一般級数並列映像法を利用した高解像度磁気共鳴映像の生成方法及びその記録媒体
【課題】一般級数並列映像法という磁気共鳴映像法を利用した高解像度磁気共鳴映像の生成方法及びその記録媒体を提供すること。
【解決手段】一般級数並列映像法を利用した高解像度磁気共鳴映像の生成方法は、所定の限定された低周波帯(Low Frequency)を選ぶステップと、全ての周波数帯のうちの限定された低周波帯のみをナイキスト(Nyquist)基準より低い頻度でサンプリングすることにより磁気共鳴データを獲得するステップとを含む。
【解決手段】一般級数並列映像法を利用した高解像度磁気共鳴映像の生成方法は、所定の限定された低周波帯(Low Frequency)を選ぶステップと、全ての周波数帯のうちの限定された低周波帯のみをナイキスト(Nyquist)基準より低い頻度でサンプリングすることにより磁気共鳴データを獲得するステップとを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体を構成する物質の磁気的性質を測定してコンピュータにて再構成・映像化する磁気共鳴映像(Magnetic Resonance Imaging、以下、MRIともいう)技術に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴映像技術において、疾患の種類に対応する多様な人体組織の生理学的情報と、これにより変化する水分子の磁気共鳴学的性質を観察し得る磁気共鳴映像測定方法が新たに開発され続けている。また同時に磁気共鳴映像機器のシステム性能が徐々に向上している。
【0003】
機能磁気共鳴映像(functional Magnetic Resonance Imaging、fMRI)というのは、脳が視覚、聴覚、あるいは動きなどの刺激を受けるとき、時間の経過に応じて脳のどの部分が活性化されるのかを把握するための映像化技術であり、高い時間解像度を有した磁気共鳴映像法を必要とする。
【0004】
このような機能磁気共鳴映像を得るための従来の映像法として、高い時間解像度を有するEPI(Echo Planar Imaging)方法が多く使用されてきた。
【0005】
EPI方法は、機能磁気共鳴映像の大きさが64×64のときによく適用され、その以上の大きさに対しては信号対雑音比(SNR)が低下するから使用し難い。その上、EPI方法は、他の従来の磁気共鳴映像法(一般級数映像法、並列磁気共鳴映像法)とは異なり、映像は速く得るが、幽霊人工物(ghost artifact)又は幾何学的歪み(geometric distortion)が発生するという短所がある。
【0006】
また、従来あるいは現在、一部の病院や研究所では、1.5T(テスラ:Tesla)、あるいは3.0T(テスラ:Tesla)強度の磁気共鳴映像(MRI)装置を主に用いており、機能磁気共鳴映像(fMRI)も、この程度の磁場強度で採用されている。しかしながら、近来、磁気共鳴映像装置がより高い磁場に発展するにつれて、最近では、7.0T(Tesla)という超高磁場システムも世界的にインストールが進められているのが現状である。このような超高磁場システムでは、前で列挙した問題点を抱いているEPI方法を利用した機能磁気共鳴映像撮影はできないと予想される。したがって、EPI方法とは異なる従来の磁気共鳴映像をより迅速に撮ることが求められる。
【0007】
以下、EPI方法よりも一般的に用いられる従来の磁気共鳴映像法(一般級数映像法、並列磁気共鳴映像法)を、図面を参照して説明する。
【0008】
図1は、従来の一般級数映像法のサンプリング方法を説明するための図である。
【0009】
一般級数(Generalized Series,GS)映像法のサンプリング方法は、高い時間的解像度が要求される磁気共鳴映像を獲得するときに主に用いられる方法であって、隣接のフレームにある映像が互いに似ているという事実を利用して映像獲得時間を短縮させる方法である(非特許文献1参照)。
【0010】
図1の左側図は、磁気共鳴データをk−空間全体領域に対してナイキスト(Nyquist)頻度でサンプリングして獲得するケースにおける従来の磁気共鳴映像法のサンプリング方式を示したものである。他方、図1の右側図は、磁気共鳴データをk−空間の全体領域のうちの中央部分の低周波領域に対してのみ限定的にナイキスト頻度でサンプリングして獲得するケースにおける一般級数映像法のサンプリング方式を示したものである。ここで、ナイキスト頻度とは、元の信号周波数帯幅の2倍以上のサンプリング周波数でサンプリングしなければ本来の信号を復旧できないということから得られる最小のサンプリング周波数をいう。
【0011】
図1の右側図では、図1の左側図に比べてデータ獲得時間が2倍以上速いケースを示したが、実際にユーザが設定するサンプリング数の値によって、データ獲得時間がさらに短くすることもできる。
【0012】
このような一般級数映像法のサンプリング方式では、低周波成分に対してのみサンプリングを行ったので、映像の高周波成分が損失したとみられるが、初回の一回のみ獲得する従来の映像法のサンプリング方式により得られた基準(reference)映像により、高周波成分は補償されることができる。一般級数映像法のサンプリング方式では、動的磁気共鳴映像(dynamic MRI、dMRI)の獲得時に隣接のフレームにある映像らは互いに似ているという事実を利用して映像獲得時間を短縮する。
【0013】
このような一般給数映像法のサンプリング方法では、以下の数1のように、一般的にはイメージIGSを関数とし、これを線形で組み合わせて表現する。最終的には再構成したい映像はこのIGSとなる。
【0014】
【数1】
【0015】
ここで、φn(x)は基底関数(Basis function)である。
【0016】
数1について、以下の数2の複素数サイン級数を使用して表現することも可能である。
【0017】
【数2】
【0018】
ここで、Ir(x)は、従来の映像法により得られた基準映像を表す。したがって、cnのみ求めれば、所望のイメージを求めることができるが、これは、数3のようなフーリエ変換関係を満たす条件により決定され得る。
【0019】
【数3】
【0020】
ここで、dc(m)はIr(x)のフーリエ変換の結果を示し、dq(m)は、一般級数映像法のサンプリング方式により得られた映像のフーリエ変換の結果を示したものである。
【0021】
このように、一般級数映像法のサンプリング方法は、k−空間全体領域のうち、低周波領域においてM個のラインのみをサンプリングして映像獲得時間を短縮させる方法である。上記説明は、一次元信号に対する一般級数映像法のサンプリング方式について説明したが、これを二次元に拡張して適用可能なことはいうまでもない。
【0022】
図2は、従来の並列磁気共鳴映像法のサンプリング方法を説明するための図である。
【0023】
図2(a)は、並列磁気共鳴映像法の一つであるSENSE(SENSitivity Encoding)のサンプリング方法を示す図である。SENSEは、後記非特許文献2の中で詳細に説明されている。
【0024】
図2(b)には、図2(a)のSENSEのサンプリング方法により獲得された磁気共鳴データをフーリエ変換して再構成した最終磁気共鳴映像が示されている。
【0025】
図2(a)の左側図には、磁気共鳴データをk−空間全体領域に対してナイキストサンプリング間隔で獲得するケースにおける従来の映像法のサンプリング方法が示され、図2(a)の右側図には、k−空間全体領域に対してナイキストサンプリング間隔より2倍大きい間隔で獲得するケースにおける並列磁気共鳴映像法のサンプリング方法が示されている。このような方法により、データ獲得時間は、既存の場合よりも2倍速くなるはずである。このとき、Reduction factor(R)=2とする。このように得られたデータにフーリエ変換を適用すれば、図2(b)に示すように、再構成された最終の磁気共鳴映像が一回重なった形状(2−fold)で生成される。図2(a)の右側図では、図2(a)の左側図に比べてデータ獲得時間が2倍以上速いケースについて示した。しかしながら、実際にはユーザがナイキストサンプリング間隔より何倍広い間隔でデータを獲得するかによって、データ獲得時間がさらに短縮させることができる。
【0026】
並列磁気共鳴映像法では、位相配列(phased−array)コイルなどの多チャンネルコイルを使用してデータが取得されるが、その場合、エイリアシング(aliasing)された映像がチャネル数分だけ得られるようになる。各チャネルは、自身の固有の特性を有している。これは、映像中、どの部分の明るさ(intensity)が他の部分より、より大きくなるかどうかということである。例えば、チャネル数が4の場合、各チャネル別の上、下、左側又は右側の部分が他の部分に比べて明るくなる。このことは、エイリアシング現象を除去するための付加情報として用いられる。
【0027】
図2(b)では、4チャネルコイルを使用して、人間の脳をナイキスト間隔の2(R=2)倍にして得られた最終の磁気共鳴映像が示されている。図2(b)から、同じ映像であってもチャネル別の明るさ分布が互いに異なることが分かる。
【0028】
