説明

ワーク着脱装置

【課題】ワークが回転軸とともに回転しても台座から落下したり、倒れたりしないようにワークを確実に回転軸の先端に装着でき、かつワークの着脱操作を容易に行えるワーク着脱装置を提供する。
【解決手段】回転軸11の内部に空気通路24,30を形成して該空気通路30の一端を回転軸11の先端部に開口させ、この回転軸先端側開口にワークを吸着する吸着パッド35を取り付け、回転軸11を設けたベースフレーム15に負圧発生用エアーシリンダ39を取り付け、負圧発生用エアーシリンダ39のピストンで区画される一方のシリンダ室と空気通路24を管路37で接続し、該管路37に前記シリンダ室の内部から外部への空気の流出を許容し、外部から内部への空気の流入を阻止するチェック弁38を配設し、負圧発生用エアーシリンダ39のピストンロッド42を往復動させるアクチュエータ50を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転軸の先端に塗装を施すワークを着脱するワーク着脱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
塗装用ロボットの一形式として、ベースフレームに立設した回転軸の先端部に台座を設け、台座に塗装を施すワークを載置し、回転軸で台座ごとワークを回転させながら、ロボットアームの先端に設けたスプレーガンから塗料を噴霧してワークに塗装を施す塗装用ロボットが広く実用に供されている。
【0003】
この種の塗装ロボットでは塗装時に回転軸を例えば毎秒90゜程度で回転させている。ワークが金属製品のようにある程度の重量を有する物であれば、回転時に遠心力や振動が作用しても台座から落下したり、倒れたりすることはない。
【0004】
しかし、ワークが薄手のプラスチック製や木製のような軽量品である場合、例え回転軸を低速で回転させたとしても、台座に載置したワークが回転時に台座から落下したり、倒れるおそれがある。また、スプレーガンによる塗料噴霧時の圧力で倒れることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】引用なし
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑み、ワークが回転軸とともに回転しても台座から落下したり、倒れたりしないようにワークを確実に回転軸の先端に装着でき、かつワークの着脱操作を容易に行えるワーク着脱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、回転軸の先端に塗装を施すワークを着脱するワーク着脱装置であって、回転軸の内部に空気通路を形成して該空気通路の一端を回転軸の先端部に開口させ、この回転軸先端側開口にワークを吸着する吸着パッドを取り付け、回転軸を設けたベースフレームに負圧発生用エアーシリンダを取り付け、負圧発生用エアーシリンダのピストンで区画される一方のシリンダ室と空気通路を管路で接続し、該管路に前記シリンダ室の内部から外部への空気の流出を許容し、外部から内部への空気の流入を阻止するチェック弁を配設し、負圧発生用エアーシリンダのピストンロッドを往復動させるアクチュエータを設けたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、回転軸の先端に塗装を施すワークを着脱するワーク着脱装置であって、回転軸をロアシャフトと、ロアシャフトの上端部に一体に連結したアッパシャフトで構成し、ロアシャフトの内部に一端がロアシャフトの下端面の中心部に開口し、他端がロアシャフトの外周部に開口する下部空気通路を形成し、アッパシャフトの内部に一端がアッパシャフトの先端面に開口し、他端がアッパシャフトの外周部に開口する上部空気通路を形成し、下部空気通路のロアシャフト外周側開口と上部空気通路のアッパシャフト外周側開口を第1管路で接続し、上部空気通路のアッパシャフト先端側開口にワークを吸着する吸着パッドを取り付け、回転軸を設けたベースフレームに負圧発生用エアーシリンダを取り付け、負圧発生用エアーシリンダのピストンで区画される一方のシリンダ室と下部空気通路のロアシャフト下端面側開口とを回転ジョイントを介して第