説明

一元的視覚検査センター

被検者の視覚能力を検査および/または訓練するシステムおよび方法を得る。より詳細には、本発明方法は、被検者の視覚的鋭敏性の様々な態様、例えば明瞭視認性、コントラスト感受性、視線追従性に関して検査をすることができる。様々な検査を用いることにより、より効率的な検査を実施することができる。本発明によれば、一元的センターで検査および/または訓練を行う方法を使用して個人を検査し、この一元的センターは、個人に対して視覚検査を提示し、また個人から入力を受信し、受信した入力を処理することができる。このような一元的検査センターは、さらに、個人の必要性に基づいて実施検査を変更可能に構成可能とする。このとき、受信した入力を使用して、例えば、被検者の視覚的鋭敏性に関するデータを、全体的および個別検査の双方に関して計算することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2007年4月13日出願の米国特許仮出願第60/923434号(タイトルは「シミュレーション動作中の視覚能力を検査するシステムおよび方法」)の優先権を主張するものであり、このことを本明細書に付記する。本出願はまた、2007年6月4日出願の米国特許仮出願第60/941915号(タイトルは「分離して視覚能力を検査するシステムおよび方法」)の優先権を主張するものであり、このことを本明細書に付記する。
【0002】
本発明は概して、個人の視覚能力の評価および/または訓練に関する。
【背景技術】
【0003】
身体能力とともに、スポーツなどの活動に参加するとき、個人の視覚は個人のパフォーマンスに影響を与える。一般的に、スポーツまたは活動を改善するために、個人は全体的なパフォーマンスを向上させるために身体能力を改善することに傾注する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、個人の視覚能力を検査および訓練することにより、個人の能力を改善することもできる。
この概要は、以下に詳細に説明することを簡潔にした概念を選択して記述するものである。本概要は特許請求の範囲の要旨における重要な特徴または本質的特徴を同定しようとする意図はなく、特許請求の範囲の要旨を決定しようとするものでもない。
【0005】
本発明によれば、被検者の視覚能力を検査および/または訓練する方法を得る。より詳細には、本発明方法は、被検者の視覚の様々な態様、例えば明瞭視認性、コントラスト感受性、視線追従性等の検査するステップを有する。様々な検査を用いることにより、より効率的な検査を実施することができる。本発明によれば、個人は上述のような検査および/または訓練の方法を、個人に対して視覚検査を実施可能であり、個人から入力を受信可能であり、受信入力を処理可能である一元的センターで、実行することができる。このような一元的センターは、さらに、個人の必要性に基づいて実施検査を変更可能に、構成することができる。この場合、受信入力は、例えば、被検者の視覚能力に関するデータを計算するために、検査全体に対して、および各検査に対して、使用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の要旨を、法的要件に応じて本明細書に詳細に記載する。しかし、説明自体は本発明の範囲を限定することを意図するものではない。むしろ、発明者は、特許請求の範囲で請求する要旨は、他の方法でも実施することができ、異なるステップまたは本明細書に記載するものと同様なステップの組み合わせも可能であり、他の現在または未来の技術を合わせて使用できることを主張する。
【0007】
本発明によれば、被検者の視覚能力を一元的検査ユニットで検査するためのシステムおよび方法を提供する。このような方法は、被検者の視覚的鋭敏性の様々な態様、例えば明瞭視認性、コントラスト感受性性、視線追従性等に関する検査を、一元的ユニットにおいて行うものであり、この一元的ユニットは、さらに、結果データの処理および/またはデータを処理するためにネットワークを介して他の位置に転送することができる。このようにすることにより、一元的検査センターは、被検者の視覚能力の検査プロセスを効率化し、また検査を実行するのに必要なオーバーヘッドを削減する(例えば、設備を削減する)ことができる。さらに、一元的検査センターは、実施する検査を個人の必要性に基づいて変更可能に構成することができる。このとき、受信した入力は、例えば使用者の視覚能力に関する結果を使用して、全体的にまた各個別検査毎に計算することができる。
