説明

一定速度での液体の提供及び厳密に再現可能な容積の液体供給方法並びに装置

【課題】 定期的な再校正を必要としない液体量の供給と液体流速の両方を測定及び制御する方法が必要である。
【解決手段】 ある1種類の液体を特定量だけ又は一定流速で供給する方法が開示されている。本発明の一の態様によると、吸入口と排出口との間での高低差は、調節可能な管集合体によって維持される。オーバーフロー集合体が供されることで、如何なるあふれ出た液体も容器へは入り込まず、かつ液体は特定のレベルに維持される。バルブは吸入口に供される。かつバルブは、オーバーフロー集合体内で液体があふれ出ていることをセンサが検知するときには閉じることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して液体流及び供給の分野に関する。より詳細には本発明は、特定の液体容積及び液体流速の供給の測定及び制御に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な液体が厳密な比で混合される必要のある用途は多数存在する。ある流速で特定量の液体を供給することで、液体混合物の生成は制御される。従来そのようなプロセスは、天秤又は定量ポンプを用いて実現されてきた。定量ポンプは、特定量の液体だけではなく、特定流速の液体を供する能力をさらに有する。しかしこれらの装置のいずれも、精度を維持するために定期的に再調整が必要となる。天秤又は定量ポンプが校正範囲外であることが判明した場合、最後の測定以降の全測定は疑わしいものとなり、天秤又は定量ポンプから得られた疑わしい製品の回収及び再製造をしなければならなくなる恐れもある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、定期的な再校正を必要としない液体量の供給と液体流速の両方を測定及び制御する方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この項は、本発明の複数の態様をまとめ、かついくつかの好適実施例を簡単に紹介することを目的とする。本項、要約、又は本願の目的が不明瞭になるのを避けるため、本項、要約、又は本願の名称は単純化又は省略がなされている。そのような単純化又は省略は、本発明の技術的範囲を限定することを意図していない。
【0005】
ある1種類の液体を特定量だけ又は一定流速で供給する方法が開示されている。本発明の一の態様によると、吸入口と排出口との間での高低差は、調節可能な管集合体によって維持される。オーバーフロー集合体が供されることで、如何なるあふれ出た液体も容器へは入り込まず、かつ液体は特定のレベルに維持される。バルブは吸入口に供される。かつバルブは、オーバーフロー集合体内で液体があふれ出ていることをセンサが検知するときには閉じることができる。
【0006】
本発明の他の態様によると、上方及び下方に調節可能な管集合体はバルブを有する。そのバルブは、重力によって、液体が管集合体からゆっくりと流れ出ることができるように用いられて良い。実施形態に依存して、液体のレベルは、少なくとも1つのレベルセンサ又はオーバーフロー集合体によって維持されて良い。タンク内での液体のレベルを所望のレベルに維持することによって、液体の高さが一定に維持される。このように液体の高さを一定に維持することで、排出口を介して排出される液体の上部圧力が一定に保たれる。その結果、流速が一定となる。
【0007】
一の実施例によると、本発明は容器及び排出口を有する供給システムである。その容器は直立状態で設けられ、かつ管集合体と接続する。開口部はバルブ及びオーバーフロー集合体を介して吸入口と結合する。その排出口は管集合体を介してその容器と接続する。ある1種類の流体は吸入口及びバルブを介して容器に入り、排出口から特定量の流体が排出される。特定量は、吸入口と排出口との高低差によって厳密に決定される。特定量の液体は、供給システムから繰り返し供給されて良い。
【0008】
供給システムは、容器内での液体の高さをあるレベルで一定に維持することによって、一定の液体流速を供して良い。液体の高さを一定に維持することにより、排出口を介して排出される液体の上部圧力を一定に維持する。その結果流速が一定になる。
【0009】
本発明の他の目的、特徴、及び利点は、添付の図と共に以下に示す本発明の実施例についての詳細な説明を検討することで明らかとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の詳細な説明は、手段、工程、論理図、処理、又は流体の混合、供給及び制御に係る動作を直接的又は間接的に表す他の記号表現を用いて広範になされる。これらのプロセスに関する説明及び表現は一般的には、当業者が自分たちの仕事の本質を他の当業者に最も効率良く伝えるために用いられる。本明細書で用いられる、“一の実施例”又は“ある実施例”という語は、その実施例に関連して記載されている具体的特徴部位、構造、又は特性が、本発明の実施例のうちの少なくとも1つに含まれて良いことを意味する。本明細書中の様々な箇所で出てくる“一の実施例”という語は、必ずしも全ての実施例を意味しているのではなければ、独立した、すなわち他の実施例とは相互背反な代替実施例でもない。
