説明

一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置

【課題】ローラクラッチ3aがオーバーラン状態からロック状態に切り換わる瞬間に発生する衝撃荷重を吸収(緩和)する為の緩衝体17を備えた構造で、この緩衝体17を設置する事に伴う構造の複雑化を極力抑える。
【解決手段】前記ローラクラッチ3aの設置空間内に、前記緩衝体17を設ける。そして、この緩衝体17を介して、プーリ2aとクラッチ用外輪6aとを結合する。好ましくは、図示の様に、前記緩衝体17を、前記クラッチ用外輪6aを構成する大径円筒部18と径方向に重畳する事なく、この大径円筒部18と軸方向に重畳する位置に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置は、例えば、オルタネータ等の自動車用補機の回転軸に装着して使用する。
【背景技術】
【0002】
自動車のオルタネータを駆動する為のプーリ装置として従来から、一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置の一種である、一方向クラッチ内蔵型プーリ装置を使用する事が一部で行われている。図19〜20は、この様な一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の従来構造の1例を示している。この図19〜20に示した従来構造は、互いに同心に配置された、内径側部材であるスリーブ1と、外径側部材であるプーリ2とを備える。そして、これらスリーブ1の外周面とプーリ2の内周面との間に、一方向クラッチであるローラクラッチ3と、1対の転がり軸受4、4とを設けている。
【0003】
前記スリーブ1は、鋼材に鍛造加工等を施す事により、全体を円筒状に形成しており、オルタネータの回転軸の端部に外嵌固定して、この回転軸と共に回転自在である。一方、前記プーリ2は、鋼材に鍛造加工等を施す事により、全体を円筒状に形成しており、その外周面の一部の幅方向に関する断面形状を波形として、ポリVベルトと呼ばれる無端ベルトの一部を掛け渡し自在としている。そして、前記スリーブ1の外周面と前記プーリ2の内周面との間に存在する円筒状空間の軸方向中間部に前記ローラクラッチ3を、同じく軸方向両端部でこのローラクラッチ3を軸方向両側から挟む位置に前記各転がり軸受4、4を、それぞれ配置している。
【0004】
このうちのローラクラッチ3は、前記プーリ2が前記スリーブ1に対して所定方向に回転する傾向となる場合にのみ、これらプーリ2とスリーブ1との間での回転力の伝達を自在とする。この様なローラクラッチ3は、それぞれがクラッチ用軌道輪であるクラッチ用内輪5及びクラッチ用外輪6と、それぞれがロック部材である複数個のローラ7、7と、クラッチ用保持器8と、これら各ローラ7、7と同数のばね9、9とから成る。このうちのクラッチ用内輪5は、軸受鋼等の硬質金属製の板材又はSCM415等の浸炭鋼の板材により円筒状に造られたもので、前記スリーブ1の軸方向中間部に締り嵌めで外嵌固定している。又、前記クラッチ用外輪6は、やはり軸受鋼等の硬質金属製の板材又はSCM415等の浸炭鋼の板材により、軸方向両端部に内向鍔部を有する円筒状に造られたもので、前記プーリ2の軸方向中間部に締り嵌めで内嵌固定している。又、前記クラッチ用外輪6の軸方向中間部内周面を、外径側係合面である円筒面10とすると共に、前記クラッチ用内輪5の外周面を、内径側係合面であるカム面11としている。即ち、このクラッチ用内輪5の外周面に、それぞれがランプ部と呼ばれる複数の凹部12、12を、円周方向に関し等間隔に形成して、このクラッチ用内輪5の外周面を前記カム面11としている。
【0005】
そして、このカム面11と前記円筒面10との間に、前記各ローラ7、7と、これら各ローラ7、7を転動並びに円周方向に関する若干の変位自在に支持する、前記クラッチ用保持器8とを設けている。前記各ローラ7、7は、軸受鋼等の硬質金属により造られている。又、前記クラッチ用保持器8は、合成樹脂により全体を円環状に造られており、その内周縁部に設けた凸部13、13を前記カム面11の凹部12、12に係合させる事により、前記クラッチ用内輪5に対する回転を阻止している。又、前記クラッチ用保持器8と前記各ローラ7、7との間には、これら各ローラ7、7を円周方向に関して同方向(前記各凹部12、12が浅くなる方向)に押圧する、前記各ばね9、9を設けている。
【0006】
又、前記1対の転がり軸受4、4は、前記プーリ2に加わるラジアル荷重を支承しつつ、このプーリ2と前記スリーブ1との相対回転を自在とする。この様な両転がり軸受4、4として、図示の例では、深溝型の玉軸受を使用している。即ち、これら両転がり軸受4、4はそれぞれ、内周面に深溝型の外輪軌道を有し、前記プーリ2の軸方向両端部に内嵌固定された外輪14と、外周面に深溝型の内輪軌道を有し、前記スリーブ1の軸方向両端部に外嵌固定された内輪15と、前記外輪、内輪両軌道同士の間に転動自在に設けられた複数個の玉16、16とを備える。
