説明

ワーク切断部用冷却液体の供給装置及び供給方法

【課題】少ない冷却液体でブレード側面とワークとの接触・摩擦点を効率良く冷却・潤滑できるようにする。
【解決手段】ワークWが載置固定されるワークテーブル24と、ワークWを切断するブレード25と、ワークテーブル24をブレード25に対して相対的に移動させるワークテーブル送り機構26と、ブレード25を回転可能に取り付けたスピンドル30と、ブレード25及びワークWに向けて冷却液体を吐出するノズル41と備える。ノズル41は、ブレード25の回転中心よりも上流側にてブレード25側面に対して略直角方向に配設され、且つ、ノズル41から吐出した冷却液体Cの到着地点が、ブレード25とワークWとの接触・摩擦点よりも若干上流側の地点とされている。又、ワーク支持面42は、ノズル41側が高くなるように傾斜して設けられている。ノズル41は、ワーク切断加工の進行に従い、ブレード25に対して相対的な位置関係を保持すべく同期して移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク切断部用冷却液体の供給装置及び供給方法に関し、特に、ブレードの回転でワークを切断しながら当該切断部に冷却液体を供給するワーク切断部用冷却液体の供給装置及び供給方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウェーハや電子部品材料等のワークを個々のチップに切断分割するためにダイシング装置(切断装置)が使用される。ダイシング装置は、ワークが水平に載置されるワークテーブルと、該ワークを切断するブレードと、前記ワークテーブルをブレードに対して相対的に移動させるワークテーブル送り機構と、前記ブレードを回転可能に取り付けたスピンドルと、該スピンドルを移動可能に支持するスピンドル移動機構とを備えている。前記ブレード1の外周側刃先部1aは電着又は電鋳などにより作製され(図7参照)、このブレードの高速回転により、ウェーハに不完全溝(ハーフカット)又は完全溝(フルカット)を形成してウェーハを個々のチップに切断している。
【0003】
上記ダイシング装置はワーク切断部冷却のためのノズルを備え、ウェーハ(ワーク)の切断加工時には、ノズルから冷却水を吐出させて、冷却水をブレード及びウェーハに供給しながら切断加工を実施している。
例えば、図9、並びに図10及び図11に夫々冷却水の供給方式の従来例を示す。図9は、冷却水Cをブレード1の両側面から該ブレード1の側面に吹き付けて、ブレード1及びウェーハWの切断部を冷却する方式である。又、図10及び図11は、ブレード1の上流側にノズル2を配置し、ブレード1の上流側端面に冷却水Cを供給して、ブレード1及びウェーハWの切断部を冷却する方式である(関連技術として特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−339372号公報
【特許文献2】特開2007−188974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、ウェーハWを切断するダイシング装置では、冷却水Cをブレード1に吹き付けてブレード1を冷却していた。しかし、図9に示す冷却方式では、ブレード1が何万回転という高速(例えば30,000〜60,000rpm)で回転しているため、回転の遠心力によって、ブレード1の側面に冷却水Cが接触せずに、冷却水Cの殆どがそのまま風圧で跳ね飛ばされていた。
【0006】
又、ウェーハWの切削で生ずる切り屑がそのまま流されずに滞留し、その滞留した切り屑が、ウェーハWの切断部に挟み込まれて、ウェーハWにクラック発生を増大させる要因になっていた。
【0007】
ブレード1とウェーハWとの接触点に所要量の冷却水を供給すべく、冷却水Cを大量に使用して供給する方法が提案される。しかし、大量の冷却水Cを使用した場合でも、大量の冷却水Cによる冷却効果が左程有効に機能せず、冷却水の使用量の無駄が多いという欠点を有していた。また、跳ね飛ばされた冷却水は、ミストとなって顕微鏡に付着し、顕微鏡を使用したカッティング位置の位置決め等に支障をきたしていた。
【0008】
又、図10及び図11に示す冷却方式では、ブレード1の上流側から冷却水Cを流すので、図10に示すように、ブレード1の端面で冷却水Cをブレード1の両側面に2分するように切ることになる。その結果として、ブレード1の側面に冷却水Cが供給されない箇所が生じ、冷却水Cの冷却・潤滑作用が低下する。
【0009】
従って、ブレード1の側面と切断されたウェーハとの間の部分で大きな摩擦が生じ、その摩擦熱が増大するという欠点を有していた。又、ブレード1の側面に冷却水Cが効果的に供給されないので、切り屑が滞留すると共に、冷却水Cの冷却・潤滑作用が低下するという問題があった。
【0010】
