ワーク支持具
【課題】ワークの形態やマグネットチャックが変わった場合であっても、不整面を備えたワークを変形させることなく支持可能であると共に、ワークを加工する際の段取り時間を極力少なくする。
【解決手段】マグネットチャックTBが発生する磁力によって磁力を発生する磁力発生部位11、13を備えた基材3と、基材3の磁力発生部位に係合して基材に対して移動自在であり、マグネットチャックが磁力を発生したときに、基材の磁力発生部位に吸着され基材と一体になってワークWを直接的または間接的に支持する支持部材5とを有するワーク支持具1である。
【解決手段】マグネットチャックTBが発生する磁力によって磁力を発生する磁力発生部位11、13を備えた基材3と、基材3の磁力発生部位に係合して基材に対して移動自在であり、マグネットチャックが磁力を発生したときに、基材の磁力発生部位に吸着され基材と一体になってワークWを直接的または間接的に支持する支持部材5とを有するワーク支持具1である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク支持具に係り、特に、マグネットチャックが磁力を発生する面と、ワーク(被加工物)との間に設置されて、前記ワークを支持するワーク支持具(たとえば、研削加工に使用されるワーク支持具)に関する。
【背景技術】
【0002】
図14は、従来なされている研削加工を示す図である。
【0003】
ワークWの研削加工は、砥石GRを回転しワークWに対して砥石GRを矢印の方向に相対的に移動することにより行なわれている。
【0004】
図15は、上記研削加工をするときにおけるワークWの支持形態を示す平面図であり、図16は、上記研削加工をするときにおけるワークWの支持形態を示す側面図である。なお、図15に現れているワークWの面(図16では、ワークWの上方の面)が砥石GRによって研削加工される面である。
【0005】
研削加工する際にはワークWを支持する必要がある。この支持は、ベース部材Bとワーク支持具RPとを用いてワークWを3箇所で支持すると共に、複数のジャッキボルト(マメジャッキ;小型ジャッキ)JBを用いてなされる。
【0006】
ワーク支持具RPは、高さの変わらない(図16における上下方向の寸法)部材で構成されており、ジャッキボルトJBは、高さを調整することができるようになっている。
【0007】
ジャッキボルトJBを用いる理由は、ワークWの面が完全な平面ではなく、僅かではあるが不整面になっており、ジャッキボルトJBで支持しないと研削加工をする際にワークWにビビリ等の振動が発生するおそれがあるからである。なお、ワークWの横方向(図15の左右上下方向;図16の左右方向および図16の紙面に直交する方向)の移動は、図示しないストッパー部材によって規制されており、研削加工中にワークWがずれないようになっている。
【0008】
ところで、ジャッキボルトJBを使用すると、ワークWを加工する毎にジャッキボルトJBの高さを調節する必要があり、段取りに多くの時間を要してしまう。また、ワークWの中ほどには、手が入り難くジャッキボルトJBを設置して高さを調節することが難しい。
【0009】
そこで、マグネットをジャッキボルトの代わりの使用してワークWを支持する構成のものが採用されている。上記従来のマグネットを使用する技術に関する特許文献として、たとえば、特許文献1を掲げることができる。
【特許文献1】特開平2−269533号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、従来のマグネットを使用したワーク支持具では、マグネットチャックとワークに当接してワークを直接支持する構成部品とが一体になっているので、汎用性がなく、ワークの形状が変わったりマグネットチャックが変わったりした場合には、ワークを直接支持する構成部品を製作しなおしたり、分解して再組み立てする必要があり、段取りに多くの時間を要するという問題がある。
【0011】
本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、ワークの形態やマグネットチャックが変わった場合であっても、不整面を備えたワークを変形させることなく支持可能であると共に、ワークを加工する際の段取り時間を極力少なくすることができるワーク支持具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載の発明は、マグネットチャックが発生する磁力によって磁力を発生する磁力発生部位を備えた基材と、前記基材の磁力発生部位に係合して前記基材に対して移動自在であり、前記マグネットチャックが磁力を発生したときに、前記基材の磁力発生部位に吸着され前記基材と一体になってワークを直接的または間接的に支持する支持部材とを有するワーク支持具である。
【0013】
請求項2に記載の発明は、マグネットチャックが発生するN極の磁力によってN極の磁力を発生するN極磁力発生面と、前記マグネットチャックが発生するS極の磁力によってS極の磁力を発生するS極磁力発生面とを備えた基材と、ワークに接触するワーク接触部を備え、前記基材に係合することによって前記基材に対して所定の方向に移動自在である外側支持部材と、前記外側支持部材と前記基材の各磁力発生面との間に設けられ、前記外側支持部材に当接して前記外側支持部材のワーク接触部が前記基材から離れる方向に前記外側支持部材を押すための当接部を備えており、前記基材の各極磁力発生面に面接触して係合しまた前記外側支持部材に係合することによって前記基材に対して前記所定の方向に移動自在であり、前記基材の各磁力発生面が磁力を発生したときに、前記基材に吸着され前記基材と一体になる中間支持部材と、前記外側支持部材のワーク接触部が前記基材から離れる方向に移動するように、前記中間支持部材を付勢する付勢手段とを有するワーク支持具である。
【0014】
請求項3に記載の発明は、マグネットチャックが発生するN極の磁力によってN極の磁力を発生するN極磁力発生面と、前記マグネットチャックが発生するS極の磁力によってS極の磁力を発生するS極磁力発生面とを備えた基材と、前記基材に一体的に設けられたガイド部材と、前記ガイド部材に係合し前記基材に対して接近・離反する方向で移動自在になっているワーク支持部材と、前記ガイド部材と前記基材の各磁力発生面との間に設けられ、前記ワーク支持部材と同方向で前記基材に対して移動自在になっている中間支持部材と、前記中間支持部材の部位であって前記ワーク支持部材側に位置している部位が前記基材から離れるように、前記中間支持部材を付勢する付勢手段と、前記中間支持部材の部位であって前記ワーク支持部材側に位置している部位が前記基材から離れる方向に移動するときの力を増やして前記ワーク支持部材に伝達する伝達機構とを有するワーク支持具である。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項2または請求項3に記載のワーク支持具において、前記基材の各磁力発生面が磁力を発生したときに、前記基材のN極磁力発生面から出た磁束が、前記中間支持部材の内部を通って、前記基材のS極磁力発生面に入り、前記中間支持部材が前記基材と一体になる構成であるワーク支持具である。
【0016】
請求項5に記載の発明は、磁性体で矩形な板状に形成された磁性部材と非磁性体で矩形な板状に形成された非磁性部材とをこれらの厚さ方向で交互に積層したことにより、各側面と前記磁性部材と前記非磁性部材とが交互に現れている下面と上面とを備えて四角柱状に形成され、前記各側面のうちでお互いが平行な2つの側面では、前記磁性部材と前記非磁性部材とが交互に現れている基材と、磁性体で構成され、長手方向と直交する平面による断面がL字状に形成され、長さが前記磁性部材と前記非磁性部材とを積層してある方向での前記基材の寸法である前記基材の厚さより僅かに短く形成され、前記長手方向が前記磁性部材と前記非磁性部材との積層方向と一致し、内側の1つの平面が前記基材の1つの側面であって前記磁性部材と前記非磁性部材とが交互に現れている側面に面接触して滑り対隅をなし、内側の他の1つの平面が前記基材の上面に対向するようにして、前記基材に設けられている第1の中間支持部材と、前記第1の中間支持部材の内側の他の1つの平面が前記基材から離れるように付勢する第1の付勢手段と、磁性体で前記第1の中間支持部材と同形状に形成され、長手方向が前記前記磁性部材と前記非磁性部材との積層方向と一致し、内側の1つの平面が前記基材の他の1つの側面であって前記磁性部材と前記非磁性部材とが交互に現れている側面に面接触して滑り対隅をなし、内側の他の1つの平面が前記基材の上面に対向するようにして、前記基材に設けられている第2の中間支持部材と、前記第2の中間支持部材の内側の他の1つの平面が前記基材から離れるように付勢する第2の付勢手段と、所定の厚さで矩形な板状に形成された基端部側部位と短い円柱状に形成された先端部側部位とでほぼ板状に形成された基部材と、矩形な筒状に形成されお互いが平行になっている内側の2つ平面の間の距離が前記磁性部材と前記非磁性部材とが交互に現れている2つの側面とは異なる前記基材の他の2つの側面の間の距離よりもごく僅かに大きくなっており、前記お互いが平行になっている内側の2つの平面とは異なる他の2つ平面の間の距離が前記基材に設置されている各中間支持部材の外形寸法であって前記磁性部材と前記非磁性部材とが交互に現れている側面と直交する方向における外形寸法よりもごく僅かに大きくなっており、中心軸の延伸方向の一端部が前記基部材の基端部側部位に一体的に設けられて前記基部材から離れる方向に延びているカバー部材とを備えて矩形な枡状に形成されており、前記基部材の基端部側部位の平面が前記基材に設置されている各中間支持部材と面接触し、前記カバー部材の内側の2つの平面が、前記基材の他の2つの側面と面接触して滑り対隅をなし、前記カバー部材の内側の他の2つの平面が、前記基材に設けられている各中間支持部材の外側の面と面接触して滑り対隅をなすようにして、前記基材と前記各中間支持部材とに設けられている外側支持部材とを有するワーク支持具である。
【0017】
請求項6に記載の発明は、磁性体で矩形な板状に形成された磁性部材と非磁性体で矩形な板状に形成された非磁性部材とをこれらの厚さ方向で交互に積層したことにより、各側面と前記磁性部材と前記非磁性部材とが交互に現れている下面と上面とを備えて四角柱状に形成され、前記各側面のうちでお互いが平行な2つの側面では、前記磁性部材と前記非磁性部材とが交互に現れている基材と、矩形な板状に形成され中央に円形状の貫通孔を備えた蓋部材と矩形な筒状に形成され前記蓋部材の厚さ方向の一方の面から延出するようにして前記蓋部材に一体的に設けられた筒状部材とを備えて矩形な枡状に形成され、前記蓋部材が前記基材の上面から離れて平行になり、また、前記筒状部材の先端部側が前記基材の側面を囲むようにして前記基材に一体的に設けられたガイド部材と、磁性体で構成され、長手方向と直交する平面による断面がL字状に形成され、長さが前記磁性部材と前記非磁性部材とを積層してある方向での前記基材の寸法である前記基材の厚さより僅かに短く形成され、前記長手方向が前記磁性部材と前記非磁性部材との積層方向と一致し、内側の1つの平面が前記基材の1つの側面であって前記磁性部材と前記非磁性部材とが交互に現れている側面に面接触して滑り対隅をなし、外側の1つの平面であって前記滑り待遇をなしている内側の1つの平面と平行な平面が、前記筒状部材の内側の1つの平面と滑り対偶をなすことによって、前記基材の上面に対して直交する方向で移動自在になっており、また、内側の他の1つの平面が前記基材の上面と平行になるようにして前記基材と前記筒状部材との間に設けられている中間支持部材と、前記中間支持部材の内側の他の1つの平面が前記基材から離れるように付勢する付勢手段と、円柱状のガイド部位とこのガイド部位の外径よりも大きな外径で短い円柱状に形成され前記ガイド部位の長手方向の一端部側で前記ガイド部位に一体的に設けられたワーク支持部位と前記ガイド部位の長手方向の他端部側で前記ガイド部位に一体的に設けられたテコ当接部位とを備えた形状に形成されており、前記ガイド部位が前記蓋部材の貫通孔に係合して、前記基材部材に対して前記中間支持部材と同方向に移動自在になっており、また、前記テコ当接部位が前記基材の上面と前記ガイド部材の蓋部材との間で前記蓋部材側に位置し、前記ワーク支持部位が、前記蓋部材の外側に突出するようにして、前記蓋部材に設けられているワーク支持部材と、長手方向の一端部側の部位が前記基材の上面で前記基材に一体的に設けられた支点構成部材に当接し、長手方向の中間部の部位が前記テコ当接部位に当接し、長手方向の他端部側の部位が、前記中間支持部材に当接するようにして、前記付勢手段による付勢力を前記ワーク支持部材の伝えるテコ構成部材とを有するワーク支持具である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ワークの形態やマグネットチャックが変わった場合であっても、不整面を備えたワークを変形させることなく支持可能であると共に、ワークを加工する際の段取り時間を極力少なくすることができるワーク支持具を提供することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係るワーク支持具1の概略構成を示す斜視図であり、図2は、図1におけるII矢視図であり、図3は、図1におけるIII矢視図であり、図4は、図1におけるIV矢視図であり、図5は、図4におけるV−V断面図である。
【0020】
ワーク支持具1は、従来のジャッキボルトJBの代わりに、たとえば、マグネットチャックTBに載置され、マグネットチャックTBとワークWとの間に設置されて使用されるものであり、基材3と外側支持部材5と中間支持部材7と付勢手段9とを備えて構成されている。