【0011】
ここで図1及び図2を参照すると、本発明の実施例が開示されている。しかし当業者は、これらの図に対して与えられた詳細な説明は単なる説明目的でしかなく、本発明はこれらの限られた実施例を超えて拡張されることをすぐに理解するだろう。
【0012】
ここで図を参照する。複数の図を通して、同様の参照番号は同様の部品を意味する。図1は、本発明の一の実施例による、一定量の液体を供給する精度を実現するためのU字管集合体を用いるシステムを図示している。ある1種類の液体(たとえば液体薬品)は、バルブ2が開いていれば、そのバルブ2を介して吸入口1に入り込む。実施形態に依存して、容器8は、タンク、管の一部、又は特定の容積を保持できる容器であって良い。液体が液体レベル16に到達すると、その液体は、吸入口1から流れ続けていれば、管部分4を介して開口部7へ向かう。開口部7では、その液体は重力によって、あふれ出た液体として格納容器(図示されていない)へ流れ込む。
【0013】
気泡が系内に蓄積又は導入されないように、開口部3を使用することが望ましいと考えられる。しかしこのことは特に要件とされているわけではない。たとえば容量性センサのようなセンサ6は、管4からのオーバーフローを検知するように供されている。センサ6がオーバーフローの存在を検知した場合、バルブ2は、流体の流れを止めるために閉じられて良い。オーバーフローが止まり、センサ6がオーバーフローの存在を検知しない場合、バルブ13は、流体を供給するように開いて良い。高低差17によって、容器8がレベル線16(たとえば実質的にオーバーフロー集合体のレベル)まで満たされた後は常に、厳密な量の流体が供給可能となる。同様にセンサ28が、排出口14からの流体の流れを検知しない場合、バルブは次の周期(たとえば吸入口1からバルブ2を介した容器8への再充填)のために閉じられて良い。
【0014】
容器8と接続して、管10、バルブ11、排出バルブ13、排出口14、ベント14、及びセンサ28を有する集合体9が存在する。流体が供給される場合、重力によって、その流体は管10を介して流れ続け、かつバルブ13を介して排出口14の外へ流出することが可能となる。初期の準備(つまり第1周期のための準備)では、流体が管10を介して流れることでレベル19まで満たすときに、準備以前に管10に閉じこめられていた空気は、排出口14及びベント15から追い出すことができる。バルブ13は閉じられる。ここで液体は完全に集合体9を満たす。液体のレベルは、容器8がレベル16にまで満たされるまで上昇し続ける。バルブ2が依然として開いている場合、液体は側部の管4を介してオーバーフロー管7へ流出する。排出口7を介してオーバーフローする過剰な液体は、容器内に改修され、かつたとえばポンプによって吸入口1を介して再導入されて良い。
【0015】
一の実施例によると、センサ6は、管7を介した液体流が引き金となって、バルブ2を閉じるように作動する。センサ6が、余剰量の液体が管7から排出されることを示しているとき、バルブ13は開くことで、排出口14を介して液体を供給する。容器8内での液体のレベルは、レベル16から下降し始める。排出口14を介した液体流は、容器8内での液体レベルがレベル19に到達するときに、止まる。
【0016】
ベント15は、サイフォン効果が生じないことを保証する。サイフォン効果は、液体を流し続け、かつ容器8内での液体のレベルをレベル19より下にしてしまう恐れがある。排出口14を介した液体の流れが止まるとき、センサ28は、供給が完了したことを検知して、バルブ13を閉じるように信号を送る。ここで充填及び供給処理は繰り返されて良い。
【0017】
排出口14をレベル19に維持することにより、重力によって誘起された集合体9を介する流れは、高低差17によって厳密に制御される。よって操作の各周期は、排出口14を介して厳密に同一な量の液体を供給する。可動集合体9が、典型的位置21から典型的位置22へ移動するとき、排出口14はレベル20に移動する。この排出口のレベルの移動は、より大きな高低差18に対応するので、供給される液体の容積は大きくなる。
【0018】
他の実施例によると、図1のシステムは、一定流速を供するのにも用いられて良い。液体が吸入口1に入り、バルブ2を通過して開口部3へ流入して、容器8及び管10へ流入する。バルブ13を介して、液体は排出口14を介して排出される。バルブ2を介した流入速度が排出口14を介した流出速度を超えるので、容器8内での液体のレベルは液体が管4に到達するまで上昇して、排出口7を介してオーバーフローする。センサ6がオーバーフローの存在を検出したときには、バルブ2には、閉じることで系(容器8及び集合体9を含む)内での液体量を同一に保持するように信号が送られる。容器8内での液体のレベルをレベル16に維持することによって、液体17の高さは一定に維持される。このように液体の高さが一定に維持されることで、排出口14を介して排出される液体の上部圧力は一定に保たれる。その結果流速は一定となる。排出口7を介してオーバーフローする余剰液体は、容器内で回収され、かつたとえばポンプによって吸入口1を介して再導入されて良い。
