説明

ワークピース抵抗溶接用のロボット応用のためのスポット溶接トング

本発明は、ベース本体(2)にそれぞれ旋回可能に搭載され、駆動手段(13)によって調整可能であり、電極(5)用の電極ホルダ(4)が固定されているトングアーム(3)と、少なくとも1つの電極(5)の保護用のストリップ(6)の巻き戻しおよび巻き取りを行うための巻き戻しローラ(10)および巻き取りローラ(11)を備える巻き上げ手段(7)とを備える、ワークピース、特にシートの抵抗溶接用のロボット応用のためのスポット溶接トング(1)に関する。本発明によれば、こうしたスポット溶接トング(1)は、アクセスが大きな影響を受けず、極めて簡単でコンパクトな構成で製造でき、巻き上げ手段(7)の巻き戻しローラ(10)および巻き取りローラ(11)はベース本体(2)またはトングアーム(3)に配置され、少なくとも1つの案内溝(8)が、ストリップ(6)の案内のために、トングアーム(3)及び/又は電極ホルダ(4)に設けられる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベース本体上でそれぞれ旋回可能に搭載され、駆動手段によって調整可能であり、電極用の電極ホルダが固定されているトングアームを含み、さらに、少なくとも1つの電極の保護用のストリップの巻き戻しおよび巻き取りを行うための巻き戻しローラおよび巻き取りローラを備える巻き上げ手段を含むタイプである、ワークピース、特に金属シートの抵抗溶接用のロボット応用のためのスポット溶接トング(tongs)に関する。ベース本体上で旋回可能に搭載されたトングアームは、互いに相対的に旋回してスポット溶接を生成し、前記スポット溶接の完了後は、互いに離れるように旋回する。
【0002】
さらに本発明は、ベース本体上でそれぞれ旋回可能に搭載され、駆動手段によって調整可能であり、電極用の電極ホルダが固定されているトングアームを含むタイプである、ワークピース、特に金属シートの抵抗溶接用のロボット応用のためのスポット溶接トングに関する。
【背景技術】
【0003】
ドイツ特許公報DE19754546C1からは、スポット溶接電極の電極先端と接触するフィルムストリップを横方向に巻き戻しおよび巻き取りを行うための巻き上げ装置を備えるスポット溶接ツールが知られている。スポット溶接ツールには、フィルムストリップを巻き戻すための環状の巻き戻しコイルと、フィルムストリップを巻き取るための環状の巻き取りコイルとが装着され、巻き取りコイルの計測された回転のための環状の駆動手段を備える。巻き戻しコイル、巻き取りコイルおよび駆動手段は、互いに同軸で、スポット溶接電極の電極軸または電極ホルダの周りに近接して配置される。第1のセッティングローラは、電極軸に対して斜めに配置され、巻き戻しコイルから半径の距離で、フィルムストリップを巻き戻しコイルから電極先端に向けて偏向させ、横方向の位置で配置する。さらに、第2のセッティングローラは、電極軸に対して斜めに配置され、巻き取りコイルから半径の距離で、フィルムストリップを電極先端から巻き取りコイルに向けて偏向させ、横方向の位置で配置する。2つのセッティングローラは、電極軸の横方向に、対向する関係で配置される。
【0004】
類似の構成は、日本特許公報JP05192774から知られており、巻き取りコイルおよび巻き戻しコイルは、同様に、電極軸または電極ホルダにそれぞれ配置される。
【0005】
前述した設計は、巻き取りコイルおよび巻き戻しコイルが電極軸または電極ホルダの領域に配置されているため、スポット溶接ツールのアクセス性が著しく制限されているという不具合がある。これは、エンド領域、特に、溶接ゾーンにおいてスポット溶接トングの実質的な拡大をもたらす。その結果、このタイプのスポット溶接ツールによって、容易にアクセス可能なワークピースしかスポット溶接することができない。
【0006】
電極保護用のストリップを含むスポット溶接装置の他の構成は、日本特許公報JP10029071A,JP08118037A,JP04322886A,JP05192774Aから知られている。これらのスポット溶接ツールにおいて、ストリップは、巻き上げ装置によって供給と排出が行われ、同様に、ワークピースまたは構造部品との電極の接触に対する保護として電極の上方で位置決めされ、ストリップは、スポット溶接プロセス中は、ワークピースまたは構造部品と接触することになる。このように巻き取りコイルおよび巻き戻しコイルは、スポット溶接ツールとは独立して配置、固定されている。
【0007】
