説明

一酸化窒素除去剤

【課題】 近年、健康・清潔志向を反映し空気清浄ニーズが高まっており、中でもたばこの煙を除去したいというニーズが高い。本発明は、本発明の目的は室温〜100℃の温度範囲でも一酸化窒素除去能力を有する一酸化窒素除去剤を提供する事を目的とする。
【解決手段】 平均細孔直径が1nm以上50nm以下であり無機骨格を有する多孔体と、該多孔体の細孔内に形成された、平均直径が1nm以上50nm以下である金属細線または金属粒子からなる金属触媒を含有する事により上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室温〜100℃の温度範囲でも効力を発揮する一酸化窒素除去剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、健康・清潔志向を反映し空気清浄ニーズが高まっており、中でもたばこの煙を除去したいというニーズが高い。タバコの煙に含まれる有害物質を除去することを目的として、アセテートフィルター、活性炭フィルター、これらを組み合わせたデュアルフィルター等が利用されている。タバコの主流煙中にはタール(粒子相)8%、一酸化炭素3%の他、アルデヒド、ケトン、炭化水素等の有機化合物及び窒素酸化物が15%含まれている。このうち有害とされる粒子相は主にアセテートフィルターによって除去され、アルデヒド等の有機化合物からなる蒸気相は活性炭フィルターによって除去されている。
【0003】
しかし活性炭フィルターを用いても、一酸化炭素、窒素酸化物等の無機物は除去できず、喫煙により体内に吸引されてしまう。窒素酸化物のうち一酸化窒素は生体内では情報伝達物質の一つであり、生態防御、生化学反応等を含む生体防御にも関与し、重要な役割を果たしていることが知られている。しかし生体内で過剰に発生したり、体外から多量に取り込んだりして体内で過剰になると、活性酸素種の一つとしてタンパク質、脂質、核酸等をニトロ化若しくは酸化してしまう。これらニトロ化若しくは酸化された物質のうち、一部は生体防衛機構により修復され得るが、損傷された状態のままになってしまうものもある。損傷された物質が体内に蓄積すると、疾病や老化の加速に繋がるものとされている。
【0004】
白金は酸化窒素(例えば一酸化窒素)の除去能を有することが知られており、ディーゼルエンジン等の排ガス処理に利用されている。ディーゼルエンジン排ガスを前段の酸化触媒と接触させて排ガス中の一酸化窒素を二酸化窒素に酸化した後、この排ガスに後段の還元触媒の上流側で炭化水素還元剤を添加し、ついで、排ガスを後段の還元触媒と接触させて生成した二酸化窒素を含む窒素酸化物を窒素ガスに転換する窒素酸化物除去方法が開発されている(例えば特許文献1参照)。この窒素酸化物除去方法においては、イオン交換により白金等の貴金属を担持させたゼオライトを酸化触媒として用いる。特許文献1には、一酸化窒素を酸化するための好ましい反応温度は400〜500℃であると記載されている。
【0005】
ディーゼルエンジンの排ガスは高温であるので、酸化触媒によって一酸化窒素を効率的に酸化して二酸化窒素にすることができる。しかしこの酸化触媒は、常温〜100℃程度の温度範囲では、あまり大きな一酸化窒素除去能を有していない。このためディーゼルエンジンの排ガス処理には有効であるものの、タバコの煙中に含まれるもののように比較的低温(例えば40〜100℃)の一酸化窒素に対しては、十分な触媒機能を示さないという問題がある。
【0006】
上記問題に鑑みて、タバコフィルターに白金ナノ粒子を含有させタバコの煙中に含まれる一酸化窒素を効率よく除去できるタバコフィルターの調製が試みられているが(例えば特許文献2参照)、その効果は充分ではなかった。
【0007】
【特許文献1】特開2002−285834号公報(第1−7頁)
【特許文献2】特開2005−245258号公報(第1−16頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は室温〜100℃の温度範囲でも一酸化窒素除去能力を有する一酸化窒素除去剤に関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明は、
(1) 平均細孔直径が1nm以上50nm以下であり無機骨格を有する多孔体と、該多孔体の細孔内に形成された、平均直径が1nm以上50nm以下である金属細線または金属粒子からなる金属触媒を含有する一酸化窒素除去剤
(2) 上記一酸化窒素除去剤を含有するフィルター
に関する
【発明の効果】
【0010】
