説明

ワーククランプ装置

【課題】 一方の面に凹部を、他方の面に凹部に対応する凸部をそれぞれ有する板状のワークに対し、一対のクランプ部材でクランプ固定する際に、異なる形状のワークに対応できるようにする。
【解決手段】 クランプベース39とクランプヘッド41とでワークWをクランプ固定する際、ワークWの凹部Wdの幅が狭い場合に、クランプベース39の凹部クランプ面39aと凹部両側面位置決め面39b,39cが、凹部Wdの底面Wdaと両側面Wdb,Wdcにそれぞれ接触し、クランプヘッド41は凸部クランプ面41aだけが凸部Wuの表面Wuaに接触する。逆に、ワークWの凹部Wdの幅が広い場合には、クランプベース39の凹部クランプ面39aだけが凹部Wdの底面Wdaに接触し、クランプヘッド41は凸部クランプ面41aと凸部両側面位置決め面41b,41cが、凸部Wuの表面Wuaと両側面Wub,Wucにそれぞれ接触する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一方の面に凹部を、他方の面に前記凹部に対応する凸部をそれぞれ形成した板状のワークに対し、その両面から一対のクランプ部材によってクランプ固定するワーククランプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ワーククランプ装置として、例えば下記特許文献1には、自動車の車体パネルをクランプ固定するものが記載されている。
【0003】
このような自動車の車体パネルとして、一方の面に凹部を、他方の面に前記凹部に対応する凸部をそれぞれ形成した板状のワークを、溶接作業などの生産ラインにてワーククランプ装置によってクランプ固定する場合がある。
【特許文献1】特許第2591228号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記したようなワーククランプ装置は、一対のクランプ部材にてワークをクランプ固定するが、このうち凹部側に位置するクランプ部材は、凹部内に入り込んだ状態で、ワークの面に直交する方向(高さ方向)および凹部の両側面方向(幅方)の規制をそれぞれ行い、凸部側に位置するクランプ材は、単に凸部表面を押さえ付けて一方のクランプ材との間でワークを挟持する機能を有するのみとなっているのが現状である。
【0005】
このような状況の中で、多車種混流生産を行う場合には、複数の異なる断面形状を持つワークを位置決めする必要があるが、上記したような一対のクランプ部材の一方を凹部に入り込ませて他方のクランプ材との間でワークをクランプ固定するワーククランプ装置では、ワークの凹部の形状が異なった場合には、一方のクランプ部材を凹部に入り込ませることができないか、あるいは入り込ませても両側面方向(幅方)の規制ができないことになって、ワークを位置決めした状態でのクランプ固定ができず、したがって1種類のワークにしか対応できないものとなる。
【0006】
そこで、本発明は、一方の面に凹部を、他方の面に前記凹部に対応する凸部をそれぞれ形成した板状のワークに対し、その両面から一対のクランプ部材によってクランプ固定する際に、異なる形状のワークに対しても、位置決めした状態でクランプ可能となるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、一方の面に凹部を、他方の面に前記凹部に対応する凸部をそれぞれ形成した板状のワークに対し、その両面から一対のクランプ部材によってクランプ固定するワーククランプ装置において、前記ワークの凹部に位置する一方の前記クランプ部材は、前記凹部の底面に接触する凹部クランプ部と、前記凹部の両側面に接触する凹部両側面位置決め部とをそれぞれ備え、前記ワークの凸部に位置する他方の前記クランプ部材は、前記凸部の表面に接触して前記凹部クランプ部とでワークを挟持する凸部クランプ部と、前記一方のクランプ部材の前記凹部両側面位置決め部が前記凹部の両側面に接触する前記ワークよりも、前記凹部の両側面相互の間隔が広いワークの凸部の両側面に接触する凸部両側面位置決め部とをそれぞれ備えていることを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、凹部の両側面相互の間隔が狭いワークに対しては、一方のクランプ材の凹部クランプ部および凹部両側面位置決め部が、凹部の底面および両側面にそれぞれ接触してワークの位置規制を行うとともに、他方のクランプ材の凸部クランプ部が凸部の表面に接触することで、ワークを位置決めした状態でクランプ固定し、また、凹部の両側面相互の間隔が広いワークに対しては、一方のクランプ材の凹部クランプ部が、凹部の底面に接触するとともに、他方のクランプ材の凸部クランプ部および凸部両側面位置決め部が、凸部の表面および両側面にそれぞれ接触してワークの位置規制を行うことで、ワークを位置決めした状態でクランプ固定するので、凹部の形状が異なる複数のワークに対しても、位置決めした状態でクランプ固定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0010】