【0007】
上述の様に構成する一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の使用時には、前記スリーブ1をオルタネータの回転軸の端部に外嵌固定すると共に、前記プーリ2の外周面に無端ベルトを掛け渡す。この無端ベルトはエンジンのクランクシャフトの端部に固定されたプーリに掛け渡され、このプーリの回転により駆動される。この状態で、前記無端ベルトの走行速度が一定若しくは上昇傾向にある場合には、前記ローラクラッチ3がロック状態となる。即ち、この場合には、前記各ローラ7、7が、前記円筒面10と前記カム面11との間の径方向の幅の狭い部分に食い込んで、これら円筒面10とカム面11とに強く摩擦係合した状態となる。この結果、前記プーリ2から前記スリーブ1への回転力の伝達が可能となる。反対に、前記無端ベルトの走行速度が低下傾向にある場合には、前記ローラクラッチ3がオーバーラン状態となる。即ち、この場合には、前記各ローラ7、7が前記円筒面10と前記カム面11との間の径方向の幅の広い部分に退避した状態となる。この結果、前記プーリ2と前記スリーブ1との相対回転が可能となる。この様に作用する一方向クラッチ内蔵型プーリ装置によれば、前記クランクシャフトの回転角速度が変動した場合でも、前記無端ベルトと前記プーリ2とが擦れ合う事を抑制して、鳴きと呼ばれる異音の発生や摩耗による無端ベルトの寿命低下を抑制できる。これと共に、オルタネータの発電効率が低下する事を抑制できる。
【0008】
上述した様な一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の場合には、前記無端ベルトの走行速度が低下傾向から上昇傾向に移り変わるのと同時に、前記ローラクラッチ3がオーバーラン状態からロック状態に切り換わる。そして、この切り換わりの瞬間に、前記ローラクラッチ3を構成する各回転力伝達部材(前記クラッチ用外輪6、前記各ローラ7、7、前記クラッチ用内輪5)に衝撃荷重が加わる。この事は、前記ローラクラッチ3の耐久性を低下させる原因となる。又、同じ瞬間に、前記プーリ2の外周面に掛け渡された前記無端ベルトにも、前記衝撃荷重が加わる。この事は、この無端ベルトの耐久性を低下させる原因となる。
【0009】
これに対して、特許文献1には、上述の様な不都合の発生を抑制できる機能を備えた、一方向クラッチ内蔵型プーリ装置が記載されている。図示は省略するが、この特許文献1に記載された一方向クラッチ内蔵型プーリ装置は、回転軸の端部に固定するスリーブの外周面と、ローラクラッチを構成するローラクラッチ用内輪の内周面との間に、緩衝体であるコイルスプリングを設置し、このコイルスプリングを介して、前記スリーブと前記ローラクラッチ用内輪とが同期して回転する様に構成している。この様な構成を有する一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の場合、前記ローラクラッチがオーバーラン状態からロック状態に切り換わる瞬間には、前記コイルスプリングが弾性変形する事に基づいて、前記ローラクラッチを構成する各回転力伝達部材(クラッチ用外輪、各ローラ、前記クラッチ用内輪)及び無端ベルトに加わる衝撃荷重を吸収(緩和)する事ができる。この為、この衝撃荷重によって前記ローラクラッチ及び前記無端ベルトの耐久性が低下する事を抑制できる。
【0010】
ところが、この様な特許文献1に記載された一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の場合には、前記コイルスプリングの設置空間を、前記ローラクラッチの設置空間(左右1対の転がり軸受同士の間に挟まれた空間)の内径側に、別個独立に設けている。この為、全体構造が複雑になり、製造コストが嵩む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2009−63040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上述の様な事情に鑑み、一方向クラッチがオーバーラン状態からロック状態に切り換わる瞬間に発生する衝撃荷重を吸収できる機能を備えた一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置を、比較的簡単な構造で実現すべく発明したものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置は、内径側部材と、外径側部材と、1対の転がり軸受と、一方向クラッチとを備える。
このうちの外径側部材は、筒状に造られており、前記内径側部材の周囲にこの内径側部材と同心に配置されている。
又、前記両転がり軸受は、前記内径側部材の外周面と前記外径側部材の内周面との間に軸方向に離隔して設けられ、この内径側部材に対してこの外径側部材を回転可能に支持している。