本発明は、多孔体の細孔内に細線状または粒子状の金属クラスターが形成された金属触媒を含有することを特徴とする一酸化窒素除去剤であって、室温〜100℃の温度範囲でも一酸化窒素除去能力を発揮する。このため、タバコ等のフィルターに使用した場合一酸化窒素等を効率的に除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の一酸化窒素除去剤は無機骨格を有する多孔体とその細孔内に形成された金属細線または金属粒子を有効成分として含有することを特徴とする。
無機骨格を有する多孔体の平均細孔直径は1nm以上50nm以下が好ましい。平均細孔直径が1nm未満である場合は、細孔の平均の大きさが吸着させる金属細線または金属粒子の大きさよりも小さくなることが多くなるために、金属細線または金属粒子が細孔内に吸着しにくくなり、一酸化窒素を効率的に除去できない。また中心細孔直径が50nmを超える場合は、金属細線または金属粒子の比表面積が減少して、一酸化窒素を効率的に除去できない。
【0012】
多孔体は、そのX線回折パターンにおいて1nm以上のd値に相当する回折角度に1本以上のピークを有することが好ましい。X線回折ピークはそのピーク角度に相当するd値の周期構造が試料中にあることを意味する。したがって、1nm以上のd値に相当する回折角度に1本以上のピークがあることは、細孔が1nm以上の間隔で規則的に配列していることを意味する。
【0013】
多孔体の平均細孔径は公知の窒素吸着等温線から算出することができ、X線回折パターンはX線回折測定装置により測定することができる。
【0014】
多孔体は無機骨格を有し、該無機骨格はシリケート等の無機酸化物の高分子主鎖からなる。シリケート基本骨格中のケイ素原子に代える原子、あるいはシリケート骨格に付加する原子としては、アルミニウム、チタン、マグネシウム、ジルコニウム、タンタル、ニオブ、モリブデン、コバルト、ニッケル、ガリウム、ベリリウム、イットリウム、ランタン、ハフニウム、スズ、鉛、バナジウム、ホウ素等を挙げることができる。
【0015】
無機多孔体のシリケート骨格の原料としては、特に限定されるものではないがテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン等のアルコキシシラン、ケイ酸ソーダ、カネマイト(kanemite、NaHSi・3HO)あるいはシリカ等が挙げられる。シリケート骨格の耐水性の観点から、シリケート骨格の原料は、ケイ酸ソーダ、カネマイトあるいはシリカがより好ましく、合成条件の点から、ケイ酸ソーダがさらに好ましい。但し、これらの場合、鋳型として使用する界面活性剤は陽イオン性のものに限定される。鋳型として使用する界面活性剤を限定しない場合は、耐水性は落ちるがアルコキシシランを用いる事ができる。なお、低級アルキル基やフェニル基等の官能基をシリケート骨格内に導入するには、相当する官能基を有するアルコキシシランを原料とする事により可能である。
【0016】
多孔体を構成し得るその他の無機系骨格としては、非Si系のジルコニア、チタニア、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化タングステン、酸化スズ、酸化ハフニウム、アルミナ等の無機酸化物、あるいはそれらの無機酸化物からなる基本骨格中に上記のシリケート骨格に付加する原子を組み込んだ複合酸化物が挙げられる。
【0017】
なお、多孔体を構成する無機系の基本骨格の側鎖に種々の有機基等が付与されていてもよい。かかる側鎖としては、チオール基あるいはチオール基を含む有機基、メチル基、エチル基等の低級アルキル基、フェニル基、カルボキシル基、アミノ基、ビニル基等が挙げられる。
【0018】
上記多孔体の製造方法については特に限定されるものではないが、例えば界面活性剤を鋳型として用いて縮重合し、その後、界面活性剤を除去することによって得ることができる。
【0019】
本発明において使用される多孔体を形成するための鋳型として使用される界面活性剤は、陽イオン性、陰イオン性、非イオン性のうちのいずれであってもよく、具体的には、アルキルトリメチルアンモニウム(好ましくはアルキル基の炭素数が8〜18のアルキルトリメチルアンモニウム)、アルキルアンモニウム、ジアルキルジメチルアンモニウム、ベンジルアンモニウムの塩化物、臭化物、ヨウ化物あるいは水酸化物の他、脂肪酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリエチレンオキサイド系非イオン性界面活性剤、一級アルキルアミン等が挙げられる。
【0020】
