説明

ワーク供給装置

【課題】パレットをその挿通穴にリフタピンが突入した状態で、パレットを正規の位置に位置決めすることにより、ワークをワーク受渡し位置に高精度に位置決めできるようにしたワーク供給装置を提供する。
【解決手段】パレット12に設けられた挿通穴27を挿通し、ワーク11を載置したトレー29を持ち上げるリフタピン30を備え、リフタピンの先端がパレットの挿通穴に突入した位置まで上昇された際に、パレットをワークリフト位置P1に順次割り出す搬送部材駆動手段を制御して無端搬送部材を正規の位置に位置決めする駆動手段制御手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無端搬送部材によってパレット搬送路上を循環される複数のパレット上に支持したワークを、ワークリフト位置よりワーク受渡し位置に供給するワーク供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ワークを支持した複数のパレットを無端状のチェーンによってパレット搬送路上を循環させ、パレット停止位置に搬送されたパレットの穴部に、リフトアップ装置に設けたパレット載置部を嵌合させつつ、パレット上のワークを所定の高さ位置まで上昇させ、所定の高さ位置でワークの授受を行うワーク供給装置は、例えば、特許文献1に記載されている。
【特許文献1】特開平8−294842号公報(段落0010、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この種のワーク供給装置においては、ワークを所定の高さ位置(ワーク受渡し位置)に高精度に位置決めするために、ワークリフト位置に設置されたリフタ装置のリフタピンが挿通する挿通穴をパレットに形成し、リフタピンと挿通穴との嵌合によってワークを載置したパレットを水平なXY平面上に正確に位置決めすることが望まれる。
【0004】
しかしながら、チェーン駆動によってワークリフト位置に搬送されるパレットは、駆動系のガタや遊び等に起因して、停止位置がずれることが避けられないことから、仮にリフタ装置のリフタピンの先端部を先細りにしても、パレットの挿通穴に突入することができなくなる恐れがある。
【0005】
このために、駆動系のガタや遊び等をできるだけ除去して、パレットの停止位置のずれ量を小さくすることも考えられるが、そのようにすると、リフタ装置のリフタピンがパレットの挿通穴に突入しやすくなるが、逆に、駆動系に対するパレットの移動が拘束されるため、リフタピンの上昇時に、パレットがリフタピンに倣って移動することができなくなる。従って、リフタピンに対してパレットの挿通穴の径を大きくして、リフタピンをパレットの挿通穴に突入しやすくする等の対策が必要となり、このために、ワークをワーク受渡し位置に高精度に位置決めすることが難しい問題があった。
【0006】
本発明は、上記した従来の不具合を解消するためになされたもので、パレットをその挿通穴にリフタピンが突入した状態で、パレットを正規の位置に位置決めすることにより、ワークをワーク受渡し位置に高精度に位置決めできるようにしたワーク供給装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するために、請求項1に係る発明の特徴は、無端搬送部材によってパレット搬送路上を循環される複数のパレット上に支持したワークを、ワークリフト位置よりワーク受渡し位置に供給するワーク供給装置において、前記パレットに昇降可能に支持され前記ワークを載置するトレーと、前記無端搬送部材を駆動して前記パレットをワークリフト位置に順次割り出す搬送部材駆動手段と、前記ワークリフト位置に割り出された前記パレット上の前記トレーを所定位置まで上昇させて前記ワークをワーク受渡し位置に位置決めするリフタ手段とを備え、前記リフタ手段は、前記パレットに設けられた挿通穴を挿通して前記トレーを持ち上げるリフタピンと、該リフタピンを上昇させる昇降手段とを備え、前記リフタ手段の前記昇降手段によって前記リフタピンの先端が前記パレットの挿通穴に突入した位置まで上昇された際に、前記搬送部材駆動手段を制御して前記無端搬送部材を正規の位置に位置決めする駆動手段制御手段を備えていることである。
【0008】
