を安定化させる場合に従う、一連のステップを示すフローチャートである。
【図5】図6の5−5線に沿った、等温アセンブリ態様における本発明の第3の、別の実施例の縦断面図であり、上下可動延長要素を有するワークホルダにより垂直ウェブを桁コード及びリブに組付する方向に維持して、これを示している。
【図6】図5の6−6線に沿った、該第3の、別の実施例の水平断面図であり、延長要素を有するワークホルダを、進退両位置で示している。
【図7】本発明の、第4の別の実施例の端面図であり、複数の水平な縦通材をスキンパネルワークに、ワークホルダ体、熱エネルギー伝達要素、及び内部真空ラインを介して、正確に位置合わせして、これを示している。
【図8】本発明の、第5の別の実施例の端面図であり、機械ベッドには逆にした熱エネルギー伝達アセンブリを有し、それにより該機械ベッドを等温に維持し、該ベッドでワークを支持する本発明の別の実施例を支持するようにして、これを示している。
【図9】本発明の、第6の別の実施例の端面図であり、熱エネルギー伝達要素を、リニア誘導モータの上下両半分に隣接させて、これを示している。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明の目的、特徴及び効果について、添付図と関連して検討すると、一層良く理解できるだろう。添付図では、複数の図を通して、同じ参照文字により同じ或いは同様の部分を示す。
【0042】
以下の詳細な記述では、本発明について、例証として、本発明の同等物又は原理を説明するが、本発明の範囲を限定するものではない。この記述により明確に、当業者が本発明を作製及び使用することを可能にし、同記述では、本発明の幾つかの実施例、適用例、変更例、変形例及び用途について記述し、本発明を実施する最良の態様であると現在信じられているものも含む。特に、本発明について幾つかの実施例で示すが、其々、特定の機械加工タスク又は特定の種類の運転に適用した際の、本発明のシステム及び方法を例示的に最良の態様で適用したものである。
【0043】
これに関して、本発明を幾つかの図面で示し、十分細部に亘り示すものではあるが、多数の部品、それらの相互関係及びサブコンビネーションについては、単一の特許様式の図面では、完全には説明できない。明確且つ簡潔にするために、幾つかの図面を、図式的に示す、又は開示する本発明の特定の特徴、態様又は原理の記載に対して、該図面において必須でない部品については、省略している。よって、1つの特徴に関する最良の態様の実施例を、1図面で示してもよく、別の特徴の最良の態様を、別の図面で付記してもよい。
【0044】
第1実施例、平坦で複雑なワークの機械加工:
図1A、図1B、及び図2では、本発明のワーク保持システム装置10を示しており、該装置10により逆L字型のワーク32を垂直に機械加工のために保持している(フライス盤及び工具カッターは図示せず)。本発明のシステムには、保持体アセンブリ12、真空/機械的クランプシステム14、及び閉ループ熱制御システム16を含む。
【0045】
保持体アセンブリ12には、基体20を含み、該基体をフライス盤71の可動又は静止ベッドに載置して、ボルト102で固定し、ワーク32を、その脚部32aで、ダブテール端部32bによって立てた状態に、配置する。端部32bを、ボルト33で基体に固定したダブテールクランプ25で保持する。保持体21と保持体延長部22を、上下に嵌合整列させて、脚部32bの表面32cに隣接させる。ワークの形状によって、延長部を複数片で、基体を20とし、21と22両方を延長部として、構成してもよい。保持体21と保持体延長部22には、複数の一体化した皿頭貫通孔23を有し、該孔により、抑えボルト(明瞭化のために図示せず)を挿通させて、基体部材20に成型又は定置したネジ付挿入部23a内に固定する。基体、保持体、及び延長部で共に、逆L字型のワーク32をしっかりと強固に、垂直に保持する。
【0046】
保持体21と延長部22により脚部32aを、真空又は/及び機械的クランプシステム14で保持する。真空によるクランプを、両保持体と一体化させた複数の真空導管24を介して行う。複数の、一般的には断面が略半円形の、シール溝31を、保持体21、22に、それらの周縁部付近で、一体的に機械加工或いは定置し、弾性シール部材30を収容する。これらのシール30、31で、複数の伝熱板27の周辺部を形成する。弾性筒状シール30、筒状シール溝31、真空導管24、真空マニホルド・アセンブリ24a、24b、24c、24d、及び24eを共に機能させて、真空ポンプ44により、空気をワーク32の裏側から排出可能にする。また、クランプバー25により、適所にワーク32を保持するのを助ける。このようにして、複数の真空及び機械的クランプ部材を、ワーク32の水平長の少なくとも1面に沿って、配設する。
【0047】
閉ループ等温アセンブリには、保持体21及び延長部22に複数の流体溝、チャネル又は導管26を備える。V字形溝として一例として示したこれらの流体チャネルを、水平、平行、離隔させた配向で設ける。各溝の開口面を、熱伝導又は伝熱板27で閉鎖し、該伝熱板の外面27aを、流体圧力及び真空クランプによって、ワーク面32cと対合接触した、密着状態に維持する。伝熱板27には、熱伝達を助けるために溝内に突出する1個以上のフィン43を含んでもよい。熱伝導率が高い流体28を、流体導管26を通して、全ての熱放射体要素43及び全ての伝熱板27に循環させる。液体搬送ライン47及び循環ポンプ45により、閉ループ液体循環回路を形成し、該回路では流体28を連続的に冷温装置40を通して移動させて、流体28を加熱又は冷却して、ワーク32を等温度に維持する。ワークの実際のリアルタイムの温度を、温度検知装置29(センサ)でモニタし、該温度検知装置により、コントローラ95の温度コントローラ接点96に入力信号を送る(図1Bを参照)。
【0048】