上記の界面活性剤のうち、ポリエチレンオキサイド系非イオン性界面活性剤としては、疎水性成分として炭化水素基、親水性部分としてポリエチレンオキサイドをそれぞれ有するポリエチレンオキサイド系非イオン性界面活性剤等が挙げられる。このような界面活性剤としては、具体的には、C1633(OCHCH10OH(Briji56、シグマ−アルドリッチ社製)、C1633(OCHCH20OH(Briji58、シグマ−アルドリッチ社製)等が挙げられる。また、疎水性分にフェニル基を含むC17(OCHCH10OH(TritonX−100、シグマ−アルドリッチ社製)等も挙げられる。
【0021】
また、本発明においては、オレイン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪酸とソルビタンとのエステル、あるいはこれらのエステルにポリエチレンオキサイドが付加した化合物を用いることができる。このような界面活性剤としては、ポリエチレンオキサイド(20)ソルビタンモノラウリレート(Tween20、シグマ−アルドリッチ社製)、ポリエチレンオキサイド(20)ソルビタンモノパルミテート(Tween40、シグマ−アルドリッチ社製)、ポリエチレンオキサイド(20)ソルビタンモノステアレート(Tween60、シグマ−アルドリッチ社製)、ポリエチレンオキサイド(20)ソルビタンモノオレート(Tween80、シグマ−アルドリッチ社製)等が挙げられる。本発明においては、上記の界面活性剤のうちの1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0022】
さらに、本発明においては、トリブロックコポリマー型のポリアルキレンオキサイドを用いることができ、中でもポリエチレンオキサイド鎖−ポリプロピレンオキサイド鎖−ポリエチレンオキサイド鎖型、あるいはポリプロピレンオキサイド鎖−ポリエチレンオキサイド鎖−ポリプロピレンオキサイド鎖型のトリブロックコポリマーが好適に使用される。ここで、エチレンオキサイド鎖−ポリプロピレンオキサイド鎖−ポリエチレンオキサイド鎖型のトリブロックコポリマーを(EO)(PO)(EO)と表すと、各アルキレンオキサイドのユニット数は好ましくはx=5〜110、y=15〜70であり、より好ましくはx=15〜20、y=50〜60である。他方、ポリプロピレンオキサイド鎖−ポリエチレンオキサイド鎖−ポリプロピレンオキサイド鎖型のトリブロックコポリマーを(PO)(EO)(PO)と表すと、各アルキレンオキシドのユニット数は、好ましくはx=5〜110、y=15〜70であり、より好ましくはx=15〜20、y=50〜60である。このようなトリブロックコポリマーとしては、具体的には、(EO)(PO)70(EO)、(EO)13(PO)30(EO)13、(EO)20(PO)30(EO)20、(EO)26(PO)39(EO)26、(EO)17(PO)56(EO)17、(EO)17(PO)58(EO)17、(EO)20(PO)70(EO)20、(EO)80(PO)30(EO)80、(EO)106(PO)70(EO)106、(EO)100(PO)39(EO)100、(EO)19(PO)33(EO)19、(EO)26(PO)39(EO)26等が挙げられ、これらのトリブロックコポリマーはBASF社等より商業的に入手可能であり、また、小規模製造レベルで所望のx値とy値とを有するものを得ることもできる。さらに、これらのトリブロックコポリマーは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0023】
さらにまた、本発明においては、エチレンジアミンの2つの窒素原子にそれぞれ2つのポリエチレンオキサイド鎖−ポリプロピレンオキサイド鎖が結合したスターダイブロックコポリマーをテンプレートとして使用することができる。このようなスターダイブロックコポリマーとしては、具体的には、{(EO)113(PO)22NCHCHN{(PO)22(EO)113、{(EO)(PO)18NCHCHN{(PO)18(EO)、{(PO)19(EO)16NCHCHN{(EO)16(PO)19等が挙げられる。また、本発明においては、上記のスターダイブロックコポリマーのうちの1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0024】
さらにまた、本発明においては、1級アルキルアミン等の界面活性剤を使用することができる。ここで、1級アルキルアミンのアルキル鎖の長さを適宜選択することによって、得られる多孔体の細孔径を制御することができる。
【0025】
上記の界面活性剤を用いて上記の骨格成分を縮重合させる場合、溶媒として水、有機溶媒、水と有機溶媒との混合物等を使用することができる。また、反応に用いる骨格成分と界面活性剤とのモル比(骨格成分/界面活性剤比)は好ましくは60以上であり、より好ましくは90以上であり、さらに好ましくは120以上である。骨格成分/界面活性剤比を前記の範囲内とすると、得られる多孔体細孔径が小さくなるとともに、細孔壁厚が厚くなり、また細孔容積が小さくなる傾向にある。
