説明

三次元の回折限界未満の画像解像技術

本発明は、一般的に、三次元画像化技術を含む、回折限界未満の画像解像技術および他の画像化技術に関する。ある態様では、本発明は、入射光の回折限界より小さな距離離れた2つ以上の実体からの光を決定することおよび/または画像化することに関する。例えば、これらの実体は、約1000nm未満の距離離れていてもよく、または可視光の場合、約300nm未満の距離離れていてもよい。ある場合には、上述の実体の位置を、三方向すべての空間次元について(すなわち、x方向、y方向、およびz方向について)決定することができ、特定の場合には、三次元すべての位置を、約1000nm未満の精度で決定することができる。ある一連の実施形態では、上述の実体は、選択的に活性化可能であってもよい。すなわち、他の実体を活性化させることなく、ある実体を活性化し、光を発生させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(政府の支援)
本発明の様々な局面を導く研究は、少なくとも一部を、国立衛生研究所によって後援された。米国政府は、本発明に対して一定の権利を有する。
【0002】
(関連出願)
本出願は、2007年12月21日に出願された米国仮特許出願第61/008,661号(発明の名称:「Sub−Diffraction Limit Image Resolution In Three Dimensions」、Zhuangらによる)の利益を主張し、この出願は、本明細書中に参考として援用される。
【0003】
(発明の分野)
本発明は、一般的に、三次元画像化技術を含む、回折限界未満の画像解像技術(sub−diffraction limit image resolution)および他の画像化技術に関する。
【背景技術】
【0004】
(背景)
蛍光顕微鏡法は、分子生物学および細胞生物学、およびその他の非侵襲性の時間分解画像化用途において広く使用されている。標準的な蛍光顕微鏡法は、上述のような利点があるにもかかわらず、光の回折による解像度の限界があるため、超微細構造の画像化には有用ではない。この回折限界を超えるために、近接場光学顕微鏡法(NSOM)、誘導放出抑制(STED)、可逆的飽和性光学蛍光遷移(reversible saturable optical linear fluorescence transition)(RESOLFT)および飽和構造化照射顕微鏡法(saturated structured−illumination microscopy)(SSIM)を含むいくつかのアプローチが用いられているが、それぞれ特定の満足できない限界を有する。電子顕微鏡法は、生体サンプルを高解像度で画像化するために使用されることが多いが、電子顕微鏡法は、光ではなく電子を使用し、調製する必要があるため、生体サンプルに用いるのは困難である。したがって、生体サンプルおよび他のサンプルを超高解像度で画像化するために、蛍光顕微鏡の利点を活かす(例えば、生きた生体サンプルに対し、分子特異性および/または分子適合性を有するように)、非侵襲性の技術を含む新しい技術が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、一般的に、三次元画像化技術を含む、回折限界未満の画像解像技術および他の画像化技術に関する。本発明の主題は、いくつかの場合には、相互に関連する製品、特定の問題に対する代替的な解決法、および/または1つ以上のシステムおよび/または物品の複数の異なる用途に関する。
【0006】
一態様では、本発明は、ある方法に関する。ある一連の実施形態では、この方法は、約1000nm未満の距離離れた第1の実体および第2の実体を提供する工程と、第1の実体から放射される光を決定する(determine)工程と、第2の実体から放射される光を決定する工程と、第1の実体から放射される光と第2の実体から放射される光とを用い、第1の実体および第2の実体のx位置、y位置、およびz位置を決定する工程とを含む。この方法は、別の一連の実施形態では、所定の分離距離離れた第1の実体および第2の実体を提供する工程と、第1の実体から放射される光を決定する工程と、第2の実体から放射される光を決定する工程と、第1の実体から放射される光と第2の実体から放射される光とを用い、第1の実体および第2の実体のx位置、y位置、およびz位置を決定する工程とを含む。
【0007】
さらに別の一連の実施形態では、この方法は、約1000nm未満の距離離れた第1の実体および第2の実体を提供する工程と、第2の実体を活性化せずに、第1の実体を活性化する工程と、第1の実体から放射される光を決定する工程と、第2の実体を活性化する工程と、第2の実体から放射される光を決定する工程と、第1の実体から放射される光と第2の実体から放射される光とを用い、第1の実体および第2の実体のx位置、y位置、およびz位置を決定する工程とを含む。さらに別の一連の実施形態では、この方法は、所定の分離距離離れた第1の実体および第2の実体を提供する工程と、第2の実体を活性化せずに、第1の実体を活性化する工程と、第1の実体から放射される光を決定する工程と、第2の実体を活性化する工程と、第2の実体から放射される光を決定する工程と、第1の実体から放射される光と第2の実体から放射される光とを用い、第1の実体および第2の実体のx位置、y位置、およびz位置を決定する工程とを含む。
【0008】
ある一連の実施形態では、この方法は、光を放射することが可能な複数の実体(このうちの少なくともいくつかは、約1000nm未満離れている)を提供する工程と、複数の実体の一部分を活性化して光を放射させる工程と、この放射した光を決定する工程と、複数の実体のうち、上述のように活性化した部分を不活性化する工程と、複数の実体を活性化し、不活性化する工程を繰り返し、この複数の実体のx位置、y位置、およびz位置を決定する工程とを含む。この方法は、さらに別の一連の実施形態では、光を放射することが可能な複数の実体を提供する工程と、複数の実体の一部分を活性化して光を放射させる工程と、この放射した光を決定する工程と、複数の実体のうち、上述のように活性化した部分を不活性化する工程と、複数の実体を活性化し、不活性化する工程を繰り返し、この複数の実体のx位置、y位置、およびz位置を決定する工程とを含む。
【0009】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載の1つ以上の実施形態を行う方法に関する。別の態様では、本発明は、本明細書に記載の1つ以上の実施形態を使用する方法に関する。
【0010】
本発明の他の利点および新規な特徴は、添付の図面と組み合わせて考えると、本発明の非限定的な種々の実施形態に関する以下の詳細な記載から明らかになる。本明細書および参考により援用した文献の開示内容が矛盾点および/または不一致点を含んでいる場合、本明細書が優先する。参考により援用した2つ以上の文献の開示内容が矛盾点および/または不一致点を互いに含んでいる場合、最近の有効日付を有する文献の内容が優先する。
【0011】
本発明の非限定的な実施形態を、添付の図面を参照し、一例として記載する。図面は模式的なものであり、縮尺どおりに描画することを意図していない。図面では、同じ要素またはほぼ同じ要素は、典型的には同じ数字であらわしている。明確にするために、すべての要素に数字を付してはおらず、当業者が本発明を理解するのに、その要素の説明が必要ではない場合、本発明の各実施形態のすべての要素を示してはいない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】図1Aは、三次元での実体の位置を決定するのに有用な本発明の一実施形態を示す。
【図1B】図1Bは、三次元での実体の位置を決定するのに有用な本発明の一実施形態を示す。
【図1C】図1Cは、三次元での実体の位置を決定するのに有用な本発明の一実施形態を示す。
【図1D】図1Dは、三次元での実体の位置を決定するのに有用な本発明の一実施形態を示す。
【図1E】図1Eは、三次元での実体の位置を決定するのに有用な本発明の一実施形態を示す。
【図1F】図1Fは、三次元での実体の位置を決定するのに有用な本発明の一実施形態を示す。
【図1G】図1Gは、三次元での実体の位置を決定するのに有用な本発明の一実施形態を示す。
【図2A】図2Aは、細胞を画像化するのに有用な本発明の実施形態を示す。
【図2B】図2Bは、細胞を画像化するのに有用な本発明の実施形態を示す。
【図2C】図2Cは、細胞を画像化するのに有用な本発明の実施形態を示す。
【図2D】図2Dは、細胞を画像化するのに有用な本発明の実施形態を示す。
【図2E】図2Eは、細胞を画像化するのに有用な本発明の実施形態を示す。
【図2F】図2Fは、細胞を画像化するのに有用な本発明の実施形態を示す。
【図3A】図3Aは、本発明の別の実施形態による、細胞の三次元画像化を示す。
【図3B】図3Bは、本発明の別の実施形態による、細胞の三次元画像化を示す。
【図3C】図3Cは、本発明の別の実施形態による、細胞の三次元画像化を示す。
【図3D】図3Dは、本発明の別の実施形態による、細胞の三次元画像化を示す。
【図3E】図3Eは、本発明の別の実施形態による、細胞の三次元画像化を示す。
【図3F】図3Fは、本発明の別の実施形態による、細胞の三次元画像化を示す。
【図3G】図3Gは、本発明の別の実施形態による、細胞の三次元画像化を示す。
【図3H】図3Hは、本発明の別の実施形態による、細胞の三次元画像化を示す。
【図4A】図4Aは、本発明の一実施形態による、種々のビーズの三次元画像化を示す。
【図4B】図4Bは、本発明の一実施形態による、種々のビーズの三次元画像化を示す。
【図4C】図4Cは、本発明の一実施形態による、種々のビーズの三次元画像化を示す。
【図4D】図4Dは、本発明の一実施形態による、種々のビーズの三次元画像化を示す。
【図5A】図5Aは、本発明の一実施形態による、細胞画像化の精度を示す。
【図5B】図5Bは、本発明の一実施形態による、細胞画像化の精度を示す。
【図5C】図5Cは、本発明の一実施形態による、細胞画像化の精度を示す。
【図6A】図6Aは、本発明の特定の実施形態で有用な種々の蛍光化合物を示す。