請求項2に係る発明の特徴は、請求項1において、前記昇降手段は、位置検出手段を備え、該位置検出手段の出力に基づいて前記リフタピンが前記パレットに当接したことを検出する当接検出手段を備え、該当接検出手段によって前記リフタピンが前記パレットに当接したことが検出された場合には、前記搬送部材駆動手段を制御して前記リフタピンが前記パレットの挿通穴に突入できる位置に前記パレットを位置補正する位置補正手段を備え、該位置補正手段によって前記パレットが位置補正された後に、前記無端搬送部材を正規の位置に位置決めするようにしたことである。
【0009】
請求項3に係る発明の特徴は、請求項1または請求項2において、前記搬送部材駆動手段は、位置検出手段を備え、該位置検出手段の出力に基づいて前記無端搬送部材を正規の位置に位置決めするようにしたことである。
【0010】
請求項4に係る発明の特徴は、請求項3において、前記搬送部材駆動手段は、前記パレットを検出するパレット検出センサの信号に基づいて前記パレットを所定位置に仮位置決めするようになっていることである。
【0011】
請求項5に係る発明の特徴は、請求項1ないし請求項4の何れか1項において、前記リフタピンは、先端が先細の円錐形状に形成されていることである。
【0012】
請求項6に係る発明の特徴は、請求項1ないし請求項5の何れか1項において、前記パレットの下面には、前記挿通穴の周りに、前記リフタピンの当接により前記リフタピンに対する前記挿通穴の位置ずれ方向が判別できる形状の当接面が形成されていることである。
【0013】
請求項7に係る発明の特徴は、請求項6において、前記当接面は、前記パレットの搬送方向に沿って傾斜する傾斜面からなっていることである。
【発明の効果】
【0014】
上記のように構成した請求項1に係る発明によれば、パレットに設けられた挿通穴を挿通してワークを載置したトレーを持ち上げるリフタピンを備え、リフタピンの先端がパレットの挿通穴に突入した位置まで上昇された際に、搬送部材駆動手段を制御して無端搬送部材を正規の位置に位置決めする駆動手段制御手段を備えているので、無端搬送部材の正規の位置において、リフタピンをパレットの挿通穴に確実に挿通できる関係に保つことができ、リフタピンのパレットの挿通穴への挿通によって、ワークをワーク受渡し位置に高精度に位置決めすることができる。
【0015】
上記のように構成した請求項2に係る発明によれば、当接検出手段によってリフタピンがパレットに当接したことが検出された場合には、搬送部材駆動手段を制御してリフタピンがパレットの挿通穴に突入できる位置にパレットを位置補正するとともに、パレットが位置補正された後に、無端搬送部材を正規の位置に位置決めするようにしたので、パレットの位置補正によって、リフタピンをパレットの挿通穴に確実に挿通できる関係に容易に保つことができる。
【0016】
上記のように構成した請求項3に係る発明によれば、搬送部材駆動手段は、位置検出手段を備え、この位置検出手段の出力に基づいて無端搬送部材を正規の位置に位置決めするようにしたので、無端搬送部材を正規の位置に正確に位置決めすることができる。
【0017】
上記のように構成した請求項4に係る発明によれば、搬送部材駆動手段は、パレットを検出するパレット検出センサの信号に基づいてパレットを所定位置に仮位置決めするようになっているので、駆動系のガタや遊び等に拘らず、パレットの挿通穴にリフタピンを突入できる可能性が高い位置にパレットを仮位置決めすることができる。
【0018】
上記のように構成した請求項5に係る発明によれば、リフタピンは、先端が先細の円錐形状に形成されているので、リフタピンに対するパレットの挿通穴の位置ずれ量が多少あっても、リフタピンをパレットの挿通穴内に突入させることができる。
【0019】
上記のように構成した請求項6に係る発明によれば、パレットの下面には、挿通穴の周りに、リフタピンの当接によりリフタピンに対する挿通穴の位置ずれ方向が判別できる形状の当接面が形成されているので、リフタピンがパレットの当接面に当接することにより、パレットの位置補正方向を容易に検出することができる。
【0020】
上記のように構成した請求項7に係る発明によれば、当接面は、パレットの搬送方向に沿って傾斜する傾斜面からなっているので、当接面に当接するリフタピンの高さ位置に基づいて、リフタピンに対するパレットの挿通穴の位置ずれ方向および位置ずれ量を容易に検出することができ、パレットの位置補正を的確に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1および図2において、ワーク供給装置10は、ワーク11を載置する複数のパレット12を水平面内で循環搬送するとともに、ワークリフト位置P1に搬送されたワーク11をリフトしてワーク受渡し位置P2に供給するものである。ワーク供給装置10は、水平方向に離間した2つのスプロケット15、16を鉛直軸線の回りに回転可能に有し、これらスプロケット15、16間に無端状の搬送用チェーン17が掛け渡されている。搬送用チェーン17には等ピッチ間隔にパレット12の連結部18が連結されている。