上記チャネル別の明るさ分布が異なる映像は、明るさ分布が均一な映像に明るさを表す成分が乗算されたものとしてモデリングすることが可能である。位置別の明るさがどの程度強いかを表したものをセンシティビティ(sensitivity)マップという。各チャネルの映像別にエイリアシングされた程度は、上記センシティビティ(sensitivity)に依存して現れる。ここでR=2の場合は数4で表現できる。
【0029】
【数4】
【0030】
ここで、Sijは、i番目のチャネルのj番目のエイリアシング項に入る映像のセンシティビティを表す。図2の場合は、R=2であるから、jは1、2しかない。すなわち、jが1の場合のものが本来の信号となり、jが2の場合のものはエイリアシング項として機能する信号となる。同じ方式でUjはj番目のエイリアシング項に入る映像の信号値となり、viは、i番目のチャネルのエイリアシングされた信号値となる。これは、数5のように簡潔に表すことができる。
【0031】
【数5】
【0032】
ここで、Vは、実験から得られたデータを表す。仮にSのみを所定のアルゴリズムを介して計算できるとすれば、Uは、数6のようなマトリックス方程式から導けることが分かる。
【0033】
【数6】
【0034】
ここで、Sが上述のセンシティビティマップで表されるとすると、これは、従来の映像方法により得られた基準映像に適切な多項式を合わせた(polynomial fitting)過程を適用して求めることができる。
【0035】
上述の一般級数映像法と並列磁気共鳴映像法は、幽霊人工物や幾何学的歪みがないから超高磁場システムにも適用できる。ただし、これらでは、EPI方法に比べて最終の磁気共鳴映像が得られる速度が極端に遅いという問題点がある。
【0036】
図3は、従来の磁気共鳴映像の生成方法を説明するための図である。図3の方法は、Xuによって提案された方法(後記の非特許文献3参照)である。
【0037】
Xuにより提案されるk−空間サンプリング方法では、k−空間の中央部分は、ナイキスト頻度でM個のラインをサンプリングし、上記中央部分を除いた外側の部分は、ナイキスト頻度より少なくサンプリングする方法である。したがって、上記中央部分のみをナイキスト頻度でサンプリングするという点は、一般級数映像法の特徴点であり、上記外側の部分を少なくサンプリングするという点は、並列磁気共鳴映像法の特徴点ということになる。
【0038】
図3の最左側図は、基準映像を得るときに用いるk−空間サンプリングの模式図である。ここでは、従来の磁気共鳴映像を獲得するときに用いられ、図3の右側図は、Xuにより提案されたサンプリング方法を示したものである。
【0039】
上記Xuにより提案された方法は、一般級数映像法と並列磁気共鳴映像法とを結合し、再構成された映像の質をさらに高めることに焦点を合せている。これは、基本的に時間解像度をさらに向上させる方法ではない。したがって、それぞれの映像法(一般級数映像法、並列磁気共鳴映像法)を使用することより、再構成された映像の質は良くなるが、時間解像度は低下してしまう。
【0040】
【非特許文献1】Z−P.Liang and P.C. Lauterbur.An Efficient Method for Dynamic Magnetic Resonance Imaging.IEEE Transactions on Medical Imaging 1994;13:677−686
【非特許文献2】Pruessmann KP,Weiger M,Scheidegger MB,Boesiger P.Sense:sensitivity encoding for fast MRI.Magn Reson Med 1999;42:952−962
【非特許文献3】Xu D,Ying L,and Liang ZP.Parallel Generalized Series MRI:Algorithm and Application to Cancer Imaging.In:Proceedings of the 26th Annual International Conference of the IEEEE MBS,SanFrancisco,2004
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0041】
そこで、本発明は、上述した従来の技術の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、機能磁気共鳴映像及びその他の動的磁気共鳴映像の獲得時により高解像度で高質のものを得ることができ、その上、現在の傾向である超高磁場磁気共鳴映像システムにも適用できる、一般給数並列映像法を利用した高解像度磁気共鳴映像の生成方法及びその記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0042】
上述した課題を解決するため、本発明に係る一般級数並列映像法を利用した高解像度磁気共鳴映像の生成方法は、所定の限定された低周波帯(Low Frequency)を選ぶステップと、前記所定の限定された低周波帯のみをナイキスト(Nyquist)基準より低い頻度でサンプリングすることにより磁気共鳴データを獲得するステップを含む。
【0043】
ここで、前記ナイキスト基準より低い頻度でサンプリングする方法は、スペースリップ(Sensitivity Profiles From an Array of Coils for Encoding and Reconstruction in Parallel;以下、SPACE RIPとする)のサンプリング方法とすることが好ましい。
【0044】
ここで、前記磁気共鳴データを一般級数映像法の再構成方法により再構成して、中間磁気共鳴映像を生成するステップと、前記中間磁気共鳴映像を並列磁気共鳴映像法の再構成方法により再構成して、前記磁気共鳴データの再構成された最終磁気共鳴映像を生成するステップと、をさらに含めてもよい。
【0045】
前記一般級数映像法の再構成方法に正規化(Regularization)法を付加することにより、前記中間磁気共鳴映像を生成するようにしてもよい。
【0046】
前記並列磁気共鳴映像法の再構成方法に正規化法を付加することにより、前記最終磁気共鳴映像を生成することができる。
【0047】
前記並列磁気共鳴映像法の再構成方法は、SPACE RIPの再構成方法であることが好ましい。
【0048】
また、本発明は、所定の限定された低周波帯を選ぶステップと、前記所定の限定された低周波帯のみをナイキスト基準より低い頻度でサンプリングすることにより磁気共鳴データを獲得するステップを含む、一般級数並列映像法を利用した高解像度磁気共鳴映像の生成方法をコンピュータで実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み出し可能な記録媒体である。
【0049】
ここで、前記ナイキスト基準より低い頻度でサンプリングする方法は、SPACE RIPのサンプリング方法とすることが好ましい。
【0050】
前記一般級数並列映像法を利用した高解像度磁気共鳴映像の生成方法は前記磁気共鳴データを一般級数映像法の再構成方法により再構成して、中間磁気共鳴映像を生成するステップと、前記中間磁気共鳴映像を並列磁気共鳴映像法の再構成方法により再構成して、前記磁気共鳴データの再構成された最終の磁気共鳴映像を生成するステップと、をさらに含めてもよい。
【0051】
前記一般級数映像法の再構成方法に正規化法を付加することにより、前記最終の磁気共鳴映像を生成するようにしてもよい。
【0052】
前記並列磁気共鳴映像法の再構成方法に正規化法を付加することにより、前記最終の磁気共鳴映像を生成するようにしてもよい。
【0053】
ここで、前記並列磁気共鳴映像法の再構成方法は、SPACE RIPの再構成方法とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0054】
本発明によれば、超高磁場システムで適用でき、高い時間解像度を有する一般級数並列映像法を利用した高解像度磁気共鳴映像の生成方法及びその記録媒体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0055】
以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。
【0056】
図4は、本発明の一実施形態に係る一般級数並列映像法を利用した高解像度磁気共鳴映像の生成方法のサンプリング過程を具体的に比較説明するための図である。図4(a)には、従来の磁気共鳴映像法のサンプリング方式が示され、図4(b)には、従来の並列磁気共鳴映像法のサンプリング方式が示されている。図4(c)には、一般級数映像法のサンプリング方式が示され、図4(d)には、本発明で提案される映像法のサンプリング方式が示されている。図4(d)の方式には、図4(b)(c)の特徴が全て含まれている。
【0057】
図4に示すように、本発明の一実施形態に係る一般級数並列映像法を利用した高解像度磁気共鳴映像の生成方法には、全ての周波数帯のうち所定の限定された低周波帯を選び、所定の限定された低周波帯のみをナイキスト基準より低い頻度でサンプリングすることにより、磁気共鳴データを獲得する。なお、サンプリングする周波数帯は、ユーザが任意で定めることができる。
【0058】
