説明

ワーク供給装置

【課題】設備コストを抑えると共に、装置自体をコンパクトに構成したワーク供給装置を提供する。
【解決手段】本ワーク供給装置1aは、ボルト(ワーク)を整列させて軸方向に搬送するための、スパイラルスプリング11(螺旋状に延びる突起部)を有し回転駆動する搬送シャフト9と、該搬送シャフト9との間でボルトの頭部を保持して該ボルトを吊り下げるように保持するワーク保持体12と、を備えているので、複数のアクチュエータを備えた従来よりも、設備コストを抑えることができ、装置自体をコンパクトにすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークとしてのボルトを整列させて1本ずつ切り出して次の工程に供給するワーク供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のワーク供給装置では、振動式ボールフィーダ、かきあげ式や直進振動式フィーダ等を組み合せた供給装置(特許文献1参照)が採用されている。
しかしながら、この従来のワーク供給装置では、供給、整列、搬送及び切り出しのための複数のアクチュエータを備える必要があるためにコスト的に不利で、しかも、大きな専有スペースを確保する必要がある、という問題が生じていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−202341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、従来のワーク供給装置では、設備コストが高く、大きな専有スペースを確保する必要があり問題であった。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、設備コストを抑えると共に、装置自体をコンパクトに構成できるワーク供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のワーク供給装置は、ワークを整列させて軸方向に搬送するための、螺旋状に延びる突起部を有し回転駆動する搬送シャフトと、該搬送シャフトとの間で前記ワークを一定の姿勢で保持するワーク保持体と、を備えることを特徴としている。
これにより、設備コストを抑えると共に、装置自体をコンパクトに構成することができる。
なお、本発明のワーク供給装置の各種態様およびそれらの作用については、以下の発明の態様の項において詳しく説明する。
【0007】
(発明の態様)
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。なお、各態様は、請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付して、必要に応じて他の項を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載、実施の形態等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要件を付加した態様も、また、各項の態様から構成要件を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。なお、以下の各項において、(1)項、(2)項、(4)項、(5)項、(6)項、(8)項の各々が、請求項1乃至6の各々に相当する。
【0008】
(1)頭部と軸部とを有するワークの供給装置であって、前記ワークを整列させて軸方向に搬送するための、螺旋状に延びる突起部を有し回転駆動する搬送シャフトと、該搬送シャフトとの間で前記ワークを一定の姿勢で保持するワーク保持体と、を備えることを特徴とするワーク供給装置。
(1)項のワーク供給装置では、ワークはその頭部(軸部よりも大径)が搬送シャフトとワーク保持体との間に引っ掛かり吊り下げられた状態で保持され、搬送シャフトの回転により搬送シャフトの螺旋状の突起部に沿って軸方向に搬送される。
【0009】
(2)前記搬送シャフトの突起部のピッチの一部が、前記ワークの頭部幅または軸部径における、2本分未満または2本分以上に設定されることを特徴とする(1)項に記載のワーク供給装置。