図1は、本発明のワーククランプ装置を含むワーク位置決め装置全体の正面図、図2は同平面図である。このワーク位置決め装置は、図示しないトランスファバーに取り付けられた状態で、図2に二点鎖線で示すようなワークWを、複数箇所にて位置決め保持しつつトランスファバーの移動に伴い搬送する。なお、ここでのワークWは、例えば自動車の車体パネル材である。
【0011】
上記したワーク位置決め装置は、本ワーククランプ装置に相当するワーククランプ部1と、複数のワーク位置決め部3と、複数のワーク受け部5とを、それぞれ備えている。これら複数のワーク位置決め部3および複数のワーク受け部5は、車種(ワークWの形状)によって適宜選択して使用するが、本ワーククランプ装置に相当するワーククランプ部1は、ワークWの形状が異なっても常時使用する。
【0012】
ワーク位置決め装置は、前記した図示しないトランスファバーに固定する固定板7上に設置した一対の支持ポスト9の上部外側面に、L字形状の第1シリンダブラケット11の鉛直部11aをそれぞれ装着し、鉛直部11aの上端から図1中で右方向に突出する水平部11bに、前記したワーク受け部5を設けている。ワーク受け部5は、切替シリンダ13によって上下動する受け具15がワークWを受ける。
【0013】
支持ポスト9の図1中で左側部には、取付板16を介して上下方向に延びるガイド部材17を設けている。ガイド部材17には、このガイド部材17に沿って上下方向に移動可能な上下移動体19を設けている。
【0014】
上下移動体19は、ガイド部材17に対し両側から挟むようにして図1中で上下にスライド移動するスライド部21を備えるとともに、ガイド部材17内にて図1中で上下に延長される図示しないボールねじ機構におけるねじ棒が螺合する図示しないボールガイドナットを備えている。この図示しないねじ棒は、ガイド部材17下部の支持ポスト9側の側面に設けてあるモータ23によって、図示しない減速機などを介して回転する。
【0015】
すなわち、モータ23の駆動により、図示しないねじ棒が回転し、ねじ棒の回転によってボールガイドナットを備える上下移動体19がガイド部材17に沿って上下動する。
【0016】
上下移動体19は、スライド部21と反対側にブラケット25を備え、ブラケット25には、L字形状の第2シリンダブラケット27の鉛直部27aを固定する。鉛直部27aから図1中で左方向に延びる水平部27bには、前記したワーククランプ部1と複数のワーク位置決め部3とを設けている。
【0017】
ワーク位置決め部3は、切替シリンダ29によって上下動する位置決めピン33が、ワークWに形成した位置決め孔に挿入されてワークWを位置決めする。
【0018】
次に、本ワーククランプ装置に相当するワーククランプ部1について説明する。このワーククランプ部1は、切替シリンダ35によって全体が上下動するクランプ機構37を備えている。クランプ機構37は、切替シリンダ35のピストンロッド35a先端に固定したクランプベース39と、クランプベース39との間でワークWを上下両面からクランプ固定するクランプヘッド41とをそれぞれ備えている。
【0019】
クランプヘッド41は、ピストンロッド35aの側部に固定したブラケット43の上部に、回動支持ピン45を中心として回動可能であり、この回転動作は、クランプシリンダ47により行っている。クランプシリンダ47は、上記したブラケット43の下部に回動支持ピン49を介して回動可能であり、そのピストンロッド47aの先端が上記したクランプヘッド41の端部に設けた回動支持ピン51に回転可能に連結している。
【0020】
すなわち、クランプシリンダ47の作動に伴うピストンロッド47aの進退移動により、クランプヘッド41が回動支持ピン45を中心として回動し、ワークWをクランプベース39との間でクランプ固定する。
【0021】
図3は、図1のA−A断面図、つまり図1におけるクランプヘッド41の先端とクランプベース39とにより、ワークWをクランプしている部分を示す断面図である。これによれば、クランプヘッド41は、クランプベース39とでワークWをクランプする部分が、図1中で紙面に直交する方向に長く形成している。
【0022】
ここで、ワークWは、車体パネル材であることから、全体的に湾曲形成しており、上記クランプする部分については、図3中で下部に凹部Wdを、上部に凹部Wdに対応する凸部Wuをそれぞれ備え、凹部Wd内にクランプベース39を入り込ませている。
【0023】
