説明

ワーク搬送装置及びワーク搬送装置の制御方法

【課題】ワークに対して何らかの処理を行う複数の装置へ、効率的にワークを搬送可能なワーク搬送装置を提供する。
【解決手段】ワーク搬送装置1は、設備100が有する第1の装置(3−1、3−2)へワークを搬送する第1の搬送部11と、第2の装置(3−3、3−4)へワークを搬送する第2の搬送部12と、第1の搬送部11に対する命令コードを、設備100が実行する動作の実行順序に従って記憶する第1の記憶部23−1と、第2の搬送部12に対する命令コードを、その動作の実行順序に従って記憶する第2の記憶部23−2とを有する。そしてワーク搬送装置1は、第1の記憶部23−1から設備の動作の実行順序に従って読み出した命令コードに応じた動作を第1の搬送部11に実行させ、第2の記憶部23−2から設備の動作の実行順序に従って読み出した命令コードに応じた動作を第1の搬送部11の動作とは独立して第2の搬送部12に実行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の設備に対してワークを搬送する搬送装置、及びワーク搬送装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数のワークを並行して加工または検査するために、ワークに対して何らかの処理を行う複数の装置または製造ライン上の複数の場所の何れかへ、ワークの供給口からワークを搬送する設備が開発されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭61−207277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特に、そのような設備がワークの供給口から排出口までを結ぶ搬送路を一本しか有しておらず、各装置がその一本の搬送路からワークを受け取るように配置されていることがある。このような場合、搬送路が一度に一つのワークしか搬送できず、その設備は、何れかの装置へワークを搬送し、または何れかの装置から排出されたワークを排出口へ搬送している間、他の装置へワークを搬送することができない。そのため、ワークの搬送がボトルネックとなって、装置によっては、何の作業もしない待ち時間が長期間にわたり、全ての装置が効率的に動作できないことがあった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、ワークに対して何らかの処理を行う複数の装置へ、効率的にワークを搬送可能なワーク搬送装置及びワーク搬送装置の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の記載によれば、本発明の一つの形態として、ワーク供給口(2)から供給されたワークを、設備(100)が有する複数の装置の何れかへ搬送するワーク搬送装置(1)が提供される。係るワーク搬送装置は、一端がワーク供給口(2)と近接して配置される第1の搬送部(11)と、一端が第1の搬送部(11)の他端に近接して配置される第2の搬送部(12)とを有する。そして第1の搬送部(11)は、その一端にてワーク供給口(2)から受け取ったワークを所定の搬送方向に沿って搬送し、複数の装置のうちの第1の装置(3−1、3−2)へワークを投入し、または第1の装置から排出されたワークを所定の搬送方向に沿って搬送する。一方、第2の搬送部(12)は、第1の搬送部(11)の他端から受け取ったワークを所定の搬送方向に沿って搬送し、複数の装置のうちの第2の装置(3−3、3−4)へワークを投入し、または第2の装置から排出されたワークを所定の搬送方向に沿って搬送する。
またワーク搬送装置(1)は、第1の搬送部(11)に実行させる動作を規定する複数の命令コードを含む第1の命令コード群のうち、設備が実行する複数の動作のそれぞれに対応する命令コードを、その動作の実行順序に従って記憶する第1の記憶部(23−1)と、第2の搬送部(12)に実行させる動作を規定する複数の命令コードを含む第2の命令コード群のうち、設備が実行する複数の動作のそれぞれに対応する命令コードを、その動作の実行順序に従って記憶する第2の記憶部(23−2)と、第1の記憶部(23−1)に記憶されている命令コードを設備の動作の実行順序に従って読み出し、読み出された命令コードに応じた動作を第1の搬送部(11)に実行させ、第2の記憶部(23−2)に記憶されている命令コードを設備の動作の実行順序に従って読み出し、読み出された命令コードに応じた動作を、第1の搬送部(11)の動作とは独立して第2の搬送部(12)に実行させる制御部(24)とを有する。
係る構成を有することにより、このワーク搬送装置は、第1の搬送部と第2の搬送部とが独立してワークを搬送することができるので、設備が有する複数の装置へ、効率的にワークを搬送することができる。
【0007】
また請求項2の記載によれば、ワーク搬送装置(1)は、設備(100)が実行する複数の動作のそれぞれと、第1の命令コード群に含まれる各命令コード及び第2の命令コード群に含まれる各命令コードとの対応関係を表す動作パターンテーブルを記憶する第3の記憶部(22)をさらに有することが好ましい。この場合において、制御部(24)は、設備の動作の実行順序に従って実行される動作ごとに動作パターンテーブルを参照することにより、第1及び第2の命令コード群のうち、各動作に対応する命令コードを特定し、特定された命令コードを、それぞれ、第1の記憶部(23−1)及び第2の記憶部(23−2)に記憶させることが好ましい。
これにより、設備の動作の実行順序に応じて第1及び第2の記憶部にその実行順序に応じた命令コードが予め記憶される。そのため、このワーク搬送装置は、ワーク搬送を開始した後は単に第1及び第2の記憶部に記憶されている命令コードを順に実行すればよいので、制御を簡単化できる。
【0008】
また請求項3の記載によれば、制御部(24)は、設備(100)の複数の動作のうち、第1の搬送部(11)及び第2の搬送部(12)のうちの何れか一方のみが動作する特定の動作を実行する場合、第1の搬送部及び第2の搬送部のうちの他方について、特定の動作の次の動作に対応する命令コードを、第1及び第2の記憶部のうち、他方の搬送部に対応する記憶部から読み出して、読み出した命令コードに応じた動作を他方の搬送部に実行させることが好ましい。
これにより、このワーク搬送装置は、一方の搬送部が動作しない時間を減らせるので、より効率的にワークを搬送できる。
【0009】
さらに、請求項4の記載によれば、第1の記憶部(23−1)及び第2の記憶部(23−2)は、先入れ先出し型メモリであることが好ましい。
これにより、このワーク搬送装置は、第1の記憶部及び第2の記憶部への命令コードの書き込み制御、及び第1の記憶部及び第2の記憶部からの命令コードの読み出し制御を簡単化できる。
【0010】