(3)前記搬送シャフトの突起部のピッチは、前記ワークの頭部幅または軸部径における、2本分未満のピッチと、2本分以上のピッチとが混在されることを特徴とする(1)項または(2)項に記載のワーク供給装置。
(2)項及び(3)項のワーク供給装置では、突起部のピッチが、ワークの頭部幅または軸部径における2本分未満(狭いピッチ)で設定される範囲には、1ピッチにワークが1本保持できるようになり、また、ピッチがワークの頭部幅または軸部径における2本分以上(広いピッチ)に設定される範囲には、1ピッチにワークが2本以上保持できるようになる。この結果、搬送シャフトとワーク保持体との間に吊り下げられたワークと交差するように搬送シャフトの上部外周面に横たわっている他のワークを、正常に搬送シャフトとワーク保持体の間に吊り下げることが可能になる。
【0010】
(4)前記搬送シャフトの上流側に設けられ、ワークの詰まりを抑制する詰まり抑制手段を備えることを特徴とする(1)項〜(3)項のいずれかに記載のワーク供給装置。
(4)項のワーク供給装置では、ワークの詰まりが抑制され、各ワークがスムーズに整列して搬送シャフトに沿って搬送される。
【0011】
(5)前記詰まり抑制手段の駆動源と、前記搬送シャフトの駆動源とは同一であることを特徴とする(4)項に記載のワーク供給装置。
(5)項のワーク供給装置では、駆動源を最小限とすることで、設備コストを抑えることができ、装置自体をコンパクトに構成することができる。
【0012】
(6)前記詰まり抑制手段は、端部が前記搬送シャフトの外周に近接して配置され、前記搬送シャフトの軸方向に沿って進退運動する振り子機構で構成されることを特徴とする(4)項または(5)項に記載のワーク供給装置。
(6)項のワーク供給装置では、振り子機構の端部が、搬送シャフトの軸方向に沿って進退運動するために、例えばワーク投入口から搬送シャフトの上流側に投入される塊状となったワークに振り子機構の端部が接触することでワークを分散させることができる。この結果、ワークの詰まりを抑制することができる。
【0013】
(7)前記振り子機構は、前記搬送シャフトの径方向に延びる軸部に回動自在に支持され、一方の回転方向へ付勢される振り子部材と、該振り子部材の前記搬送シャフト側の端部と前記軸部を介して反対側の部位を、他方の回転方向に押圧する出没自在のプッシャ機構とから構成されることを特徴とする(6)項に記載のワーク供給装置。
(7)項のワーク供給装置では、振り子機構を容易に構成することができる。なお、ブッシュ機構の駆動源と搬送シャフトの駆動源とは同一であるので、搬送シャフトの回転駆動とプッシャ機構の出没運動とは連動する。
【0014】
(8)前記搬送シャフトは、ワークが収容されるホッパと上下方向で重なるように配置されることを特徴とする(1)項〜(7)項のいずれかに記載のワーク供給装置。
(8)項のワーク供給装置では、装置自体をコンパクトに構成することができ、専有スペースをさらに小さくすることができる。
【0015】
(9)前記ホッパの長手方向の一端側底部に、ワークを前記搬送シャフトの上流側に投入するワーク投入口を備えることを特徴とする(8)項に記載のワーク供給装置。
(9)項のワーク供給装置では、ホッパ内に収容された多数のワークは、ワーク投入口から搬送シャフトとワーク保持体との間に投入される。
【0016】
(10)前記ホッパは、その一端側を下方に配し他端側を上方に配して側面視で傾斜して設けられ、前記搬送シャフトは前記ホッパの傾斜に沿って延びることを特徴とする(9)項に記載のワーク供給装置。
(10)項のワーク供給装置では、ホッパ内に収容された多数のワークは、傾斜に沿って移動しワーク投入口から搬送シャフトとワーク保持体との間に投入される。
【0017】
(11)前記詰まり抑制手段は、前記搬送シャフトの上流側の下方に収容される複数のワークを掻き揚げるように回転する羽根状部材と、該羽根状部材上から落下するワークを前記搬送シャフトと前記ワーク保持体との間に案内する案内部材とから構成されることを特徴とする(4)項または(5)項に記載のワーク供給装置。
(11)項のワーク供給装置では、羽根状部材により掻き揚げられた多数のワークが羽根状部材上から落下すると、案内部材により搬送シャフトとワーク保持体の間に案内されて、搬送シャフトの螺旋状の突起部に沿って搬送される。
