説明

ワーク識別方法

【課題】
本発明は、低コスト、小スペースで多くの分類識別が可能なワーク識別装置を提供することを目的とする。
【解決手段】
上記目的を達成する為に本発明では、ワーク識別を行なう所定の場所に各ワークに施されたマークの有無を認識する為のセンサと、マークを外部負荷により変化させる機構部と、該マークを変化させる負荷発生器を設け、外部負荷をかけない状態での認識データと、負荷をかけたときの認識データを組み合わせることにより個々の識別を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産工程におけるワーク識別方法に関し、特に機器製品のマテリアルハンドリング及び荷物運搬車を使用した作業工程分野におけるワーク識別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生産工程におけるワーク識別方法は、従来より様々な方法で行われてきた。通常、ワークに識別用のナンバーを印字したラベルやそのナンバーをバーコード化したラベルを貼付け所定の位置で各々の読み取り機、文字であれば文字認識装置、バーコードであればバーコードリーダを用い識別を行なっている。また、ワークの外表面の所定位置を複数の小区画に分割して各小区画を凸部と凹部の組み合せからなる識別マークとして構成し、この凹凸のパターンをワークの種類に応じて変化させ、鋳造或いは鍛造時にワーク素材と一体に成形する。そして小区画の凹凸のパターンを、各小区画毎に対応して設けた複数の近接センサで検知して識別を行なうといった方法が知られている(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開平5−4152号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の方法では、読取及び認識装置が高価であり、複数箇所のデータを取得する場合に膨大なコストが発生する。また、ワーク外面の凹凸で識別する方法はスペース的に限度があり分類識別個数が限られてしまうといった問題がある。
【0005】
本発明の目的は、低コスト、小スペースで多くの分類識別が可能なワーク識別方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明は、ワーク識別を行なう所定の場所に各ワークに施されたマークの有無を認識する為のセンサと、マークを外部負荷により変化させる機構部と、該マークを変化させる負荷発生器を設け、外部負荷をかけない状態での認識データと、負荷をかけたときの認識データを組み合わせることにより個々の識別を行なう構成を採用した。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、低コスト、小スペースで多くの分類識別が可能となるため、あらゆる場所でのデータ取得ができ、進度管理システムや作業分析が精度良く実施できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の一実施の形態を、図面を用いて詳細に説明する。本実施の形態では、マークを検知するセンサとして光センサを採用し、外部負荷として、低コストで取扱いが容易な光又は風を用いた構造とした。
【実施例1】
【0009】
実施例1を図1、図2を用いて説明する。図1の運搬台車1には、被識別部として台車が到着したことを認識させる到着用マーク2と、各運搬台車を識別するためのマーク台3A、3B、3Cと、マーク台上部に光を遮る為の遮断板4で構成され、識別機構5には、運搬台車1が到着したことを認識する到着検知光センサ6と、マーク台3A、3B、3Cのマーク有無を認識するための光センサ7A、7B、7Cと、該光センサ上部に光センサ投光と同じ周波数の光を発生させる光源8で構成される。
【0010】
次に動作を説明する。まず機器製品をコンベアラインなどで順次組立を行い次工程に搬送するために運搬台車1に機器製品を搭載する。そして、運搬台車1に所定の台数搭載された後、管理コンピュータのデータベースにバーコードリーダもしくは手入力であらかじめ登録された台車の識別の為の番号と運搬台車に搭載された機器製品の識別の為の番号例えば製品番号のくくり付けを行う。
【0011】