【0022】
2つのスプロケット15、16の一方(駆動スプロケット15)には、減速機を介してサーボモータ19が連結され、サーボモータ19の回転軸には、サーボモータ19の回転角(回転量)を検出する、例えばエンコーダからなる位置検出装置20が連結されている。サーボモータ19には、サーボモータ19を制御する駆動手段制御手段としてのモータ制御装置21が接続されている。
【0023】
サーボモータ19によって駆動スプロケット15が回転駆動されると、駆動スプロケット15の回転によって、搬送用チェーン17が矢印方向に周回移動される。これによって、搬送用チェーン17に連結されたパレット12がループ状のパレット搬送軌道22上を循環搬送され、パレット12を順次ワークリフト位置P1に割出すようになっている。上記したスプロケット15、16、搬送用チェーン17、サーボモータ19、位置検出装置20等によって、チェーン駆動手段(搬送部材駆動手段)を構成している。
【0024】
なお、図2において、23は、パレット搬送軌道22を設置した支持台60上に立設された支柱で、支柱23の上端には光源24aと受光素子24bからなる光電センサ24が上下方向に位置調整可能に取付けられ、この光電センサ24によってワーク11がワーク受渡し位置P2まで上昇されたことを検出するようになっている。
【0025】
ワークリフト位置P1に対応して、パレット検出センサ25が配設され、パレット検出センサ25は、ワークリフト位置にP1に割出されたパレット12を検出して、サーボモータ19に停止信号を出力し、パレット12をワークリフト位置P1の所定位置に仮位置決めするようになっている。なお、パレット検出センサ25は、搬送用チェーン17を検出してパレット12をワークリフト位置P1の所定位置に仮位置決めするようにしてもよい。
【0026】
パレット12には、図2および図3に示すように、例えば、4隅の4か所に上下方向に貫通する挿通穴27が形成され、また、パレット12上には、少なくとも2つのガイドピン28が上下方向に立設されている。パレット12上には、ワーク11を着脱可能に載置したトレー29が、ガイドピン28に沿って昇降可能に案内支持されている。
【0027】
ワークリフト位置P1に割出されたパレット12の下方位置には、パレット12に設けられた挿通穴27に挿通可能に嵌合する4つのリフタピン30を昇降可能に備えたリフタ装置31が配設されている。リフタピン30は、図3に示すように、パレット12の挿通穴27に摺動可能に嵌合する嵌合部30aを有し、嵌合部30aの上端には、上方に向かって先細りとなった裁頭円錐部30bが形成されている。これにより、ワークリフト位置P1におけるパレット12の停止位置が多少ずれていても、リフタピン30の裁頭円錐部30bの上端がパレット12の挿通穴27に突入できるようになっている。
【0028】
リフタ装置31は、図4に示すように、固定の支持フレーム33を備え、この支持フレーム33に4つのリフタピン30が昇降可能に案内され、各リフタピン30の下端は連結プレート34にそれぞれ連結されている。支持フレーム33には、例えばエンコーダからなる位置検出装置35を備えたモータ36が設置され、モータ36の回転は減速機を介して出力軸37に伝達されるようになっている。出力軸37には駆動スプロケット38が取付けられ、この駆動スプロケット38に掛け渡された昇降用チェーン39の一端が、支持フレーム33に支持されたスプロケット40を介して連結プレート34に取付けられた連結軸41の上端部に結合されている。また、昇降用チェーン39の他端が、支持フレーム33に支持されたスプロケット42、43、44を介して連結プレート34に取付けられた連結軸41の下端部に結合されている。
【0029】
これにより、モータ36の駆動によって駆動スプロケット38が、図4の反時計回りに回転されると、昇降用チェーン39を介して連結プレート34とともに、4つのリフタピン30が上昇され、反対に、駆動スプロケット38が、図4の時計回りに回転されると、昇降用チェーン39を介して連結プレート34とともに、4つのリフタピン30が下降されるようになる。このときのリフタピン30の高さ位置は、位置検出装置35にて検出される。上記したモータ36、スプロケット38、40、42〜44、昇降用チェーン39および連結プレート34、位置検出装置35等によって、リフタピン30を昇降させる昇降手段を構成している。