米国特許公報US5961854Aは、電極保護ストリップの巻き取りと巻き戻しのための巻き上げ装置を含むスポット溶接トングを開示しているが、巻き上げ装置の配置および電極保護ストリップのコースに関して詳細な記載が無い。スポット溶接トングは、比較的大型であるため、ワークピースのアクセス性に影響を及ぼす。
【0008】
米国特許公報US4481401Aは、電極保護ストリップの巻き取りと巻き戻しのための巻き上げ装置を含み、電極保護ストリップの案内のために電極上流に配置されたリングを有するスポット溶接トングを開示している。ストリップは、トングアームに対してある角度で該リングから巻き上げ装置へ延びており、このため、比較的大きなスペースが必要になる。
【0009】
ソ連特許公報SU1206038Aは、電極保護ストリップのための巻き上げ手段がトングアームに固定され、電極に対して約45°の角度で搭載されているスポット溶接トングを開示している。この配置は、特に大きなスペースを必要とする。このため、これらのスポット溶接トングは、平坦なワークピースを溶接するためだけに適している。自動化された部門、特に、溶接ロボットを伴うこれらの使用は、ある限度しか実用的でない。
【0010】
英国特許公報571401Aと日本特許公報JP55141387Aは、電極保護ストリップのための巻き上げ手段を含むスポット溶接トングを示している。これは、比較的大きなスペースを専有するため、溶接ロボットを伴う応用は実際には不可能である。
【0011】
最後に、ドイツ特許公報DE19948043A1は、本発明に係るロボット溶接トングを示しているが、少なくとも1つの電極の保護のためのストリップの巻き上げと巻き戻しを行う手段は何ら開示していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
これらは極めて大きなスペースが必要であり、直接的な応用が平坦なワークピースにしか実現できないという不具合がある。従って、自動化使用、特にロボットを伴うものは不可能である。
【0013】
その他に、上記の先行技術の装置は、ストリップが搬送中に電極上に引っ張られ、電極とストリップの間に生ずる摩擦のために、電極摩耗が増加するという極めて本質的な不具合がある。
【0014】
よって、本発明の目的は、アクセス性に実質的に影響がなく、極めて簡素でコンパクトな設計で、電極保護ストリップを含むスポット溶接トングが実現できる、ワークピース抵抗溶接用のロボット応用のためのスポット溶接トングを提供することである。
【0015】
本発明の他の目的によれば、トングアームの構造ができる限り軽量でコンパクトなものになる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の第1の目的は、巻き上げ手段の巻き戻しローラおよび巻き取りローラがベース本体またはトングアーム上に配置され、少なくとも1の案内溝が、ストリップをトングアームに沿って案内するために、トングアーム及び/又は電極ホルダに設けられることによって達成される。
【0017】
本発明の他の特徴は、ストリップを案内し偏向させるための手段、特に、偏向プーリーおよびスライド面が、トングアーム及び/又は電極ホルダに設けられる。
【0018】
巻き上げ装置の巻き戻しローラ及び/又は巻き上げローラは、駆動手段、特に、電子駆動可能なモータと接続されている。
【0019】
トングアームがベース部分によって形成され、サイド部材がベース部分の各側面に配置されてベース部分から突出している場合、形成された凹みがストリップ用の案内溝として設計され、トングアームの製造が簡単になる。
【0020】
少なくとも1つのカバープレートがサイド部材の側端に配置されて、サイド部材間に形成された案内溝を覆った場合、案内溝は、異物や可能性ある損傷から保護される。
【0021】
トングアームをベース部分によって形成し、案内溝をベース部分に合体化することも可能である。この場合、案内溝は、例えば、ミリング(milling)によってベース部分に加工される。
【0022】
既存のスポット溶接トングの改造が大きな費用無しで実現可能であり、案内溝は、トングアーム及び/又は電極ホルダに、例えば、スリップ止め(slipped)又はネジ止めで設けられる追加の案内エレメントによって形成される。
【0023】
特に簡単な変形実施形態は、トングアームは、ストリップ案内のために、中空スペースがトングアームの中心に形成されるようにして、互いに連結された幾つかの個別の部品で構成される。
【0024】