【0021】
基材3は、マグネットチャックTBが発生するN極の磁力によってN極の磁力を発生するN極磁力発生面(たとえば、平面)11と、このN極磁力発生面11から離れて設けられマグネットチャックTBが発生するS極の磁力によってS極の磁力を発生するS極磁力発生面(たとえば、平面)13とを備えている。なお、S極磁力発生面13は、N極磁力発生面11と同一平面上に存在しているが、必ずしもこのように同一平面内に存在している必要はなく、たとえば、N極磁力発生面11と平行な平面であってもよい。
【0022】
マグネットチャックTBは、可動する永久磁石を内部に備えており、マグネットチャックTBの外部に設けられているハンドル(図示せず)を揺動することによって、磁力を発生する状態、磁力を発生しない状態を切り換えることができるようになっている。マグネットチャックTBとして、電磁マグネットチャックを採用してもよい。なお、マグネットチャックTBは、アルミニウム等の非磁性体で構成されたセパレータspが設けられている。
【0023】
また、基材3は、マグネットチャックTBとは別体であり、マグネットチャックTBに対して着脱自在になっている。基材3は、N極磁力発生面11と磁束が通じる第1の面(たとえば、平面)15と、S極磁力発生面13と磁束が通じる第2の平面(たとえば、平面)17とを備えている。そして、第1の面15がマグネットチャックTBのN極を発生する面(たとえば、平面)TBNと面接触し、第2の面17がマグネットチャックTBのS極を発生する面(たとえば、平面)TBSと面接触するようにして、マグネットチャックTBに設置されるようになっている。このように設置された状態で、マグネットチャックTBが磁力を発生すると、基材3の各磁力発生面11、13が磁力を発生するようになっている。
【0024】
外側支持部材5は、ワークWと接触するワーク接触部19を備えている。ワーク接触部19は、たとえば、各磁力発生面11、13と直交する平面になっている。また、外側支持部材5は、基材3と係合することによって基材3に対して所定の方向(たとえば、ワーク接触部19の平面と直交する方向;図5の上下方向)に移動自在になっている。
【0025】
さらに説明すると、たとえば、各磁力発生面11、13以外の平面であって各磁力発生面11、13とワーク接触面19とに直交する基材3の平面21に、外側支持部材5のワーク接触部19とは異なる部位(たとえば平面)23が係合することによって(たとえば、面接触して滑り対隅をなすことによって)、外側支持部材5が基材3に対して移動自在になっている。なお、基材3の各磁力発生面11、13、外側支持部材5のワーク接触部(ワーク接触面)19、基材3と係合する外側支持部材5の面23は、たとえば、お互いが直交している。
【0026】
中間支持部材7は、鉄や鋼等の磁性体で構成されており、外側支持部材5の面31と基材3の各磁力発生面11、13との間に設けられている。また、中間支持部材7は、外側支持部材5に当接して外側支持部材5のワーク接触部19が基材3から離れる方向(図5の上方向)に外側支持部材5を押すための当接部25を備えている。また、中間支持部材7は、基材3の各磁力発生面11、13に面接触して係合し(平面27がすべり対偶をなして係合し)、外側支持部材5の平面31に係合することによって(たとえば、平面29が面接触して滑り対隅をなすことによって)、基材3と外側支持部材5とに対して、前記所定の方向(外側支持部材5と同方向)に移動自在になっている。
【0027】
そして、基材3がマグネットチャックTBに適宜設置されマグネットチャックTBが磁力を発生することにより基材3の各磁力発生面11、13が磁力を発生したときに、中間支持部材7が基材3に吸着され基材3と一体になり基材3に固定されるようになっている。
【0028】
なお、前述したように、外側支持部材5は、基材3の各磁力発生面11、13と平行な平面31を備えており、この平行な平面31と基材3の磁力発生面11、13との間に、中間支持部材7が設けられおり、このよう設けられている状態において、基材3の磁力発生面11、13とこの磁力発生面11、13に面接触する中間支持部材7の一方の面27との間には、僅かな間隙がある。また、外側支持部材5の平面31とこの平面31に面接触する中間支持部材7の他方面(面27と平行な平面)29との間にも僅かな間隙がある。さらに、中間支持部材7の平面状の当接部25が、外側支持部材5に面接触している。そして、中間支持部材7が、基材3や外側支持部材5に対して前記所定の方向に滑らかに直線的に移動できるようになっている。
【0029】
付勢手段9は、基材3のワーク接触部19が基材3から離れる方向(図5の上方向)に移動するように、中間支持部材7を付勢するものである。付勢手段9による付勢によって、中間支持部材7(当接部25)を介して基材3が付勢され、基材3のワーク接触部19が基材3から離れる方向に付勢されるようになっている。
【0030】
ところで、ワーク支持具1では、基材3の各磁力発生面11、13が磁力を発生したときに、基材3のN極磁力発生面11から出た磁束が中間支持部材7の内部を通って(磁束が外側支持部材5やワークWを通過することなく中間支持部材7の内部のみを通過して)、基材3のS極磁力発生面13に入り、中間支持部材7が基材3に一体的に支持されように構成されている。
【0031】
ワーク支持具1についてさらに詳しく説明する。
【0032】
基材3は、磁性体で矩形な板状に形成された磁性部材33と非磁性体で磁性部材33よりも薄い矩形な板状に形成された非磁性部材35とをこれらの厚さ方向で交互に積層したことにより、平面状の下面37と平面状の上面39と平面状の各側面21、41とを備えて四角柱状に形成されている。なお、磁性部材33と非磁性部材35とを積層した状態では、磁性部材33と非磁性部材35とはお互いに面接触している。
【0033】
下面37では、磁性部材33と非磁性部材35とが交互に現れている。上面39は、下面37に平行になっており、下面37と同様にして磁性部材33と非磁性部材35とが交互に現れている。お互いが平行な2つの側面21では、磁性部材33のみが現れており、お互いが平行な側面41では、磁性部材33と非磁性部材35とが交互に現れており、各磁力発生面11、13を構成している。
【0034】
なお、複数枚の磁性部材33と複数枚の非磁性部材35との積層は、たとえば、磁性部材33、非磁性部材35、磁性部材33、非磁性部材35、磁性部材33の順になされており、積層の両端が磁性部材33になっている。また、矩形状の下面37や上面39のたとえば長手方向が、磁性部材33や非磁性部材35の積層方向(厚さ方向)と一致している。したがって、4つの各側面21、41のうちでお互いが平行な2つの側面(基材3の上面39や下面37の長手方向の両端部に位置している側面;磁性部材33と非磁性部材35とが交互に現れているお互いが平行な2つの側面41と直交している2つの側面)21においては、磁性部材33のみが現れている。
【0035】
第1の中間支持部材7A(7)は、前述したように、磁性体で構成されており、基材3の長手方向(厚さ方向)と直交する平面による断面がL字状に形成されている(図5参照)。また、第1の中間支持部材7Aの長さは、磁性部材33と非磁性部材35とを積層してある方向における基材3の長さ寸法である基材3の厚さより僅かに短く形成されている。また、第1の中間支持部材7Aの長手方向が磁性部材33と非磁性部材35との積層方向と一致し、第1の中間支持部材7Aの内側の1つの平面27が基材3の1つの側面であって磁性部材33と非磁性部材35とが交互に現れている側面41に面接触して滑り対隅をなし、第1の中間支持部材7Aの内側の他の1つの平面43が基材の上面39に対向するようにして(平行に離れて存在するようにして)、さらに、磁性部材33と非磁性部材35との積層方向(図5の紙面に直交する方向)で基材3の内側に入るようにして、第1の中間支持部材7Aが基材3に設けられている。
【0036】
第1の付勢手段9Aは、第1の中間支持部材7Aの内側の他の1つの平面43が基材3の上面39から離れるように付勢するものである。具体的には、基材3の上面39に円柱状の止まり孔45が設けられている。そして、自由長が止まり孔45の深さよりも大きい圧縮コイルバネ47が止まり孔45に挿入されている。止まり孔45から出ている圧縮コイルバネ47の端部は第1の中間支持部材7Aの内側の他の1つの平面43に当接している。そして、圧縮コイルバネ47によって第1の中間支持部材7Aが付勢されるようになっている。
【0037】
第2の中間支持部材7Bや第2の付勢手段9Bは、基材3の中心に対して第1の中間支持部材7Aや第1の付勢手段9Aと対称に設けられており、第2の中間支持部材7Bが第1の中間支持部材7Aと同様に付勢されるようになっている。
【0038】
外側支持部材5は、基部材49とカバー部材51を備えて矩形な枡状に形成されている。基部材49は、磁性体もしくは非磁性体で構成され、所定の厚さで矩形な板状に形成された基端部側部位53と短い円柱状に形成された先端部側部位55とでほぼ板状に形成されている。なお、基端部側部位53の中心軸と先端部側部位55の中心軸とはお互いに一致しており、先端部側部位55の端面がワーク接触部19を形成している。
【0039】
カバー部材51は、非磁性体で矩形な筒状に形成されており、お互いが平行になっている内側の2つ平面23、23の間の距離が、基材3の2つの側面(磁性部材33と非磁性部材35とが交互に現れている2つの側面41、41とは異なる側面)21、21の間の距離(基材3の幅寸法)よりもごく僅かに大きくなっている。
【0040】
また、カバー部材51の内側の平面(内側の2つの平面23、23とは異なる他の2つの平面)31、31の間の距離が、基材3に設置されている各中間支持部材7A、7Bの外形寸法(磁性部材33と非磁性部材35とが交互に現れている側面41と直交する方向である図5の左右方向における外形寸法)よりもごく僅かに大きくなっている。
【0041】
また、カバー部材51の中心軸の延伸方向の一端部が基部材49の基端部側部位53に一体的に設けられており、基端部側部位53を間にして先端部側部位55とは反対側で、カバー部材51が基部材49から離れる方向に延びている。
【0042】
そして、基部材49の基端部側部位53の平面(先端部側部位55とは反対側に位置している平面;図5では基部材49の下面)が、基材3に設置されている各中間支持部材7A、7Bと面接触し(各中間支持部材7A、7Bの外側の平面25と面接触し)、カバー部材51の内側の2つの平面23、23が、基材3の他の2つの側面21と面接触して滑り対隅をなし、カバー部材51の内側の他の2つの平面31が、基材3に設けられている各中間支持部材7A、7Bの外側の面29、29と面接触して滑り対隅をなすようにして、外側支持部材5が、基材3と各中間支持部材7A、7Bとに設けられている。
【0043】
このようにして外側支持部材5が設けられていることによって、外側支持部材5と中間支持部材7とが基材3の上面39と直交する方向で移動自在になっている。また、各付勢手段9A、9Bによって、各中間支持部材7A、7Bだけでなく外側支持部材5も、この基部材49が基材3から離れる方向(図5の上方向)に付勢されている。また、基材3の底面(下面)37側に位置している側面41には、矩形状(四角柱状)の凹部57が設けられており、外側支持部材5のカバー部材51の先端部(基部材49とは反対側の端部)には、カバー部材51の内側に突出している凸部59が設けられている。そして、凹部57に凸部59が入り込むことにより、外側支持部材5や各中間支持部材7A、7Bの移動ストロークが規制され、外側支持部材5や各中間支持部材7A、7Bが基材3から分離しないようになっている。
【0044】
なお、基材3は、前述したように、磁性部材33と非磁性部材35を積層して構成されているが、磁性部材33と非磁性部材35との接合は、ボルトや位置きめピンを積層方向に貫通させることでなされている。また、磁性部材33や非磁性部材35の厚さであるが、これは、マグネットチャックTBの磁力発生面に存在するセパレータspのピッチに応じて適宜決められるものである。
【0045】
すなわち、ワーク支持具1を使用するときには、基材3における磁性部材33と非磁性部材35との積層方向(磁性部材33や非磁性部材35の厚さ方向)と、マグネットチャックTBのセパレータspの厚さ方向とがお互いにほぼ一致し、かつ、基材3の非磁性部材35の厚さの中心とマグネットチャックTBのセパレータspの厚さの中心とがほぼお互いに一致するようにして、また、基材3の下面37をマグネットチャックTBの上面に面接触させて、ワーク支持具1がマグネットチャックTBに載置されるわけである(図1、図2、図4参照)。このときに、マグネットチャックTBの1つのN極磁力発生面TBNに、基材3の1つの磁性部材33のみが面接触し、マグネットチャックTBの1つのS極磁力発生面TBSに、基材3の他の1つの磁性部材33のみが面接触するように、基材3の磁性部材33や非磁性部材35の厚さが決められている。
【0046】
ここで、図15や図16で示したワーク支持具RPについて、図13を参照して説明する。
【0047】
