説明

一方向クラッチ

【課題】高速で回転した場合でもばね部材が外輪に接触しにくく、磨耗や破損が生じにくい一方向クラッチを提供する。
【解決手段】ばね部材35が、ロック転動体33とばね固定部34との間で圧縮されるに伴い、先端側35bがラジアル方向において円筒状軌道面31aから遠ざかる向きの傾斜変位Fを生じるものとされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一方向クラッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車用エンジンのクランクシャフトからベルト、プーリユニット等を介してオルタネータを駆動する場合、エンジンの吸入・圧縮・燃焼膨張・排気等の行程を繰り返すことによって、クランクシャフトには脈動的な回転変動(回転中の加速度変動)を生じることがある。このような回転変動が発生すると、プーリ、回転軸、ベルト等に過大な回転トルク(ねじれ)や張力が生じることがある。一例として、圧縮行程等ではクランクシャフトの回転が瞬間的に低下する傾向となるが、オルタネータは大きな慣性を有するためその回転軸はクランクシャフト(オルタネータプーリ)の回転低下に直ちに追従できず、回転軸とプーリとの間に過大な回転トルクを発生する。その結果、ベルトがトルクの発生方向に引張られて張力が変動し、過負荷を生じたり、寿命の低下を招いたりするおそれがある。そこで、このようなベルト等の過負荷や寿命低下を生じないように、プーリと回転軸との間にころ式一方向クラッチを介装する技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−4011号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方向クラッチは、外周カム面が形成された内輪と、内周側に円筒状軌道面が形成された外輪とを備え、外周カム面と円筒状軌道面との間に形成されるくさび状空間にロック転動体(円筒ころ)を設けている。そして、ロック転動体をくさび状空間が狭まる方向へ付勢するばね部材を備える。ロック転動体が外周カム面と円筒状軌道面とでロックされることにより、内輪と外輪が一体回転し、動力伝達状態となる。また、クランクシャフトの回転低下が生じた場合(つまり、プーリの回転速度が低下した場合)、ロック転動体がばね部材の付勢力に抗してくさび状空間内を移動することにより、内輪と外輪が切り離され、動力遮断状態となる。
【0005】
ところが、オルタネータプーリは高速(例えば20000rpm)で回転するため、ばね部材に遠心力が加わり、外輪の円筒状軌道面と接触する問題がある。その結果、ばね部材が磨耗して、一方向クラッチとしての機能が低下することがある。
【0006】
本発明の課題は、高速で回転した場合でもばね部材が外輪に接触しにくく、磨耗や破損が生じにくい一方向クラッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
上記課題を解決するために本発明の一方向クラッチは、
内周側に円筒状軌道面が形成された外輪と、その外輪の内側に同心的に配置されるとともに、自身の外周面に回転半径が周方向に沿って変化する外周カム面が形成された内輪と、円筒状軌道面と外周カム面との間に形成されるラジアル方向空隙に配置されるロック転動体とを備え、ラジアル方向空隙が、外周カム面の周方向中間位置に定められたクラッチアンロック位置にてロック転動体の外径よりも大となり、周方向における外周カム面の第一端側に定められたクラッチロック位置に向けてロック転動体の外径より小となるよう連続的に縮小するくさび状空間とされるとともに、外周カム面の第二端側において基端側が内輪に形成されたばね固定部に固定され、先端側がロック転動体と接してこれをクラッチロック位置に向けて周方向に弾性付勢するばね部材を備えた一方向クラッチにおいて、ばね部材は、ロック転動体とばね固定部との間で弾性圧縮されるに伴い、先端側でラジアル方向において円筒状軌道面から遠ざかる向きの傾斜変位を生じるものとされてなることを特徴とする。
【0008】