クランプベース39は、ワークWの上記した凹部Wdの底面Wdaに接触する凹部クランプ部としての凹部クランプ面39aと、凹部Wdの両側面Wdb,Wdcにそれぞれ接触する凹部両側面位置決め部としての凹部両側面位置決め面39b,39cとを備えている。
【0024】
凹部クランプ面39aは、凹部Wdの図3中で左右の幅方向中央位置にあり、また凹部両側面位置決め面39b,39cは、凹部Wdの両側面Wdb,Wdcの傾斜に合わせて傾斜面とし、この両側面Wdb,Wdcの一部に接触させるようにしている。
【0025】
この際クランプベース39は、凹部Wdの角部に対応する位置、すなわち凹部クランプ面39aと凹部両側面位置決め面39b,39cとの間に、ワークWとの接触を回避するワーク非接触部となる切欠段部39d,39eを設けている。
【0026】
一方、上記したクランプベース39とでワークWをクランプ固定する部分のクランプヘッド41は、ワークWの上記した凸部Wuの表面Wuaに接触して凹部クランプ面39aとでワークWを挟持する凸部クランプ部としての凸部クランプ面41aと、クランプベース39の凹部両側面位置決め面39b,39cが凹部Wdの両側面Wdb,Wdcに接触する前記図3のワークWよりも、凹部Wdの両側面Wdb,Wdc相互の間隔が広い図4に示すワークWの凸部Wuの両側面Wub,Wucに接触する凸部両側面位置決め部としての凸部両側面位置決め面41b,41cとをそれぞれ備えている。
【0027】
したがって、図3のワークWをクランプする際には、クランプヘッド41は、凸部クランプ面41aのみがワークWに接触することになる。逆に、図4のワークWをクランプする際には、クランプベース39は、凹部クランプ面39aのみがワークWに接触することになる。
【0028】
次に作用を説明する。ここで、上記図3におけるワークWを位置決めする際の基準高さは、図1に示すようにワーク高さ位置Aであり、図4におけるワークWを位置決めする際の基準高さは、ワーク高さ位置Aより高いワーク高さ位置Bである。まず、図3に示すワークW、つまり凹部Wdの両側面Wdb,Wdc相互の間隔が、図4のワークWに比較して狭いワークWに対して位置決め固定する動作を説明する。
【0029】
モータ23を作動させて、上下移動体19をガイド部材17に沿って上昇させる。この上昇動作は、図5に示すように、図1と同様の図5(a)の最下端位置から、図5(b)に示す位置まで、例えば250mm上昇させる。
【0030】
その後、ワーククランプ部1の切替シリンダ35を、図5(c)のように進出作動させて、ワーククランプ部1によるクランプ動作を実施できるようにする。このときの切替シリンダ35の上昇量は、例えば200mmとする。この際、複数のワーク受け部5が、その受け具15により上記したワーク高さ位置AでワークWを受けるように、切替シリンダ13を進出作動させるとともに、複数のワーク位置決め部3の切替シリンダ29についても適宜進出作動させ、位置決めピン33を所定量上昇させる。
【0031】
上記図5(c)の状態では、クランプシリンダ47は後退限位置にあってクランプヘッド41はクランプベース39から離れた状態であり、このような図5(c)の状態で、ワークWを、本ワーククランプ装置を含むワーク位置決め装置上にセットする。
【0032】
この際、ワークWは、複数のワーク受け部5の受け具15上に載置されるとともに、複数のワーク位置決め部3の位置決めピン33がワークWの図示しない位置決め孔に挿入されて位置決めされる。さらに、ワーククランプ部1においては、クランプ機構37のクランプベース39が、前記図3と同様に、図6(a)のC矢視図である図6(b)のように、ワークWの凹部Wdに入り込んだ状態となる。ただし、このときクランプヘッド41は、図5(c)の状態であるので、ワークWに接触していない。
【0033】
ワークWの凹部Wdに入り込んだクランプベース39は、凹部クランプ面39aが凹部Wdの底面Wdaに接触して上下高さ方向の位置規制を行うとともに、凹部両側面位置決め面39b,39cが凹部Wdの両側面Wdb,Wdcにそれぞれ接触して左右幅方向の位置規制を行う。
【0034】
このとき、クランプベース39は、凹部クランプ面39aと凹部両側面位置決め面39b,39cとの間に、ワークWとの接触を回避するワーク非接触部となる切欠段部39d,39eを設けているので、ワーク形状が平面部に比較して不安定となるR部分をクランプせずに済み、クランプベース39によるワークWの位置合わせが容易となる。また、クランプベース39に、平面部に比較して加工が困難となる複雑な形状のR部を形成する必要がないので、加工費を軽減することができる。
【0035】
上記のようにしてワークWをワーク位置決め装置上にセットした後は、ワーククランプ部1のクランプシリンダ47を進出動作させることで、クランプヘッド41を図5(c)中の矢印Bで示す方向に回動支持ピン45を中心として回動させ、図6(a)に示すようにワークWをクランプベース39との間でクランプ固定する。