【図6B】図6Bは、本発明の特定の実施形態で有用な種々の蛍光化合物を示す。
【図6C】図6Cは、本発明の特定の実施形態で有用な種々の蛍光化合物を示す。
【図6D】図6Dは、本発明の特定の実施形態で有用な種々の蛍光化合物を示す。
【図6E】図6Eは、本発明の特定の実施形態で有用な種々の蛍光化合物を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(詳細な説明)
本発明は、一般的に、三次元画像化技術を含む、回折限界未満の画像解像技術および他の画像化技術に関する。一態様では、本発明は、入射光の回折限界未満の距離離れた2つ以上の実体からの光を決定することおよび/または画像化することに関する。例えば、これらの実体は、約1000nm未満の距離離れていてもよく、可視光の場合には、約300nm未満の距離離れていてもよい。ある場合には、実体の位置を、三方向すべての空間次元について(すなわち、x方向、y方向、およびz方向について)決定することができ、特定の場合には、三次元すべての位置を、約1000nm未満の精度で決定することができる。ある一連の実施形態では、これらの実体を選択的に活性化してもよい。すなわち、他の実体を活性化させることなく、ある実体を活性化して光を発生させることができる。第1の実体を活性化し、決定し(例えば、その実体から放射される光を決定することによって)、次いで、第2の実体を活性化し、決定してもよい。放射光を用い、例えば、これらの実体の画像の位置を決定することによって、ある場合には、回折限界未満の解像度で第1の実体および第2の実体のx位置およびy位置を決定してもよい。ある場合には、z位置を決定するために、強度または焦点に関する情報(例えば、焦点が存在しないこと)を利用する種々の技術の1つを用いて、z位置を決定してもよい。このような技術の非限定的な例としては、非点収差を利用した画像化、オフフォーカス状態での画像化、または複数の焦点面を有する画像化が挙げられる。本発明の他の態様は、回折限界未満の画像解像技術のためのシステム、回折限界未満の画像解像技術のためのコンピュータプログラムおよびコンピュータ技術、回折限界未満の画像解像技術を促進する方法などに関する。
【0014】
本発明の一態様は、一般的に、2つ以上の実体から放射される光の波長より短い分離距離の場合、または放射光の回折限界より短い分離距離の場合であっても、この2つ以上の実体を解像する技術に関する。実体の解像度は、例えば、本明細書に記載のように、1μm(1000nm)以下のオーダーであってもよい。例えば、放射光が可視光である場合、解像度は、約700nm未満であってもよい。ある場合には、2つ(またはそれ以上)の実体が、約500nm未満の距離離れている場合、約300nm未満の距離離れている場合、約200nm未満の距離離れている場合、約100nm未満の距離離れている場合、約80nm未満の距離離れている場合、約60nm未満の距離離れている場合、約50nm未満の距離離れている場合、約40nm未満の距離離れている場合であっても、解像できる場合がある。ある場合には、約20nm未満の距離または約10nm未満の距離離れた2つ以上の実体を、本発明の実施形態を用いて解像することができる。
【0015】
実体は、光を放射可能な任意の実体であってもよい。例えば、実体は、単一の分子であってもよい。放射性実体の非限定的な例としては、蛍光発光実体(フルオロフォア)またはリン光発光実体、例えば、シアニン染料(例えば、Cy2、Cy3、Cy5、Cy5.5、Cy7など)、金属ナノ粒子、半導体ナノ粒子または「量子ドット」または蛍光タンパク質、例えば、GFP(緑色蛍光タンパク質)が挙げられる。他の光放射性実体は、当業者が簡単に知り得るものである。本明細書で使用される場合、用語「光」は、一般的に、任意の適切な波長(または同等の意味で、周波数)を有する電磁放射を指す。例えば、いくつかの実施形態では、上述の光は、光領域または可視光領域の波長(例えば、約400nm〜約1000nmの波長を有し、すなわち「可視光」)、赤外波長(例えば、約300μm〜700nmの波長を有する)、紫外波長(例えば、約400nm〜約10nmの波長を有する)などの波長を含んでもよい。特定の場合には、以下に詳細に記載するように、2つ以上の実体を使用してもよい。すなわち、化学的に異なるかまたは別個の(例えば構造的に別個の)実体を使用してもよい。しかし、他の場合には、上述の実体は、化学的に同じであるか、または少なくとも実質的に化学的に同じであってもよい。
【0016】
ある場合には、上述の1つ以上の実体は、「スイッチング可能」である。すなわち、上述の実体は、2つ以上の状態をスイッチング可能であり、この状態の少なくとも1つは、所望の波長を有する光を放射する。他の状態では、この実体は光を放射しなくてもよく、または異なる波長の光を放射してもよい。例えば、ある実体を「活性化」し、所望の波長を有する光を発生可能な第1の状態にし、「不活性化」して第2の状態にしてもよい。ある場合には、上述の実体のうち、少なくとも1つは、光によって活性化可能であるか、または光によってスイッチング可能である。ある実体は、適切な波長の入射光によって活性化可能である場合、「光によって活性化可能」である。ある実体は、異なる波長の入射光によって、異なる光を放射する状態または光を放射しない状態にスイッチング可能である場合、「光によってスイッチング可能」である。典型的には、「スイッチング可能な」実体は、第1の状態の実体を励起波長に曝露すると、実体が光を放射し、例えば、スイッチングする波長を有する光に曝露すると、第1の状態から第2の状態に実体がスイッチングし、一方で、第2の状態の実体を励起波長に曝露すると、実体は光を放射しない(または減少した強度で光を放射する)か、または異なる波長で光を放射するような条件を決定することによって、当業者によって同定することができる。スイッチング可能な実体の例は、以下に詳細に記載しており、国際特許出願番号PCT/US2007/017618(2007年8月7日出願、名称「Sub−Diffraction Limit Image Resolution and Other Imaging Techniques」、国際特許公開番号WO 2008/091296として2008年7月31日に公開、本明細書に援用する)にさらに記載されている。
【0017】
ある態様では、2つ以上の実体の空間位置を決定するために、光を処理してもよい。ある場合には、ある画像に分布している1つ以上の実体の位置を個々に決定してもよく、ある場合には、実体の位置を三次元で決定してもよい(すなわち、x次元、y次元、およびz次元で決定してもよい。ここで、z次元は、画像化システムの光軸の方向であり、x次元およびy次元は、z方向に対して垂直であり、互いに垂直である)。ある一連の実施形態で、Gaussianフィッティング技術または他の適切な技術を用いて放射光を処理し、放射性の実体のそれぞれの位置を特定してもよい。適切なGaussianフィッティング技術の詳細は、以下の実施例に記載しており、当業者は、本開示内容の利益を有する他の適切な画像処理技術を認識することができるであろう。
【0018】
本発明の別の実施形態によって、画像処理技術の別の例を記載する。一連の画像サンプル(例えば動画)から出発し、それぞれの光放射ピーク(例えば、蛍光、リン光などにより)を特定し、ピークの存在する時間を決定する。例えば、時間点に対し、一連の画像でほぼ同じ強度のピークが存在してもよい。ピークを、いくつかの場合、Gaussian関数および/または楕円Gaussian関数にフィッティングし、重心の位置、強度、幅および/または楕円率を決定してもよい。これらのパラメータに基づき、位置決定精度を満足いくレベルまで高めるために、特定の場合には、さらなる分析から、輪郭のはっきりしないピーク、幅広すぎるピーク、曲がりすぎているピークなどを除外してもよい。散発性のピーク、移動しているピーク、不連続に存在するピークなども破棄してもよい。例えば、最小二乗によって、ピーク強度を2次元Gaussian関数にフィッティングし、ピークの中心位置を決定することによって、ピークの供給源(例えば、本明細書に記載されるように、光を放射可能な任意の1つ以上の実体)の位置を決定することができる。サンプル内の任意のピークまたはすべてのピークについて、このプロセスを必要なだけ繰り返してもよい。
【0019】
ある一連の実施形態では、入射光の回折限界よりも小さな解像度で、ある実体のz位置を決定することができる。例えば、可視光の場合、ある実体のz位置を、約800nm未満、約500nm未満、約200nm未満、約100nm未満、約50nm未満、約20nm未満、または約10nm未満の解像度で決定することができる。実体のz位置を決定することが可能な任意の顕微鏡技術、例えば、非点収差を利用した画像化、オフフォーカス状態での画像化、複数の焦点面を有する画像化、共焦点顕微鏡、二光子顕微鏡などを使用してもよい。ある場合では、上述の実体が、単一の光の点としてあらわれず、ある領域をもった画像として、例えば、わずかに解像されていない画像または焦点の合っていない画像としてあらわれるように上述の実体を配置し、画像化してもよい。一例として、上述の実体を、検出器で上述の実体の画像の焦点が合わないように、上述の実体を含有しない1つ以上の焦点領域(例えば、1つ以上の焦点面)を規定するレンズまたは検出システムによって画像化してもよい。上述の実体がどれほど焦点が合わないかという程度を利用し、上述の実体と、焦点領域の1つとの距離を決定することができ、これを利用して、上述の実体のz位置を決定することができる。
【0020】
ある実施形態では、非点収差を利用した画像化を用い、z位置を決定することができる。実体から放射される光がレンズを通る方向に対して、円対称でない(not circularly symmetric)レンズを使用してもよい。例えば、このレンズは、円筒形であってもよく(図1Aに示したように)、楕円形などであってもよい。ある場合では、レンズは、異なる面に異なる半径の曲率を有していてもよい。実体から放射される光は、円対称でないレンズ(non−circularly symmetric lens)を含む画像化光学システムを通った後に、検出器で円形または楕円形であってもよい。