ワーク支持具RPは、磁性部材RPAと非磁性部材RPBと磁性部材RPCとを積層して構成されており、上部に短い円柱状のワーク当接部RP5が設けられている。各磁性部材RPA、RPCの下部には、切り欠きRP1、RP2が設けられている。磁性部材RPAの各部位RP3がマグネットチャックTBのN極磁力発生面TBNに接触し、磁性部材RPCの各部位RP4がマグネットチャックTBのS極磁力発生面TBSに接触するようにして、マグネットチャックTBに適宜載置されるようになっている。マグネットチャックTBが磁力を発生すると、ワーク支持具RPに載置されたワークWを磁束MFが通過して、ワークWを支持するようになっている。なお、ワーク支持具RPの高さPRHは一定である。
【0048】
次に、ワーク支持具1の使用方法について説明する。
【0049】
まず、初期状態として、マグネットチャックTBが磁力を発生していないときに、図15に示すように、マグネットチャックTBの上面の適宜の3箇所に、ワーク支持具RPを配置し、マグネットチャックTBの上面の適宜の箇所に、ワーク支持具1を配置する。このときのワーク支持具1の高さは、図5に示すように、最大高さである「h」になっており、ワーク支持具RPの高さPRHよりも大きくなっている。なお、ワーク支持具1における外側支持部材5のストロークは「st」であり、「h−st」の値は、ワーク支持具RPの高さPRHよりも小さくなっている。
【0050】
このようにしてワーク支持具RP、ワーク支持具1を配置した状態で、ワークWをワーク支持具RPとワーク支持具1とに載置すると、ワークWの重量により、各ワーク支持具1の各外側支持部材5(中間支持部材7)が基材3側(マグネットチャックTB側;図5の下側)に適宜移動する。
【0051】
続いて、マグネットチャックTBが磁力を発生すると、マグネットチャックTBが発生した磁束は、中間支持部材7の内部を貫通し、中間支持部材7が基材3に一体的に固定され、外側支持部材5の下方への移動が不可能になり、ワーク支持具RPとワーク支持具1とで、不整面を備えたワークWを支持することができる。
【0052】
このようにして、ワークWを支持した状態で、図14に示すような研削加工がさなれる。なお、研削加工がなされるときには、従来と同様にして図示しないストッパーにより、図15の上下左右方向へワークWが移動しないようになっている。
【0053】
研削加工等の終了後にマグネットチャックTBからの磁力の発生を停止し、ワークWをワーク支持具RP、ワーク支持具1から取り去れば、前述した初期状態になる。
【0054】
ワーク支持具1によれば、ワーク支持具1がマグネットチャックTBとは別体で構成されているので、ワークWの形態やマグネットチャックTBが変わった場合であっても、不整面を備えたワークWを変形させることなく支持可能であると共に、磁力を用いて中間支持部材7(外側支持部材5)を基材3に固定しワークWを支持するので、ジャッキボルトを使用する場合に比べてワークWを加工する際の段取り時間を少なくすることができる。
【0055】
また、ワーク支持具1によれば、中間支持部材7が外側支持部材5と基材3の各磁力発生面11、13との間に設けられて移動するようになっている。すなわち、中間支持部材7が移動するために、中間支持部材7と外側支持部材5との間や中間支持部材7と基材3の各磁力発生面11、13との間にごく僅かな隙間が存在しており、中間支持部材7が基材3や外側支持部材5に対してスムーズに移動するようになっている。したがって、ワークWが軽量である場合であっても、中間支持部材7や外側支持部材5が滑らかに移動し、ワークWの段取りを容易に行なうことができる。
【0056】
また、ワーク支持具1によれば、基材3のN極磁力発生面11から出た磁束MFが、中間支持部材7の内部を通って基材3のS極磁力発生面13に入り、中間支持部材7が基材3に一体的に支持される構成であるので、磁束MFがワークWに漏れることがほとんど無くなり磁力によってワークWが変形するおそれがほぼ無くなり、ワークWの変形を極力抑えた状態でワークWを支持することができる。
【0057】
[第2の実施形態]
図6は、本発明の第2の実施形態に係るワーク支持具101の概略構成を示す斜視図であり、図7は、図6におけるVII矢視図であり、図8は、図6におけるVIII矢視図であり、図9は、図6におけるIX−IX断面図であり、図10は、図6におけるX−X断面図である。
【0058】
本発明の第2の実施形態に係るワーク支持具101は、磁束の一部(磁束MFO;図7参照)が、ワークWの内部を通過する点が、本発明の第1の実施形態に係るワーク支持具1とは異なる。
【0059】
詳しく説明すると、ワーク支持具101は、基材103(基材3に相当)と、ワーク支持部材105(外側支持部材5に相当)とを備えて構成されている。
【0060】
基材103は、磁性部材107と非磁性部材109とを積層して構成されている。また、非磁性部材109には、切り欠き111が設けられており、切り欠き111の内部にワーク支持部材105の下端部が滑り対隅をなして係合している。また、基材103の上部には、蓋部材113が一体的に設けられている。蓋部材113には、貫通孔116が設けられており、この貫通孔116に、ワーク支持部材105の円柱状の中間部が滑り対隅をなして係合している。そして、ワーク支持部材105が基材103に対して移動自在になっている。
【0061】
切り欠き111の内部には付勢手段の例である圧縮コイルバネ117が設けられており、ワーク支持部材105を上方に(ワーク支持部材105が基材103から突出する方向に)付勢している。なお、貫通孔116とこれに係合しているワーク支持部材105の部位との間から、切り欠き111に水やスラッジ等の異物が入り込まないようにするために、シール部材115を設けてある。
【0062】
次に、ワーク支持具101の使用方法について説明する。
【0063】
まず、初期状態として、マグネットチャックTBが磁力を発生していないときに、図15に示すように、マグネットチャックTBの上面の適宜の3箇所に、ワーク支持具RPを配置し、マグネットチャックTBの上面の適宜の箇所に、ワーク支持具101を配置する。このときのワーク支持具1の高さは、図10に示すように、「h」になっており、ワーク支持具RPの高さPRHよりも大きくなっている。なお、ワーク支持具101におけるワーク支持部材105のストロークは「st」であり、「h−st」の値は、ワーク支持具RPの高さPRHよりも小さくなっている。
【0064】
上述したように、ワーク支持具RP、ワーク支持具101を配置した状態で、ワークWをワーク支持具RPとワーク支持具101とに載置すると、ワークWの重量により、各ワーク支持具101の各ワーク支持部材105が基材103側(マグネットチャックTB側;図10の下側)に適宜移動する。
【0065】
続いて、マグネットチャックTBが磁力を発生すると、マグネットチャックTBが発生した磁束は、ワーク支持部材205の内部を貫通し、ワーク支持部材205が基材203に一体的に固定され、ワーク支持部材205の下方への移動が不可能になり、ワーク支持具RPとワーク支持具201とで、不整面を備えたワークWを支持することができる。このようにして、ワークWを支持した状態で、図14に示すような研削加工がさなれる。
【0066】
ところで、マグネットチャックTBが磁力を発生すると、各磁性部材107が図7に示すように、NまたはSに磁化される。そして、一部の磁束MFが、ワーク支持部材105の内部のみを通過してワーク支持部材(図7の中央のワーク支持部材)105が基材103に一体的に支持されるのであるが、一部の磁束MFOは、ワークWを通過してワーク支持部材(図7の左右両端のワーク支持部材)105が基材103に一体的に支持される。
【0067】
[第3の実施形態]
図11は、本発明の第3の実施形態に係るワーク支持具201の概略構成を示す断面図であり、図5に相当する図である。図12は、図11におけるXII部の拡大図である。
【0068】
本発明の第3の実施形態に係るワーク支持具201は、中間支持部材207(中間支持部材7に相当)と、ワーク支持部材205(外側支持部材5に相当)との間に、力を伝達する伝達機構209を設けた点が、第1の実施形態に係るワーク支持具1と異なり、その他の点は、ワーク支持具1とほぼ同様に構成されほぼ同様に使用される。
【0069】
詳しく説明すると、ワーク支持具201は、基材203とガイド部材211とワーク支持部材205と中間支持部材207と付勢手段213と伝達機構209とを備えて構成されている。
【0070】
基材203は、マグネットチャックTBが発生するN極の磁力によってN極の磁力を発生するN極磁力発生面215と、このN極磁力発生面215から離れて設けられマグネットチャックTBが発生するS極の磁力によってS極の磁力を発生するS極磁力発生面217とを備えている。
【0071】
ガイド部材211は、たとえば、非磁性体で構成されており、基材203の上面と対向する部位219を備えて基材203に一体的に設けられている。基材203の上面と対向する板状の部位219の中央には、円形状の貫通孔221が設けられている。
【0072】
ワーク支持部材205は、磁性体もしくは非磁性体で構成されており、ガイド部材211(部位219の円形状の貫通孔221)と係合して基材203に対して接近・離反する方向(図11の上下方向)で移動自在になっている。
【0073】
中間支持部材207は、磁性体で構成されており、ガイド部材211と基材203の各磁力発生面215、217との間に設けられており、ワーク支持部材205と同方向で基材203に対して移動自在になっている。
【0074】
付勢手段213は、中間支持部材207の部位であってワーク支持部材205側に位置している部位223が基材203から離れるように(中間支持部材207が図11の上方に移動するように)、中間支持部材207を付勢するものである。
【0075】
伝達機構209は、ワーク支持部材205と中間支持部材7の間に設けられており、中間支持部材207の部位であってワーク支持部材205側に位置している部位223が基材203から離れる方向に移動するときの力を、たとえばてこ(テコ構成部材)257を用いることにより増やしてワーク支持部材205に伝達する機構である。
【0076】
なお、付勢手段213が中間支持部材207の部位223の近傍で中間支持部材207を付勢しているので、伝達機構209を、付勢手段213による中間支持部材207の付勢力を増やしてワーク支持部材205に伝達し、ワーク支持部材205を、中間支持部材207と同方向(図11の上方向)に付勢する付勢力伝達手段として考えることもできる。
【0077】
ワーク支持具201について、さらに詳しく説明する。
【0078】
基材203は、ワーク支持具1の場合と同様にして、磁性体で矩形な板状に形成された磁性部材225と非磁性体で磁性部材225よりも薄い矩形な板状に形成された非磁性部材227とをこれらの厚さ方向で交互に積層した(図11の紙面に直交する方向に積層した)ことにより四角柱状に形成されている。そして、磁性部材225と非磁性部材227とが交互に現れている平面状の下面229と、この下面229に平行であり下面229と同様にして磁性部材225と非磁性部材227とが交互に現れている平面状の上面231と、下面229や上面231とに対して直交している平面状の各側面とを備えている。
【0079】
なお、前記各側面のうちでお互いが平行な2つの側面233、235では、磁性部材225と非磁性部材227とが交互に現れている。
【0080】
ガイド部材211は、蓋部材219と筒状部材237とを備えて矩形な枡状に形成されている。蓋部材(部位)219は、磁性体または非磁性体で矩形な板状に形成されており、中央に円形状の貫通孔221を備えた矩形な板状に形成されている。筒状部材237は、非磁性体で矩形な筒状に形成されており、蓋部材219の厚さ方向の一方の面(図11では下面)から延出するようにして蓋部材219に一体的に設けられている。
【0081】
そして、ガイド部材211は、蓋部材219が基材203の上面231から離れて平行になり、また、ガイド部材211(筒状部材237)の先端部側(図11では下側)が基材203の各側面を囲むようにして、基材203に一体的に設けられている。
【0082】
中間支持部材207は、磁性体で構成されており、長手方向と直交する平面による断面がL字状に形成されている。中間支持部材207の長さ(図11の紙面に直交する方向の寸法)が磁性部材225と非磁性部材227とを積層してある方向における基材203の寸法である基材203の厚さより僅かに短く形成されている。
【0083】
そして、中間支持部材207の長手方向が磁性部材225と非磁性部材227との積層方向と一致し、内側の1つの平面239が基材203の1つの側面であって磁性部材225と非磁性部材227とが交互に現れている側面233に面接触して滑り対隅をなし、外側の1つの平面であって前記滑り待遇をなしている内側の1つの平面239と平行な平面241が、ガイド部材211の内側の1つの平面243と滑り対偶をなすことによって、中間支持部材207が、基材203に対して、基材203の上面231や下面229に対して直交する方向(図11の上下方向)に移動自在になっている。
【0084】
さらに、中間支持部材207は、この内側の他の1つの平面245が基材203の上面231と平行になるようにして基材203とガイド部材211(筒状部材237)との間に設けられている。なお、中間支持部材207の外側の他の1つの面247は、平面ではなくて凸な円弧状になっている。
【0085】
付勢手段213は、たとえば、圧縮コイルバネ249を用いて、中間支持部材207の内側の他の1つの平面245が基材203から離れるように、中間支持部材207を付勢するものである。
【0086】