本発明の他の特徴によれば、ブレーキ装置がストリップを固定し伸張するために設けられ、このブレーキ装置は、好ましくは、巻き戻しローラまたは巻き上げローラの領域に配置され、電極保護ストリップのジャムや弛みを防止する。
【0025】
ブレーキ装置が制御ユニットに接続されている場合、ブレーキ装置の適切な制御が実現可能である。
【0026】
本発明の他の目的は、トングアームが、少なくとも1つの抗力(drag)支柱または抗力ロープによってプレストレス(prestress)が付与された主エレメントによってそれぞれ構成された、上述のスポット溶接トングによって達成される。こうして、ベース本体の内部またはトングアーム上における巻き上げ手段の配置によって、実質的に簡素化された、巻き上げ手段やストリップの交換を実現できることが好都合に確保される。
【0027】
他の利点は、電極ホルダおよび電極から複雑なワークピースまたは金属シートへの実質的に改善されたアクセス性であり、これは、実際には電極ホルダおよび電極のスリム化設計によってより容易に到達する。本文においてトングアームの主エレメントは、実質的により小さな寸法となる点で有利である。これは、トングアームに作用する力の大部分は、プレストレスが付与された抗力支柱または抗力ロープによって取り出されるからである。
【0028】
更なる構成は、従属クレーム12〜18に記載されている。得られる利点は、本記載から判るであろう。
【0029】
本発明について、添付図面を用いてより詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
図1は、ワークピース、特に、金属シートの抵抗溶接用のロボット応用のためのスポット溶接トング1を斜視図で示し、明確化のために、スポット溶接トングの片方だけを示している。
【0031】
スポット溶接トング1は、ベース本体2と、電極ホルダ4および電極5が配置されたトングアーム3とで構成され、この周囲に循環するストリップ6が走行して、電極5を保護している。ストリップ6は、巻き上げ手段7から巻き戻される。巻き上げ手段7は、好ましくは、ベース本体2に配置してもよいが、トングアーム3に配置してもよい。ストリップ6は、トングアームの幾何形状に沿って、トングアーム3、電極ホルダ4、電極5、そして反対側の巻き上げ手段7に戻るように案内される。
【0032】
電極5は、ストリップ6を使用する観点で特別に構成されている。が、当然ながら、先行技術から知られた任意の電極5を使用することも可能である。アセンブリの内側に配置された電極5の上には、スペーサ5aおよび圧力エレメント5bが電極5と接続され、その長手方向に移動可能なように、電極キャップの領域に配置され、前記圧力エレメント5bは、スペーサ5aに対して力を及ぼす。スペーサ5aおよび圧力エレメント5bは、ストリップ6のためのガイドをそれぞれ備え、ストリップ6を電極5からある距離で保持することができる。スペーサ5aは、スポット溶接トング1の開放中または開放後に、電極表面または電極キャップからストリップ6を持ち上げる。一方、溶接プロセス中、即ち、スポット溶接トング1が閉じているときは、スペーサ5aは押し戻され、電極5または電極キャップはストリップ6と接触する。こうして圧力エレメント5bの存在によりスペーサ5aによって、圧力または力がワークピースまたは金属シートに対して追加的に作用して、例えば、金属シートまたは構造的な部品のプロセス固有の折り曲げまたは偏向を防止する。こうした電極5またはこのタイプの電極アセンブリを使用する場合、スポット溶接トング1が開いたとき、ストリップ6が電極キャップと直接接触しないことが確保され、ストリップ6は、変位したとき電極5に対して摩擦を生成するのが防止され、こうして電極5の耐用年数を実質的に増加させる。
【0033】
ストリップ6を電極5の近くに送出できるために、ある手段、特に、偏向プーリーおよびスライド面9がトングアーム3及び/又は電極ホルダ4に配置され、ストリップ6を案内して偏向させる。こうしてストリップ6が、巻き上げ手段7の内部に搭載された巻き戻しローラ10から、案内溝8または通路および電極ホルダ4を経由して、電極5まで延びて、そしてここから再び電極ホルダ4および案内溝8または通路を経由して、巻き上げ手段7の内部に配置された巻き取りローラ11に達している。巻き戻しローラ10及び/又は巻き取りローラ11は、駆動手段12、特に、電子駆動可能なモータと接続され、前記駆動手段12の駆動によってストリップ6の選択的な変位を実現することができる。
【0034】