真空クランプシステムと閉ループ加熱/冷却システムとで共に、強固に等温度で、ワークを安定させる;表面32cを、安定面と呼ぶ。反対の面32dを、加工面とし、工具でフライス削りする。この治具は、“単一ロード”治具として当該産業で既知のものである。ワークを一旦ロードすると、全てのフライス作業を、連続運転で同じワークの複数の面に、その位置で実行する。このようにして、表面32dを、上角90度から約1/3下までフライス削りする。また、小面32e、即ち32cに垂直な遠縁部もフライス削りする。
【0049】
図1Bは、機械加工中及びアセンブリ工程中両方の、本発明のワーク保持システムのための例示的な制御システムの略ブロック図である。この実施例に関して、図1Bでは、負のフィードバック工程制御ループについて概説しており、該ループは、左側で矢印で示したように、所望温度設定点、一例として、68°Fから成る。合計接合点96は、ライン29bを通り検知装置29から設定点温度とワーク温度信号の差を示す信号を出力する。この温度差信号出力を、モデル予測コントローラ95の入力に送信し、該コントローラ95で処理して、変調制御信号を冷温器40に送信する。冷温器40は、高熱伝導性流体28を加熱又は冷却するが、該流体28は、循環ポンプ45を介して流体導管47を通り、ワーク保持体20の導管26へ/から流れる。伝熱板27は、ワークと接触して、該ワークを等温に保つ。温度検知装置29により、信号を導線29aに沿って送信し、合計接合点96に戻す。機械加工のために所定位置にあるワーク32を保持する真空ラインについては、明瞭化のため図示していない。また、コントローラは適切なオン/オフ/ポンプ流量信号を、ポンプ45に送信する。温度と設定点バイアス信号を継続的に受信すると、MPC95は引き続き、その信号を変調して冷温器40及びポンプ45に送り、ワーク32の温度を、できる限り等温近くに維持する。勿論、制御技術の熟練者は、多数の市販されている制御システムの何れか1つを本発明のシステムに用いるのは当然であること、及びかかる制御システムを容易に構成する、或いはこの特定な用途用に他に設計することを、認識するであろう。
【0050】
図2は、図1の装置の縦断面図であり、基体20と保持体延長部21により垂直にワーク32を保持して、これらを示している。1組のクランプ部材のみを、例として示している。ダブテールクランプ用ブロック25(裏側のブロック)を、ボルト33により適当な位置で、ダブテール32bの面の裏側で保持する。シリンダ34は、基体20内で、球面継手36を動かすシャフト35を、伸縮する。これらの要素により、表側のダブテールクランプ用ブラケット38を、丸みを帯びたピボットボス37周りに、ダブテール32bの外面に対して回転させて、表側(図2の左)からクランプを完了させる。保持体21には複数の皿頭貫通孔23を有し、該孔により抑えボルト(明瞭化のため図示せず)が、基体ホルダ20に固定可能となる。また、温度検知装置29(溝29aに配置)も示しており、該装置によりワーク32の温度を測定する。
【0051】
運転:
運転中の、本発明による、L字型航空機用押出アルミニウムワーク32の垂直面を機械加工する方法について、一例として、装置に関しては図1A、図1B及び図2を参照して、方法ステップに関しては、図3及び図4を参照して、これを示す。
【0052】
準備ステップとして、ワークの裏面32c(ステップA〜C)及び/又はワーク32の底面32b(図4も参照)を、平坦に機械加工して、他の表面を機械加工するための基準面として役立てる。この基準加工を非等温で行ってもよいが、等温冷却/加熱する際に、これらの平面を、上記で定義したように、安定面とする。この“押出したような”L字型の面寸法をしたワーク32では、十分には正確でなく、仕様に機械加工せずには、基準面としての役割を果たさない。また、通常、1つの単一寸法の押出部32を、多くの異なる寸法の縦通材にフライス削りする。よって、単一ロード位置に本発明の治具で保持するため、表面32cが、機械加工時に、基準面となる。従って、表面32cをまず、基準加工する必要がある。
【0053】
続いて図3の、ステップA〜Cでは、ワーク32を、ダブテールクランプ25、30を介して、基体20にロードし、適所にクランプするが、該クランプにより、ワークを保持体21の伝熱板27及び弾性筒状シール30に対して圧し付ける。次に、真空ポンプ44のスイッチを入れて、ワーク32を導管24によって保持体21に対する正しい位置に引付ける。これで、ワーク32の表面32dの下半分を、適切な形状、且つ高精度仕様に仕上げ加工して、これ以降の全機械加工の基準寸法にする。
【0054】
真空による抑えを、オフにする或いは解除する、ステップD。保持体延長部22を、保持体21の上に載置して、容易に保持体21にボルト締着可能にする、ステップE。保持体21と保持体延長部22の両方には、複数の整合して一体化した皿頭貫通孔23を有し、該貫通孔を一定間隔で、長さに沿って配置し、最大限に強固に機械的に接合する。多数のボルト(図示せず)を、これらの皿頭貫通孔23に挿通して、基体20に取付けた合わせナット23aに入れて締着する。保持体延長部22の前面で、保持体21の寸法基準面を延長する。真空を次に、真空ラインを介して、保持体延長部22と一体化した複数の真空導管24に更に送る。真空ポンプ44を再開して、ワーク32の基準寸法面を、残りの機械加工サイクルのために保持体延長部22の寸法基準平面に対してしっかり引き付ける、ステップF。クランプを固定する、ステップG。流体システム16の循環ポンプ45をオンにして、連続的に高熱伝導性流体28を再循環させる一方で、残りの機械加工及び“機上検査”を、ワーク32を移動させずに行う、ステップH、図3。
【0055】
ステップIでは、機械加工プロセスからの熱エネルギーがワーク32を加熱し始めると、温度検知装置29は対応する温度上昇を記録する。温度検知装置29からのT−増加信号を、遠隔にてMPC、“コントローラ”に接続し、該コントローラにより、出力信号を冷温器40に提供して、高熱伝導性流体28の冷却及びポンプによる圧送を、多岐管ライン47及びチャネル26を通して、開始する。ワーク32の温度が次第に上昇して、68.0°F設定点温度より+1.0°F高くなると、コントローラは、冷温器40に信号を送信し、次第に高熱伝導性流体28の温度を下げる、及び/又は冷却流体流量を増大させる。温かくなったワーク32と、冷たくなった伝熱板27との間に温度差があると、熱エネルギーは高温から低温へと流れ、熱エネルギーをワーク32から伝導する。このプロセスを、ワーク32からの熱エネルギーの流れが、冷温器40の凝縮器コイルから大気への熱エネルギーの流れと等しくなる平衡に到達するまで、継続する。