又、前記一方向クラッチは、前記内径側部材の外周面と前記外径側部材の内周面との間で前記両転がり軸受同士の間に挟まれた空間内に設けられている。この様な一方向クラッチは、円周方向に並べて配置された複数個のロック部材と、これら各ロック部材の内径側に設けられた、前記内径側部材と共に回転する内径側係合面と、これら各ロック部材の外径側に設けられた、前記外径側部材と共に回転する外径側係合面とを有する。そして、これら内径側、外径側両部材同士が所定方向に相対回転する傾向となる場合にのみ、前記各ロック部材が前記内径側、外径側両係合面に対し強く摩擦係合して、前記内径側、外径側両部材同士の間での回転力の伝達を可能とする。
特に、本発明の一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置に於いては、前記一方向クラッチは、前記内径側部材と前記外径側部材とのうちの一方の部材とは別体に設けられた、クラッチ用軌道輪を有している。又、この一方の部材と共に回転する、前記内径側係合面と前記外径側係合面とのうちの一方の係合面は、前記クラッチ用軌道輪の周面に形成されている。更に、前記一方向クラッチを設けた空間の一部に緩衝体が設けられており、この緩衝体を介して前記一方の部材と前記クラッチ用軌道輪とが結合されている。
【0014】
本発明を実施する場合に、好ましくは、請求項2に記載した発明の様に、前記緩衝体を、前記クラッチ用軌道輪のうちでその内周面に前記一方の係合面を形成した部分に対し、径方向に重畳する事なく、軸方向に重畳する位置に配置する。
この様な請求項2に記載した発明の構成を採用する場合には、例えば、請求項3に記載した発明の様に、前記一方の部材を前記外径側部材とし、前記クラッチ用軌道輪を、その内周面に前記一方の係合面である前記外径側係合面を形成したクラッチ用外輪とする。又、このクラッチ用外輪を、その内周面に前記外径側係合面を形成した大径円筒部と、この大径円筒部から軸方向に外れた位置にこの大径円筒部と同心に設けられた、この大径円筒部よりも外径寸法が小さい小径円筒部とを有するものとする。そして、前記緩衝体を、この小径円筒部の外周面と前記外径側部材の内周面とにそれぞれ固定する。
【発明の効果】
【0015】
上述の様に構成する本発明の一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置の場合、一方向クラッチがオーバーラン状態(内径側、外径側両部材同士の相対回転を可能とする状態)からロック状態(内径側、外径側両部材同士の間での回転力の伝達を可能とする状態)に切り換わる瞬間には、緩衝体が弾性変形する事に基づいて、前記一方向クラッチを構成する各回転力伝達部材(内径側係合面を形成した部材、外径側係合面を形成した部材、各ロック部)及び無端ベルトに加わる衝撃荷重を吸収(緩和)する事ができる。この為、この衝撃荷重によって前記一方向クラッチ及び前記無端ベルトの耐久性が低下する事を抑制できる。
【0016】
特に、本発明の場合には、前記緩衝体を、前記一方向クラッチの設置空間内に設置している。即ち、この緩衝体の設置空間を、前記一方向クラッチの設置空間と別個独立に設ける事なく、これら緩衝体の設置空間と一方向クラッチの設置空間とを共通にしている。この為、比較的簡単な構造とする事ができ、その分だけ製造コストを抑えられる。
【0017】
又、請求項2に記載した発明の構成を採用すれば、緩衝体とクラッチ用軌道輪のうちでその周面に一方の係合面を形成した部分とを径方向に重畳配置する構成を採用する場合に比べて、外径側部材の外径寸法を小さくするのが容易となる。従って、省スペース化に寄与できる。又、オルタネータ用の一方向クラッチ内蔵型プーリ装置として使用する場合には、外径側部材であるプーリの外径寸法を小さくできる分、前記オルタネータの回転軸の回転速度を高くする事ができる。この結果、このオルタネータの発電量を多くする事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態の第1例を示す半部断面図。
【図2】この第1例に組み込む緩衝体を軸方向から見た図。
【図3】本発明の実施の形態の第2例を示す、図2と同様の図。
【図4】同第3例を示す、図2と同様の図。
【図5】同第4例を示す、図2と同様の図。
【図6】同第5例を示す、図2と同様の図。
【図7】同第6例を示す、図2と同様の図。
【図8】同第7例を示す半部断面図。
【図9】この第7例に組み込む緩衝体の分解斜視図。
【図10】本発明の実施の形態の第8例を示す、図9と同様の図。
【図11】同第9例を示す半部断面図。
【図12】この第9例に組み込む緩衝体の斜視図。
【図13】本発明の実施の形態の第10例を示す半部断面図。
【図14】この第10例に組み込む緩衝体の斜視図。
【図15】本発明の実施の形態の第11例を示す半部断面図。
【図16】この第11例に組み込む緩衝体の分解斜視図。
【図17】本発明の実施の形態の第12例を示す半部断面図。
【図18】一方向クラッチとして使用可能なスプラグクラッチの1例を示す、図20と同様の図。