2管路で接続し、第2管路に前記シリンダ室の内部から外部への空気の流出を許容し、外部から内部への空気の流入を阻止するチェック弁を配設し、負圧発生用エアーシリンダのピストンロッドを往復動させるアクチュエータを設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、回転軸の先端に塗装を施すワークを着脱するワーク着脱装置であって、回転軸の内部に空気通路を形成して該空気通路の一端を回転軸の先端部に開口させ、他端を回転軸の外周部に形成したリング溝に開口させ、空気通路の回転軸先端側開口にワークを吸着する吸着パッドを取り付け、回転軸を設けたベースフレームに負圧発生用エアーシリンダを取り付け、負圧発生用エアーシリンダのピストンで区画される一方のシリンダ室とリング溝を管路で接続し、該管路に前記シリンダ室の内部から外部への空気の流出を許容し、外部から内部への空気の流入を阻止するチェック弁を配設し、管路とリング溝の接続部を気密に密閉するシールをブラケットでベースフレームに取り付け、負圧発生用エアーシリンダのピストンロッドを往復動させるアクチュエータを設けたことを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1,2又は3のいずれかに記載のワーク着脱装置において、前記回転軸の先端に台座を固定し、該台座に貫通穴を有するワーク載置台を着脱可能に嵌着し、貫通穴から前記吸着パッドを突出させたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明に係るワーク着脱装置では、アクチュエータによって負圧発生用エアーシリンダのピストンロッドがシリンダから引き出されると、シリンダ室の容積が拡大して負圧が発生する。
この負圧が管路と回転軸内部の空気通路を介してワークに作用するので、ワークが吸着パッドに吸着される。このため回転軸によりワークを回転させながらワークに塗装を施す際、回転軸の回転に伴う遠心力や振動がワークに作用しても、ワークは台座から落下したり、倒れることなく回転軸の先端部に負圧の吸引力で確実に保持される。
【0012】
一方、アクチュエータによってピストンロッドがシリンダに押し込まれると、チェック弁を介して管路に空気が流入し、シリンダ室の負圧が消滅するので、吸着パッドからワークを取り外すことができる。
【0013】
このように請求項1に係る発明によれば、回転軸の先端にワークを吸引保持して回転させることができるので、スプレーを用いてワークに塗装を行う場合、回転時の遠心力や振動あるいは塗料の噴霧圧力で、台座から落下したり、倒れるおそれがなくなる。また、塗装終了後に回転軸の先端からワークを簡単に取り外すことができるので、塗装工程の作業効率が向上する。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、下部空気通路を回転軸の下面中央部に開口させ、この開口と負圧発生用エアーシリンダの一方のシリンダ室とを回転ジョイントを介して管路で接続したので、ベースフレームに固定された負圧発生用エアーシリンダと回転軸内部の空気通路を回転軸の回転中も連通させることができる。また、回転軸をロアシャフトとアッパシャフトで構成したので、アッパシャフトを交換することができ、塗装用ロボットの用途を拡大できる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、回転軸の外周部にリング溝を形成し、リング溝に管路を接続し、管路とリング溝の接続部を気密に密閉するシールをブラケットでベースフレームに取り付けたので、ベースフレームに固定された負圧発生用エアーシリンダと回転軸内部の空気通路を回転軸の回転中も連通させることができる。また、一本の管路で回転軸内部の空気通路と負圧発生用エアーシリンダを接続するので、配管が簡単になる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、ワーク載置台に貫通穴を設け、貫通穴から吸着パッドを突出させたので、ワーク載置台に載置したワークを吸着パッドで回転軸の先端部に保持できる。また、ワークをワーク載置台に乗せたまま台座からワークを載置台ごと取り外すことができる。