【0030】
ところで、ワークリフト位置P1におけるパレット12の停止位置が所定以上ずれると、リフタピン30の裁頭円錐部30bの上端はパレット12の挿通穴27に突入せず、パレット12の下面に当接することになる。少なくとも1つのリフタピン30がパレット12の下面に当接すると、リフタピン30のそれ以上の上昇が阻止されるため、リフタピン30の上昇指令中にも拘らず、位置検出装置(エンコーダ)35の出力が変化しなくなったことに基づいてリフタピン30がパレット12の下面に当接したことを検出でき、パレット12の位置補正の要否を判定できる。
【0031】
パレット12の下面の挿通穴27の周りには、図5および図6に示すように、リフタピン30の裁頭円錐部30bの上端に当接可能な当接面50が形成されている。かかる当接面50は、当接したリフタピン30の高さ位置に基づいて、リフタピン30に対する挿通穴27のずれ方向を検出できるように、パレット12の搬送方向に沿って直線状に傾斜した傾斜面51からなっている。これにより、図7に示すように、リフタピン30の裁頭円錐部30bの先端が傾斜面51に当接した場合に、リフタピン30の高さ位置H1、H2に基づいて、リフタピン30に対するパレット12の挿通穴27の位置ずれ方向および位置ずれ方向を算出することが可能となる。
【0032】
次に、上記した構成における実施の形態における動作について、図8に示すフローチャートを参照しながら、ワーク供給サイクルについて説明する。
【0033】
ワーク供給サイクルが指令されると、まず、ステップ100において、リフタ装置31が下降原位置に位置している条件で、サーボモータ19が駆動される。これにより、スプロケット15が図1の時計回りに回転駆動され、搬送用チェーン17が矢印方向に周回移動される。ステップ102においては、ワークリフト位置P1に搬送されたパレット12を検出するパレット検出センサ25がONされたか否かが判定される。パレット検出センサ25がONされると、ステップ102における判定結果がYESとなり、ステップ104に進む。ステップ104においては、サーボモータ19が停止されて、パレット12がパレット検出センサ25にて検出されたワークリフト位置P1の所定の位置に仮位置決めされる。
【0034】
続いて、ステップ106において、リフタ装置31のモータ36が駆動され、駆動スプロケット38が図4の反時計回りに回転され、昇降用チェーン39を介して連結プレート34が上昇される。これにより、連結プレート34に連結された4つのリフタピン30が上昇される。ステップ108においては、リフタピン30がパレット12の下面に当接したか否かが判定される。すなわち、リフタピン30のパレット12への当接は、リフタピン30の上昇指令中にも拘らず、位置検出装置35の出力が変化しなくなったことに基づいて検出できる。かかるステップ108によって当接検出手段を構成している。
【0035】
リフタピン30のパレット12への当接が検出されると、ステップ108における判定結果がYESとなり、ステップ120に進む。これに対し、ステップ108における判定結果がNOの場合には、次のステップ110で、リフタピン30の現在の高さ位置が、パレット12の挿通穴27に突入した設定高さ位置HSまで達したか否かが判定される。リフタピン30が、図5に示すように、挿通穴27に突入した設定高さ位置HSまで上昇されたことが判定されると、ステップ110における判定結果がYESとなり、ステップ112に進んで、リフタピン30の上昇が一旦停止される。
【0036】
すなわち、ワークリフト位置P1に停止されたパレット12の位置ずれの程度が少ない場合には、全てのリフタピン30の裁頭円錐部30bの上端が、パレット12の挿通穴27内に突入した高さ位置HSまで上昇でき、これがステップ110において判定され、リフタピン30の上昇が一旦停止される(ステップ112)。これに対し、ワークリフト位置P1に停止されたパレット12の位置ずれの程度が大きい場合には、4つのリフタピン30のうちの少なくとも1つの裁頭円錐部30bの上端が、パレット12の下面に形成した当接面50に当接して、それ以上の上昇を阻止され、これがステップ108において判定されて、リフタピン30の上昇が停止される(ステップ120)。
【0037】