そして運搬台車を、次の工程例えばテスト工程の所定の場所まで移動し設置すると、到着検知光センサ6が運搬台車1の到着用マーク2を検知すると、コントローラが各光センサからの入力を認識する。次に光源をONさせ、マーク台に光をあてた状態での光センサからの入力を認識する。以上2つの認識結果により台車の番号を識別する。具体的に図2で説明する。図2(a)は、遮蔽版がない場合での光源からの光の反射状態を表し、図2(b)は、遮蔽版が有る場合での光源からの光の反射状態を表す。図2のように(a)は光を多く反射し、(b)は少しだけ光を反射することがわかる。この効果を利用しセンサの認識しきい値を調整設定することで、マークの有無、反射の有無の組合せで一つのマークで4つの識別が可能となる。
【0012】
以上の方法で各運搬台車を自動で識別し、識別した時間と先ず取得したくくりつけにより製品別の進度状況が把握することが可能となる。
【実施例2】
【0013】
実施例2を図3、図4を用いて説明する。
【0014】
運搬台車1には、台車が到着したことを認識させる到着検知マーク10と、各運搬台車を識別するためのマーク台11A、11Bと、一定間隔にマークが施された同期マーク台12と、風力を受ける為の複数毎の羽13とで構成された機構がシャフト14を軸に回転可能な回転構造物で構成される。識別機構2には、台車が到着したことを認識する光センサ15と、マーク台11のマーク有無を認識する為の光センサ15と同期マーク台12のマークを検知する為の同期光センサ16と、風力を発生させるファン17とで構成される。
【0015】
動作は、運搬台車1が所定の場所まで移動し設置すると、到着検知センサ15が運搬台車の到着用マークを検知すると、コントローラがファンをONさせ風を羽13に送り、マーク台11及び同期マーク台12が回転を始める。次に光センサ15はマーク台11のマーク有無を認識し、同期マークとの組合せにより識別を行う。つまり同期マークを認識しているときにマークAおよびBの認識を行い、その組合せにより識別を行う。同期マーク台のマーク有無の数により識別分類数が変わってくる。例えば図4のように同期マークが1回転で4個ある場合は、(a)連続してマークがあるパターン、(b)1つおきにマークがあるパターン、(c)2つおきにマークがあるパターン、(d)3つおきにマークがあるパターン、(e)2つ連続パターンあり2つ連続パターンなし、(f)3つ連続パターンあり1つパターンなし、(g)連続なしの7パターンが設定でき、マーク台が3つある場合は、全体で7の3乗(7×7×7)種類の識別が可能となる。
【0016】
以上のように回転構造物は同期マークにより制御されるため風力、回転数などのばらつきに左右されることなく構造が簡単なものとなる為、安価に作成可能となる。
【0017】
本実施例であるマークとマーク上部に光を遮る遮蔽板の構造をモールド成型に応用することで、ワーク自体で機種や製造ロットの識別が自動で可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施例1であるワーク識別方法を実現する装置の外観図。
【図2】図1に示す装置における光の反射状態を示す図。
【図3】実施例2であるワーク識別方法を実現する装置の外観図。
【図4】図2に示す装置の同期マークの識別分類パターンを示す。
【符号の説明】
【0019】
1:運搬台車、2:到着用マーク、3:マーク台、4:遮断板、5:識別機構、6:到着検知光センサ、7:光センサ、10:到着検知マーク、11:回転マーク台、12:同期マーク台、13:羽、14:シャフト、15:光センサ、16:同期光センサ、17:ファン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部からの負荷によりマークの状態を変化させる機構部を有し、該マークの有無を認識するセンサがワークに施されたマークを認識し、非接触の負荷を与えることでマーク状態を可変させた後、該マークを認識し、その2つの認識結果により識別を行なうことを特徴とするワーク識別方法。
【請求項2】
請求項1記載のワーク識別方法において、外部からの負荷をランプの光源を用い、マーク反射率を変化させ識別を行なうことを特徴とするワーク識別方法。
【請求項3】
請求項1記載のワーク識別方法において、外部からの負荷をFANなどの風力を用い該風力によりマーク台を回転させ、該マーク台と連結された同期マーク台に一定間隔で施されたマークの検知と配列の異なった各マークの検知のパターンの相違を判別することで識別を行なうワーク識別方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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