上記発明によるとばね部材は、弾性圧縮された場合に先端側が外輪の円筒状軌道面から遠ざかる向きの傾斜変位を生じるものとされている。換言すると、先端側でラジアル方向内側に傾斜する分力が生じるものとなっている。この結果、ばね部材が円筒状軌道に接触しにくくなり、ばね部材の磨耗や破損を防止できるようになる。
なお、このような一方向クラッチは、例えば、ベルトが巻掛けられるプーリと、そのプーリと同心状に配置され一体回転可能な回転軸とのうち一方を原動体、他方を従動体とするプーリユニットにおいて、原動体から従動体に至る伝動径路に介装され、原動体と従動体との間の動力伝達を接続状態と遮断状態との間で切り替える。
【0009】
より詳しくは、ばね部材は、ラジアル方向外側に位置する部分のばね剛性がラジアル方向内側に位置する部分のばね剛性よりも、少なくとも圧縮初期領域において高くなるように構成されている。
【0010】
さらに詳しくは、
ばね部材を形成するばね線材の周回単位が、ラジアル方向におけるばね外周面を形成する外側直線部と、外側直線部の末端に接続するとともにラジアル方向内側へ回り込む第一回込部と、第一回込部の末端に接続しラジアル方向におけるばね内周面を形成する内側直線部と、内側直線部の末端に接続するとともにラジアル方向外側へ回り込む第二回込部とを備え、
ばね部材は、基端側の開始周回単位と先端側の終了周回単位とがいずれも、中間の周回単位よりも巻線傾斜角度が小さくなるように調整され、かつ開始周回単位の巻線始端位置と終了周回単位の巻線終端位置とが、いずれも外側直線部の途中位置となるように巻線されたものが使用されるとともに、終了周回単位とこれに隣接する中間の周回単位とのばねスラスト方向における間隔が、巻線終端位置をなすラジアル方向外側において、これと反対側をなすラジアル方向内側よりも小さくされている。この構造によると、ばね部材の圧縮初期状態において、終了周回単位とこれに隣接する中間の周回単位との間で、ラジアル方向外側の部分が線間接触し、ラジアル方向内側の部分が非接触状態になる。これにより、ラジアル方向外側の部分のばね剛性がラジアル方向内側の部分のばね剛性よりも高くなる。そのため、ばね部材が円筒状軌道面から遠ざかる向きに傾斜変位する。
【0011】
次に、ばね固定部の座面はラジアル方向において外縁側が内縁側よりもクラッチロック位置に近くなる傾斜面とすることができる。この構成によると、ばね部材は基端側から先端側へ向かうほどラジアル方向内側を向くように取り付けられるので、ばね部材に遠心力が加わった場合でも外輪内周面との接触を防止しやすくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
図1は本発明に係る一方向クラッチを備えたプーリユニットの一例を示す正面半断面図、図2はそのプーリユニットに用いられる一方向クラッチのA−A断面図、図3はその要部拡大図である。図1はオルタネータ(図示せず)に付設されるプーリユニット100を示し、ベルトBが巻掛けられてエンジンのクランクシャフトプーリ(図示せず)から動力伝動されるオルタネータプーリ(以下単にプーリともいう)1(原動体)と、プーリ1と同心状に配置されて一体回転可能な筒状の回転軸2(従動体)とを備えている。
【0013】
プーリ1から回転軸2に至る伝動径路であって両者1,2間に形成される環状空間には、環状空間のアキシャル方向中央部に配設される一方向クラッチ3と、一方向クラッチ3のアキシャル方向両側にそれぞれ配設される深溝玉軸受(以下、単に軸受ともいう)4,4(転がり軸受)とを備えている。一方向クラッチ3は、プーリ1(原動体)と回転軸2(従動体)との間の動力伝達を接続状態(図3(A)参照)と遮断状態(図3(B)参照)との間で切り替えるものであり、より詳しくは、プーリ1の回転速度が回転軸2の回転速度よりも遅くなった場合に遮断状態となるものである。また、軸受4,4は、一方向クラッチ3に作用する主としてラジアル荷重を支持する機能を有している。
【0014】