【0056】
ステップJでは、機械加工プロセスを粗加工パスから仕上パスに移動すると、遥かに少ない熱エネルギーがカッターにより発生し、従ってワーク32への熱エネルギーの流れも、次第に衰える。同時に、熱エネルギーは引き続き、依然として高温のワーク32から低温の伝熱板27へ、より低温の熱放射体要素43へ、冷温器40へと、ワーク32の温度が設定点を超えた分の+1.0°Fが下がるまで、流れる。この時点で、流体導管26を通り循環し、冷温器40を通過した高熱伝導性流体28の温度は、ワーク32の温度と略等しく、これは殆ど差温がないに等しい状態であり、そのため、次第に、熱エネルギー伝達が最小となる。この時点で、全ての機械加工が終了するが、閉ループ液体再循環システム16は引き続き、68°Fで等温流体を、冷温器40から循環させて、ワーク32の検査中も、ワーク32の温度を等温に維持する。
【0057】
ステップKで、ワーク32が検査を通過した後、閉ループ液体再循環システム16のポンプを閉める、ステップL。最終切削パスが済むと、余分なダブテール物質からワーク32を離す、ステップM。真空ポンプを閉じ、保持体延長部22を防振せず除去する、ステップN、及びワーク32を支持する残りのダブテールから取り外す、ステップO。残った余分なダブテール・ストックを防振せずに、全ての残チップと共に除去する、ステップP。
【0058】
水平にしたワーク用の運転方法について、図4に示す。ステップA’では、ワーク32の底部側を平坦に機械加工して、それ以降の全ての機械加工する面のための、基準面として役立てる。未加工のワーク32を、ワーク保持システムの上に平らに、底部側を上に向けてロードする。その後、ワーク32の位置を、適切に配置した側部クランプを締めて、位置決めする、ステップB’。次に、真空ポンプ44をオンして、ワーク32を、伝熱板27に対してしっかりと引付ける。ここで、上向きの“底部”側を平坦、直線及び滑らかに機械加工する、ステップC’。真空ポンプ44をオフにし、側部クランプを解除し、ワークをワーク保持システムから外す、ステップD’。ワーク32を上向きに再度ロードし、ステップE’、これを平坦で、真直ぐな及び滑らかな底面が保持体21に接触させて行う。次に、ワーク32を、側部クランプを再度締付けして、再度位置決めする、ステップF’。真空ポンプ44を、オンに戻す。ステップG’では、循環ポンプ45をオンにして、機械加工中、継続的にワークを冷却し、検査サイクルを、ワーク32を移動させずに、実行する。図1〜図3を参照して上述した温度制御及び加工順序を次に、ステップH’−N’として、繰り返す。
【0059】
本発明の等温ワーク保持システムは、図3のステップJ〜Pのフローチャート、及び図4のステップI’〜N’で見られるように、その場でワークの温度を、機械加工中に、必要に応じて、加熱又は冷却可能である。ワーク、機械ベース、及びワークを保持する治具の温度を制御して、部品の不所望な結露を防止する。通常、68°Fの温度は、多量の結露を発生させるに十分低温ではないが、極端な湿度状況又は/及び高相対湿度であれば、設定点温度を上げて、運転の妨げとなる可能性がある結露を防止又は低減する。変形例では、除湿装置を、機械加工作業付近で、使用してもよい。通常、このシステムでは、熱平衡に、理論上の設定点温度68.0°Fで、又は近くで、到達する。
【0060】
本発明のワークホルダシステムの更なる効果及び機能は、ビビリを引き起こすワーク37の振動を迅速に防振することである。ホルダ基体20、保持体21、及び保持体延長部22を、最も好適には、高防振特性を有する剛性材料から形成する。現在好適とするポリマーコンクリート材料を、必要な特性を有する材料の例とするが、これを唯一の材料とするものでなく、従って材料を制限するものでもない。適当なポリマーコンクリートは、ペンシルベニア州、モントゴメリービルのアイティーダブリュー・フィラデルフィアレジンズ社(ITW/Philadelphia Resins Corporation, Montgomeryville、PA)から入手可能である。ポリマーコンクリートの一般的なカテゴリ下の同様な製剤が、PoIyCAST等、様々な商標名で販売されている。この分野に熟練した者は、このクラスの材料について、該材料が、工作機械、精度検査機、光学テーブル、半導体レーザ描画装置支持体、及びレーザ光学及び高エネルギー光学研究用ベンチの、基体及び支持構造体で既に使用されていることを、認識するだろう。しかしながら、これまで、こうした材料を、ワーク用支持体として、及びワークと直接接触させた状態で、使用してはいない。好適なクラスのポリマーコンクリートは、体積及び重さが制限されない限り、ゼロスランプのコンクリートと同じ方法で、様々な形状に成型できる。圧縮荷重(しかし引張でない)では、該ポリマーコンクリートは、高密度で、微粒子のミーハナイト鋳鉄と同様な圧縮強度を有する。
【0061】
別のクランプシステムを本発明で利用してもよく、例えば、一体化した位置決めピンを、本発明によるワークを保持する機械的クランプと関連して使用してもよい。でなければ、位置決めピンを、真空による抑え、又はこれらの変形例の任意の組み合わせと関連して、使用してもよい。
【0062】
第2実施例、航空宇宙機翼桁の機械加工及び組付への適用:
本発明のこの第2実施例では、ステップ1として(図1〜図4を参照)、翼桁コード50、翼ウェブ52を含む全てのワークを、本発明の振動を防振する等温ワーク保持システムによって、一貫加工する。
【0063】