【0036】
この際、前述したようにクランプベース39は、凹部クランプ面39aがワークWの凹部Wdの底面Wdaに、凹部両側面位置決め面39b,39cが同凹部Wdの両側面Wdb,Wdcにそれぞれ接触しているが、クランプヘッド41は、凸部クランプ面41aのみがワークWの表面Wuaに接触し、凹部両側面位置決め部面41b,41cはワークWに接触していない。
【0037】
このように、ワーククランプ部1により、凹部Wdの両側面Wdb,Wdc相互の間隔が、図4のワークWに比較して狭い図3のワークWに対してクランプ作業を行う際には、クランプヘッド41は、凸部クランプ面41aがワークWに接触するのみであるが、クランプベース39については、凹部クランプ面39aがワークWの凹部Wdの底面Wdaに接触して上下高さ方向の位置規制を行うとともに、凹部両側面位置決め面39b,39cが同凹部Wdの両側面Wdb,Wdcにそれぞれ接触して左右幅方向の位置規制を行うことができる。
【0038】
次に、図4に示したようなワークW、つまり凹部Wdの両側面Wdb,Wdc相互の間隔が、図3のワークWに比較して広いワークWに対して位置決め固定する動作を、図7および図8を用いて説明する。なお、図7(a)〜(c)は前記した図5(a)〜(c)に対応し、図8(a),(b)は前記した図6(a),(b)に対応している。
【0039】
このワークWは、位置決めする際の上下高さ位置が、図1に示したように、前記図3に示したワークWのワーク高さ位置Aより高いワーク高さ位置Bであるので、図7(b)でのモータ23の作動による上下移動体19のガイド部材17に沿っての上昇量を、図5における250mmに対して例えば400mmとする。
【0040】
その後は、図5における動作と同様に、図7(c)にてワークWをワーク位置決め装置上にセットし、続いてクランプシリンダ47を作動させてクランプヘッド41を回動させ、図8(a)のようにクランプベース39との間でワークWをクランプ固定する。
【0041】
この際、図8(a)のD矢視図である図8(b)に示すように、クランプベース39が、前記図4と同様に、ワークWの凹部Wdに入り込んだ状態となるが、このときのクランプベース39は、凹部位置決め面39aのみがワークWの凹部Wdの底面Wdaに接触し、凹部両側面位置決め面39b,39cは凹部Wdの両側面Wdb,Wdcに接触していない。
【0042】
一方、クランプヘッド41については、凸部クランプ面41aがワークWの凸部Wuの表面Wuaに接触して上下高さ方向の位置規制を行うとともに、凸部両側面位置決め面41b,41cが同凸部Wuの両側面Wub,Wucにそれぞれ接触して左右幅方向の位置規制を行う。
【0043】
このように、ワーククランプ部1により、凹部Wdの両側面Wdb,Wdc相互の間隔が、図3のワークWに比較して広い図4のワークWに対してクランプ作業を行う際には、クランプベース39は、凹部クランプ面39aがワークWに接触するのみであるが、クランプヘッド41については、凸部クランプ面41aがワークWの凸部Wuの表面Wuaに接触して上下高さ方向の位置規制を行うとともに、凸部両側面位置決め面41b,41cが同凸部Wuの両側面Wub,Wucにそれぞれ接触して左右幅方向の位置規制を行うことができる。
【0044】
以上のように、本実施形態によれば、凹部Wdの両側面Wdb,Wdc相互の間隔が狭いワークWに対しては、クランプベース39の凹部クランプ面39aおよび凹部両側面位置決め面39b,39cが、凹部Wdの底面Wdaおよび両側面Wdb,Wdcにそれぞれ接触するとともに、クランプヘッド41の凸部クランプ面41aが凸部Wuの表面Wuaに接触することで、ワークWを位置決めしつつクランプ固定し、また、凹部Wdの両側面Wdb,Wdc相互の間隔が広いワークWに対しては、クランプベース39の凹部クランプ面39aが、凹部Wdの底面Wdaに接触するとともに、クランプヘッド41の凸部クランプ面41aおよび凸部両側面位置決め面41b,41cが、凸部Wuの表面Wuaおよび両側面Wub,Wucにそれぞれ接触して、ワークWを位置決めしつつクランプ固定するので、凹部Wdの形状が異なるワークWであっても、位置決めした状態でクランプ固定することができる。
【0045】
なお、クランプヘッド41に代えて、図9に示すクランプヘッド410を使用することもできる。このクランプヘッド410は、前記図4に示すワークWをクランプする際に、ワークWの凸部Wuの表面Wuaに接触する凸部クランプ部としての凸部クランプ面410aおよび、凸部Wuの両側面Wub,WucとワークWの一般面Wpとの境界部付近の両側面Wub,Wucに接触する凸部両側面位置決め部としての凸部両側面位置決め面410b,410cを、それぞれ備えている。
【0046】