ここで、本発明の一実施形態では、ナイキスト基準より低い頻度でサンプリングする方法について説明されているが、上述のSENSEだけでなくSPACE RIPの場合のもの(参考文献:Kyriakos WE,Panych LP,Kacher DF,Westin CF,Bao SM,Mulkern RV and Jolesz FA.Sensitivity Profiles From an Array of Coils for Encoding and Reconstruction in Parallel(SPACE RIP).Magn Reson Med 2000;44:301−308)も適用してもよい。
【0059】
特に、SPACE RIPを適用すれば、次のような効果が得られる。SPACE RIPのサンプリング方式では、磁気共鳴映像の重要な情報は、概して低周波領域にある。このため、低周波領域については細かくサンプリングし、高周波領域については粗くサンプリングするといった任意間隔のサンプリング方式を適用することが可能となる。そうするとこの場合、サンプリングに同一時間要するとしても、良質の映像を得ることができる。
【0060】
なお、SPACE RIPだけでなく、SMASH(参考文献:Sodickson DK,Manning WJ.Simultaneous acquisition of spatial harmonics(SMASH):fast imaging with radio frequency coil arrays.Magn Reson Med 1997;38:591−603.),PILS(参考文献:Griswold MA,Jakob PM,Nittka M,Goldfarb JW and Haase A.Partially Parallel Imaging With Localized Sensitivities(PILS).Magn Reson Med 2000;44:602−609.)又はGRAPPA(参考文献:Griswold MA,Jakob PM,Heidemann RM,Nittka M,Jellus V,Wang J,Kiefer B and Haase A.Generalized Autocalibrating Partially Parallel Acquisitions(GRAPPA).Magn Reson Med 2002;47:1202−1210.)などの場合のものを適用しても、本発明の一実施形態に係る一般級数並列映像法を利用した高解像度磁気共鳴映像の生成方法を実現することができる。
【0061】
図5は、本発明の一実施形態に係る一般級数並列映像法を利用した高解像度磁気共鳴映像の生成方法の映像再構成過程を示した図である。図5(a)は、図4に示したサンプリング過程により生成された磁気共鳴データを説明するための図であり、図5(b)は、 磁気共鳴データを一般級数映像法の再構成方法により再構成した、中間磁気共鳴映像を説明するための図である。図5(c)は、中間磁気共鳴映像を並列磁気共鳴映像法の再構成方法により再構成した、磁気共鳴データの再構成された最終磁気共鳴映像を説明するための図である。
【0062】
図5に示すように、本発明の一実施形態に係る一般級数並列映像法を利用した高解像度機能の磁気共鳴映像の生成方法において、磁気共鳴データを一般級数映像法の再構成方法により再構成して、中間磁気共鳴映像を生成するステップ、及び 前記中間磁気共鳴映像を並列磁気共鳴映像法の再構成方法により再構成して、磁気共鳴データの再構成された最終磁気共鳴映像を生成するステップをさらに含めることができる。
【0063】
ここで、並列磁気共鳴映像法の再構成方法として、SPACE RIPを使用することができる。なお、SPACE RIPに限定せず、SMASH、SENSE、PILS、GRAPPA等で再構成された最終の磁気共鳴映像を生成することもできる。
【0064】
SPACE RIPを利用した並列磁気共鳴映像法の再構成方法は、次のとおりである。
【0065】
Wk(x,y)というセンシティビティプロファイル(sensitivity profile)を有するコイルから受ける磁気共鳴(MR)データは、数7のように表すことができる。
【0066】
【数7】
ここで、x方向のみにフーリエ変換を行うと、
【0067】
上記式を離散領域(discrete domain)でスパニング方程式(spanning equation)を使用すると、数8のように表すことができる。
【0068】
【数8】
【0069】
最後に、正規直交プロパティ(orthonormal property)を使用すると、数9のように表すことができる。
【0070】
【数9】
【0071】
上記数7〜数9は、図6に示すマトリックス方程式で表すことができる。この方程式を解くと、ρベクトルが求まる。
【0072】
上記のようなSPACE RIPを並列磁気共鳴映像法の再構成方法として使用した場合、図7に示すように、列別(カラム別)に磁気共鳴映像を再構成することができる。SPACE RIPは、SENSEに比べて正規化(regularization)効果を向上させることができる。
【0073】
本発明の一実施形態に係る最終の磁気共鳴映像を再構成する場合、正規化(regularization)法も共に付加して使用してもよい。
【0074】
自然系の現象をモデリングするためにサイズの大きいマトリックスを使用した場合、不良設定(ill−posed)問題に直面することがある。不良設定問題として、図6のWマトリックスの条件数(condition number)が極めて大きくなる場合がある。
【0075】
条件数(r)とは、そのマトリックスのシンギュラーバリュー(singular value)の最も大きな値と最も小さな値との比で定義され、この値が極めて大きければ不良設定となる。このような問題を解消する方法として正規化法を使用する。正規化法とは、マトリックス方程式s=Wρを解くとき、解をρ=W−1sとせず、数10のような条件項を付加して解く方法である。
【0076】
【数10】
【0077】
ここで、数10のエクスプリシットソルーション(explicit solution)は、以下の数11のとおりのものである。λは、正規化変数であり、マトリックスシステムにより変わる値を表す。Iは、アイデンティティ(identity)マトリックスを表す。
【0078】
【数11】
【0079】
このように、数10の条件項を付加することにより、マトリックスシステムの安定性を向上させることができる。さらに、堅固な最終の磁気共鳴映像を再構成することができる。
【0080】
図8は、実験での機能磁気共鳴映像パラダイムを示した図である。図8に示すように、実験を行う被験者が磁気共鳴映像装置内に入る。そして、(+)が表示されたときは、被験者は静かに待機し、左手(left hand)という文字が表示されれば左手を軽く動かす。また、右手(right hand)という文字が表示されれば、被験者は右手を軽く動かす。
【0081】
ここで、図8のスキャン(scan)とは、映像の一フレームを意味する。そして、上記右手又は左手が表示されたときの刺激は、磁気共鳴映像装置内において4フレームの映像を撮る間、維持し続ける必要がある。(+)の表示がある理由は、基準映像を得るためであるが、実験終了後、刺激(左手又は右手)を得た時間内に得られた映像が、(+)表示の時間内で得た映像に比べて、どのような差があるかを統計的に分析するためである。このような分析から、脳のどの部分が右手あるいは左手の動きを担当しているかが分かる。
【0082】
従来の方法と本発明に係る方法とを比較するため、 従来の方法と本発明に係る方法とにより図8に示した実験を行った。従来の方法として、EPI方法、単一の並列磁気共鳴映像法及び単一の一般級数映像法を利用した。以下、これらにどのような差があるかを図9〜図12を参照して説明する。
【0083】
まず、EPI方法により実験するときの機能磁気共鳴映像パラメーターについて説明すると、次のとおりである。
【0084】
TR=3000ms,
TE=35ms,
Slice Thickness=5mm,
Number of slice=28,
Matrix size=64×64,
Time/Scan=3sec,
Sequence=EPI
【0085】
次に、本発明の一実施形態に係る一般級数並列映像法を利用した高解像度機能の磁気共鳴映像の生成方法により実験したときの機能磁気共鳴映像パラメーターについて説明すると、次のとおりである。
【0086】
TR=125ms,
TE=34ms,
Slice Thickness=5mm,
Number of slice=3,
Matrix size=24×64,
Time/Scan=3sec,
Sequence=Gradient Echo
【0087】
ここで、EPI方法、単一の並列磁気共鳴映像法、単一の一般級数映像法及び本発明の一実施形態に係る一般級数並列映像法を利用した高解像度磁気共鳴映像の生成方法を全て支援するため、一応、単一の並列磁気共鳴映像法によりReduction factor(R)=2.67のときのデータを得た。R=2.67の場合は、64個の位相符号化を行わなければならないとすると、そのうちの24個のみの位相符号化を行えばよい。一方、この実験のスライスの個数(numberofslice)がEPI方法に比べて少ない理由は、時間制約のためである。これは、初期に脳から刺激が現れると予想される部分をよく選択すればよいので、さほど問題にならない。
【0088】