また請求項5の記載によれば、第1の搬送部(11)が実行する複数の動作には、ワーク供給口(2)から受け取ったワークを第1の装置(3−1、3−2)に対して投入する第1の投入動作、ワーク供給口(2)から受け取ったワークを所定の搬送方向に沿って搬送する第1の搬送動作、または第1の装置からワークを取り出して所定の搬送方向に沿って搬送する第1の取り出し動作が含まれる。
一方、第2の搬送部(12)が実行する複数の動作には、第1の搬送部(11)の他端から受け取ったワークを第2の装置(3−3、3−4)に対して投入する第2の投入動作、第1の搬送部(11)の他端から受け取ったワークを所定の搬送方向に沿って搬送する第2の搬送動作、または第2の装置からワークを取り出して所定の搬送方向に沿って搬送する第2の取り出し動作が含まれる。
そして第1の命令コード群は、第1の投入動作に対応する第1の投入命令コード、第1の搬送動作に対応する第1の搬送命令コード及び第1の取り出し動作に対応する第1の取り出し命令コードを含み、第2の命令コード群は、第2の投入動作に対応する第2の投入命令コード、第2の搬送動作に対応する第2の搬送命令コード及び第2の取り出し動作に対応する第2の取り出し命令コードを含む。
【0011】
さらに請求項6の記載によれば、本発明の他の形態として、ワーク搬送装置の制御方法が提供される。係る制御方法において制御対象となるワーク搬送装置(1)は、一端がワーク供給口(2)と近接して配置される第1の搬送部(11)と、一端が第1の搬送部(11)の他端に近接して配置される第2の搬送部(12)とを有する。そして第1の搬送部(11)は、その一端にてワーク供給口(2)から受け取ったワークを所定の搬送方向に沿って搬送し、設備(100)が有する複数の装置のうちの第1の装置(3−1、3−2)へワークを投入し、または第1の装置から排出されたワークを所定の搬送方向に沿って搬送する。一方、第2の搬送部(12)は、第1の搬送部(11)の他端から受け取ったワークを所定の搬送方向に沿って搬送し、設備(100)が有する複数の装置のうちの第2の装置(3−3、3−4)へワークを投入し、または第2の装置から排出されたワークを所定の搬送方向に沿って搬送する。
またワーク搬送装置(1)は、第1の搬送部(11)に実行させる動作を規定する複数の命令コードを含む第1の命令コード群のうち、設備(100)が実行する複数の動作のそれぞれに対応する命令コードを、その動作の実行順序に従って記憶する第1の記憶部(23−1)と、第2の搬送部(12)に実行させる動作を規定する複数の命令コードを含む第2の命令コード群のうち、設備(100)が実行する複数の動作のそれぞれに対応する命令コードを、その動作の実行順序に従って記憶する第2の記憶部(23−2)とを有する。
そしてこの制御方法は、第1の記憶部(23−1)に記憶されている命令コードを実行順序に従って読み出し、読み出された命令コードに応じた動作を第1の搬送部(11)に実行させるステップと、第2の記憶部(23−2)に記憶されている命令コードを実行順序に従って読み出し、読み出された命令コードに応じた動作を、第1の搬送部(11)の動作とは独立して第2の搬送部(12)に実行させるステップとを含む。
係るステップを含むことにより、このワーク搬送装置の制御方法は、第1の搬送部と第2の搬送部とに独立してワークを搬送させることができるので、設備が有する複数の装置へ、効率的にワークを搬送することができる。
【0012】
なお、上記各手段に付した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一つの実施形態によるワーク搬送装置を備えた設備の概略構成図である。
【図2】設備が実行する各動作と、その動作に対応する命令コード及び各搬送部の動作との関係を表す動作パターンテーブルの一例を示す図である。
【図3】動作順序テーブルの一例を示す図である。
【図4】動作パターン決定処理の動作フローチャートである。
【図5】図4に示したステップS103及びS106に対応する、動作パターン抽出処理の動作フローチャートである。
【図6】搬送部制御処理の動作フローチャートである。
【図7】本発明の実施形態に係るワーク搬送装置により実行されるワーク搬送処理の動作フローチャートである。
【図8】各バッファに格納された命令コード群の一例を示す図である。
【図9】(a)〜(m)は、図8に示したバッファに記憶されたそれぞれの命令コードが実行されたときのワークの流動状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一つの実施形態によるワーク搬送装置について説明する。
このワーク搬送装置は、ワーク供給口から供給されたワークを搬送路に沿って複数の加工装置の何れかへ搬送し、またそれら加工装置の何れかから排出されたワークを搬送路に沿ってワーク排出口へ搬送する。そしてこのワーク搬送装置は、独立に動作可能な複数の搬送部を有し、それら複数の搬送部が搬送路を構成する。そしてこのワーク搬送装置は、それら搬送部のそれぞれに対して所定の動作を実行させる命令コードを、搬送部ごとに、動作の実行順序に従って記憶するとともに、記憶された命令コードの順序に従って各搬送部を互いに独立に動作させることで、ワークの搬送効率を向上させる。
【0015】
図1は、本発明の一つの実施形態に係るワーク搬送装置を備えた設備100の全体構成を示す概略構成図である。
設備100は、ワーク搬送装置1と、4台の加工装置3−1〜3−4とを有する。
加工装置3−1〜3−4は、それぞれ、ワーク搬送装置1からワークを受け取り、その受け取ったワークに対して所定の加工を行う。そして加工装置3−1〜3−4は、加工が終了したワークを、再度ワーク搬送装置1へ渡す。また加工装置3−1〜3−4は、ワーク搬送装置1が有するコントローラと接続され、コントローラからの要求に応じてワークに対する加工が終了したか否かを示す状態信号をコントローラへ送信する。
なお、ワーク自体、加工装置3−1〜3−4の構成及び各加工装置により行われる加工の内容に関してはどのようなものでもよいので、ここではその詳細な説明を省略する。
【0016】
ワーク搬送装置1は、ワーク供給口2から供給されたワークを、加工装置3−1〜3−4の何れかへ搬送し、また加工装置3−1〜3−4の何れかから取り出されたワークをワーク排出口4へ搬送する。そのために、ワーク搬送装置1は、搬送部11、12と、コントローラ13とを有する。
【0017】
搬送部11、12は、例えば、ベルトコンベアと、ベルトコンベアを挟んで各加工装置3−1〜3−4と対向して配置されたローダとを有する。そして搬送部11は、ワーク供給口2からワークを受け取れるように、図1において矢印Aで示されるワークの搬送方向において、搬送部11の一端がワーク供給口2と近接し、搬送部11の他端が搬送部12に近接するように搬送部11は配置される。
また搬送部12は、ワークの搬送方向において、その一端が搬送部11からワークを受け取れるように、搬送部11の他端と近接するように配置されている。また搬送部12の他端は、ワーク排出口4と近接し、設備100から排出されるワークを搬送部12からワーク排出口4へ排出可能なように配置される。このように、搬送部11、12は、ワーク供給口2からワーク排出口4までの一本の搬送路を構成する。