各軸受4は、内輪41、外輪42、複数の玉43(転動体)、および波形の保持器44を含む。図示例の軸受4では、内・外輪41,42間のアキシャル方向外端側のみにシール45を取り付けている。このシール45は、外輪42の一方のシール取付溝42aに対して嵌入装着されており、そのリップが内輪41に対して接触するようになっている。保持器44は、その環状部の円周数カ所にアキシャル方向一方に開放するポケット44aを設けた構造であって、基本構成は一般的に周知のものになっている。この保持器44は、例えばSPCCなどのプレス鋼板で形成される。なお、軸受4,4にはそれぞれ複列玉軸受を用いてもよい。
【0015】
回転軸2の一端側の外周面には、軸受4のシール45を外側から隠蔽するために、環状板7が例えば圧入により取り付けられている。
【0016】
さらに図1及び図2に示すように、一方向クラッチ3は、プーリ1の内周面に固定されて一体回転する環状の外輪31と、回転軸2の外周面に固定されて一体回転する環状の内輪32と、外輪31と内輪32との間に形成される環状空間に軸線をアキシャル方向に沿わせて配置された複数(例えば8個)のロック転動体33(円筒ころ)と、環状空間内でロック転動体33を保持する保持器34(ばね固定部)と、ロック転動体3をクラッチロック位置に向けて付勢するばね部材35とを備えている。
【0017】
具体的には図3(A)に示すように、内輪32は外輪31と同心状に配置されるとともに、自身の外周面に回転半径が周方向に沿って変化する外周カム面32aが形成されている。そして、回転軸2(図1参照)に固定されてこれと一体回転する。ここでは外周カム面32aは、断面正多角形状(例えば正八角形状)の各辺を短辺とする矩形状平面に形成されている(図8参照)。一方、外輪31の内周側には円筒状軌道面31aが形成されている。そして、ラジアル方向空隙が、外周カム面32aの周方向中間位置に定められたクラッチアンロック位置(図3(B))にてロック転動体33の外形よりも大となり、周方向における外周カム面32aの第一端側(例えば、時計回りの下手側)に定められたクラッチロック位置(図3(A))に向けてロック転動体33の外径より小となるよう連続的に縮小するくさび状空間Kが形成されている。また、ばね部材35は、外周カム面32aの第二端側(例えば、時計回りの上手側)において基端側35aがばね固定部34に固定され、先端側35bがロック転動体33と接してこれをクラッチロック位置に向けて周方向に弾性付勢するものである。
【0018】
図3(A)及び図8に示すように、保持器34(ばね固定部)は、内輪32に外嵌固定され、内輪32と一体回転する。また、保持器34には、外周カム面32aに対応する位置にラジアル方向に貫通する形態のポケット部Pが周方向に沿って等間隔で複数個(例えば8個)設けられている。各ポケット部P内にはロック転動体33及びばね部材35がそれぞれ収納され、ばね部材35は保持器34に一体形成された着座部34aに取り付けられる。
【0019】
図3(A)に示すように、外輪31が時計方向に回転する場合、円筒状軌道面31aと外周カム面32aとでロック転動体33がロックされ、プーリ1(原動体)から回転軸2(従動体)へ動力が伝わる接続状態となる(図1参照)。すなわち、ロック転動体33は矢印のごとく外輪31と同方向に自転し、ばね部材35にも付勢されてくさび状空間K内をクラッチロック位置へ移動するので、外輪31と内輪32とが一体回転する。また、図3(B)に示すように、外輪31の回転速度が低下した場合、すなわち、内輪32に対して相対的に反時計回りに外輪31が回転した場合、ロック転動体33は矢印のごとく外輪31と同方向に自転し、ばね部材35の付勢力に抗してばね固定部34との間でこれを弾性圧縮しつつ、くさび状空間K内をクラッチアンロック位置に移動するので、外輪31と内輪32とは動力遮断状態となる。
【0020】
ばね部材35は、ロック転動体33とばね固定部34の間で圧縮されるに伴い、先端側35bがラジアル方向において円筒状軌道面31aから遠ざかる向きの傾斜変位Fを生じるものとなっている(図6(B)参照)。そのため、ばね部材35が外輪31の円筒状軌道面31aに当接(接触)しにくくなり、その結果、ばね部材35の磨耗や破損を防止できる。
【0021】