このため、ワークに塗装を施す場合、ワークに直接接触しなくてもワークをワーク載置台ごと回転軸に着脱でき、塗装作業を効率良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施例に係るワーク着脱装置を備えた塗装ロボットの概略構造を示す説明図である。
【図2】本発明の第1実施例に係るワーク着脱装置を示す、一部破断した正面図である。
【図3】本発明の第1実施例に係るワーク着脱装置で着脱されるワークの一例を示す斜視図である。
【図4】本発明の第2実施例に係るワーク着脱装置を示す、一部破断した正面図である。
【実施例1】
【0018】
第1実施例に係るワーク着脱装置は、図1に示す塗装ロボット10の回転軸11の先端部に塗装を施すワークとして、高坏12を着脱するためのもので、この塗装ロボット10はアーム13の先端部に取り付けられたスプレーガン14、ワーク塗装ステーション(A)とワーク着脱ステーション(B)間で水平回転させることができるベースフレーム15、ベースフレーム15を回転可能に支持する本体16を備え、ベースフレーム15の左右両端部にそれぞれ回転軸11が立設されている。
【0019】
図2に示すように、各回転軸11はロアシャフト17とアッパシャフト18を備えている。ロアシャフト17は軸受19でベースフレームに回転可能に立設されている。ロアシャフトの下端部にはプーリ20が一体に設けられ、本体16に立設した駆動軸21にベルト22とクラッチ23を介して連結されている。ロアシャフト17の内部には下部空気通路24が形成されている。
この下部空気通路24は一端がロアシャフト17の下端面中心部に開口し、他端がロアシャフト17の外周部に開口している。ロアシャフト17の上端部にブラケット25がボルト26で固定されている。アッパシャフト18はこのブラケット25に立設され、ボルト27で着脱可能にロアシャフト17に連結されている。
【0020】
アッパシャフト18はロアシャフト17に連結されるとともにブラケット28でベースフレーム15に取り付けた軸受29で回転可能に支持されている。アッパシャフト18の内部には上部空気通路30が形成されている。上部空気通路30は一端がアッパシャフトの上端面に開口し、他端がアッパシャフトの外周部に開口している。そして、上部空気通路30のアッパシャフト外周側開口と下部空気通24のロアシャフト外周側開口が第1管路31で接続され連通している。
【0021】
アッパシャフト18の先端外周部に台座32が嵌合固定され、台座32にワーク載置台33が着脱可能に嵌着されている。このワーク載置台33の中心部に貫通穴34が形成されている。
【0022】
アッパシャフト18の上部空気通路30の先端面開口にはベローズ形の吸着パッド35が接続されている。この吸着パッド35はワーク載置台33の貫通穴34から突出するように取り付けられている。
【0023】
ロアシャフト17に形成した下部空気通路24の下端面中心部の開口は回転ジョイント36を介して第2管路37の一端に接続されている。第2管路37の他端はチェック弁38を介して負圧発生用エアーシリンダ39の、ピストン40で区画された一方のシリンダ室に接続されている。チェック弁38は負圧発生用エアーシリンダ39の一方のシリンダ室の内部から外部への空気の流出を許容し、外部からシリンダ室の内部への空気の流入を阻止する作用を奏する。負圧発生用エアーシリンダ39はブラケット41でベースフレーム15に固定されている。
【0024】
負圧発生用エアーシリンダ39のシリンダ下端から突出するピストンロッド42にはコイルスプリング43が装着されている。このコイルスプリング43によってピストンロッド42はシリンダから引き出される方向に付勢されている。
【0025】
また、ワーク着脱ステーション(B)にはコイルスプリング43の付勢力に抗してピストンロッド42をシリンダ内に押し込むためのアクチュエータ用エアーシリンダ50が設置されている。このアクチュエータ用シリンダ50は、ベースフレーム15の水平回転によって負圧発生用エアーシリンダ39がワーク着脱ステーション(B)へ移動し、そこで停止したとき、負圧発生用エアーシリンダ39の直下に位置するように配置されている。