【0018】
搬送部11の側面には、2台の加工装置3−1、3−2が、ワーク搬送方向に沿って並んで配置される。そしてローダが、搬送部11を挟んで加工装置3−1と対向するように配置される。また別のローダが、搬送部11を挟んで加工装置3−2と対向するように配置される。
同様に、搬送部12の側面には、2台の加工装置3−3、3−4が、ワーク搬送方向に沿って並んで配置される。そしてローダが、搬送部12を挟んで加工装置3−3と対向するように配置される。さらに別のローダが、搬送部12を挟んで加工装置3−4と対向するように配置される。
【0019】
搬送部11、12のそれぞれが有するベルトコンベアは、例えば、コントローラ13からの制御信号によって回転または停止するモータ(図示せず)によって駆動される。そして搬送部11、12のそれぞれは、互いに独立して動作可能となっている。
搬送部11は、ワーク供給口2からワークを受け取って、そのワークをワーク搬送方向に沿って搬送し、搬送部11上の任意の位置、例えば、加工装置3−1とローダの間、または加工装置3−2とローダの間にワークを停止させる。また搬送部11は、搬送部11上のワークを搬送部12へ向けて搬送する。
同様に、搬送部12は、搬送部11からワークを受け取って、そのワークをワーク搬送方向に沿って搬送し、搬送部12上の任意の位置、例えば、加工装置3−3とローダの間、または加工装置3−4とローダの間にワークを停止させる。また搬送部12は、搬送部12上のワークをワーク排出口4へ向けて搬送する。
【0020】
各ローダは、コントローラ13からの制御信号にしたがって、搬送部11または搬送部12上のワークを加工装置3−1〜3−4へ投入し、加工装置3−1〜3−4内の所定の位置へ載置する。また各ローダは、コントローラ13からの制御信号にしたがって、加工装置3−1〜3−4からワークを取り出し、搬送部11または搬送部12上に置く。
そのために、ローダは、ワークを加工装置へ投入し、または加工装置から取り出すことができる、様々な機構の何れかを有することができる。例えば、ローダは、搬送路に直交する方向に移動可能なアームと、アームの一端に取り付けられ、ワークを挟んで保持するための開閉可能なチャックと、アームを支持し、コントローラ13からの制御信号に従ってアームを移動させるアクチュエータ及び支持台とを有してもよい。
さらに、搬送部11、12は、それぞれ、ベルトコンベア上に存在するワークを検知するセンサを有し、そのセンサの検知結果に応じてワークを搬送中か否かを表す搬送状態信号をコントローラ13へ送信する。
【0021】
コントローラ13は、ワーク搬送装置1の各部を制御する。そのために、コントローラ13は、通信部21と、記憶部22と、バッファ23−1、23−2と、制御部24とを有する。
【0022】
通信部21は、コントローラ13と各搬送部及び各加工装置とを接続するためのインターフェース回路を有する。そして通信部21は、制御部24から受け取った制御信号を、搬送部11、12の何れかへ出力する。また通信部21は、搬送部11、12から搬送状態信号を受信し、制御部24へ渡す。さらに通信部21は、各加工装置3−1〜3−4から、ワークへの加工が終了したか否かを示す状態信号、あるいは加工装置が正常に稼動しているか否かを表す状態信号を受信し、制御部24へ渡してもよい。
【0023】
記憶部22は、例えば、不揮発性の読み書き可能な半導体メモリを有し、制御部24で使用されるプログラム、各種のデータなどを記憶する。また記憶部22は、搬送部11に実行させる複数の動作のそれぞれを規定する複数の命令コードを含む第1の命令コード群と、搬送部12に実行させる複数の動作のそれぞれを規定する複数の命令コードを含む第2の命令コード群とを記憶する。さらに記憶部22は、設備100が実行する複数の動作のそれぞれと、搬送部11、12に実行させる動作を規定する命令コードとの関係を示す動作パターンテーブルを記憶する。
【0024】
図2は、設備100が実行する各動作と、その動作に対応する命令コード及び各搬送部11、12の動作との関係を表す動作パターンテーブルの一例を示す。
動作パターンテーブル200においいて、左端の列の各欄には、設備100において実行される動作の一つが示される。また動作パターンテーブル200の左から2番目の列の各欄には、左端に示された設備100の動作に対応する搬送部11の動作が示され、左から3番目の列の各欄には、搬送部11の動作に対応する命令コードが示される。同様に、動作パターンテーブル200の右端から2番目の列の各欄には、左端に示された設備100の動作に対応する搬送部12の動作が示され、右端の列の各欄には、搬送部12の動作に対応する命令コードが示される。なお、動作パターンテーブル200において、「ST1」は加工装置3−1を表す。同様に、「ST2」〜「ST4」は、それぞれ、加工装置3−2〜3−4を表す。
【0025】
例えば、命令コードのうち、百の位の数値は動作の種別を表す。この例では、百の位の数値が“1”であれば、その命令コードに対応する動作は、加工装置への投入動作である。百の位の数値が“2”であれば、その命令コードに対応する動作は、加工装置からの取り出し動作である。また、百の位の数値が“3”であれば、その命令コードに対応する動作は、搬送部上にあるワークを、ワーク投入口2からワーク排出口4に向かう方向に沿って搬送する搬送動作である。
また、命令コードの一の位の数値は対象となる加工装置を表す。この例では、一の位の数値について、1〜4は、それぞれ、加工装置3−1〜3−4に対応する。
【0026】
例えば、行201に示されるように、設備100の動作が「加工装置3−1へのワーク投入」であれば、搬送部11に対する命令コードは「101」であり、搬送部11は、ワーク供給口2からワークを受け取って加工装置3−1への投入可能位置まで搬送した後、そのワークを加工装置3−1へ投入する。一方、搬送部12に対する命令コードは「0」であり、搬送部12は特に動作しない。また、行202に示されるように、設備100の動作が「加工装置3−1からのワーク取り出し」であれば、搬送部11に対する命令コードは「201」であり、搬送部11は加工装置3−1からワークを取り出し、そのワークを搬送部12まで搬送する。一方、搬送部12に対する命令コードは「300」であり、搬送部12は、搬送部11から受け取ったワークをワーク排出口4まで搬送する。
【0027】
また、行203に示されるように、設備100の動作が「加工装置3−3へのワーク投入」であれば、搬送部11に対する命令コードは「300」であり、搬送部11は、ワーク供給口2からワークを受け取り、そのワークを搬送部12へ搬送する。一方、搬送部12に対する命令コードは「103」であり、搬送部12は、搬送部11から受け取ったワークを加工装置3−3への投入可能位置まで搬送した後、加工装置3−3へ投入する。また、行204に示されるように、設備100の動作が「加工装置3−3からのワーク取り出し」であれば、搬送部11に対する命令コードは「0」であり、搬送部11は、特に動作しない。一方、搬送部12に対する命令コードは「203」であり、搬送部12は、加工装置3−3からワークを取り出し、そのワークをワーク排出口4まで搬送する。