【0026】
本発明においては、上記の各成分を混合する方法について特に制限はないが、界面活性剤を溶媒と混合し、同時に、あるいは引き続いて酸を添加して好ましい酸性雰囲気とした後、骨格成分を添加することが好ましい。ここで、界面活性剤及び酸を混合する際の温度は特に制限されないが、0〜100℃であることが好ましい。また、骨格成分を添加する際の温度は特に制限されないが、35〜80℃であることが好ましく、40℃〜45℃であることがより好ましい。さらに、骨格成分を添加する際には、骨格成分全量を一度に添加してもよく、混合液を攪拌しながら少量ずつ添加してもよいが、攪拌しながら1分以上にわたって少量ずつ添加することが好ましい。
【0027】
上記の手順により各成分を混合した後、反応混合物を所定の温度に保持して縮重合反応を行うことにより、多孔体前駆体(界面活性剤が細孔内に充填されたままのもの)を得ることができる。ここで、本発明においては、縮重合反応の反応温度は使用する界面活性剤や骨格成分の種類や濃度によって異なるが、通常0〜100℃であり、好ましくは35〜80℃である。特に、界面活性剤として上記のトリブロックコポリマーを使用する場合、反応温度は40〜45℃であることが好ましい。縮重合反応の反応温度が前記範囲内であると、得られる多孔体の構造の規則性が高くなるとともに、細孔径が小さく、細孔壁厚が厚くなる傾向にある。なお、上記の縮重合反応においては、反応の進行状況に応じて反応温度を適宜変更することもできる。
【0028】
また、上記の縮重合反応の反応時間は使用する界面活性剤や骨格成分の種類や濃度によって異なるが、通常、8〜24時間である。また、上記の縮重合反応は、静置状態、攪拌状態のいずれで行ってもよく、またそれらを組み合わせて行ってもよい。さらに、上記の縮重合反応においては、界面活性剤に加えてトリメチルベンゼンやトリイソプロピルベンゼンなどの疎水性を有する化合物を添加することによって、得られる多孔体の細孔径を制御することができる。
【0029】
本発明においては、上記の縮重合反応の後、得られた多孔体前駆体に対して水熱処理を行うことが好ましい。水熱処理を行うと、界面活性剤除去後の多孔体の強度及び構造規則性が向上し、細孔安定性及び細孔径分布の均一性に優れた多孔体が得られる傾向にある。
【0030】
本発明における水熱処理は以下の手順で行うことができる。すなわち、縮重合反応に使用したものと同様の界面活性剤を含む水溶液(好ましくは縮重合反応時と同等以下の界面活性剤濃度である)中に多孔体前駆体を分散させて得られる反応液をそのまま、あるいは必要に応じてさらに希釈して加熱し、所定の時間経過後、反応液を濾過し、得られた多孔体前駆体を乾燥させる。ここで、本発明における水熱処理温度は、通常50〜200℃であり、好ましくは60〜100℃であり、より好ましくは70〜80℃である。また、本発明における水熱処理は弱アルカリ条件下で行うことが好ましく、pH8〜8.5で行うことがより好ましい。反応液のpHは塩酸又は水酸化ナトリウムを用いて調整することができる。さらに、本発明における水熱処理時間は特に制限されないが、好ましくは1時間以上であり、より好ましくは3〜8時間である。水熱処理時間が1時間未満であると処理が不十分となる傾向にあり、他方、8時間を超えても処理時間に見合う効果が得られない傾向にある。さらにまた、本発明における水熱処理は攪拌しながら行うことが好ましい。なお、上記の水熱処理を行う際には、反応液を加熱する前に予め室温で数時間攪拌処理を行うと、水熱処理によって得られる上記の効果がより高められる傾向にあるので好ましい。
【0031】
上記の縮重合反応後又は水熱処理後に得られる多孔体前駆体から界面活性剤を除去することによって、目的の多孔体を得ることができる。ここで、多孔体前駆体からの界面活性剤の除去は、焼成による方法、水やアルコール等の溶媒で処理する方法等により行うことができる。
【0032】
焼成による方法を用いる場合、多孔体前駆体を通常300〜1000℃、好ましくは400〜700℃に加熱し、通常30分以上、好ましくは1時間以上保持することによって界面活性剤を除去することができる。なお、上記の焼成は空気を流通させた雰囲気で行うことができるが、多量の燃焼ガスが発生するため、焼成初期は窒素等の不活性ガスを流通させた雰囲気で行うことが好ましい。
【0033】