そこで、本発明は上記問題に鑑み、冷却液体が少量であっても、ブレードとワークとの接触・摩擦点に効率良く供給して、冷却液体の冷却・潤滑作用を高めるために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、ブレード固定部に取り付けたブレードの回転により、ワーク支持面上に固定されたワークを切断しながら、ノズルから吐出した冷却液体を前記ブレード及びワークに供給するワーク切断部用冷却液体の供給装置において、前記ワーク支持面は、ワーク切断方向に向かって冷却液体が流れるように下方に傾斜して形成され、前記ノズルは、前記ワーク支持面上における前記ブレードより離れた位置にて、該ブレード側面に向けて配設され、且つ、該ノズルから吐出した冷却液体が、前記ブレードとワークとの接触・摩擦点よりも前記傾斜方向上方側の地点に着水するように設けことを特徴とするワーク切断部用冷却液体の供給装置を提供する。
【0012】
この構成によれば、ノズルから吐出された冷却液体(水)は、ブレードの上流側に着水した後、ワーク上面の傾斜によって、ワークの上面に沿って広がりながら自然流下して、ブレードとワークとの接触・摩擦点に向かう。これにより、ブレードが高速に回転する場合でも、ノズルから吐出した冷却液体の殆どが、ブレードとワークとの接触・摩擦点に供給される。
【0013】
又、ブレードとワークとの接触・摩擦点に供給された冷却液体は、その後、そのままワークの傾きに従って排出側に流れていくので、次にノズルから供給される冷却液体が、前記ワークとの接触・摩擦点に円滑に流れ込む。
【0014】
更に、ノズルからワーク上面に供給された冷却液体は、ブレードで既に切断したワークの延長方向に収斂して流れるので、ワーク切断地に発生した切り屑(スラッジ)は、従来技術のように一方向に広がるのではなく、冷却液体の流れとともに洗い流される。
【0015】
請求項2記載の発明は、上記ワーク支持面は、該ワークを把持するチャックごと傾斜して設けられていることを特徴とする請求項1記載のワーク切断部用冷却液体の供給装置を提供する。
【0016】
この構成によれば、ワークを把持するチャックごとワーク支持面(ワークテーブル)が傾斜しているので、傾斜した分だけワーク支持面の平面視でのワーク送り方向の長さが短くなり、それに応じてワーク送り手段等の占有スペースが少なくて済む。
【0017】
請求項3記載の発明は、上記ノズルは、上記ワークの切断加工の進行に従い、上記ブレードに対する相対的な位置関係を保持すべく移動するように構成したことを特徴とする請求項1又は2記載のワーク切断部用冷却液体の供給装置を提供する。
【0018】
この構成によれば、ブレードによるワークの切断加工時、ブレードの移動に同期してノズルが移動し、ブレードとノズルの相対的な位置関係が維持される。依って、ブレードの移動方向や移動速度が変化しても、ノズルから吐出された冷却液体は、ワーク上面における上流側の所定位置に常に着水する。
【0019】
請求項4記載の発明は、ワーク支持面上に固定されたワークをブレードで切断しながら、ノズルから吐出した冷却液体を前記ブレード及びワークに供給するワーク切断部用冷却液体の供給方法において、前記ノズルを前記ブレードより離れて配設し、且つ、前記ワーク支持面を傾斜させた状態で、前記ノズルから吐出した冷却液体を前記ブレードとワークとの接触・摩擦点よりも上流側地点に供給し、冷却液体を、ワークの傾斜面に沿って自然流下させブレード側面に供給することを特徴とするワーク切断部用冷却液体の供給方法を提供する。
【0020】
この方法によれば、ノズルから吐出された冷却液体は、ブレードとワークとの接触・摩擦点よりも上流側地点に供給する。その後、冷却液体は、ワークの傾斜面に沿って略扇状に拡がりながら自然流下して、ブレードとワークとの接触・摩擦点に向かう。これにより、ブレードが高速に回転する場合でも、ノズルから吐出した冷却液体の殆どが、ブレードとワークとの接触・摩擦点に無駄なく供給される。
【0021】
請求項5記載の発明は、ワーク支持面上に固定されたワークをブレードで切断しながら、ノズルから吐出した冷却液体を前記ブレード及びワークに供給するワーク切断部用冷却液体の供給方法において、前記ノズルを前記ブレードから離れて配設し、前記ワーク支持面を傾斜させた状態で、前記ノズルから吐出した冷却液体を、線状部材を介して前記ブレード側面の外周縁部(外周刃先部)に供給し、冷却液体を該ブレード側面外周縁部に塗るように付着させることを特徴とするワーク切断部用冷却液体の供給方法を提供する。
【0022】
この方法によれば、ノズルから吐出された冷却液体は、ブレード側面外周縁部に一端部が接触する線状部材に着水する。そして、冷却液体は、ブレード側面外周縁部に塗るように付着され、そのあと、ブレードとワークとの接触・摩擦点に供給される。これにより、ブレードが高速に回転する場合でも、ノズルから吐出した冷却液体の殆どが、ブレード側面に接触して、ブレードとワークとの接触・摩擦点に確実に供給される。
【発明の効果】
【0023】
請求項1記載の発明は、ノズルから吐出された冷却液体は、ワークの上流側に着水した後、ワーク上面の傾斜によって、広がりをもってワークの上面に沿って自然流下する。そのため、ブレードが高速に回転しても、吐出した冷却液体の殆どをブレードとワークとの接触・摩擦点に供給でき、以て、少ない冷却液体でワーク切断部全面を効率良く冷却・潤滑することができ、冷却液体を多量に使用する必要がない。
【0024】
