説明

一の幅広の金属ストランド、又はこのストランドより幅の狭い最大で2つの金属ストランドの選択的な鋳造のための連続鋳造プラント及び方法

本発明は、大きな金属のビレット又は最大で2つの幅の狭い金属のビレットを任意に鋳造するための連続鋳造プラントに関する。前記連続鋳造プラントは、少なくとも一の分配容器と、振動機構の上に支持された常設型の鋳型と、この鋳型の下流に取り付けられたビレットガイドとを備える。大きなビレットと前記大きなビレットより幅の狭い2つの金属のビレットとの両方を個別に鋳造するために、連続鋳造プラントは、任意に一(5)又は二の常設型の鋳型を収容するためのチャンバー(25)を含んでいるとともに、駆動ユニット(41)を伴った二のビレットガイド(8a、8b)が設けられ、2つの振動機構(7a、7b)及びこの振動機構とビレットガイドとを別々に同期させて操作している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一の幅広の金属ストランド又はこれより幅の狭い最大で二の金属ストランドの選択的鋳造のための連続鋳造プラントと、方法とに関する。連続鋳造プラントは、少なくとも一の分配容器、振動装置上に支持された一の鋳型、及び後続の一のストランドガイドを備えている。
【0002】
“幅広の金属ストランド”及び“これより幅の狭い金属ストランド”という文言は、この明細書において、鋳造される幅広の金属ストランドの幅が、この幅広の金属ストランドの代わりに同時に鋳造される2連の幅の狭い金属ストランドの幅の合計より大きい、ということを意味することが理解できるであろう。例えば、このタイプの連続鋳造プラントによって、3000mmの幅を有する1連の幅広の金属ストランドを、又は代替的に、それぞれが1300mmの幅を有する2連の金属ストランドを鋳造することができ、しかも、2連の金属ストランドの鋳造においては、2連の金属ストランドは異なる幅を有することもできる。
【0003】
“金属ストランド”という文言は、好ましくは鋼のストランドを意味するものとして理解されるが、例えばアルミニウムベースの金属又はアルミニウム合金のような、別の金属のストランドであることもまた可能である。“連続鋳造プラント”という文言は、好ましくは鋼の連続鋳造プラントを意味するものとして理解される。
【背景技術】
【0004】
幅広の鋼ストランドの鋳造のためのスラブ連続鋳造プラントの使用の可能性を増すために、1連の幅広の鋼ストランドだけでなく、この幅広の鋼ストランドの幅より小さい幅を有する複数の鋼ストランドを選択的に鋳造できるように、鋳型を設計することが従来技術から長きに亘って知られている。
【0005】
この目的のために、例えば、スラブ状の断面を有する既存の鋳型の中に、2枚の幅広の側壁及び2枚の調節可能な幅の狭い側壁によって形成された鋳型キャビティと、互いから離間するように分離された少なくとも二の鋳型キャビティを作るための少なくとも一の分離要素とを挿入することが、特許文献1からすでに知られている。この分離要素は、スラブ用鋳型の幅広の側壁の間に固定することができ、幅の狭い側壁を形成しており、この幅の狭い側壁は、スラブ用鋳型の対向する幅の狭い側壁と同様に、鋳造方向に対する傾斜に関して、ストランドの幅の関数として調節可能である。しかし、このタイプの連続鋳造プラントにおいては、個々のストランドを平行して鋳造する生産条件で個別に作動することは不可能である。複数のストランドの1連に欠陥が生じたとき、例えばこのストランドのために鋳造速度を遅くする又は速める、又は振動特性を変えるように、このストランドのために特別に鋳造条件を変えることは不可能である。従って、この既知の実施形態の実質的な欠点は、ストランドに欠陥が生じた場合に、すべてのストランドに対する鋳造パラメータを変えなければならないこと、若しくは、特定の場合には、すべてのストランドに対する鋳造作業を停止しなければならないことである。この実施形態の更なる欠点は、2連のストランドが鋳造されているとき、異なる鋳造幅の場合には、分配容器への2つの鋳造湯口の間の距離が固定されているために、鋳造湯口を本質的に中心に配置することが不可能なことである。
【0006】
特許文献2は、2連の金属ストランドを同時に鋳造するための連続鋳造プラントを開示しており、2つの鋳型は位置的に互いに独立して、共通の昇降プラットホームの枠体に支持されている。2つの鋳型はフットローラを割り当てられ、鋳造方向にはストランドを支持し誘導するストランドガイドが続いている。昇降プラットホームは、振動装置を割り当てられ、よって、両方の鋳型は共同して前以って決められた振動を必然的に実施することになり、従って、鋳造されるそれぞれの金属ストランドに対するパラメータ設定は不可能となっている。
【0007】
特許文献3は、少なくとも2連の金属ストランドを同時に鋳造するための多連の連続鋳造プラントを開示しており、ここでは隣り合う鋳造ストランドの間の距離が特殊な構造的方法によって狭められており、分配容器の長手方向の長さを可能な限り短くしている。これは、駆動ローラの駆動装置の特殊な配置という手段によって達成されている。一方、組み合わされて作られた伝動シャフトが提案され、この伝動シャフトによってプラントの一方の側からのすべての駆動が可能となり、他方、鋳造プラントの上に駆動装置を配置することが提案されている。また、特許文献3は、対になった連続鋳造プラントに言及し、この手段によってスラブ及びブルームを同時に生産することができる。同時に、このタイプのプラントの難しい操業条件が指摘されており、特に鋳造作業の初期段階において、溶湯の供給とストランドの引抜きとは同時に行われなければならない。
【特許文献1】独国特許発明第2003787号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第3706720号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第2702894号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の1つの目的は、既知の従来技術の欠点を回避し、連続鋳造プラント及び1連の幅広の金属ストランド又はこの幅広のストランドより幅の狭い最大で2連の金属ストランドを、鋳造されるそれぞれのストランドの個々の要求が、鋳造される別の金属ストランドが適宜に結果として影響されることなく、特定的に実行され又は対応されつつ、選択的に鋳造するための方法を改良することである。
【0009】
本発明の別の利点は、2連の幅の狭いストランドの平行鋳造において、一方のストランドに欠陥が生じたときに、このストランドの鋳造は適宜に停止することができ、別のストランドの鋳造工程は減産されることなく継続することができることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