【図19】従来構造の1例を示す半部断面図。
【図20】ローラクラッチのみを取り出して示す、図19の拡大A−A断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[実施の形態の第1例]
図1〜2は、本発明の実施の形態の第1例を示している。尚、本例の特徴は、ローラクラッチ3aがオーバーラン状態からロック状態に切り換わる瞬間に発生する衝撃荷重を吸収する為の緩衝体17を設置した点、並びに、この緩衝体17の設置に伴う構造の複雑化を極力抑えた点にある。その他の部分の構造及び作用は、基本的には、前述の図19〜20に示した従来構造の場合と同様である。この為、同等部分には同一符号を付して、重複する図示並びに説明は省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分、並びに、前記従来構造と異なる部分を中心に説明する。
【0020】
本例の場合には、スリーブ1aの外周面とプーリ2aの内周面とを、両方とも単一の円筒面としている。又、前記ローラクラッチ3aを構成するクラッチ用外輪6aは、断面クランク形で全体を段付円筒状に構成している。即ち、このクラッチ用外輪6aは、その内周面を外径側係合面である円筒面10とした大径円筒部18と、この大径円筒部18から軸方向片側(図1に於ける左側)に外れた位置にこの大径円筒部18と同心に設けられた、この大径円筒部18よりも外径寸法が小さい小径円筒部19と、これら大径円筒部18と小径円筒部19との軸方向端部同士を連結する円輪部20とを有する。本例の場合には、前記クラッチ用外輪6aを前記プーリ2aの内周面に締り嵌めで内嵌固定せず、前記大径円筒部18の外周面と前記プーリ2aの内周面との間に、全周に亙り径方向隙間を設けている。又、前記小径円筒部19の外径寸法は、この小径円筒部19の内周面と前記スリーブ1aの外周面とが近接対向する程度にまで、十分に小さくしている。具体的には、前記小径円筒部19の外径寸法を、クラッチ用内輪5の外周面(カム面11)の外接円の直径寸法と同程度にしている。尚、本例の場合、前記プーリ2aが、特許請求の範囲に記載した一方の部材に相当し、前記クラッチ用外輪6aが、同じくこの一方の部材とは別個に設けられたクラッチ用軌道輪に相当し、前記円筒面10が、同じく一方の係合面に相当する。
【0021】
又、本例の場合、前記ローラクラッチ3aの設置空間である、前記スリーブ1aの外周面と前記プーリ2aの内周面との間で1対の転がり軸受4、4同士の間に挟まれた空間内に、前記緩衝体17を設置している。この緩衝体17は、ばね鋼等の弾性材により、全体を円環状に造られたもので、径方向中間部の円周方向等間隔の複数箇所に、それぞれが円周方向に長い円弧形の透孔21、21を、軸方向に形成している。そして、これら各透孔21、21を形成する事により、前記緩衝体17の中心軸を中心とする、この緩衝体17の径方向中間部の捩り剛性を低下させている。この様な緩衝体17は、前記クラッチ用外輪6aを構成する大径円筒部18に対し、径方向に重畳する事なく、軸方向に重畳する位置に配置された状態、即ち、前記小径円筒部19の外周面と前記プーリ2aの内周面とにより径方向両側から挟まれた位置に配置されている。そして、この状態で、前記緩衝体17の内周面を前記小径円筒部19の外周面に、この緩衝体17の外周面を前記プーリ2aの内周面に、それぞれ締り嵌め、溶接、接着等により固定する事で、前記クラッチ用外輪6aと前記プーリ2aとを前記緩衝体17を介して結合している。又、図示の例では、前記ローラクラッチ3a及び緩衝体17を設置した空間の軸方向両端部に、1対の円輪状の仕切板22a、22bを配置している。
【0022】
上述の様に構成する本例の一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置の場合、前記ローラクラッチ3aがオーバーラン状態からロック状態に切り換わる瞬間には、前記緩衝体17に、この緩衝体17の中心軸を中心とする、所定方向の大きな捩り力が作用する。これに伴い、この緩衝体17のうちで、主として径方向中間部に存在する前記各透孔21、21同士の間部分が弾性変形する。そして、この弾性変形に基づいて、前記ローラクラッチ3aを構成する各回転力伝達部材(前記クラッチ用外輪6a、クラッチ用内輪5、各ローラ7)、及び、前記プーリ2aの外周面に掛け渡した図示しない無端ベルトに加わる衝撃荷重が吸収(緩和)される。この為、この衝撃荷重によって前記ローラクラッチ3a及び前記無端ベルトの耐久性が低下する事を抑制できる。
【0023】