【実施例1】
【0019】
ここで図2を参照すると、ある実施例は、液体のレベルを制御して特定容積を有するある1種類の液体を供給する別な液体センサを用いることを示している。液体は吸入口1を介して、バルブ2を通過して開口部3へ流入する。最初液体は、タンクすなわち容器8、及び、管部分10からの空気を動かす可動集合体9へ流入し、最終的にはバルブ13を介して排出口14へ流出する。空気が系(全ての管、集合体9、及び容器8を含む)の外へ出て行くので、検出器28は、液体の流れを検出して、バルブ13を閉じるように信号を送る。ここで液体は集合体9を満たす。その液体のレベルは、センサ27に到達するまで上昇し続ける。センサ27は、容器8がそのレベルまで液体によって満たされたことを検出して、バルブ2を閉じるように信号を送る。
【0020】
バルブ2を介した液体の流速が高い場合、その結果としての容器8内での液体のレベルは所望のレベル23を超えてしまう恐れがある。液体レベルがより高いレベルに到達してバルブ11が開いたことを検出する他のセンサ26が供される。そのため重力によって、集合体9から液体をゆっくり流すことが可能となる。液体表面がレベル23、又はそれよりもわずかに低いレベルにまで下がったとき、検出器27はこのことを検知して、バルブ11を閉じさせる。一の実施例によると、流体が繰り返しの供給サイクル中に検出されるときに警告信号を与えるセンサ26が供される。
【0021】
容器8内での液体レベルが安定しているとき、バルブ13を開けるように信号が送られる。それにより排出口14を介した液体の供給が可能となる。容器8内でのレベルがレベル19に到達するときに、液体の供給は止まる。排出口14に液体が存在しないことはセンサ28によって検知される。センサ28は、バルブ13を閉じてバルブ2を開けるように信号を送ることで、次のサイクルのための系の準備を行う。
【0022】
供給された液体量は高低差24によって制限されることが分かるだろう。集合体9が典型的位置21から典型的位置22へ移動するとき、排出口14の高さ20のレベルは下がり、供給される液体の量は増大する。ただしその量は、大きくなった高低差24によって制限される。場合によっては、バルブ11は排出口ではなく、又は排出口としての利用に加えて、吸入口として利用されることが望ましいことに留意してほしい。
【0023】
他の実施例によると、図2の系は、流速を制御するのにも用いられる。その際、一定の流速を実現するように液体レベルを一定の高さに制御する液体センサが利用される。ある1種類の液体は、吸入口1を介して流れ、バルブ2及び開口部3を通過して容器8及び可動集合体9へ流入し、管10からの空気を移動させ、かつ最終的にはバルブ13を介して排出口14から流出する。バルブ2を介した流入速度がバルブ13を介した流出速度を超え、液体がセンサ27によって検出可能なレベルにまで到達するまで、容器8内での液体のレベルは上昇する。
【0024】
このことが生じるとき、バルブ2を閉じるように信号が送られることで、液体レベルは、センサ27のわずか下にまで低下することが可能となる。センサ27がもはや液体の存在を検知できないときには、バルブ2を再度開けるように信号が送られる。この処理は、液体レベルを高さ23に維持することで、高さ19より上で一定の高低差24にして、かつ排出口14を介して排出される液体の上部圧力を一定に維持する。その結果、一定の液体流速が実現可能となる。
【0025】
本発明は、液体の種類による高さの違いを利用して供給される液体の量又は速度を制御することは明らかである。定位置で吸入口及び排出口を単純に固定ことによっては、供給される液体の量又は速度を、当初決定された状態から変化させることはできない。しかし固定せずに位置の再設定によって十分調節可能にすることで、吸入口と排出口との間での新たな高低差が実現される。吸入口と排出口の設定位置の移動は、簡単な機械的固定装置、又は遠隔制御されるアクチュエータによって制御されて良い。ある1種類の液体は、ポンプ、圧力容器、又は高架タンクを含む様々な手段により、系内に再導入されて良い。
【0026】
本発明は、ある程度の具体性を以て十分詳細について記載されている。本明細書で開示された実施例は単なる例示であり、「特許請求の範囲」に記載された請求項に係る本発明の技術的思想及び技術的範囲から逸脱することなく、部品の配置及び組み合わせに係る多数の変化が可能であることを当業者はすぐに理解する。従って本発明の技術的範囲は、前述の実施例の記載ではなく「特許請求の範囲」に記載された請求項によって定義される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一の実施例によるU字管の概略図である。