【0021】
ある場合では、画像の大きさおよび楕円率を利用し、上述の実体と、レンズまたは検出器の焦点領域との距離を決定することができ、次いで、これを利用して、z位置を決定することができる。非限定的な例として、図1Bに示したように、焦点(z=0nm)での画像は、円形であり、焦点からはずれた画像は、徐々に楕円形に広がっていき(z=±200nmまたは±400nm)、楕円率の方向は、この実体が、焦点領域の上にあるか下にあるかを示している。
【0022】
別の実施形態では、z位置を、オフフォーカス状態での画像化を用いて決定することができる。実体を画像化するために用いられるレンズまたは検出システムによって規定される焦点領域の1つに存在しない実体は、焦点が合っていない状態であらわれ、上述の画像がどれほど焦点が合わないかという程度を利用し、上述の実体と、レンズの焦点領域との距離を決定することができ、これを利用して、上述の実体のz位置を決定することができる。ある場合では、焦点の合っていない実体の画像は、一般的に、円形であらわれてもよく(この領域は、実体と、レンズの焦点領域との距離を示す指標である)、ある場合では、焦点の合っていない実体の画像は、一連の環状構造としてあらわれてもよく、より大きな環は、距離がより遠いことを示す)。
【0023】
いくつかの実施形態では、例えば、複数の焦点面を有する画像化によって、実体から放射される光を、複数の検出器で集めてもよい。ある場合では、1つ以上の検出器で、光の焦点は合っていなくてもよい。画像の焦点が合っていない程度を利用し、z位置を決定してもよい。
【0024】
本発明の適切な画像処理技術の別の非限定的な例では、一連の画像サンプル(例えば動画)は、活性化フレーム(例えば、中に活性化光あり)および画像化フレーム(例えば、中に画像化光あり)の繰り返しを備えていてもよい。1つ以上の画像化フレームで、それぞれのフレームについて蛍光ピークを決定し、位置、強度、幅、楕円率などを決定してもよい。これらのパラメータに基づき、位置決定精度を満足いくレベルまで高めるために、さらなる分析から、輪郭のはっきりしないピーク、幅広すぎるピーク、曲がりすぎているピークなどを除外してもよい。いくつかの場合には、散発性のピーク、移動しているピーク、不連続に存在するピークなども破棄してもよい。ピークの中心位置、形状および/または大きさを決定することによって、ピークの発生源(例えば、本明細書に記載されるように、光を放射可能な任意の1つ以上の実体)の位置を決定することができる。ある場合では、この位置を三次元で決定してもよい。サンプル内の任意のピークまたはすべてのピークについて、このプロセスを必要なだけ繰り返してもよい。
【0025】
実体の決定を容易にするために他の画像処理技術を使用してもよく、例えば、ドリフト補正またはノイズフィルタを使用してもよい。一般的に、ドリフト補正では、例えば、固定点を特定し(例えば、基準マーカーとして、例えば、蛍光粒子を基板に固定してもよい)、固定点の移動度(すなわち、機械的なドリフトによるもの)を使用し、決定済のスイッチング可能な実体の位置を補正してもよい。ドリフト補正の別の例では、異なる画像化フレームまたは活性化フレームから得た画像の相関関数を算出し、ドリフト補正に使用してもよい。いくつかの実施形態では、ドリフトは、約1000nm/分未満、約500nm/分未満、約300nm/分未満、約100nm/分未満、約50nm/分未満、約30nm/分未満、約20nm/分未満、約10nm/分未満または約5nm/分未満であってもよい。このようなドリフトは、例えば、顕微鏡対物レンズに対し、サンプルスライドのx−y位置決めのために取り付けられた移動ステージを有する顕微鏡で起こることがある。スライドは、適切な制限機構(例えば、ばね仕掛けのクリップ)を用いて移動ステージに固定されていてもよい。それに加えて、ステージと顕微鏡スライドとの間に緩衝層を取り付けてもよい。緩衝層は、例えば、スライドがいくつかの様式で滑るのを防ぐことによって、移動ステージに対し、スライドのドリフトをさらに制限してもよい。緩衝層は、一実施形態では、ゴム膜またはポリマー膜、例えば、シリコーンゴム膜である。したがって、本発明の一実施形態は、移動ステージと、移動ステージに接続してスライドを固定する制限機構(例えば、ばね仕掛けのクリップ)とを備え、任意に、緩衝層(例えば、シリコーンゴム膜)を、制限機構が緩衝層と接触することにより、スライドの動きが制限されるように配置して備えるデバイスに関する。データ収集中に顕微鏡の焦点を安定化させるために、いくつかの場合では、「フォーカスロック」デバイスを使用してもよい。非限定的な例として、フォーカスロックを達成するために、サンプルを保持した基板でレーザー光を反射させ、反射した光を位置感応型検出器(例えば、象限(quandrant)フォトダイオード)に向かわせてもよい。ある場合では、反射したレーザーの位置は、基板と対物レンズとの距離に感応性(sensitive)であってもよく、この位置が、z方向の位置決めステージ(例えば、圧電性のステージ)にフィードバックされ、焦点ドリフトが補正されてもよい。
【0026】
ある一連の実施形態では、上述のように、スイッチング可能な実体を使用してもよい。スイッチング可能な実体の非限定的な例は、国際特許出願番号PCT/US2007/017618(2007年8月7日出願、名称「Sub−Diffraction Limit Image Resolution and Other Imaging Techniques」、国際特許公開番号WO 2008/091296として2008年7月31日に公開)にさらに記載されており、この内容を参考により本明細書に援用する。スイッチング可能な実体の非限定的な例として、Cy5は、異なる波長の光によって制御された様式および可逆的な様式で、蛍光状態と暗状態とをスイッチング可能である。例えば、633nmまたは657nmの赤色の光によって、Cy5をスイッチングするか、または不活性化して安定な暗状態にすることができ、532nmの緑色の光によって、Cy5をスイッチングするか、活性化して蛍光状態に戻すことができる。スイッチング可能な実体の他の非限定的な例としては、光によって活性化可能な蛍光タンパク質または光によってスイッチング可能な蛍光タンパク質、または光によって活性化可能な無機粒子または光によってスイッチング可能な無機粒子(例えば、本明細書に記載するもの)が挙げられる。ある場合には、上述の実体は、例えば、適切な刺激にさらされると、2つ以上の状態を可逆的にスイッチング可能である。例えば、第1の刺激(例えば、第1の波長の光)を使用し、このスイッチング可能な実体を活性化してもよく、一方、第2の刺激(例えば、第2の波長の光)を使用し、このスイッチング可能な実体を不活性化し、例えば放射しない状態にしてもよい。任意の適切な方法を使用し、上述の実体を活性化してもよい。例えば、一実施形態では、適切な波長の入射光を使用し、上述の実体を活性化し、光を放射させてもよい。すなわち、上述の実体は、光スイッチング可能である。したがって、光スイッチング可能な実体は、例えば、異なる波長を有する入射光によって、異なる光を放射する状態または光を放射しない状態にスイッチングさせることができる。上述の光は、単色(例えば、レーザーを用いて作製)または多色であってもよい。別の実施形態では、上述の実体を、電場および/または磁場によって刺激し、活性化してもよい。他の実施形態では、上述の実体は、例えば、pHを調整することによって、または実体が関与する可逆性化学反応を誘発することなどによって、適切な化学環境におくことによって活性化してもよい。同様に、上述の実体を不活性化するために任意の適切な方法を使用してもよく、上述の実体を活性化する方法と、不活性化する方法とは、同じである必要はない。例えば、上述の実体を、適切な波長の入射光に曝露して不活性化させてもよく、または上述の実体は、十分な時間が経過することによって不活性化してもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、スイッチング可能な実体は、第1の光放射部分(例えば、フルオロフォア)と、第1の部分を活性化させるか、または「スイッチング」させる第2の部分とを備えている。例えば、光に曝露すると、スイッチング可能な実体の第2の部分は、第1の部分を活性化させ、第1の部分が光を放射してもよい。活性化部分の例としては、限定されないが、Alexa Fluor 405(Invitrogen)、Alexa 488(Invitrogen)、Cy2(GE Healthcare)、Cy3(GE Healthcare)、Cy3.5(GE Healthcare)またはCy5(GE Healthcare)または他の適切な染料が挙げられる。光放射部分の例としては、限定されないが、Cy5、Cy5.5(GE Healthcare)またはCy7(GE Healthcare)、Alexa Fluor 647(Invitrogen)または他の適切な染料が挙げられる。これらの部分は、例えば、直接的に、またはリンカーを介して、例えば共有結合によって結合し、例えば、限定されないが、Cy5−Alexa Fluor 405、Cy5−Alexa Fluor 488、Cy5−Cy2、Cy5−Cy3、Cy5−Cy3.5、Cy5.5−Alexa Fluor 405、Cy5.5−Alexa Fluor 488、Cy5.5−Cy2、Cy5.5−Cy3、Cy5.5−Cy3.5、Cy7−Alexa Fluor 405、Cy7−Alexa Fluor 488、Cy7−Cy2、Cy7−Cy3、Cy7−Cy3.5またはCy7−Cy5のような化合物を形成してもよい。Cy3、Cy5、Cy5.5およびCy7の構造を図6に示し、Cy3−Cy5の結合態様の非限定的な例を図6Eに示す。当業者は、これらの化合物および他の化合物の構造を認識しており、これらの化合物の多くは市販されている。
【0028】