特に、本例の場合には、前記緩衝体17を、前記ローラクラッチ3aの設置空間内に設置している。即ち、この緩衝体17の設置空間を、前記ローラクラッチ3aの設置空間と別個独立に設ける事なく、これら緩衝体17の設置空間とローラクラッチ3aの設置空間とを共通にしている。この為、比較的簡単な構造とする事ができ、その分だけ製造コストを抑えられる。又、本例の場合には、前記緩衝体17と、前記クラッチ用外輪6aのうちでその内周面に円筒面10を形成した大径円筒部18とを、径方向に重畳配置する事なく、軸方向に重畳配置する構成を採用している。この為、これらを径方向に重畳配置する構成を採用する場合に比べて、前記プーリ2aの外径寸法を小さくする事ができる。従って、省スペース化に寄与できるだけでなく、このプーリ2aの外径寸法を小さくできる分、オルタネータの回転軸の回転速度を高くする事ができる。この結果、このオルタネータの発電量を多くする事ができる。
【0024】
[実施の形態の第2〜4例]
図3〜5は、本発明の実施の形態の第2〜4例を示している。これら第2〜4例の場合には、それぞれ図示の様に、緩衝体17a、17b、17cの径方向中間部に形成した複数の透孔21a、21b、21cの軸方向から見た形状や個数が、上述した第1例の場合と異なる。その他の構成及び作用は、上述の図1〜2に示した第1例の場合と同様である。尚、図4〜5に示した緩衝体17b、17cは、衝撃緩和に対する方向性がある。具体的には、外周面側が内周面側に対し、前記両図の時計方向に回転する傾向の場合に、良好な衝撃緩和性能を得られる。そこで、回転伝達装置へは、プーリ2a(図1参照)が図4〜5の時計方向に回転する様に組み付ける。
【0025】
[実施の形態の第5例]
図6は、本発明の実施の形態の第5例を示している。上述の図1〜2に示した第1例の場合が、緩衝体17を1つの部品により構成しているのに対し、本例の場合には、緩衝体17dを複数の部品により構成している。本例の場合、この緩衝体17dは、互いに同心に且つ径方向に重畳させて配置した、それぞれが鋼材等の金属材製である外径側円筒部材23及び内径側円筒部材24と、これら外径側、内径側両円筒部材23、24同士を連結する板ばね25とから成る。この板ばね25は、径方向の振幅を持って円周方向に蛇行する状態で、全体を円環状に造られている。そして、前記外径側円筒部材23の円周方向複数箇所に、この外径側円筒部材23の軸方向端面及び内周面にのみ開口する状態で形成した係止溝と、前記内径側円筒部材24の円周方向複数箇所に、この内径側円筒部材24の軸方向端面及び外周面にのみ開口する状態で設けられた係止溝とに、それぞれ前記板ばね25の外径側部分と内径側部分とを係止している。そして、プーリ2a(図1参照)の内周面に前記外径側円筒部材23の外周面を、クラッチ用外輪6aを構成する小径円筒部19(図1参照)の外周面に前記内径側円筒部材24の内周面を、それぞれ締り嵌め、溶接、接着等により固定している。
【0026】
この様に構成する本例の一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置の場合、ローラクラッチ3a(図1参照)がオーバーラン状態からロック状態に切り換わる瞬間には、前記緩衝体17dを構成する外径側、内径側両円筒部材23、24同士の間に、所定方向の大きな相対回転力が作用する。これに伴い、前記緩衝体17dを構成する板ばね25に設けられた、それぞれがU字形である多数の折り返し部が、前記各係止溝の円周方向側面同士の間で周方向に押し潰されて、それぞれの円周方向幅を小さくする態様で弾性変形する。そして、この弾性変形に基づいて、前記切り換わりの瞬間に発生する衝撃荷重が吸収される。その他の構成及び作用は、前述の図1〜2に示した第1例の場合と同様である。
【0027】
[実施の形態の第6例]
図7は、本発明の実施の形態の第6例を示している。上述の図6に示した第5例の場合が、緩衝体17dを構成する板ばね25として、外径側、内径側両円筒部材23、24の円周方向に連続した一体のものを使用しているのに対し、本例の場合には、緩衝体17eを構成する板ばね25a、25aとして、外径側、内径側両円筒部材23、24の円周方向に分割された多数のものを使用している。本例の場合、これら各板ばね25a、25aの軸方向から見た形状は、それぞれ外径側、内径側両円筒部材23、24の径方向に長い長円形としている。その他の構成及び作用は、上述の図6に示した第5例の場合と同様である。
【0028】
[実施の形態の第7例]
図8〜9は、本発明の実施の形態の第7例を示している。本例の場合には、緩衝体17fを構成する、外径側円筒部材23aと、内径側円筒部材24aと、板ばね25bとの構成が、上述の図6に示した第5例の場合と異なる。本例の場合、径方向に関して互いに対向する、前記外径側円筒部材23aの内周面と前記内径側円筒部材24aの外周面とに、それぞれ4個ずつの歯26a、26bを、円周方向に関して等間隔に、且つ、これら両周面同士で円周方向に関する配置の位相を半ピッチずらせた状態で設けている。又、前記板ばね25bは、全体を円環状に構成すると共に、円周方向等間隔の8箇所に、それぞれ径方向から見た形状がコ字形である係合部27、27を、軸方向に関して同方向に突出する状態で備えている。そして、これら各係合部27、27を、前記外径側円筒部材23aの内周面と前記内径側円筒部材24aの外周面との間で円周方向に隣り合う、この外径側円筒部材23aを構成する各歯26a、26aと、前記内径側円筒部材24aを構成する各歯26b、26bとの間に、それぞれ円周方向のがたつきなく係合させている。