ワーク支持部材205は、磁性体または非磁性体で構成されており、円柱状のガイド部位251とワーク支持部位253とテコ当接部位255とを備えた形状に形成されている。ワーク支持部位253は、ガイド部位251の外径よりも大きな外径で短い円柱状に形成されており、ガイド部位251の長手方向の一端部側(図11では上側)でガイド部位251に一体的に設けられている。テコ当接部位255は、ガイド部位251の長手方向の他端部(図11では下側)側でガイド部位251に一体的に設けられている。
【0087】
そして、ガイド部位251が蓋部材219の貫通孔221に係合することにより、ワーク支持部材205が、ガイド部材211(基材203)に対して、中間支持部材207と同方向(図11の上下方向)に移動自在になっている。さらに、テコ当接部位255が基材203の上面231とガイド部材211の蓋部材219との間で蓋部材219側に位置し、ワーク支持部位253が、図11の上側で蓋部材219の外側に突出するようにして、ワーク支持部材205が蓋部材219に設けられている。
【0088】
テコ構成部材257は、たとえば、平板状に構成されており、基材203の上面231とガイド部材211の蓋部材219との間に設けられている。そして、テコ構成部材257は、長手方向の一端部側の部位(図11の右側の部位)が、図11の示す点P1で、基材203の上面231で基材203に一体的に設けられた支点構成部材259に当接しており、長手方向の中間部の部位が、図11に示す点P3で、テコ当接部位255に当接しており、長手方向の他端部側の部位(図11の左側の部位)が、図11に示す点P2で、中間支持部材207の外側の他の1つの面247に当接しており、付勢手段213による付勢力を増やして((L1+L2)/L1倍に増やして)ワーク支持部材205に伝えるようになっている。
【0089】
なお、各点P1、P2、P3は、実際には、図11の紙面に直交する方向に延びている直線である。したがって、テコ構成部材257は、支点構成部材259、テコ当接部位255、中間支持部材207の面247に線接触しているのである。また、ワーク支持具101と同様にして、シール部材261が設けられている。
【0090】
ワーク支持具201によれば、伝達機構209によって、中間支持部材207の力を増やしてワーク支持部材205に伝達している。したがって、磁力発生面215、217における中間支持部材207の保持力よりも大きな力で、ワーク支持部材205がワークWを支持することができる。
【0091】
なお、ワーク支持具201においても、ワーク支持具1の場合と同様にして、N極磁力発生面215から出た磁束が中間支持部材207の内部のみを通り、S極磁力発生面217に入ることにより、中間支持部材207が基材203に一体的に支持されるようになっている。
【0092】
なお、上述した各実施形態に係るワーク支持具は、マグネットチャックが発生するN極の磁力によってN極の磁力を発生するN極磁力発生部位と、このN極磁力発生部位から離れて設けられ前記マグネットチャックが発生するS極の磁力によってS極の磁力を発生するS極磁力発生部位とを備えた基材と、前記基材の各磁力発生部位に係合して前記基材に対して移動自在であり、前記マグネットチャックが磁力を発生したときに、前記基材の各磁力発生部位に吸着され前記基材と一体になってワークを直接的または間接的に支持する支持部材とを有するワーク支持具の例である。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るワーク支持具1の概略構成を示す斜視図である。
【図2】図1におけるII矢視図である。
【図3】図1におけるIII矢視図である。
【図4】図1におけるIV矢視図である。
【図5】図4におけるV−V断面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係るワーク支持具101の概略構成を示す斜視図である。
【図7】図6におけるVII矢視図である。
【図8】図6におけるVIII矢視図である。
【図9】図6におけるIX−IX断面図である。
【図10】図6におけるX−X断面図である。
【図11】本発明の第3の実施形態に係るワーク支持具201の概略構成を示す断面図であり、図5に相当する図である。
【図12】図11におけるXII部の拡大図である。
【図13】ワーク支持具RPの概略構成を示す斜視図である。
【図14】従来なされている研削加工を示す図である。
【図15】研削加工をするときにおけるワークWの支持形態を示す平面図である。
【図16】研削加工をするときにおけるワークWの支持形態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0094】
1、101、201 ワーク支持具
3、103、203 基材
5 外側支持部材
7、207 中間支持部材
9、213 付勢手段
11、215 N極磁力発生面
13、217 S極磁力発生面
33、107、225 磁性部材
35、109、227 非磁性部材
51 カバー部材
105、205 ワーク支持部材
209 伝達機構
211 ガイド部材
255 テコ当接部位
257 テコ構成部材
259 支点構成部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク支持具に係り、特に、マグネットチャックが磁力を発生する面と、ワーク(被加工物)との間に設置されて、前記ワークを支持するワーク支持具(たとえば、研削加工に使用されるワーク支持具)に関する。
【背景技術】
【0002】
図14は、従来なされている研削加工を示す図である。
【0003】
ワークWの研削加工は、砥石GRを回転しワークWに対して砥石GRを矢印の方向に相対的に移動することにより行なわれている。
【0004】
図15は、上記研削加工をするときにおけるワークWの支持形態を示す平面図であり、図16は、上記研削加工をするときにおけるワークWの支持形態を示す側面図である。なお、図15に現れているワークWの面(図16では、ワークWの上方の面)が砥石GRによって研削加工される面である。
【0005】
研削加工する際にはワークWを支持する必要がある。この支持は、ベース部材Bとワーク支持具RPとを用いてワークWを3箇所で支持すると共に、複数のジャッキボルト(マメジャッキ;小型ジャッキ)JBを用いてなされる。
【0006】
ワーク支持具RPは、高さの変わらない(図16における上下方向の寸法)部材で構成されており、ジャッキボルトJBは、高さを調整することができるようになっている。
【0007】
ジャッキボルトJBを用いる理由は、ワークWの面が完全な平面ではなく、僅かではあるが不整面になっており、ジャッキボルトJBで支持しないと研削加工をする際にワークWにビビリ等の振動が発生するおそれがあるからである。なお、ワークWの横方向(図15の左右上下方向;図16の左右方向および図16の紙面に直交する方向)の移動は、図示しないストッパー部材によって規制されており、研削加工中にワークWがずれないようになっている。
【0008】
ところで、ジャッキボルトJBを使用すると、ワークWを加工する毎にジャッキボルトJBの高さを調節する必要があり、段取りに多くの時間を要してしまう。また、ワークWの中ほどには、手が入り難くジャッキボルトJBを設置して高さを調節することが難しい。
【0009】
そこで、マグネットをジャッキボルトの代わりの使用してワークWを支持する構成のものが採用されている。上記従来のマグネットを使用する技術に関する特許文献として、たとえば、特許文献1を掲げることができる。
【特許文献1】特開平2−269533号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、従来のマグネットを使用したワーク支持具では、マグネットチャックとワークに当接してワークを直接支持する構成部品とが一体になっているので、汎用性がなく、ワークの形状が変わったりマグネットチャックが変わったりした場合には、ワークを直接支持する構成部品を製作しなおしたり、分解して再組み立てする必要があり、段取りに多くの時間を要するという問題がある。
【0011】
本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、ワークの形態やマグネットチャックが変わった場合であっても、不整面を備えたワークを変形させることなく支持可能であると共に、ワークを加工する際の段取り時間を極力少なくすることができるワーク支持具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載の発明は、マグネットチャックが発生する磁力によって磁力を発生する磁力発生部位を備えた基材と、前記基材の磁力発生部位に係合して前記基材に対して移動自在であり、前記マグネットチャックが磁力を発生したときに、前記基材の磁力発生部位に吸着され前記基材と一体になってワークを直接的または間接的に支持する支持部材とを有するワーク支持具である。
【0013】
請求項2に記載の発明は、マグネットチャックが発生するN極の磁力によってN極の磁力を発生するN極磁力発生面と、前記マグネットチャックが発生するS極の磁力によってS極の磁力を発生するS極磁力発生面とを備えた基材と、ワークに接触するワーク接触部を備え、前記基材に係合することによって前記基材に対して所定の方向に移動自在である外側支持部材と、前記外側支持部材と前記基材の各磁力発生面との間に設けられ、前記外側支持部材に当接して前記外側支持部材のワーク接触部が前記基材から離れる方向に前記外側支持部材を押すための当接部を備えており、前記基材の各極磁力発生面に面接触して係合しまた前記外側支持部材に係合することによって前記基材に対して前記所定の方向に移動自在であり、前記基材の各磁力発生面が磁力を発生したときに、前記基材に吸着され前記基材と一体になる中間支持部材と、前記外側支持部材のワーク接触部が前記基材から離れる方向に移動するように、前記中間支持部材を付勢する付勢手段とを有するワーク支持具である。
【0014】
請求項3に記載の発明は、マグネットチャックが発生するN極の磁力によってN極の磁力を発生するN極磁力発生面と、前記マグネットチャックが発生するS極の磁力によってS極の磁力を発生するS極磁力発生面とを備えた基材と、前記基材に一体的に設けられたガイド部材と、前記ガイド部材に係合し前記基材に対して接近・離反する方向で移動自在になっているワーク支持部材と、前記ガイド部材と前記基材の各磁力発生面との間に設けられ、前記ワーク支持部材と同方向で前記基材に対して移動自在になっている中間支持部材と、前記中間支持部材の部位であって前記ワーク支持部材側に位置している部位が前記基材から離れるように、前記中間支持部材を付勢する付勢手段と、前記中間支持部材の部位であって前記ワーク支持部材側に位置している部位が前記基材から離れる方向に移動するときの力を増やして前記ワーク支持部材に伝達する伝達機構とを有するワーク支持具である。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項2または請求項3に記載のワーク支持具において、前記基材の各磁力発生面が磁力を発生したときに、前記基材のN極磁力発生面から出た磁束が、前記中間支持部材の内部を通って、前記基材のS極磁力発生面に入り、前記中間支持部材が前記基材と一体になる構成であるワーク支持具である。
【0016】
請求項5に記載の発明は、磁性体で矩形な板状に形成された磁性部材と非磁性体で矩形な板状に形成された非磁性部材とをこれらの厚さ方向で交互に積層したことにより、各側面と前記磁性部材と前記非磁性部材とが交互に現れている下面と上面とを備えて四角柱状に形成され、前記各側面のうちでお互いが平行な2つの側面では、前記磁性部材と前記非磁性部材とが交互に現れている基材と、磁性体で構成され、長手方向と直交する平面による断面がL字状に形成され、長さが前記磁性部材と前記非磁性部材とを積層してある方向での前記基材の寸法である前記基材の厚さより僅かに短く形成され、前記長手方向が前記磁性部材と前記非磁性部材との積層方向と一致し、内側の1つの平面が前記基材の1つの側面であって前記磁性部材と前記非磁性部材とが交互に現れている側面に面接触して滑り対隅をなし、内側の他の1つの平面が前記基材の上面に対向するようにして、前記基材に設けられている第1の中間支持部材と、前記第1の中間支持部材の内側の他の1つの平面が前記基材から離れるように付勢する第1の付勢手段と、磁性体で前記第1の中間支持部材と同形状に形成され、長手方向が前記前記磁性部材と前記非磁性部材との積層方向と一致し、内側の1つの平面が前記基材の他の1つの側面であって前記磁性部材と前記非磁性部材とが交互に現れている側面に面接触して滑り対隅をなし、内側の他の1つの平面が前記基材の上面に対向するようにして、前記基材に設けられている第2の中間支持部材と、前記第2の中間支持部材の内側の他の1つの平面が前記基材から離れるように付勢する第2の付勢手段と、所定の厚さで矩形な板状に形成された基端部側部位と短い円柱状に形成された先端部側部位とでほぼ板状に形成された基部材と、矩形な筒状に形成されお互いが平行になっている内側の2つ平面の間の距離が前記磁性部材と前記非磁性部材とが交互に現れている2つの側面とは異なる前記基材の他の2つの側面の間の距離よりもごく僅かに大きくなっており、前記お互いが平行になっている内側の2つの平面とは異なる他の2つ平面の間の距離が前記基材に設置されている各中間支持部材の外形寸法であって前記磁性部材と前記非磁性部材とが交互に現れている側面と直交する方向における外形寸法よりもごく僅かに大きくなっており、中心軸の延伸方向の一端部が前記基部材の基端部側部位に一体的に設けられて前記基部材から離れる方向に延びているカバー部材とを備えて矩形な枡状に形成されており、前記基部材の基端部側部位の平面が前記基材に設置されている各中間支持部材と面接触し、前記カバー部材の内側の2つの平面が、前記基材の他の2つの側面と面接触して滑り対隅をなし、前記カバー部材の内側の他の2つの平面が、前記基材に設けられている各中間支持部材の外側の面と面接触して滑り対隅をなすようにして、前記基材と前記各中間支持部材とに設けられている外側支持部材とを有するワーク支持具である。