最初に述べたタイプの連続鋳造プラントによれば、この目的は、連続鋳造プラントが一又は二の鋳型を収容する空間を有し、二の振動装置及びこの振動装置及びストランドガイドの個別の、かつ同期した操作のために割り当てられた駆動装置を有する二のストランドガイドが配置されていることによって達成される。
【0011】
また、互いに独立して機能的に操作可能な二の振動装置のそれぞれは、それぞれの鋳型の安定した支持のために、それぞれの操作状況に同期して操作される複数の、しかし好ましくは二の振動装置を備えることができる。
【0012】
一又は二の鋳型を収容するための空間は、少なくとも二の振動装置によってストランドの移動方向に範囲を定められる。2つの鋳型が配置される場合には、それぞれのストランドの鋳造に対して一の鋳型に一の振動装置が割り当てられ、鋳型は互いに独立して同様に操作される。1つだけの鋳型が幅広の金属ストランドを鋳造するために設けられる場合には、この鋳型は両方の振動装置上に支持され、同期して操作される。これは、単に構造的理由による場合、幅の狭い金属ストランドを鋳造するためのそれぞれの鋳型が2つの振動装置上に支持され、これら2つの振動装置が互いから、鋳造された金属ストランドの通路のためのフリースペースだけ離間されている場合には都合が良いが、鋳型は常に同期して操作される。よって、この点では、1連の幅広の金属ストランドを鋳造するための鋳型は4つの振動装置を割り当てられている。
【0013】
同様に、2つの幅の狭いスラブを鋳造する間、それぞれが鋳造される金属ストランドにそれぞれ割り当てられる2つのストランドガイドは互いに独立して操作される。支持のために両方のストランドガイドを必要とする幅広の金属ストランドを鋳造する間、ストランドガイドは同期して操作され、結果として横向きの金属ストランドの流れは当然に不可能とすることができる。
【0014】
使用されるすべての鋳型は、好ましくは調節可能な鋳型として設計され、鋳造幅を設定するための狭い側の調整装置と、幅の狭い側壁の少なくとも一方の上の、鋳造幅に依存するキャスティングコーン(casting cone)を設定するための装置とを有する。
【0015】
単一の幅広の金属ストランドを鋳造する間、2つの振動装置の同期した操作を確保するため、2つの振動装置のそれぞれは、振動を生成する駆動装置を割り当てられ、この駆動装置は振動の同期条件を設定するための同期装置に接続されている。2連の幅の狭い金属ストランドを同時に鋳造する場合、又は、どのような理由によるものであっても、2連の幅の狭い金属ストランドのうちの1連だけが鋳造される場合、同期装置は操作されず、最適な鋳造条件が鋳造されるそれぞれのストランドに対して設定される。
【0016】
好ましくは、振動の同期条件を設定するための同期装置は中央演算装置によって形成される。
【0017】
それぞれの振動装置は、例えば圧力媒体で作動可能なシリンダーのような、液圧アクチュエータを備える。制御ブロックは演算装置に信号線を介して接続され、演算装置からデフォルトの値が制御ブロックに送信される。振動装置は、例えば、圧力媒体で作動可能なシリンダーの代わりに調節可能な偏心駆動装置を備えることができる。
【0018】
それぞれの振動装置は鋳型を支持するための支持ブロックを備え、関連材供給(冷却剤、電力、圧力媒介線、信号線等)のための速動結合装置、及び少なくとも一の誘導及び中心出し装置がそれぞれの支持ブロックの支持面上及び鋳型の対応する被支持面上に配置される。このことは迅速かつ自動化された鋳型の交換を確実としている。
【0019】
迅速かつ信頼性のある鋳型の変更は、鋳型の変更のための少なくとも一の操作装置、好ましくは変更用保持部材が鋳造プラットホーム上に配置されるときに達成される。鋳型の変更は、ストランドガイドの鋳型に続く第1の部分の同時の変更が適切である場合には、鋳造プラットホームに割り当てられた屋内クレーンで行うことができる。
【0020】
一若しくは二の鋳型の収容のための空間には、互いに水平方向に狭い距離で平行に伸びる2つのストランドガイドが直接続き、このストランドガイドによって、1連の金属ストランド又は2連の金属ストランドが、対向する側部を支持されて設けられている。これらのストランドガイドは、いくつかの駆動されるローラと複数の駆動されないローラを有するガントリーを備え、駆動されるローラは駆動装置に接続され、二のガントリーのローラの駆動装置は駆動ローラの同期条件を設定するための同期装置に接続されている。
【0021】
近代的な連続鋳造プラントにおいて通常であるように、ガントリーは複数の連続するセグメントに予備分割され、ストランドガイドの中の数対のローラの、大抵は1セグメント当たり1個が駆動装置に取り付けられ、金属ストランドの調整された排出を意図された引き抜き速度で可能としている。
【0022】
好ましくは、ストランドにおける駆動ローラの同期条件を設定するための同期装置は中央演算装置によって形成される。
【0023】
ガントリーの好都合な改善において、幅広の金属ストランドの鋳造の間に協働する2つのガントリーのこれらのローラ又はローラの対は、共通の保持枠体又は連続するセグメント枠体の中に支持されている。従って、2連の別々なストランドが鋳造されるときに、個々の力が2連のストランドに加えられるが、それでもやはり2つのガントリーそれぞれの1対のローラの相対的に可動なローラ、又はローラの対のグループの相対的に可動なローラは、共通な保持枠体又はセグメント枠体に支持されている独立したローラ保持体に固定される。
【0024】
各々の駆動されるローラの駆動装置は、カルダン軸又は別の駆動軸を介して駆動されるローラに結合され、互いに隣り合って延びるストランドガイドの2つのガントリーの半径方向外側に配置される。この目的のために設けられた空間が十分でない場合には、例えば多錬の鋳造プラントの一以上のさらなるストランドガイドの配置によって、駆動されるローラを駆動装置に遊星ギヤ及びアングラーギヤを介して接続することもでき、互いに隣り合って延びるストランドガイドの二のガントリー上の半径方向に立ち上がった位置に駆動装置を配置することもできる。
【0025】
連続鋳造プラントの送出領域においては、各々のストランドガイドは、ストランドガイドに続くガス切断ローラテーブル上において、平行して鋳造された二の幅の狭い金属ストランドのうちの一方の横断分割のための独立した分離装置を割り当てられ、これら分離装置のそれぞれは少なくとも一の分離要素を保持している。スラブの横断切断の場合に通常使用される分離要素はガス切断である。よって、2つの分離装置にとって、異なる鋳造速度で同時に鋳造する2つの金属ストランドを、互いに独立して、適切な場合には異なる長さのスラブ又はブルームに分割することも可能である。
