説明

一刺二蝶、貝柱・柱状食品の手動式、横型の蝶開き分離・分割装置

【課題】貝柱・柱状食品を、手元で蝶開き食品へ加工する手動式で横型の分離・分割装置。
【解決手段】まな板一枚程の小スペースで、熟練度、経験度問わず、横に分離・分割する装置は、8の字状の蝶開き製品が一往復工程で、投入口の数、刃物枚数の組み合わせ方で同時に複数個加工処理できる横型の蝶開き分離・分割装置。対座する可動部の全面カット用刃物4と繋ぎを保つ部分カット用刃物5の積層集合体を手で横にスライドさせ固定される製品均等ブロック積層集合体の刃物厚み調整板7の間隙を各々通過、刃物受け9に押し当てる事で、分離・分割し、それらの食品は、復路の工程で、自重で、受け皿に落下する。鮮度が命の廻りすし店、厨房、加工処理場、一般家庭等で愛用すると、手元で、瞬く間に新鮮な蝶開き食品へ変貌すると共に、積層する部品を簡素化し、分解、清掃、組立てが楽なコンパクトサイズで収まる手動式で、横型の蝶開き分離・分割する装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貝柱・柱状食品を横型で蝶開き加工処理する分離・分割装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、貝柱・柱状食品の分割装置は、大量処理工場対策として稼働し、中小処理加工場、廻りすし店、一般厨房、調理場等への普及は、スペース、予算等の点で、弱点があった。(特許文献1,2参照)
【0003】
以下、図4、図5により従来の分割装置について説明する。図において、4は、該食品を作業者が列状に搬送する上下搬送ベルトに該食品を挿入し、搬送方向に沿って回転するカッターにより、厚み中心面に刃物が当接することを有し、図5は、スペーサーを介し重ねた円盤組立体の上部に多数の円孔を配置し、その回転する円孔に、作業者が、該食品を投入後、スペーサー円板によって形成された隙間に固定された刃物と当接することで分割することを特徴とするスライス装置である。
【0004】
近年、廻りすしチェーン店での低価格が激化し、その要望に順応するため、貝柱も、薄く8の字状に開く蝶開きの需要が高まり、中小加工処理場では、該食品を作業者が一度、手で、厚みの真横から厚みの中心に薄刃物で、1回カットし二分割後、もう一度、それらの薄く滑り易い該食品の中心に刃物を2回切り込みを入れ、一部分だけ繋ぎのある蝶開き加工処理作業は、1個に付き3回刃物を当てなければならず、10個製造するときの当接総回数は、3回×5個=15回を要し、その作業中は、中腰作業を伴い、重労働で、しかも、人海戦術であるが、熟練度、経験年数で厚みが不均一になり、安定しにくい作業環境にある。
【0005】
なお、貝柱・柱状食品を仕入れる厨房スタッフ、寿司店、中小加工処理工場側では、該食品を発注時には、概ね、大きさ、厚み等サイズを指定し、発注する事が慣例である。また、該工場に於いては、少量多品種の食材を加工処理しなければならないため、小スペース、低価格、メンテナンスが容易で、衛生面に配慮し、装置の分解洗浄および組立てが楽な装置を切望している。
【先行技術文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−016050号公報
【0007】
【特許文献2】特開平06−153777号公報
【0008】
【特許文献3】特開平10−175196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上に述べた従来の貝柱・柱状食品の分割装置は、動力を用い、多数の部品点数で形成され、大量処理加工に適している。
【0010】
本発明は、このような従来の構成が有している問題を解決しようとするものであり、小スペースで、構成部品を少なくした手動式機構で形成し、熟練度、経験度に問われることなく、貝柱・柱状食品の鮮度を保持したまま、手元で8の字状の蝶開き加工・処理することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そして、本発明は、上記目的を達成するために、動力を有しない手動式水平機構からなり、大きさは、一般家庭で使用するまな板一枚程の小スペースで、水平方向で向き合う手動スライド式の刃物積層集合体と固定される製品分割積層集合体を配設する。
【0012】