【0029】
この様に構成する本例の一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置の場合、ローラクラッチ3aがオーバーラン状態からロック状態に切り換わる瞬間には、前記外径側、内径側両円筒部材23a、24a同士の間に、所定方向の大きな相対回転力が作用する。これにより、前記板ばね25bを構成する8個の係合部27、27のうちで、円周方向に関して1つ飛ばしに存在する4個の係合部27、27に、それぞれの円周方向両側に存在する各歯26a、26bから圧縮力が加わる。この結果、前記4個の係合部27、27の先端に存在する板部が、それぞれ湾曲する態様で弾性変形する。そして、この弾性変形に基づいて、前記切り換わりの瞬間に発生する衝撃荷重が吸収される。その他の構成及び作用は、上述の図6に示した第5例の場合と同様である。
【0030】
[実施の形態の第8例]
図10は、本発明の実施の形態の第8例を示している。上述の図8〜9に示した第7例の場合が、緩衝体17fを構成する、外径側、内径側両円筒部材23a、24b同士の間に組み付ける要素として、板ばね25bを使用しているのに対し、本例の場合には、緩衝体17gを構成する当該要素として、弾性部材28を使用している。この弾性部材28は、ゴムの如きエラストマー等の弾性材により、全体を円環状に造られており、円輪状の基部29と、この基部29の軸方向片側面の円周方向等間隔の8箇所に突設した係合部30、30とを備える。そして、これら各係合部30、30を、前記外径側円筒部材23aの内周面と前記内径側円筒部材24aの外周面との間で円周方向に隣り合う、この外径側円筒部材23aを構成する各歯26aと、前記内径側円筒部材24aを構成する各歯26bとの間に、それぞれ円周方向のがたつきなく係合させている。
【0031】
この様に構成する本例の一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置の場合も、上述した第7例の場合と同様、ローラクラッチ3a(図8参照)がオーバーラン状態からロック状態に切り換わる瞬間には、前記弾性部材28を構成する8個の係合部30、30のうちで、円周方向に関して1つ飛ばしに存在する4個の係合部30、30に、それぞれの円周方向両側に存在する各歯26a、26bから圧縮力が加わる。この結果、前記4個の係合部30、30が、それぞれ円周方向に圧縮される態様で弾性変形する。そして、この弾性変形に基づいて、前記切り換わりの瞬間に発生する衝撃荷重が吸収される。その他の構成及び作用は、上述の図8〜9に示した第7例の場合と同様である。
【0032】
[実施の形態の第9例]
図11〜12は、本発明の実施の形態の第9例を示している。本例の場合は、前述の図1〜2に示した第1例の場合と同様、緩衝体17hを1つの部品により構成している。本例の場合、この緩衝体17hは、ばね鋼等の弾性材により、全体を円筒状に造られたもので、軸方向中間部の円周方向等間隔の複数箇所に、それぞれが円周方向に長い矩形の透孔21d、21dを、径方向に形成している。そして、これら各透孔21d、21dを形成する事により、前記緩衝体17hの中心軸を中心とする、この緩衝体17hの軸方向中間部の捩り剛性を低下させている。又、この緩衝体17hのうちで、前記各透孔21d、21dを挟んだ軸方向両端部のうち、軸方向一端部(図11に於ける左端部)の外径寸法を、残りの部分の外径寸法よりも少しだけ大きくしている。そして、この緩衝体17hの軸方向一端部の外周面をプーリ2bの内周面に、同じく軸方向他端部(図11に於ける右端部)の内周面を、クラッチ用外輪6aを構成する小径円筒部19の外周面に、それぞれ締り嵌め、接着、溶接等により固定している。
【0033】
この様に構成する本例の一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置の場合、ローラクラッチ3aがオーバーラン状態からロック状態に切り換わる瞬間には、前記緩衝体17hに、この緩衝体17hの中心軸を中心とする、所定方向の大きな捩り力が作用する。これに伴い、この緩衝体17hのうちで、主として軸方向中間部に存在する前記各透孔21d、21d同士の間部分が弾性変形する。そして、この弾性変形に基づいて、前記切り換わりの瞬間に発生する衝撃荷重が吸収される。その他の構成及び作用は、前述の図1〜2に示した第1例の場合と同様である。
【0034】
[実施の形態の第10例]