任意の適切な方法を用い、第1の光放射部分と第2の活性化部分とを結合してもよい。ある場合には、例えば、ある様式では、光放射部分がどんな態様で不活性化される場合であっても、活性化部分が光放射部分を所望な程度に活性化するように、第1部分と第2部分との距離が十分に近い位置になるようにリンカーが選択される。典型的には、これらの部分は、500nm以下、例えば、約300nm未満、約100nm未満、約50nm未満、約20nm未満、約10nm未満、約5nm未満、約2nm未満、約1nm未満などのオーダーの距離離れている。リンカーの例としては、炭素鎖(例えば、アルカンまたはアルケン)、ポリマー単位などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
特定の場合には、光放射部分および活性化部分は、互いに分離すると、それぞれフルオロフォアになってもよい(すなわち、励起波長のような刺激にさらされると、特定の放射波長の光を放射する実体になってもよい)。しかし、第1のフルオロフォアと第2のフルオロフォアとを含むスイッチング可能な実体を形成する場合、第1のフルオロフォアは、第1の光放射部分を形成し、第2のフルオロフォアは、刺激に応答して第1の部分を活性化させるか、または「スイッチング」させる活性化部分を形成する。例えば、スイッチング可能な実体は、第2のフルオロフォアに直接結合した第1のフルオロフォアを含んでいてもよく、または第1の実体および第2の実体が、リンカーを介して、または共通の実体に結合していてもよい。光放射部分と活性化部分の対が、適切なスイッチング可能な実体を生成するか否かは、当業者に既知の方法によって試験することができる。例えば、種々の波長を有する光を使用して、この対を刺激し、光放射部分から放射される光を測定し、この対が適切なスイッチとなるかどうかを決定することができる。
【0030】
したがって、本発明の一実施形態では、第1の光放射部分と、第2の活性化部分とを含む、光を放射するスイッチング可能な実体が提供される。上述の実体は、第1の光放射部分によって決定される最大放射波長と、第2の活性化部分によって決定される最大活性化波長とを有する。特に、この2つの波長は、同じ分子実体によって制御されず、有効に分けられている。ある場合には、放射部分を活性化して蛍光状態にする場合および、この蛍光状態から励起させて放射させ、放射部分を不活性化する場合の両方に、同じ波長の光を使用することができる。さらに、あるサンプル内にある多種類のスイッチング可能な実体を独立して決定してもよい。例えば、同じ活性化部分を有するが、光放射部分が異なる2つのスイッチング可能な実体は、サンプルに適用する同じ波長の光によって活性化されてもよいが、光放射部分が異なるため、異なる波長で放射し、これらは回折限界未満の解像度未満の分離距離の場合であっても、容易に識別することができる。このことにより、2色の画像を有効に得ることができる。同様に、同じ光放射部分を有するが、活性化部分が異なる2つのスイッチング可能な実体は、活性化部分が異なるため、サンプルに適用するのとは異なる波長の光によって活性化されてもよく、そして光放射部分は、同じ波長で放射されてもよく、これらは回折限界未満の解像度未満の分離距離の場合であっても、容易に識別することができる。この方法でも、2色の画像を有効に得ることができる。これらの方法を組み合わせると、4色(またはそれ以上)の色画像を容易に作製することができる。この原理を用い、スイッチング可能な実体および/または活性化実体によっては、多色画像化を6色、9色などにまで広げることができる。この多色画像化の原理を、本明細書に記載の画像化方法とともに使用し、(ある場合には、3つの次元すべてにおいて)回折限界未満の解像度を得ることもでき、および/または回折限界未満の解像度に制限されない他の画像化方法とともに使用し、多色画像を得てもよい。
【0031】
いくつかの実施形態では、上記に記載の第1の光放射部分と、第2の活性化部分とを、直接的に共有結合によって結合するのでもなく、リンカーを介して結合するのでもなく、それぞれを共通の実体に固定してもよい。他の実施形態では、2個以上のスイッチング可能な実体(特定の場合には、このうちいくつかは、第1の光放射部分と、第2の活性化部分とが、直接的に結合しているか、またはリンカーを介して結合してもよい)を、本発明のある態様で、共通の実体に固定していてもよい。これらのいずれか実施形態で、共通の実体は、非生体実体であってもよく、生体実体であってもよく、例えば、細胞、組織、基質、表面、ポリマー、核酸などの生体分子(DNA、RNA、PNA、LNAなど)、脂質分子、タンパク質またはポリペプチドなど、生体分子の複合体、または生体構造(例えば、オルガネラ、微小管、クラスリン被覆小窩(pit)など)であってもよい。
【0032】
ある一連の実施形態では、スイッチング可能な実体は、結合対(すなわち、特定の検体と結合可能な分子)に対して、例えば共有結合によって固定することができる。結合対としては、当業者に既知の特異的な結合対、半特異的な結合対および非特異的な結合対が挙げられる。用語「特異的に結合する」は、結合対(例えば、タンパク質、核酸、抗体など)を指している場合、異なる分子の混合物(例えば、タンパク質および他の生体物質)中の結合対の1つまたは他の対の存在および/または正体を決定する要因となる反応を指す。したがって、例えば、レセプター/リガンド結合対の場合、リガンドは、分子の複雑な混合物から特異的および/または優先的にそのレセプターを選択し、逆に、レセプターは、分子の複雑な混合物から特異的および/または優先的にリガンドを選択する。他の例としては、限定されないが、酵素は、その基質と特異的に結合し、核酸は、その相補体と特異的に結合し、抗体は、その抗原と特異的に結合する。このような結合は、1つ以上の種々の機構(限定されないが、イオン性相互作用および/または共有結合性相互作用および/または疎水性相互作用および/またはファンデルワールス力による相互作用などが挙げられる)によって行われてもよい。標的分子または標的構造(例えば、細胞内のDNAまたはタンパク質)の結合対にスイッチング可能な実体を固定することによって、スイッチング可能な実体を、種々の決定または画像化に使用することができる。例えば、アミン反応性基を有するスイッチング可能な実体は、アミンを含む結合対(例えば、抗体、タンパク質または酵素)と反応してもよい。
【0033】
いくつかの実施形態では、2つ以上のスイッチング可能な実体を使用してもよく、この実体は、同じであっても異なっていてもよい。いくつかの場合には、第1の実体から放射される光の波長と、第2の実体から放射される光の波長とは同じである。上述の実体を異なる時間点で活性化し、各実体からの光を別個に決定してもよい。これにより、2つの実体の位置を別個に決定することができ、いくつかの場合には、以下に詳細に記載するように、実体から放射される光の波長未満の分離距離の場合または放射光の回折限界未満の分離距離の場合であっても、2つの実体を空間的に解像してもよい(すなわち、「回折限界未満」の解像)。特定の場合、第1の実体から放射される光の波長と、第2の実体から放射される光の波長とは、異なっている(例えば、第1の実体および第2の実体が化学的に異なっており、および/または異なる環境に配置されている場合)。実体から放射される光の波長未満の分離距離の場合または放射光の回折限界未満の分離距離の場合であっても、実体を空間的に解像してもよい。特定の場合、第1の実体から放射される光の波長と、第2の実体から放射される光の波長とは、実質的に同じであるが、2つの実体を異なる波長の光で活性化し、各実体からの光を別個に決定してもよい。実体から放射される光の波長未満の分離距離の場合または放射光の回折限界未満の分離距離で隔てられている場合であっても、実体を空間的に解像してもよい。
【0034】
ある場合では、実体は、独立してスイッチング可能であってもよい。すなわち、第2の実体を活性化させることなく、第1の実体を活性化し、光を放射させてもよい。例えば、実体が異なっている場合、第1の実体および第2の実体をそれぞれ活性化する方法は、異なっていてもよい(例えば、異なる波長の入射光を用いて、それぞれの実体を活性化してもよい)。別の非限定的な例として、実体が実質的に同じ場合、入射光の範囲内の実体の部分的な集合または実体の一部分のみを(すなわち、確率的またはランダムに)活性化するように、十分弱い強度を実体に適用してもよい。活性化する特定の強度は、当業者であれば、通常の範囲内の技術を用いて決定することができる。入射光の強度を適切に選択することによって、第2の実体を活性化させることなく、第1の実体を活性化させてもよい。別の非限定的な例として、画像化されるサンプルは、複数の実体を含んでいてもよく、この複数の実体のうち、いくつかは実質的に同じであり、いくつかは、実質的に異なっている。この場合、上述の1つ以上の方法を適用し、実体を独立してスイッチングさせてもよい。
【0035】
各スイッチング可能な実体から放射される光は、例えば、画像またはマトリックスとして決定してもよい。例えば、第1の実体を活性化し、第1の実体から放射される光を決定してもよく、第2の実体を活性化し(第1の実体を不活性化しても不活性化しなくてもよい)、第2の実体から放射される光を決定してもよい。複数の実体それぞれから放射される光の波長は、同じであっても異なっていてもよい。任意の適切な方法を使用し、放射光を決定してもよい。例えば、光の検出器は、CCDカメラのようなカメラ、フォトダイオード、フォトダイオードアレイ、光電子増倍器、光電子増倍器アレイ、または分光計であってもよく、当業者は、他の適切な技術を知っているであろう。いくつかの場合には、2つ以上の検出器を使用してもよく、それらの検出器はそれぞれ独立して、同じでも異なっていてもよい。いくつかの場合には、例えば、解像度を高め、および/またはノイズを減らすために、複数の画像(または他の決定因子)を使用してもよい。例えば、少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも50、少なくとも75、少なくとも100などの画像を、用途に応じて決定してもよい。
【0036】