そして、上記クランプヘッド410は、凸部Wuの角部に対応する位置、すなわち凸部クランプ面410aと凸部両側面位置決め面410b,410cとの間に、ワークWとの接触を回避するワーク非接触部となる切欠凹部410d,410eを設けている。
【0047】
上記したように、凸部両側面位置決め面410b,410cが、凸部Wuの両側面Wub,Wucにそれぞれ接触することで、ワークWに対し左右幅方向の位置規制を行うことができる。もちろん、この例においても、凸部クランプ面410aによってワークWの上下高さ方向の位置規制を行っている。
【0048】
上記した図9のクランプヘッド410によれば、図6(b)におけるクランプベース39と同様に、ワーク形状が平面部に比較して不安定となる角部をクランプせずに済み、クランプヘッド410によるワークWの位置合わせが容易となる。また、特に、角部がR形状を備える場合には、クランプヘッド410に、平面部に比較して加工が困難となる複雑な形状のR部を形成する必要がないので、加工費を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明のワーククランプ装置を備えるワーク位置決め装置全体の正面図である。
【図2】図1のワーク位置決め装置の平面図である。
【図3】図1のA−A断面図である。
【図4】図3のワークよりも凹部の両側面相互の間隔が広いワークをクランプしている状態を示す断面図である。
【図5】図1のワーククランプ装置によりワークをクランプする際の動作説明図で、(a)はワーククランプ装置を含むワーク位置決め装置全体が下限に位置する状態、(b)は(a)の状態からワーククランプ装置を含むワーク位置決め装置全体を所定量上昇させた状態、(c)は(b)の状態からワーククランプ装置を上昇させた状態、をそれぞれ示す。
【図6】(a)は図5(c)の状態からクランプシリンダを作動させてワークをクランプ固定した状態を示す動作説明図、(b)は(a)のC矢視図である。
【図7】(a)〜(c)は図4に示すワークをクランプする際の動作説明図で、図5(a)〜(c)に対応している。
【図8】(a)は図4に示すワークをクランプする際の、図6(a)に対応する動作説明図、(b)は(a)のD矢視図である。
【図9】クランプヘッドの他の例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0050】
W ワーク
Wd ワークの凹部
Wda 凹部の底面
Wdb,Wdc 凹部の両側面
Wu ワークの凸部
Wua 凸部の表面
Wub,Wuc 凸部の両側面
39 クランプベース(一方のクランプ部材)
39a 凹部クランプ面(凹部クランプ部)
39b,39c 凹部両側面位置決め面(凹部両側面位置決め部)
39d,39e 切欠段部(ワーク非接触部)
41,410 クランプヘッド(他方のクランプ部材)
41a,410a 凸部クランプ面(凸部クランプ部)
41b,41c,410b,410c 凸部両側面位置決め面(凸部両側面位置決め部)
410d,410e 切欠凹部(ワーク非接触部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面に凹部を、他方の面に前記凹部に対応する凸部をそれぞれ形成した板状のワークに対し、その両面から一対のクランプ部材によってクランプ固定するワーククランプ装置において、前記ワークの凹部に位置する一方の前記クランプ部材は、前記凹部の底面に接触する凹部クランプ部と、前記凹部の両側面に接触する凹部両側面位置決め部とをそれぞれ備え、前記ワークの凸部に位置する他方の前記クランプ部材は、前記凸部の表面に接触して前記凹部クランプ部とでワークを挟持する凸部クランプ部と、前記一方のクランプ部材の前記凹部両側面位置決め部が前記凹部の両側面に接触する前記ワークよりも、前記凹部の両側面相互の間隔が広いワークの凸部の両側面に接触する凸部両側面位置決め部とをそれぞれ備えていることを特徴とするワーククランプ装置。
【請求項2】
前記ワークの凹部に位置する一方の前記クランプ部材は、前記凹部クランプ部と前記凹部両側面位置決め部との間に、前記ワークの角部との接触を回避するワーク非接触部を備えていることを特徴とする請求項1に記載のワーククランプ装置。
【請求項3】
前記ワークの凸部に位置する他方の前記クランプ部材は、前記凸部クランプ部と前記凸部両側面位置決め部との間に、前記ワークの角部との接触を回避するワーク非接触部を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載のワーククランプ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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