更に、ブレードとワークとの接触・摩擦点に供給した冷却液体は、ワークの傾斜により化有側に自然流下するため、次に供給される冷却液体を邪魔することなく、冷却液体の交換を円滑に行うことができる。仮に、ワークが傾斜せずに水平である場合は、冷却液体を強制的に吐出しながら、ワーク上に滞留した冷却液体を押しのけないといけないが、ワークが傾斜していると、たとえ少量の冷却液体であっても重力によって自然に流れて、冷却液体の交換が頗るスムーズになる。
【0025】
更に、ワークが傾斜していると、冷却液体に沿って、ワーク切断で発生するスラッジも滞留することはなくなるため、滞留したスラッジが再度ワーク切断位置に入り、ワーク切断時に大きなチッピングを起こすことはない。また、回転するブレードに直接冷却液体を
供給しているわけではないので、液体が遠心力によって跳ね返されることはほとんどない。
【0026】
又、従来技術のように一方向に広がるのではなく、ノズルから吐出した冷却液体が、ブレードで既に切断したワークの延長方向に収斂して移動するため、ワーク切断で発生する切り屑(スラッジ)を効果的に洗い流すことが可能になる。
【0027】
請求項2記載の発明は、チャックごと傾斜したワーク支持面の占有スペースが少なくて済むので、請求項1記載の発明の効果に加えて、ワーク支持面を含む切削装置全体の小型化が可能になる。
【0028】
請求項3記載の発明は、ノズルから吐出された冷却液体は、ワーク上面における上流側の所定位置に常に着水するので、請求項1又は2記載の発明の効果に加えて、少ない冷却液体でワーク切断部全面を効率良く冷却・潤滑することができる。
【0029】
請求項4記載の発明は、冷却液体は、ワークの上流側に着水した後、ワーク上面の傾斜によって、広がりをもってワークの上面に沿って自然流下するため、ブレードが高速に回転しても、吐出した冷却液体の殆どをブレードとワークとの接触・摩擦点に供給でき、以て、少ない冷却液体でワーク切断部全面を効率良く冷却・潤滑することができ、冷却液体を多量に使用する必要がない。
【0030】
更に、ブレードとワークとの接触・摩擦点に供給した冷却液体は、ワークの傾斜により化有側に自然流下するため、次に供給される冷却液体を邪魔することなく、冷却液体の交換を円滑に行うことができる。又、ノズルから吐出した冷却液体が、ブレードで既に切断したワークの延長方向に収斂して移動するため、ワーク切断で発生する切り屑を効果的に洗い流すことが可能になる。
【0031】
請求項5記載の発明は、ノズルから吐出した冷却液体の殆どが、ブレード側面外周縁部に接触して、ブレードとワークとの接触・摩擦点に確実に供給される、ブレードが高速に回転しても、吐出した冷却液体の殆どをブレードとワークとの接触・摩擦点に一層確実に供給でき、以て、少ない冷却液体でワーク切断部全面を効率良く冷却・潤滑することができる。特に、ブレード側面外周縁部に沿って溝が刻設されている場合は、高い粘度の冷却液体であっても、線状部材の毛細管作用により確実にブレードの側面に冷却液体を供給でき、ブレードの回転の遠心力で冷却液体が吹き飛ばされる恐れがない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施例を示し、ダイシング装置の各部のレイアウトを説明する配置平面図。
【図2】図1のダイシング装置に設けたワーク切断部用冷却液体の供給装置を上面から視た解説図。
【図3】図2のワーク切断部用冷却液体の供給装置を側面から視た解説図。
【図4】本発明の他の実施例を示し、ダイシング装置のワーク切断部用冷却液体の供給装置を上面から視た解説図。
【図5】本発明の応用例を示し、ダイシング装置のワーク切断部用冷却液体の供給装置に線状部材を設けた構成を側面から視た解説図。
【図6】図5を上面から視た解説図。
【図7】ブレードの構成例を示す正面図。
【図8】本発明の実施の形態に係るダイシング装置の切断装置の要部構造図。
【図9】従来例に係る冷却水供給方式を正面から視た解説図。
【図10】従来例に係る他の冷却水供給方式を上面から視た解説図。
【図11】図10の冷却水供給方式を側面から視た解説図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明は、少ない冷却液体でブレード側面とワークとの接触・摩擦点を効率良く冷却・潤滑できるようにするという目的を達成するために、ブレード固定部に取り付けたブレードの回転により、ワーク支持面上に固定されたワークを切断しながら、ノズルから吐出した冷却液体を前記ブレード及びワークに供給するワーク切断部用冷却液体の供給装置において、前記ワーク支持面は、ワーク切断方向に向かって冷却液体が流れるように下方に傾斜して形成され、前記ノズルは、前記ワーク支持面上における前記ブレードより離れた位置にて、該ブレード側面に向けて配設され、且つ、該ノズルから吐出した冷却液体が、前記ブレードとワークとの接触・摩擦点よりも前記傾斜方向上方側の地点に着水するように設けことを特徴とするワーク切断部用冷却液体の供給装置によって実現した。
【0034】
本発明の実施形態に適用されるダイシング装置は、主として切断装置 、洗浄装置及び