【0017】
請求項6に記載の発明は、磁性体で矩形な板状に形成された磁性部材と非磁性体で矩形な板状に形成された非磁性部材とをこれらの厚さ方向で交互に積層したことにより、各側面と前記磁性部材と前記非磁性部材とが交互に現れている下面と上面とを備えて四角柱状に形成され、前記各側面のうちでお互いが平行な2つの側面では、前記磁性部材と前記非磁性部材とが交互に現れている基材と、矩形な板状に形成され中央に円形状の貫通孔を備えた蓋部材と矩形な筒状に形成され前記蓋部材の厚さ方向の一方の面から延出するようにして前記蓋部材に一体的に設けられた筒状部材とを備えて矩形な枡状に形成され、前記蓋部材が前記基材の上面から離れて平行になり、また、前記筒状部材の先端部側が前記基材の側面を囲むようにして前記基材に一体的に設けられたガイド部材と、磁性体で構成され、長手方向と直交する平面による断面がL字状に形成され、長さが前記磁性部材と前記非磁性部材とを積層してある方向での前記基材の寸法である前記基材の厚さより僅かに短く形成され、前記長手方向が前記磁性部材と前記非磁性部材との積層方向と一致し、内側の1つの平面が前記基材の1つの側面であって前記磁性部材と前記非磁性部材とが交互に現れている側面に面接触して滑り対隅をなし、外側の1つの平面であって前記滑り待遇をなしている内側の1つの平面と平行な平面が、前記筒状部材の内側の1つの平面と滑り対偶をなすことによって、前記基材の上面に対して直交する方向で移動自在になっており、また、内側の他の1つの平面が前記基材の上面と平行になるようにして前記基材と前記筒状部材との間に設けられている中間支持部材と、前記中間支持部材の内側の他の1つの平面が前記基材から離れるように付勢する付勢手段と、円柱状のガイド部位とこのガイド部位の外径よりも大きな外径で短い円柱状に形成され前記ガイド部位の長手方向の一端部側で前記ガイド部位に一体的に設けられたワーク支持部位と前記ガイド部位の長手方向の他端部側で前記ガイド部位に一体的に設けられたテコ当接部位とを備えた形状に形成されており、前記ガイド部位が前記蓋部材の貫通孔に係合して、前記基材部材に対して前記中間支持部材と同方向に移動自在になっており、また、前記テコ当接部位が前記基材の上面と前記ガイド部材の蓋部材との間で前記蓋部材側に位置し、前記ワーク支持部位が、前記蓋部材の外側に突出するようにして、前記蓋部材に設けられているワーク支持部材と、長手方向の一端部側の部位が前記基材の上面で前記基材に一体的に設けられた支点構成部材に当接し、長手方向の中間部の部位が前記テコ当接部位に当接し、長手方向の他端部側の部位が、前記中間支持部材に当接するようにして、前記付勢手段による付勢力を前記ワーク支持部材の伝えるテコ構成部材とを有するワーク支持具である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ワークの形態やマグネットチャックが変わった場合であっても、不整面を備えたワークを変形させることなく支持可能であると共に、ワークを加工する際の段取り時間を極力少なくすることができるワーク支持具を提供することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係るワーク支持具1の概略構成を示す斜視図であり、図2は、図1におけるII矢視図であり、図3は、図1におけるIII矢視図であり、図4は、図1におけるIV矢視図であり、図5は、図4におけるV−V断面図である。
【0020】
ワーク支持具1は、従来のジャッキボルトJBの代わりに、たとえば、マグネットチャックTBに載置され、マグネットチャックTBとワークWとの間に設置されて使用されるものであり、基材3と外側支持部材5と中間支持部材7と付勢手段9とを備えて構成されている。
【0021】
基材3は、マグネットチャックTBが発生するN極の磁力によってN極の磁力を発生するN極磁力発生面(たとえば、平面)11と、このN極磁力発生面11から離れて設けられマグネットチャックTBが発生するS極の磁力によってS極の磁力を発生するS極磁力発生面(たとえば、平面)13とを備えている。なお、S極磁力発生面13は、N極磁力発生面11と同一平面上に存在しているが、必ずしもこのように同一平面内に存在している必要はなく、たとえば、N極磁力発生面11と平行な平面であってもよい。
【0022】
マグネットチャックTBは、可動する永久磁石を内部に備えており、マグネットチャックTBの外部に設けられているハンドル(図示せず)を揺動することによって、磁力を発生する状態、磁力を発生しない状態を切り換えることができるようになっている。マグネットチャックTBとして、電磁マグネットチャックを採用してもよい。なお、マグネットチャックTBは、アルミニウム等の非磁性体で構成されたセパレータspが設けられている。
【0023】
また、基材3は、マグネットチャックTBとは別体であり、マグネットチャックTBに対して着脱自在になっている。基材3は、N極磁力発生面11と磁束が通じる第1の面(たとえば、平面)15と、S極磁力発生面13と磁束が通じる第2の平面(たとえば、平面)17とを備えている。そして、第1の面15がマグネットチャックTBのN極を発生する面(たとえば、平面)TBNと面接触し、第2の面17がマグネットチャックTBのS極を発生する面(たとえば、平面)TBSと面接触するようにして、マグネットチャックTBに設置されるようになっている。このように設置された状態で、マグネットチャックTBが磁力を発生すると、基材3の各磁力発生面11、13が磁力を発生するようになっている。
【0024】
外側支持部材5は、ワークWと接触するワーク接触部19を備えている。ワーク接触部19は、たとえば、各磁力発生面11、13と直交する平面になっている。また、外側支持部材5は、基材3と係合することによって基材3に対して所定の方向(たとえば、ワーク接触部19の平面と直交する方向;図5の上下方向)に移動自在になっている。
【0025】
さらに説明すると、たとえば、各磁力発生面11、13以外の平面であって各磁力発生面11、13とワーク接触面19とに直交する基材3の平面21に、外側支持部材5のワーク接触部19とは異なる部位(たとえば平面)23が係合することによって(たとえば、面接触して滑り対隅をなすことによって)、外側支持部材5が基材3に対して移動自在になっている。なお、基材3の各磁力発生面11、13、外側支持部材5のワーク接触部(ワーク接触面)19、基材3と係合する外側支持部材5の面23は、たとえば、お互いが直交している。
【0026】
中間支持部材7は、鉄や鋼等の磁性体で構成されており、外側支持部材5の面31と基材3の各磁力発生面11、13との間に設けられている。また、中間支持部材7は、外側支持部材5に当接して外側支持部材5のワーク接触部19が基材3から離れる方向(図5の上方向)に外側支持部材5を押すための当接部25を備えている。また、中間支持部材7は、基材3の各磁力発生面11、13に面接触して係合し(平面27がすべり対偶をなして係合し)、外側支持部材5の平面31に係合することによって(たとえば、平面29が面接触して滑り対隅をなすことによって)、基材3と外側支持部材5とに対して、前記所定の方向(外側支持部材5と同方向)に移動自在になっている。
【0027】
そして、基材3がマグネットチャックTBに適宜設置されマグネットチャックTBが磁力を発生することにより基材3の各磁力発生面11、13が磁力を発生したときに、中間支持部材7が基材3に吸着され基材3と一体になり基材3に固定されるようになっている。
【0028】
なお、前述したように、外側支持部材5は、基材3の各磁力発生面11、13と平行な平面31を備えており、この平行な平面31と基材3の磁力発生面11、13との間に、中間支持部材7が設けられおり、このよう設けられている状態において、基材3の磁力発生面11、13とこの磁力発生面11、13に面接触する中間支持部材7の一方の面27との間には、僅かな間隙がある。また、外側支持部材5の平面31とこの平面31に面接触する中間支持部材7の他方面(面27と平行な平面)29との間にも僅かな間隙がある。さらに、中間支持部材7の平面状の当接部25が、外側支持部材5に面接触している。そして、中間支持部材7が、基材3や外側支持部材5に対して前記所定の方向に滑らかに直線的に移動できるようになっている。
【0029】
付勢手段9は、基材3のワーク接触部19が基材3から離れる方向(図5の上方向)に移動するように、中間支持部材7を付勢するものである。付勢手段9による付勢によって、中間支持部材7(当接部25)を介して基材3が付勢され、基材3のワーク接触部19が基材3から離れる方向に付勢されるようになっている。
【0030】
ところで、ワーク支持具1では、基材3の各磁力発生面11、13が磁力を発生したときに、基材3のN極磁力発生面11から出た磁束が中間支持部材7の内部を通って(磁束が外側支持部材5やワークWを通過することなく中間支持部材7の内部のみを通過して)、基材3のS極磁力発生面13に入り、中間支持部材7が基材3に一体的に支持されように構成されている。
【0031】
ワーク支持具1についてさらに詳しく説明する。
【0032】
基材3は、磁性体で矩形な板状に形成された磁性部材33と非磁性体で磁性部材33よりも薄い矩形な板状に形成された非磁性部材35とをこれらの厚さ方向で交互に積層したことにより、平面状の下面37と平面状の上面39と平面状の各側面21、41とを備えて四角柱状に形成されている。なお、磁性部材33と非磁性部材35とを積層した状態では、磁性部材33と非磁性部材35とはお互いに面接触している。
【0033】
下面37では、磁性部材33と非磁性部材35とが交互に現れている。上面39は、下面37に平行になっており、下面37と同様にして磁性部材33と非磁性部材35とが交互に現れている。お互いが平行な2つの側面21では、磁性部材33のみが現れており、お互いが平行な側面41では、磁性部材33と非磁性部材35とが交互に現れており、各磁力発生面11、13を構成している。
【0034】
なお、複数枚の磁性部材33と複数枚の非磁性部材35との積層は、たとえば、磁性部材33、非磁性部材35、磁性部材33、非磁性部材35、磁性部材33の順になされており、積層の両端が磁性部材33になっている。また、矩形状の下面37や上面39のたとえば長手方向が、磁性部材33や非磁性部材35の積層方向(厚さ方向)と一致している。したがって、4つの各側面21、41のうちでお互いが平行な2つの側面(基材3の上面39や下面37の長手方向の両端部に位置している側面;磁性部材33と非磁性部材35とが交互に現れているお互いが平行な2つの側面41と直交している2つの側面)21においては、磁性部材33のみが現れている。
【0035】
第1の中間支持部材7A(7)は、前述したように、磁性体で構成されており、基材3の長手方向(厚さ方向)と直交する平面による断面がL字状に形成されている(図5参照)。また、第1の中間支持部材7Aの長さは、磁性部材33と非磁性部材35とを積層してある方向における基材3の長さ寸法である基材3の厚さより僅かに短く形成されている。また、第1の中間支持部材7Aの長手方向が磁性部材33と非磁性部材35との積層方向と一致し、第1の中間支持部材7Aの内側の1つの平面27が基材3の1つの側面であって磁性部材33と非磁性部材35とが交互に現れている側面41に面接触して滑り対隅をなし、第1の中間支持部材7Aの内側の他の1つの平面43が基材の上面39に対向するようにして(平行に離れて存在するようにして)、さらに、磁性部材33と非磁性部材35との積層方向(図5の紙面に直交する方向)で基材3の内側に入るようにして、第1の中間支持部材7Aが基材3に設けられている。
【0036】
第1の付勢手段9Aは、第1の中間支持部材7Aの内側の他の1つの平面43が基材3の上面39から離れるように付勢するものである。具体的には、基材3の上面39に円柱状の止まり孔45が設けられている。そして、自由長が止まり孔45の深さよりも大きい圧縮コイルバネ47が止まり孔45に挿入されている。止まり孔45から出ている圧縮コイルバネ47の端部は第1の中間支持部材7Aの内側の他の1つの平面43に当接している。そして、圧縮コイルバネ47によって第1の中間支持部材7Aが付勢されるようになっている。
【0037】
第2の中間支持部材7Bや第2の付勢手段9Bは、基材3の中心に対して第1の中間支持部材7Aや第1の付勢手段9Aと対称に設けられており、第2の中間支持部材7Bが第1の中間支持部材7Aと同様に付勢されるようになっている。
【0038】
外側支持部材5は、基部材49とカバー部材51を備えて矩形な枡状に形成されている。基部材49は、磁性体もしくは非磁性体で構成され、所定の厚さで矩形な板状に形成された基端部側部位53と短い円柱状に形成された先端部側部位55とでほぼ板状に形成されている。なお、基端部側部位53の中心軸と先端部側部位55の中心軸とはお互いに一致しており、先端部側部位55の端面がワーク接触部19を形成している。
【0039】
カバー部材51は、非磁性体で矩形な筒状に形成されており、お互いが平行になっている内側の2つ平面23、23の間の距離が、基材3の2つの側面(磁性部材33と非磁性部材35とが交互に現れている2つの側面41、41とは異なる側面)21、21の間の距離(基材3の幅寸法)よりもごく僅かに大きくなっている。