図13〜14は、本発明の実施の形態の第10例を示している。前述の図1〜2に示した第1例の場合が、緩衝体17を1つの部品により構成しているのに対し、本例の場合には、緩衝体17kを複数の部品により構成している。本例の場合、この緩衝体17kは、互いに同心に且つ軸方向に間隔をあけて配置した、それぞれが鋼材等の金属材製である1対の円環部材31a、31bと、これら両円環部材31a、31b同士を連結する板ばね25cとを備える。この板ばね25cは、軸方向の振幅を持って円周方向に蛇行する状態で、全体を円環状に造られている。そして、前記両円環部材31a、31bの円周方向複数箇所に、それぞれこれら両円環部材31a、31bの内周面及び両側面にのみ開口する状態で形成した係止溝に、前記板ばね25cの軸方向両端寄り部分を係止している。そして、前記両円環部材31a、31bのうちの一方(図13に於ける左方)の円環部材31aの外周面をプーリ2bの内周面に、他方(図13に於ける右方)の円環部材31bの内周面を、クラッチ用外輪6aを構成する小径円筒部19の外周面に、それぞれ締り嵌め、溶接、接着等により固定している。
【0035】
この様に構成する本例の一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置の場合、ローラクラッチ3aがオーバーラン状態からロック状態に切り換わる瞬間には、前記緩衝体17kを構成する1対の円環部材31a、31b同士の間に、所定方向の大きな相対回転力が作用する。これに伴い、前記緩衝体17kを構成する板ばね25cのうちで、前記両円環部材31a、31b同士の間に存在する軸方向中間部が、周方向に傾斜する態様で弾性変形する。そして、この弾性変形に基づいて、前記切り換わりの瞬間に発生する衝撃荷重が吸収される。その他の構成及び作用は、前述の図1〜2に示した第1例の場合と同様である。
【0036】
[実施の形態の第11例]
図15〜16は、本発明の実施の形態の第11例を示している。上述の図13〜14に示した第10例の場合が、緩衝体17kを構成する、1対の円環部材31a、31b同士の間に組み付ける要素として、板ばね25cを使用しているのに対し、本例の場合には、緩衝体17mを構成する、1対の円環部材31c、31d同士の間に組み付ける要素として、弾性部材28aを使用している。本例の場合、前記両円環部材31c、31dの互いに対向する軸方向側面に、それぞれ4個ずつの歯26c、26dを、円周方向に関して等間隔に、且つ、これら両軸方向側面同士で円周方向に関する配置の位相を半ピッチずらせた状態で設けている。又、前記弾性部材28aは、ゴムの如きエラストマー等の弾性材により、全体を円環状に造られており、円筒状の基部29aと、この基部29aの外周面の円周方向等間隔の8箇所に突設した係合部30a、30aとを備える。そして、これら各係合部30a、30aを、前記両円環部材31c、31dの軸方向側面同士の間で円周方向に隣り合う、一方(図15に於ける左方)の円環部材31cを構成する各歯26c、26cと、他方(図15に於ける右方)の円環部材31dを構成する各歯26d、26dとの間に、それぞれ円周方向のがたつきなく係合させている。
【0037】
この様に構成する本例の一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置の場合、ローラクラッチ3aがオーバーラン状態からロック状態に切り換わる瞬間には、前記両円環部材31c、31d同士の間に、所定方向の大きな相対回転力が作用する。これにより、前記弾性部材28aを構成する8個の係合部30a、30aのうちで、円周方向に関して1つ飛ばしに存在する4個の係合部30a、30aに、それぞれの円周方向両側に存在する各歯26c、26dから圧縮力が加わる。この結果、前記4個の係合部30a、30aが、それぞれ円周方向に圧縮される態様で弾性変形する。そして、この弾性変形に基づいて、前記切り換わりの瞬間に発生する衝撃荷重が吸収される。その他の構成及び作用は、前述の図13〜14に示した第10例の場合と同様である。
【0038】
[実施の形態の第12例]
図17は、本発明の実施の形態の第12例を示している。前述の図13〜14に示した第10例の場合が、緩衝体17kを構成する、1対の円環部材31a、31b同士の間に組み付ける要素として、板ばね25cを使用しているのに対し、本例の場合には、緩衝体17nを構成する、1対の円環部材31e、31f同士の間に組み付ける要素として、コイルばね32を使用している。このコイルばね32は、前記両円環部材31e、31fにより軸方向両側から挟まれた位置に、これら両円環部材31e、31fと同心に配置された状態で、その両端部を、これら両円環部材31e、31fに結合固定している。そして、ローラクラッチ3aがオーバーラン状態からロック状態に切り換わる瞬間に発生する衝撃荷重を、前記コイルばね32が弾性変形する事に基づいて吸収する様にしている。その他の構成及び作用は、前述の図13〜14に示した第10例の場合と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明を実施する場合、緩衝体は、内径側部材(一方の部材)とクラッチ用軌道輪(外周面に内径側係合面を形成したもの)とを結合する状態で設ける事もできる。