巻き戻しローラ10および巻き取りローラ11は、簡単で複雑でないローラやストリップ6の交換や置換を可能になるようにして設計される。このため、巻き戻しローラ10および巻き取りローラ11は、容易に交換できるように、ベース本体2またはトングアーム3に搭載され、これにより駆動手段12との自動接続が、巻き戻しローラ10及び/又は巻き取りローラ11の使用の際に提供される。巻き戻しローラ10、巻き取りローラ11、駆動手段12をベース本体2に配置することによって、コイルへのより容易なアクセスが確保され、巻き戻しローラ10および巻き取りローラ11の交換を実質的により容易かつより簡単にしている。巻き戻しローラ10および巻き取りローラ11のこの配置についての他の効果は、ストリップ6が後ろから、即ち、ベース本体2から電極5へ案内される場合、干渉するエレメントまたは部品が存在しなくなり、その結果、ストリップ6を持たない溶接トングとは対照的にアクセス性の制限がないことから、受け入れ難いワークピースであってもスポット溶接のほぼ問題の無い実現が可能になる。この構成はさらに、スポット溶接トング1の構造的な寸法を小型化できる。
【0035】
完全には、トングアーム3は、調整可能に搭載され、例えば、サーボモータまたはシリンダ14で構成可能な駆動手段13によって調整されることが指摘される。
【0036】
図2は、スポット溶接トング1のトングアーム3を斜視図で概略的に簡略して示している。図3は、図2の断面線III−IIIに沿ったトングアーム3の断面図である。巻き上げ手段7の巻き戻しローラ10および巻き取りローラ11は、ベース本体2(不図示)に配置され、これにトングアーム3が固定される。
【0037】
本実施形態では、スポット溶接トング1のトングアーム3は、サイド部材16が各側面に配置されているベース部分15で製作され、サイド部材16はベース部分15から突出して、ストリップ6のための案内溝8として機能する凹みを形成している。サイド部材16は、アルミニウム製とすることができ、これにより大きな重量削減をもたらす。当然ながら、サイド部材16は他の適切な材料で作成することも可能である。案内溝8は、ストリップ6が走行する表面は、スライド面9として機能するように設計される。
【0038】
サイド部材16の側端17には、好ましくは、カバープレート18が、サイド部材16の間に形成された案内溝8を覆うように配置される。こうしてストリップ6は良好に案内されるだけでなく、さらに、ストリップ6が電極5の領域から「開放しているところ」だけに延びているため、ストリップ6、案内溝8、スライド面9は何らかの汚染から保護される。
【0039】
図4と図5では、スポット溶接トング1のトングアーム3の更なる実施形態が図示されている。巻き上げ手段7の巻き戻しローラ10および巻き取りローラ11は、この場合、トングアーム3の中に合体化されている。さらに、案内溝8は、トングアーム3のベース部分15に組み込まれて、トングアーム3の最初の部分、即ち、巻き戻しローラ10または巻き取りローラ11の位置から電極5に至るまで延びている。案内溝8は、好ましくは、ベース部分のミリング加工によって製作される。こうして案内溝8は、カバープレート18によって覆うことができる。こうした構成により、トングアーム3は、数少ない部品だけで構成される。
【0040】
他の例示的な実施形態は、図6と図7に示している。ここでは、案内溝8が、トングアーム3及び/又は電極ホルダ4にスリップ止めまたはネジ止めされた追加の案内エレメント19によって形成されている。案内エレメント19は、アクセサリ部品として設計され、ベース部分15に固定される。これにより、トングアーム3及び/又は電極ホルダ4を交換したり加工することなく、商業的に入手可能なスポット溶接トング1をベルトシステムに変換することができる。案内エレメント19は、合成のものでも他の任意の材料で製作できる。
【0041】
巻き上げ手段7、巻き戻しローラ10および巻き取りローラ11は、同様に、アクセサリ部品として設計し、続いてベース本体2またはトングアーム3に簡単な形態(不図示)で搭載してもよい。
【0042】
図8と図9に従って、トングアーム3は、ストリップ6が通過するために、トングアーム3の中心に中空のスペース21を形成するように連結された幾つかの構成部品20で構成してもよい。構成部品20は、ネジ止めまたはプラグ止め(plugged)することができる。当然ながら、トングアーム3は、切断チューブ(section tube)で形成してもよく、これは、合体した案内溝8が切断チューブの内側および外側の両方に配置されているものである。