以上のように、データを並列磁気共鳴映像法によりR=2.67と得たが、これを並列磁気共鳴映像法により再構成して一杯としたk−空間(full k−space)を得た後、このうちの中央部分の32個のラインのみを選択して一般級数映像法を適用すれば、単一の一般級数映像法を利用した実験結果が得られるようになる。初期にR=2.67で得たデータから、中央部分の16個のラインのみを選択して提案された方法を適用すれば、本発明の一実施形態に係る一般級数並列映像法を利用した高解像度磁気共鳴映像の生成方法の実験結果が得られるようになる。
【0089】
図9は、EPI方法を利用して再構成された機能磁気共鳴映像を示す図である。図9の左側図は、左手刺激の場合(図9(a)〜(c))、また図9の右側図の場合(図9(e)〜(f))は、右手刺激のときの脳の活性化領域を示すマップである。活性化された程度が大きいほど、濃い色で表示される。3次元脳をどの方向からみるかによって、3個の断面に分けられる。ここでは、側面(Sagittal)、前後面(Coronal)及び平面(Axial)の断面とした。
【0090】
左手運動の場合は、脳の右半球が担当するので、図9(c)の平面(Axial)の断面図をみると、脳の左半球に比べて右半球の活性化程度が高く、逆に、右手運動の場合は、右半球に比べて左半球の活性化程度が高いことがわかる。運動刺激を担当する脳の位置は、図9(a)(b)の左側図のボックス枠901に示すように、脳の上部に位置している。このことは、脳の上部の部分が他の部分に比べて濃い色で現れていることから分かる。
【0091】
図10は、並列磁気共鳴映像法のみを利用して再構成された機能磁気共鳴映像を示した図である。図10に示すように、左手運動の場合は脳の右半球を、右手運動の場合は脳の左半球を活性化させる程度が高くなることが測定された。
【0092】
図10の場合には図9に示した場合に比べて、脳が活性される位置が少なく現れる理由は、上述したようにEPI方法に比べてnumber of sliceが少ないためである。この場合、sliceの位置は、図9のボックス枠901の部分に限定的に定められており、この部分がROI(Region Of Interest)となる。したがって、その他の部分は、活性化した程度(度合い)がみえない。
【0093】
EPI方法を利用して実験したときの結果と比較した場合、所望のROIでは、活性化された程度が同じ程度になることが分かる。
【0094】
図11は、一般級数映像法のみを利用して再構成された機能磁気共鳴映像を示した図である。図11から、このときの脳の活性化パターンは、図10の場合の並列磁気共鳴映像法のみの実験結果とほぼ同様になることが分かる。このことから、一般級数映像法のみにより再構成された映像は、並列磁気共鳴映像法のみにより再構成された映像と差がほとんど生じないことが分かる。
【0095】
図12は、本発明の一実施形態に係る一般級数並列映像法を利用した高解像度磁気共鳴映像の生成方法により再構成された機能磁気共鳴映像を示した図である。図12から、このときの脳の活性化パターンは、図10及び図11の場合とほぼ同一になることが分かる。このことから、再構成された映像は、一般級数映像法又は並列磁気共鳴映像法により再構成された結果と差がほどんど生じないことが分かる。
【0096】
よって、本発明の一実施形態に係る一般級数並列映像法を利用した高解像度磁気共鳴映像の生成方法は、高い時間解像度を要求する磁気共鳴映像獲得時に広く用いられることができ、医療分野で時間に応じて物体が動く対象に対して映像化するときに主に使用することができる。
【0097】
また、7.0T(Tesla)という超高磁場システムにも適用できるし、また、超高磁場の脳機能磁気共鳴映像装置にも適用することができる。
【0098】
また、EPI方法とは異なり、再構成された映像から幽霊人工物(ghost artifact)、幾何学的歪み(geometric distortion)がほとんど発生しない。
【0099】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で様々な変更が可能である。また、それらの変更内容も本発明の技術的範囲に属する。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】従来の一般級数映像法のサンプリング方法を説明するための図である。
【図2】従来の並列磁気共鳴映像法のサンプリング方法を説明するための図である。
【図3】従来の磁気共鳴映像の生成方法を説明するための図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る一般級数並列映像法を利用した高解像度磁気共鳴映像の生成方法のサンプリング方法を具体的に説明するための図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る一般級数並列映像法を利用した高解像度磁気共鳴映像の生成方法の再構成方法を示した図である。
【図6】スペースリップ(SPACE RIP)で一列を再構成するためのマトリックス方程式を示した図である。
【図7】列別(column by column)の再構成図である。
【図8】実験における機能磁気共鳴映像パラダイムを示した図である。
【図9】EPI方法のみを利用して再構成された機能磁気共鳴映像の分析結果を示した図である。
【図10】並列磁気共鳴映像法のみを利用して再構成された機能磁気共鳴映像の分析結果を示した図である。
【図11】一般級数映像法のみを利用して再構成された機能磁気共鳴映像の分析結果を示した図である。
【図12】本発明の一実施形態に係る一般級数並列映像法を利用した高解像度磁気共鳴映像の生成方法により再構成された機能磁気共鳴映像の分析結果を示した図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体を構成する物質の磁気的性質を測定してコンピュータにて再構成・映像化する磁気共鳴映像(Magnetic Resonance Imaging、以下、MRIともいう)技術に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴映像技術において、疾患の種類に対応する多様な人体組織の生理学的情報と、これにより変化する水分子の磁気共鳴学的性質を観察し得る磁気共鳴映像測定方法が新たに開発され続けている。また同時に磁気共鳴映像機器のシステム性能が徐々に向上している。
【0003】
機能磁気共鳴映像(functional Magnetic Resonance Imaging、fMRI)というのは、脳が視覚、聴覚、あるいは動きなどの刺激を受けるとき、時間の経過に応じて脳のどの部分が活性化されるのかを把握するための映像化技術であり、高い時間解像度を有した磁気共鳴映像法を必要とする。
【0004】
このような機能磁気共鳴映像を得るための従来の映像法として、高い時間解像度を有するEPI(Echo Planar Imaging)方法が多く使用されてきた。
【0005】
EPI方法は、機能磁気共鳴映像の大きさが64×64のときによく適用され、その以上の大きさに対しては信号対雑音比(SNR)が低下するから使用し難い。その上、EPI方法は、他の従来の磁気共鳴映像法(一般級数映像法、並列磁気共鳴映像法)とは異なり、映像は速く得るが、幽霊人工物(ghost artifact)又は幾何学的歪み(geometric distortion)が発生するという短所がある。
【0006】
また、従来あるいは現在、一部の病院や研究所では、1.5T(テスラ:Tesla)、あるいは3.0T(テスラ:Tesla)強度の磁気共鳴映像(MRI)装置を主に用いており、機能磁気共鳴映像(fMRI)も、この程度の磁場強度で採用されている。しかしながら、近来、磁気共鳴映像装置がより高い磁場に発展するにつれて、最近では、7.0T(Tesla)という超高磁場システムも世界的にインストールが進められているのが現状である。このような超高磁場システムでは、前で列挙した問題点を抱いているEPI方法を利用した機能磁気共鳴映像撮影はできないと予想される。したがって、EPI方法とは異なる従来の磁気共鳴映像をより迅速に撮ることが求められる。
【0007】
以下、EPI方法よりも一般的に用いられる従来の磁気共鳴映像法(一般級数映像法、並列磁気共鳴映像法)を、図面を参照して説明する。
【0008】
図1は、従来の一般級数映像法のサンプリング方法を説明するための図である。
【0009】
一般級数(Generalized Series,GS)映像法のサンプリング方法は、高い時間的解像度が要求される磁気共鳴映像を獲得するときに主に用いられる方法であって、隣接のフレームにある映像が互いに似ているという事実を利用して映像獲得時間を短縮させる方法である(非特許文献1参照)。
【0010】
図1の左側図は、磁気共鳴データをk−空間全体領域に対してナイキスト(Nyquist)頻度でサンプリングして獲得するケースにおける従来の磁気共鳴映像法のサンプリング方式を示したものである。他方、図1の右側図は、磁気共鳴データをk−空間の全体領域のうちの中央部分の低周波領域に対してのみ限定的にナイキスト頻度でサンプリングして獲得するケースにおける一般級数映像法のサンプリング方式を示したものである。ここで、ナイキスト頻度とは、元の信号周波数帯幅の2倍以上のサンプリング周波数でサンプリングしなければ本来の信号を復旧できないということから得られる最小のサンプリング周波数をいう。