いくつかの場合には、入射光の範囲内の実体の部分的な集合または実体の一部分のみを(すなわち、確率的またはランダムに)活性化するように、十分に強度の弱い入射光を複数の実体に照射してもよい。活性化する量は、任意の適切な一部分であってよく、例えば、用途に応じて、実体の約0.1%、約0.3%、約0.5%、約1%、約3%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、または約95%を活性化してもよい。例えば、入射光の強度を適切に選択することによって、実体の少なくともいくつかが他の実体と光学的に解像可能で、位置が決定可能であるように、実体のまばらな部分的な集合を活性化させてもよい。いくつかの場合には、実体の部分的な集合の活性化が、短期間の入射光の照射により、同時に起こることが可能である。繰り返しの活性化サイクルにより、すべての実体の位置または実体のかなりの部分を決定することができる。いくつかの場合には、この情報を用いて、回折限界未満の解像度を有する画像を構築することができる。
【0037】
サンプルの複数の位置をそれぞれ分析し、その位置にある実体を決定してもよい。例えば、サンプルは、種々の複数の実体を含有していてもよく、そのいくつかは、実体から放射される光の波長未満の分離距離にあるか、または放射光の回折限界未満の分離距離にある。サンプル内の異なる位置を決定してもよく(例えば、画像内でピクセルの違いとして)、これらの位置をそれぞれ独立して分析し、その位置にある1つ以上の実体を決定してもよい。いくつかの場合には、それぞれの位置にある実体を、すでに記載したように、実体から放射される光の波長未満の解像度または放射光の回折限界未満の解像度で決定してもよい。
【0038】
本発明のいくつかの実施形態では、実体は、時間の関数として解像されてもよい。例えば、2つ以上の実体を種々の時間点で観察し、時間で変動するプロセス(例えば、化学反応、細胞の挙動、タンパク質または酵素の結合など)を決定してもよい。したがって、一実施形態では、2つ以上の実体の位置を、第1の時間点で決定し(例えば、本明細書に記載されるように)、その後の何回かの時間点で決定してもよい。特定の例として、2つ以上の実体が共通の実体に固定されている場合、共通の実体を、時間の関数、例えば、時間で変動するプロセス(例えば、共通の実体の移動、共通の実体の構造変化および/または形状変化、共通の実体が関与する反応など)として決定してもよい。時間分解による画像化は、スイッチング可能な実体が複数のサイクルでスイッチング可能であり、各サイクルが実体の位置について1個のデータ点を与えるため、いくつかの場合には容易であり得る。
【0039】
本発明の別の態様は、コンピュータで実行される方法に関する。例えば、本明細書に記載のいずれかの方法を自動的および/または繰り返し実行可能なコンピュータおよび/または自動化システムが提供されてもよい。本明細書で使用される場合、「自動化」デバイスは、ヒトが命令することなく作動可能なデバイスを指す。すなわち、自動化デバイスは、任意のヒトが、ある機能を促進するための任意の操作を終了した後も、例えば、コンピュータに指示を与えることによって、一定期間、その機能を実行することができる。典型的には、自動化装置は、その時間点の後に、繰り返してその機能を実行することができる。処理工程は、いくつかの場合には、機械可読媒体に記録されてもよい。
【0040】
本発明のさらに別の態様は、一般的に、本明細書に記載の1つ以上の実施形態を実行可能なシステムに関する。例えば、このシステムは、顕微鏡と、実体を活性化および/またはスイッチングさせ、所望の波長の光を発生させるデバイス(例えば、レーザー源および/または他の光源)、実体から放射される光を決定するデバイス(例えば、カメラ、例えば光学フィルタのような色フィルタデバイスを備えていてもよい)と、2つ以上の実体の空間配置を決定するためのコンピュータとを備えていてもよい。いくつかの場合には、鏡(例えば、二色性ミラーまたは多色性ミラー)、プリズム、レンズ、回折格子なども、光源からの光の向きを変えるために配置されていてもよい。いくつかの場合には、光源は、時間によって調節可能(例えば、シャッター、音響光学変調器などによって)であってもよい。したがって、光源は、プログラムされた様式または周期的な様式で活性化し、不活性化することが可能なものであってもよい。一実施形態では、2つ以上の光源を使用してもよく、例えば、異なる波長または色でサンプルを照射するために使用してもよい。例えば、光源は、異なる周波数の光を発してもよく、および/または光学フィルタなどのような色フィルタデバイスを使用し、異なる波長または色の光をサンプルに照射するように、光源からの光を調節してもよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、顕微鏡は、他の蛍光源からの光(例えば、「バックグラウンドノイズ」)を最小限にしつつ、スイッチング可能な実体から放射される光を集めるような構成になっていてもよい。特定の場合、撮像幾何(例えば、限定されないが、全反射の幾何、回転円板の共焦点の幾何、走査共焦点の幾何、落射蛍光(epi−fluorescence)の幾何などが挙げられる)を、サンプルを励起させるために使用してもよい。いくつかの実施形態では、サンプルの薄層または平面を励起光にさらし、サンプル平面外側への蛍光の励起を減らしてもよい。非常に多くの開口レンズを使用し、サンプルから放射される光を集めてもよい。この光を、例えば、励起光を除去するためのフィルタを用いて処理して、サンプルからの放射光の集合を得てもよい。いくつかの場合には、画像を集める拡大因子は、例えば、画像の各ピクセルの縁の長さが、画像の回折限界点の標準偏差の長さに対応する場合、最適化することができる。
【0042】
ある場合では、スイッチング可能な実体の励起およびスイッチング可能な実体の画像の獲得を制御するためにコンピュータを使用してもよい。ある一連の実施形態では、種々の波長および/または強度を有する光を用いてサンプルを励起させてもよく、サンプルを励起させるのに使用する一連の光の波長と、スイッチング可能な実体を含有するサンプルから得た画像とをコンピュータを用いて相互に関連づけてもよい。例えば、コンピュータは、目的の各領域中の活性化されたスイッチング可能な要素の異なる平均値(例えば、1つの場所あたり1個の活性化された実体、1つの場所あたり2個の活性化された実体など)を得るために、種々の波長および/または強度を有する光をサンプルに適用してもよい。いくつかの場合には、この情報を用いて、いくつかの場合には、上述のように、回折限界未満の解像度でスイッチング可能な実体の画像を構築してもよい。
【0043】
本発明の他の態様では、本明細書に記載のシステムおよび方法を、当業者に既知の他の画像化技術、例えば、高解像度蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)または免疫蛍光画像化法、ライブセルイメージング、共焦点画像化法、落射蛍光画像化法、全反射蛍光画像化法などと組み合わせてもよい。
【0044】
以下の文献を、参考により本明細書に援用する。米国特許出願番号第12/012,524号(2008年2月1日出願、表題「Sub−Diffraction Image Resolution and other Imaging Techniques」、米国特許公開番号第2008/0182336号として、2008年7月31日に公開);国際特許公開番号PCT/US2007/017618号(2007年8月7日出願、表題「Sub−Diffraction Limit Image Resolution and Other Imaging Techniques」、国際特許公開番号WO 2008/091296号として、2008年7月31日に公開);米国特許出願番号第11/605,842号(2006年11月29日出願、表題「Sub−Diffraction Image Resolution and other Imaging Techniques」、米国特許公開番号第2008/0032414号として、2008年2月7日に公開);米国特許仮出願番号第60/836,167号(2006年8月7日出願、表題「Sub−Diffraction Image Resolution」);米国特許仮出願番号第60/836,170号(2006年8月8日出願、表題「Sub−Diffraction Image Resolution」;米国特許仮出願番号第61/008,661号(2007年12月21日出願、表題「Sub−Diffraction Limit Image Resolution in Three Dimensions」)。
【0045】
以下の実施例は、本発明の特定の実施形態を説明することを意図しているが、本発明の範囲全体を例示するものではない。
【実施例】
【0046】
(実施例1)
本実施例は、サンプルを呼び出すことなく、または光学ビームによるスキャニングをすることなく、三次元すべてについて回折限界よりも約10倍高い空間解像度を有する三次元画像化を示す。国際特許公開番号PCT/US2007/017618(2007年8月7日出願、表題「Sub−Diffraction Limit Image Resolution and Other Imaging Techniques」、国際特許公開番号WO2008/091296として、2008年7月31日に公開、参考により本明細書に援用する)では、特定のフルオロフォアが有する、光によってスイッチング可能な性質を利用し、この方法以外では空間的に重なり合ってしまう多くの分子の画像を分割し、個々の蛍光染料について、高い位置決定精度で横方向の寸法を得た。
【0047】
しかし、本実施例および以下の実施例は、光によってスイッチング可能なプローブのうち、光学的に分割可能な一部分を確率論的に活性化し、それぞれのプローブの座標を高い精度で決定し、複数の活性化サイクルを経て高い解像度を有する三次元画像を構築することによって、三次元すべてについての画像化を示す。いくつかの場合では、粒子(または他の適切な実体)の画像の重心から、この粒子の横方向の位置を決定することができ、この画像の形状には、粒子の軸またはz位置についての情報も含まれている場合がある。
【0048】