また、第2の課題解決手段は、形状に合致する製品投入口は、増設可能とし、その製品幅に見合う刃物の幅、長さは、要望にこたえるように準備し、手動式、一往復工程で、同時に、複数個の8の字状の蝶開き食品が手元で新鮮さを保持したまま加工・処理することを可能とする構成としたものである。
【0013】
また、女性作業者、一般調理経験の少ない者でも、経験度を問わず、貝柱・柱状食品の8の字状の蝶開き加工・処理を容易にし、現状の真横から刃物を中心部に当てる中腰での手作業の重労働からの解放と衛生面で加工処理後の装置の分解、洗浄を楽にする構成にしたものである。
【0014】
上記第1の課題解決手段による作用は次の通りである。すなわち、手動スライド可動部集合体の構成は、刃物複数枚でなり、希望する刃物厚み調整板と刃物が上下に交互に積層され、該食品の厚み中心部に真横に輪切りし、2個に分離させる目的の全面カット用刃物とその上下に、一部繋ぎを目的とするストロークに差のある部分カット用刃物は、刃物厚み調整板でそれらの刃物と交互に積層され固定金具によりそれらは連結・固定され、スライドレール上で待機する。一方の対座し下部ベースに固定する製品分割積層集合体は、上部に形状に合致する製品投入口を複数個所有し、対座する複数枚の刃物が水平移動し勘合する間隙を有し、当接目的の刃物受けと製品分割厚み調整板複数枚が交互に積層、連結され、固定金具により、下部ベースに固定する製品分割積層集合体と刃物積層集合体2個を水平方向に対座するように配設したものである。
【0015】
すなわち、下部ベースで固定された製品集合体の上部製品投入口から入れられた貝柱・柱状食品は、下部製品落下防止板で一度筒状の円抗に停留された製品分割集合体に、刃物厚み調整板で交互に積層された全面カット用刃物1枚と部分カット用刃物2枚は、希望する厚み間隔で積層・固定され、手動で水平に対座する固定された製品分割積層集合体の刃物厚み通過の隙間を通過し、製品厚み中心部の刃物受けに当接することで、刃物ストロークの差により、1個の投入された該食品は、2個体に分離・分割され、各々個体は、部分カット刃物で一部分繋がれ、開くと8の字状になる蝶開き食品が、1か所の投入口の時、同時に2個加工・処理され、刃物集合体をスタート起点に戻した時、下部落下防止板も同時に戻ることで、製品投入口の下部出口は開放され、自重で受け皿に落下する。
【0016】
上記第2の課題解決手段の解決策として、刃物集合体に配設する刃物枚数は、上記枚数(全面カット用1枚、部分カット用2枚)に限定されるものではなく、単純に薄くスライスするときは、全面カット用刃物を該食品の希望する厚みに合致する枚数と厚み調整板と刃物が勘合通過することができる製品分割積層集合体の組み合わせ方も可能な構成体からなる。また、厚みのある貝柱・柱状食品で8の字状の蝶開き食品への加工処理個数は、一往復工程で、全面カット刃物枚数×部分カット用刃物枚数×投入口個数=一工程での総加工処理総数となり、この時、それに適合し積層する製品分割集合体、積層する刃物受け枚数と任意の組み合わせ可能な構成となる。廻りすし店、レストラン厨房内、一般調理場内はもとより、中小加工処理工場内での希望する処理個数に対処可能な構成である。
【0017】
そのうえ、本発明の貝柱・柱状食品の8の字状の蝶開き分離・分割装置は、動力・電源を持ち合わせない手動式機構では、部品点数を極力抑えて形成する刃物集合体と製品分割集合体は、各々上下で積層、固定される方式を採用しており、加工処理終了後は、容易に分解・洗浄が単純な構成であり、かつ、衛生面には格段に配慮し、一般女性・経験年数が少ない作業者でも容易に脱着対処可能な構成である。
【0018】
また、既存の貝柱・柱状食品の分離・分割装置で使用する刃物形状は、効率を上げるため回転する刃物を使用するか製品を回転させるため、繋ぎを残す内側のカット面は、波刃物、ギザ刃物は使用不可能だが、上述の発明で使用する刃物は突き刺し型の刃物で一部繋ぎを有する部分カット用刃物に、波刃物、ギザ刃物を併設した時、蝶開きされる内側表面に凹凸が形成され、トッピングが崩れにくく、また、凹凸の影響で触感にプラスの効果が顕著に表れ、2次的作用を生み出すものである。
【発明の効果】
【0019】
上述したように本発明の貝柱・柱状食品の蝶開き分離・分割装置は、手動式機構でなり、かつ、まな板1枚程の小スペースで使用可能で、該食品の投入には、経験度は不要で、しかも、衛生面に配慮した、分解・洗浄が可能であるため、スペース、予算で既存の自動分割装置が未導入の各々の該食品処理加工場、厨房、調理場、寿司店に最良で提供できる。