次に、図4および図5を用いて、ばね部材35の構造を詳細に説明する。図4(A)はばね部材35をラジアル方向外側から見た図であり、図4(B)はアキシャル方向から見た図である。また、図4(A)のX−X矢視図を図5(A)に示し、Y−Y矢視図を図5(B)に示す。これらの図に示すように、ばね部材35を形成するばね線材の周回単位W1〜W5が、ラジアル方向におけるばね外周面を形成する外側直線部S1と、外側直線部S1の末端に接続するとともにラジアル方向内側へ回り込む第一回込部R1と、第一回込部R1の末端に接続しラジアル方向におけるばね内周面を形成する内側直線部S2と、内側直線部S2の末端に接続するとともにラジアル方向外側へ回り込む第二回込部R2とを備えている。
【0022】
また、ばね部材35は、基端側35aの開始周回単位W1と先端側35bの終了周回単位W5とがいずれも、中間の周回単位W2〜W4よりも巻線傾斜角度が小さくなるように調整され、かつ開始周回単位W1の巻線始端位置50と終了周回単位W5の巻線終端位置51とが、いずれも外側直線部S1の途中位置となるように巻線されたものが使用される。
【0023】
そして、終了周回単位W5とこれに隣接する中間の周回単位W4とのばねスラスト方向における間隔d3,d4が、巻線終端位置51をなすラジアル方向外側において、これと反対側をなすラジアル方向内側よりも小さくされている(d3<d4)。また、開始周回単位W1とこれに隣接する中間の周回単位W2とのばねスラスト方向における間隔d1,d2が、巻線始端位置50をなすラジアル方向外側において、これと反対側をなすラジアル方向内側よりも小さくされている(d1<d2)。
【0024】
このような構造にする理由は以下のとおりである。すなわち、周回単位W2〜W4では、ばね付勢力を発生させるために巻線傾斜角度を大きくしているが、上述の開始周回単位W1は、ばね固定部34(図3参照)の座面34bに密着するため、なるべく巻線傾斜角度を小さくする必要がある。また、終了周回単位W5は、ロック転動体33に当接する部分であるため、なるべく巻線傾斜角度を小さくする必要がある。終了周回単位W5の巻線傾斜角度が大きいと、ロック転動体33をまっすぐに付勢できなくなってしまう。
【0025】
次に図6を使って、ばね部材35を圧縮した場合の変化を説明する。図6(A)は圧縮する前であり、図6(B)は圧縮後である。上述したように、間隔d1,d3は間隔d2,d4よりも短くなっているため、ばね部材35を圧縮すると、その圧縮初期領域において、上側直線部S1同士が線間接触し、下側直線部S2は非接触状態となる。その結果、ラジアル方向外側に位置する部分のばね剛性力がラジアル方向内側に位置する部分のばね剛性力よりも高くなる。これにより、ばね部材35の先端側35bがラジアル方向において円筒状軌道面31aから遠ざかる向きの傾斜変位Fを生じる。その結果、ばね部材35が円筒状軌道面31aに接触しにくくなり、ばね部材35の磨耗や破損を防止できる。特に、オルタネータプーリは高速(例えば20000rpm)で回転するので、遠心力によってばね部材35が円筒状軌道面31aに接触しやすくなるが、上述の構造を採用すればこのような問題を効果的に回避できる。
【0026】
また、図7に示すように、ばね固定部34の座面34bを、ラジアル方向において外縁側が内縁側よりもクラッチロック位置(外周カム面32aの第一端側)に近くなる傾斜面にするとよい。このようにすると、ばね部材35が基端側35aから先端側35bへ向けてラジアル方向内側に傾斜して保持されるため、円筒状軌道面31aとの接触防止効果をさらに向上させることが可能となる。
【0027】
なお上述の実施例では、プーリ1が原動体となり、回転軸2が従動体となるプーリユニット(オルタネータプーリ)を用いて説明を行ったが、例えばクランクプーリのように、回転軸が原動体となり、プーリが従動体となるプーリユニットに対しても本発明の一方向クラッチを適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る一方向クラッチを備えたプーリユニットの正面半断面図。
【図2】図1に用いられる一方向クラッチのA−A断面図。
【図3】一方向クラッチの要部拡大図として、(A)は接続状態(B)は遮断状態を示す。
【図4】ばね部材の拡大図として、(A)はラジアル方向から見た図、(B)はアキシャル方向から見た図を示す。