搬送装置等から構成されている。このダイシング加工では、加工前のウェーハWは、ワークテーブル上に載置されてそのワーク支持面に吸着保持され、そして、アライメントされた後、図8に例示する切断装置10を構成するブレード25のスピンドル軸方向への移動と、ワークテーブル24の移動とによって、ストリートが切断される。
【0035】
最初のストリートが切断されると、切断装置10のブレード25をストリートのピッチ分だけ移動させたのち、ワークテーブル24を再び移動させて、次のストリートが切断される。このような切断動作を繰り返して、全てのストリートの切断が終了すると、ワークテーブル24を90°回動させて、切断したストリートに直交する方向のストリートを前記同様に順次切断することで、ウェーハWを最終的にダイス状に切断する。
【0036】
次に、切断装置10の構成例について説明すると、ブレード25は、図8に示すように、スピンドル30の先端部に取り付けられ、不図示のモータの駆動によりブレード25が高速回転される。また、ブレード25は、フランジカバー(切断装置本体の構成部材)72によって包囲されている。なお、フランジカバー72には、ノズル41に冷却水Cを供給するチューブ(不図示)が接続されていると共に、ブレード25の磨耗等を検出するセンサ(不図示)が内蔵され、この検出情報は不図示の制御装置に出力される。
【0037】
フランジカバー72におけるブレード25と対応する箇所には、冷却液体供給用のノズル41がブレード25を挟んで一対設けられ、ノズル41はブレード25に対向して配置されている。このノズル41から噴射された冷却水Cが、切断中のブレード25及びウェーハWの被切断部に供給されることで、当該ブレード25及びウェーハWの切断部が冷却される。
【0038】
ここで、ノズル41の取付け形態としては、種々の態様例が可能であるが、例えば、ブレード25を覆うフランジカバー72に、ノズル41を直接取り付けるか、或いは、連結部材を介して間接的に取り付けることができる。この場合、ノズル41は、スピンドル30の先端部にてブレード25に対して若干離れて配置される。
【0039】
本実施の形態では、ワーク切断時に、ノズル41から吐出した冷却水Cは、ブレード25とウェーハWとの接触・摩擦点を冷却・潤滑すべく、最適な噴射方向から供給される。又、ワークテーブル24のワーク支持面は、冷却水Cが自然流下するように、水平方向に対して所定角度θだけ傾斜して形成されている。
【0040】
図8中の左右方向において、ワーク支持面は、ブレード25の中心位置よりもノズル41側の位置が上方となるように、即ち、冷却水Cが自然流下する方向に向かって、ワークテーブル24が下方へ所望角度θで傾斜するように設定されている。
【0041】
前記ノズル41は、ブレード方向を一部包含するように角度を設定して配置でき、この場合、冷却水Cは、ブレード25の側面とウェーハWの切断面(材料面)との間に一様に供給される。又、ノズル41は、冷却水Cの供給方向におけるブレード25の上流側から冷却水Cを吐出して、冷却水Cをブレード25の略側面方向に向かって送給する。
【0042】
更に、ノズル41から吐出された冷却水Cは、ウェーハW上におけるブレード25の上流側地点Pに着水するように設定されている。
【0043】
ワークテーブル24上のウェーハWは傾斜しているが、ブレード25がウェーハWを相対的に切り進めるに従って、ノズル41は制御手段(図示せず)を介して、ブレード25と相対的な位置関係を保持するように、ブレード25の移動と同期して移動する。
【0044】
この実施の形態によれば、ノズルから吐出された冷却水は、ウェーハの上流側に着水した後、ウェーハ上面の傾斜によって、ウェーハの上面に沿って広がりながら自然流下するため、ブレードが高速に回転しても、冷却水の殆どをブレードとウェーハとの接触・摩擦点に確実に供給でき、少量の冷却水でワーク切断部全面を効率良く冷却・潤滑できる。
【0045】
更に、冷却水は、ウェーハの傾斜下方側に自然流下するため、次に供給される冷却水の流入を促し、冷却水の交換が円滑になる。又、既に切断されたウェーハの延長方向に冷却水が収斂するため、切断時に発生した切り屑が効果的に洗い流される。この場合、ワーク支持面上に切り屑が滞留したとしても、再度ワーク切断位置に入る虞もない。
【0046】
又、冷却液体は、回転中のブレードに直接供給しないので、遠心力で跳ね返される恐れもない。
【実施例】
【0047】
以下、本発明の好適な実施例を図1乃至図3(図8も参照)に基づいて説明する。図1は本実施例に係るダイシング装置21を示す平面図である。同図に示すように、ダイシング装置21の本体部である方形匡体22は平面視で方形に形成されている。又、方形匡体22は斜辺縁部を有し、この斜辺縁部には開閉カバー付きの開口部23が設けられている。
【0048】
又、方形匡体22上には、ウェーハWをチャック(図示せず)で固定して載置される回転可能なワークテーブル24と、該ウェーハWを切断するブレード25,25と、ワークテーブル24をブレード25,25に対して相対的に移動させるワークテーブル送り機構26とが設けられている。ワークテーブル送り機構26は、方形匡体22におけるワーク送り方向の第1対角線上に設置されている。
【0049】