【0026】
好ましくは、2つの分離装置はストランドの搬送方向に前後に配置され、それぞれの分離装置が、平行に延びる2つのストランドガイド、又はこの領域に配置されたガス切断ローラテーブルを架橋し、従って、2つの分離装置は、平行して鋳造される金属ストランドのうちの一方を独立して選択的に横断分割することができる。
【0027】
2つのうちの少なくとも1つの分離装置は、幅広の金属ストランドの横断分割のための2つの協働する分離要素を伴って設けられ、それぞれのストランドに対する1つの分離要素が、それぞれのストランドに対するトーチ切断ローラテーブルに割り当てられている。幅広の金属ストランドの横断分割においては、切断はわずかに時間をずらして金属ストランドの端部から内側に道程を取るが、これは、既存の連続鋳造プラントの幅広の金属ストランドの横断分割の場合と同様である。この場合、第2の分離装置は待機位置にある。
【0028】
代替的な実施形態によれば、2つの分離装置は互いに隣り合って配置され、分離切断の間は、ガス切断ローラテーブルの上に距離をおいて配置された走行路上をストランドの搬送方向に移動する。幅広の金属ストランドの共通の横断分割の間の移動行動を同期させるために、2つの分離装置は、好ましくは電気水力学的に起動された機械的結合によって結合されている。また、2つの分離装置は、別々の移動用駆動装置を伴って設けられ、これら移動用駆動装置は、中央演算ユニットによって制御された同期装置を割り当てられている。好ましくは、それぞれの分離装置は少なくとも1つの分離要素を備え、この分離要素は、好ましくはガス切断機によって形成されるとともに、移動用駆動装置上に配置され、鋳造された金属ストランドの搬送方向に対して横方向の動きを可能とし、1つの分離装置のこれら分離要素のうちの少なくとも1つの移動範囲は、さらなる分離装置の分離要素のうちの1つの移動領域に突出している。
【0029】
ストランドガイド及び割り当てられた分離装置には送出ローラテーブルが続き、送出ローラテーブルはストランド部片の搬送方向を変化させるクロス搬送装置を割り当てられ、ストランド部片をストランドの搬送方向に対して横方向に離れるように導く。
【0030】
金属溶融物のための分配容器は、取鍋と鋳型との間に配置される。この分配容器は、一直線上に配置されるとともに閉塞部材を割り当てられた複数の金属溶融物の出口部を有し、これら複数の閉塞部材は信号線を介して中央演算ユニットに接続されるとともに、後続の鋳型の鋳造形式の関数として起動可能であるように設計されている。閉塞部材は、通常連続鋳造プラントにおいて使用されるような、薄板又はプラグによって形成されている。
【0031】
本発明による連続鋳造を開始するには、2つの擬似ストランドがストランドガイドによって1つの鋳型または2つの鋳型の出口側端部の中に挿入され、擬似ストランドは、2つの鋳型が使用される場合には、分離した擬似ストランドヘッドを伴って設けられ、一の鋳型が使用される場合には、共通の擬似ストランドヘッドを伴って設けられている。
【0032】
既存の2連の鋳造プラントと比べると、本発明による構造を有する連続鋳造プラントは次に示す利点を有している。
・ 3500mmまでのスラブ幅を有する金属ストランドの鋳造において、代替的に1600mmまでの幅を有する2つの金属ストランドを同時に鋳造することができる。
・ プラントの設定において、建設及び鋼の構造のための経費を大幅に削減する。
・ 全ての作業の変型のためのコンパクトな分配部材を使用することができる。
・ 周囲の構造、特にストランドガイド(バナナ状部)が4倍の代わりに2倍のみで足りる。
・ 連続鋳造プラントの投資額が全体で約20%削減される。
【0033】
例えば最初に既に述べた特許文献1からの既知の従来型の2連鋳造プラントに比べて、本発明による構造のタイプの連続鋳造プラントは、次に示す利点を有する。
・ 分離した独立なタイプの操業を、別々の鋳型、別々の振動装置、別々の駆動装置、及び別々の切断装置によって最初に可能とする。
・ 2連の鋳造用鋳型において、金属ストランドの鋳造を互いに独立して行うことができる。
・ それぞれのストランドに対して独立して、湯漏れ対策が可能である。
・ 湯漏れの際には、一の(別の)ストランドで別の鋳造が可能である。
・ 鋳造湯口の交換を第2のストランドから独立して行うことができる。
【0034】
さらに、本発明は、連続鋳造プラントにおいて、1連の幅広の金属ストランド、又は、この幅広の金属ストランドより幅の狭い2連の金属ストランドを選択的に鋳造する方法を有し、少なくとも部分的に固体化した金属ストランドが鋳型の中で形成され、この少なくとも部分的に固体化した金属ストランドが後続のストランドガイド中で支持され誘導される。本発明が基づく目的は、この場合、それぞれの金属ストランドを鋳造するための鋳造パラメータを個別に設定し、制御することができることにおいて達成される。これは、単一の幅広の金属ストランドの鋳造においては、対応する鋳造パラメータの同期した設定及び制御から成り、2つの金属ストランドの平行する鋳造においては、対応する鋳造パラメータの個々の設定及び制御から成る。
【0035】
この場合、それぞれの金属ストランドの個別に調節可能で、制御可能な鋳造を基本的に確実にする鋳造パラメータは、振動装置上のそれぞれの個別の金属ストランドの鋳型の振動パラメータ及び鋳造速度又はそれぞれの金属ストランドの引き抜き速度である。
【0036】
生産の可能性における更なる適応性が、鋳造されるそれぞれの金属ストランドの横断切断の形式の個別の制御可能性の故に、規定されたデフォルト値内で生じる。
【0037】
好ましくは、本発明による鋳造方法は、単一の幅広の金属ストランドの鋳造のためには、個別の鋳型が、連続鋳造プラントに挿入され、少なくとも2つの同期して操作される振動装置上に支持され、鋳造された金属ストランドは2つの同期して操作されるストランドガイド中で支持され、かつ案内され、2つの幅の狭い金属ストランドの同時鋳造のためには、互いに独立した2つの鋳型が、連続鋳造プラントの中に挿入され、それぞれのストランドごとに、さらなる振動装置のうちの独立して操作される少なくとも一の振動装置上に支持され、鋳造された金属ストランドは互いから分離して操作されるストランドガイド中で支持され、かつ案内されることを特徴としている。
【0038】
本発明の更なる利点及び特徴は、添付の図面を参照しつつ、後述の限定されるわけではない典型的な実施形態から収集することができる。
【0039】
1連の幅広の鋼ストランド又はこの幅広の鋼ストランドより幅の狭い2連のストランドを選択的に鋳造するための本発明によるスラブの連続鋳造プラントが、その本質的なプラントの構成部品において、プラントの長手方向の断面図の形で図1に示されている。この連続鋳造プラントは、スラブ状の断面を有する1連又は2連の鋼ストランドの生産ステップの順に、本質的に次の構成部品及び機能を備えている。