【0018】
(12)前記搬送シャフトを囲むように配置され、内部にワークが収容されるドラム状のホッパを備えることを特徴とする(11)項に記載のワーク供給装置。
(12)項のワーク供給装置では、装置自体をコンパクトに構成することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、設備コストを抑えると共に、装置自体をコンパクトに構成したワーク供給装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係るワーク供給装置の概略斜視図である。
【図2】図2は、図1の主要部位を示す概略正面図である。
【図3】図3は、図1の主要部位を示す概略側面図である。
【図4】図4は、図1のワーク供給装置の搬送シャフト及びワーク保持体の斜視図である。
【図5】図5は、図1のワーク供給装置の搬送シャフト及びワーク保持体によりボルトを保持する様子を示した正面図である。
【図6】図6は、図1のワーク供給装置にて、各ボルトが搬送シャフトに沿って搬送される際特殊な状況に至った場合の各ボルトの搬送状況を示す図である。
【図7】図7は、図1のワーク供給装置にて、各ボルトが搬送シャフトに沿って搬送される際図6とは異なる特殊な状況に至った場合の各ボルトの搬送状況を示す図である。
【図8】図8は、図1のワーク供給装置にて、各ボルトが搬送シャフトに沿って搬送される際図6及び図7とは異なる特殊な状況に至った場合の各ボルトの搬送状況を示す図である。
【図9】図9は、図1のワーク供給装置のプッシャ機構を示す断面図であり、(a)は、プッシャ機構のプッシャ本体部が最大で後退した図であり、(b)は、プッシャ本体部が最大で前進した図である。
【図10】図10は、図1のワーク供給装置の振り子部材に過負荷が作用した場合に、プッシャ機構の押圧がコイルスプリングに吸収された状態を示す図である。
【図11】図11は、本発明の第2の実施形態に係るワーク供給装置の概略側面図である。
【図12】図12は、図11のA矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態を図1〜図12に基づいて詳細に説明する。
本発明の第1及び第2の実施形態に係るワーク供給装置1a、1bは、頭部2と該頭部2よりも小径の軸部3とを有するワークとしてのボルト4を整列させて1本ずつ切り出して次の工程に供給する装置として提供される。
【0022】
まず、本発明の第1の実施形態に係るワーク供給装置1aを図1〜図10に基づいて説明する。
該第1の実施形態に係るワーク供給装置1aは、図1に示すように、多数のボルト4が収容されるホッパ7aと、ホッパ7aの一端側(図1の右端側)の底部に設けられたワーク投入口8と、該ワーク投入口8から投入されたボルト4を整列させて軸方向に搬送するための、断面円形状のシャフト10の外周面にスパイラルスプリング(螺旋状に延びる突起部)11を巻いて構成され回転駆動する搬送シャフト9と、該搬送シャフト9との間でボルト4の頭部2を保持し該ボルト4を吊り下げるように保持するワーク保持体12と、搬送シャフト9の上流側に設けられ、ボルト4の詰まりを抑制する詰まり抑制手段13aと、搬送シャフト9及び詰まり抑制手段13aを駆動させる駆動源としてのモータ14と、ワーク保持体12の下流側端部に設けられたワーク切出部としてワーク切出シュート15とを備えている。
【0023】
ホッパ7aは、図1及び図2に示すように、横長で下方が開放される断面略V字状に形成される。図1及び図3に示すように、ホッパ7aの内部には仕切板20が一部分を除き横設される。そこで、ホッパ7aの長手方向一端部(図1の右端部)において、仕切板20が横設されない範囲がワーク投入口8として作用する。なお、図2から解るように、ワーク投入口8の正面視における両側壁は、ホッパ7aの両側壁から連続するもので、下方に向かってその開口幅が狭くなるように形成される。このワーク投入口8は、搬送シャフト9とワーク保持体12との間に指向する。このように構成されたホッパ7aは、そのワーク投入口8側の一端側(図1の右端側)を下方に配すると共に他端側(図1の左端側)を上方に配して、側面視で傾斜するように支持体21により支持される。