【0011】
図1の右側図では、図1の左側図に比べてデータ獲得時間が2倍以上速いケースを示したが、実際にユーザが設定するサンプリング数の値によって、データ獲得時間がさらに短くすることもできる。
【0012】
このような一般級数映像法のサンプリング方式では、低周波成分に対してのみサンプリングを行ったので、映像の高周波成分が損失したとみられるが、初回の一回のみ獲得する従来の映像法のサンプリング方式により得られた基準(reference)映像により、高周波成分は補償されることができる。一般級数映像法のサンプリング方式では、動的磁気共鳴映像(dynamic MRI、dMRI)の獲得時に隣接のフレームにある映像らは互いに似ているという事実を利用して映像獲得時間を短縮する。
【0013】
このような一般給数映像法のサンプリング方法では、以下の数1のように、一般的にはイメージIGSを関数とし、これを線形で組み合わせて表現する。最終的には再構成したい映像はこのIGSとなる。
【0014】
【数1】
【0015】
ここで、φn(x)は基底関数(Basis function)である。
【0016】
数1について、以下の数2の複素数サイン級数を使用して表現することも可能である。
【0017】
【数2】
【0018】
ここで、Ir(x)は、従来の映像法により得られた基準映像を表す。したがって、cnのみ求めれば、所望のイメージを求めることができるが、これは、数3のようなフーリエ変換関係を満たす条件により決定され得る。
【0019】
【数3】
【0020】
ここで、dc(m)はIr(x)のフーリエ変換の結果を示し、dq(m)は、一般級数映像法のサンプリング方式により得られた映像のフーリエ変換の結果を示したものである。
【0021】
このように、一般級数映像法のサンプリング方法は、k−空間全体領域のうち、低周波領域においてM個のラインのみをサンプリングして映像獲得時間を短縮させる方法である。上記説明は、一次元信号に対する一般級数映像法のサンプリング方式について説明したが、これを二次元に拡張して適用可能なことはいうまでもない。
【0022】
図2は、従来の並列磁気共鳴映像法のサンプリング方法を説明するための図である。
【0023】
図2(a)は、並列磁気共鳴映像法の一つであるSENSE(SENSitivity Encoding)のサンプリング方法を示す図である。SENSEは、後記非特許文献2の中で詳細に説明されている。
【0024】
図2(b)には、図2(a)のSENSEのサンプリング方法により獲得された磁気共鳴データをフーリエ変換して再構成した最終磁気共鳴映像が示されている。
【0025】
図2(a)の左側図には、磁気共鳴データをk−空間全体領域に対してナイキストサンプリング間隔で獲得するケースにおける従来の映像法のサンプリング方法が示され、図2(a)の右側図には、k−空間全体領域に対してナイキストサンプリング間隔より2倍大きい間隔で獲得するケースにおける並列磁気共鳴映像法のサンプリング方法が示されている。このような方法により、データ獲得時間は、既存の場合よりも2倍速くなるはずである。このとき、Reduction factor(R)=2とする。このように得られたデータにフーリエ変換を適用すれば、図2(b)に示すように、再構成された最終の磁気共鳴映像が一回重なった形状(2−fold)で生成される。図2(a)の右側図では、図2(a)の左側図に比べてデータ獲得時間が2倍以上速いケースについて示した。しかしながら、実際にはユーザがナイキストサンプリング間隔より何倍広い間隔でデータを獲得するかによって、データ獲得時間がさらに短縮させることができる。
【0026】
並列磁気共鳴映像法では、位相配列(phased−array)コイルなどの多チャンネルコイルを使用してデータが取得されるが、その場合、エイリアシング(aliasing)された映像がチャネル数分だけ得られるようになる。各チャネルは、自身の固有の特性を有している。これは、映像中、どの部分の明るさ(intensity)が他の部分より、より大きくなるかどうかということである。例えば、チャネル数が4の場合、各チャネル別の上、下、左側又は右側の部分が他の部分に比べて明るくなる。このことは、エイリアシング現象を除去するための付加情報として用いられる。
【0027】
図2(b)では、4チャネルコイルを使用して、人間の脳をナイキスト間隔の2(R=2)倍にして得られた最終の磁気共鳴映像が示されている。図2(b)から、同じ映像であってもチャネル別の明るさ分布が互いに異なることが分かる。
【0028】
上記チャネル別の明るさ分布が異なる映像は、明るさ分布が均一な映像に明るさを表す成分が乗算されたものとしてモデリングすることが可能である。位置別の明るさがどの程度強いかを表したものをセンシティビティ(sensitivity)マップという。各チャネルの映像別にエイリアシングされた程度は、上記センシティビティ(sensitivity)に依存して現れる。ここでR=2の場合は数4で表現できる。
【0029】
【数4】
【0030】
ここで、Sijは、i番目のチャネルのj番目のエイリアシング項に入る映像のセンシティビティを表す。図2の場合は、R=2であるから、jは1、2しかない。すなわち、jが1の場合のものが本来の信号となり、jが2の場合のものはエイリアシング項として機能する信号となる。同じ方式でUjはj番目のエイリアシング項に入る映像の信号値となり、viは、i番目のチャネルのエイリアシングされた信号値となる。これは、数5のように簡潔に表すことができる。
【0031】
【数5】
【0032】
ここで、Vは、実験から得られたデータを表す。仮にSのみを所定のアルゴリズムを介して計算できるとすれば、Uは、数6のようなマトリックス方程式から導けることが分かる。
【0033】
【数6】
【0034】
ここで、Sが上述のセンシティビティマップで表されるとすると、これは、従来の映像方法により得られた基準映像に適切な多項式を合わせた(polynomial fitting)過程を適用して求めることができる。
【0035】
上述の一般級数映像法と並列磁気共鳴映像法は、幽霊人工物や幾何学的歪みがないから超高磁場システムにも適用できる。ただし、これらでは、EPI方法に比べて最終の磁気共鳴映像が得られる速度が極端に遅いという問題点がある。
【0036】
図3は、従来の磁気共鳴映像の生成方法を説明するための図である。図3の方法は、Xuによって提案された方法(後記の非特許文献3参照)である。
【0037】
Xuにより提案されるk−空間サンプリング方法では、k−空間の中央部分は、ナイキスト頻度でM個のラインをサンプリングし、上記中央部分を除いた外側の部分は、ナイキスト頻度より少なくサンプリングする方法である。したがって、上記中央部分のみをナイキスト頻度でサンプリングするという点は、一般級数映像法の特徴点であり、上記外側の部分を少なくサンプリングするという点は、並列磁気共鳴映像法の特徴点ということになる。
【0038】
図3の最左側図は、基準映像を得るときに用いるk−空間サンプリングの模式図である。ここでは、従来の磁気共鳴映像を獲得するときに用いられ、図3の右側図は、Xuにより提案されたサンプリング方法を示したものである。
【0039】
上記Xuにより提案された方法は、一般級数映像法と並列磁気共鳴映像法とを結合し、再構成された映像の質をさらに高めることに焦点を合せている。これは、基本的に時間解像度をさらに向上させる方法ではない。したがって、それぞれの映像法(一般級数映像法、並列磁気共鳴映像法)を使用することより、再構成された映像の質は良くなるが、時間解像度は低下してしまう。
【0040】
【非特許文献1】Z−P.Liang and P.C. Lauterbur.An Efficient Method for Dynamic Magnetic Resonance Imaging.IEEE Transactions on Medical Imaging 1994;13:677−686
【非特許文献2】Pruessmann KP,Weiger M,Scheidegger MB,Boesiger P.Sense:sensitivity encoding for fast MRI.Magn Reson Med 1999;42:952−962
【非特許文献3】Xu D,Ying L,and Liang ZP.Parallel Generalized Series MRI:Algorithm and Application to Cancer Imaging.In:Proceedings of the 26th Annual International Conference of the IEEEE MBS,SanFrancisco,2004
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0041】
そこで、本発明は、上述した従来の技術の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、機能磁気共鳴映像及びその他の動的磁気共鳴映像の獲得時により高解像度で高質のものを得ることができ、その上、現在の傾向である超高磁場磁気共鳴映像システムにも適用できる、一般給数並列映像法を利用した高解像度磁気共鳴映像の生成方法及びその記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0042】