【0043】
好ましい手法は、ストリップ6のためのブレーキ装置22が、巻き戻しローラ10及び/又は巻き取りローラ11に設けられ、このブレーキ装置は、ストリップ6をぴんと張るために、制御ユニット23によって駆動される。これによりストリップ6は、中空スペース21の内部または案内溝8の中でジャムが生じたり、緩くたるんでしまうことが防止される。ブレーキ装置22は、上述した実施形態においても同様に使用でき、好ましくは、巻き上げ手段7の中に一体化される。設計は多岐に渡るため、詳細な説明は省いた。ブレーキ装置22は、2つの相対的に移動可能な圧力エレメントで形成してもよく、その間にストリップ6が案内され、ストリップ6上で駆動されたブレーキ装置22とともに移動することで、ストリップ6を固定する。従って、ブレーキ装置22の摩擦は、ストリップ6を常にぴんと張るようにして連続した移動後に、ストリップ6を固定する際に生ずる。
【0044】
図10は、ワークピース、特に、金属シートの抵抗溶接用のロボット応用のためのスポット溶接トング1を斜視図で示している。電極5を保持するための電極ホルダ4を含むトングアーム3は、旋回可能に搭載され、ベース本体2に固定されている。トングアーム3は、駆動手段13(図1を参照)の支援によって調整可能である。駆動手段13は、サーボモータ、シリンダ14または他の可能な駆動オプションで構成できる。
【0045】
これらのスポット溶接トング1において、主エレメント24には、少なくとも1つの抗力(drag)支柱または抗力ロープ25によってプレストレスが付与される。トングアーム3は、例えば、主エレメント24と、主エレメント24に固定された少なくとも1つの保持プレート26とで構成可能である。主エレメント24は、好ましくは、円形断面で構成される。抗力支柱または抗力ロープ25は、保持プレート26の1つ又は幾つかの点に固定され、主エレメント24に連結される。抗力支柱または抗力ロープ25は、主エレメント24の、電極ホルダ4が延びている側に連結される。さらに、保持支柱または保持ロープ27を、抗力支柱または抗力ロープ25の反対側に配置することが可能である。
【0046】
トングアーム3は、ベース本体2、特に、保持プレート26を介して受容エレメント28に連結される。当然ながら、保持プレート26無しで、主エレメント24、抗力ロープ25、必要に応じて保持ロープ27を、受容エレメント28に直接に連結することも可能である。こうして抗力ロープ25と保持ロープ27は、主エレメント24に対して間隔をあけた関係で主エレメント24の片側に配置され、そして抗力ロープ25および保持ロープ27の両方が主エレメント24または主エレメントに配置された固定エレメント(不図示)に連結されることが本質的である。こうして、適切な牽引および保持力が、抗力ロープ25及び/又は保持ロープ27を介してトングアーム3の主エレメント24に構築されることが確保される。このため、抗力支柱または抗力ロープ25、及び/又は保持支柱または保持ロープ27は、主エレメント24に対してある角度、好ましくは、10°と30°の間で配置される。このことは、これらが主エレメント24の表面に対してある角度で、少なくとも部分的な領域に渡って延びていることを意味する。実際、抗力ロープ25及び/又は保持ロープ17は、少なくとも部分的な領域に渡って主エレメント24の表面に対して平行に案内され、一方、例えば、図11に示すように、連結ゾーンにおいて角度的に延びることも可能である。
【0047】
こうしたトングアーム3の構成により、スポット溶接トング1の圧力が抗力ロープ25及び/又は保持ロープ27を介して吸収されるため、主エレメント24は極めて小さい断面を有することが可能になる。こうしてスポット溶接トング1の重量も著しく低減されることになる。
【0048】
図11は、こうしたロープまたは支柱を含むトングアームシステムを備えた他の例示的な実施形態を示す。ここで、トングアーム3の主エレメント24は、スポット溶接トング1のベース本体2より延出しており、これによりトングアームは、ベース本体2の内部に移動可能で搭載され、2つのベース本体2は互いに移動可能に搭載されている。トングアーム3は、電極ホルダ4が固定された反対側でベース本体2から突出して、梃子(lever)を形成するようにしてベース本体2に移動可能に搭載される。ベース本体2から突出したトングアーム部分は、駆動エレメント13に連結される。駆動エレメント13は、シリンダ14で構成できる。シリンダ14を変位させることによって、トングアーム3は、2つの電極5が互いに押圧され且つ互いに離反するように、変位する。