図5及び図6では、本発明の保持システムを、等温アセンブリ治具として構成して、各ウェブ52の、桁コード50a、50b、フランジ51a付リブ支柱51への正確な機械的位置合わせを維持する一方、仮止め具54を、自動リベット打ち機(図示せず)によって、自動的に取付ける。通常数より少ない仮止め具54を張着し、支柱をウェブ及び桁に保持する。注意すべきは、桁コード50a、b及びウェブ52を、真空チャネルによって固定し、上下ワーク保持体21U、21L、及び可動ワーク裏側支持部55の熱冷却システム26、27によって、冷却する。この本発明のアセンブリ装置により、公称周囲温度変化に関係なく、ワークを等温、精確に位置合わせした状態に維持する。ポリマーコンクリートの振動減衰特性により、自動リベット打ち機で、止め具を正確に、再現可能に張着する。この実施例により、周囲温度偏差に起因する公称CTE膨張による変化を、約95%以上排除できる。
【0064】
従って、等温ワークアセンブリ治具システム及び方法のこの実施例に関する更なる利点は、手動で仮鋲止め具を取り付ける費用、及び厄介で不正確な手動による仮鋲止め具の除去を、およそ80%を排除できる点である。
【0065】
具体的には、翼ウェブ52を、2つの離隔した上下翼桁コード50a、50bに対して精確に垂直に位置合わせした状態で保持し、該コードをまた、翼リブ支柱51及びそのフランジ51aと位置合わせした状態で、翼長に沿って離隔して保持し、主ワーク保持体21U及び21Lを、翼ウェブ52の上下周縁部に沿って配置して、コード部材50a、50bを精確に位置合わせした状態に維持する。ワークホルダ体要素21U、21Lを適所に、基体20、明瞭化のため図示しない挿入部及びボルトで、固定する。一連55L−a…55−hの水平方向に可動なワーク保持体要素55U及び55L(図6参照)を、基体20の端壁部に、該要素自体に、及び任意には、上及び/又は下で広がる保持体21U、21Lに、スライダ100(図6に図式的に見られる)により固定する。
【0066】
好適には、しかし任意に、翼ウェブ長に沿った保持体アセンブリ20、21、55の少なくとも幾つかの部分では、中心アクセス用空隙部56を設ける。これらの可動要素55を、保持体21Uと21Lとの間の全体又は部分的な高さとしてもよい。これらの可動部分55U、55Lを、止め具54へのアクセスを可能にするのにウェブ52の裏側へのアクセスが必要な箇所に配置して、該可動部分を進退可能にすることで、必要なアクセスを可能にする。文字Vを付した矢印で、真空導管24の真空システムへの接続を示す。伝熱板27を有する複数の流体導管26を、ワークに接触するように配置して、該ワークを必要に応じて冷却又は加熱する。冷媒28を、導管26を通して、フィン43及び伝熱板27に接触させて、循環させるが、該フィン及び伝熱板を、真空により各翼桁コード50a、50bと熱的に接触させて保持する。複数のシール要素と溝30、31を、翼桁コード50a、50bと接触する保持体21の面の外縁部に隣接して定設する。
【0067】
温度センサ29により、各上下桁コード50a、50bの温度を測定し、その導線29aをコントローラ(この図では図示せず)に引き回す。保持体21の上下部分55U、55L両方を、保持体に及びホルダ基体20の端壁に成型した、頑丈で強固なスライド機構(工業用強度の引出式スライド)と、嵌合させる。これにより、個々の可動裏側支持部55は、各保持体21との精確な位置合わせを維持できるが、依然としてウェブ52の裏側に対して1軸(ここでは水平方向に)並進して、それ以降の作業位置を支持できる。各可動裏側支持部55の前面には、一体的な離間空隙又はポケット49を有して、止め具が、止め具54を取り付ける際に真空密封を損なわずに、該離間空隙に突出可能にしている。
【0068】
本発明の組付方法の一連のステップの例は以下の通りである:全ての可動裏側支持部55を、基準面から引き戻して、各保持体21の上下面に対してウェブ52を容易に挿入可能にする。次に、可動裏側支持部55を、精確に整列した位置に移動させ、真空を作用させて、可動裏側支持部55の面に対してウェブ52を引付ける。冷媒を、導管26を通して圧送する。次に、下桁コード50aを、保持体21の下側の裏縁部基準面に対する位置合わせした位置に、全長に沿って真空シール部に包装に接触するまで、配置し、それにより真空で桁コード50aを、アセンブリサイクルのバランスのために、保持体21の寸法基準面に対してしっかりと引き付ける。
【0069】
下桁コード50aを移動させずに、組付シーケンスの先の4ステップを、今度は上桁コード50bに対しても繰り返す。次に、全てのリブ支柱51を、仮止め具54で取付けるが、剥離可能なシム53を、必要に応じて、使用してもよい。最終整列位置の精度穴を、ドリル開穴し、リーマで広げた後に、リブ支柱51を保持するクランプを除去し、桁コード50a、50bを保持する真空を解除する。これにより、これらのワークは次のステップに備えて、該ワーク間の十分な間隙を確保できる。
【0070】
その後、これらの可動裏側支持部55を今度は、前方に延伸させて、真空を再び作用させて、ウェブ52とのアライメントを、アセンブリの全部分で再確立する。
【0071】
次に図6を参照すると、これらの最後の2ステップを、次の隣接する個々の可動裏側支持体55に対して順次繰り返すが、55L−aから開始し、3番目又は4番目毎の55L−c/d、そして55U−h等へと連続的に、選択した個々の可動裏側支持体55Uに対して、アセンブリ全長に亘り、移動させる。可動裏側支持体55の第1組で真空を解除し、該支持体を後退させる。自動組付機械により、次に残りの全開口穴をリーマで広げて、止め具を挿入して、それからリブ支柱51を第1部分の桁コード50a、50bに保持する止め具を含む、残りの止め具54の全てを締着する。また、自動組付機械により最後の2個のテーパー・ピンを除去して、穴を寸法までリーマで広げて、その部分の最後の2個の本止め用の止め具54を挿入する。可動裏側支持体55の第1組を、今度は前方に延伸させて、真空を再び作用させて、アライメントを再確立する。これらの最後の5ステップを今度は、各可動裏側支持部55部分で、アセンブリの全長に亘り連続的に繰り返す。最終的に、循環ポンプ45と真空ポンプ44を両方とも閉め、全真空を解除し、全ての可動裏側支持部55を、邪魔にならない場所にまで後退させ、完成したアセンブリを、本発明の等温振動減衰ワーク保持システムから除去する。