上述した課題を解決するため、本発明に係る一般級数並列映像法を利用した高解像度磁気共鳴映像の生成方法は、所定の限定された低周波帯(Low Frequency)を選ぶステップと、前記所定の限定された低周波帯のみをナイキスト(Nyquist)基準より低い頻度でサンプリングすることにより磁気共鳴データを獲得するステップを含む。
【0043】
ここで、前記ナイキスト基準より低い頻度でサンプリングする方法は、スペースリップ(Sensitivity Profiles From an Array of Coils for Encoding and Reconstruction in Parallel;以下、SPACE RIPとする)のサンプリング方法とすることが好ましい。
【0044】
ここで、前記磁気共鳴データを一般級数映像法の再構成方法により再構成して、中間磁気共鳴映像を生成するステップと、前記中間磁気共鳴映像を並列磁気共鳴映像法の再構成方法により再構成して、前記磁気共鳴データの再構成された最終磁気共鳴映像を生成するステップと、をさらに含めてもよい。
【0045】
前記一般級数映像法の再構成方法に正規化(Regularization)法を付加することにより、前記中間磁気共鳴映像を生成するようにしてもよい。
【0046】
前記並列磁気共鳴映像法の再構成方法に正規化法を付加することにより、前記最終磁気共鳴映像を生成することができる。
【0047】
前記並列磁気共鳴映像法の再構成方法は、SPACE RIPの再構成方法であることが好ましい。
【0048】
また、本発明は、所定の限定された低周波帯を選ぶステップと、前記所定の限定された低周波帯のみをナイキスト基準より低い頻度でサンプリングすることにより磁気共鳴データを獲得するステップを含む、一般級数並列映像法を利用した高解像度磁気共鳴映像の生成方法をコンピュータで実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み出し可能な記録媒体である。
【0049】
ここで、前記ナイキスト基準より低い頻度でサンプリングする方法は、SPACE RIPのサンプリング方法とすることが好ましい。
【0050】
前記一般級数並列映像法を利用した高解像度磁気共鳴映像の生成方法は前記磁気共鳴データを一般級数映像法の再構成方法により再構成して、中間磁気共鳴映像を生成するステップと、前記中間磁気共鳴映像を並列磁気共鳴映像法の再構成方法により再構成して、前記磁気共鳴データの再構成された最終の磁気共鳴映像を生成するステップと、をさらに含めてもよい。
【0051】
前記一般級数映像法の再構成方法に正規化法を付加することにより、前記最終の磁気共鳴映像を生成するようにしてもよい。
【0052】
前記並列磁気共鳴映像法の再構成方法に正規化法を付加することにより、前記最終の磁気共鳴映像を生成するようにしてもよい。
【0053】
ここで、前記並列磁気共鳴映像法の再構成方法は、SPACE RIPの再構成方法とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0054】
本発明によれば、超高磁場システムで適用でき、高い時間解像度を有する一般級数並列映像法を利用した高解像度磁気共鳴映像の生成方法及びその記録媒体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0055】
以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。
【0056】
図4は、本発明の一実施形態に係る一般級数並列映像法を利用した高解像度磁気共鳴映像の生成方法のサンプリング過程を具体的に比較説明するための図である。図4(a)には、従来の磁気共鳴映像法のサンプリング方式が示され、図4(b)には、従来の並列磁気共鳴映像法のサンプリング方式が示されている。図4(c)には、一般級数映像法のサンプリング方式が示され、図4(d)には、本発明で提案される映像法のサンプリング方式が示されている。図4(d)の方式には、図4(b)(c)の特徴が全て含まれている。
【0057】
図4に示すように、本発明の一実施形態に係る一般級数並列映像法を利用した高解像度磁気共鳴映像の生成方法には、全ての周波数帯のうち所定の限定された低周波帯を選び、所定の限定された低周波帯のみをナイキスト基準より低い頻度でサンプリングすることにより、磁気共鳴データを獲得する。なお、サンプリングする周波数帯は、ユーザが任意で定めることができる。
【0058】
ここで、本発明の一実施形態では、ナイキスト基準より低い頻度でサンプリングする方法について説明されているが、上述のSENSEだけでなくSPACE RIPの場合のもの(参考文献:Kyriakos WE,Panych LP,Kacher DF,Westin CF,Bao SM,Mulkern RV and Jolesz FA.Sensitivity Profiles From an Array of Coils for Encoding and Reconstruction in Parallel(SPACE RIP).Magn Reson Med 2000;44:301−308)も適用してもよい。
【0059】
特に、SPACE RIPを適用すれば、次のような効果が得られる。SPACE RIPのサンプリング方式では、磁気共鳴映像の重要な情報は、概して低周波領域にある。このため、低周波領域については細かくサンプリングし、高周波領域については粗くサンプリングするといった任意間隔のサンプリング方式を適用することが可能となる。そうするとこの場合、サンプリングに同一時間要するとしても、良質の映像を得ることができる。
【0060】
なお、SPACE RIPだけでなく、SMASH(参考文献:Sodickson DK,Manning WJ.Simultaneous acquisition of spatial harmonics(SMASH):fast imaging with radio frequency coil arrays.Magn Reson Med 1997;38:591−603.),PILS(参考文献:Griswold MA,Jakob PM,Nittka M,Goldfarb JW and Haase A.Partially Parallel Imaging With Localized Sensitivities(PILS).Magn Reson Med 2000;44:602−609.)又はGRAPPA(参考文献:Griswold MA,Jakob PM,Heidemann RM,Nittka M,Jellus V,Wang J,Kiefer B and Haase A.Generalized Autocalibrating Partially Parallel Acquisitions(GRAPPA).Magn Reson Med 2002;47:1202−1210.)などの場合のものを適用しても、本発明の一実施形態に係る一般級数並列映像法を利用した高解像度磁気共鳴映像の生成方法を実現することができる。
【0061】
図5は、本発明の一実施形態に係る一般級数並列映像法を利用した高解像度磁気共鳴映像の生成方法の映像再構成過程を示した図である。図5(a)は、図4に示したサンプリング過程により生成された磁気共鳴データを説明するための図であり、図5(b)は、 磁気共鳴データを一般級数映像法の再構成方法により再構成した、中間磁気共鳴映像を説明するための図である。図5(c)は、中間磁気共鳴映像を並列磁気共鳴映像法の再構成方法により再構成した、磁気共鳴データの再構成された最終磁気共鳴映像を説明するための図である。
【0062】
図5に示すように、本発明の一実施形態に係る一般級数並列映像法を利用した高解像度機能の磁気共鳴映像の生成方法において、磁気共鳴データを一般級数映像法の再構成方法により再構成して、中間磁気共鳴映像を生成するステップ、及び 前記中間磁気共鳴映像を並列磁気共鳴映像法の再構成方法により再構成して、磁気共鳴データの再構成された最終磁気共鳴映像を生成するステップをさらに含めることができる。
【0063】
ここで、並列磁気共鳴映像法の再構成方法として、SPACE RIPを使用することができる。なお、SPACE RIPに限定せず、SMASH、SENSE、PILS、GRAPPA等で再構成された最終の磁気共鳴映像を生成することもできる。
【0064】
SPACE RIPを利用した並列磁気共鳴映像法の再構成方法は、次のとおりである。
【0065】
Wk(x,y)というセンシティビティプロファイル(sensitivity profile)を有するコイルから受ける磁気共鳴(MR)データは、数7のように表すことができる。
【0066】
【数7】
ここで、x方向のみにフーリエ変換を行うと、
【0067】
上記式を離散領域(discrete domain)でスパニング方程式(spanning equation)を使用すると、数8のように表すことができる。
【0068】
【数8】
【0069】
最後に、正規直交プロパティ(orthonormal property)を使用すると、数9のように表すことができる。
【0070】
【数9】
【0071】
上記数7〜数9は、図6に示すマトリックス方程式で表すことができる。この方程式を解くと、ρベクトルが求まる。
【0072】