【0040】
液体の鋼のバッチを収容するための取鍋1から始まり、鋼の溶融物は制御された量でシャドウ流路(shadow channel)2を介して分配容器3の中へ流れる。溶融した鋼は制御された量で分配容器3から、冷却され、振動する一又は二の鋳型5の中へ、複数の浸漬鋳造湯口4を通じて導入され、溶融した鋼の固体化が鋳型の内壁において開始し、鋳型の内壁によって前以って決められた形状に従って、連続的に成長するストランドの凝固殻及び液状の中心部を有する鋼ストランド6が形成される。鋳型5は振動装置7上に支持され、この振動装置7から、鋳造される溶融鋼の鋳造速度及び鋼の量によって前以って決められた、鋳造断面によって影響される振動が鋳型5に伝導される。鋼ストランド6は、垂直に下方に向かい、鋳型5から出た後ストランドガイド8の中に支持され、誘導され、さらに冷却され、垂直方向から水平方向へと向きを変えられる。ストランドガイド8は、鋼ストランドの2つの広い側面を支持するためのガントリー(外側弧形部、内側弧形部)9、10を備え、これらガントリーは駆動されないローラと駆動されるローラとの密な嵌合を有し、鋼ストランドのための搬送経路を形成する。2つのガントリーのローラ11、12は、セグメント(segment)に結合され、ストランドガイドの中の互いに連続した交換可能なセグメント枠体13の中に支持されている。特に直線状鋳型5に関しては、鋳型に続く第1のセグメントは屈曲領域14として構成される。ストランドガイド8は、直線化領域の後、ストランドガイドの最後の部分である送出ローラテーブル15に続く。分離装置16の作動範囲においては、鋼ストランドの断面部分はすでに完全に固体化しており、送出ローラテーブルはガス切断ローラテーブル22として構成されている。使用される分離要素17は、ガス切断機18である。このガス切断機の後続の搬送装置19においては、分離装置中で所定の長さに切断されたストランド部片が送出ローラテーブル15の領域から取り外される。さらに、送出ローラテーブル15の作動領域には、操作部材20が擬似ストランド21の挿入のために設けられており、この擬似ストランド21が、鋳造作業が開始されるときに鋳型の出口部分を閉塞する。1連の幅広の鋼ストランド又はこの幅広のストランドより幅の狭い最大で2連の鋼ストランドの選択的鋳造のための本発明による連続鋳造プラントにおいては、これらの本質的なプラントの構成部品は、さらに詳述するように、特別な方法で設計される。
【0041】
本発明による連続鋳造プラントの本質的中心構成部品は、1連の幅広の鋼ストランドを鋳造するための鋳型、若しくはこのストランドより幅の狭い2連の金属ストランドを鋳造するための鋳型、及びこれらの鋳型を支持する振動的に動く振動装置を形成する。これらは、1連の幅広の鋼ストランドを鋳造するものについて図4に、幅広のストランドより比較的幅の狭い2連の鋼ストランドを鋳造するものについて図2及び図3に図示されている。図2及び図4は、一の鋳型5若しくは二の鋳型5a、5bを選択的に受け入れるための連続鋳造プラントのマシンヘッド中の限定された空間25を一点差線によって示し、この限定された空間25は、振動装置7の支持ブロック26によってそれぞれの鋼ストランドの鋳造方向Gに範囲を限られ、この振動装置の上に鋳型5又は2つの鋳型5a、5bが位置する。鋳型は操作装置27によってこの空間25から容易に取り外すことができ、再度挿入するか又は交換することができる。この交換作業に好適な操作装置は、対応する把持装置及び鋳型の交換のための2つの保管場所を有する、交換部品搬送器、又は鋳造プラットホーム29(図1に示す)を操作する屋内クレーン30のいずれかである。通常、鋳型5、5a、5bは、2つの幅広の側壁31及びこれら側壁の間に挟みつけられた2つの幅の狭い側壁32、33を有している。
【0042】
1連の幅広の鋼ストランド6(図4に示す)を鋳造するための鋳型の場合には、互いに対向して位置する2つの幅の狭い側壁32、33は鋳型の中心軸34から同一の距離に配置され、このことによって、対応する幅の狭い側の調整装置35によって、この鋳型の中心軸34に対する鋳型の形式の対称的な設定及びコーンの設定が可能となるが、これは従来の単錬ストランドのスラブの連続鋳造プラントの場合と同様である。この場合、鋳型5は、同期した垂直方向の動きによって望ましい鋳型の振動を確保する4つの振動装置7a、7b上に支持されている。
【0043】
2連の鋼ストランドの選択的鋳造のための2つの鋳型5a、5bは、互いからできるだけ近い距離で、2つの振動装置7a、7bの幅の広い側壁31に平行に延びる2つの支持ブロック26上のそれぞれのストランドの場合の共通の空間25内に支持されており、2つの鋳型の幅の狭い内部側壁は、互いに近接して隣り合うように配置されている。近接して隣り合うタイプの構成は、2つの鋳型中のこれら幅の狭い側壁32、33の異なる具体化を必要とする。2つの幅の狭い内部側壁33(一の鋳型の幅の狭い側壁しか図示されていない)は、適切であればコーンの調整が可能である所定の位置に固定されている。2つの幅の狭い外側側壁32(同様に、一の鋳型の幅の狭い側壁しか図示されていない)は、幅の狭い側の調整装置35に取り付けられ、このことによって異なるストランドの幅の設定及び適切であるならばコーンの設定が可能となっている。互いに対して密に進行する2連の鋼ストランドを同時に鋳造するための2つの鋳型5a、5bによって、後続の高度に縮小されたタイプのストランドガイドを有することが可能となり、よって最小化された幅を有する連続鋳造プラントの全体を可能としている。
【0044】
4つの支持ブロック26(図2)のそれぞれは、複数の中心出し装置36及び(冷却材、電力供給などのための)中間供給部材37のための速動式結合装置を有し、支持ブロック26は、詳細には図示されてはいないが通常良く知られているようなプラグ結合部として設計され、このプラグ結合部は、それぞれのストランドに対して使用される鋳型上の受け側接続部、あるいはそれぞれのストランドに対して使用される鋳型上に適合し、よって、鋳型が支持ブロック26上に直接配置されたときに、速動式で漏れの無い接続を確保する。これらの速動式結合装置及び中心出し装置は、それぞれの支持ブロックの支持面及び鋳型の受け側支持面に割り当てられている。
【0045】
それぞれの振動装置7、7a、7bは、保持フレーム39を備え、この保持フレームはプラントの骨組み40に固定されている。保持フレーム39は、中に固着された駆動装置41を有し、この駆動装置41によって、前以て決められた振動が支持ブロック26に伝達される。支持ブロック26を保持フレーム39の中に安定化するために、保持フレーム39は板ばねによって形成されたガイド要素42に結合されている。