【0020】
また、上記本発明は、貝柱・柱状食品に限定することなく、根菜類での挟み込む漬物類、肉類での挟み込み食品、鶏肉の一部である砂肝の蝶開き、板蒟蒻での蝶開き、水産練り製品、たまご焼き食品等、今まで手作業で当接し、一部分繋ぎを有する製品へ再加工し、処理する現場への導入は、刃物を厚みの中心に横方向から当接する中腰での手作業重労働から脱却し、中小加工処理工場はもとより、鮮度が命の廻りすし店、一般寿司店、厨房、調理場、一般家庭への導入は、作業改善と効率のアップを発揮するものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態を示す貝柱・柱状食品の蝶開き分離・分割装置の斜視図
【図2】〃該食品の分離・分割装置の断面図
【図3】〃該食品の分離・分割後の貝柱・柱状食品の展開図
【図4】従来の貝柱を上下ベルトで挟み込みカットする装置の断面図
【図5】〃貝柱を回転する円盤状の多数の円孔に投入してスライスする装置の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図1〜5に基づいて説明する。
【0023】
図においては、1は、左側の積層する刃物集合体と右側の積層する製品分割集合体の各ブロックの斜視図である。左側集合体で、厚みを均等で2つに分離させる目的の全面カット用平刃物(4)を厚み中心部で分離するよう配置し、その上下に1枚づつ一部繋ぎの役目を目的とする全面カット用平刃物よりストロークが短い部分カット用刃物(5)を、厚み調整板(6)で各々上下に合体、積層させ、下部の製品落下防止板(3)と最上部の製品上部押え板(1)と各々貫通する円孔2か所の固定ボルト(8)とスライド用握り手(10)で一体となり連結・合体する横スライド可能な刃物集合体である。
【0024】
また、上述の右側の積層する製品分割集合体は、上部に貝柱・柱状食品形状に合致する投入口(11)を配設し、1度に2枚の蝶開き加工処理を希望するときは、製品分割厚み調整板(7)1枚の厚さを、(該食品の厚み−刃物厚み三枚分+刃物通過略余裕分)÷4となるようそれらを複数枚準備し、それら製品分割調整板の間に刃物厚みより略余裕分の厚みを保持する刃物受け(9)とを交互に積層させ、固定ボルト(8)で各々は、貫通する2か所の円孔で上下に連結・積層され、下部ベースに固定される。これらの刃物受けのサイズは、3枚とも幅、厚みを共通とし、使用頻度の高く、毎回当接を受ける全面カット用刃物受けといつでも差替えが効き、右側左側も共通使用できるように、固定ボルト通過用円孔を中心に対象で形成する。下部ベース内側に配設する上下各2本づつの可動部用のスライドレール部は略す。
【0025】
以下、上記構成の動作を説明する。各々集合体ブロックを集積、組み付け固定、配置後、左側の製品落下防止板を、製品が投入される円孔の下側を製品落下防止目的のため塞いだのち、上部入り口から任意の該食品を投入後、手動で左側の刃物集合体を、刃物厚さ分と略余裕分が通過し得る各製品分割調整板の隙間を各々進行し、刃物受けに当接することで、全面カット用平刃物で、1個体の該食品は、2個体となり、その上下に配置された全面カット用刃物とストロークの差だけの部分カット用刃物で、一部分繋ぎのある2個の該食品は、刃物集合体を手動にて、起点に戻した時、製品落下防止板も同時に戻ることで、塞がれた筒状の円孔の最下部が開放され、自重により、下部受け皿に8の字状の蝶開き食品が落下、集積する。1か所の投入口と全面カット刃物1枚とその上下の部分カット用刃物2枚、手動方式、一往復工程で同時に2個の蝶開き食品が加工・処理される。
【0026】
図2は、1個体が、一部繋ぎを有する2個の蝶開き食品へと展開する断面図である
【0027】
図3は、図2で貝柱・柱状食品が分離・分割後、開くと一部繋ぎを有する8の状の蝶開き食品への展開図である。
【0028】