アクチュエータ用エアーシリンダ50は図示略のコンプレッサに接続され、ペダル51を足で踏むとコンプレッサから圧縮空気が供給されてピストンロッド52が上昇し、負圧発生用エアーシリンダ39のピストンロッド42を押し込む。
一方、ペダル51から足を離すと、アクチュエータ用エアーシリンダ50のピストンロッド52は下降し、それに伴い負圧発生用エアーシリンダ39のピストンロッド42がコイルスプリング43の付勢力でシリンダから引き出される。
【0026】
第1実施例に係るワーク着脱装置の構造は以上の通りであって、このワーク着脱装置を備えた塗装ロボット10で塗装を施す高杯12は図3に示すように、脚部12aと、脚部12aに連設した中空半球状の台12bから成る形状を有する。この高杯12に塗装を施すには、高杯12の台12bをワーク載置台33に載置する。予めワーク12を載置した多数のワーク載置台33を作業台(図示略)に並べておく。
【0027】
ワーク着脱ステーション(B)にあるペダル51を足で踏むと、図1に示すようにアクチュエータ用エアーシリンダ50のピストンロッド52が上昇し、負圧発生用アクチュエータ39のピストンロッド42がコイルスプリング43の付勢力に抗してシリンダに押し込まれ、チェック弁38が開いてシリンダ外部からシリンダ内に空気が流入し、シリンダ室の負圧が消滅する。ワーク着脱ステーション(B)では、ベルト22と駆動軸21間の伝動連結がクラッチ23によって遮断されるので、回転軸11は回転停止する。そこで、作業台からワーク載置台33を取り出してから、次のワークを載置台33に乗せ、それを台座32に嵌着する。
次いでペダル51から足を離すと、アクチュエータ用エアーシリンダ50のピストンロッド52が下降し、それに伴いコイルスプリング43の付勢力で負圧発生用エアーシリンダ39のピストンロッド42がシリンダから引き出されるので、シリンダ室に負圧が発生する。この負圧が第2管路37から下部空気通路24、第1管路31、上部空気通路30、ベローズ式吸着パッド35を通ってワーク12の台12bに作用し、ワーク12が吸着パッド35に吸着保持される。
【0028】
続いて、ベースフレーム15が半回転し、回転軸11の先端に吸着パッド35で保持されたワーク12がワーク塗装ステーション(A)へと搬送される。ワーク塗装ステーション(A)ではベルト22と駆動軸21間がクラッチによって伝動連結されるので、回転軸11が回転し、ワーク12も回転する。そこで、スプレーガン14から塗料をワーク12に向けて噴霧し、塗装を行う。
【0029】
一方、ワーク塗装ステーション(A)で塗装したワーク12はベースフレーム15の半回転によってワーク着脱ステーション(B)に搬送されるので、ここでペダル51を踏み、負圧発生用エアーシリンダ39のシリンダ室の負圧を消滅させて回転軸11の先端からワーク載置台33ごと取り外し、作業台へと移す。
【0030】
このように本実施例によれば、回転軸11の先端にワーク12を保持して回転させることができるので、スプレーガン14から塗料を噴霧してワーク12に塗装を行う場合、ワーク12が回転軸11先端の台座に嵌着したワーク載置台12から脱落したり、倒れることなく、塗装できる。また、塗装終了後に回転軸11の先端からワーク12を簡単に取り外すことができるので、塗装工程の作業効率が向上する。
【0031】
また、回転軸11をアッパシャフト18とロアシャフト17で構成したので、アッパシャフト18を取り外し、回転しても倒れたりしない重量物ワークをロアシャフト17に載置して塗装を施すこともできる。
さらにまた、下部空気通路24を回転軸11の下面中央部に開口させ、この開口と負圧発生用エアーシリンダ39の一方のシリンダ室とを回転ジョイント36を介して管路37で接続したので、ベースフレーム15に固定された負圧発生用エアーシリンダ39と回転軸11内部の空気通路24を回転軸11の回転中も連通させることができる。
【0032】
ワーク載置台33に貫通穴34を設け、貫通穴34から吸着パッド35を突出させたので、ワーク載置台33に載置したワーク12を吸着パッド35で回転軸11の先端部に保持できる。また、ワーク12をワーク載置台33に乗せたまま台座32からワーク12を取り外すことができる。