【0046】
それぞれのストランドに対する2つの振動装置7a、7b又は7c、7dは、幅の狭い鋼ストランドの鋳造のためのそれぞれのストランドに対する鋳型5a、5bの支持及び振動のために共同して設けられ、2つの協働する支持ブロック26a、26b、又は26c、26dの同期した振動を確保する水圧式コントロールブロック44(図5)に接続されている。2つのコントロールブロック44は、中央演算ユニット45によって別々に起動され、それぞれの鋼ストランドの鋳造条件に合わせて調整されている。1連の幅広の鋼ストランドを鋳造するための鋳型5が使用される場合には、4つの振動装置全てが協働し(図5b)、割り当てられたコントロールブロック44はデータラインを介して、中央演算ユニット45によって形成された同期装置46に接続される。
【0047】
図6において、分配容器3は、単一の幅広な鋼ストランド6を鋳造するための鋳型5の上の鋳造位置に配置されている。溶融した鋼48は、図示されていないシャドーチャネルを介して分配容器3に導入され、分配容器3の底部の出口部49を介して流れ、浸漬型鋳造湯口4を通じて鋳型5の鋳造孔の中に流れる。浸漬型鋳造湯口4又は出口部49は、分配容器の底部に取り付けられた閉塞部材50を割り当てられている。閉塞部材50は水圧式に、又は空圧式に起動可能なスライドからなり、このスライドの手段によって、溶融鋼の供給量が制御される。
【0048】
同様に、図7において、同一の分配容器3が、2連の金属ストランド6a、6bを同時に鋳造するための2つの鋳型5a、5bの上の操作位置に配置されている。2つの鋳型6a、6bのそれぞれは、共通の分配容器3から溶融鋼を調整された量で移動させるための閉塞部材50を有する浸漬型鋳造湯口4を割り当てられている。
【0049】
それぞれの鋳型5,5a、5bの鋳造孔中の最適な溶融物の分布を確保するため、また、異なる鋳造速度及びストランドの断面、特に異なるストランドの幅に対する要求に合わせるため、分配容器3の底部に割り当てられた複数の出口部49及び閉塞部材50が設けられ、これらは、出口部49の中心軸51a、51b、51c、51d、及び51eを示す垂直方向の一点差線によって図示されている。出口部のこれら中心軸51a〜51eは、個々には図示されていない鋳型の中心面内に位置する直線に沿って配置されている。割り当てられた閉塞部材50を有するさまざまな出口部49を、必要に応じて浸漬型鋳造湯口4を有して設け、使用に供することができる。例えば、1連の幅広の鋼ストランドの鋳造に対しては、溶融鋼を中心軸51c(図6)に対応する一の中央出口部49を介して、若しくは中心軸51b及び51dに対応する二の出口部を介して、鋳型に導入することが可能である。2連の鋼ストランド6a、6bの同時鋳造の間、選択された鋳造幅によって、中心軸51b及び51d、又は中心軸51a、51eに対応する出口部49を使用に供することができる。いずれの場合においても、目的は、幅広の側壁に対して中心に、かつ幅の狭い側壁に対してできる限り中心に、即ちほとんど同じ分布で溶融鋼を鋳型5又は鋳型5a、5bに導入することである。従って、鋳型の交換に際しては、選択された連続鋳造の鋳型に対応する浸漬型鋳造湯口のみが分配容器に設けられる必要がある。連続鋳造プラントに必要な更なる適用の全ては、工程制御によってのみ行われる。
【0050】
それぞれの鋼ストランドは、鋳型を離れた後、屈曲ストランドガイド8において本質的に垂直な鋳造方向から水平な搬送方向へと向きを変えられる。図8及び図9に示すように、2連の同時鋳造された鋼ストランド6a、6bは、互いに独立して、密接に近接するストランドガイド8a、8bの中に支持されている。
【0051】
それぞれの独立したストランドガイド8a、8bは、連続鋳造プラントの外側弧状部のためのガントリー9a、9b、及び内側弧状部のためのローラガントリー10a、10bを備えており、これらガントリーは、駆動されるローラ及び駆動されないローラからなる密着した1対のコルセット(corset)を本質的に備えている。
【0052】
好ましくは、2つのストランドガイドは、互いに隣り合って位置するとともにストランドガイドの部分からなるセグメントに、機能的な独立性を維持されつつ分割されている。図8は、駆動されるローラ12を備えるそのようなセグメント全体の断面を示し、駆動されるローラ12は2対のローラを形成するとともに、2連の鋳造ストランド6a、6bを互いに独立した状態で支持し、搬送している。それぞれの鋼ストランドに割り当てられたローラは、個々の鋳造速度を固定するための駆動装置53に取り付けられている。2つのストランドガイド8a、8bの外側弧状部のローラは、2つのストランドガイドを支持している共通の保持フレーム54又はセグメントフレームに支持され、ストランドガイドの固定された側部を形成している。内側弧状部のローラは、それぞれのストランドガイド8a、8bに対して別々に、独立したローラ保持部材55a、55bに支持され、共通の保持フレーム57又はセグメントフレームに、連接タイ(articulated ties)56a、56bを介して固定されている。独立したローラ保持部55a、55bは、詳細には図示されていないが、保持フレームのガイド上に垂直方向に移動可能であり、ローラ保持部551a、55bと保持フレーム57との間の圧力媒体シリンダー(pressure medium cylinder)58a、58bによって、それぞれの鋼ストランドに対して押し付けることができ、前以て決められたトルクを伝達することができる。外側弧状部の保持フレーム54及び内側弧状部の保持フレーム57は、横方向への引っ張り装置59を介するとともに、従来のストランドガイドセグメントの構造に対応するように、セグメントに固定されている。
【0053】
図9は、本発明によるタイプの2つの連続鋳造プラントの非常に密に隣り合う配置を示し、プラント全体の幅が最小化されている。この場合、駆動されるローラ12の駆動装置53(この駆動装置は、別様に横方向に離れて突出している)は、2つの外側ストランドガイドの場合のように、互いに隣り合って延びる2つの内部ガントリー8b、8aの上部の横方向に立ち上がった位置に、遊星歯車60、結合したアンギュラーギヤ(angular gear)61、及びカルダン軸62を介して配置されている。2つの連続鋳造プラントが本発明に従って設計されるとき、それは同様に本発明の保護範囲となる。
【0054】