【0072】
第3実施例、航空機スキンパネル製造への適用:
背景を通して、歴史的に、航空機の翼は、大型の可とう性の曲線をした外部パネル(スキンと呼ぶ)を、リベットで、縦通材に止めて、組付する。作業全体は、3つの異なる段階で行われる。
・段階1では、全てのワークを手動でワーク治具にロードし、該治具により全ワークを、Y軸上で1インチにつき±0.030、X軸上で1インチにつき±0.060以内で、略相対的に位置合わせして、保持する。その後組付作業者は、手動でドリル開穴し、全ての止め具のうち初めの10−15%を取付けて、仮止め具(鋲止め具と呼ぶ)を定置して、各縦通材を翼スキンに取着する。
・段階2において、自動化した組付作業を開始する。ビジョン誘導システムを利用した自動リベット打ち機によって、スキン外部の第1鋲止め具の位置を検出する。リベット打ち機はこの位置を基準点として使用して、縦通材に沿って本止め用止め具のための穴をドリル開穴する位置を調節する。
・段階3において、作業者は、次に、半分完成したアセンブリを、最終段階領域に移動させ、そこで仮鋲止め具を、厄介な、限られた空間の縦通材側(翼の内部)から除去する。作業者は本止め用止め具を、予めドリル開穴した鋲止め具穴に手動で挿入し、張着するが、よくある状況として、経験の浅い又は疲労した作業者が、アセンブリの下面を損傷する場合がある。そうした損傷は、不可能ではないにしろ、修正するには極めて費用がかかる。極めて高価な翼アセンブリを、そうした類の作業者による誤りのために、段階3で日常的に廃棄している。
【0073】
縦通材がスキンとズレる問題を、全縦通材とスキンパネルとのアライメントを維持しつつ、全止め具を自動的に取付ける、アセンブリ治具装置の形の本発明及び方法によって、解決及び克服できる。本発明により、公称周囲温度の変化に関係なく、全てのワークを等温に維持することによって、全部品のズレを排除する。依然として存在する僅かな温度偏差では、結果的に極僅かにTCE寸法が変化するだけである。本装置の振動減衰能力により、自動機械で止め具を、正確に再現可能に張着可能となる。
【0074】
図7は、精確に翼スキンを縦通材に固定する本発明のワークアセンブリ治具の端面図であり、該治具を縦通材58を精確な位置に保持する縦通材支持部57と、スキン60を略水平位置で保持する曲線のスキン支持部59とで構成している。これら両支持部を、ワーク保持体に関して上述した、ポリマー複合材料製とする。図示するように主構造体、支持体又は保持体21が存在し、それらにより精確に縦通材支持部57とスキン支持部59とを、複数のスロット61(縦通材及びスキン支持部にある)と保持体21の長さ内及び長さに沿って定置又は成型した挿入部63に螺入する横ピン62とを用いて、互いに対して位置合わせした状態に維持する。ホルダ基体20を、ワークアセンブリ保持体21を保持して、示している。当業者は、片持ち又は架空吊り下げ支持組付を、容易に実施し、保持体を任意の所望する方向で維持できる。各縦通材57及び各スキン支持部59の個々のスロット61を、異なる高さに位置させて、スキン60の任意の個々の部分の曲線に従うようにする。複数のスロット61其々で、ネジ付横ピン62を受容し、該横ピンには、スロット61幅と一致する肩部を有し、該ピンを保持体21に成型又は定設したネジ付挿入部63に螺入させ、それにより横ピンを締込んだ際に、縦通材及びスキン支持部57、59を、正しい整列状態に保つ。縦通材支持部57及びスキン支持部59の内部にある複数の真空導管24については、図面の規模のため、図示しない。これらの真空導管24は、上述したものと同じである。各縦通材支持部57及びスキン支持部59にある流体導管26を、スキン支持部59の最上部に及び縦通材支持部57の最上部付近に位置する各伝熱板27と関連させて、配設する。
【0075】
前と同様に、冷媒により、縦通材58及びスキン60を、それらの重さが伝熱板27を圧迫するのに従い、冷却する。縦通材支持部57、及び縦通材支持部57内に埋設した磁気位置指示装置64の物理的位置により、自動リベット打ち機を位置決めして、殆どの仮止め具をスキン60の表側から、ドリル開穴、挿入、張着するための精確な方位を提供する。
【0076】
注意すべきは、各縦通材支持部57、伝熱板27bを伸長して、縦通材58の片側まで延伸させて、縦通材58のL字型の最下部を、スキン60の裏側(組付が完了すると、翼内側になる)に押し付けるのを助ける点である。伝熱板には、自動リベット打ち機によって定置する止め具(リベット)54の位置と対応する切欠部46を含み、それによってリベット頭部用クリアランスを設けるようにする。
【0077】
スキンを縦通材に対して正しく位置合わせした状態で維持するには、複数の筒状シール及び溝アセンブリ30、31を、各スキン支持部59の上面の外縁部に形成/定設する。この外縁部により、各スキン支持部59の面に接する伝熱板27の周囲に周辺シールを形成する。任意で、好適ではなく、本質的には不要であるが、縦通材への真空クランプを可能にするシール及び溝アセンブリを、縦通材支持部57に使用できる。縦通材をその場で機械的にクランプするだけのため、より簡単で、それほど費用はかからない。温度検知装置29により、スキン60の下側の温度を測定する。
【0078】
翼を精確に製造し、スキン60を縦通材58に組付するステップは以下の通りである:精確に位置合わせした縦通材支持部57とスキン支持部59を含む等温ワーク保持アセンブリ支持構造体全体を、該支持部を正しく配置し、ピン62をスロット61に締込むことにより位置合わせする。次に、冷媒流体を連続的に、全組付作業中、マニホルド配管47及びチャネル26を介して循環させる。各精確に機械加工した縦通材58を、伝熱板27及び縦通材支持部57の上面に対して配置する。これらのステップを、この組付を必要とする全縦通材58に対して繰り返す。
【0079】