【0024】
搬送シャフト9は、図1、図4及び図5に示すように、断面円形状のシャフト10の外周面にスパイラルスプリング11を巻いて構成される。このスパイラルスプリング11が螺旋状の突起部に相当する。このスパイラルスプリング11のピッチは、ボルト4の頭部幅における2本分未満に設定されるピッチ(以下、狭いピッチAという)と、ボルト4の頭部幅における2本分以上に設定されるピッチ(以下、広いピッチBという)とが混在して設定される。狭いピッチAには、1ピッチにボルト4が1本保持でき、一方、広いピッチBには、1ピッチにボルト4が2本以上保持することが可能である。なお、本実施の形態では、スパイラルスプリング11のピッチは、狭いピッチAが複数連続して形成される所定範囲と、広いピッチBが複数連続して形成される所定範囲とが交互に設けられて構成される。
【0025】
また、搬送シャフト9は、その上流側がホッパ7aのワーク投入口8の下方に位置して、ホッパ7aの下方をホッパ7aの傾斜に沿って、ホッパ7aの長手方向全域に亘って延びている。さらに、搬送シャフト9のホッパ7aから外部に延びる上流側端部に、モータ14のギヤ22に噛合するギヤ23が設けられている。この結果、搬送シャフト9は、モータ14の回転軸24により回転駆動する。
【0026】
図1、図4及び図5に示すように、搬送シャフト9の側方には、該搬送シャフト9と間隔を置いて平行に板状のワーク保持体12が立設して延びている。該ワーク保持体12は図示しない支持部材によりホッパ7aに支持される。搬送シャフト9とワーク保持体12との間の距離は、ボルト4の頭部2が搬送シャフト9の上部外周面とワーク保持体12との間に引っ掛かる程度の距離に設定される。ワーク保持体12の長さは搬送シャフト9の長さより短く設定されている。ワーク保持体12の下流側端部より下方の位置に、ワーク切出部としてのワーク切出シュート15が配置される。なお、ワーク保持体12の配設される範囲は、図1に示すように、ワーク投入口8の下方からワーク切出シュート15の手前までの範囲となる。
【0027】
詰まり抑制手段13aは、図1に示すように、ワーク投入口8から塊状となった複数のボルト4を分散させるものであって、端部29が搬送シャフト9の外周に近接して配置され、搬送シャフト9の軸方向に沿って進退運動する振り子機構25で構成される。
【0028】
振り子機構25は、図1及び図9に示すように、搬送シャフト9の径方向に延びる軸部31に回動自在に支持され、一方の回転方向(本実施の形態では時計周り方向)へ常時付勢される振り子部材28と、該振り子部材28の搬送シャフト9側の端部29とは前記軸部31を介して反対側の部位30を、他方の回転方向(本実施の形態では反時計周り方向)に押圧する出没自在のプッシャ機構34とから構成される。
【0029】
振り子部材28は、図2及び3に示すように、正面視における外形がホッパ7aの形状と同様の略V字状に形成され、断面く字状に形成される。振り子部材28の側面視における屈曲部位が搬送シャフト9の径方向に延びる軸部31に回転自在に支持され、該振り子部材28は軸部31を中心に捩りバネ(図示略)により時計周り方向に常時付勢される。軸部31は、図2及び図3に示すように、ワーク投入口8の上流側で、仕切板20の高さと同じ高さの位置を搬送シャフト9の径方向に延びその両端部がホッパ7aに支持される。そして、図9に示すように、振り子部材28の軸部31よりも搬送シャフト9側の端部29が搬送シャフト9の外周面に近接した位置に配置される。一方、振り子部材28の搬送シャフト9側とは軸部31を介して反対側の部位30がプッシャ機構34により反時計周り方向に押圧される。
【0030】
プッシャ機構34は、図9に示すように、振り子部材28の搬送シャフト9側の端部29とは軸部31を介して反対側の部位30を反時計周り方向に押圧するプッシャ本体部35と、該プッシャ本体部35を押圧するカム付きフランジ部36を有する第1プーリ37とから構成される。