幅の範囲が両方のストランドガイド8a、8bに亘って延びる一の幅広の鋼ストランドの鋳造においては、図10に示すように、駆動されるローラ12a、12bの駆動装置53a、53bは、同期状態(ローラの回転速度)を設定するための同期装置46によって制御されている。同様に、鋼ストランドに対する駆動ローラの圧力の均衡は、制御ブロック63上の同一の動き又は制御ブロック63の同期、及び駆動装置46又は中央演算ユニットを介した圧力媒体シリンダー58a、58bの結果によって生じる。圧力媒体シリンダー58aは、ローラ保持部材55aと共通の保持フレーム57との間で作用し、圧力媒体シリンダー58bはローラ保持部材55bと共通の保持フレーム57との間で作用し、よって特に鋼ストランドに対する駆動ローラの個別の適用を可能としている。
【0055】
ストランドガイド8,8a、8bにおいて、中心部領域においてまだ液体である鋼ストランドの連続的な冷却は、全体が固体化されることを確実とし、ストランドの分割が可能となるストランドの温度まで行われる。特に第1のストランドガイドセグメントでは、特に屈曲領域において、ストランドの冷却が特に重要であると考えられる。図11は、1連の幅広の鋼ストランドの鋳造に組み込まれたストランド冷却のための噴射ノズルの配置を示し、図12は、対応して2連の幅の狭い鋼ストランドの鋳造に組み込まれたストランド冷却を示している。
【0056】
噴射ノズル65a、65b、65c、65d、65eは、個別に又はグループとして作用することができ、図示されているように、ストランドガイドに沿って、鋳造方向に延びる複数の列、好ましくは5列の形に配置されている。最大幅の1連の鋼ストランドの鋳造においては、5つの噴射ノズル全て又は噴射ノズルの列が使用に供され(図11)、鋳造方向又はストランドの搬送方向に対して横方向のストランドの表面上に冷却材の均一な作用を確実とする。可能な最大幅の2連の鋼ストランドの鋳造においては、それぞれのストランドごとに2つの外側噴射ノズル65a、65b及び65d、65eが操作され、中央の噴射ノズル65cは停止している(図12)。左又は右の鋼ストランドのみを鋳造することもできる。それに応じて、このストランドに割り当てられた2つの噴射ノズルのみが起動される。このように、可能な作業状況に対する適用が基本的には可能である。
【0057】
本発明による連続鋳造プラントの送出領域には2つの送出ローラテーブル15a、15bが配置され、これら送出ローラテーブル15a、15b上に、送出ローラテーブル15a、15bの両方に共同で支持された一の幅広のスラブ、又は、一のローラテーブルにそれぞれが割り当てられた、この幅広のスラブより幅の狭い二のスラブのどちらかが、分離装置を離れた後さらに移動される。図14は、一の幅広のスラブの横断搬送(crossconveyance)における状況を示し、図15は、この幅広のスラブより幅の狭い二のスラブの横断搬送における状況を示している。
【0058】
連続鋳造プラントの水平送出領域において、2つの送出ローラテーブル15a、15bは、ガス切断ローラテーブル22a、22bと同様に、2つの分離装置16a、16bの動作範囲内で従来のように設計されている。ガス切断機として設計された2つの分離装置は、矢印で示されたストランドの搬送方向に前後に配置され、これら2つの分離装置の距離は、この工程で最大鋳造幅の2連の鋳造鋼ストランドのうちの一方を所定の長さに切断することを可能とするのに十分であるようにされている。分離装置16a、16bのそれぞれは、ガス切断ローラテーブル22a、22bに、従って2連の鋼ストランドのうちの一方に割り当てられている。個々には図示していない、両方のローラテーブル上に同時に位置している1連の鋼ストランドのみの生産においては、2つの分離装置の一方のみによって横断分割が行われ、第2の分離装置は待機位置にある。
【0059】
2つの分離装置16a、16bは同一の設計となっている。これら分離装置は、それぞれのストランドに対する跨り部材81を備え、この跨り部材81は、横方向の走行路80a、80b上のストランドの搬送方向に平行に移動可能であるとともに、2つのガス切断ローラテーブル22a、22bに達する。2つの分離要素17は、跨り部材81の横断部材82上の水平ガイド83の上に移動可能に配置されている。分離装置の分離要素17は、1連の幅広のストランド又はこの幅広のストランドより幅の狭い2連の鋼ストランドの横断分割のために使用することができる。
【0060】
図14に示すように、幅広のスラブは送出ローラテーブルの取り外し領域に配置され、この取り外し領域には、2つの押し出しフック70、及び送出ローラテーブル15a、15b上の位置Aから、さらに先へ向かわせる排出搬送ローラテーブル72a上の位置Bへスラブを移動する、2つの移動装置71を備える横断搬送装置19が配置されている。この排出搬送ローラテーブルの上で、スラブはプラントの領域から取り外され、詳細には示されていないが、更なる処理装置へ送られるか、又は保管場所へ送られる。
【0061】
図15は、それぞれの送出ローラテーブル上であって、この送出ローラテーブル15a、15bの取り外し領域にある幅の狭いスラブを示しており、この領域で、2つのスラブはクロス搬送装置19a、19bの手段によって互いから離れる方向へ、排出搬送ローラテーブル72a、72bの上へと移動される。これは、送出ローラテーブル15a、15b上の位置A、A’から、それぞれのスラブについて送出ローラテーブルのそばに配置された排出搬送ローラテーブル72a又は72b上の位置B、B’へ、移動装置71a、71b及び押し出しフック70a、70bの手段によって行われる。
【0062】
鋳造工程を開始するために、1連の幅広の鋼ストランドの鋳造のための単一の鋳型、又はこの幅広のストランドより幅の狭い2連の鋼ストランドの鋳造のための2つの鋳型は、従来どおりに下から鋳型の中にストランドガイドに沿って導入される擬似ストランドの手段によって、鋳型の孔の出口側を閉塞される。
【0063】
図16に示すように、二の擬似ストランド21a、21bに関節式に結合された擬似ストランドヘッド75は、1連の幅広の鋼ストランドの鋳造のための連続鋳造用鋳型5の鋳型孔の中に突出し、この鋳型空隙を出口側で閉塞している。2つのストランドガイド8a、8bの駆動されるローラ12a、12bは一点鎖線で示されており、同期装置46によって制御され、同期した状態で、二の擬似ストランド21a及び21bにアクセスし、よって擬似ストランドヘッドが2つのストランドガイドの中での搬送動作中に回転しないようにされている。
【0064】
図17は、幅の狭い2連の金属ストランドの鋳造を一緒に開始する場合又は別々に開始する場合における状態を示し、擬似ストランド21aが、擬似ストランドヘッド部75aによって連続鋳造用鋳型5aの出口側端部を閉塞し、同様に、擬似ストランド21bが、擬似ストランドヘッド部75bによって連続鋳造用鋳型5bの出口側端部を閉塞している。擬似ストランド21aはストランドガイド8aに割り当てられ、駆動されるローラ12aによってストランドガイドの中で独立して移動される。この完全な独立性によって、擬似ストランド21bは、駆動されるローラ12bによってストランドガイド8bの中を搬送することができる。従って、それぞれ個々のストランドを独立して時間的に別々に鋳造を開始することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本質的な部品を有する本発明による連続鋳造プラントの長手方向の全体図である。