更に、方形匡体22上にはスピンドル移動機構28が設置され、該スピンドル移動機構28はガイドレール29を備えている。スピンドル移動機構28は、方形匡体22におけるY方向と直角なX方向(スピンドル移動方向)の第2対角線上に設置されている。
【0050】
このように、スピンドル移動機構28は、ワークテーブル送り機構26に対して直交するように配置されているため、ガイドレール29はワーク送り方向に対して直交している。
【0051】
ガイドレール29には、2つのスピンドル30,30が移動可能に支持され、該スピンドル30,30は同一軸線上にて互いに対向して配設されている。各スピンドル30,3
0には、ブレード25,25が回転可能に取り付けられている。又、スピンドル移動機構28とワークテーブル送り機構26とが直交する部分にはワーク切断加工部32が配設され、このワーク切断加工部32でブレード25,25によりウェーハWが切断加工される。
【0052】
更に、方形匡体22の右前側部分にはワーク交換部33が設けられ、このワーク交換部33において、オペレータMはワークテーブル24上のウェーハWを容易に交換できる。尚、図中の符号34は、ワーク切断加工部32から流れ出る冷却水等(切削水や洗浄水の廃液を含む)を受けるオイルパンであり、オイルパン34はワークテーブル送り機構26を包囲している。
【0053】
更に又、方形匡体22における左後側隅部には、排水口35を有する排水機構36と、排気口37を有する排気機構38とが配設されている。排水口35は、高速回転するブレード25,25でウェーハWを切断する際に、ブレード25,25の回転方向に沿って冷却水等が飛散する方向の延長線上に配置されている。
【0054】
上記ダイシング装置21で切断加工を行う際は、先ず、スピンドル30,30にブレード25,25を取り付けると共に、ワークテーブル24にウェーハWを載置固定する。次いで、ウェーハWは、ワークテーブル24の移動(ウェーハWとワークテーブル24の相対移動に相当)と、スピンドル30,30の移動とによってストリートが切断される。
【0055】
即ち、ワークテーブル24をワークテーブル送り機構26により、方形匡体22の略中央部側に搬送させて、ワーク切断加工部32にウェーハWを搬入させる。この後、ワーク切断加工部32の中心に向かってスピンドル30,30を移動させ、該スピンドル30,30に取り付けたブレード25,25を高速回転させながら、ウェーハWの切断加工を行う。
【0056】
最初のストリートが切断されると、ブレード25をストリートのピッチ分だけ移動させ、そして、ワークテーブル24を再びワーク送り方向に移動させて、次のストリートが切断される。このような切断動作を繰り返して、全てのストリートの切断が終了すると、ワークテーブル24を90°回動させて、切断したストリートに直交する方向のストリートを同様な動作の繰り返しにより順次切断する。これにより、ウェーハWは最終的にダイス状に切断される。
【0057】
この加工中、スピンドル30,30の先端に設けた後述のノズル(図2中の符号41)から冷却水をウェーハWの切削加工ポイントに供給する。尚、供給された冷却水は、オイルパン34により受けられた後に、排水口35等を経て外部に排出される。
【0058】
次に、本実施例による冷却水供給システムについて詳述する。この冷却水供給システムは、第一にワーク支持面が、ワーク切断方向に向かって冷却液体が流れるように下方に傾斜して形成されていること、第二に、ノズルは、ワーク支持面上におけるブレードよりも傾斜方向上方側にてブレード側面に対して略直角方向又は斜め方向に配設されていること、第三に、ノズルから吐出した冷却液体が、ブレードとワークとの接触・摩擦点よりも傾斜方向上方側の地点に着水するように設けたことを特徴とする。
【0059】
図2及び図3は、夫々本冷却水供給システムを上面及び側面から視た解説図である。前記ダイシング装置21は、図2に示すように、ワーク切断部用の冷却水Cを吐出するためのノズル41,41を複数本(図2では2本を例示する)備え、ノズル41,41は、前記スピンドル30の先端部にてブレード25に近接して取り付けられている。
【0060】
本実施例では、冷却水用のノズル41,41は、スピンドル30,30の先端部分に付帯させる形態で配設されている。具体的には、スピンドル30,30の先端のブレード25,25取付部分には、ブレード25,25を覆うようにフランジカバー(図8中の符号72)が取り付けられており、フランジカバー72におけるブレード25と対応する箇所には、冷却液体供給用のノズル41がブレード25を挟んで一対設けられている。このフランジカバーに対して前記ノズル41,41は、高さ調整自在及び方向調整自在に装着されている。勿論、ノズル41,41の取り付け形態は之に限定されず種々の形態方式を採択し得る。
【0061】
ウェーハWの切断加工時にノズル41,41から吐出した冷却水Cは、ブレード25とウェーハWとの接触・摩擦点(切削加工ポイント)を冷却・潤滑すべく、両者25、W間に供給される。なお、ブレード25の刃先側外周縁部40は、電着(又は電鋳等)により作製されている。
【0062】