第1プーリ37は、図1及び図9に示すように、プッシャ本体部35側の面に該プッシャ本体部35側に向かって次第に突出するように傾斜して設けられたカム付きフランジ部36が形成される。第1プーリ37はホッパ7aの一端面に回転自在に支持される。第1プーリ37は、モータ14の回転軸24に連結される第2プーリ38とベルト39により連結される。モータ14の回転軸24からの回転駆動が、第2プーリ38からベルト39を経由して第1プーリ37に伝達される。
【0031】
プッシャ本体部35は、図9に示すように、円筒状のハウジング40と、第1プーリ37側に位置して、ハウジング40内を軸方向に進退運動する棒状プッシュ体45と、該振り子部材28側に位置して、該棒状プッシュ体45の進退運動に連動してハウジング40内を進退運動する円筒状ブッシュ体46とから構成される。棒状プッシュ体45はその両端面が球面に形成される。棒状プッシュ体45の外周面の第1プーリ37寄りには径方向に突設される環状係止部47が設けられる。この棒状プッシュ体45の一端面が第1プーリ37のカム付きフランジ部36に当接される。円筒状プッシュ体46は、先端開口が球状壁部48で閉塞されて構成される。円筒状プッシュ体46は、ハウジング40の内周面に設けられた環状係止面49により第1プーリ37側へのそれ以上のスライドが規制される。また、円筒状プッシュ体46内の球状壁部48から連続する肩部50と、棒状プッシュ体45の環状係止部47との間にコイルスプリング51が配置される。
【0032】
これにより、プッシャ機構34は、第1プーリ37の回転に伴って、プッシャ本体部35の棒状プッシュ体45が第1プーリ37のカム付きフランジ部36によって進退運動すると共に、円筒状プッシュ体46がコイルスプリング51を介して進退運動するようになる。
なお、このプッシャ機構34では、図10に示すように、振り子部材28に何らかの原因で過負荷が作用して振り子部材28が停止された状態となっても、棒状ブッシュ体45からの進退運動はコイルスプリング51に吸収され円筒状プッシュ体46はその位置に停止した状態を維持できるため、モータ14の駆動を停止する必要はない。その後、振り子部材28への過負荷が解消すれば、元通り棒状ブッシュ体45の進退運動に連動して円筒状プッシュ体46が進退運動し、振り子部材28の端部29が搬送シャフト9の軸方向に沿って進退運動するようになる。
【0033】
図1に示すように、モータ14は、搬送シャフト9の上流側の下方に配置される。モータ14の回転軸24の基部側にギヤ22が設けられ、先端側に第2プーリ38が設けられる。モータ14に設けたギヤ22と、搬送シャフト9に設けたギヤ23とが噛合される。また、モータ14の第2プーリ38がベルト39を介して第1プーリ37に連結される。これにより、モータ14の回転軸24からの回転駆動が搬送シャフト9及び詰まり抑制手段13aの振り子機構25(プッシャ機構34)の両方に伝達される。
【0034】
次に、本発明の第1の実施形態に係るワーク供給装置1aの作用を説明する。
ホッパ7a内に多数収容されたボルト4は、自重によりホッパ7aの傾斜に沿って一端側に移動し、ワーク投入口8から搬送シャフト9とワーク保持体12との間に落下する。この時、モータ14の回転軸24は回転され、その結果、搬送シャフト9が回転し、これに連動するようにプッシャ機構34も駆動され、振り子機構25の振り子部材28の搬送シャフト9側の端部29が搬送シャフト9の軸方向に沿って進退運動する。これにより、ワーク投入口8から多数のボルト4が塊状に投入された場合でも、振り子部材28の端部29がこの塊状となった各ボルト4に接触することで各ボルト4が分散するために各ボルト4の詰まりが抑制される。
【0035】
また、ワーク投入口8から投入された各ボルト4は、図4及び図5から解るように、搬送シャフト9とワーク保持体12との間に頭部2が引っ掛かり吊り下げられた状態で、スパイラルスプリング11に沿って前進するようになる。
【0036】
そこで、各ボルト4が搬送シャフト9のスパイラルスプリング11に沿って前進する際、各ボルト4が次のような特殊な状況に至った場合についての作用を説明する。