【図2】2連の鋼ストランドの独立した鋳造に対する2つの鋳型の配置の平面図である。
【図3】2連の鋼ストランドの独立した鋳造のための鋳型及び振動装置の、図2のB−B線に沿った断面図である。
【図4】1連の幅広の鋼ストランドの鋳造のための鋳型及び振動装置の、図3と同様の断面図である。
【図5a】2連の独立した鋼ストランドの鋳造における振動装置の振動の制御のための結線図である。
【図5b】1連の幅広の鋼ストランドの鋳造における振動装置の振動の制御のための結線図である。
【図6】1連の幅広の鋼ストランドの鋳造のための鋳型の上の操作位置にある分配容器の図である。
【図7】2連の幅の狭い鋼ストランドの鋳造のための、互いに隣り合って配置された2つの鋳型の上の操作位置にある分配容器の図である。
【図8】本発明によるストランドガイドの鋼ストランドの搬送方向に対して横方向の断面図である。
【図9】部分的に持ち上げられた伝動ユニットを有する本発明による二の連続鋳造プラントの配置図である。
【図10】2連の鋼ストランドの鋳造におけるストランドガイドの同期の回路図である。
【図11】1連の幅広のスラブの鋳造における注入ノズルの配置及び注入パターンを示す図である。
【図12】2連の幅の狭いスラブの注入における注入ノズルの配置及び注入パターンを示す図である。
【図13】鋳造された鋼ストランドの横断分割のための2つのガス切断装置の平面図である。
【図14】連続鋳造プラントの送出ローラテーブルからの一の幅広スラブの排出のための横断搬送装置を示す図である。
【図15】連続鋳造プラントの送出ローラテーブルからの二のスラブの排出のための横断搬送装置を示す図である。
【図16】1連の幅広の鋼ストランドの鋳造のための鋳型を閉塞するための擬似ストランドを示す図である。
【図17】2連の金属ストランドの同時鋳造のための二の鋳型を閉塞するための擬似ストランドを示す図である。
【符号の説明】
【0066】
1・・・取鍋
3・・・分配容器
5・・・鋳型
6、6a、6b・・・ストランド
7、7a、7b・・・振動装置
8、8a、8b・・・ストランドガイド
9a、9b、10a、10b・・・ガントリー
11・・・駆動されないローラ
12、12a、12b・・・駆動されるローラ
15a、15b・・・送出ローラテーブル
16、16a、16b・・・分離装置
17・・・分離要素
19、19a、19b・・・横断搬送装置
21a、21b・・・擬似ストランド
22a、22b・・・ガス切断ローラテーブル
25・・・空間
26、26a、26b、26c、26d・・・支持ブロック
27・・・操作装置
28・・・交換用部材
36・・・中心出し装置
37・・・速動結合装置
41・・・駆動装置、水力起動装置
44・・・制御ブロック
45・・・中央演算ユニット
46・・・同期装置
49・・・出口部
50・・・閉塞部材
53・・・駆動装置
55a、55b・・・ローラ保持部材
57・・・保持フレーム
60・・・遊星ギヤ
61・・・アンギュラーギヤ
62・・・カルダンシャフト
75、75a、75b・・・擬似ストランドヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一の幅広の金属ストランド(6)又はこの幅広の金属ストランドより幅の狭い最大で二の金属ストランド(6a、6b)の選択的鋳造のための連続鋳造プラントであって、
少なくとも一の分配容器(3)、振動装置(7)上に支持された一の鋳型(5)、及び後続の一のストランドガイド(8)を備える前記連続鋳造プラントにおいて、
前記連続鋳造プラントには、
前記一の鋳型(5)、又は二の鋳型(5a、5b)の選択的収容のための空間(25)と、
二の振動装置(7a、7b)と、
前記振動装置(7a、7b)及びストランドガイド(8a、8b)の別々の、かつ、同期した操作のための駆動装置(41)を割り当てられた前記二のストランドガイド(8a、8b)と、
が配置されていることを特徴とする連続鋳造プラント。
【請求項2】
前記二の振動装置(7a、7b)のそれぞれは、振動を生じさせる駆動装置(41)を割り当てられており、該駆動装置(41)は、振動の同期条件を設定するための同期装置(46)に接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の連続鋳造プラント。
【請求項3】
前記振動の同期条件を設定するための前記同期装置(46)は、中央演算ユニット(45)によって形成されていることを特徴とする請求項2に記載の連続鋳造プラント。
【請求項4】
前記振動装置(7a、7b)のそれぞれは、水力起動装置(41)及び演算ユニット(45)に信号線を介して接続された制御ブロック(44)を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の連続鋳造プラント。
【請求項5】
前記振動装置(7a、7b)のそれぞれは、鋳型(5,5a、5b)を支持するための支持ブロック(26、26a、26b、26c、26d)及び中間材供給(冷却剤、電力、信号線など)のための速動結合装置(37)を備え、少なくとも一の中心出し装置(36)が、それぞれの前記支持ブロックの支持面及び前記鋳型の対応する被支持面に配置されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の連続鋳造プラント。
【請求項6】
鋳型の交換を行うための少なくとも一の操作装置(27)、好ましくは交換用部材(28)が鋳造プラットホーム上に配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の連続鋳造プラント。
【請求項7】
平行に延びる前記二のストランドガイド(8a、8b)は、駆動されるローラ(12、12a、12b)及び駆動されないローラ(11)を有するガントリー(9a、9b、10a、10b)を備え、前記駆動されるローラは駆動装置(53)に接続され、前記二のガントリー(9a、9b、10a、10b)のローラの駆動装置は、前記駆動されるローラ(12、12a、12b)の同期条件を設定するための同期装置(46)に接続されていることを特徴とする、請求項1〜6に記載の連続鋳造プラント。
【請求項8】
前記ストランドガイド内の駆動されるローラの同期条件を設定するための前記同期装置(46)は、中央演算ユニット(45)によって形成されていることを特徴とする請求項7に記載の連続鋳造プラント。