【0008】
ある実施形態において、被検者の視覚能力を検査するための検査装置を提供する。そのような検査装置は、提示コンポーネント、入力コンポーネント、および処理コンポーネントを有し、提示コンポーネントは、明瞭視認性検査、コントラスト感受性検査、視線追従性検査、距離合焦検査、視覚照準検査を被検者に実行可能である。各検査に応答して、被検者は検査装置に入力を与えることができる。この場合、入力コンポーネントは、入力を受信するよう構成することができ、処理コンポーネントは受信した入力を処理するよう構成することができる。
【0009】
別の実施形態では、被検者の視覚能力を検査する方法であって、一元的位置で実行する方法を提供する。本発明方法は、部分的に、2種類以上の視覚能力検査を被検者に対して実施するステップと、各検査に応じて被検者から入力を受信するステップと、および被検者から受信した入力を処理するステップと、を有する。
本発明を、添付の図を参照して以下に詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施に使用するのに適切なコンピュータシステム環境のブロック図である。
【図2】本発明の実施形態により使用する例示的な検査コンポーネントのブロック図を示す。
【図3】本発明の実施に使用する例示的な処理コンポーネントのブロック図を示す。
【図4】本発明の実施形態による、例示的な一元的視覚検査ユニットを示す。
【図5】本発明による、一元的視覚検査ユニットの他の実施形態を示す。
【図6】本発明の実施形態による、一元的位置で被検者の視覚能力を検査する方法を示すフローチャート(ダイアグラム)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
一図面全体につき説明するが、まず図1に付き説明すると、例示的なコンピュータシステムのブロック図を示し、被検者の視覚能力を検査するよう構成したコンピュータシステム100を全体として示す。当業者であれば、図1に示すコンピュータシステム100は適切なコンピュータシステム環境の一例に過ぎず、本発明の実施形態の使用法または機能に特許請求の範囲を限定する意図はないことを理解できるであろう。コンピュータシステム100は、個々に図示する任意の単独コンポーネントまたはコンポーネントの組み合わせに依存するまたは必要とするものと解釈すべきではない。
【0012】
コンピュータシステム100は、入力デバイス102、表示デバイス120と、データベース104、中央位置106、検査ユニット110を有し、接続部108を通して全てが互いに通信する。接続部108を、有線(ケーブルなど)または無線(無線ネットワーク)により実装することができる。接続部108をネットワークとすることができ、当該ネットワークは、以下に限定するものではないが、1個以上のローカルエリアネットワーク(LAN)および/またはワイドエリアネットワーク(WAN)を含むことができる。そのようなネットワーク環境は、一般的な企業規模のコンピュータネットワーク、イントラネット、インターネットである。さらに、接続部108はコンピュータシステム100のコンポーネント間のローカル有線接続を備えることができる。したがって、接続部108をこれ以上本明細書には記載しない。
【0013】
入力デバイス102は、被検者から1個以上の応答入力を受信可能である。入力デバイス102は被検者から応答を受信することができる任意のデバイスとすることができる。当業者であれば、入力デバイス102などの1個以上の入力デバイスをコンピュータシステム100とともに使用できることを理解できるであろう。入力デバイス102は、例えばマイクロフォン、ジョイスティック、ゲームパッド、ワイヤレス機器、キーボード、キーパッド、ゲームコントローラ、トレッドミル、床反力、視線追跡システム、ジェスチャー解析システム、タッチスクリーン、および/または他の任意の入力開始コンポーネントとすることができ、無線または有線でデータを検査ユニット100に送信して、ネットワーク108を通して受信することができる。入力デバイス102は、被検者からの音声入力を処理する音声認識装置および/またはソフトウェアとすることができる。例えば、視覚マークを認識したことを示すための被検者からの音声入力を、視覚マークが持つ特徴を言語化したものとすることができる。