全ての縦通材58を精確に位置合わせした状態にした後、スキン60を慎重に、矢印Sで示すようにスキン支持部59上に降下させる。等温に機械加工し、冷却した縦通材58を、温度制御したスキン60の底面に隣接させた状態で、次に自動リベット打ち機により、縦通材58の1縁部の隣にスキン60を介して装着した磁気位置指示装置64を、スキャンできる。磁気位置指示装置64を、非磁性アルミニウム製スキン60を通して、スキンの表側から検知する。磁気位置指示装置64は、ここでは、縦通材パッド止め具用中心線穴をドリル開穴するための精確で再現可能な位置合わせのための絶対的基準位置としての役割を果たす。精確に開穴した後に、自動リベット打ち機のビジョンシステムにより、各穴に本止めする止め具を配置及び取付ける。全止め具及びリベットを取付けると、冷媒/真空ポンプをオフにする。完成した翼部分アセンブリを、次に、特別な吊り上げ治具を使用して次の組付ステーションに移動させる。
【0080】
第4実施例、鋼鉄製機械ベッドを等温に維持するための適用:
歴史的に、工作機械のベッド及び構造的フレームは、鋳鉄、鍛鋼品、鋼板、及びポリマーコンクリートの様々な組み合わせから、新たな小型機械の支持基体用に構成されてきた。しかしながら、特に30〜200フィート長の、極めて大型の又は極めて長い機械に関して、そうしたベッド及び構造的フレーム用の通常の材料は鋼板である。しかしながら、如何なる鋼製機械ベッド又は機械コラムでは、振動が治具からワークに極めて効果的に伝わる。鉄鋼のTCEは、航空宇宙機用アルミニウム合金の凡そ半分に過ぎないが、比較的高い。機械ベッド等の長い鋼製構造体の温度は、環境大気温度における変化によって変化すると、これが長さに影響し、従って機械の絶対的な再現精度に影響する。
【0081】
本発明のこの第4実施例には、公称周囲温度変化とは関係なく、再現的に正確な寸法を提供するために、機械の鋼製ベッドを等温に維持する、ワーク保持装置アセンブリ及び方法を、を備える。また、本発明の装置の振動減衰機能は、滑らかに機械加工したワーク表面を作製するのに役立つ。
【0082】
図8は、垂直なスピンドル・ガントリ式フライス盤の、典型的な水平鋼板ベッド71の内側断面を示す端面図である。上側ガントリ、スピンドル等については、明瞭化のため省略している。2つの個別なワーク保持システムを、下側のシステムを逆にした状態で互いに積み重ねている。それらを互いに、そして鋼板ベッド71にボルト締着する。第1の、下側ホルダ体20bを、反転体とする。次に、三角形状のチャネル42の蓋面を形成する複数の伝熱板27を、垂直スピンドル・ガントリ式フライス盤の鋼板ベッド71に熱的に接触させた状態にする。伝熱板27を、既存のベッドボルト穴72間に直接存在させて、機械フレーム/支持体70に装着した鋼板ベッド71へ及びからの熱伝達を最大にするように、配置する。
【0083】
保持体20bは、第1下側等温及び振動減衰システムとして機能する。皿頭貫通孔23を、戦略的に配置して、該保持体をベッド71にボルト締着させる。単一の温度センサ29を、略中心に配置して、ベッド71の温度をモニタする。更に、複数の適当に配置した真空導管24及び底面に外側弾性筒状シール31を存在させて、保持体をベッド71と熱的に接触した状態に固定する。
【0084】
第2の、上側等温振動減衰システム保持体20aを、実質的に下側保持体20bの複製とするが、表を上に向ける。該保持体は、複数の皿頭貫通孔23及び通常の真空導管24、及び伝熱板27を含み、ワーク32a、32bを保持し、ワーク32a、32bと接触する。このようにして、上下保持体20a、20bを纏めてボルトで締着して、等温機械ベッド71上で、単一で強固なワークホルダとしての役割を果たす。
【0085】
第5実施例、リニア誘導モータの等温冷却への適用:
歴史的に、工作機械は電気回転モータ又はリニアモータによって直線的に動作する。これらモータは電流で運転するため、リニアモータは、電気的な、IR熱損失の影響を受け、該熱損失で工作機械のフレームに伝導する余熱が発生する。発生した熱量は、電流がモータを通じて流れる量と直接関係する。大型工作機械は、優に6−10台の2.5KWモータを、重さ90,000ポンドまでの大型ガントリを移動させるのに、必要とし、これらのモータは総計40,000BTUの余熱を発生する。この余熱は、機械フレームを熱的に歪め、その結果、機械のTCEが誘発する熱成長によって再現精度が低下してしまう。本発明の振動減衰等温ワーク保持システムの第5実施例では、リニアモータの電磁石から機械フレームに流れ込む余熱を遮断し、機械の位置合わせの絶対精度を維持する。
【0086】
図9は、機械フレーム軸内に作製した典型的なリニアモータの詳細内断面を示す端面図である。従来のリニアモータを使用する際に、下半分の機械フレーム80で、固定した直線レール90を支持する。直線的な回転グライドブロック89は、固定直線レール90の上を転がり、サイドフランジ89bで固定直線レール90に挟持される。上半分の機械フレーム81を、皿頭貫通孔23を介して、直線回転グライドブロック89に両側で、ボルト締着して、支持する。磁気式リニアエンコーダ92により、下半分の機械フレーム80に対する上半分の機械フレーム81の位置データと速度データの両方を提供する。通常運転では、下側リニアモータ磁石82と上側リニアモータ磁石83の両方で余熱を発する。リニアモータの構成によって、82又は83の1つを、永久磁石ユニットとし、もう片方を電磁石とする。
【0087】
この実施例では、上下熱伝達システム84、87を、其々上下リニアモータ磁石83、82に熱的に密着した状態で配置する。上下温度センサ86、85で、両磁石組の温度をモニタする。磁石によって発生した余熱で、磁石の温度が上昇すると、伝熱板27が余熱を熱放射体要素43へ伝導し、該要素が次に熱を高熱伝導性流体28に伝導する。この余熱を、流体導管26を介して、閉ループ循環装置16へ、冷温装置40へと送り、該装置で余熱を外部通気口に送り、建物の外に出す(図1A、図1Bを参照)。
【産業上の利用可能性】
【0088】