又、前記ワークテーブル24のワーク支持面42は、冷却水Cが自然流下するように、水平方向に対して所定角度θだけ傾斜して形成されている。ワーク支持面42の傾斜方向は、前記ワークテーブル24のY方向において、ワークテーブル24の中心よりもノズル41,41側の位置が上方となるよう、即ち、冷却水Cが自然流下する方向Dに向かってワーク支持面42が下方傾斜して設定されている。
【0063】
前記ノズル41,41は、ブレード25の向きに対して完全に垂直方向ではないが、ノズル41,41はブレード方向を一部包含して向いている。そのため、冷却水Cは、ブレード25の側面とウェーハWの切断面(材料面)との間に一様に供給される。
【0064】
又、ノズル41,41は、冷却水供給方向におけるブレード25の上流側から冷却水Cを吐出して、冷却水Cをブレード25の略側面方向に向かって送給する。更に、ノズル41,41から吐出された冷却水Cは、ウェーハW上におけるブレード41の上流側地点Pに着水するように設定されている。
【0065】
ワーク支持面42、すなわち、ウェーハWは傾斜して設けられ、具体的には、ウェーハWを把持するチャック(図示せず)ごと、ノズル41,41側が上流側となるように傾斜している。ブレード25がウェーハWを相対的に切り進めるに従って、ノズル41,41は制御手段(図示せず)を介して、ブレード25と相対的な位置関係を保持するように、ブレード25の移動と同期して移動する。
【0066】
ここで、上記ノズル41の仕様などに関しては、ノズル径は2mm(内径は1mm)、ノズル1本当たりの流量は100ml/min、冷却液体(水)吐出方向は+X方向若しくは−X方向、冷却液体の着水点はX方向:約±12mmかつY方向:約30mm、ノズル先端位置はX方向:±15mmかつY方向:約30mmである。
【0067】
又、ブレード25はダイヤモンド砥粒電着ブレード、ブレード径は2インチ、ワーク支持面42の傾斜角度θ(ウェーハ傾斜角度θ)は15°、切断材料はシリコンウェーハである。但し、前記傾斜角度θは之に限定されず、重力による冷却水Cの自然流下を確保できれば、ブレード回転速度等に応じて5°乃至20°の範囲、より好ましくは7°乃至18°の範囲に設定しうる。
【0068】
上記冷却水供給システムによれば、ワーク支持面42は、ウェーハW上面における冷却水Cの自然流下を確保すべく、水平方向に対して15°だけ傾斜し、且つ、ノズル41,41は冷却水Cの流れ方向Dにおいてブレ−ド25の上流側地点に配置されている。
【0069】
依って、ブレード25によるウェーハWの切断加工中、ノズル41,41からの冷却水Cは、図2に示すように、ブレード25の両側面に対し略直角方向に吐出されて、ブレード25の上流側の着水点Pに向かう。その結果、ブレード25が毎分何万回転という高速で回転していても、冷却水Cの殆ど全てがブレード25の側面に無駄なく供給される。
【0070】
そのため、冷却水Cを従来例に比べ少量使用しても、ウェーハWの切断部全面が満遍なく効率良く冷却・潤滑される。
【0071】
又、ノズル41,41から吐出された冷却水Cは、ウェーハWの傾斜によって、扇状に自然と広がりつつウェーハWの加工地点に向かって供給される。そのため、冷却水Cの拡散作用と自然流下作用により、ブレード25とウェーハWの接触部分に冷却水Cが確実かつ十分に供給される。よって、ブレード25が高速に回転しても、ウェーハWの表面に沿ってウェーハWの加工点、即ち、ブレード25とウェーハWとの接触摩擦点に自動的に供給される。
【0072】
このため、殆どの冷却水Cがブレード25とウェーハWの接触・摩擦点に十分供給され、当該部分を極めて効率良く冷却・潤滑することができる。依って、従来技術の如くウェーハWの接触・摩擦点にて摩擦熱が増大することが防止される。
【0073】
更に、冷却水Cの殆ど全部が無駄なくブレード25とウェーハWの接触・摩擦点に十分供給されることで、ウェーハWの切削で生じた切り屑は、冷却水Cと共に洗い流される。そのため、切り屑の排出作用の促進に伴い、切り屑の滞留現象によるウェーハWのクラック発生が未然に防止される。
【0074】
更に、供給された冷却水Cは、ブレード25に接触した後、そのままウェーハWの傾きに沿って流される。そのため、次に供給される冷却水Cを邪魔することなく、冷却水Cの交換が効率良く行われることとなる。仮に、ウェーハWが傾斜していない場合は、冷却水Cを強制的に吐出しながら滞留水を押し除けなければならない。
【0075】
しかし、本発明のように、ウェーハWが適度に傾斜していると、たとえ少量の冷却水Cであっても、冷却水CがウェーハW面上をスムーズに自然流下して、冷却水Cの交換、即ち、ウェーハ下傾方向Dに沿う冷却水Cの重力による排出作用が促進される。
【0076】
又、ウェーハWの切断で生じた切り屑(スラッジ)については、従来技術のように一方向に広がるのではなく、双方のノズル41,41から吐出した冷却水Cが、ブレード25で既に切断したウェーハWの延長方向(傾斜方向D)に収斂することにより、冷却水Cの自然流下に伴い効率良く洗い流される。
【0077】
次に、本発明の他の実施例を図4に基づいて説明する。本実施例も図1のダイシング装置21に適用したものである。以下、本実施例の技術的特徴についてのみ説明し、前記実施例と共通の構成部分については、その説明を省略するものとする。