上記したステップ112において、リフタピン30の上昇が停止されると、次いで、ステップ114において、サーボモータ19が駆動され、位置検出装置20にて検出される予め定められた位置(以下、これを正規の位置と称す)にパレット12が位置決めされる。この際、リフタピン30は、パレット12の挿通穴27内に突入した状態にあるため、パレット12の正規の位置への位置決めによって、リフタピン30が挿通穴27より離脱することはなく、リフタピン30と挿通穴27との係合関係が維持される。
【0038】
かかる正規の位置とは、リフタ装置31に対する駆動系の機械的な位置ずれを補正し、リフタピン30の嵌合部30aがパレット12の挿通穴27に無理なく嵌合できる位置である。これは、パレット12を、最初から位置検出装置20にて検出される正規の位置に位置決めすると、搬送用チェーン17を含む駆動系のガタ(遊び)等により、パレット12の挿通穴27にリフタピン30の裁頭円錐部30bを突入することが難しくなるため、最初はパレット検出センサ25によってパレット12の位置を直接検出することにより、リフタピン30の裁頭円錐部30bをパレット12の挿通穴27に突入しやすくするためである。
【0039】
ステップ114において、パレット12が位置検出装置20にて検出される正規の位置に位置決めされると、次いで、ステップ116において、リフタピン30の上昇が指令され、リフタピン30がモータ36によって再上昇される。
【0040】
リフタピン30の再上昇により、リフタピン30の嵌合部30aがパレット12を水平方向に移動させながら、パレット12の挿通穴27に嵌合し、パレット12上に突出される。これにより、パレット12上のトレー29が4つのリフタピン30によって持ち上げられ、ガイドピン28に沿って上昇される。トレー29が所定の位置まで上昇されると、これに載置されたワーク11の上面が光電センサ24によって検出され、この検出信号に基づいてモータ36が停止され、ワーク11がワーク受渡し位置P2に位置決めされる。
【0041】
このようにして、ワーク11は、搬送用チェーン17を含む駆動系のガタ(遊び)等にも拘らず、水平なXY平面の所定位置に正確に位置決めされるとともに、上下方向の定められた位置(ワーク受渡し位置)P2に位置決めされるため、図略のローダ装置によって確実に把持することができ、ワーク11は次工程に搬送される。
【0042】
一方、リフタピン30がパレット12の下面に当接したことにより、上記ステップ120において、リフタピン30の上昇が停止された場合には、パレット12の位置補正が実行される。かかる位置補正は、まず、ステップ122において、リフタピン30の上昇位置に基づいてパレット12の位置補正方向および位置補正量を算出し、次いで、ステップ124において、リフタピン30をパレット12の下面より所定量離間する位置まで下降させた状態で、ステップ126において、上記ステップ122において算出された位置補正方向および位置補正量に基づいて、サーボモータ19の回転方向および回転量を決定する。これによって、サーボモータ19は、決定された回転方向に駆動され、搬送用チェーン17を介してパレット12を位置補正する。サーボモータ19の回転量は、位置検出装置20によって検出され、サーボモータ19が定められた回転量だけ回転したことが位置検出装置20にて検出されると、サーボモータ19が停止される。これによって、パレット12は、その挿通穴27にリフタピン30が突入できる位置に位置決めされる。
【0043】
例えば、図7の実線に示すように、リフタピン30の裁頭円錐部30bが、パレット12の下面に形成された傾斜面51に当接して、リフタピン30が設定高さ位置HSより小さな高さ位置H1に停止された場合には、その高さ位置H1が、パレット12の挿通孔27の中心における傾斜面51の高さ位置H0より大きいことに基づいて、位置補正方向が図7の矢印A方向(例えば、パレット12の循環方向)と決定され、かつ上記高さ位置H1と傾斜面51の傾斜角度より、リフタピン30の中心に対するパレット12の挿通孔27の位置ずれ量(位置補正量)X1が算出される。
【0044】
これに対して、図7の二点鎖線で示すように、リフタピン30の裁頭円錐部30bが、パレット12の下面に形成された傾斜面51に当接して、リフタピン30が高さ位置H2に停止された場合には、その高さ位置H2が、パレット12の挿通孔27の中心における傾斜面51の高さ位置H0より小さいことに基づいて、位置補正方向が図7の矢印B方向(例えば、パレット12の反循環方向)と決定され、かつ上記高さ位置H12と傾斜面51の傾斜角度より、リフタピン30の中心に対するパレット12の挿通孔27の位置ずれ量(位置補正量)X2が算出される。