本実施例は、非点収差を利用した画像化を利用し、三次元の画像化を行うが、他の場合では、他の技術(限定されないが、オフフォーカス状態での画像化、複数の焦点面を有する画像化などが挙げられる)を使用することもできる。この目的のために、弱い円筒形のレンズを画像化経路に導入し、2個のわずかに異なる焦点面をx方向およびy方向に作製した(図1A)。この図は、個々のフルオロフォアの三次元での位置決定を示している。単純化した光路図は、円筒形のレンズを画像化経路に導入することによって、蛍光性実体の画像の楕円率から、この実体のz座標を決定する原理を示す。右側の図は、種々のz位置でのフルオロフォアの画像を示す。
【0049】
結果として、フルオロフォアの画像の楕円率および向きは、zの位置が変化すると変わり、フルオロフォアが、平均焦点面(x焦点面とy焦点面のほぼ中間の位置であり、点広がり関数(PSF)が、x方向とy方向に本質的に同じ幅を有する位置)にある場合、画像は円形であらわれると考えられ、フルオロフォアが、この平均焦点面よりも上にある場合、画像は、x方向よりもy方向で大きく集束し、したがって、x方向に長軸を有する楕円であらわれると考えられた。反対に、フルオロフォアがこの平均焦点面よりも下にある場合、画像は、y方向に長軸を有する楕円であらわれると考えられた。2次元の楕円Gaussian関数を用いてこの画像をフィッティングし、ピーク位置のx座標およびy座標を得ることができ、同様に、ピーク幅wおよびwを得ることができ、次いで、フルオロフォアのz座標を決定することができた。
【0050】
およびwの較正曲線をzの関数として実験的に作製するために、Alexa 647で標識されたストレプトアビジン分子をガラス表面に固定し、z方向にサンプルをスキャンして、個々の分子を画像化し、w値およびw値を決定した(図1C)。図1Cは、本実施例で、単一のAlexa 647分子から得た画像幅wおよびwをzの関数として示した較正曲線である。それぞれのデータ点は、6個の分子から得た平均値をあらわす。このデータを、以下に記載するように、デフォーカス関数(赤色の曲線)にフィッティングした。
【0051】
この画像分析では、光によって活性化されるそれぞれのフルオロフォアのz座標を、画像から測定したw値およびw値を、較正曲線と比較することによって決定した。さらに、ガラス基板を水溶液に浸したサンプルでは、ガラスと水との反射係数の違いをあらわす因子0.79によって、すべてのz位置決定をやりなおした(さらなる詳細は、以下を参照)。
【0052】
いくつかの場合では、本実施例の技術の三次元解像度は、光によってスイッチング可能な個々のフルオロフォアを、スイッチングサイクルの間に、どの程度の精度で三次元すべてについて位置決定可能かということによって制限された。国際特許公開番号PCT/US2007/017618(2007年8月7日出願、表題「Sub−Diffraction Limit Image Resolution and Other Imaging Techniques」、国際特許公開番号WO2008/091296として、2008年7月31日公開、参考により本明細書に援用する)は、光によってスイッチング可能なシアニン染料群(Cy5、Cy5.5、Cy7、およびAlexa Fluor 647)を開示しており、これらのシアニン染料群は、異なる波長の光によって、蛍光状態および暗状態を可逆的に繰り返すことが可能である。光によってスイッチング可能なこれらの「リポーター」を再び活性化させる際の効率は、「アクチベーター」染料(種々の染料分子のうち、任意のものであってよい(例えば、Cy3、Cy2、Alexa Fluor 405))との近さにかなり依存する。この特定の例では、Cy3およびAlexa 647をアクチベーターおよびリポーターの対として使用し、画像化を行った。赤色レーザー(657nm)を使用し、Alexa 647分子を画像化し、この分子を不活性化して暗状態にした。一方、緑色レーザー(532nm)を使用し、このフルオロフォアを再び活性化させた。それぞれのアクチベーター−リポーター対について、永久的に光退色が起こるまでに、何百回とオンオフサイクルを繰り返すことができ、対物型全反射照明蛍光顕微鏡(TIRF)または落射蛍光型撮像の幾何学を用い、各スイッチングサイクルで平均6000個の光子が検出された。この可逆性のスイッチング挙動は、位置決定の精度を測定するための内部制御を提出する。
【0053】
ある実験では、Cy3とAlexa 647で二重に標識されたストレプトアビジン分子をガラス表面に固定した。次いで、この分子について、複数回のオンオフサイクルを繰り返し、それぞれのスイッチングサイクルでx座標、y座標、およびz座標を決定した。この手順によって、それぞれの分子について、複数回の位置決定結果が得られた(図1D)。この図では、同じ分子を複数回活性化しているため、それぞれの分子から、複数回の位置決定結果が得られる。145個の集合の位置決定によって、これらの質量中心を合わせ、位置分布をあらわす全体的な3D図を作製した(左側の図)。x方向、y方向、およびz方向の分布ヒストグラム(右側の図)をGaussian関数にフィッティングさせ、x方向の標準偏差9nm、y方向の標準偏差11nm、z方向の標準偏差22nmを得た。位置分布の標準偏差(SD:x方向に9nm、y方向に11nm、z方向に22nm)または半値全幅(FWHM:x方向に21nm、y方向に26nm、z方向に52nm)から、三次元における位置決定精度の定量的な測定値を得た(図1E〜1G)。2つの横方向の寸法の位置決定精度は、円筒形のレンズを使わずに得た以前の結果とほぼ同じであった。z方向の位置決定精度は、これらの実験では、x方向およびy方向の精度のほぼ2倍であった。フルオロフォアが焦点面から離れるにつれて、画像の幅が大きくなるため、z値が大きくなるにつれて、特に横方向の寸法の位置決定精度が減少する。したがって、ある実験では、焦点面からほぼ600nmのz方向の画像深さを選択し、この範囲内で、平均焦点面で得た値と比較して、横方向の位置決定精度は1.6倍未満、軸方向の位置精度は1.3倍未満変化した。しかし、画像化の深さは、将来的な実験で、例えばz方向のスキャニングを用いることによって大きくなることも考えられる。
【0054】
初期試験として、ビーズ模型サンプルを画像化した。ビーズ模型サンプルは、200nmのビオチン化したポリスチレンビーズをガラス表面に固定し、このサンプルをCy3−Alexa 647で標識したストレプトアビジンとともにインキュベートし、光によってスイッチング可能なプローブでこのビーズをコーティングすることによって調製した。光学的に分割可能な、Alexa 647分子がまばらに存在する部分を繰り返し確率論的に活性化することによって、このビーズの三次元画像を得て、個々の分子のx座標、y座標、およびz座標を決定することができた。一連の複数回の活性化サイクルで、多くのフルオロフォアの位置を決定し、これを利用して、完全な三次元画像を構築した。このビーズ画像の図は、すべての三方向にそって観察すると、ほぼ球形であり、平均直径は、x方向で210±16nm、y方向で225±25nm、z方向で228±25nmであり(図4)、このことは、三次元すべてについて正確に位置決定されていることを示す。それぞれのフルオロフォアの画像について、同時にx座標、y座標、およびz座標にコード化するので、三次元の画像化時間と比較しても、それぞれの分子の三次元での位置を決定するのに余分な時間は必要なかった。
【0055】
図4は、Cy3−Alexa 647で標識されたストレプトアビジンでコーティングされた、直径が200nmのビーズの三次元画像を示す。図4Aは、ガラス表面の1.7μm(x)×10μm(y)の領域にある2個のビーズのx−z図を示す。この表面は、ビーズの下に存在する位置決定のための線によって規定され、ストレプトアビジン分子がガラス表面に非特異的に吸着することを結果として得る。非特異的に吸着したストレプトアビジンは、ガラス表面にまばらにしか分布されないが、大きな領域の図では、ほぼ連続した位置決定用の線を生じる。図4Aの差し込み図は、右側のビーズ周囲の小さな塊(400nm×400nm×400nm)のx−z図を示しており、非特異的に吸着したストレプトアビジン分子がいくつか存在していた。図4Bおよび4Cは、2個のビーズのx−y図を示す。円形がわずかにひずんでいるのは、一部分は、ストレプトアビジンのコーティングが不完全なため、および/または元々理想的なビーズ形状ではないためであり得る。
【0056】
図4Dは、x方向、y方向、およびz方向でのビーズの直径分布を示す。主観的ではない様式で直径を決定するために、ストレプトアビジン分子が、ビーズ表面に均一にコーティングされていると仮定した。このように、球形表面で3Dに均一に分布している場合、x軸、y軸、およびz軸のいずれかについて考える場合、1Dの均一な分布に従うはずである。x方向、y方向、またはz方向の1D分布の幅は、x軸、y軸またはz軸にそったビーズ直径の測定値をそれぞれ与える。さらに、ある場合には、均一分布の場合の幅(d)と標準偏差(SDuniform)との数学的な関係(すなわち、SDuniform=d/12)、および有限の位置精度(SDlocalization)を考慮した、標準偏差の測定値SDmeasureと、真に均一な分布を有する場合のSDuniformとの関係(すなわち、SDmeasure=SDuniform+SDlocalization)を使用することができる。図1E〜1Fに示したような、個々に測定した位置決定精度と、ビーズの3D画像のx方向、y方向、およびz方向の投影分布のSDmeasureとから、ビーズの直径(d)をx軸、y軸、およびz軸に沿って導き出した。53個のビーズを測定した直径分布をここに示しており、平均直径は、それぞれ、x方向で210±16nm、y方向で226±25nm、z方向で228±25nmであった。測定した直径は、このビーズについて製造業者が示している直径(200nm)と定量的に同じである。値がわずかに大きくなっているのは、一部分には、ストレプトアビジンコーティングの有限の厚みによるものであり得る。
【0057】