【0078】
図4に示すように、本実施例の冷却供給システムは、冷却水Cを吐出するノズル43,43を複数本(図4では2本を例示する)備え、ノズル43,43は、スピンドル30(図1参照)におけるブレード44の近傍箇所に取り付けられている。切断加工時、ノズル43,43から吐出した冷却水Cは、ブレード44及びウェーハWに向けて供給される。
【0079】
ノズル43,43は、ブレード44の側面に対して正確に垂直方向ではないが、ノズル43,43の吐出領域にブレード44の上流側端面が包含されるように、ノズル43,43の向きは、ブレード44の切削回転方向と順方向に設定されている。そのため、ブレード44の側面とウェーハWとの接触・摩擦点に冷却水Cが一様に供給される。
【0080】
ここで、ノズル43の仕様等に関しては、ノズル径は2mm(内径は1mm)、ノズル1本当たりの流量は150ml/min、冷却液体吐出方向は315度方向もしくは225度方向、冷却液体の着水点はX方向:約±16mmかつY方向:約35mm、ノズル先端位置はX方向:±20mmかつY方向:約40mmである。尚、ブレードの種類や直径、ワーク支持面の傾斜角度θ及び切断材料は前記実施例と同様である。
【0081】
依って、本実施例においても、上記実施例と同様に、ブレード44によるウェーハWの切断加工中、ノズル43,43からの冷却水Cは、ブレード44の側面に対し斜め方向から吐出され、この冷却水Cは、ブレード44の上流側の着水点Pに到達する。その結果、ブレード44が高速回転していても、冷却水Cの略全てがブレード44の側面とウェーハWとの接触・摩擦点に無駄なく供給され、これゆえ、少量の冷却水Cの使用で、ウェーハWの切断部全面が満遍なく効率良く冷却・潤滑される。
【0082】
又、別の実施例では、図示はしないが、ブレード面に沿って水を広げる目的であれば、ノズルをブレードより下流側に位置させて、ノズル向きをブレード側に向けつつ傾斜方向の上流側に向けて冷却水を供給する。ワーク上における着水点を接触摩擦点よりも上流側にしておけば、ワーク上に着水後、冷却水は傾斜したワークに沿って下方に流れながらも自然に広がり、ブレード側面を効果的に冷却することが可能となる。
【0083】
本発明の応用例として、冷却水供給装置に毛管現象を有する線状部材(刷毛部材)を設け、この線状部材を介してブレード及びウェーハに冷却水を供給することもできる。図5及び図6は、線状部材45,45を冷却水供給装置に付設した構成例を示す。
【0084】
線状部材45,45は毛細管作用を有し、上記スピンドル側の保持部材46に取り付けられている。更に、保持部材46の先端部は、ブレード47の両側面近傍に及び、当該先端部にはスリット状の水受け部48,48が開穿されている。又、水受け部48,48は、上記ノズルによる冷却水吐出領域内に属するように配置され、水受け部48,48内には上記ノズルから冷却水Cが供給される。
【0085】
水受け部48,48の下部側には線状部材45,45の上端部が固定され、該線状部材45,45の下端部は、ブレード47の側面外周縁部(外周側刃先部)に接触している。ここで、ブレード47の側面外周縁部に溝49が刻設されている場合には、ブレード47によるウェーハWの切断加工の際、線状部材45,45の下端部がブレード47の側面外周縁部の溝49に常に接触する。
【0086】
本実施例においては、線状部材46の下端部がブレード回転方向Rに沿ってブレード47の側面外周縁部に接触するので、ウェーハWの切断加工の際、上記ノズルより水受け部48,48内に送給された冷却水Cは、毛細管現象で線状部材45,45からブレード47の側面外周縁部に塗り込むように供給される。
【0087】
その結果、冷却水Cがブレード47の側面外周縁部に確実に到達して付着する。又、ブレード47の側面外周縁部に溝49が刻設されている場合、当該溝49が奥まった形状を有していても、溝49の内奥部に冷却水Cを確実に送給することができる。これにより溝49を介して冷却水Cの略全てが、ブレード47の側面とウェーハWとの接触・摩擦点に無駄なく供給され、これゆえ、少量の冷却水Cの使用でも、ウェーハWの切断部全面が満遍なく効率良く冷却・潤滑される。
【0088】
叙上の如く本発明によると、ノズルから吐出された冷却水は、ウェーハの上流側に着水
した後、ウェーハ上面の傾斜によって、広がりをもってウェーハの上面に沿って自然流下する。そのため、ブレードが高速に回転しても、吐出した冷却水の殆どをブレードとウェーハとの接触・摩擦点に供給でき、以て、少量の冷却水でワーク切断部全面を効率良く冷却・潤滑することができ、冷却水を多量に使用する必要がない。
【0089】
更に、ブレードとウェーハとの接触・摩擦点に供給した冷却水は、ウェーハの傾斜下方側に重力で自然流下するため、次に供給される冷却水の流入を促し、冷却水の交換が円滑になる。ウェーハが水平である場合は、冷却水を強制的に噴射して、ウェーハ上面に滞留した冷却水を押しのけないといけないが、ウェーハ上面が排出側に傾斜していると、たとえ少量の冷却水でも自然に流れて、冷却水の交換がスムーズになる。
【0090】