また、溶媒で処理する方法を用いる場合、多孔体前駆体に含まれる界面活性剤に対して溶解度の大きい溶媒に多孔体前駆体を分散させ、攪拌した後に固形分を回収することによって、目的の多孔体を得ることができる。ここで、本発明において界面活性剤の除去に使用される溶媒としては特に制限はないが、好ましくはメタノール、エタノール、アセトン等が親水性有機溶媒が挙げられる。界面活性剤の抽出効率を十分に得るため、塩酸、硝酸等を少量(好ましくは0.1〜10M)添加することが好ましい。有機溶媒には、水を添加しても用いられる。また、多孔体前駆体の分散量は溶媒100mLに対して0.5〜50gであることが好ましい。なお、本発明においては、粉砕、ふるい分け、成形等の各工程は、界面活性剤を除去する前の多孔体前駆体に対して行ってもよく、界面活性剤除去後に得られる多孔体に対して行ってもよい。
【0034】
(金属細線)
本発明において金属細線とは、多孔体の細孔を鋳型として形成される原子集団(クラスター)のうち、細孔に沿って線状に形成されたものをいう。金属細線の平均直径とは、細線の線径の平均値を言う。金属細線の平均直径は、触媒活性の観点から1nm以上50nm以下が好ましく、1nm以上30nm以下がより好ましく、1nm以上10nm以下がさらに好ましい。金属細線の平均直径が1nm未満である場合には、触媒活性が不十分となる。他方、金属細線の平均直径が50nmを超える場合には、金属細線における表面原子の割合が減少して金属細線表面の特異性がマクロな物性として発現しにくくなる。
【0035】
金属細線のアスペクト比は触媒活性の観点から3以上が好ましく、5以上がより好ましい。金属細線の平均アスペクト比が3未満である場合には、多孔体の細孔表面に接する金属原子の数が減少するため、細孔表面と金属との相互作用に由来する触媒活性向上効果が不十分となる。
【0036】
(金属粒子)
本発明において金属粒子とは、多孔体の細孔を鋳型として形成される原子集団(クラスター)のうち、細孔に沿って一定の間隔で球状に形成されたものを言う。金属粒子の平均直径とは、金属ナノ粒子の粒子径の平均値を言う。その平均直径は触媒活性の観点から好ましくは1nm以上50nm以下である。
【0037】
形成された金属細線及び粒子の平均直径の評価には透過型電子顕微鏡が効果的に用いられる。金属細線・粒子は写真中黒く濃く見え、この黒く濃い部分の背景にこれらを包接しているメソ多孔体が灰色の着色部分として見える。金属粒子・細線が多孔体細孔中に細孔を鋳型として形成された場合、白い斑点状、あるいは白い線状に見えるメソ多孔体中の細孔に沿って金属細線・粒子が規則的に配列されていることが確認でき、形成された金属細線粒子・細線の直径を求めることができる。
【0038】
また、X線回折法により得られる回折線を解析することでも形成された金属粒子・細線の大きさを評価することができる。結晶子サイズが小さくなると回折線が拡がるため、回折線の拡がりを示す半価幅をScherrerの式[式(1)]に代入することで結晶子径(即ち平均直径)を求めることができる。
【0039】
式(1)
D=K×λ/(β×cosθ)
D:結晶子の大きさ(Å)
K:Scherrer係数(=0.9)
λ:使用X線管球の波長
β:半価幅(回折線のピーク強度が1/2となる幅)
θ:回折角(ラジアン)
【0040】
本発明における金属細線または金属粒子の材料は目的に応じて適宜選択されるが、具体的には、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Rh)、イリジウム(Ir)、金(Au)、銀(Ag)等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、金、銀等の貴金属を用いると、触媒活性がより高活性で得られる点で好ましい。最も好ましくは白金(Pt)であり、より低温でかつ高活性を得る点で他金属に比べ優れている。
【0041】
本発明において、多孔体の細孔内に金属細線または金属粒子を形成する際に用いる原料化合物としては特に制限されないが、例えば、上記の貴金属の塩又は錯塩を用いることができる。より具体的には、白金のクラスターの原料化合物として、HPtCl、Pt(NO(NH、[Pt(NH]Cl、HPt(OH)、PtCl(NH、Pt(NHCl、Pt(NH(OH)、Pt(NH(OH)、KPtCl、PtCl、PtCl等が挙げられる。
【0042】
上記の金属細線または金属粒子の原料化合物を多孔体の細孔内に導入する方法としては、液相法、固相法、気相法等が挙げられる。気相法においては、クラスターの原料化合物を水、エタノール、ベンゼン等の溶媒に溶解させ、その溶液中に多孔体を加えて攪拌混合することにより;固相法では、固体状の金属細線の原料化合物と多孔体(通常、粉末状である)とを固相で混合し、密閉容器中で加熱した後、過剰の原料化合物を洗浄等により除去することにより;気相法では、金属アルコキシド等の蒸気を発生するものや昇華しやすいものを原料に用い、それらの蒸気を多孔体と接触させることにより、それぞれ原料化合物が多孔体の細孔内に導入される。ここで、金属の塩又は錯塩を水蒸気の存在下で水素などの還元剤で接触させると金属細線が生じ、水蒸気を除去した状態で水素などの還元剤で接触させると金属粒子が生じる。