ある実施形態において、もし徴がランドルト環の向きである場合、対応する音声入力は「上」、「下」、「右」、「左」とすることができる。しかし当業者であれば、被検者が視覚マークを知覚および/または認識したことを示す他の音声入力(例えば色、数字、文字、特徴などを述べる)を使用することができることを理解できるであろう。しかし、本発明は、このような入力デバイス102に実施を限定するものではなく、任意の様々な異なるタイプのデバイスを本明細書の実施形態の範囲に実施できることに注意すべきである。表示した視覚マークに対する被検者の応答を示す入力を、受信して記録することができる。もし特徴が向きであるならば、満足のいく検査応答は、視覚マークが向く方向を識別することである。単なる一例であって、これに限定するものではないが、識別方法として、入力デバイスとして用いるハンドヘルド機器における方向に応じてジョイスティックに手動で方向を与えることにより被検者が入力を与えることができる。
【0014】
入力デバイス102が視線追跡システムである場合、被検者の眼の位置および/または焦点をモニタし、眼が適正位置に位置決めするおよび/または合焦する時点を入力として記録することができる。
【0015】
入力デバイス102がジェスチャー認識システムである場合、様々なシステムおよび/または方法を、入力を受信するために使用することができる。例えば、1個以上のカメラにより、被検者の身体の体肢および/または四肢の動きを観測し、適切なハードウェアおよび/またはソフトウェアと連動させ、被検者が適正なジェスチャーを行う時点の入力を記録することができる。ジェスチャー認識システムは、モーション追跡を容易にするよう、被検者に貼り付けた光学的マーカーを使用することができる。被検者に貼り付けた送信機および受信機(例えば、赤外放射、音波、亜音速、超音波による送信に対する)を、ジェスチャー認識システムの一部として使用することができる。
【0016】
入力デバイス102がタッチスクリーンである場合、任意のタイプのタッチスクリーンを使用することができる。また、タッチ感応材料のオーバーレイを、それ自身はタッチ感応式でないディスプレイと組み合わせて使用し、タッチ入力を受信することができる。このようなオーバーレイは表示デバイスから任意の距離に設けることができる。
【0017】
表示デバイス120は、被検者により視覚的に観察可能である出力映像を表示可能であり、任意のタイプのコンピュータ、検査装置またはテレビモニタとすることができ、陰極線管、液晶ディスプレイ、プラズマスクリーン、もしくは任意の他の表示タイプとすることができ、または画像を前方もしくは後方から投影するスクリーンを備えることもできる。さらに、表示デバイス120には、被検者に視覚能力検査を実施する前、最中、後に、検査実施者が検査ユニット100を対話するためのユーザーインタフェースを設けることができる。
【0018】
検査ユニット100は、図1に示すように、任意のタイプのコンピュータ機器とすることができ、図4および5を参照して以下により詳細に実施形態を記載する。データベース104は、視覚能力検査に関連する情報を保存するよう構成することができる。当業者であれば、データベース104に保存した情報を、編集可能にし、また視覚能力検査に関連する任意の情報を含むことができることを理解できるであろう。そのような情報の内容および量は、多少なりとも本発明の実施形態の範囲を限定する意図はない。一つの独立したコンポーネントとして示したが、データベース104は、実際には、複数のデータベースとすることができ、例えば、データベースクラスタとすることができる。さらに、データベース104の一部または全部を、検査ユニット110に関連するコンピュータ機器上、別の外部コンピュータ機器(図示せず)上、および/またはそれらの任意の組み合わせ上に取り付けることができる。当業者であれば、データベース104は随意的であり、またコンピュータシステム100に関連して設ける必要がないことを理解できるであろう。
【0019】
図1ににつき説明すると、本発明の実施形態に従って示すように、検査ユニット110は、提示コンポーネント112、入力コンポーネント114と、検査コンポーネント116と、処理コンポーネント118を有することができる。当業者であれば、図1に図示するコンポーネント112,114,116,118は特性および個数に関して一例に過ぎず、これらに限定するものと解釈すべきでないことを理解できるであろう。任意の数のコンポーネントを、本発明の実施形態の範囲内で、好適な機能を達成するために使用することができる。