又、ウェーハの切断で発生した切り屑(スラッジ)は、従来技術のように一方向に広がるのではなく、本発明では、ブレードで既に切断したウェーハの延長方向に冷却水が収斂して移動するため、前記切り屑が効果的に洗い流されてその排出作用が促進する。
【0091】
更に、ウェーハを把持するチャックごと、ワーク支持面を含むワークテーブルが傾斜する構成では、傾斜した分だけワークテーブルの平面視での占有面積が減少し、ダイシング装置全体の小型化が可能になる。
【0092】
更に又、ウェーハの切断加工時、ブレードの移動と同期してノズルを移動させることで、ブレードとノズルの相対的な位置関係が常時維持される。依って、ブレードの移動速度が変化しても、ノズルから吐出された冷却水は、ワーク上面における上流側の所定位置に常に着水するため、少ない冷却水でワーク切断部全面を効率良く冷却・潤滑することができる。
【0093】
冷却水は、線状部材に着水させた後、毛細管現象によりブレード側面外周縁部に付着させる構成では、ブレードとワークとの接触・摩擦点に冷却水を供給でき、従って、ブレードが高速に回転しても、冷却水の殆どをブレードとワークとの接触・摩擦点に確実に供給することができる。特に、ブレード側面外周縁部に沿って溝が刻設されている場合は、高い粘度の冷却水であっても、ブレードの側面に冷却水を安定して供給できる。
【0094】
この場合、ブレードの回転の遠心力による風圧が高くても、この風圧で冷却水が吹き飛ばされる恐れもない。
【0095】
本発明は、上記の実施例の内容に限定されるものではなく、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。例えば、ブレード側面に対するノズルの吐出角度は、任意の角度に調整可能に構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明は、ブレードの回転によりワークを切断加工するワーク切断装置であれば、ダイシング装置以外のワーク切断装置に対して、種類や型式を問わず全て適用することが可能である。
【符号の説明】
【0097】
10 切断装置
21 ダイシング装置(ワーク切断装置)
22 方形匡体
24 ワークテーブル(ワーク支持面)
25,44,47 ブレード
26 ワークテーブル送り機構
28 スピンドル移動機構
29 ガイドレール
30 スピンドル(ブレード固定部)
32 ワーク切断加工部
33 ワーク交換部
34 オイルパン
35 排水口
36 排水機構
41,43 ノズル
42 ワーク支持面
45 線状部材
46 固定部材
48 水受け部
49 溝
72 フランジカバー
P 着水点
C 冷却水(冷却液体)
W ウェーハ(ワーク)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレード固定部に取り付けたブレードの回転により、ワーク支持面上に固定されたワークを切断しながら、ノズルから吐出した冷却液体を前記ブレード及びワークに供給するワーク切断部用冷却液体の供給装置において、
前記ワーク支持面は、ワーク切断方向に向かって冷却液体が流れるように下方に傾斜して形成され、
前記ノズルは、前記ワーク支持面上における前記ブレードより離れて、該ブレード側面に向けて配設され、且つ、該ノズルから吐出した冷却液体が、前記ブレードとワークとの接触・摩擦点よりも前記傾斜方向上方側の地点に着水するように設けことを特徴とするワーク切断部用冷却液体の供給装置。
【請求項2】
上記ワーク支持面は、該ワークを把持するチャックごと傾斜して設けられていることを特徴とする請求項1記載のワーク切断部用冷却液体の供給装置。
【請求項3】
上記ノズルは、上記ワークの切断加工の進行に従い、上記ブレードに対する相対的な位置関係を保持すべく移動するように構成したことを特徴とする請求項1又は2記載のワーク切断部用冷却液体の供給装置。
【請求項4】
ワーク支持面上に固定されたワークをブレードで切断しながら、ノズルから吐出した冷却液体を前記ブレード及びワークに供給するワーク切断部用冷却液体の供給方法において、前記ノズルを前記ブレードより離れて配設し、且つ、前記ワーク支持面を傾斜させた状態で、前記ノズルから吐出した冷却液体を前記ブレードとワークとの接触・摩擦点よりも上流側地点に供給し、冷却液体を、ワークの傾斜面に沿って自然流下させブレード側面に供給することを特徴とするワーク切断部用冷却液体の供給方法。
【請求項5】
ワーク支持面上に固定されたワークをブレードで切断しながら、ノズルから吐出した冷却液体を前記ブレード及びワークに供給するワーク切断部用冷却液体の供給方法において、前記ノズルを前記ブレードから離れて配設し、前記ワーク支持面を傾斜させた状態で、前記ノズルから吐出した冷却液体を、線状部材を介して前記ブレード側面の外周縁部(外周刃先部)に供給し、冷却液体を該ブレード側面外周縁部に塗るように付着させることを特徴とするワーク切断部用冷却液体の供給方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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