【0043】
本発明において、フィルターとは流体(気体)中に混入した異物や臭気を取り除く、器具もしくは装置であって、金属細線または金属粒子触媒を含有する一酸化窒素除去剤を含有するものであれば、特に限定されるものではなく、例えばタバコ用フィルター、空気清浄器用フィルター、エアコン用フィルター、自動車のマフラー用フィルター等が挙げられる。
【0044】
一酸化窒素除去剤をフィルターに含有させる方法としては、例えば一般的に用いられる繊維フィルターやセラミックスハニカムフィルターにバインダー等を用いて固定化させる方法や、フィルターに用いられる材料に、一酸化窒素除去剤を練りこみ、成型する方法等が挙げられる。
【0045】
本発明において、タバコ用フィルターとは、市販のタバコに別途装着して使用するフィルター、市販のフィルター付きタバコにおけるフィルターを意味する。
【0046】
金属細線または金属粒子からなる金属触媒の均一分散液をアセテート繊維等からなるフィルタープラグに含浸させることにより、一酸化窒素除去剤含有タバコフィルターを作製することができる。
【0047】
金属細線または金属粒子からなる金属触媒の均一分散液中の金属濃度は1μM〜1mMとするのが好ましい。濃度を1μM〜1mMにすると、一酸化窒素を十分に除去することができる。溶媒としては、水、水とエタノールの混合物等が挙げられる。
【0048】
一酸化窒素除去剤含有タバコフィルターを作製するには、フィルタープラグの材料である繊維束を金属触媒均一分散液に含浸させることにより、繊維束に金属触媒を付着させた後、得られた金属触媒をフィルタープラグにしてもよいし、フィルタープラグに金属触媒を付着させてもよい。
【0049】
一酸化窒素除去剤をフィルターに固定化させる際に用いられるバインダーとしては、例えばアクリル樹脂、アクリル−シリコーン樹脂、アクリル−ウレタン樹脂、ウレタン樹脂、水溶性エポキシ樹脂、水性ビニルウレタン樹脂、常乾型フッ素樹脂等の、水溶性またはエマルジョン系の合成樹脂や、セラック樹脂、コーパルゴム、ダンマルゴム等の天然系樹脂等のバインダーが挙げられる。
【0050】
バインダーの添加量は、特に限定されるものではないが、一酸化窒素除去剤100重量部に対して、5〜50重量部が好ましく、10〜20重量部が更に好ましい。
【0051】
バインダーの添加量がこの範囲より少ない場合では、固定化に要する物理的な強度が十分に得られないおそれがあり、逆にこの範囲より多い場合には、バインダー被膜に一酸化窒素除去剤が埋没してしまい、一酸化窒素除去効果が低下するおそれがある。
【0052】
一酸化窒素除去能は一酸化窒素量分析キット(株式会社同仁化学研究所製、NO/NO Assay Ket−CII)を用い、下記のように吸光度を測定して一酸化窒素濃度を求め、評価することができる。
【0053】
金属触媒の水懸濁液(白金濃度1mM)8μLと緩衝溶液84μL,NOC7(株式会社同仁化学研究所製)8μLとをマイクロプレートのウェルに入れ混合し、30分間静置した後、試薬Aを50μL加えて混合し、5分間静置した。次いで、試薬B50μLを加えて混合した後、10分間静置し、測定サンプルを得、マイクロプレートリーダー(バイオラッド社製Model550、検出波長570nm)により吸光度を測定する。
【実施例】
【0054】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら制限されるものではない。
【0055】
製造例1
粉末ケイ酸ソーダ(SiO/NaO=2.00)を700℃で6時間、空気中で焼成してジケイ酸ソーダ(δ−NaSi)の結晶とし、この結晶50gを水500mL中に分散させて3時間攪拌した後、濾過により固形分を回収してカネマイト結晶を得た。このカネマイト結晶の乾燥重量換算で50g相当を、乾燥させずに0.1Mヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド水溶液1000mLに加えて分散させ、70℃で3時間加熱攪拌した。その後、2規定の塩酸を用いて分散液のpHを8.5とし、さらに70℃で3時間加熱攪拌した。分散液を室温まで放冷した後、分散液中の固形分を濾取し、1000mLのイオン交換水に分散させて攪拌した。この濾過と分散・攪拌とを5回繰り返した後、固形分を60℃で24時間乾燥し、窒素ガス中、450℃で3時間加熱し、さらに空気中、550℃で6時間焼成することにより目的の多孔体(平均細孔直径:2.7nm)を得た。
【0056】