【0020】
提示コンポーネント112は、被検者が視覚的に視認できる出力映像を表示可能であり、任意のタイプのコンピュータ、検査装置、またはテレビモニタとすることができ、陰極線管、液晶ディスプレイ、プラズマスクリーン、もしくは任意の他の表示タイプとすることができ、または画像を前方または後方から投影するスクリーンを備えることもできる。
【0021】
ある実施形態において、提示コンポーネント112は、限定された空間域に視覚的な遠近距離を創出するよう計画的に配置したミラーおよび/またはレンズを使用する装置(例えば、トンネル効果を生成するためにミラーを周回配置する)とすることができる。そのような装置の例としては、遠近距離を創出するためにミラーを使用する遠近法的(パースペクティブ)検査装置がある。このような装置は、中心域に表示した(直接被検者の前に)視覚マークを表示するミラーを有し、さらに、周辺視覚能力を検査するために視覚マークを表示するサイドミラーを有することができる。
【0022】
別の実施形態において、装置には、シミュレーション(模擬)距離を得るよう、表示視覚マークの知覚される距離および/または寸法を変化させるレンズを設けることができる。結果として、このような装置は、被検者に対して実際のディスプレイにおけるよりも、より近くまたはより遠くに見えるように視覚マークを生ずることができる。
【0023】
当業者であれば、提示コンポーネント112は、組み合わせて特定行為に対する典型的ないくつかの視覚刺激を表示する複数のデバイスを備えることができることを理解できるであろう。ある実施形態において、視覚マークを複数表示するために単独のデバイスを使用することができる(例えばスプリットスクリーン)。
【0024】
提示コンポーネント112は、代案として、表示メガネ、ゴーグル、バイザーおよび同様のものを有することができ、概して他人に見えないように被検者に対して視覚表示するために被検者が装着することができる。さらに、提示コンポーネント112は、被検者に2次元あるいは3次元画像を供給することができる。3次元画像ディスプレイは、被検者に対する仮想現実またはホログラフィック提示を提供することができる。
【0025】
作動に際して、提示コンポーネント112は、被検者に1個以上の視覚マークを提示するよう構成することができる。以下により詳細に記載するように、提示コンポーネント112は、被検者の視覚能力の異なる態様を検査するために様々な方法で視覚マークを投影することができる。一般的に、各視覚マークは一つのまたは複数の特徴を有することができる。この特徴は、例えば、向き(例えば、矢印、ランドルト環、転回E)、ユーザーインタフェース上における位置(例えばディスプレイの特定の四半象限における位置)、所定個数の相互に排他的な特徴のうち1つ(例えば、上、下、左、右のいずれかに対面するインジケータ)、または特徴の任意の組み合わせとすることができる。さらに、当業者であれば、他の特徴を使用することができ、本発明を特定の特徴に限定するものでないことを理解できるであろう。
【0026】
入力コンポーネント114は、被検者からの入力を受信するように(例えば入力デバイス102を使用することにより)構成することができる。被検者が与える入力を受信可能な任意の適切な受信コンポーネントを、本発明により使用することができる。限定するものではなく、単に例示として、被検者はキーボード、ジョイスティック、トラックボールまたは同様のものを使用して入力することができる。入力は提示コンポーネントに依存する。例えば、提示コンポーネントがタッチ感応式である場合、被検者は提示コンポーネントにタッチすることにより入力を与えることができる。別の実施形態において、入力コンポーネントは音声認識能力を有するものとし、被検者は入力コンポーネントにより認識される音声応答で入力することができる。当業者であれば、本発明による任意の適切な入力コンポーネントを使用できることを理解できるであろう。特定タイプは、提示コンポーネントが提示する検査および提示コンポーネントの能力に基づくものにするのが望ましい。被検者から入力を受信した後に、入力コンポーネント114は、この入力を、例えば後述のデータベース104内に保存することができる。
【0027】