【請求項9】
一の幅広の金属ストランドの鋳造の間に協働する前記二のガントリー(9a、9b、10a、10b)の前記ローラ(11、12、12a、12b)又はローラの対は、共通の保持フレーム(54)又はセグメントフレームに支持されていることを特徴とする、請求項7又は8に記載の連続鋳造プラント。
【請求項10】
前記二のガントリー(9a、9b)のそれぞれにおける前記1対のローラの相対的に移動可能なローラ、又は前記ローラの対のグループの相対的に移動可能なローラは、前記共通の保持フレーム(57)又はセグメントフレームに支持された、独立したローラ保持部材(55a、55b)に固定されていることを特徴とする、請求項9に記載の連続鋳造プラント。
【請求項11】
前記駆動されるローラ(12a、12b)のそれぞれの駆動装置(53)は、カルダンシャフト(62)を介して、前記ローラに接続され、前記ストランドガイド(8a、8b)の、互いに隣り合って延びる前記二のガントリー(9a、10a及び9b、10b)の半径方向外側に配置されていることを特徴とする、請求項7に記載の連続鋳造プラント。
【請求項12】
少なくとも二の連続鋳造プラントの前記ストランドガイド(8a、8b)が対になって互いに隣り合って配置されている場合に、前記内側の駆動されるローラ(12b、12a)は、遊星ギヤ(60)及びアンギュラーギヤ(61)を介して前記駆動装置(53)に接続され、前記駆動装置は、前記ストランドガイド(8b、8a)の、互いに隣り合って延びる前記二のガントリーの上の半径方向に立ち上がった位置に配置されていることを特徴とする、請求項11に記載の連続鋳造プラント。
【請求項13】
前記それぞれのストランドガイド(8a、8b)は、平行して鋳造される二の幅の狭い金属ストランド(6a、6b)のうちの一方の横断分割のための、独立した分離装置を割り当てられ、これらの分離装置のそれぞれが少なくとも一の分離要素(17)、好ましくはガス切断機を保持していることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の連続鋳造プラント。
【請求項14】
前記それぞれのストランドに対する前記二のストランドガイド(8a、8b)又はガス切断ローラテーブル(22a、22b)にまたがる前記二の分離装置(16a、16b)は、前記ストランドの搬送方向に前後に配置されていることを特徴とする、請求項13に記載の連続鋳造プラント。
【請求項15】
一の幅広の金属ストランド(6)の横断分割のための前記二の分離装置(16a、16b)のうちの少なくとも一方は、二の協働する分離要素(17)を伴って設けられていることを特徴とする、請求項13又は14に記載の連続鋳造プラント。
【請求項16】
前記ストランドガイド(8a、8b)及び前記分離装置(16)に続いて、送出ローラテーブル(15a、15b)が設けられ、該送出ローラテーブルは、前記ストランドの部片(スラブ)の搬送方向の変更のための横断搬送装置(19、19a、19b)を割り当てられ、前記部片(スラブ)を前記ストランドの搬送方向に対して横方向に導くことを特徴とする、請求項1〜15のいずれか1項に記載の連続鋳造プラント。
【請求項17】
前記分配容器(3)は、互いに所定の距離をおいて隣り合うように配置された、複数の溶融金属の出口部(49)を有し、該出口部には閉塞部材(50)が割り当てられ、これら閉塞部材は、信号線を介して前記中央演算ユニット(45)に接続されるとともに、後続の前記鋳型(5、5a、5b)の鋳造形式の関数として起動可能であることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか1項に記載の連続鋳造プラント。
【請求項18】
鋳造の開始に対して、二の擬似ストランド(21a、21b)は前記ストランドガイド(8a、8b)によって前記鋳型(5、5a、5b)の中に誘導され、二の前記鋳型(5a、5b)が使用される場合には、前記二の擬似ストランドは分離した擬似ストランドヘッド(75a、75b)を伴って設けられ、一の前記鋳型(5)が使用される場合には、前記二の擬似ストランドは共通の擬似ストランドヘッド(75)を伴って設けられることを特徴とする、請求項1〜17のいずれか1項に記載の連続鋳造プラント。
【請求項19】
連続鋳造プラントにおいて、一の幅広の金属ストランド、又は、この幅広の金属ストランドより幅の狭い二の金属ストランドを選択的に鋳造する方法であって、
少なくとも部分的に固体化した金属ストランドを形成するステップと、
前記少なくとも部分的に固体化した金属ストランドを後続のストランドガイド中で支持し誘導するステップと、を有し、
それぞれの金属ストランドを鋳造するための鋳造パラメータは、一の金属ストランドの鋳造中及び二の金属ストランドの平行した鋳造中の両方において、個別に設定し、制御することができることを特徴とする方法。
【請求項20】
前記それぞれの個別の金属ストランドの鋳造のための鋳型の少なくとも一の振動パラメータ及び前記それぞれ個別の金属ストランドの鋳造速度は、個別に設定し、制御することができることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
単一の幅広の金属ストランドの鋳造のためには、単一の鋳型が、前記連続鋳造プラントに挿入され、少なくとも二の同期して操作される振動装置上に支持され、鋳造された金属ストランドは、二の同期して操作されるストランドガイド中で支持されるとともに誘導され、
二の幅の狭い金属ストランドの同時鋳造のためには、互いに独立した二の鋳型が、前記連続鋳造プラントの中に挿入され、それぞれのストランドに対して、さらなる前記振動装置のうちの独立して操作される少なくとも一の振動装置上に支持され、鋳造された金属ストランドは、互いから分離して操作されるストランドガイド中で支持され、案内されることを特徴とする、請求項19又は20に記載の連続鋳造プラント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2008−501532(P2008−501532A)
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−526219(P2007−526219)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【国際出願番号】PCT/EP2005/004570
【国際公開番号】WO2005/120746
【国際公開日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(301041586)シーメンス・ファオアーイー・メタルズ・テクノロジーズ・ゲーエムベーハー・ウント・コ (41)
【Fターム(参考)】