上記の多孔体200mgをシュレンク管に入れて100℃に加熱し、1×10−4mmHgで2時間真空脱気を行った。その後、多孔体を200mLナス型フラスコに移し、水20mLを加えて分散液を調製した。
【0057】
一方、50mLナス型フラスコに塩化白金酸六水和物(HPtCl・6HO)30mg(5.8×10−2mmol)と水5mLとを入れて混合し、塩化白金酸水溶液を調製した。
【0058】
このようにして得られた分散液と塩化白金酸水溶液とを混合して24時間攪拌した(Pt担持量:5重量%)。その後、40℃に加熱しながらエバポレータを用いて水を留去し、さらに25℃、1×10−4mmHgの条件下で24時間真空脱気して水を完全に除去した。
【0059】
次に、得られた残留物を水蒸気で飽和した水素で還元することにより本発明の金属触媒Aを得た。透過電子顕微鏡観察により平均直径2.5nm、平均アスペクト比7.6の白金金属細線が形成されていることが確認された。
【0060】
製造例2
水蒸気で飽和した水素で還元する代わりに乾燥水素で還元する以外は製造例1と同様にして本発明の金属触媒Bを得た。透過電子顕微鏡観察により平均粒径3nmの白金金属粒子が細孔に沿って一定の間隔で並んでいる様子が観察された。
【0061】
比較品の製造例1
アリーン冷却管と三方コックを接続した1000mL二口ナス型フラスコにポリ(1−ビニル−2−ピロリドン)(和光純薬工業株式会社製)1.47gを入れ、蒸留水230mLで溶解した。この溶液を10分間撹拌した後、塩化白金酸(HPtCl・6HO、和光純薬工業株式会社製)水溶液(1.66×10−2M)20mLを加えてさらに30分間撹拌した。反応系内を窒素置換し、特級エタノール250mLを加えて窒素雰囲気下を保ちながら100℃で2時間還流した。反応液のUVを測定し、白金イオンピークの消失と、金属固体特有の散乱によるピークの飽和から還元反応の終了を確認した。有機溶媒を減圧留去し20mlのメスフラスコに移し蒸留水でメスアップし、1.66−2Mの白金ナノコロイド金属触媒Cを作製した。
【0062】
試験例1(一酸化窒素除去能の測定)
一酸化窒素量分析キット(株式会社同仁化学研究所製、NO/NO Assay Ket−CII)を用いて、製造例1で得られた金属触媒Aの二酸化窒素濃度を測定した。この分析キットは、酵素反応により一酸化窒素を発生させた後、サンプル中の二酸化窒素濃度を測定するものである。水溶液中で生じた一酸化窒素は加水分解によって二酸化窒素濃度に変化すると考えられるので、二酸化窒素濃度を測定することにより、間接的に一酸化窒素量を測定できることになる。
【0063】
製造例1、2、比較品の製造例で得られた金属触媒Aまたは金属触媒Bまたは白金ナノコロイド金属触媒Cをそれぞれ添加し、水を溶媒として白金濃度1mMとなるように懸濁、調製したもの8μLと緩衝溶液84μL、及びNOC7(株式会社同仁化学研究所製)8μLとをマイクロプレートのウェルに入れて混合し、室温にて30分静置した後、試薬Aを50μL加えて混合し、5分間静置した。次いで、試薬Bを50μL加えて混合した後、10分静置し、測定サンプルを得た。緩衝溶液、試薬A及び試薬Bは分析キットのマニュアルに従って使用した。マイクロプレートリーダー(バイオラッド社製Model550、検出波長570nm)により測定サンプルの吸光度を測定した。
【0064】
金属触媒の代わりに水を添加し同様に吸光度を測定し、これをコントロールとして各金属触媒の二酸化窒素除去率を求めた。結果を表1に示した。また、この時金属触媒による二酸化窒素の分解は起こっていなかった。
【0065】
【表1】

【0066】
実施例1
下記配合割合で各原料を混合し、この粉末200mgをプラスチックの円筒(直径5mm×長さ30mm)に充填してタバコ用フィルターを作製した。また、50mlのナスフラスコに結晶セルロース200mgと白金ナノコロイド金属触媒C6.2mlをとり、含浸攪拌した後、真空吸引し水分を完全に除去し、得られた粉末を同様に充填し比較例1のタバコ用フィルターを作製した。なお、結晶セルロース(担体)のみを充填したフィルターを作製し、これをコントロールとした。
【0067】
タバコフィルターの組成(質量%)
結晶セルロース 80.0
金属触媒AまたはB 20.0
【0068】
フィルター部分を切除した市販タバコに実施例1で得られた各フィルターを付けて、吸引しながらタバコに点火し、点火箇所から3cmの長さまで燃焼させ、その時点から30秒間、フィルターを通過した吸引煙をスピントラップ剤の入った試験管にそれぞれ捕集した。併せて、フィルターの中間部に極細の熱伝対を配し、同様の操作を行い、煙を吸引時の温度を測定したところ、45〜50℃を示した。なお、スピントラップ剤には、N−methyl−D−glucamine−dithiocarbamate(以下、MGDという。ラボテック株式会社製)と硫酸鉄(II)水溶液とを混合して調製した(MGD)−Fe2+複合体を用いた。具体的には、50mM MGD溶液(0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4))1.0mLと、50mM硫酸鉄(II)水溶液0.2mLとを混合して直ちに使用した。