【0040】
また、カバー部材51の内側の平面(内側の2つの平面23、23とは異なる他の2つの平面)31、31の間の距離が、基材3に設置されている各中間支持部材7A、7Bの外形寸法(磁性部材33と非磁性部材35とが交互に現れている側面41と直交する方向である図5の左右方向における外形寸法)よりもごく僅かに大きくなっている。
【0041】
また、カバー部材51の中心軸の延伸方向の一端部が基部材49の基端部側部位53に一体的に設けられており、基端部側部位53を間にして先端部側部位55とは反対側で、カバー部材51が基部材49から離れる方向に延びている。
【0042】
そして、基部材49の基端部側部位53の平面(先端部側部位55とは反対側に位置している平面;図5では基部材49の下面)が、基材3に設置されている各中間支持部材7A、7Bと面接触し(各中間支持部材7A、7Bの外側の平面25と面接触し)、カバー部材51の内側の2つの平面23、23が、基材3の他の2つの側面21と面接触して滑り対隅をなし、カバー部材51の内側の他の2つの平面31が、基材3に設けられている各中間支持部材7A、7Bの外側の面29、29と面接触して滑り対隅をなすようにして、外側支持部材5が、基材3と各中間支持部材7A、7Bとに設けられている。
【0043】
このようにして外側支持部材5が設けられていることによって、外側支持部材5と中間支持部材7とが基材3の上面39と直交する方向で移動自在になっている。また、各付勢手段9A、9Bによって、各中間支持部材7A、7Bだけでなく外側支持部材5も、この基部材49が基材3から離れる方向(図5の上方向)に付勢されている。また、基材3の底面(下面)37側に位置している側面41には、矩形状(四角柱状)の凹部57が設けられており、外側支持部材5のカバー部材51の先端部(基部材49とは反対側の端部)には、カバー部材51の内側に突出している凸部59が設けられている。そして、凹部57に凸部59が入り込むことにより、外側支持部材5や各中間支持部材7A、7Bの移動ストロークが規制され、外側支持部材5や各中間支持部材7A、7Bが基材3から分離しないようになっている。
【0044】
なお、基材3は、前述したように、磁性部材33と非磁性部材35を積層して構成されているが、磁性部材33と非磁性部材35との接合は、ボルトや位置きめピンを積層方向に貫通させることでなされている。また、磁性部材33や非磁性部材35の厚さであるが、これは、マグネットチャックTBの磁力発生面に存在するセパレータspのピッチに応じて適宜決められるものである。
【0045】
すなわち、ワーク支持具1を使用するときには、基材3における磁性部材33と非磁性部材35との積層方向(磁性部材33や非磁性部材35の厚さ方向)と、マグネットチャックTBのセパレータspの厚さ方向とがお互いにほぼ一致し、かつ、基材3の非磁性部材35の厚さの中心とマグネットチャックTBのセパレータspの厚さの中心とがほぼお互いに一致するようにして、また、基材3の下面37をマグネットチャックTBの上面に面接触させて、ワーク支持具1がマグネットチャックTBに載置されるわけである(図1、図2、図4参照)。このときに、マグネットチャックTBの1つのN極磁力発生面TBNに、基材3の1つの磁性部材33のみが面接触し、マグネットチャックTBの1つのS極磁力発生面TBSに、基材3の他の1つの磁性部材33のみが面接触するように、基材3の磁性部材33や非磁性部材35の厚さが決められている。
【0046】
ここで、図15や図16で示したワーク支持具RPについて、図13を参照して説明する。
【0047】
ワーク支持具RPは、磁性部材RPAと非磁性部材RPBと磁性部材RPCとを積層して構成されており、上部に短い円柱状のワーク当接部RP5が設けられている。各磁性部材RPA、RPCの下部には、切り欠きRP1、RP2が設けられている。磁性部材RPAの各部位RP3がマグネットチャックTBのN極磁力発生面TBNに接触し、磁性部材RPCの各部位RP4がマグネットチャックTBのS極磁力発生面TBSに接触するようにして、マグネットチャックTBに適宜載置されるようになっている。マグネットチャックTBが磁力を発生すると、ワーク支持具RPに載置されたワークWを磁束MFが通過して、ワークWを支持するようになっている。なお、ワーク支持具RPの高さPRHは一定である。
【0048】
次に、ワーク支持具1の使用方法について説明する。
【0049】
まず、初期状態として、マグネットチャックTBが磁力を発生していないときに、図15に示すように、マグネットチャックTBの上面の適宜の3箇所に、ワーク支持具RPを配置し、マグネットチャックTBの上面の適宜の箇所に、ワーク支持具1を配置する。このときのワーク支持具1の高さは、図5に示すように、最大高さである「h」になっており、ワーク支持具RPの高さPRHよりも大きくなっている。なお、ワーク支持具1における外側支持部材5のストロークは「st」であり、「h−st」の値は、ワーク支持具RPの高さPRHよりも小さくなっている。
【0050】
このようにしてワーク支持具RP、ワーク支持具1を配置した状態で、ワークWをワーク支持具RPとワーク支持具1とに載置すると、ワークWの重量により、各ワーク支持具1の各外側支持部材5(中間支持部材7)が基材3側(マグネットチャックTB側;図5の下側)に適宜移動する。
【0051】
続いて、マグネットチャックTBが磁力を発生すると、マグネットチャックTBが発生した磁束は、中間支持部材7の内部を貫通し、中間支持部材7が基材3に一体的に固定され、外側支持部材5の下方への移動が不可能になり、ワーク支持具RPとワーク支持具1とで、不整面を備えたワークWを支持することができる。
【0052】
このようにして、ワークWを支持した状態で、図14に示すような研削加工がさなれる。なお、研削加工がなされるときには、従来と同様にして図示しないストッパーにより、図15の上下左右方向へワークWが移動しないようになっている。
【0053】
研削加工等の終了後にマグネットチャックTBからの磁力の発生を停止し、ワークWをワーク支持具RP、ワーク支持具1から取り去れば、前述した初期状態になる。
【0054】
ワーク支持具1によれば、ワーク支持具1がマグネットチャックTBとは別体で構成されているので、ワークWの形態やマグネットチャックTBが変わった場合であっても、不整面を備えたワークWを変形させることなく支持可能であると共に、磁力を用いて中間支持部材7(外側支持部材5)を基材3に固定しワークWを支持するので、ジャッキボルトを使用する場合に比べてワークWを加工する際の段取り時間を少なくすることができる。
【0055】
また、ワーク支持具1によれば、中間支持部材7が外側支持部材5と基材3の各磁力発生面11、13との間に設けられて移動するようになっている。すなわち、中間支持部材7が移動するために、中間支持部材7と外側支持部材5との間や中間支持部材7と基材3の各磁力発生面11、13との間にごく僅かな隙間が存在しており、中間支持部材7が基材3や外側支持部材5に対してスムーズに移動するようになっている。したがって、ワークWが軽量である場合であっても、中間支持部材7や外側支持部材5が滑らかに移動し、ワークWの段取りを容易に行なうことができる。
【0056】
また、ワーク支持具1によれば、基材3のN極磁力発生面11から出た磁束MFが、中間支持部材7の内部を通って基材3のS極磁力発生面13に入り、中間支持部材7が基材3に一体的に支持される構成であるので、磁束MFがワークWに漏れることがほとんど無くなり磁力によってワークWが変形するおそれがほぼ無くなり、ワークWの変形を極力抑えた状態でワークWを支持することができる。
【0057】
[第2の実施形態]
図6は、本発明の第2の実施形態に係るワーク支持具101の概略構成を示す斜視図であり、図7は、図6におけるVII矢視図であり、図8は、図6におけるVIII矢視図であり、図9は、図6におけるIX−IX断面図であり、図10は、図6におけるX−X断面図である。
【0058】
本発明の第2の実施形態に係るワーク支持具101は、磁束の一部(磁束MFO;図7参照)が、ワークWの内部を通過する点が、本発明の第1の実施形態に係るワーク支持具1とは異なる。
【0059】
詳しく説明すると、ワーク支持具101は、基材103(基材3に相当)と、ワーク支持部材105(外側支持部材5に相当)とを備えて構成されている。
【0060】
基材103は、磁性部材107と非磁性部材109とを積層して構成されている。また、非磁性部材109には、切り欠き111が設けられており、切り欠き111の内部にワーク支持部材105の下端部が滑り対隅をなして係合している。また、基材103の上部には、蓋部材113が一体的に設けられている。蓋部材113には、貫通孔116が設けられており、この貫通孔116に、ワーク支持部材105の円柱状の中間部が滑り対隅をなして係合している。そして、ワーク支持部材105が基材103に対して移動自在になっている。
【0061】
切り欠き111の内部には付勢手段の例である圧縮コイルバネ117が設けられており、ワーク支持部材105を上方に(ワーク支持部材105が基材103から突出する方向に)付勢している。なお、貫通孔116とこれに係合しているワーク支持部材105の部位との間から、切り欠き111に水やスラッジ等の異物が入り込まないようにするために、シール部材115を設けてある。
【0062】
次に、ワーク支持具101の使用方法について説明する。
【0063】
まず、初期状態として、マグネットチャックTBが磁力を発生していないときに、図15に示すように、マグネットチャックTBの上面の適宜の3箇所に、ワーク支持具RPを配置し、マグネットチャックTBの上面の適宜の箇所に、ワーク支持具101を配置する。このときのワーク支持具1の高さは、図10に示すように、「h」になっており、ワーク支持具RPの高さPRHよりも大きくなっている。なお、ワーク支持具101におけるワーク支持部材105のストロークは「st」であり、「h−st」の値は、ワーク支持具RPの高さPRHよりも小さくなっている。
【0064】
上述したように、ワーク支持具RP、ワーク支持具101を配置した状態で、ワークWをワーク支持具RPとワーク支持具101とに載置すると、ワークWの重量により、各ワーク支持具101の各ワーク支持部材105が基材103側(マグネットチャックTB側;図10の下側)に適宜移動する。
【0065】
続いて、マグネットチャックTBが磁力を発生すると、マグネットチャックTBが発生した磁束は、ワーク支持部材205の内部を貫通し、ワーク支持部材205が基材203に一体的に固定され、ワーク支持部材205の下方への移動が不可能になり、ワーク支持具RPとワーク支持具201とで、不整面を備えたワークWを支持することができる。このようにして、ワークWを支持した状態で、図14に示すような研削加工がさなれる。
【0066】
ところで、マグネットチャックTBが磁力を発生すると、各磁性部材107が図7に示すように、NまたはSに磁化される。そして、一部の磁束MFが、ワーク支持部材105の内部のみを通過してワーク支持部材(図7の中央のワーク支持部材)105が基材103に一体的に支持されるのであるが、一部の磁束MFOは、ワークWを通過してワーク支持部材(図7の左右両端のワーク支持部材)105が基材103に一体的に支持される。
【0067】
[第3の実施形態]
図11は、本発明の第3の実施形態に係るワーク支持具201の概略構成を示す断面図であり、図5に相当する図である。図12は、図11におけるXII部の拡大図である。
【0068】
本発明の第3の実施形態に係るワーク支持具201は、中間支持部材207(中間支持部材7に相当)と、ワーク支持部材205(外側支持部材5に相当)との間に、力を伝達する伝達機構209を設けた点が、第1の実施形態に係るワーク支持具1と異なり、その他の点は、ワーク支持具1とほぼ同様に構成されほぼ同様に使用される。
【0069】
詳しく説明すると、ワーク支持具201は、基材203とガイド部材211とワーク支持部材205と中間支持部材207と付勢手段213と伝達機構209とを備えて構成されている。
【0070】
基材203は、マグネットチャックTBが発生するN極の磁力によってN極の磁力を発生するN極磁力発生面215と、このN極磁力発生面215から離れて設けられマグネットチャックTBが発生するS極の磁力によってS極の磁力を発生するS極磁力発生面217とを備えている。
【0071】
ガイド部材211は、たとえば、非磁性体で構成されており、基材203の上面と対向する部位219を備えて基材203に一体的に設けられている。基材203の上面と対向する板状の部位219の中央には、円形状の貫通孔221が設けられている。
【0072】
ワーク支持部材205は、磁性体もしくは非磁性体で構成されており、ガイド部材211(部位219の円形状の貫通孔221)と係合して基材203に対して接近・離反する方向(図11の上下方向)で移動自在になっている。
【0073】
中間支持部材207は、磁性体で構成されており、ガイド部材211と基材203の各磁力発生面215、217との間に設けられており、ワーク支持部材205と同方向で基材203に対して移動自在になっている。
【0074】
付勢手段213は、中間支持部材207の部位であってワーク支持部材205側に位置している部位223が基材203から離れるように(中間支持部材207が図11の上方に移動するように)、中間支持部材207を付勢するものである。
【0075】