また、貝柱の蝶開き食品を中小加工処理場から出荷されるとき、8の字状に開かれた状態で、10枚をトレーに5枚毎、並列に収め、急速冷凍後真空パックされ出荷されている。このような場合は、上部投入口を5か所配設し、全面カット用刃物1枚と上下の部分カット用刃物各1枚配置し、勘合し刃物が通過、当接に適合する製品分割集合体を積層配置した時の加工処理個数は、1往復工程で、10枚の貝柱蝶開き食品が下部受け皿に集積されるので、効率が断然アップする。手作業での10個蝶開き加工・処理するとき刃物当接回数は、1個につき3回×5個分の15回となり、上記装置を利用すると、1回の手動式往復運動工程で10個の蝶開き食品へ加工・処理するこの装置は、効率で手作業の15回と断然1回を比較しても歴然とし、比較にならないほど効果を発揮する。
【0029】
また、手元でまな板程の小スペースを確保できれば効率よく処理されるため、作業者の手による貝柱・柱状食品への接触回数が少なくなり、衛生面でも効果を発揮する。
【0030】
また、上述装置は、手動式の組立て方式の積層集合体であるため、分解・清掃・組み付けが容易で、そのうえ、駆動部を持たない、非常にシンプルな構造であり、一般の作業者が、日々のメンテナンスにおいても、効果を発揮する。
【符号の説明】
【0031】
1 上部製品押え板
2 製品落下防止板
3 スライドベース
4 製品全面カット用刃物
5 製品部分カット用刃物
6 刃物厚み調整板
7 製品分割厚み調整板
8 ブロック固定金具
9 刃物受け板
10 スライド用握り手兼刃物連結固定金具
11 製品投入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貝柱・柱状食品を、手動方法にて、横方向の一往復間歇工程内で複数個の八の字状の蝶開き食品を加工処理する分離・分割する方法において、対座する二組の積層集合体を配設し、一方は、可動部となり、全面カット用と部分カット用刃物を適宜枚数、適宜間隔で積層した刃物集合体とし、もう一方の固定し対座する集合体は、製品均等分割積層集合体でなり、横方向から輪切りされる刃物厚み通過分の隙間を有し、適宜間隔の刃物受けで分離・分割されるによう積層・連結され、上部投入口から挿入された該食品は、積層された刃物集合体を、手動で水平に積層する製品均等分割集合体へ移動、通過、直角に当接する事で、上記刃物ストロークの差により、厚みを有す1個体は、同時に輪切りされた均等な厚みの2個体を形成させ、部分カットされた2個体は、開くと一部繋ぎを有する8の字状の蝶開き製品が、1個の投入口で同時に2個できる特徴を持つ手動式横型で貝柱・柱状食品を8の字状の蝶開き製品へ加工・処理する分離・分割装置。
【請求項2】
上記刃物集合体は、希望する全面カット用刃物サイズと希望する部分カット用刃物サイズ、各々刃物厚み調整板で交互に積層された集合体でなり、上記製品均等分割集合体も同様で、投入口の形状、投入口の増設、刃物受け板厚み、各々希望組み合わせ可能な積層構成で、分離、分解も容易であり、また、各集合体をユニット化する事も可能な構成で、1回の横往復工程で、希望する均一な厚みの該食品蝶開き加工処理個数は、全面カット用刃物の枚数×部分カット用刃物の枚数×投入口の個数=一工程での該食品の加工処理総数の計算方式が成り立ち、希望する加工処理数を可能にすることを特徴とする、請求項1に記載の手動式、横型の蝶開き分離・分割装置。
【請求項3】
カット用刃物形状と厚さは、刃物調整板の厚みと刃物受け板厚みで変更される構成でなり、薄板状平刃物に限定することなく、波刃物、ギザ刃物類の応用を可能とする特徴を持つ、請求項1・2記載の手動式、横型の蝶開き分離・分割装置。
【請求項4】
この手動式、横型の蝶開き分離・分割装置は、当該食品の自動供給装置、自動のカッター装置と連動する事が可能な構成でなり、蝶開き食品の少量加工処理はもとより、大量処理加工にも対応可能な特徴を持つ、請求項1・2・3記載の手動式、横型の蝶開き分離・分割装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−115251(P2012−115251A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−280963(P2010−280963)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【特許番号】特許第4822148号(P4822148)
【特許公報発行日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(309025214)プラス・アルファー株式会社 (1)
【Fターム(参考)】