明らかに、本発明の振動減衰、等温ワーク保持システム及び方法は、産業、特に航空宇宙、及び精密設備製造分野において幅広い用途がある、というのも該システム及び方法では、冷却液をワークに接触させずに乾式機械加工のためのシステムを提供し、ワークのビビリを軽減し、隣接する工具パスの高差を最小限に抑え、その結果機械加工が誘発する、致命的な不良を引き起こす可能性がある応力腐食割れや腐食疲労の根本的な原因を最小限に抑制するためである。様々な変更を、本発明の範囲内で、当業者は、本発明の精神、不要な実験をすることなく、行える。本発明は、従って、先行技術が許す限り広く、付記するクレームの範囲によって定義され、必要であれば、本明細書に照らして、あらゆる種類の現在及び将来の本発明の同等物を含むものとする。
【符号の説明】
【0089】
10 ワーク保持システム装置
12 保持体アセンブリ
14 真空/機械的クランプシステム
16 閉ループ熱制御システム
20 基体
21 保持体
22 保持体延長部
23 皿頭貫通孔
24 真空導管
25 ダブテールクランプ
26 流体導管
27 伝熱板
28 高熱伝導性流体
29 温度センサ
30 シール
31 シール溝
32、37 ワーク
33 ボルト
34 シリンダ
35 シャフト
36 球面継手
38 ブラケット
40 冷温装置
42 チャネル
43 熱放射体要素
44 真空ポンプ
45 循環ポンプ
46 切欠部
47 液体搬送ライン
49 ポケット
50 桁コード
51 翼リブ支柱
52 翼ウェブ
53 シム
54 止め具
55 可動裏側支持体
56 中心アクセス用空隙部
57 縦通材支持部
58 縦通材
59 スキン支持部
60 スキン
61 スロット
62 横ピン
63 挿入部
64 磁気位置指示装置
70 機械フレーム/支持体
71 フライス盤、ベッド
72 ベッドボルト穴
80、81 機械フレーム
82、83 リニアモータ磁石
84、87 熱伝達システム
85、86 温度センサ
89 グライドブロック
90 レール
92 リニアエンコーダ
95 コントローラ
96 温度コントローラ接点
100 スライダ
102 ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高熱膨張係数(TCE)材料の基体及び基準ベッドを有する工作機械に用いられ、振動が誘発する誤差又は不具合を軽減しつつ、乾式精密機械加工し、機械的締結構成要素を必要とする高TCE部品を精確に組付し、前記工作機械のベッドを、略等温で、振動伝搬を低減させて維持する、等温、振動減衰ワークホルダ装置であって、該装置には、作用部の組み合わせ:
a)少なくとも1つの振動減衰、低熱伝導率、低熱膨張係数(TCE)のポリマー複合材料製ワーク保持体部材であって、乾式機械加工、組付するワークを正確、強固に構造的に支持するよう、又は、工作機械ベッドを支持するよう構成する前記ワーク保持体部材;
b)少なくとも1つのワークを、乾式機械加工する又は組付する間、適切な位置で確実に保持する、前記ワーク保持体部材に設けた真空導管を備える真空保持システム;
c)前記ワーク保持体において、前記ワーク又は前記工作機械ベッドの少なくとも一面と接する前記ワーク保持体の面に設けられ、熱伝導流体がその中を通過する少なくとも1つのチャネル;
d)前記ワーク又は前記工作機械ベッドを、誤差を誘発する振動伝搬を低減しつつ略等温に維持するために、前記ワーク又は前記工作機械ベッドの少なくとも一部分と熱的に密着した状態に維持するよう配設した前記チャネルと関連して設ける、少なくとも1つの高熱伝導性材料製伝熱板、
を備えること、を特徴とするワークホルダ装置。
【請求項2】
前記チャネルを通り、熱伝導流体を循環させるための流体循環ポンプと、前記流体を加熱又は冷却する冷温装置と、前記ワーク保持体の少なくとも一面と関連して配設する温度センサと、前記ワーク又は前記工作機械ベッドを、予め選択した、略等温の温度値で維持する制御システムと、を含む請求項1に記載のワークホルダ装置。
【請求項3】
前記保持体部材をモジュール式とし、該部材には、異なるサイズ又は形状のワークに適応するよう設ける、少なくとも1つの構成材を備えること、を特徴とする請求項2に記載のワークホルダ装置。
【請求項4】
前記真空保持システムには、前記保持体部材に設けた対応するシール溝で受容するシール部材を含むこと、を特徴とする請求項3に記載のワークホルダ装置。
【請求項5】
機械的クランプ部材を含む、請求項4に記載のワークホルダ装置。
【請求項6】
前記保持体部材を、垂直、水平、及び垂直又は水平と角度を有する、を含む複数の軸方向の、少なくとも1位置でワークを保持するよう構成して、少なくとも1つの前記方向で、ワークを機械加工又は組付可能にすること、を特徴とする請求項4に記載のワークホルダ装置。
【請求項7】
前記伝熱板を、銅又はアルミニウム製とすること、を特徴とする請求項2に記載のワークホルダ装置。
【請求項8】
前記伝熱板を、前記保持体の肩部で、前記流体のチャネルの周縁部に沿って設置すること、を特徴とする請求項2に記載のワークホルダ装置。
【請求項9】
前記肩部には、密封部材を含んで、前記流体のチャネルから熱伝達流体の漏出を防ぐのに役立てること、を特徴とする請求項8に記載のワークホルダ装置。
【請求項10】
前記伝熱板には、前記チャネル内に突出する少なくとも1つのフィン部材を含んで、前記流体と接触する表面積を増大させて、前記流体へ又はから熱エネルギーを効率的に急速に伝達させること、を特徴とする請求項7に記載のワークホルダ装置。
【請求項11】
前記ポリマー複合材料を、高強度及び低振動伝搬特性を有するポリマーコンクリートとすること、を特徴とする請求項2に記載のワークホルダ装置。
【請求項12】
前記ポリマー複合材料製の保持体と関連させて装着する工作機械の基準ベッドを含み、前記ベッドを、前記ベッドと熱的に密着した状態に配設した少なくとも第1伝熱板によって実質的に等温に維持し、前記ポリマー複合材料により、振動伝搬を低減する、請求項1に記載のワークホルダ装置。
【請求項13】
少なくとも1つのワーク保持体を、前記工作機械ベッドに装着して、ワークを支持し、前記保持体を前記ベッドと前記ワークとの間に介在させて、前記ワークの機械加工運転の振動を減衰させ、前記ワークを、少なくとも1つの第2伝熱板と熱的に接触した状態とし、それにより熱を、前記ベッドと前記ワークとの間で伝達させ、前記ワークを寸法的に略安定して維持すること、を特徴とする請求項12に記載のワークホルダ装置。