伝達機構209は、ワーク支持部材205と中間支持部材7の間に設けられており、中間支持部材207の部位であってワーク支持部材205側に位置している部位223が基材203から離れる方向に移動するときの力を、たとえばてこ(テコ構成部材)257を用いることにより増やしてワーク支持部材205に伝達する機構である。
【0076】
なお、付勢手段213が中間支持部材207の部位223の近傍で中間支持部材207を付勢しているので、伝達機構209を、付勢手段213による中間支持部材207の付勢力を増やしてワーク支持部材205に伝達し、ワーク支持部材205を、中間支持部材207と同方向(図11の上方向)に付勢する付勢力伝達手段として考えることもできる。
【0077】
ワーク支持具201について、さらに詳しく説明する。
【0078】
基材203は、ワーク支持具1の場合と同様にして、磁性体で矩形な板状に形成された磁性部材225と非磁性体で磁性部材225よりも薄い矩形な板状に形成された非磁性部材227とをこれらの厚さ方向で交互に積層した(図11の紙面に直交する方向に積層した)ことにより四角柱状に形成されている。そして、磁性部材225と非磁性部材227とが交互に現れている平面状の下面229と、この下面229に平行であり下面229と同様にして磁性部材225と非磁性部材227とが交互に現れている平面状の上面231と、下面229や上面231とに対して直交している平面状の各側面とを備えている。
【0079】
なお、前記各側面のうちでお互いが平行な2つの側面233、235では、磁性部材225と非磁性部材227とが交互に現れている。
【0080】
ガイド部材211は、蓋部材219と筒状部材237とを備えて矩形な枡状に形成されている。蓋部材(部位)219は、磁性体または非磁性体で矩形な板状に形成されており、中央に円形状の貫通孔221を備えた矩形な板状に形成されている。筒状部材237は、非磁性体で矩形な筒状に形成されており、蓋部材219の厚さ方向の一方の面(図11では下面)から延出するようにして蓋部材219に一体的に設けられている。
【0081】
そして、ガイド部材211は、蓋部材219が基材203の上面231から離れて平行になり、また、ガイド部材211(筒状部材237)の先端部側(図11では下側)が基材203の各側面を囲むようにして、基材203に一体的に設けられている。
【0082】
中間支持部材207は、磁性体で構成されており、長手方向と直交する平面による断面がL字状に形成されている。中間支持部材207の長さ(図11の紙面に直交する方向の寸法)が磁性部材225と非磁性部材227とを積層してある方向における基材203の寸法である基材203の厚さより僅かに短く形成されている。
【0083】
そして、中間支持部材207の長手方向が磁性部材225と非磁性部材227との積層方向と一致し、内側の1つの平面239が基材203の1つの側面であって磁性部材225と非磁性部材227とが交互に現れている側面233に面接触して滑り対隅をなし、外側の1つの平面であって前記滑り待遇をなしている内側の1つの平面239と平行な平面241が、ガイド部材211の内側の1つの平面243と滑り対偶をなすことによって、中間支持部材207が、基材203に対して、基材203の上面231や下面229に対して直交する方向(図11の上下方向)に移動自在になっている。
【0084】
さらに、中間支持部材207は、この内側の他の1つの平面245が基材203の上面231と平行になるようにして基材203とガイド部材211(筒状部材237)との間に設けられている。なお、中間支持部材207の外側の他の1つの面247は、平面ではなくて凸な円弧状になっている。
【0085】
付勢手段213は、たとえば、圧縮コイルバネ249を用いて、中間支持部材207の内側の他の1つの平面245が基材203から離れるように、中間支持部材207を付勢するものである。
【0086】
ワーク支持部材205は、磁性体または非磁性体で構成されており、円柱状のガイド部位251とワーク支持部位253とテコ当接部位255とを備えた形状に形成されている。ワーク支持部位253は、ガイド部位251の外径よりも大きな外径で短い円柱状に形成されており、ガイド部位251の長手方向の一端部側(図11では上側)でガイド部位251に一体的に設けられている。テコ当接部位255は、ガイド部位251の長手方向の他端部(図11では下側)側でガイド部位251に一体的に設けられている。
【0087】
そして、ガイド部位251が蓋部材219の貫通孔221に係合することにより、ワーク支持部材205が、ガイド部材211(基材203)に対して、中間支持部材207と同方向(図11の上下方向)に移動自在になっている。さらに、テコ当接部位255が基材203の上面231とガイド部材211の蓋部材219との間で蓋部材219側に位置し、ワーク支持部位253が、図11の上側で蓋部材219の外側に突出するようにして、ワーク支持部材205が蓋部材219に設けられている。
【0088】
テコ構成部材257は、たとえば、平板状に構成されており、基材203の上面231とガイド部材211の蓋部材219との間に設けられている。そして、テコ構成部材257は、長手方向の一端部側の部位(図11の右側の部位)が、図11の示す点P1で、基材203の上面231で基材203に一体的に設けられた支点構成部材259に当接しており、長手方向の中間部の部位が、図11に示す点P3で、テコ当接部位255に当接しており、長手方向の他端部側の部位(図11の左側の部位)が、図11に示す点P2で、中間支持部材207の外側の他の1つの面247に当接しており、付勢手段213による付勢力を増やして((L1+L2)/L1倍に増やして)ワーク支持部材205に伝えるようになっている。
【0089】
なお、各点P1、P2、P3は、実際には、図11の紙面に直交する方向に延びている直線である。したがって、テコ構成部材257は、支点構成部材259、テコ当接部位255、中間支持部材207の面247に線接触しているのである。また、ワーク支持具101と同様にして、シール部材261が設けられている。
【0090】
ワーク支持具201によれば、伝達機構209によって、中間支持部材207の力を増やしてワーク支持部材205に伝達している。したがって、磁力発生面215、217における中間支持部材207の保持力よりも大きな力で、ワーク支持部材205がワークWを支持することができる。
【0091】
なお、ワーク支持具201においても、ワーク支持具1の場合と同様にして、N極磁力発生面215から出た磁束が中間支持部材207の内部のみを通り、S極磁力発生面217に入ることにより、中間支持部材207が基材203に一体的に支持されるようになっている。
【0092】
なお、上述した各実施形態に係るワーク支持具は、マグネットチャックが発生するN極の磁力によってN極の磁力を発生するN極磁力発生部位と、このN極磁力発生部位から離れて設けられ前記マグネットチャックが発生するS極の磁力によってS極の磁力を発生するS極磁力発生部位とを備えた基材と、前記基材の各磁力発生部位に係合して前記基材に対して移動自在であり、前記マグネットチャックが磁力を発生したときに、前記基材の各磁力発生部位に吸着され前記基材と一体になってワークを直接的または間接的に支持する支持部材とを有するワーク支持具の例である。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るワーク支持具1の概略構成を示す斜視図である。
【図2】図1におけるII矢視図である。
【図3】図1におけるIII矢視図である。
【図4】図1におけるIV矢視図である。
【図5】図4におけるV−V断面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係るワーク支持具101の概略構成を示す斜視図である。
【図7】図6におけるVII矢視図である。
【図8】図6におけるVIII矢視図である。
【図9】図6におけるIX−IX断面図である。
【図10】図6におけるX−X断面図である。
【図11】本発明の第3の実施形態に係るワーク支持具201の概略構成を示す断面図であり、図5に相当する図である。
【図12】図11におけるXII部の拡大図である。
【図13】ワーク支持具RPの概略構成を示す斜視図である。
【図14】従来なされている研削加工を示す図である。
【図15】研削加工をするときにおけるワークWの支持形態を示す平面図である。
【図16】研削加工をするときにおけるワークWの支持形態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0094】
1、101、201 ワーク支持具
3、103、203 基材
5 外側支持部材
7、207 中間支持部材
9、213 付勢手段
11、215 N極磁力発生面
13、217 S極磁力発生面
33、107、225 磁性部材
35、109、227 非磁性部材
51 カバー部材
105、205 ワーク支持部材
209 伝達機構
211 ガイド部材
255 テコ当接部位
257 テコ構成部材
259 支点構成部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マグネットチャックが発生する磁力によって磁力を発生する磁力発生部位を備えた基材と;
前記基材の磁力発生部位に係合して前記基材に対して移動自在であり、前記マグネットチャックが磁力を発生したときに、前記基材の磁力発生部位に吸着され前記基材と一体になってワークを直接的または間接的に支持する支持部材と;
を有することを特徴とするワーク支持具。
【請求項2】
マグネットチャックが発生するN極の磁力によってN極の磁力を発生するN極磁力発生面と、前記マグネットチャックが発生するS極の磁力によってS極の磁力を発生するS極磁力発生面とを備えた基材と;
ワークに接触するワーク接触部を備え、前記基材に係合することによって前記基材に対して所定の方向に移動自在である外側支持部材と;
前記外側支持部材と前記基材の各磁力発生面との間に設けられ、前記外側支持部材に当接して前記外側支持部材のワーク接触部が前記基材から離れる方向に前記外側支持部材を押すための当接部を備えており、前記基材の各極磁力発生面に面接触して係合しまた前記外側支持部材に係合することによって前記基材に対して前記所定の方向に移動自在であり、前記基材の各磁力発生面が磁力を発生したときに、前記基材に吸着され前記基材と一体になる中間支持部材と;
前記外側支持部材のワーク接触部が前記基材から離れる方向に移動するように、前記中間支持部材を付勢する付勢手段と;
を有することを特徴とするワーク支持具。
【請求項3】
マグネットチャックが発生するN極の磁力によってN極の磁力を発生するN極磁力発生面と、前記マグネットチャックが発生するS極の磁力によってS極の磁力を発生するS極磁力発生面とを備えた基材と;
前記基材に一体的に設けられたガイド部材と;
前記ガイド部材に係合し前記基材に対して接近・離反する方向で移動自在になっているワーク支持部材と;
前記ガイド部材と前記基材の各磁力発生面との間に設けられ、前記ワーク支持部材と同方向で前記基材に対して移動自在になっている中間支持部材と;
前記中間支持部材の部位であって前記ワーク支持部材側に位置している部位が前記基材から離れるように、前記中間支持部材を付勢する付勢手段と;
前記中間支持部材の部位であって前記ワーク支持部材側に位置している部位が前記基材から離れる方向に移動するときの力を増やして前記ワーク支持部材に伝達する伝達機構と;
を有することを特徴とするワーク支持具。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載のワーク支持具において、
前記基材の各磁力発生面が磁力を発生したときに、前記基材のN極磁力発生面から出た磁束が、前記中間支持部材の内部を通って、前記基材のS極磁力発生面に入り、前記中間支持部材が前記基材と一体になる構成であることを特徴とするワーク支持具。
【請求項5】
磁性体で矩形な板状に形成された磁性部材と非磁性体で矩形な板状に形成された非磁性部材とをこれらの厚さ方向で交互に積層したことにより、各側面と前記磁性部材と前記非磁性部材とが交互に現れている下面と上面とを備えて四角柱状に形成され、前記各側面のうちでお互いが平行な2つの側面では、前記磁性部材と前記非磁性部材とが交互に現れている基材と;
磁性体で構成され、長手方向と直交する平面による断面がL字状に形成され、長さが前記磁性部材と前記非磁性部材とを積層してある方向での前記基材の寸法である前記基材の厚さより僅かに短く形成され、前記長手方向が前記磁性部材と前記非磁性部材との積層方向と一致し、内側の1つの平面が前記基材の1つの側面であって前記磁性部材と前記非磁性部材とが交互に現れている側面に面接触して滑り対隅をなし、内側の他の1つの平面が前記基材の上面に対向するようにして、前記基材に設けられている第1の中間支持部材と;
前記第1の中間支持部材の内側の他の1つの平面が前記基材から離れるように付勢する第1の付勢手段と;
磁性体で前記第1の中間支持部材と同形状に形成され、長手方向が前記前記磁性部材と前記非磁性部材との積層方向と一致し、内側の1つの平面が前記基材の他の1つの側面であって前記磁性部材と前記非磁性部材とが交互に現れている側面に面接触して滑り対隅をなし、内側の他の1つの平面が前記基材の上面に対向するようにして、前記基材に設けられている第2の中間支持部材と;
前記第2の中間支持部材の内側の他の1つの平面が前記基材から離れるように付勢する第2の付勢手段と;