【0028】
記憶部22は、さらに各加工装置3−1〜3−4の動作の優先順位を示す動作順序テーブルを記憶する。
図3は、動作順序テーブルの一例を示す図である。
動作順序テーブル300の左側の列の各欄には優先順位が示され、動作順序テーブル300の右側の列の各欄には、加工装置3−1〜3−4の識別コードが示される。この例では、優先順位は、0〜3で表され、数値が小さいほど優先順位が高い。また、加工装置の識別コード1〜4は、それぞれ、加工装置3−1〜3−4を表す。動作順序テーブル300は、加工装置3−4が最も優先順位が高く、加工装置3−3、3−2、3−1の順に優先順位が低くなることを示している。
さらに記憶部22は、加工装置ごとに、対応する加工装置内にワークが存在するか否かを表すワーク有無フラグを記憶する。
【0029】
バッファ23−1、23−2は、それぞれ、搬送部11、12に対応する記憶部の一例である。バッファ23−1、23−2は、例えば、先入れ先出し型(FIFO)メモリを有する。そして設備100が稼動している間、各バッファ23−1、23−2には、対応する搬送部に対する命令コードが、その搬送部が実行する動作の実行順序に従って制御部24により書き込まれる。また各バッファ23−1、23−2に格納された命令コードは、各搬送部の動作の実行順序に従って、すなわち、先に書き込まれたものから順番に制御部24によって読み出される。そして制御部24によって読み出された命令コードは、バッファ23−1、23−2から消去される。
なお、バッファ23−1、23−2は、データの先入れ先出しが可能な他のメモリ回路によって構成されてもよい。またバッファ23−1、23−2は、物理的に一つのメモリ回路が、論理的に二つの先入れ先出し型メモリとして構成されたものでもよい。
【0030】
制御部24は、1個または複数個のプロセッサ及びその周辺回路を有する。そして制御部24は、設備100の所定の動作を実行するために、各搬送部に対してその所定の動作に対応する制御信号を生成し、その制御信号を通信部21を介して出力する。そのために、制御部24は、予め設定された各加工装置の優先順位にしたがって、記憶部22に記憶されている各搬送部に対する命令コードを読み込む。そして制御部24は、その命令コードをバッファ23−1、23−2に書き込むことにより、搬送装置1の各搬送部の動作の実行順序を表す動作パターンを決定する。
【0031】
図4は、動作パターン決定処理の動作フローチャートである。
制御部24は、優先順位jの加工装置に対応するワーク有無フラグがその加工装置内にワークが有ることを示すか否か判定する(ステップS101)。ワーク有無フラグがその加工装置内にワークが有ることを示していれば、制御部24は、優先順位jの加工装置からワークを取り出す動作に対応する、各搬送部に対する命令コードをバッファ23−1、23−2に記憶させるために動作パターン抽出処理を実行する(ステップS102)。なお、動作パターン抽出処理の詳細については後述する。そして制御部24は、ワーク有無フラグに、優先順位jの加工装置内にワークが存在しないことを示す値(例えば、0)を設定する(ステップS103)。
【0032】
ステップS103の後、あるいはステップS101にて優先順位jの加工装置に対応するワーク有無フラグがその加工装置内にワークが無いことを示す場合、制御部24は、作成する動作パターンが排出運転用の動作パターンか否か判定する(ステップS104)。なお、排出運転とは、設備100に含まれる全ての加工装置3−1〜3−4からワーク排出口4へワークを排出させる動作をいい、例えば、排出運転は、管理者が図示しないユーザインターフェースを介してコントローラ13へ排出指示操作を行うことによって実行される。
作成する動作パターンが排出運転用の動作パターンでなければ、制御部24は、優先順位jの加工装置に対してワークを投入する動作に対応する、各搬送部に対する命令コードをバッファ23−1、23−2に記憶させるために動作パターン抽出処理を実行する(ステップS105)。そして制御部24は、ワーク有無フラグに、優先順位jの加工装置内にワークが存在することを示す値(例えば、1)を設定する(ステップS106)。
【0033】
ステップS106の後、あるいはステップS104にて排出運転であると判定された場合、制御部24は動作パターン決定処理を終了する。
【0034】
図5は、図4に示したステップS102及びS105に対応する、動作パターン抽出処理の動作フローチャートである。
制御部24は、優先順位jの加工装置内にワークが存在するか否か判定する(ステップS201)。ワークが存在する場合、制御部24は、動作順序テーブルを参照して、優先順位jに対応する加工装置を特定する(ステップS202)。そして制御部24は、動作パターンテーブルを参照して、特定された加工装置からのワーク取り出し動作に対応する各搬送部の命令コードを取得する(ステップS203)。例えば、特定された加工装置が加工装置3−1である場合、図2に示された動作パターンテーブル200から、搬送部11について取得される命令コードは、“201”であり、搬送部12について取得される命令コードは、“300”である。
【0035】
一方、ワークが存在しない場合、制御部24は、動作順序テーブルを参照して、優先順位jに対応する加工装置を特定する(ステップS204)。そして制御部24は、動作パターンテーブルを参照して、各搬送装置の動作のうち、特定された加工装置へのワーク投入動作に対応する各搬送部の命令コードを取得する(ステップS205)。例えば、特定された加工装置が加工装置3−1である場合、図2に示された動作パターンテーブル200から、搬送部11について取得される命令コードは、“101”であり、搬送部12について取得される命令コードは、“0”である。
【0036】
ステップS203またはS205の後、制御部24は、各搬送部に対して取得した命令コードを、それぞれバッファ23−1、23−2に格納する(ステップS206)。その後、制御部24は、動作パターン抽出処理を終了する。
なお、制御部24は、取得された命令コードが動作無しを示す命令コードである場合、その命令コードをバッファ23−1、23−2に書き込まなくてもよい。
【0037】
また制御部24は、バッファ23−1、23−2のそれぞれから、最も古い命令コードを読み込む。そして制御部24は、読み込んだ各命令コードに応じた制御信号をそれぞれ生成し、それらの制御信号を、通信部21を介してそれぞれ搬送部11、12へ送信することにより、搬送部11、12を制御する。
【0038】
図6は、制御部24により実行される搬送部制御処理の動作フローチャートである。なお、搬送部11に対する制御と搬送部12に対する制御は、基本的に同一であるので、以下では、搬送部11に対する制御についてのみ説明する。搬送部12に対する制御については、図6の動作フローにおいて、バッファ23−1をバッファ23−2とし、搬送部11、加工装置3−1、3−2を、それぞれ、搬送部12、加工装置3−3、3−4に置き換えればよい。