【0049】
図11に示す例示的な実施形態において、抗力ロープ25および保持支柱または保持ロープ27を案内するため、幾つかの保持プレート26がトングアーム3、特に主エレメント24にある距離を隔てて配置されている。抗力ロープ25は、受容エレメント28とともにベース本体2およびトングアーム3に固定され、一方、保持ロープ27は、トングアーム3の電極ホルダ4を伴う端部領域からベース本体2の反対側に延びて、そこでトングアーム3に連結されている。これは、抗力ロープ25とともに実現可能である。
【0050】
こうしたスポット溶接トング1において、スポット溶接トング1が共に荷重がかかる間に作用する力が、抗力ロープ25および保持ロープ27を介して吸収される点が本質的であり、主エレメント24を実質的により小型化することが可能になる。極めて実質的な重量削減が簡単な手法で達成される。
【0051】
電極の保護としてストリップ6の使用に関して、保持プレート26は、同時に、案内溝8または通路として使用される適切な開口部を含む。巻き戻しローラ10および巻き取りローラ11は、ベース本体2に合体することも可能である(図1を参照)。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係るスポット溶接トングの斜視図である。
【図2】本発明に係るスポット溶接トングのトングアームの斜視図である。
【図3】図2の断面線III−IIIに沿ったトングアームの断面図である。
【図4】本発明に係るスポット溶接トングのトングアームの他の斜視図である。
【図5】図4の断面線V−Vに沿った、図4に示すトングアームの断面図である。
【図6】本発明に係るスポット溶接トングのトングアームの他の斜視図である。
【図7】図6の断面線VII−VIIに沿ったトングアームの断面図である。
【図8】本発明に係るスポット溶接トングのトングアームの他の斜視図である。
【図9】図8の断面線IX−IXに沿った断面図である。
【図10】本発明に係るスポット溶接トングの斜視図である。
【図11】本発明に係るスポット溶接トングの斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークピース、特に金属シートの抵抗溶接用のロボット応用のためのスポット溶接トング(1)であって、
ベース本体(2)にそれぞれ旋回可能に搭載され、駆動手段(13)によって調整可能であり、電極(5)用の電極ホルダ(4)が固定されているトングアーム(3)を含み、
さらに、少なくとも1つの電極(5)の保護用のストリップ(6)の巻き戻しおよび巻き取りを行うための巻き戻しローラ(10)および巻き取りローラ(11)を備える巻き上げ手段(7)を含むタイプであり、
巻き上げ手段(7)の巻き戻しローラ(10)および巻き取りローラ(11)は、ベース本体(2)またはトングアーム(3)に配置され、
少なくとも1つの案内溝(8)が、トングアーム(3)に沿ってストリップ(6)の案内のために、トングアーム(3)及び/又は電極ホルダ(4)に設けられることを特徴とするスポット溶接トング(1)。
【請求項2】
ストリップ(6)を案内して偏向させるための手段、特に、偏向プーリーおよびスライド面(9)が、トングアーム(3)及び/又は電極ホルダ(4)に設けられることを特徴とする請求項1記載のスポット溶接トング。
【請求項3】
巻き戻しローラ(10)及び/又は巻き取りローラ(11)は、駆動手段(12)、特に、電子駆動可能なモータに接続されていることを特徴とする請求項1または2記載のスポット溶接トング。
【請求項4】
トングアーム(3)は、ベース部分(15)によって形成され、サイド部材(16)がベース部分(15)の各側面に配置されてベース部分(15)から突出し、こうして形成された凹みがストリップ(6)用の案内溝(8)として設計されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のスポット溶接トング。
【請求項5】
少なくとも1つのカバープレート(18)がサイド部材(16)の側端(17)に配置されて、サイド部材(16)間に形成された案内溝(8)を覆うことを特徴とする請求項4記載のスポット溶接トング。
【請求項6】
トングアーム(3)は、ベース部分によって形成され、案内溝(8)がベース部分(15)と合体化していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のスポット溶接トング。