別の例として、細胞画像化を記載する。この例では、ミドリザルの腎臓上皮(BS−C−1)細胞の微小管ネットワークについて、間接的な免疫蛍光画像化を行った。細胞を一次抗体で免疫染色し、Cy3およびAlexa 647で二重に標識された二次抗体で免疫染色した。得られた三次元画像は、従来の広視野蛍光画像と比較して、解像度がかなり向上している(図2A〜2B)だけではなく、従来の画像(図2A)では得られなかった、z次元の情報も得られた(図2B)。図2Aは、BS−C−1細胞の大きな領域にわたる微小管の従来の間接的な免疫蛍光画像であり、図2Bは、本明細書に記載の技術を用いて画像化した同じ領域の画像であり、z位置の情報によって影がついている。微小管線維の複数の層が、細胞のx−y断面図、x−z断面図またはy−z断面図から明らかに視覚化された(図2C〜2E)。この領域は、図2Bの白い四角で囲んだ領域であり、5個の微小管線維が示されている。
【0058】
細胞画像化の解像度をさらに定量的に特性決定するために、細胞において、任意の識別可能な微小管線維から離れた位置にある小さな集団として存在する点状の実体を位置決定するために特定した。これらの集団は、細胞に非特異的に結合した個々の抗体であってもよい。細胞を測定した全z範囲にわたって上述の集団を無作為に選択し、この集団のFWHMは、x方向に22nm、y方向に28nm、およびz方向に55nmであり(図5)、この値は、ガラス表面に固定した個々の分子について決定した値と定量的にほぼ同じであった(図5と、図1E〜1Gとを比較)。z方向に102nm離れた2個の微小管線維は、三次元画像で良好に離れているようであり(図2F)、図2Fは、2個の微小管のzプロフィールをx−y方向に切断したものを示している。このヒストグラムは、位置決定のz座標分布と、同じ幅を有する二重Gaussianにフィッティングさせた結果(曲線)とを示している。微小管線維のz次元の見かけ幅は66nmであり、この値は、z方向の固有の画像解像度よりもわずかに大きく、画像解像度の畳み込みと、抗体でコーティングされた微小管について、独立して測定した幅値とに定量的に一致していた(図2F)。固有の画像解像度と、ラベル(例えば抗体)の大きさを組み合わせることによって有効解像度を決定したため、次の実施例に示されているように、間接的な免疫蛍光の代わりに直接的な方法を用い、標識する抗体の1つの層を除去することによって、またはFabフラグメントまたは遺伝的にコードされるペプチドタグを抗体の代わりに用いることによって、解像度の改善が達成されてもよい。
【0059】
図5では、細胞において、任意の識別可能な微小管線維から離れた位置にある小さな集団として存在する点状の実体の位置決定の精度を決定した。これらの点状の集合内で、x次元、y次元、z次元の位置決定の空間分布をここに示す。202個の集合の質量中心を合わせることによって、位置決定のヒストグラムを作製した。それぞれの集合には、8個以上の位置決定が含まれていた。このヒストグラムをGaussian関数にフィッティングさせ、それぞれ、x方向の標準偏差9nm、y方向の標準偏差12nm、およびz方向の標準偏差23nmを得る。対応するFWHM値は、22nm、28nm、および55nmであった。
【0060】
最後に、細胞においてナノスケールの構造の三次元形態を解像可能であることを示すために、クラスリン被覆小窩(CCP)をBS−C−1細胞中で画像化した。CCPは、細胞膜の細胞質上にあるクラスリン、アダプタータンパク質および他の補因子を組み合わせた150nm〜200nmの球状のカゴ型構造をしており、エンドサイトーシスを促進する。CCPを画像化するために、クラスリンについて、Cy3およびAlexa 647で二重に標識された一次抗体を使用し、直接的な免疫蛍光スキームを使用した。従来の蛍光顕微鏡法で画像化する場合、すべてのCCPは、まったく構造を区別できない、ほぼ回折限界の点であった(図3A、この図は、BS−C−1細胞のある領域の従来の直接的な免疫蛍光画像である)。本明細書に記載の技術を用い、z次元の情報を破棄した二次元画像では、CCPの丸い形状を観測することができた(図3Bおよび図3D)。この2D投影画像から測定したCCPの粒径分布(180±40nm)は、電子顕微鏡法を用いて決定した粒径分布と定量的に一致している。z次元の情報を含めると、この小窩の3D構造を視覚化することができる(図3C、図3E〜3H)。図3Cおよび図3Eは、細胞表面にある小窩の開口部付近の領域から選択した、この画像のx−y断面図を示している。図3Cは、図3A〜3Bに示したのと同じ領域の厚み50nmのx−y断面図であり、プラスマ膜でCCPの開口部が円形の構造をしていることを示している。一方、図3Eは、2個の隣接するCCPの厚み100nmのx−y断面図の拡大図である。
【0061】
小窩の外周の環状構造が、明確に解像されていた。小窩の連続的なx−y断面図およびx−z断面図(図3F〜3H)から、二次元画像では観測することができなかった、これらのナノスケール構造の半球状のカゴ型三次元構造が明らかになった。これらの図面は、CCPのx−y断面図(z方向にそれぞれ厚み50nm)(図3F)および連続的なx−z断面図(y方向にそれぞれ厚み50nm)(図3G)を示し、3D斜視図であらわされたx−y断面図およびx−z断面図(図3H)は、小窩の半球状のカゴ型構造を示している。
【0062】
まとめると、これらの実施例は、100nm以下のオーダーの解像度を有する、高解像度の三次元画像を示す。以前には電子顕微鏡でしか見ることができなかった解像度で、現在は周囲条件下で分子特異性を有した状態で、光学的に細胞構造のナノスケールの特徴が解像された。この発見によって、分子組織と、細胞内の相互作用ネットワークとを視覚化する能力を顕著に高めることが可能である。
【0063】
(実施例2)
本実施例は、実施例1に関して有用な特定の技術について記載する。実施例1の光によってスイッチング可能なプローブの三次元位置決定の精度を特性決定するために、製造業者が指示したプロトコルにしたがってタンパク質をアミン反応性染料とともにインキュベートすることによって、ストレプトアビジン分子(Invitrogen)を、光によってスイッチング可能なAlexa 647フルオロフォア(Invitrogen)と、アクチベーター染料Cy3(GE Healthcare)とで標識した。Nap−5カラム(GE Healthcare)を用いたゲル濾過によって、未反応の染料分子を除去した。標識比をUV−Vis分光光度計で特徴付けして、吸収スペクトルから、標識比は、ストレプトアビジン1分子あたり、Cy3が約2、Alexa 647が約0.1であることを示していた。次いで、標識されたストレプトアビジンを、ガラススライドと1.5番のカバーガラスとを使って組み立てたガラスフローチャンバ表面に固定した。1M水酸化カリウムで15分間超音波処理し、MilliQ水でさらに洗浄し、圧縮窒素で乾燥することによって、スライドおよびカバーガラスを洗浄した。標識されたストレプトアビジンサンプルをフローチャンバに注入し、ストレプトアビジンが、表面に非特異的に直接吸着させるか、またはビオチン化したウシ血清アルブミン(BSA)でコーティングされた表面に対し、ビオチン−ストレプトアビジン結合を介して吸着させた。z位置決定の測定値に関する較正曲線を作製するために、Alexa 647で標識されたストレプトアビジンまたは量子ドット(タンパク質A被覆Qdot 655、Invitrogen)も使用した。Cy3およびAlexa 647で二重に標識されたストレプトアビジンと同じ様式で、1個の標識されたストレプトアビジンをチャンバ表面に固定し、量子ドットを、非特異的な結合によって、チャンバ表面に直接固定した。
【0064】
光によってスイッチング可能なフルオロフォアでコーティングされた200nmのポリスチレンビーズを作製するために、最初に、0.25mg/mLの標識されていないストレプトアビジン溶液を上記のフローチャンバに流し、次いで、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)で洗浄することによって、カバーガラス表面をストレプトアビジンでコーティングした。次いで、直径200nmのビオチン化ポリスチレンビーズ(Invitrogen)をこのチャンバに加え、表面に固定した。最後に、Cy3およびAlexa 647で二重に標識されたストレプトアビジン3μg/mLを流し、ビオチン化したビーズ表面をコーティングした。この手順の間、いくつかの蛍光ストレプトアビジンも、カバーガラス表面に非特異的に吸着された。次いで、このフローチャンバをPBSで洗浄し、溶液中の遊離ストレプトアビジン分子を除去した。
【0065】
BS−C−1細胞を8ウェルチャンバーのカバーガラス(LabTek−II、Nalgene Nunc)に密度40k/ウェルで置いた。16〜24時間後、PBS中の3%パラホルムアルデヒドおよび0.1%グルタルアルデヒドを用いて10分間固定し、次いで0.1%ホウ化水素ナトリウムで7分間処理し、未反応のアルデヒド基と、固定中に生成した蛍光産物を還元した。加水分解を防ぐために、ホウ化水素ナトリウム溶液は使用直前に調製した。固定したサンプルをPBSで3回洗浄し、ブロッキングバッファー(PBS中、3%(w/v) BSA、0.5%(v/v) Triton X−100)で15分間透過処理した。
【0066】
微小管をマウスモノクローナルβ−チュブリン抗体(ATN01、Cytoskeleton)で30分間染色し、次いで、ヤギ抗−マウス二次抗体で30分間染色した。この二次抗体は、アミン反応性のAlexa 647およびCy3で標識されており、標識の化学量論は、抗体あたり、平均でCy3が約4.0、Alexa 647が約0.4であることを特徴としていた。それぞれの染色工程の後に、PBS中の0.2%(w/v)BSAおよび0.1%(v/v)Triton−X100を用いて3回洗浄した。
【0067】
直接的な免疫蛍光法によってクラスリンを染色するために、マウスモノクローナル抗−クラスリン重鎖(クローンX22、ab2731、Abcam)および抗−クラスリン軽鎖(クローンCON.1、C1985、Sigma−Aldrich)を同時に使用した。両抗体を、抗体あたり、約1.0のCy3、約1.0のAlexa 647で標識した。このサンプルを30分間染色し、PBSで3回洗浄し、すぐに画像化するために使用した。
【0068】