また、制御部24は、搬送部11と搬送部12とが、同時に動作できるように、搬送部11に対する制御と搬送部12に対する制御を平行して実行する。そのために、例えば、制御部24は、タイムシェアリング方式により、搬送部11に対する制御プロセスと搬送部12に対する制御プロセスを交互に実行する。あるいは、制御部24は、複数のプロセッサを有している場合、各プロセッサが、それぞれ搬送部11に対する制御プロセスと搬送部12に対する制御プロセスを実行してもよい。
【0039】
制御部24は、バッファ23−1に格納されている命令コードのうち、最も古い命令コードが“0”か否か、すなわち、バッファ23−1の最も出口に近い領域が空か否か判定する(ステップS301)。最も古い命令コードが“0”であれば、制御部24は、バッファ23−1内に格納されている各命令コードを一段ずつ出口へ近づける。そして制御部24は、ステップS301の処理を繰り返す。
最も古い命令コードが“0”でなければ、制御部24は、バッファ23−1からその最も古い命令コードを読み出す(ステップS302)。そして制御部24は、読み込んだ命令コードのうち、動作の種別を表すコードを参照して、搬送動作、投入動作または取り出し動作の何れかを特定する(ステップS303)。例えば、上記のように、命令コードのうち、百の位の数値が動作の種別を表す。
命令コードで指定された動作が搬送動作である場合(例えば、百の位の数値が“3”)、制御部24は、搬送動作に対応する制御信号を生成する。そして制御部24は、通信部21を介してその制御信号を搬送部11へ送信することにより、搬送部11に搬送動作を実行させる(ステップS304)。
【0040】
一方、ステップS303にて、命令コードで指定された動作が取り出し動作である場合(例えば、百の位の数値が“2”)、制御部24は、命令コードのうち、加工装置を表すコードを参照して、対象となる加工装置を特定する(ステップS305)。例えば、上記のように、命令コードのうち、一の位の数値が動作対象の加工装置を表す。
命令コードで示された加工装置が加工装置3−1である場合(例えば、一の位の数値が“1”)、制御部24は、加工装置3−1へ状態信号の取得要求を行い、その取得要求に応じた加工装置3−1からの最新の状態信号を参照し、加工装置3−1が自装置内にいるワークの加工を終了したか否か判定する(ステップS306)。加工装置3−1内のワーク加工が終了していない場合、制御部24は、ステップS306を繰り返す。
一方、ステップS306にて、加工装置3−1内のワーク加工が終了している場合、制御部24は、取り出し動作に対応する制御信号を生成する。そして制御部24は、通信部21を介してその制御信号を搬送部11へ送信することにより、搬送部11に加工装置3−1からのワーク取り出し動作を実行させる(ステップS307)。
【0041】
ステップS305にて、命令コードで示された加工装置が加工装置3−2である場合(例えば、一の位の数値が“2”)、制御部24は、加工装置3−2へ状態信号の取得要求を行い、その取得要求に応じた加工装置3−2からの最新の状態信号を参照し、加工装置3−2が自装置内にいるワークの加工を終了したか否か判定する(ステップS308)。そして加工装置3−2内のワーク加工が終了していない場合、制御部24は、ステップS308を繰り返す。
一方、ステップS308にて、加工装置3−2内のワーク加工が終了している場合、制御部24は、取り出し動作に対応する制御信号を生成する。そして制御部24は、通信部21を介してその制御信号を搬送部11へ送信することにより、搬送部11に加工装置3−2からのワーク取り出し動作を実行させる(ステップS309)。
【0042】
また、ステップS303にて、命令コードで指定された動作が投入動作である場合(例えば、百の位の数値が“1”)、制御部24は、命令コードのうち、加工装置を表すコードを参照して、対象となる加工装置を特定する(ステップS310)。
命令コードで示された加工装置が加工装置3−1である場合、制御部24は、投入動作に対応する制御信号を生成する。そして制御部24は、通信部21を介してその制御信号を搬送部11へ送信することにより、搬送部11に加工装置3−1へのワーク投入動作を実行させる(ステップS311)。
一方、ステップS310にて、命令コードで示された加工装置が加工装置3−2である場合、制御部24は、投入動作に対応する制御信号を生成する。そして制御部24は、通信部21を介してその制御信号を搬送部11へ送信することにより、搬送部11に加工装置3−2へのワーク投入動作を実行させる(ステップS312)。
【0043】
ステップS304、S307、S309、S311またはS312の後、制御部24は、バッファ23−1が空か否か、すなわち、全ての命令コードがバッファ23−1から読み出されたか否か判定する(ステップS313)。バッファ23−1が空でなければ、制御部24は、ステップS301〜S313の処理を繰り返す。
一方、バッファ23−1が空であれば、制御部24は、搬送部制御処理を終了する。
【0044】
図7は、設備100の全体動作のフローチャートである。この全体動作は、コントローラ13の制御部24により制御される。
先ず、制御部24は、設備100の運転が排出運転か否か判定する(ステップS401)。排出運転であれば、制御部24は、ワーク投入口2にワークが有るか否か判定する(ステップS402)。
ワーク投入口2にワークが存在しなければ、制御部24は、一定の時間間隔(例えば、1秒、5秒あるいは10秒)で、ステップS402の処理を繰り返す。一方、ワーク投入口2にワークが存在する場合、制御部24は、繰り返し回数nを0に設定し、着目する加工装置の優先順位jを0に設定する。また制御部24は、全てのワーク有無フラグをワーク無しに設定する(ステップS403)。
【0045】
その後、制御部24は、図4に示した動作パターン決定処理を実行する(ステップS404)。ステップS404の後、制御部24は、優先順位jを1インクリメントする(ステップS405)。そして制御部24は、優先順位jが最も低い順序に対応する値(本実施形態では、3)よりも大きいか否か判定する(ステップS406)。優先順位jが最も低い順序に対応する値以下であれば、制御部24は、ステップS404〜S406の処理を繰り返す。
一方、優先順位jが最も低い順序に対応する値よりも大きければ、制御部24は、繰り返し回数nを1インクリメントする(ステップS407)。そして制御部24は、繰り返し回数nが所定回数に達したか否か判定する(ステップS408)。所定回数は、予め定められた値、例えば、一度に加工されるワークの数を設備100が有する加工装置の数で割った値に設定される。あるいは、所定回数は、ワーク投入口2の近傍に滞留するワークの数を設備100が有する加工装置の数で割った値に設定されてもよい。