【請求項7】
案内溝(8)は、トングアーム(3)及び/又は電極ホルダ(4)に、例えば、スリップ止め又はネジ止めで設けられる追加の案内エレメント(19)によって形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のスポット溶接トング。
【請求項8】
トングアーム(3)は、ストリップ(6)の案内のために、中空スペース(21)がトングアーム(3)の中心に形成されるようにして、互いに連結された幾つかの個別の部品(29)で構成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のスポット溶接トング。
【請求項9】
ブレーキ装置(22)が、ストリップ(6)を固定し伸張するために設けられることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のスポット溶接トング。
【請求項10】
ブレーキ装置(22)は、制御ユニット(23)に接続されていることを特徴とする請求項9記載のスポット溶接トング。
【請求項11】
ワークピース、特に金属シートの抵抗溶接用のロボット応用のためのスポット溶接トング(1)であって、
ベース本体(2)にそれぞれ旋回可能に搭載され、駆動手段によって調整可能であり、電極(5)用の電極ホルダ(4)が固定されているトングアーム(3)を含み、
トングアーム(3)は、少なくとも1つの抗力支柱または抗力ロープ(25)によってプレストレスが付与された主エレメント(24)によってそれぞれ構成されることを特徴とするスポット溶接トング(1)。
【請求項12】
少なくとも1つの保持プレート(26)が、トングアーム(3)の主エレメント(24)に配置され、
この保持プレート(26)を介して、少なくとも1つの抗力支柱または抗力ロープ(25)は、主エレメント(24)に対して間隔をあけた関係で案内されていることを特徴とする請求項11記載のスポット溶接トング。
【請求項13】
主エレメント(24)は、円形断面で形成されていることを特徴とする請求項11または12記載のスポット溶接トング。
【請求項14】
少なくとも1つの抗力支柱または抗力ロープ(25)は、主エレメント(24)の、電極ホルダ(4)が延びている側に配置されていることを特徴とする請求項11〜13のいずれかに記載のスポット溶接トング。
【請求項15】
保持支柱または保持ロープ(27)が、少なくとも1つの抗力支柱または抗力ロープ(25)に追加してそれぞれ設けられることを特徴とする請求項11〜14のいずれかに記載のスポット溶接トング。
【請求項16】
少なくとも1つの抗力支柱または抗力ロープ(25)、及び/又は保持支柱または保持ロープ(27)は、トングアーム(3)の主エレメント(24)に対して10°〜30°の角度で配置されていることを特徴とする請求項11〜15のいずれかに記載のスポット溶接トング。
【請求項17】
抗力支柱または抗力ロープ(25)、および必要に応じて保持支柱または保持ロープ(27)は、主エレメント(24)の、電極ホルダ(4)が装着された側から、主エレメント(24)のベース本体(2)の反対側へ延びていることを特徴とする請求項11〜16のいずれかに記載のスポット溶接トング。
【請求項18】
案内溝(8)が、請求項1〜10に従って電極(5)の保護用のストリップ(6)をそれぞれ受容するように、トングアーム(3)に形成されていることを特徴とする請求項11〜17のいずれかに記載のスポット溶接トング。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2007−537873(P2007−537873A)
【公表日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515531(P2006−515531)
【出願日】平成16年5月4日(2004.5.4)
【国際出願番号】PCT/AT2004/000151
【国際公開番号】WO2005/002776
【国際公開日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(504380611)フロニウス・インテルナツィオナール・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (65)
【氏名又は名称原語表記】FRONIUS INTERNATIONAL GMBH
【Fターム(参考)】