上記のようなSPACE RIPを並列磁気共鳴映像法の再構成方法として使用した場合、図7に示すように、列別(カラム別)に磁気共鳴映像を再構成することができる。SPACE RIPは、SENSEに比べて正規化(regularization)効果を向上させることができる。
【0073】
本発明の一実施形態に係る最終の磁気共鳴映像を再構成する場合、正規化(regularization)法も共に付加して使用してもよい。
【0074】
自然系の現象をモデリングするためにサイズの大きいマトリックスを使用した場合、不良設定(ill−posed)問題に直面することがある。不良設定問題として、図6のWマトリックスの条件数(condition number)が極めて大きくなる場合がある。
【0075】
条件数(r)とは、そのマトリックスのシンギュラーバリュー(singular value)の最も大きな値と最も小さな値との比で定義され、この値が極めて大きければ不良設定となる。このような問題を解消する方法として正規化法を使用する。正規化法とは、マトリックス方程式s=Wρを解くとき、解をρ=W−1sとせず、数10のような条件項を付加して解く方法である。
【0076】
【数10】
【0077】
ここで、数10のエクスプリシットソルーション(explicit solution)は、以下の数11のとおりのものである。λは、正規化変数であり、マトリックスシステムにより変わる値を表す。Iは、アイデンティティ(identity)マトリックスを表す。
【0078】
【数11】
【0079】
このように、数10の条件項を付加することにより、マトリックスシステムの安定性を向上させることができる。さらに、堅固な最終の磁気共鳴映像を再構成することができる。
【0080】
図8は、実験での機能磁気共鳴映像パラダイムを示した図である。図8に示すように、実験を行う被験者が磁気共鳴映像装置内に入る。そして、(+)が表示されたときは、被験者は静かに待機し、左手(left hand)という文字が表示されれば左手を軽く動かす。また、右手(right hand)という文字が表示されれば、被験者は右手を軽く動かす。
【0081】
ここで、図8のスキャン(scan)とは、映像の一フレームを意味する。そして、上記右手又は左手が表示されたときの刺激は、磁気共鳴映像装置内において4フレームの映像を撮る間、維持し続ける必要がある。(+)の表示がある理由は、基準映像を得るためであるが、実験終了後、刺激(左手又は右手)を得た時間内に得られた映像が、(+)表示の時間内で得た映像に比べて、どのような差があるかを統計的に分析するためである。このような分析から、脳のどの部分が右手あるいは左手の動きを担当しているかが分かる。
【0082】
従来の方法と本発明に係る方法とを比較するため、 従来の方法と本発明に係る方法とにより図8に示した実験を行った。従来の方法として、EPI方法、単一の並列磁気共鳴映像法及び単一の一般級数映像法を利用した。以下、これらにどのような差があるかを図9〜図12を参照して説明する。
【0083】
まず、EPI方法により実験するときの機能磁気共鳴映像パラメーターについて説明すると、次のとおりである。
【0084】
TR=3000ms,
TE=35ms,
Slice Thickness=5mm,
Number of slice=28,
Matrix size=64×64,
Time/Scan=3sec,
Sequence=EPI
【0085】
次に、本発明の一実施形態に係る一般級数並列映像法を利用した高解像度機能の磁気共鳴映像の生成方法により実験したときの機能磁気共鳴映像パラメーターについて説明すると、次のとおりである。
【0086】
TR=125ms,
TE=34ms,
Slice Thickness=5mm,
Number of slice=3,
Matrix size=24×64,
Time/Scan=3sec,
Sequence=Gradient Echo
【0087】
ここで、EPI方法、単一の並列磁気共鳴映像法、単一の一般級数映像法及び本発明の一実施形態に係る一般級数並列映像法を利用した高解像度磁気共鳴映像の生成方法を全て支援するため、一応、単一の並列磁気共鳴映像法によりReduction factor(R)=2.67のときのデータを得た。R=2.67の場合は、64個の位相符号化を行わなければならないとすると、そのうちの24個のみの位相符号化を行えばよい。一方、この実験のスライスの個数(numberofslice)がEPI方法に比べて少ない理由は、時間制約のためである。これは、初期に脳から刺激が現れると予想される部分をよく選択すればよいので、さほど問題にならない。
【0088】
以上のように、データを並列磁気共鳴映像法によりR=2.67と得たが、これを並列磁気共鳴映像法により再構成して一杯としたk−空間(full k−space)を得た後、このうちの中央部分の32個のラインのみを選択して一般級数映像法を適用すれば、単一の一般級数映像法を利用した実験結果が得られるようになる。初期にR=2.67で得たデータから、中央部分の16個のラインのみを選択して提案された方法を適用すれば、本発明の一実施形態に係る一般級数並列映像法を利用した高解像度磁気共鳴映像の生成方法の実験結果が得られるようになる。
【0089】
図9は、EPI方法を利用して再構成された機能磁気共鳴映像を示す図である。図9の左側図は、左手刺激の場合(図9(a)〜(c))、また図9の右側図の場合(図9(e)〜(f))は、右手刺激のときの脳の活性化領域を示すマップである。活性化された程度が大きいほど、濃い色で表示される。3次元脳をどの方向からみるかによって、3個の断面に分けられる。ここでは、側面(Sagittal)、前後面(Coronal)及び平面(Axial)の断面とした。
【0090】
左手運動の場合は、脳の右半球が担当するので、図9(c)の平面(Axial)の断面図をみると、脳の左半球に比べて右半球の活性化程度が高く、逆に、右手運動の場合は、右半球に比べて左半球の活性化程度が高いことがわかる。運動刺激を担当する脳の位置は、図9(a)(b)の左側図のボックス枠901に示すように、脳の上部に位置している。このことは、脳の上部の部分が他の部分に比べて濃い色で現れていることから分かる。
【0091】
図10は、並列磁気共鳴映像法のみを利用して再構成された機能磁気共鳴映像を示した図である。図10に示すように、左手運動の場合は脳の右半球を、右手運動の場合は脳の左半球を活性化させる程度が高くなることが測定された。
【0092】
図10の場合には図9に示した場合に比べて、脳が活性される位置が少なく現れる理由は、上述したようにEPI方法に比べてnumber of sliceが少ないためである。この場合、sliceの位置は、図9のボックス枠901の部分に限定的に定められており、この部分がROI(Region Of Interest)となる。したがって、その他の部分は、活性化した程度(度合い)がみえない。
【0093】
EPI方法を利用して実験したときの結果と比較した場合、所望のROIでは、活性化された程度が同じ程度になることが分かる。
【0094】
図11は、一般級数映像法のみを利用して再構成された機能磁気共鳴映像を示した図である。図11から、このときの脳の活性化パターンは、図10の場合の並列磁気共鳴映像法のみの実験結果とほぼ同様になることが分かる。このことから、一般級数映像法のみにより再構成された映像は、並列磁気共鳴映像法のみにより再構成された映像と差がほとんど生じないことが分かる。
【0095】
図12は、本発明の一実施形態に係る一般級数並列映像法を利用した高解像度磁気共鳴映像の生成方法により再構成された機能磁気共鳴映像を示した図である。図12から、このときの脳の活性化パターンは、図10及び図11の場合とほぼ同一になることが分かる。このことから、再構成された映像は、一般級数映像法又は並列磁気共鳴映像法により再構成された結果と差がほどんど生じないことが分かる。
【0096】
よって、本発明の一実施形態に係る一般級数並列映像法を利用した高解像度磁気共鳴映像の生成方法は、高い時間解像度を要求する磁気共鳴映像獲得時に広く用いられることができ、医療分野で時間に応じて物体が動く対象に対して映像化するときに主に使用することができる。
【0097】
また、7.0T(Tesla)という超高磁場システムにも適用できるし、また、超高磁場の脳機能磁気共鳴映像装置にも適用することができる。
【0098】
また、EPI方法とは異なり、再構成された映像から幽霊人工物(ghost artifact)、幾何学的歪み(geometric distortion)がほとんど発生しない。
【0099】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で様々な変更が可能である。また、それらの変更内容も本発明の技術的範囲に属する。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】従来の一般級数映像法のサンプリング方法を説明するための図である。
【図2】従来の並列磁気共鳴映像法のサンプリング方法を説明するための図である。