繰り返し回数nが所定回数に達していなければ、制御部24は、ステップS404〜S408の処理を繰り返す。
一方、繰り返し回数nが所定回数に達していれば、制御部24は、各搬送部に対して、図6に示した制御処理をそれぞれ実行する(ステップS409)。
【0046】
ステップS409の後、制御部24は、ワーク投入口2にワークが残っているか否か判定する(ステップS410)。ワーク投入口2にワークが残っていれば、制御部24は、ステップS403〜S410の処理を繰り返す。一方、ワーク投入口2にワークが残っていなければ、制御部24は、処理を終了する。
【0047】
また、ステップS401にて、設備100の運転が排出運転である場合、制御部24は、優先順位jを0に設定し、全てのワーク有無フラグをワーク有りに設定する(ステップS411)。その後、制御部24は、図4に示した動作パターン決定処理を実行する(ステップS412)。
ステップS412の後、制御部24は、優先順位jを1インクリメントする(ステップS413)。そして制御部24は、優先順位jが最も低い順序に対応する値よりも大きいか否か判定する(ステップS414)。優先順位jが最も低い順序に対応する値以下であれば、制御部24は、ステップS412〜S414の処理を繰り返す。
一方、優先順位jが最も低い順序に対応する値よりも大きければ、制御部24は、各搬送部に対して、図6に示した制御処理をそれぞれ実行する(ステップS415)。
その後、制御部24は、処理を終了する。
【0048】
図8は、バッファ23−1、23−2に格納された命令コード群の一例を示す図である。図8において、左側の列801の各欄には、設備100の動作が示される。また、中央の列802の各欄には、左端の列に示された設備100の動作に対応する、バッファ23−1に格納された命令コードが示される。また、右端の列803の各欄には、左端の列に示された設備100の動作に対応する、バッファ23−2に格納された命令コードが示される。なお、各搬送部が実行する動作を理解し易くするために、列802、803の各欄において、括弧内には、命令コードに対応する搬送部の動作を示した。また図8では、ST1〜ST4は、それぞれ、加工装置3−1〜3−4を表す。
【0049】
図8において、上側の命令コードほど、先にバッファ23−1、23−2に格納されたことを示す。例えば、設備100が最初に行う動作は、加工装置3−4へのワーク投入動作であり、その動作を実行するために、搬送部11はワークをワーク投入口2から搬送部12まで搬送し、搬送部12は搬送部11から受け取ったワークを加工装置3−4へ投入する。
【0050】
図9(a)〜(m)は、図8に示したバッファに記憶されたそれぞれの命令コードが実行されたときのワークの流動状態を示す図である。図9(a)〜(m)の各図において、w1〜w9は、それぞれワークを表す。
図9(a)は、初期状態を表す。この状態では、加工装置3−1〜3−4の何れにもワークは存在せず、また搬送部11、12もワークを搬送していない。そしてワーク投入口2に、4個のワークw1〜w4が滞留している。
【0051】
制御部24は、バッファ23−1の先頭に格納されている、搬送部11に搬送動作をさせる命令コードと、バッファ23−2の先頭に格納されている、搬送部12に加工装置3−4への投入動作をさせる命令コードとを読み込む。そして制御部24は、それらの命令コードに従って、搬送部11、12を動作させる。
図9(b)は、搬送部11、12の最初の動作が完了した状態を表す。この状態では、ワーク投入口2の先頭にいたワークw1が加工装置3−4内に投入されている。
【0052】
次に、制御部24は、バッファ23−1の2番目に格納されている、搬送部11に搬送動作をさせる命令コードと、バッファ23−2の2番目に格納されている、搬送部12に加工装置3−3への投入動作をさせる命令コードとを読み込む。そして制御部24は、それらの命令コードに従って、搬送部11、12を動作させる。
図9(c)は、搬送部11、12の2番目の動作が完了した状態を表す。この状態では、ワークw1、ワークw2が、それぞれ、加工装置3−4、加工装置3−3内に投入されている。
【0053】
同様に、制御部24は、バッファ23−1の3、4番目に格納されている命令コードと、バッファ23−2の3、4番目に格納されている命令コードとを読み込む。そして制御部24は、それらの命令コードに従って、搬送部11、12を動作させる。
図9(d)及び図9(e)は、それぞれ、搬送部11、12の3番目、4番目の動作が完了した状態を表す。図9(d)に示されるように、3番目の動作が完了した状態では、ワークw1〜ワークw3が、それぞれ、加工装置3−4〜加工装置3−2内に投入されている。また図9(e)に示されるように、4番目の動作が完了した状態では、ワークw1〜ワークw4が、それぞれ、加工装置3−4〜加工装置3−1内に投入されている。
【0054】
その後、制御部24は、バッファ23−1の5番目に格納されている命令コードと、バッファ23−2の5番目に格納されている、加工装置3−4からの取り出し動作に対応する命令コードとを読み込む。しかし、バッファ23−1の5番目の命令コードは、動作無しであることを示す“0”である。そのため、制御部24は、引き続きバッファ23−1の6番目に格納されている、搬送動作に対応する命令コードを読み込む。そして制御部24は、それらの命令コードに従って各搬送部11、12を制御する。
【0055】
図9(f)は、搬送部12が5番目の命令コードに対応する加工装置3−4からの取り出し動作を実行中で、搬送部11が6番目の命令コードに対応する搬送動作を実行中の状態を表す。この状態では、ワークw1が、加工装置3−4から搬送部12上に取り出される一方、ワーク投入口2に滞留していたワークw5が、搬送部11によって搬送されている。
【0056】
その後、制御部24は、加工装置3−4からのワーク取り出し動作が完了すると、バッファ23−2の6番目に格納されている、加工装置3−4への投入動作に対応する命令コードを読み込む。そして制御部24は、搬送部12に対して、その命令コードに対応する動作を実行させる。
一方、制御部24は、搬送部11が搬送動作を完了すると、バッファ23−1の7番目に格納されている命令コードを読み込む。しかし、バッファ23−1の7番目の命令コードは、動作無しであることを示す“0”である。そのため、制御部24は、引き続きバッファ23−1の8番目に格納されている、搬送動作に対応する命令コードを読み込む。そして制御部24は、その命令コードに従って搬送部11を制御する。
【0057】
図9(g)は、搬送部12が6番目の命令コードに対応する、加工装置3−4への投入動作を実行中で、搬送部11が8番目の命令コードに対応する搬送動作を実行中の状態を表す。この状態では、ワークw5が、加工装置3−4へ向けて搬送部12上を搬送される一方、ワーク投入口2に滞留していたワークw6が、搬送部11によって搬送されている。
【0058】