【図2】本発明の他の実施例によるU字管の概略図である。
【符号の説明】
【0028】
1 吸入口
2 バルブ
3 開口部
4 管
5 ベント
6 センサ
7 開口部
8 容器
9 管集合体
10 管
11 バルブ
12 排出口
13 バルブ
14 排出口
15 ベント
16 レベル
17 高低差
18 高低差
19 レベル
20 レベル
21 位置
22 位置
23 高さ
24 高低差
25 高低差
26 センサ
27 センサ
28 センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直立に設けられた状態で管集合体と接続する容器であって、開口部がバルブ及びオーバーフロー集合体を介して吸入口と結合する容器;並びに
前記管集合体を介して前記容器と接続する排出口;
を有する供給システムであって、
ある1種類の流体が、前記吸入口及びバルブを介して前記容器へ流入して、特定量の前記流体が前記排出口から排出され、かつ
前記特定量は、前記吸入口と排出口との間の高低差によって厳密に決定される、
供給システム。
【請求項2】
前記液体が、前記オーバーフロー集合体のレベルを超えたレベルにまで到達するときに、前記オーバーフロー集合体へ向かって流れる、請求項1に記載の供給システム。
【請求項3】
前記オーバーフロー集合体が、ベント及びオーバーフロー用の開口部を有する、請求項2に記載の供給システム。
【請求項4】
前記オーバーフロー用の開口部からの前記液体のオーバーフローを回収するために供された容器をさらに有する、請求項3に記載の供給システム。
【請求項5】
前記オーバーフロー集合体がセンサを有し、
前記センサは、前記オーバーフロー集合体内での前記液体のオーバーフローの存在を検知したときには前記バルブを閉じ、前記特定量の液体が供給された後には前記バルブを開ける、
請求項2に記載の供給システム。
【請求項6】
前記吸入口が、前記高低差だけ、前記排出口よりも物理的に高い位置に設けられている、請求項1に記載の供給システム。
【請求項7】
前記排出口が、前記管集合体の位置を再設定することによって、上下に移動可能である、請求項6に記載の供給システム。
【請求項8】
前記管集合体が開放バルブを有し、
該開放バルブが開いたときには、前記の管集合体からの液体は、重力によってゆっくりと流れ出ることが可能である、
請求項7に記載の供給システム。
【請求項9】
前記容器に第1センサ及び第2センサをさらに有する供給システムであって、
前記第1センサは前記容器内での前記液体のレベルを検知するために供され、かつ
前記第2センサは前記第1センサのレベルを前記液体が超えることを検知するために供される、
請求項8に記載の供給システム。
【請求項10】
前記液体が前記第1センサのレベル又は該レベルよりもわずかに低いレベルにまで下がったとき、前記第1センサが前記開放バルブを閉じさせる、請求項9に記載の供給システム。
【請求項11】
前記バルブを介する前記液体の流速が高い場合には、前記容器内の前記液体は前記第1センサのレベルを超え、
前記液体が前記第1センサのレベルを超えたことを前記第2センサは検知して、該第2センサは前記バルブを閉じさせる、
請求項9に記載の供給システム。
【請求項12】
前記容器の開口部が、当該供給システムへの気泡の蓄積又は導入を防止する、請求項1に記載の供給システム。
【請求項13】
前記排出口と前記管集合体との間で接続する排出バルブをさらに有する、請求項1に記載の供給システム。
【請求項14】
前記排出バルブは、前記液体が前記容器に流入する際に、当該供給システム内に捕らえられた空気を開放するためにのみ開けられる、請求項13に記載の供給システム。
【請求項15】
前記排出バルブは、前記液体が前記オーバーフロー集合体のレベルにまで前記容器を満たす間は閉じている、請求項13に記載の供給システム。
【請求項16】
当該供給システムから前記特定量の液体が供給される、請求項15に記載の供給システム。
【請求項17】
前記容器内での前記液体のレベルをあるレベルに維持することによって前記液体の高さが一定に維持され、
前記の液体の高さが一定に維持されることにより、前記排出口を介して排出される前記液体の上部圧力は一定に保たれる結果、流速が一定となる、
請求項1に記載の供給システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−224672(P2008−224672A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−64175(P2008−64175)
【出願日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(508077551)ケムフロウ システムズ,インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】