所定の厚さで矩形な板状に形成された基端部側部位と短い円柱状に形成された先端部側部位とでほぼ板状に形成された基部材と、矩形な筒状に形成されお互いが平行になっている内側の2つ平面の間の距離が前記磁性部材と前記非磁性部材とが交互に現れている2つの側面とは異なる前記基材の他の2つの側面の間の距離よりもごく僅かに大きくなっており、前記お互いが平行になっている内側の2つの平面とは異なる他の2つ平面の間の距離が前記基材に設置されている各中間支持部材の外形寸法であって前記磁性部材と前記非磁性部材とが交互に現れている側面と直交する方向における外形寸法よりもごく僅かに大きくなっており、中心軸の延伸方向の一端部が前記基部材の基端部側部位に一体的に設けられて前記基部材から離れる方向に延びているカバー部材とを備えて矩形な枡状に形成されており、前記基部材の基端部側部位の平面が前記基材に設置されている各中間支持部材と面接触し、前記カバー部材の内側の2つの平面が、前記基材の他の2つの側面と面接触して滑り対隅をなし、前記カバー部材の内側の他の2つの平面が、前記基材に設けられている各中間支持部材の外側の面と面接触して滑り対隅をなすようにして、前記基材と前記各中間支持部材とに設けられている外側支持部材と;
を有することを特徴とするワーク支持具。
【請求項6】
磁性体で矩形な板状に形成された磁性部材と非磁性体で矩形な板状に形成された非磁性部材とをこれらの厚さ方向で交互に積層したことにより、各側面と前記磁性部材と前記非磁性部材とが交互に現れている下面と上面とを備えて四角柱状に形成され、前記各側面のうちでお互いが平行な2つの側面では、前記磁性部材と前記非磁性部材とが交互に現れている基材と;
矩形な板状に形成され中央に円形状の貫通孔を備えた蓋部材と矩形な筒状に形成され前記蓋部材の厚さ方向の一方の面から延出するようにして前記蓋部材に一体的に設けられた筒状部材とを備えて矩形な枡状に形成され、前記蓋部材が前記基材の上面から離れて平行になり、また、前記筒状部材の先端部側が前記基材の側面を囲むようにして前記基材に一体的に設けられたガイド部材と;
磁性体で構成され、長手方向と直交する平面による断面がL字状に形成され、長さが前記磁性部材と前記非磁性部材とを積層してある方向での前記基材の寸法である前記基材の厚さより僅かに短く形成され、前記長手方向が前記磁性部材と前記非磁性部材との積層方向と一致し、内側の1つの平面が前記基材の1つの側面であって前記磁性部材と前記非磁性部材とが交互に現れている側面に面接触して滑り対隅をなし、外側の1つの平面であって前記滑り待遇をなしている内側の1つの平面と平行な平面が、前記筒状部材の内側の1つの平面と滑り対偶をなすことによって、前記基材の上面に対して直交する方向で移動自在になっており、また、内側の他の1つの平面が前記基材の上面と平行になるようにして前記基材と前記筒状部材との間に設けられている中間支持部材と;
前記中間支持部材の内側の他の1つの平面が前記基材から離れるように付勢する付勢手段と;
円柱状のガイド部位とこのガイド部位の外径よりも大きな外径で短い円柱状に形成され前記ガイド部位の長手方向の一端部側で前記ガイド部位に一体的に設けられたワーク支持部位と前記ガイド部位の長手方向の他端部側で前記ガイド部位に一体的に設けられたテコ当接部位とを備えた形状に形成されており、前記ガイド部位が前記蓋部材の貫通孔に係合して、前記基材部材に対して前記中間支持部材と同方向に移動自在になっており、また、前記テコ当接部位が前記基材の上面と前記ガイド部材の蓋部材との間で前記蓋部材側に位置し、前記ワーク支持部位が、前記蓋部材の外側に突出するようにして、前記蓋部材に設けられているワーク支持部材と;
長手方向の一端部側の部位が前記基材の上面で前記基材に一体的に設けられた支点構成部材に当接し、長手方向の中間部の部位が前記テコ当接部位に当接し、長手方向の他端部側の部位が、前記中間支持部材に当接するようにして、前記付勢手段による付勢力を前記ワーク支持部材の伝えるテコ構成部材と;
を有することを特徴とするワーク支持具。
【請求項1】
マグネットチャックが発生する磁力によって磁力を発生する磁力発生部位を備えた基材と;
前記基材の磁力発生部位に係合して前記基材に対して移動自在であり、前記マグネットチャックが磁力を発生したときに、前記基材の磁力発生部位に吸着され前記基材と一体になってワークを直接的または間接的に支持する支持部材と;
を有することを特徴とするワーク支持具。
【請求項2】
マグネットチャックが発生するN極の磁力によってN極の磁力を発生するN極磁力発生面と、前記マグネットチャックが発生するS極の磁力によってS極の磁力を発生するS極磁力発生面とを備えた基材と;
ワークに接触するワーク接触部を備え、前記基材に係合することによって前記基材に対して所定の方向に移動自在である外側支持部材と;
前記外側支持部材と前記基材の各磁力発生面との間に設けられ、前記外側支持部材に当接して前記外側支持部材のワーク接触部が前記基材から離れる方向に前記外側支持部材を押すための当接部を備えており、前記基材の各極磁力発生面に面接触して係合しまた前記外側支持部材に係合することによって前記基材に対して前記所定の方向に移動自在であり、前記基材の各磁力発生面が磁力を発生したときに、前記基材に吸着され前記基材と一体になる中間支持部材と;
前記外側支持部材のワーク接触部が前記基材から離れる方向に移動するように、前記中間支持部材を付勢する付勢手段と;
を有することを特徴とするワーク支持具。
【請求項3】
マグネットチャックが発生するN極の磁力によってN極の磁力を発生するN極磁力発生面と、前記マグネットチャックが発生するS極の磁力によってS極の磁力を発生するS極磁力発生面とを備えた基材と;
前記基材に一体的に設けられたガイド部材と;
前記ガイド部材に係合し前記基材に対して接近・離反する方向で移動自在になっているワーク支持部材と;
前記ガイド部材と前記基材の各磁力発生面との間に設けられ、前記ワーク支持部材と同方向で前記基材に対して移動自在になっている中間支持部材と;
前記中間支持部材の部位であって前記ワーク支持部材側に位置している部位が前記基材から離れるように、前記中間支持部材を付勢する付勢手段と;
前記中間支持部材の部位であって前記ワーク支持部材側に位置している部位が前記基材から離れる方向に移動するときの力を増やして前記ワーク支持部材に伝達する伝達機構と;
を有することを特徴とするワーク支持具。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載のワーク支持具において、
前記基材の各磁力発生面が磁力を発生したときに、前記基材のN極磁力発生面から出た磁束が、前記中間支持部材の内部を通って、前記基材のS極磁力発生面に入り、前記中間支持部材が前記基材と一体になる構成であることを特徴とするワーク支持具。
【請求項5】
磁性体で矩形な板状に形成された磁性部材と非磁性体で矩形な板状に形成された非磁性部材とをこれらの厚さ方向で交互に積層したことにより、各側面と前記磁性部材と前記非磁性部材とが交互に現れている下面と上面とを備えて四角柱状に形成され、前記各側面のうちでお互いが平行な2つの側面では、前記磁性部材と前記非磁性部材とが交互に現れている基材と;
磁性体で構成され、長手方向と直交する平面による断面がL字状に形成され、長さが前記磁性部材と前記非磁性部材とを積層してある方向での前記基材の寸法である前記基材の厚さより僅かに短く形成され、前記長手方向が前記磁性部材と前記非磁性部材との積層方向と一致し、内側の1つの平面が前記基材の1つの側面であって前記磁性部材と前記非磁性部材とが交互に現れている側面に面接触して滑り対隅をなし、内側の他の1つの平面が前記基材の上面に対向するようにして、前記基材に設けられている第1の中間支持部材と;
前記第1の中間支持部材の内側の他の1つの平面が前記基材から離れるように付勢する第1の付勢手段と;
磁性体で前記第1の中間支持部材と同形状に形成され、長手方向が前記前記磁性部材と前記非磁性部材との積層方向と一致し、内側の1つの平面が前記基材の他の1つの側面であって前記磁性部材と前記非磁性部材とが交互に現れている側面に面接触して滑り対隅をなし、内側の他の1つの平面が前記基材の上面に対向するようにして、前記基材に設けられている第2の中間支持部材と;
前記第2の中間支持部材の内側の他の1つの平面が前記基材から離れるように付勢する第2の付勢手段と;
所定の厚さで矩形な板状に形成された基端部側部位と短い円柱状に形成された先端部側部位とでほぼ板状に形成された基部材と、矩形な筒状に形成されお互いが平行になっている内側の2つ平面の間の距離が前記磁性部材と前記非磁性部材とが交互に現れている2つの側面とは異なる前記基材の他の2つの側面の間の距離よりもごく僅かに大きくなっており、前記お互いが平行になっている内側の2つの平面とは異なる他の2つ平面の間の距離が前記基材に設置されている各中間支持部材の外形寸法であって前記磁性部材と前記非磁性部材とが交互に現れている側面と直交する方向における外形寸法よりもごく僅かに大きくなっており、中心軸の延伸方向の一端部が前記基部材の基端部側部位に一体的に設けられて前記基部材から離れる方向に延びているカバー部材とを備えて矩形な枡状に形成されており、前記基部材の基端部側部位の平面が前記基材に設置されている各中間支持部材と面接触し、前記カバー部材の内側の2つの平面が、前記基材の他の2つの側面と面接触して滑り対隅をなし、前記カバー部材の内側の他の2つの平面が、前記基材に設けられている各中間支持部材の外側の面と面接触して滑り対隅をなすようにして、前記基材と前記各中間支持部材とに設けられている外側支持部材と;
を有することを特徴とするワーク支持具。
【請求項6】
磁性体で矩形な板状に形成された磁性部材と非磁性体で矩形な板状に形成された非磁性部材とをこれらの厚さ方向で交互に積層したことにより、各側面と前記磁性部材と前記非磁性部材とが交互に現れている下面と上面とを備えて四角柱状に形成され、前記各側面のうちでお互いが平行な2つの側面では、前記磁性部材と前記非磁性部材とが交互に現れている基材と;
矩形な板状に形成され中央に円形状の貫通孔を備えた蓋部材と矩形な筒状に形成され前記蓋部材の厚さ方向の一方の面から延出するようにして前記蓋部材に一体的に設けられた筒状部材とを備えて矩形な枡状に形成され、前記蓋部材が前記基材の上面から離れて平行になり、また、前記筒状部材の先端部側が前記基材の側面を囲むようにして前記基材に一体的に設けられたガイド部材と;
磁性体で構成され、長手方向と直交する平面による断面がL字状に形成され、長さが前記磁性部材と前記非磁性部材とを積層してある方向での前記基材の寸法である前記基材の厚さより僅かに短く形成され、前記長手方向が前記磁性部材と前記非磁性部材との積層方向と一致し、内側の1つの平面が前記基材の1つの側面であって前記磁性部材と前記非磁性部材とが交互に現れている側面に面接触して滑り対隅をなし、外側の1つの平面であって前記滑り待遇をなしている内側の1つの平面と平行な平面が、前記筒状部材の内側の1つの平面と滑り対偶をなすことによって、前記基材の上面に対して直交する方向で移動自在になっており、また、内側の他の1つの平面が前記基材の上面と平行になるようにして前記基材と前記筒状部材との間に設けられている中間支持部材と;
前記中間支持部材の内側の他の1つの平面が前記基材から離れるように付勢する付勢手段と;
円柱状のガイド部位とこのガイド部位の外径よりも大きな外径で短い円柱状に形成され前記ガイド部位の長手方向の一端部側で前記ガイド部位に一体的に設けられたワーク支持部位と前記ガイド部位の長手方向の他端部側で前記ガイド部位に一体的に設けられたテコ当接部位とを備えた形状に形成されており、前記ガイド部位が前記蓋部材の貫通孔に係合して、前記基材部材に対して前記中間支持部材と同方向に移動自在になっており、また、前記テコ当接部位が前記基材の上面と前記ガイド部材の蓋部材との間で前記蓋部材側に位置し、前記ワーク支持部位が、前記蓋部材の外側に突出するようにして、前記蓋部材に設けられているワーク支持部材と;
長手方向の一端部側の部位が前記基材の上面で前記基材に一体的に設けられた支点構成部材に当接し、長手方向の中間部の部位が前記テコ当接部位に当接し、長手方向の他端部側の部位が、前記中間支持部材に当接するようにして、前記付勢手段による付勢力を前記ワーク支持部材の伝えるテコ構成部材と;
を有することを特徴とするワーク支持具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
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【図4】
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【図11】
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【図15】
【図16】
【公開番号】特開2009−172705(P2009−172705A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−12711(P2008−12711)
【出願日】平成20年1月23日(2008.1.23)
【出願人】(500393273)伸和工業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月23日(2008.1.23)
【出願人】(500393273)伸和工業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
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