次に、制御部24は、加工装置3−4へのワーク投入動作が完了すると、バッファ23−2の7番目に格納されている、加工装置3−3からのワーク取り出し動作に対応する命令コードを読み込む。そして制御部24は、搬送部12に対して、その命令コードに対応する動作を実行させる。
【0059】
図9(h)は、搬送部12が7番目の命令コードに対応する、加工装置3−3からのワーク取り出し動作を実行中で、搬送部11が8番目の命令コードに対応する搬送動作を実行中の状態を表す。この状態では、ワークw2が、加工装置3−3から搬送部12上へ取り出される一方、ワークw6が、搬送部11によって搬送されている。
【0060】
制御部24は、加工装置3−3からのワーク取り出し動作が完了すると、バッファ23−2の8番目に格納されている、加工装置3−3へのワーク投入動作に対応する命令コードを読み込む。そして制御部24は、その命令コードに従って搬送部12を制御する。
【0061】
図9(i)は、加工装置3−3へのワーク投入動作が終了した状態を表す。この状態では、ワークw2が、ワーク排出口4へ排出され、ワークw6が加工装置3−3へ投入されている。そして各搬送部11、12は何れのワークも搬送していない。
【0062】
搬送部12がワークw6を受け取り、搬送部11が搬送動作を完了すると、制御部24はバッファ23−1の9番目に格納されている、加工装置3−2からのワーク取り出し動作に対応する命令コードを読み込む。そして制御部24は、その命令コードに従って搬送部11を制御する。また搬送部12がワークw6を加工装置3−3へ投入し終わると、制御部24は、バッファ23−2の9番目に格納されている、搬送動作に対応する命令コードを読み込む。
【0063】
図9(j)は、加工装置3−2からのワーク取り出し動作中の状態を表す。この状態では、ワークw3が搬送部11上に取り出されている。一方、搬送部12は、搬送すべきワークが存在しないため、待機状態となっている。
【0064】
搬送部11がワークw3を搬送部12に渡してワーク取り出し動作を完了すると、制御部24はバッファ23−1の10番目に格納されている、加工装置3−2へのワーク投入動作に対応する命令コードを読み込む。そして制御部24は、その命令コードに従って搬送部11を制御する。
【0065】
図9(k)は、加工装置3−2へのワーク投入動作中の状態を表す。この状態では、ワーク投入口2に滞留していたワークw7が搬送部11によって加工装置3−2へ向けて搬送されている。一方、搬送部12は、搬送部11から受け取ったワークw3をワーク排出口4へ向けて搬送している。
【0066】
加工装置3−2へのワークw7の投入が完了すると、制御部24はバッファ23−1の11番目に格納されている、加工装置3−1からのワーク取り出し動作に対応する命令コードを読み込む。そして制御部24は、その命令コードに従って搬送部11を制御する。また搬送部12がワークw3をワーク排出口4へ排出すると、制御部24は、バッファ23−2の10番目の命令コードを読み込む。この命令コードは動作無しに対応するので、制御部24は、引き続きバッファ23−2の11番目に格納されている、搬送動作に対応する命令コードを読み込む。
【0067】
図9(l)は、加工装置3−1からのワーク取り出し動作中の状態を表す。この状態では、ワークw4が搬送部11上に取り出されている。一方、搬送部12は、搬送すべきワークが存在しないため、待機状態となっている。
【0068】
搬送部11がワークw4を搬送部12に渡してワーク取り出し動作を完了すると、制御部24はバッファ23−1の12番目に格納されている、加工装置3−1へのワーク投入動作に対応する命令コードを読み込む。そして制御部24は、その命令コードに従って搬送部11を制御する。
【0069】
図9(m)は、加工装置3−1へのワーク投入動作中の状態を表す。この状態では、ワーク投入口2に滞留していたワークw8が搬送部11によって加工装置3−1へ向けて搬送されている。一方、搬送部12は、搬送部11から受け取ったワークw4をワーク排出口4へ向けて搬送している。
以後、制御部24は、バッファ23のバッファ23−1、バッファ23−2に格納されている命令コードがなくなるまで、命令コードを古い方から順に読み込んで、その命令コードに従って各搬送部11、12を制御する。
【0070】
以上説明してきたように、本発明の一つの実施形態に係るワーク搬送装置は、各搬送部が独立して制御される。そのため、このワーク搬送装置は、各搬送部によって構成される一つの搬送路で同時に複数のワークをそれぞれ異なる装置またはワーク排出口へ向けて搬送することができる。これにより、このワーク搬送装置は、設備が有する複数の加工装置のそれぞれに対して効率的にワークを搬送できる。したがって、このワーク搬送装置は、設備が多数のワークを加工する際に要する時間を短縮できる。
【0071】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。例えば、本発明のワーク搬送装置によってワークの投入及び取り出しが行われる複数の装置は加工装置に限られず、例えば、組み立て装置、検査装置あるいは測定装置であってもよい。また、装置ごとに、ワークに対して異なる処理を行ってもよい。
また、本発明のワーク搬送装置によってワークの投入及び取り出しが行われる装置の台数は、4台に限られず、2台、3台、または5台以上であってもよい。
さらに、ワーク搬送装置が有する搬送部も2台に限られず、例えば、各加工装置ごとに個別の搬送部が設けられてもよい。ただし、この場合も複数の搬送部が1本の搬送路を構成する。また、コントローラは、搬送部ごとに、その搬送部に対応する命令コードを先入れ先出し方式で記憶するバッファを有する。
【0072】
また、ワーク搬送装置が有する搬送部の構成も上記の実施形態に限定されない。例えば、複数の搬送部が、共通する一つのベルトコンベアと、各加工装置の下流側及びワーク投入口とベルとコンベアとの境界に配置され、コントローラからの制御信号に応じて搬送路上に出し入れ可能なストッパピンを有していてもよい。例えば、上記の実施形態における搬送部11と搬送部12は、ワーク投入口2からワーク排出口4までワークを搬送可能な共通の一つのベルトコンベアを有する。さらに、搬送部11は、ワーク投入口2との境界、加工装置3−1、3−2の下流側のそれぞれに配置された3本のストッパピンを有する。また搬送部12は、加工装置3−3、3−4の下流側のそれぞれに配置された2本のストッパピンを有する。
この場合、コントローラは、ベルトコンベアは一定の速度でベルトを回転させつつ、必要に応じて何れかのストッパピンを搬送路上に突出させることで、ワークがそのストッパピンよりも下流側に搬送されるのを阻止することで、各搬送部が独立にワークを搬送できるようにしてもよい。
またワーク搬送装置の各搬送部は、何れかの加工装置から取り出されたワークを、その加工装置よりも下流側に配置された他の加工装置へ投入してもよい。
上記のように、当業者は、本発明の範囲内で様々な修正を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0073】