【図5】ばね部材の拡大図として、(A)は図4(A)のX−X矢視図、(B)は同じくY−Y矢視図を示す。
【図6】ばね部材が圧縮された場合の状態説明図として、(A)は圧縮前、(B)は圧縮後を示す。
【図7】ばね固定部の座面を傾斜させた実施例を示す要部拡大図。
【図8】ばね固定部と内輪との組み立てを示す斜視図。
【符号の説明】
【0029】
1 オルタネータプーリ(プーリ:原動体)
2 回転軸(従動体)
3 一方向クラッチ
31 外輪
31a 円筒状軌道面
32 内輪
32a 外周カム面
33 ロック転動体(円筒ころ)
34 保持器(ばね固定部)
34b 座面
35 ばね部材
35a(ばね部材の)基端側
35b(ばね部材の)先端側
50 巻き線始端位置
51 巻き線終端位置
100 プーリユニット
B ベルト
K くさび状空間
R1 第一回込部
R2 第二回込部
S1 外側直線部
S2 内側直線部
W1 開始周回単位
W2〜W4 中間周回単位
W5 終了周回単位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周側に円筒状軌道面が形成された外輪と、その外輪の内側に同心的に配置されるとともに、自身の外周面に回転半径が周方向に沿って変化する外周カム面が形成された内輪と、前記円筒状軌道面と前記外周カム面との間に形成されるラジアル方向空隙に配置されるロック転動体とを備え、前記ラジアル方向空隙が、前記外周カム面の周方向中間位置に定められたクラッチアンロック位置にて前記ロック転動体の外径よりも大となり、当該周方向における前記外周カム面の第一端側に定められたクラッチロック位置に向けて前記ロック転動体の外径より小となるよう連続的に縮小するくさび状空間とされるとともに、前記外周カム面の第二端側において基端側が前記内輪に形成されたばね固定部に固定され、先端側が前記ロック転動体と接してこれを前記クラッチロック位置に向けて周方向に弾性付勢するばね部材を備えた一方向クラッチにおいて、
前記ばね部材は、前記ロック転動体と前記ばね固定部との間で弾性圧縮されるに伴い、前記先端側が前記ラジアル方向において前記円筒状軌道面から遠ざかる向きの傾斜変位を生じるものとされてなることを特徴とする一方向クラッチ。
【請求項2】
前記ばね部材は、ラジアル方向外側に位置する部分のばね剛性がラジアル方向内側に位置する部分のばね剛性よりも、少なくとも圧縮初期領域において高くなるように構成されている請求項1記載の一方向クラッチ。
【請求項3】
前記ばね部材を形成するばね線材の周回単位が、前記ラジアル方向におけるばね外周面を形成する外側直線部と、該外側直線部の末端に接続するとともにラジアル方向内側へ回り込む第一回込部と、該第一回込部の末端に接続し前記ラジアル方向におけるばね内周面を形成する内側直線部と、該内側直線部の末端に接続するとともにラジアル方向外側へ回り込む第二回込部とを備え、
前記ばね部材は、基端側の開始周回単位と先端側の終了周回単位とがいずれも、中間の周回単位よりも巻線傾斜角度が小さくなるように調整され、かつ前記開始周回単位の巻線始端位置と前記終了周回単位の巻線終端位置とが、いずれも前記外側直線部の途中位置となるように巻線されたものが使用されるとともに、前記終了周回単位とこれに隣接する前記中間の周回単位とのばねスラスト方向における間隔が、前記巻線終端位置をなすラジアル方向外側において、これと反対側をなすラジアル方向内側よりも小さくされてなる請求項1または請求項2に記載の一方向クラッチ。
【請求項4】
前記ばね固定部の座面は前記ラジアル方向において外縁側が内縁側よりも前記クラッチロック位置に近くなる傾斜面とされている請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の一方向クラッチ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2008−164031(P2008−164031A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−353062(P2006−353062)
【出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】