【0045】
このようにして、パレット12の位置補正方向および位置補正量が算出され、これに基づいてパレット12の位置補正が実行されると、しかる後、ステップ106に戻り、以下、上記したステップ108からステップ116が実行される。
【0046】
なお、パレット12の位置補正によって、通常であれば、リフタピン30の裁頭円錐部30bをパレット12の挿通穴27に突入することができるようになるが、パレット12の位置ずれは、パレット12の循環方向と平行に生ずるだけでなく、パレット12が傾いてワークリフト位置P1に停止されることもある。このために、パレット12の下面の傾斜面51に当接したリフタピン30の位置ずれ量に基づいてパレット12を位置補正しても、全てのリフタピン30の裁頭円錐部30bをパレット12の挿通孔27に挿通できない場合がある。この場合には、上記したステップ120からステップ126が再度繰り返される。
【0047】
図9は、本発明の第2の実施の形態を示すもので、パレット12の位置補正の方向のみを判別できるようにしたものである。すなわち、パレット12の下面の挿通穴27のパレット搬送方向に沿った両側に形成した互いに高さの異なる段付平面53a、53bによって、当接面50を構成したものである。
【0048】
かかる第2の実施の形態においては、図8におけるステップ106においてリフタピン30を上昇させた際に、リフタピン30が所定の突入位置まで上昇されたか、あるいは、パレット12の下面に形成した当接面50の何れかの段付平面53a、53bに当接したかを、リフタピン30の高さ位置、すなわち、位置検出装置35からの出力に基づいて検出するようにしている。そして、リフタピン30が段付平面53a、53bの何れに当接したかに基づいて、パレット12の位置補正方向を決定するようにしている。
【0049】
上記した第2の実施の形態においては、リフタピン30に対するパレット12の挿通穴27の位置ずれ量を検出することはできないため、上記したステップ126におけるパレット12の位置補正動作を、予め設定された単位量ずつ実行し、これを1〜2回繰り返すことにより、パレット12の挿通穴27にリフタピン30の裁頭円錐部30bを設定高さ位置TS(図5参照)まで突入できるようになる。なお、段付平面53a、53bをそれぞれ多段に構成することにより、パレット12の位置補正の繰り返し回数を減少させることが可能となる。
【0050】
上記した実施の形態においては、リフタピン30の高さ位置を検出するために、位置検出装置(エンコーダ)20を用いたが、本発明にとって位置検出装置20は必ずしも必要な要件ではなく、また、例えば、ワークリフト位置P1に仮位置決めされるパレット12の位置ずれを、パレット12の挿通穴27にリフタピン30が突入できる範囲内に抑え得るようにできれば、位置検出装置としては、リフタピン30が所定の高さ位置まで上昇したことを検出できるセンサあるいはスイッチ等によって構成することもできる。
【0051】
上記した実施の形態においては、パレット12をワークリフト位置P1に仮位置決めするために、パレット検出センサ25を用いたが、予めパレット12の位置ずれ量を把握できる場合には、パレット12の位置ずれ量を見越した所定の位置に仮位置決めすることもでき、パレット検出センサ25は省略することもできる。また、学習処理等を利用することにより、パレット12の仮位置決め位置を逐次更新して仮位置決めの停止精度を順次高めていくことも可能である。
【0052】
上記した実施の形態においては、パレット12を無端状の搬送用チェーン17によって循環搬送するようにしたが、パレット12の循環搬送は、チェーン17に限らず、ベルト、ワイヤ等の無端搬送部材を用いて行うこともできる。
【0053】
斯様に、上記した実施の形態で述べた具体的構成は、本発明の一例を示したものにすぎず、本発明はこのような具体的構成に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の態様を採り得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示すワーク供給装置の概略平面図である。
【図2】ワーク供給装置のワークリフト部を示す側面図である。
【図3】ワーク供給装置のワークリフト部を示す分解斜視図である。
【図4】リフタ装置を示す正面図である。