このため、ワーク12に塗装を施す場合、ワーク12に直接接触しなくてもワーク12をワーク載置台33ごと回転軸11に着脱できる。
【0033】
回転軸11の先端部にワーク12を吸着保持し、ワーク塗装ステーション(A)で塗装を施こし、塗装終了後ベースフレーム15を半回転させて回転軸11をワーク着脱ステーション(B)へ移動させ、ここで塗装済みのワーク12を回転軸11の先端部から取り外し、代わりに未塗装のワーク12を回転軸11に装着するので、塗装作業の効率が大幅に向上する。
【実施例2】
【0034】
第2実施例に係るワーク着脱装置を図4に示す。ベースフレーム15に立設した回転軸61はロアシャフト62とアッパシャフト63を備えている。ロアシャフト62はベースフレーム15内の駆動軸(図2参照)に連結され、先端部にブラケット64がボルト65で固定されている。アッパシャフト61はこのブラケット65に立設され、ボルト66で固定されている。
【0035】
アッパシャフト63には中心軸に沿って先端面から中間部まで延びる縦空気通路67と、縦空気通路67に交差する横空気通路68が形成されると共に、中間部外周に環状溝69が形成され、横空気通路68が環状溝69に連通している。縦空気通路67の一端はアッパシャフト63の先端面に開口し、横空気通路68の一端が縦空気通路67の他端に連通し、横空気通路68の他端が環状溝69に開口している。
【0036】
アッパシャフト63の先端外周部に台座32が嵌合固定され、台座32にワーク載置台33が着脱可能に嵌着されている。ワーク載置台33は台座32に嵌合する底部33aと、載置面33bの中心部に積層した受台33cから成り、中心部に貫通穴34が形成されている。受台33cは図3に示す高坏12の台12bが密着するように所要形状に形成されている。
【0037】
アッパシャフト63の縦空気通路67の先端面開口にはベローズ形の吸着パッド35が接続されている。この吸着パッド35はワーク載置台33の貫通穴34から突出するように取り付けられている。
【0038】
アッパシャフト63の中間部に、環状溝69を取り囲むようにベアリングケース70が装着されている。このベアリングケース70は2個のブラケット71,72でベースフレーム15に支持されている。ベアリングケース70には一対のボールベアリング73,74と一対のシール材75,76が内蔵されている。一対のボールベアリング73,74は環状溝69を挟んで上下対を成すように配置され、回転軸61をベースフレーム15に回転可能に支持している。そして、各ボールベアリング73,74の外側にシール材75,76が配置されている。
【0039】
環状溝69にはチューブ製の管路77の一端が接続され、接続部がシール材75,76で気密に密閉されている。管路77の他端はチェック弁38を介して負圧発生用エアーシリンダ39の、ピストン40で区画された一方のシリンダ室に接続されている。
なお、第2実施例に係る他の構成は第1実施例と同じであるので、同一の構成部材には同一の符号を付して説明を省略する。
【0040】
第2実施例に係るワーク着脱装置の構造は以上の通りであって、塗装ロボット10を使ってワークである高坏12を塗装するには、高杯12の台12bを受台33cに被せるようにしてワーク載置台33に載置する。予めワーク12を載置した多数のワーク載置台33を作業台(図示略)に並べておく。
【0041】
ワーク着脱ステーション(B)にあるペダル51を足で踏むとアクチュエータ用エアーシリンダ50のピストンロッド52が上昇し、負圧発生用アクチュエータ39のピストンロッド42がシリンダに押し込まれ、チェック弁38が開いてシリンダ外部からシリンダ内に空気が流入し、シリンダ室の負圧が消滅する。
ワーク着脱ステーション(B)では停止した回転軸61の台座32にワーク載置台33を嵌着し、ペダル51から足を離すと、アクチュエータ用エアーシリンダ50のピストンロッド52が下降し、負圧発生用エアーシリンダ39のピストンロッド42がシリンダから引き出されるので、シリンダ室に負圧が発生する。この負圧が管路77から環状溝69、横空気通路68、縦空気通路67、ベローズ式吸着パッド35を通ってワーク12の台12bに作用し、ワーク12が吸着パッド35に吸着保持される。