図6(a)に示すように、搬送シャフト9とワーク保持体12との間でスパイラルスプリング11の狭いピッチAに吊り下げられたボルト4と交差するように、他のボルト4が進行方向に頭部2が向いた状態で搬送シャフト9の上面にスパイラルスプリング11を跨ぐように横たわった場合、図6(b)及び(c)に示すように、各ボルト4がスパイラルスプリング11の狭いピッチAの範囲から広いピッチBの範囲に移行するように前進してこれら各ボルト4、4の交差が解消されると、搬送シャフト9の上面に乗っていた他のボルト4が、同一の広いピッチBに最初に吊り下げられたボルト4と並ぶように吊り下げられるようになる。
【0037】
また、図7(a)に示すように、搬送シャフト9とワーク保持体12との間でスパイラルスプリング11の狭いピッチAに吊り下げられたボルト4と交差するように、他のボルト4が進行方向に軸部3が向いた状態で搬送シャフト9の上面にスパイラルスプリング11を跨ぐように横たわった場合、図7(b)及び(c)に示すように、各ボルト4がスパイラルスプリング11の狭いピッチAの範囲から広いピッチBの範囲に移行するように前進して、最初から狭いピッチAに吊り下げられたボルト4が広いピッチBに移行すると共にこれら各ボルト4の交差が解消されると、搬送シャフト9の上面に乗っていた他のボルト4が、最初から吊り下げられたボルト4の位置する広いピッチBの進行方向後側の広いピッチBに吊り下げられるようになる。
【0038】
さらに、図8(a)に示すように、スパイラルスプリング11の広いピッチBに2本のボルト4が吊り下げられている場合、図8(b)に示すように、各ボルト4がスパイラルスプリング11の広いピッチBの範囲から狭いピッチAの範囲に移行するように前進すると、各ボルト4が隣接する狭いピッチAにそれぞれ吊り下げられるようになる。
【0039】
次に、各ボルト4はスパイラルスプリング11に沿って前進した後、ワーク保持体12の下流側端部からワーク切出シュート15に切り出されて次の工程に供給される。
【0040】
以上説明したように、本発明の第1の実施形態に係るワーク供給装置1aによれば、一つのモータ14により、各ボルト4の供給、整列、搬送、切り出し及び詰まりの抑制が可能になり、複数のアクチュエータを備えた従来よりも、設備コストを抑えることができると共に、装置自体をコンパクトにすることができる。また、本ワーク供給装置1aでは、従来のように振動ユニットを用いる必要がないので、騒音が発生することが無く環境的に好適である。さらに、本ワーク供給装置1aでは、特定形状に対する専用の形状を構成する必要がないので、類似形状のワークに対して汎用性が高い。さらにまた、本ワーク供給装置1aでは、搬送シャフト9により各ボルト4を上向き傾斜で搬送して、自重を利用して搬送しないので、ホッパ7aの下方に搬送シャフト9を備えることができ、さらに、装置自体をコンパクト化することができる。
【0041】
次に、本発明の第2の実施形態に係るワーク供給装置1bを図11及び図12に基づいて説明する。該第2の実施形態に係るワーク供給装置1bを説明する際には、第1の実施形態に係るワーク供給装置1aとの相違点のみを説明する。
該第2の実施形態に係るワーク供給装置1bでは、図11に示すように、ホッパ7bはドラム状に形成されており、一端側(図11の右端側)を上方に配し他端側(図11の左端側)を下方に配して側面視で傾斜するように支持体21により支持される。
詰まり抑制手段13bは、図11及び図12に示すように、ドラム状ホッパ7bの他端側に配置されており、搬送シャフト9の上流側の下方に収容される多数のボルト4を掻き揚げるように回転する羽根状部材60と、該羽根状部材60上から落下する各ボルト4を搬送シャフト9とワーク保持体12との間に案内する案内部材61とから構成される。
【0042】
ドラム状ホッパ7bの他端面(図12の左端面)に、回転駆動される有底円筒状の回転部材62の開口側が当接されるように配置される。該回転部材62の内周面には、周方向に間隔を置いて略中心に向かって突設される複数の羽根状部材60が設けられる。回転部材62の内径及び外径と、ドラム状ホッパ7bの内径及び外径とは略同一である。
また、搬送シャフト9及びワーク保持体12が、ドラム状ホッパ7b及び回転部材62の径方向中心をドラム状ホッパ7bの傾斜方向に沿うように配置される。なお、搬送シャフト9及び回転部材62を回転駆動させるモータ14が回転部材62の端面に備えられる。