【図3】従来の磁気共鳴映像の生成方法を説明するための図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る一般級数並列映像法を利用した高解像度磁気共鳴映像の生成方法のサンプリング方法を具体的に説明するための図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る一般級数並列映像法を利用した高解像度磁気共鳴映像の生成方法の再構成方法を示した図である。
【図6】スペースリップ(SPACE RIP)で一列を再構成するためのマトリックス方程式を示した図である。
【図7】列別(column by column)の再構成図である。
【図8】実験における機能磁気共鳴映像パラダイムを示した図である。
【図9】EPI方法のみを利用して再構成された機能磁気共鳴映像の分析結果を示した図である。
【図10】並列磁気共鳴映像法のみを利用して再構成された機能磁気共鳴映像の分析結果を示した図である。
【図11】一般級数映像法のみを利用して再構成された機能磁気共鳴映像の分析結果を示した図である。
【図12】本発明の一実施形態に係る一般級数並列映像法を利用した高解像度磁気共鳴映像の生成方法により再構成された機能磁気共鳴映像の分析結果を示した図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の限定された低周波帯(Low Frequency)を選ぶステップと、
前記所定の限定された低周波帯のみをナイキスト(Nyquist)基準より低い頻度でサンプリングすることにより磁気共鳴データを獲得するステップと、
を含む、一般級数並列映像法を利用した高解像度磁気共鳴映像の生成方法。
【請求項2】
前記ナイキスト(Nyquist)基準より低い頻度でサンプリングする方法は、スペースリップ(Sensitivity Profiles From an Array of Coils for Encoding and Reconstruction in Parallel;SPACE RIP)のサンプリング方法である、請求項1に記載の一般級数並列映像法を利用した高解像度磁気共鳴映像の生成方法。
【請求項3】
前記磁気共鳴データを一般級数映像法の再構成方法により再構成して、中間磁気共鳴映像を生成するステップと、
前記中間磁気共鳴映像を並列磁気共鳴映像法の再構成方法により再構成して、前記磁気共鳴データの再構成された最終磁気共鳴映像を生成するステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の一般級数並列映像法を利用した高解像度磁気共鳴映像の生成方法。
【請求項4】
前記一般級数映像法の再構成方法に正規化(Regularization)法を付加することにより、前記中間磁気共鳴映像を生成する、請求項3に記載の一般級数並列映像法を利用した高解像度磁気共鳴映像の生成方法。
【請求項5】
前記並列磁気共鳴映像法の再構成方法に正規化法を付加することにより、前記最終磁気共鳴映像を生成する、請求項3に記載の一般級数並列映像法を利用した高解像度磁気共鳴映像の生成方法。
【請求項6】
前記並列磁気共鳴映像法の再構成方法は、
スペースリップの再構成方法である、請求項3に記載の一般級数並列映像法を利用した高解像度磁気共鳴映像の生成方法。
【請求項7】
所定の限定された低周波帯を選ぶステップと、前記所定の限定された低周波帯のみをナイキスト基準より低い頻度でサンプリングすることにより磁気共鳴データを獲得するステップとを含む、一般級数並列映像法を利用した高解像度磁気共鳴映像の生成方法をコンピュータで実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み出し可能な記録媒体。
【請求項8】
前記ナイキスト基準より低い頻度でサンプリングする方法は、スペースリップのサンプリング方法である、請求項7に記載の記録媒体。
【請求項9】
前期一般級数並列映像法を利用した高解像度磁気共鳴映像の生成方法は前記磁気共鳴データを一般級数映像法の再構成方法により再構成して、中間磁気共鳴映像を生成するステップ、及び前記中間磁気共鳴映像を並列磁気共鳴映像法の再構成方法により再構成して、前記磁気共鳴データの再構成された最終磁気共鳴映像として生成するステップをさらに含む、請求項7に記載の記録媒体。
【請求項10】
前記一般級数映像法の再構成方法に正規化法を付加することにより、前記最終磁気共鳴映像を生成する、請求項9に記載の記録媒体。
【請求項11】
前記並列磁気共鳴映像法の再構成方法に正規化法を付加することにより、前記最終磁気共鳴映像を生成する、請求項9に記載の記録媒体。
【請求項12】
前記並列磁気共鳴映像法の再構成方法は、スペースリップの再構成方法である、請求項9に記載の記録媒体。
【請求項1】
所定の限定された低周波帯(Low Frequency)を選ぶステップと、
前記所定の限定された低周波帯のみをナイキスト(Nyquist)基準より低い頻度でサンプリングすることにより磁気共鳴データを獲得するステップと、
を含む、一般級数並列映像法を利用した高解像度磁気共鳴映像の生成方法。
【請求項2】
前記ナイキスト(Nyquist)基準より低い頻度でサンプリングする方法は、スペースリップ(Sensitivity Profiles From an Array of Coils for Encoding and Reconstruction in Parallel;SPACE RIP)のサンプリング方法である、請求項1に記載の一般級数並列映像法を利用した高解像度磁気共鳴映像の生成方法。
【請求項3】
前記磁気共鳴データを一般級数映像法の再構成方法により再構成して、中間磁気共鳴映像を生成するステップと、
前記中間磁気共鳴映像を並列磁気共鳴映像法の再構成方法により再構成して、前記磁気共鳴データの再構成された最終磁気共鳴映像を生成するステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の一般級数並列映像法を利用した高解像度磁気共鳴映像の生成方法。
【請求項4】
前記一般級数映像法の再構成方法に正規化(Regularization)法を付加することにより、前記中間磁気共鳴映像を生成する、請求項3に記載の一般級数並列映像法を利用した高解像度磁気共鳴映像の生成方法。
【請求項5】
前記並列磁気共鳴映像法の再構成方法に正規化法を付加することにより、前記最終磁気共鳴映像を生成する、請求項3に記載の一般級数並列映像法を利用した高解像度磁気共鳴映像の生成方法。
【請求項6】
前記並列磁気共鳴映像法の再構成方法は、
スペースリップの再構成方法である、請求項3に記載の一般級数並列映像法を利用した高解像度磁気共鳴映像の生成方法。
【請求項7】
所定の限定された低周波帯を選ぶステップと、前記所定の限定された低周波帯のみをナイキスト基準より低い頻度でサンプリングすることにより磁気共鳴データを獲得するステップとを含む、一般級数並列映像法を利用した高解像度磁気共鳴映像の生成方法をコンピュータで実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み出し可能な記録媒体。
【請求項8】
前記ナイキスト基準より低い頻度でサンプリングする方法は、スペースリップのサンプリング方法である、請求項7に記載の記録媒体。
【請求項9】
前期一般級数並列映像法を利用した高解像度磁気共鳴映像の生成方法は前記磁気共鳴データを一般級数映像法の再構成方法により再構成して、中間磁気共鳴映像を生成するステップ、及び前記中間磁気共鳴映像を並列磁気共鳴映像法の再構成方法により再構成して、前記磁気共鳴データの再構成された最終磁気共鳴映像として生成するステップをさらに含む、請求項7に記載の記録媒体。
【請求項10】
前記一般級数映像法の再構成方法に正規化法を付加することにより、前記最終磁気共鳴映像を生成する、請求項9に記載の記録媒体。
【請求項11】
前記並列磁気共鳴映像法の再構成方法に正規化法を付加することにより、前記最終磁気共鳴映像を生成する、請求項9に記載の記録媒体。
【請求項12】
前記並列磁気共鳴映像法の再構成方法は、スペースリップの再構成方法である、請求項9に記載の記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−307357(P2008−307357A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−193736(P2007−193736)
【出願日】平成19年7月25日(2007.7.25)
【出願人】(592127149)韓国科学技術院 (129)
【氏名又は名称原語表記】KOREA ADVANCED INSTITUTE OF SCIENCE AND TECHNOLOGY
【住所又は居所原語表記】373−1,Gusung−dong,Yuseong−ku,Daejeon 305−701 KR
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月25日(2007.7.25)
【出願人】(592127149)韓国科学技術院 (129)
【氏名又は名称原語表記】KOREA ADVANCED INSTITUTE OF SCIENCE AND TECHNOLOGY
【住所又は居所原語表記】373−1,Gusung−dong,Yuseong−ku,Daejeon 305−701 KR
【Fターム(参考)】
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