検査コンポーネント116は、被検者に検査を実行するよう構成することができる。図2に関してより詳細に記載するように、検査コンポーネント116は、被検者の視覚能力を決定する2個以上の検査を実行することができる。より詳細には、複数の検査を検査ユニット110などの一元的な場所に設けることができる。さらに、検査コンポーネント116は、被検者に応じて検査を変化させるように構成することができる。例えば、検査を、特定のスポーツまたは行為をする被検者の競技レベル、視覚の長所/短所などを検査するために変化させることができる。したがって、検査コンポーネント116は、さらに、提示コンポーネント112が提示する検査(および検査のレベルまたは難易度)の決定に関与することができる。
【0028】
処理コンポーネント118は、入力コンポーネント113が受信した入力を処理するように設けることができる。図3に示すように、処理コンポーネント118は、スコア付け(スコアリング)コンポーネント310、データ収集コンポーネント312と、訓練展開コンポーネント314、伝達コンポーネント316を有することができる。スコア付けコンポーネント310は、提示された検査に対する被検者の応答に基づいてスコアを導出するスコア付けアルゴリズムを使用するように構成することができる。被検者の応答を、一般的にはデータベース104から検索した特定の母集団からの応答と比較することによりスコアを決定することができる。スコア付けコンポーネント310は、視覚マークに対する1個以上の応答を受信および測定することで、被検者の視覚能力を評価することができる。スコア(例えばパーセント表示)を決定した後、提示コンポーネント112により被検者にスコアを表示することができる。スコアは、各検査の終了時、全ての検査の終了時、またはその双方の時点で、表示することができる。
【0029】
データ収集コンポーネント312は、入力コンポーネント114から受信したデータを収集するよう構成することができる。このようなデータを、つぎに、例えば、データベース104内に保存することができる。収集データは、さらに、特定の母集団に対する基準を作成するために使用して、その基準をスコア付けコンポーネント310により使用することができる。当業者であれば、データベース104および/またはスコア付けコンポーネント310を、システム100の他のコンポーネントから離して配置できることを理解できるであろう。
【0030】
訓練展開コンポーネント314は、収集データおよび決定スコアに基づいて被検者に訓練計画または方法を実行するように構成する。本発明の実施形態において、検査ユニット110は、被検者が検査を実行した後に、被検者に訓練をするために用いることができる。
【0031】
伝達コンポーネント316は、決定したスコア、収集データ等を提示コンポーネント112に転送するよう構成することができる。伝達コンポーネント316は、さらに、外部コンピュータ装置、例えば中央位置106にこのデータを供給し、さらなる考察、解析または保存することができる。ある実施形態において、伝達コンポーネント316は、リアルタイムで検査コンポーネント116にデータを供給し、したがって、検査プロセス中に検査を順応設定または変更することができる。実施形態および例を上記のとおり説明したが、当業者であれば、伝達コンポーネント316は、視覚能力の検査に関する情報をコンピュータシステム100の任意のコンポーネントに供給することができることを理解できるであろう。
【0032】
当業者であれば、伝達コンポーネント316は、検査ユニットから情報を任意の好適な周波数で送信できることを理解できるであろう。すなわち、情報を好適な位置に送信することができ、例えば被検者が全ての検査を完了した後に、または代案として各個別の検査が終了した後に、送信できる。もし、存および/または処理のための中央位置106またはデータベース104に情報を送信する場合、1日の終わりに情報を被検者全員にまとめて送信することができる。周波数は、検査ユニットの記憶容量および処理能力、ならびに情報の好適な使用法に依存する。
【0033】
つぎに図2につき説明すると、検査コンポーネント116をさらに示す。検査コンポーネント116は、明瞭視認性コンポーネント210、コントラスト感受性コンポーネント212、視線追従性コンポーネント214、遠近合焦コンポーネント216、固視ずれコンポーネント218を備えることができる。付加的なコンポーネントとして、目標捕捉、視覚鋭敏性、動体視力、注視安定性、奥行き知覚、立体視または任意な他の視覚スキル用のコンポーネントを備えることができる。これらコンポーネントのそれぞれを、検査ユニット110により、個人の視覚能力の様々な態様を検査するために使用することができる。当業者であれば、他の視覚検査は本発明の範囲内で使用することができ、かつ範囲内であること、これらおよび/または他の検査コンポーネントの任意の組み合わせを使用できることを理解できるであろう。