【請求項14】
工作機械装置用リニア誘導モータの固定又は走行構成要素を冷却して、前記工作機械装置に装備した工具による、ワークの機械加工精度に誤差を生じさせる熱が誘発する機械寸法成長を低減するための、等温、振動減衰挿入体であって、該挿入体には、作用部の組み合わせ:
a)リニアモータの前記固定ベッド又は走行要素における挿入体として構成する、少なくとも1つの振動減衰する低熱伝導率のポリマー複合体部材;
b)前記挿入体において、前記リニアモータ構成要素の少なくとも1面と合せる該挿入体の面に設ける、それを通して熱伝導流体を通過させる少なくとも1つのチャネル;
d)前記リニアモータ構成要素の少なくとも一部と熱的に密着した状態に維持するよう配設した前記チャネルと関連させて設け、それにより前記モータで発生したIR熱を前記流体に伝導し、その結果工作機械ベッド又は走行部材への熱移動を防止する、少なくとも1つの高熱伝導性材料製伝熱板、
を備えること、を特徴とする等温、振動減衰挿入体。
【請求項15】
ワークを乾式機械加工する又は組付する方法であって、該方法には、
a)振動を減衰し、熱伝導率が低く、熱膨張係数(TCE)が低いポリマー複合材料製ワーク保持体部材を用い、乾式機械加工する、又は少なくとも1つの他のワークに組付する前記ワークを、正確、強固に構造的に支持するよう構成する前記ワーク保持体部材に、ロードするステップ;
b)前記ワークを、前記機械加工又は組付のために適切に位置合わせした位置に、真空を作用させて、前記ワーク保持体の少なくとも一面と熱的に密着するよう引付けて、クランプするステップ;
c)前記保持体の表面に設けられて前記ワークと熱的に密着し、熱伝達流体と伝導する少なくとも1つの伝熱板によって熱が前記ワークから、あるいは前記ワークへと伝達することで前記ワークを実質的に等温に維持すると共に、前記真空のクランプが前記ワークと前記伝熱板との間を熱的に密着した状態を維持するように補助するステップ;及び
d)それにより、熱膨張係数(TCE)及び振動が誘発する寸法誤差を低減させて、前記ワークをより正確に機械加工又は組付可能にするステップ、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
a)前記ワークを前記保持体に、機械的クランプ部材を用いてクランプするステップ;
b)高熱伝導性流体を、流体のチャネルを通して、前記伝熱板と伝導した状態で循環させるステップ;及び
c)前記ワークの温度を検知して、冷温装置を制御して前記高熱伝導性流体を加熱又は冷却して、前記ワークの温度を、予め選択した設定点温度にする及び該温度で維持するコントローラに、信号を提供するステップ、
を含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記方法を、ウェブを桁及び支柱に、スキンを桁及び縦通材に、及び保持体リブをスキンに組付することを含む、航空機組付に適用することを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
a)工作機械のベッドを前記構成の保持体に装着して、振動伝搬を低減するステップ;及び
b)前記ベッドを実質的に等温に維持するが、これを、熱を前記ベッドから又はベッドへと、前記保持体の面に、前記ベッドと熱的に密着する状態で、設ける少なくとも1つの伝熱板によって伝達させて行うステップ、
を含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項19】
a)高熱伝導性流体を、流体チャネルを通して、前記伝熱板と伝導した状態で循環させるステップ;及び
c)前記ベッドの温度を検知して、冷温装置を制御して前記高熱伝導性流体を加熱又は冷却して、前記ベッドの温度を、予め選択した設定点温度にする及び前記ベッドを実質的に該温度で維持するコントローラに、信号を提供するステップ、
を含むことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
機械ベッドと相対移動する工具ホルダを有し、該工具ホルダの運動を、固定及び可動構成要素を有するリニア誘導モータで駆動する工作機械における、熱が誘発する寸法変化を制御する方法であって、
a)前記固定構成要素における、又は前記リニア誘導モータの前記走行構成要素と関連する挿入体として構成する、振動減衰、低熱伝導率、低熱膨張係数(TCE)のポリマー複合材料部材を設けるステップ;
b)前記挿入体の少なくとも1面に、熱伝導流体を、それを通して通過させる少なくとも1つのチャネルを設けるステップ;
c)前記リニアモータ構成要素の少なくとも一部と熱的に密着した状態で配設する前記チャネルと関連させて、少なくとも1つの高熱伝導性材料製伝熱板、を設けるステップ;及び
d)熱伝導流体を、前記導管を通して、前記伝熱板と接触させた状態で循環させ、それにより前記モータで発生したIR熱を前記流体に伝導し、その結果機械ベッド又は可動工具ホルダへの熱移動を防止するステップ、
を含むことを特徴とする方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−509084(P2010−509084A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−536538(P2009−536538)
【出願日】平成19年11月13日(2007.11.13)
【国際出願番号】PCT/US2007/084506
【国際公開番号】WO2008/063991
【国際公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(509116576)
【氏名又は名称原語表記】JENSEN,Robert,M.
【住所又は居所原語表記】17813−212th Avenue East,Orting,WA 98360 (US).
【Fターム(参考)】