100 設備
1 ワーク搬送装置
2 ワーク供給口
3−1〜3−4 加工装置
4 ワーク排出口
11、12 搬送部
13 コントローラ
21 通信部
22 記憶部
23−1、23−2 バッファ
24 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワーク供給口(2)から供給されたワークを、設備(100)が有する複数の装置の何れかへ搬送するワーク搬送装置(1)であって、
一端が前記ワーク供給口(2)と近接して配置され、当該一端にて前記ワーク供給口(2)から受け取ったワークを所定の搬送方向に沿って搬送し、前記複数の装置のうちの第1の装置(3−1、3−2)へ当該ワークを投入し、または前記第1の装置から排出されたワークを前記搬送方向に沿って搬送する第1の搬送部(11)と、
一端が前記第1の搬送部(11)の他端に近接して配置され、前記第1の搬送部(11)の他端から受け取ったワークを前記搬送方向に沿って搬送し、前記複数の装置のうちの第2の装置(3−3、3−4)へ当該ワークを投入し、または前記第2の装置から排出されたワークを前記搬送方向に沿って搬送する第2の搬送部(12)と、
前記第1の搬送部(11)に実行させる動作を規定する複数の命令コードを含む第1の命令コード群のうち、前記設備(100)が実行する複数の動作のそれぞれに対応する命令コードを、当該動作の実行順序に従って記憶する第1の記憶部(23−1)と、
前記第2の搬送部(12)に実行させる動作を規定する複数の命令コードを含む第2の命令コード群のうち、前記設備(100)が実行する複数の動作のそれぞれに対応する命令コードを、前記実行順序に従って記憶する第2の記憶部(23−2)と、
前記第1の記憶部(23−1)に記憶されている命令コードを前記実行順序に従って読み出し、当該読み出された命令コードに応じた動作を前記第1の搬送部(11)に実行させ、前記第2の記憶部(23−2)に記憶されている命令コードを前記実行順序に従って読み出し、当該読み出された命令コードに応じた動作を前記第1の搬送部(11)の動作とは独立して前記第2の搬送部(12)に実行させる制御部(24)と、
を有することを特徴とするワーク搬送装置。
【請求項2】
前記設備(100)が実行する複数の動作のそれぞれと、前記第1の命令コード群に含まれる各命令コード及び前記第2の命令コード群に含まれる各命令コードとの対応関係を表す動作パターンテーブルを記憶する第3の記憶部(22)をさらに有し、
前記制御部(24)は、前記実行順序に従って実行される動作ごとに前記動作パターンテーブルを参照することにより、前記第1及び前記第2の命令コード群のうち、各動作に対応する命令コードを特定し、当該特定された命令コードを、それぞれ、前記第1の記憶部(23−1)及び前記第2の記憶部(23−2)に記憶させる、請求項1に記載のワーク搬送装置。
【請求項3】
前記制御部(24)は、前記設備(100)の複数の動作のうち、前記第1の搬送部(11)及び前記第2の搬送部(12)のうちの何れか一方のみが動作する特定の動作を実行する場合、前記第1の搬送部(11)及び前記第2の搬送部(12)のうちの他方について、当該特定の動作の次の動作に対応する命令コードを、前記第1及び第2の記憶部(23−1、23−2)のうち、当該他方の搬送部に対応する記憶部から読み出して、当該読み出した命令コードに応じた動作を当該他方の搬送部に実行させる、請求項2に記載のワーク搬送装置。
【請求項4】
前記第1の記憶部(23−1)及び前記第2の記憶部(23−2)は、先入れ先出し型メモリである、請求項1〜3の何れか一項に記載のワーク搬送装置。
【請求項5】
前記第1の搬送部(11)が実行する複数の動作には、前記ワーク供給口(2)から受け取ったワークを前記第1の装置(3−1、3−2)に対して投入する第1の投入動作、前記ワーク供給口(2)から受け取ったワークを前記搬送方向に沿って搬送する第1の搬送動作、または前記第1の装置からワークを取り出して前記搬送方向に沿って搬送する第1の取り出し動作が含まれ、
前記第2の搬送部(12)が実行する複数の動作には、前記第1の搬送部(11)の他端から受け取ったワークを前記第2の装置(3−3、3−4)に対して投入する第2の投入動作、前記第1の搬送部(11)の他端から受け取ったワークを前記搬送方向に沿って搬送する第2の搬送動作、または前記第2の装置からワークを取り出して前記搬送方向に沿って搬送する第2の取り出し動作が含まれ、
前記第1の命令コード群は、前記第1の投入動作に対応する第1の投入命令コード、前記第1の搬送動作に対応する第1の搬送命令コード及び前記第1の取り出し動作に対応する第1の取り出し命令コードを含み、
前記第2の命令コード群は、前記第2の投入動作に対応する第2の投入命令コード、前記第2の搬送動作に対応する第2の搬送命令コード及び前記第2の取り出し動作に対応する第2の取り出し命令コードを含む、請求項1〜4の何れか一項に記載のワーク搬送装置。
【請求項6】
一端がワーク供給口(2)と近接して配置され、当該一端にて前記ワーク供給口(2)から受け取ったワークを所定の搬送方向に沿って搬送し、設備(100)が有する複数の装置のうちの第1の装置(3−1、3−2)へ当該ワークを投入し、または前記第1の装置から排出されたワークを前記搬送方向に沿って搬送する第1の搬送部(11)と、
一端が前記第1の搬送部(11)の他端に近接して配置され、前記第1の搬送部(11)の他端から受け取ったワークを前記搬送方向に沿って搬送し、前記複数の装置のうちの第2の装置(3−3、3−4)へ当該ワークを投入し、または前記第2の装置から排出されたワークを前記搬送方向に沿って搬送する第2の搬送部(12)と、
前記第1の搬送部(11)に実行させる動作を規定する複数の命令コードを含む第1の命令コード群のうち、前記設備(100)が実行する複数の動作のそれぞれに対応する命令コードを、当該動作の実行順序に従って記憶する第1の記憶部(23−1)と、
前記第2の搬送部(12)に実行させる動作を規定する複数の命令コードを含む第2の命令コード群のうち、前記設備(100)が実行する複数の動作のそれぞれに対応する命令コードを、前記実行順序に従って記憶する第2の記憶部(23−2)と、
を有するワーク搬送装置(1)の制御方法であって、
前記第1の記憶部(23−1)に記憶されている命令コードを前記実行順序に従って読み出し、当該読み出された命令コードに応じた動作を前記第1の搬送部(11)に実行させるステップと、
前記第2の記憶部(23−2)に記憶されている命令コードを前記実行順序に従って読み出し、当該読み出された命令コードに応じた動作を前記第1の搬送部(11)の動作とは独立して前記第2の搬送部(12)に実行させるステップと、
を含むことを特徴とする制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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