【0034】
明瞭視認性コンポーネント210は、被検者の明瞭視認性を検査するよう構成し、特定の所定位置に視覚マークを表示するステップと、視覚マークを被検者に識別させるステップとを有することができる。例えば、もはや被検者がマークを識別できなくなるまで、表示する視覚マークの大きさを小さくしていくことができる。一般的なアイチャートをそのような検査のために使用できる。代案として、ランドルト環を被検者に提示することができる。ある実施形態において、視覚マークは、提示コンポーネント112として検査装置を用いて提示し、被検者からの視覚マークまでの距離をシミュレートすることができる。当業者であれば、被検者の明瞭視認性を検査する任意の適切な検査を明瞭視認性コンポーネント210が使用できることを理解できるであろう。
【0035】
コントラスト感受性コンポーネント212は、被検者のコントラスト感受性を検査するよう構成する。このようなテストを、固定画像における異なる光度を見分ける被検者の能力を測定するために用いることができる。ある実施形態において、2種類の異なる光度を有する視覚マークを被検者に提示する。被検者は、次に視覚マークの特性を識別する必要があり、被検者に提示される異なる光度を識別させる。当業者であれば、コントラスト感受性の任意の適切な検査を、コントラスト感受性コンポーネント212が使用できることを理解できるであろう。
【0036】
視線追従性コンポーネントは、被検者の視線追従能力を検査するよう構成する。任意の適切な検査を使用でき、これらは本発明の範囲内である。例示として、以下に限定するものではないが、ボックス形状のような視覚マークを被検者に提示することができる。ボックス形状を、ディスプレイ装置上で様々な方向に、様々な速度で移動させることができる。被検者は次に、ボックス内に表示されるランドルト環などの第2視覚マークを識別しなくてはならない。このような検査は、第2視覚マークを識別する前に第1視覚マークを被検者に追従させ、これにより被検者の視覚追従能力を検査する。
【0037】
遠近合焦コンポーネント216は、視覚焦点を近傍から遠方および遠方から近傍に変化させる被検者の能力を検査するよう構成する。例示として、以下に限定するものではないが、この遠近合焦コンポーネントは、提示コンポーネント112として2個以上のディスプレイ装置を使用することができ、遠位ディスプレイ装置を被検者から光学的無限遠またはその近傍に配置し、近位ディスプレイ装置を被検者から異なる位置に配置する。この場合、被検者に、双方のディスプレイ装置に表示される視覚マークを識別させ、変化させた距離で合焦(焦点調節)する被検者の能力を検査する。
【0038】
視覚照準コンポーネント218は、目標に視覚の照準を合わせる被検者の能力を検査するよう構成する。例示として、以下に限定するものではないが、目標物の上方および下方における2個の整列用のバーまたは他の視覚マークを使用することができる。この場合、被検者は、入力デバイスを用いて、2個のバーのそれぞれを目標物に整列するように作業する。この作業は、被検者の目の指示正確性および安定性を検査することができる。もちろん、2個のバーまたは他のマーク以外の2個以上または数個のバーまたは他のマークを使用できる。本発明は、しかし、被検者の視覚照準を検査する任意の方法を意図する。同様に、被検者の奥行き知覚を、被検者にバーまたは他の視覚マークを目標物に整列せさせることで検査することができる。
【0039】
つぎに図4につき説明すると、これは、本発明の実施形態による例示的な視覚検査システム400を示す。検査に参加する被検者410は、活動中の被検者410の視覚能力を検査するために、視覚検査システム400を使用することができる。検査ユニット412は、表示デバイス414および入力デバイス416を備えることができる。この実施形態において、検査ユニット412は検査ユニット412に接続した(例えば、有線または無線接続で)入力デバイス416を通して、被検者410から入力を受信することができる。当業者であれば、被検者410が任意のタイプの入力デバイスにより検査ユニット412に入力を与えることができ、被検者412は適切な応答を与えるために任意の手段(例えば物理的相互作用、音声認識)を通して入力デバイス416に作用することができることを、理解できるであろう。