【0043】
案内部材61は板状に形成され、搬送シャフト9の上端付近から軸方向に沿って立設するように配置される。図12から解るように、案内部材61は、搬送シャフト9の上端付近から鉛直方向に対して略45°でワーク保持体12から離れるように傾斜して配置される。該案内部材61は、少なくとも、ワーク保持体12と羽根状部材60(回転部材62)とが搬送シャフト9の径方向で重なる範囲に設けられ、ドラム状ホッパ7bに直接または図示しない連結部材を介して支持される。
なお、図示はしていないが、ワーク保持体12の下流側端部から下方の位置に、ワーク切出シュートが配置される。
【0044】
次に、本発明の第2の実施形態に係るワーク供給装置1bの作用について説明する。
まず、モータ14が駆動されると、搬送シャフト9及び回転部材62がそれぞれ回転する。
そして、ドラム状ホッパ7b内から回転部材62内に自重で移動した各ボルト4は、回転部材62内の複数の羽根状部材60により回転するように上方に掻き揚げられる。続いて、上方に掻き揚げられた各ボルト4は各羽根状部材60上から落下するが、ドラム状ホッパ7bの径方向中心付近に向かって落下した各ボルト4は案内部材61の上面に落下する。すると、各ボルト4は案内部材61に沿って搬送シャフト9とワーク保持体12との間に案内されて、搬送シャフト9とワーク保持体12との間に吊り下げられるように搬送シャフト9のスパイラルスプリング11に沿って前進する。最終的に、各ボルト4は、ワーク保持体12の下流端からワーク切出シュートに1本ずつ切り出されて次の工程に供給される。
【0045】
以上説明した本発明の第2の実施形態に係るワーク供給装置1bにおいても、第1の実施形態に係るワーク供給装置1aと同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0046】
1a、1b ワーク供給装置,2 頭部,3 軸部,4 ボルト,7a、7b ホッパ,8 ワーク投入口,9 搬送シャフト,11 スパイラルスプリング(螺旋状の突起部),12 ワーク保持体,13a、13b 詰まり抑制手段,14 モータ(駆動源),15 ワーク切出シュート(ワーク切出部),25 振り子機構,28 振り子部材,34 プッシュ機構,35 プッシュ本体部,60 羽根状部材,61 案内部材,62 回転部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部と軸部とを有するワークの供給装置であって、
前記ワークを整列させて軸方向に搬送するための、螺旋状に延びる突起部を有し回転駆動する搬送シャフトと、
該搬送シャフトとの間で前記ワークを一定の姿勢で保持するワーク保持体と、
を備えることを特徴とするワーク供給装置。
【請求項2】
前記搬送シャフトの突起部のピッチの一部が、前記ワークの頭部幅または軸部径における、2本分未満または2本分以上に設定されることを特徴とする請求項1に記載のワーク供給装置。
【請求項3】
前記搬送シャフトの上流側に設けられ、ワークの詰まりを抑制する詰まり抑制手段を備えることを特徴とする請求項1または2に記載のワーク供給装置。
【請求項4】
前記詰まり抑制手段の駆動源と、前記搬送シャフトの駆動源とは同一であることを特徴とする請求項3に記載のワーク供給装置。
【請求項5】
前記詰まり抑制手段は、端部が前記搬送シャフトの外周に近接して配置され、前記搬送シャフトの軸方向に沿って進退運動する振り子機構で構成されることを特徴とする請求項3または4に記載のワーク供給装置。
【請求項6】
前記搬送シャフトは、ワークが収容されるホッパと上下方向で重なるように配置されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のワーク供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−49502(P2013−49502A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187238(P2011−187238)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】