又、一方向クラッチとして、ローラクラッチを使用する場合には、外径側係合面をカム面とし、内径側係合面を円筒面とする事もできる。
又、一方向クラッチとしては、例えば図18に示す様な、外径側、内径側両係合面をそれぞれ円筒面33、34とし、且つ、複数のロック部材をスプラグ35、35とした、スプラグクラッチを使用する事もできる。
又、一方向クラッチを構成する、外径側、内径側両係合面のうち、オーバーラン状態で緩衝体と相対回転する他方の係合面は、外径側、内径側両部材のうちの他方の部材とは別個に設けたクラッチ用軌道輪の周面に形成する他、この他方の部材の周面に直接形成する事もできる。
又、本発明の一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置は、オルタネータ以外の自動車用補機の回転軸、アイドリングストップ車を含む自動車の走行用エンジンのクランクシャフト、この走行用エンジンを始動する為のスタータモータの駆動軸等に装着して使用する事もできる。又、外径側部材は、プーリに限らず、歯車とする事もできる。
【符号の説明】
【0040】
1、1a、1b スリーブ
2、2a、2b プーリ
3、3a ローラクラッチ
4 転がり軸受
5 クラッチ用内輪
6、6a クラッチ用外輪
7 ローラ
8 クラッチ用保持器
9 ばね
10 円筒面
11 カム面
12 凹部
13 凸部
14 外輪
15 内輪
16 玉
17、17a〜17n 緩衝体
18 大径円筒部
19 小径円筒部
20 円輪部
21、21a〜21d 透孔
22a、22b 仕切板
23、23a 外径側円筒部材
24、24a 内径側円筒部材
25、25a〜25c 板ばね
26a〜26d 歯
27 係合部
28、28a 弾性部材
29、29a 基部
30、30a 係合部
31a〜31f 円環部材
32 コイルばね
33 円筒面
34 円筒面
35 スプラグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内径側部材と、この内径側部材の周囲にこの内径側部材と同心に配置された筒状の外径側部材と、これら内径側部材の外周面と外径側部材の内周面との間に軸方向に離隔して設けられ、この内径側部材に対してこの外径側部材を回転可能に支持する1対の転がり軸受と、これら内径側部材の外周面と外径側部材の内周面との間でこれら両転がり軸受同士の間に挟まれた空間内に設けられた一方向クラッチとを備え、この一方向クラッチは、円周方向に並べて配置された複数個のロック部材と、これら各ロック部材の内径側に設けられた、前記内径側部材と共に回転する内径側係合面と、これら各ロック部材の外径側に設けられた、前記外径側部材と共に回転する外径側係合面とを有し、これら内径側、外径側両部材同士が所定方向に相対回転する傾向となる場合にのみ、前記各ロック部材が前記内径側、外径側両係合面に対し強く摩擦係合して、前記内径側、外径側両部材同士の間での回転力の伝達を可能とするものである一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置に於いて、前記一方向クラッチは、前記内径側部材と前記外径側部材とのうちの一方の部材とは別体に設けられたクラッチ用軌道輪を有しており、この一方の部材と共に回転する、前記内径側係合面と前記外径側係合面とのうちの一方の係合面は、前記クラッチ用軌道輪の周面に形成されており、前記一方向クラッチを設けた空間の一部に緩衝体が設けられており、この緩衝体を介して前記一方の部材と前記クラッチ用軌道輪とが結合されている事を特徴とする一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置。
【請求項2】
前記緩衝体が、前記クラッチ用軌道輪のうちでその周面に前記一方の係合面を形成した部分に対し、径方向に重畳する事なく、軸方向に重畳する位置に配置されている、請求項1に記載した一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置。
【請求項3】
前記一方の部材が前記外径側部材であり、前記クラッチ用軌道輪が、その内周面に前記一方の係合面である前記外径側係合面を形成したクラッチ用外輪であり、このクラッチ用外輪は、その内周面に前記外径側係合面を形成した大径円筒部と、この大径円筒部から軸方向に外れた位置にこの大径円筒部と同心に設けられた、この大径円筒部よりも外径寸法が小さい小径円筒部とを有しており、前記緩衝体は、この小径円筒部の外周面と前記外径側部材の内周面とにそれぞれ固定されている、請求項2に記載した一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−255533(P2012−255533A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−130386(P2011−130386)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】