【符号の説明】
【0042】
10…塗装ロボット
11…回転軸
12…ワーク
14…スプレーガン
15…ベースフレーム
17…ロアシャフト
18…アッパシャフト
24…下部空気通路
30…上部空気通路
31…第1管路
32…台座
33…ワーク載置台
36…回転ジョイント
37…第2管路
38…チェック弁
39…負圧発生用エアーシリンダ
40…ピストン
42…ピストンロッド
43…コイルスプリング
50…アクチュエータ用エアーシリンダ
61…回転軸
62…ロアシャフト
63…アッパシャフト
67…縦空気通路
68…横空気通路
69…環状溝
75,76…シール材
77…管路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸の先端に塗装を施すワークを着脱するワーク着脱装置であって、回転軸の内部に空気通路を形成して該空気通路の一端を回転軸の先端部に開口させ、この回転軸先端側開口にワークを吸着する吸着パッドを取り付け、回転軸を設けたベースフレームに負圧発生用エアーシリンダを取り付け、負圧発生用エアーシリンダのピストンで区画される一方のシリンダ室と空気通路を管路で接続し、該管路に前記シリンダ室の内部から外部への空気の流出を許容し、外部から内部への空気の流入を阻止するチェック弁を配設し、負圧発生用エアーシリンダのピストンロッドを往復動させるアクチュエータを設けたことを特徴とするワーク着脱装置。
【請求項2】
回転軸の先端に塗装を施すワークを着脱するワーク着脱装置であって、回転軸をロアシャフトと、ロアシャフトの上端部に一体に連結したアッパシャフトで構成し、ロアシャフトの内部に一端がロアシャフトの下端面の中心部に開口し、他端がロアシャフトの外周部に開口する下部空気通路を形成し、アッパシャフトの内部に一端がアッパシャフトの先端面に開口し、他端がアッパシャフトの外周部に開口する上部空気通路を形成し、下部空気通路のロアシャフト外周側開口と上部空気通路のアッパシャフト外周側開口を第1管路で接続し、上部空気通路のアッパシャフト先端側開口にワークを吸着する吸着パッドを取り付け、回転軸を設けたベースフレームに負圧発生用エアーシリンダを取り付け、負圧発生用エアーシリンダのピストンで区画される一方のシリンダ室と下部空気通路のロアシャフト下端面側開口とを回転ジョイントを介して第2管路で接続し、第2管路に前記シリンダ室の内部から外部への空気の流出を許容し、外部から内部への空気の流入を阻止するチェック弁を配設し、負圧発生用エアーシリンダのピストンロッドを往復動させるアクチュエータを設けたことを特徴とするワーク着脱装置。
【請求項3】
回転軸の先端に塗装を施すワークを着脱するワーク着脱装置であって、回転軸の内部に空気通路を形成して該空気通路の一端を回転軸の先端部に開口させ、他端を回転軸の外周部に形成したリング溝に開口させ、空気通路の回転軸先端側開口にワークを吸着する吸着パッドを取り付け、回転軸を設けたベースフレームに負圧発生用エアーシリンダを取り付け、負圧発生用エアーシリンダのピストンで区画される一方のシリンダ室とリング溝を管路で接続し、該管路に前記シリンダ室の内部から外部への空気の流出を許容し、外部から内部への空気の流入を阻止するチェック弁を配設し、管路とリング溝の接続部を気密に密閉するシールをブラケットでベースフレームに取り付け、負圧発生用エアーシリンダのピストンロッドを往復動させるアクチュエータを設けたことを特徴とするワーク着脱装置。
【請求項4】
前記回転軸の先端に台座を固定し、該台座に貫通穴を有するワーク載置台を着脱可能に嵌着し、貫通穴から前記吸着パッドを突出させたことを特徴とする請求項1,2又は3のいずれかに記載のワーク着脱装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−11158(P2011−11158A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−158339(P2009−158339)
【出願日】平成21年7月3日(2009.7.3)
【出願人】(507334093)株式会社久野伝之助商店 (1)
【Fターム(参考)】