【図5】パレットの挿通穴とリフタピンとの関係を示す図である。
【図6】図5の6矢視図である。
【図7】リフタピンがパレットの下面に干渉した状態を示す図5の作動状態図である。
【図8】ワーク供給装置の動作を説明するフローチャートである。
【図9】本発明の第2の実施の形態を示すパレットの挿通穴とリフタピンとの関係を示す図である。
【符号の説明】
【0055】
10・・・ワーク供給装置、11・・・ワーク、12・・・パレット、15、16・・・スプロケット、17・・・搬送用チェーン、19・・・サーボモータ、20・・・位置検出装置、21・・・駆動手段制御手段、25・・・パレット検出センサ、27・・・挿通穴、28・・・ガイドピン、29・・・トレー、30・・・リフタピン、30a・・・嵌合部、30b・・・裁頭円錐部、31・・・リフタ装置、34・・・連結プレート、35・・・位置検出装置、36・・・モータ、38・・・駆動スプロケット、39・・・昇降用チェーン、50・・・当接面、51・・・傾斜面、53a、53b・・・段付面、P1・・・ワークリフト位置、P2・・・ワーク受渡し位置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端搬送部材によってパレット搬送路上を循環される複数のパレット上に支持したワークを、ワークリフト位置よりワーク受渡し位置に供給するワーク供給装置において、
前記パレットに昇降可能に支持され前記ワークを載置するトレーと、前記無端搬送部材を駆動して前記パレットをワークリフト位置に順次割り出す搬送部材駆動手段と、前記ワークリフト位置に割り出された前記パレット上の前記トレーを所定位置まで上昇させて前記ワークをワーク受渡し位置に位置決めするリフタ手段とを備え、
前記リフタ手段は、前記パレットに設けられた挿通穴を挿通して前記トレーを持ち上げるリフタピンと、該リフタピンを上昇させる昇降手段とを備え、
前記リフタ手段の前記昇降手段によって前記リフタピンの先端が前記パレットの挿通穴に突入した位置まで上昇された際に、前記搬送部材駆動手段を制御して前記無端搬送部材を正規の位置に位置決めする駆動手段制御手段を備えていることを特徴とするワーク供給装置。
【請求項2】
請求項1において、前記昇降手段は、位置検出手段を備え、該位置検出手段の出力に基づいて前記リフタピンが前記パレットに当接したことを検出する当接検出手段を備え、該当接検出手段によって前記リフタピンが前記パレットに当接したことが検出された場合には、前記搬送部材駆動手段を制御して前記リフタピンが前記パレットの挿通穴に突入できる位置に前記パレットを位置補正する位置補正手段を備え、該位置補正手段によって前記パレットが位置補正された後に、前記無端搬送部材を正規の位置に位置決めするようにしたことを特徴とするワーク供給装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記搬送部材駆動手段は、位置検出手段を備え、該位置検出手段の出力に基づいて前記無端搬送部材を正規の位置に位置決めするようにしたことを特徴とするワーク供給装置。
【請求項4】
請求項3において、前記搬送部材駆動手段は、前記パレットを検出するパレット検出センサの信号に基づいて前記パレットを所定位置に仮位置決めするようになっていることを特徴とするワーク供給装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4の何れか1項において、前記リフタピンは、先端が先細の円錐形状に形成されていることを特徴とするワーク供給装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5の何れか1項において、前記パレットの下面には、前記挿通穴の周りに、前記リフタピンの当接により前記リフタピンに対する前記挿通穴の位置ずれ方向が判別できる形状の当接面が形成されていることを特徴とするワーク供給装置。
【請求項7】
請求項6において、前記当接面は、前記パレットの搬送方向に沿って傾斜する傾斜面からなっていることを特徴とするワーク供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−126392(P2008−126392A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−317306(P2006−317306)
【出願日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】