【0040】
いくつかの検査を被検者に提示可能である検査ユニット412などの一元的の検査ユニットを設けることにより、被検者の視覚能力に対する全体評価を行うことができる。さらに、検査ユニット412は処理能力を有するために、決定したスコアおよび/または被検者の訓練計画を導くためにデータ処理可能である。
【0041】
図5は、本発明の実施形態による視覚システムを示す。この実施形態において、視覚検査を2個の表示デバイス518および520を用いて提示する。2個の表示デバイスを設けることは、両方のデバイスを用いて被検者に視覚マークを提示することを可能にする。上述のように、特定の視覚検査(例えば遠近視覚調節)は、複数の表示デバイスを用いて行うことができる。入力デバイス516は、図5にはジョイスティックとして示すが、任意のタイプの入力デバイスを本発明の範囲内で実装できる。
【0042】
つぎに図6につき説明すると、これは、被検者の視覚能力を検査する方法のフローチャート(ダイアグラム)660を示す。用語「ステップ」および「ブロック」を以下の説明で方法の異なる要素を表すものとして使用するが、この用語は様々なステップの内でまたはステップ相互間で任意の特定の順番を表すように解釈すべきではなく、ただしここのステップの順番を明示したときを除く。初めに、2個以上の視覚能力検査を被検者に実施する(例えば、図1の検査ユニット110を用いる)。このことをブロック610に示す。当業者であれば、上述の任意の検査を実施することができ、個人の視覚能力を測定する任意な他のタイプの検査も実施できることを理解できるであろう。検査ユニットにより実施する各視覚検査を任意の順番で実行できるが、明瞭視認性検査を、一般的に被検者の視覚の基本情報を得るために、1番目に被検者に実施する。検査を被検者に実施する間、被検者は適切な応答を、入力コンポーネントにより検査ユニットに接続した入力デバイスで対話することにより与える。このことをブロック620に示す。処理コンポーネント(例えば、図1における処理コンポーネント118)は、次に、例えばデータの収集、スコアの決定または訓練計画の実施により、受信入力を処理することができる。これらデータを、例えばデータベース104内に保存することができ、または、伝達コンポーネントにより例えば中央位置106に送信することができる。このことをブロック630に示す。
【0043】
随意的に、ブロック640において、各検査において被検者の入力から受信したデータを、被検者のスコアを決定するために用いることができる。個々のスコアを各検査に対して決定することができ、全体のスコアを全検査からのデータに基づいて決定することができる。スコアを、さらに特定の母集団における対応データに基づいて、したがって、被検者のスコアを比較する(例えば、被検者に能力のパーセント表示を与える。)。ブロック650において、被検者の視覚能力を訓練するために、例えば視覚能力に対する決定スコアおよび受信入力に基づいて、訓練計画を展開することができる。
【0044】
本発明を特定の実施形態に関して記載したが、すべて本発明を限定するものではなく、例示を意図するものである。本発明の範囲を逸脱することなく、代替的な実施形態は、当業者に明らかであろう。
【0045】
上述のとおり、本発明は上記の全ての目標および目的を達成するようによく適しており、システムおよび方法について明らかであり固有の他の利点とともにある。特定の特徴およびその組み合わせは実用的であり、他の特徴や組み合わせの例を外れることなく実行できることを理解できるであろう。これらは、特許請求の範囲が意図するものであり、またその範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者の視覚能力を検査する検査装置において、2種類以上の視覚能力検査を提示するように構成した提示コンポーネントであって、被検者は各検査に応じて入力を与える、該提示コンポーネントと、被検者が行った入力を受信するように構成した入力コンポーネントと、前記受信した入力を処理するように構成した処理コンポーネントと、を備えた検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検査装置において、前記処理コンポーネントは、前記受信した入力に基づいてスコアを決定するスコア付けコンポーネントを有する構成とした、検査装置。