【0069】
30分後に各捕集液を扁平石英セルに採取してESR装置にセットし、(MGD)−Fe2+−NO複合体のスペクトル強度をそれぞれ測定した。そして、コントロールのフィルターを通過した吸引煙中のNO量を100として、各フィルターを通過した吸引煙中のNOの除去率を計算した。その結果を表2に示した。
【0070】
【表2】

【0071】
表2から、製造例1、2の金属触媒AまたはBを充填したフィルターを通過した吸引煙中のNOの除去率は、比較例1の白金ナノコロイド金属触媒Cに比べて約45%向上した。
【0072】
実施例2
市販の不織布を基材とし、これに製造例1、2、比較例1で得られた各金属触媒を含浸塗工し、金属触媒担持空調フィルターを作製した。具体的には、製造例1、2、比較例1で得られた各金属触媒をそれぞれ下記の配合割合で混合し、含浸塗工用スラリーを作製した。スラリー中にはバインダーとして、エチレン−酢酸ビニルエマルジョン(大日本インキ(株)製、商品名EP11L)を用いた。これにポリエステル繊維とレーヨン繊維とをアクリルレジンボンドしてなる坪量45g/mの乾式不織布を含浸、乾燥した。フィルターに担持された各金属触媒の含有量を、含浸塗工後の増加重量にスラリー中の白金含有率を乗じ算出し、白金担持量が1.5g/mとなるよう含浸、乾燥操作を繰り返し金属触媒担持の空調フィルターを作製した。
【0073】
製造例1及び2の塗工用スラリーの組成(質量%),白金含有率0.25重量%
金属触媒AまたはB 5.0
バインダー(EP11L) 0.7
蒸留水 94.3
【0074】
比較例1の塗工用スラリーの組成(質量%),白金含有率0.1重量%
金属触媒C 30.0
バインダー(EP11L) 0.2
蒸留水 69.8
【0075】
図1に示す空調フィルター評価装置を組み立てた。図1のように、市販タバコ1本を自然燃焼させ、吸引ファンの手前に金属触媒担持フィルターを配した。吸引ファンは約50cm/sに保ち、タバコに着火後8分30秒までは、三方コックを外気側に開き、着火後8分30秒後から3方コックの向きを変え、排ガスを実施例1で使用したのと同じスピントラップ剤の入った三角フラスコに送り込み、90秒間、排ガスを捕集した。なお、コントロールとして、金属触媒スラリーを含浸塗工しない乾式不織布のみを試験に供した。30分後に各捕集液を扁平石英セルに採取してESR装置にセットし、(MGD)−Fe2+−NO複合体のスペクトル強度をそれぞれ測定した。コントロールのフィルターを通過した燃焼煙中のNO量を100として、各フィルターを通過した燃焼煙中のNO除去率を算出した。その結果を表3に示した。
【0076】
30分後に各捕集液を扁平石英セルに採取してESR装置にセットし、(MGD)−Fe2+−NO複合体のスペクトル強度をそれぞれ測定した。そして、コントロールのフィルターを通過した吸引煙中のNO量を100%として、各フィルターを通過した吸引煙中のNO量を計算した。その結果を表2に示した。
【0077】
【表3】

【0078】
表3から、製造例1、2の金属触媒AまたはBを充填したフィルターを通過した吸引煙中のNO量の除去率は、比較例1の白金ナノコロイド金属触媒Cに比べて約40%向上した。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】空調フィルター評価装置の図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均細孔直径が1nm以上50nm以下であり無機骨格を有する多孔体と、該多孔体の細孔内に形成された、平均直径が1nm以上50nm以下である金属細線または金属粒子からなる金属触媒を含有する一酸化窒素除去剤
【請求項2】
請求項1記載の一酸化窒素除去剤を含有するフィルター

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2008−246447(P2008−246447A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−94348(P2007−94348)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000204181)太陽化学株式会社 (244)
【Fターム(参考)】