【請求項3】
請求項2に記載の検査装置において、前記処理コンポーネントは、さらに、前記決定したスコアに基づいて訓練計画を生成する訓練展開コンポーネントを有する構成とした、検査装置。
【請求項4】
請求項1に記載の検査装置において、2種類以上の視覚能力検査の一つを、明瞭視認性検査とした、検査装置。
【請求項5】
請求項4に記載の検査装置において、前記明瞭視認性検査は、被検者に特定のサイズで提示される視覚マークを有し、前記サイズを被検者が前記視覚マークを識別するまで増大させる、検査装置。
【請求項6】
請求項5に記載の検査装置において、前記視覚マークをランドルト環とした、検査装置。
【請求項7】
請求項1に記載の検査装置において、2種類以上の視覚能力検査の一つを、コントラスト感受性検査とした、検査装置。
【請求項8】
請求項7に記載の検査装置において、コントラスト感受性検査は、一つ以上特定の光度で少なくとも一つの視覚マークを被検者に提示する、検査装置。
【請求項9】
請求項1に記載の検査装置において、2種類以上の視覚能力検査の一つを、距離合焦検査とした、検査装置。
【請求項10】
請求項9に記載の検査装置において、距離合焦検査は、被検者から近距離に第1視覚マークを提示するステップと、被検者から遠距離に第2視覚マークを提示するステップと、を有するものとした、検査装置。
【請求項11】
被検者の視覚能力を検査する方法であって、一元的位置で実行する、該検査方法において、2種類以上の視覚検査を被検者に実施するステップと、各検査に応答する被検者から入力を受信するステップと、前記受信した入力を処理するステップと、を有する検査方法。
【請求項12】
請求項11に記載の検査方法において、さらに、前記受信した入力に基づいてスコアを決定するステップを有する、検査方法。
【請求項13】
請求項12に記載の検査方法において、前記決定したスコアに基づいて訓練計画を作成する訓練展開コンポーネントをさらに有する、検査方法。
【請求項14】
請求項11に記載の検査方法において、2種類以上の視覚能力検査の一つを、明瞭視認性検査とした、検査方法。
【請求項15】
請求項14に記載の検査方法において、前記明瞭視認性検査は、被検者に特定のサイズで表示する視覚マークを有し、前記サイズを被検者が前記視覚マークを識別するまで増大させる、検査方法。
【請求項16】
請求項15に記載の検査方法において、前記視覚マークをランドルト環とした、検査方法。
【請求項17】
請求項11に記載の検査方法において、2種類以上の視覚能力検査の一つをコントラスト感受性検査とした、検査方法。
【請求項18】
請求項17に記載の検査方法において、コントラスト感受性検査は、一つ以上特定の光度で少なくとも一つの視覚マークを被検者に提示する、検査方法。
【請求項19】
請求項11に記載の検査方法において、2種類以上の視覚能力検査の一つを距離合焦検査とした、検査方法。
【請求項20】
請求項19に記載の検査方法において、距離合焦検査は、被検者から近距離に第1視覚マークを提示するステップと、被検者から遠距離に第2視覚マークを提示するステップと、を有する、検査方法。
【請求項21】
被検者の視覚能力を検査する検査装置において、2種類以上の視覚検査を提示するよう構成した提示コンポーネントであって、2種類以上の視覚検査の一つを距離合焦検査とし、被検者は各検査に応答して入力を与える、該提示コンポーネントと、被検者が行った入力を受信するように構成した入力コンポーネントと、前記受信した入力を処理するように構成した処理コンポーネントと、を備えた検査装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2010−523290(P2010−523290A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−503270(P2010−503270)
【出願日】平成20年4月14日(2008.4.14)
【国際出願番号】PCT/US2008/060229
【国際公開番号】WO2008/128178
【国際公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(592228398)ナイキ・インコーポレーテッド (43)
【氏名又は名称原語表記】Nike Inc