免疫蛍光画像化法は、広範囲の染料標識比でうまく機能することを注記しておくべきである。典型的には、抗体あたり、標識比が1以上のアクチベーター(この例では、Cy3)を選択し、抗体の大部分がアクチベーターを有するようにした。一方、同じ抗体に非常に近い位置に、光によってスイッチング可能な2個以上のリポーター(この例では、Alexa 647)をアミノ酸残基に結合させた場合、ある場合では、リポーター−リポーター相互作用が生じ、オフ状態にスイッチングする速度が顕著に遅くなることがある。以前の特性決定では、2nm離れた2個のリポーターがオフ状態になる速度は、1個のリポーターがオフ状態になる速度よりも約5倍遅く、一方で、7nm離れた2個のリポーターがオフ状態になる速度は、他から隔離されたリポーターがオフ状態になる速度と同程度である。したがって、この効果を最少にするために、染料/タンパク質の比率が1以下になるように選択した。
【0069】
データを収集する直前に、サンプルのバッファー溶液を画像化バッファーと交換した。画像化バッファーには、50mM Tris(pH7.5)、10mM NaCl、0.5mg/mL グルコースオキシダーゼ(G2133、Sigma−Aldrich)、40μg/mL カタラーゼ(106810、Roche Applied Science)、10%(w/v)グルコースおよび1%(v/v)β−メルカプトエタノールが含まれていた。β−メルカプトエタノール(または、システインのような他のチオールを含有する試薬)は、シアニン染料を光によってスイッチングさせるのに重要であることがわかっていた。低濃度のβ−メルカプトエタノール(例えば、0.1%(v/v))でも画像化を実施することができ、このことは、生きている細胞の画像化に適している。この研究では、上述の画像化実験のすべてを、固定した細胞で行った。
【0070】
実施例1に記載したすべての画像化実験を、倒立顕微鏡(Olympus IX−71)で行った。励起源として2種類の固体状態レーザーを使用した(光によってスイッチング可能なリポーターフルオロフォア(Alexa 647)を励起させ、これを暗状態にスイッチングするために、657nmのレーザー(RCL−200−656、Crystalaser)と、Cy3によって促進される様式でAlexa 647を再び活性化させるために、532nmのレーザー(GCL−200−L、Crystalaser))。この2種類のレーザービームを組み合わせ、光ファイバー(P3−630A−FC−5、Thorlabs)内で合わせて、結合させる。光ファイバーの出口を平行にして、顕微鏡の後ろ側のポートから、高開口数油浸対物レンズ(100× UPlanSApo、NA 1.4、Olympus)の後ろ側の焦点面で集束させた。移動ステージは、両レーザーを対物レンズの端に向かってシフトさせ、その結果、対物レンズから出る光は、ガラス−水界面の臨界角度を超えないが、この角度に近い大きな入射角でサンプルに届いた。この励起スキームによって、表面から数マイクロメートル以内にあるフルオロフォアが励起し、溶液からのバックグラウンド蛍光量が小さくなった。蛍光放射を同じ対物レンズによって集め、多色ミラー(z458/514/647rpc、Chroma)、バンドパスフィルタ(HQ710/70m、Chroma)、およびロングパスフィルタ(HQ665LP、Chroma)によって選別した。選別した放射光を弱い円筒形のレンズ(焦点長さ1m)を間に挿入したリレーレンズ対に通し、EMCCDカメラ(Ixon DV897DCS−BV、Andor)で画像化した。
【0071】
データ収集中に顕微鏡の焦点を安定化させるために、ガラス−水界面で反射した赤色励起レーザーを、顕微鏡の後ろ側のポートにある反射プリズムによって、象限フォトダイオードに向かわせた。象限フォトダイオードは、反射したレーザーの位置を読み取り、この象限フォトダイオードは、カバーガラス表面と対物レンズとの距離に感応性である。次いで、この情報が、顕微鏡の焦点においてz−ドリフトを補正するように、ソフトウェアによって、z方向の圧電性のステージ(NanoView−M, MadCity Labs)にフィードバックされた。この「フォーカスロック」システムは、STORMデータ収集中に、40nm以内の焦点位置を維持することができた。以下に記載するように、データ分析中、zの残ったドリフトを補正した。
【0072】
データ収集の間、相対的に強い画像化/不活性化レーザー(657nmで約40mW)および相対的に弱い活性化レーザー(532mmで2mW未満)をサンプルに同時に適用した。活性化レーザーおよび不活性化レーザーの両方を同時に照射すると、リポーターフルオロフォアが、蛍光状態と暗状態との間を確率論的にスイッチングした。相対的に強い画像化/不活性化レーザーの出力を選択することによって、放射強度が大きくなり、オフにスイッチングする速度が速くなり、そして、相対的に弱い活性化レーザーを選択することによって、所定の時間に活性化するフルオロフォアの一部分が十分に少なく、これらのフルオロフォアを光学的に解像可能にする事ができる。EMCCDカメラは、20Hzのフレーム速度で連続的に画像を撮影し、「動画」を得た。
【0073】
単一の分子の画像幅からz座標を導くために、図1Cに示すような較正曲線を作製した。較正実験を、実施例1で3つの方法で行った。1.Alexa 647で標識されたストレプトアビジンを低密度でカバーガラス表面に吸着させ、個々のストレプトアビジン分子を互いに解像可能な状態にした。画像化バッファー中のβ−メルカプトエタノールを、2mM Troloxと交換し、フルオロフォアの点滅(blinking)を抑制した。圧電ステージを用い、一定速度でz方向にサンプルステージをスキャンし、個々のストレプトアビジン分子の蛍光画像を記録した。2.量子ドットをカバーガラスに吸着させた。1% β−メルカプトエタノールのPBS溶液を画像化バッファーとして使用し、量子ドットの点滅を抑制した。一定速度でz方向にサンプルステージをスキャンし、個々の量子ドットの蛍光画像を得た。 3.Cy3−Alexa 647で標識されたストレプトアビジンを高密度でカバーガラス表面に吸着させた。データ収集を行う間、同様に測定を行った。ただし、一定速度で、z方向にサンプルをゆっくりとスキャンした。視野の中にある小さな領域(通常は、8μm×4μm)での光による活性化事象を使用し、較正曲線を測定した。3種類の測定をすべて行い、同様の較正曲線を得た。
【0074】
較正実験の1つの画像フレームにおける蛍光ピークを、楕円Gaussian関数にフィッティングした。
【0075】
【化1】

式中、hは、ピーク高さであり、bは、バックグラウンドであり、(x,y)は、ピークの中心位置であり、wおよびwは、それぞれx方向およびy方向での画像の幅(点広がり関数、PSF)をあらわす。同時に、対応する分子のz位置を、圧電状態のzの軌道から決定した。次いで、w値およびw値を、zの関数として、典型的なデフォーカス曲線の改変型にフィッティングした。
【0076】
【化2】

式中、wは、分子が焦点面にある場合のPSF幅であり、cは、平均焦点面からみた、x焦点面またはy焦点面のオフセットであり、dは、顕微鏡の焦点深さであり、AおよびBは、画像化光学部の非理想性を補正するための高次項の係数である。平均焦点面は、この平均焦点面に位置するフルオロフォアが、x方向およびy方向に等しい幅の画像PSFを有し、球状の画像を作製するように規定される。w測定値およびw測定値を、対応するz位置で検索した較正曲線と比較する場合、自動的なz位置決定を容易にするために、これらのフィッティング曲線を作製することを注記しておくべきである。その曲線が、測定した較正データに十分精密に合うならば、曲線をフィッティングするのに使用する実際の関数は、あまり重要ではなかった。
【0077】
すでに記載した方法と似た方法でデータを分析した(国際特許公開番号PCT/US2007/017618(2007年8月7日出願、表題「Sub−Diffraction Limit Image Resolution and Other Imaging Techniques」、国際特許公開番号WO2008/091296として、2008年7月31日公開、本明細書に援用する)を参照)が、個々の活性化したフルオロフォアの画像の形状から、z次元のさらなる情報を誘導した。STORM動画のそれぞれの画像フレームにおける蛍光ピークを、楕円Gaussian関数と局所的に最大限フィッティングさせることによって特定し、ピーク高さh’と、横方向の2つの次元における中心位置x’およびy’、横方向の2つの次元におけるピーク幅w’およびw’を推定した。弱すぎるピーク、幅広すぎるピーク、曲がりすぎているピークを除外し、満足のいく位置決定精度を得るために、ピーク高さ(h’)、幅
【0078】
【化3】

および楕円率(w’/w’)に閾値を適用した。さらに、複数のフルオロフォアの画像が重なっている特定のピークも除外した。連続的なフレームで特定したピークの中心位置が、1ピクセル未満空間的に離れている場合、これらの位置は、1つの光活性化事象の間に、同じ分子から発生したものであると考えた。異なるフレームにおいて、同じフルオロフォアの同じ光活性化事象から得たすべての画像を平均し、楕円Gaussian関数への第2のフィッティングを行い、精密な中心位置xおよびy、精密な幅wおよびwの推定を実行した。最初のフィッティングで得たピーク幅によって、第2のフィッティングで使用した画像の領域を決定した。
【0079】
第2のフィッティングの後、較正曲線を検索し、フィッティングから得た幅wおよびwの測定値に最もよく適合するz点を見つけた。w1/2−w1/2空間で距離を最少化することによって、この検索を自動的に行った。
【0080】
【化4】

幅の二乗根を用いることによって、幅を直接使用する手順と比較すると、検索手順においてzの位置決定精度が高まることを、シミュレーションし、分析的に処理することによって示すことができる。あらかじめ設定した閾値よりも大きな最小距離Dを有する活性化事象は、その画像がゆがめられていること示し、これは、同じ画像フレームにおいて、非常に近い位置に位置し、光活性化される2個以上の分子によって生じていると考えられる。これらの事象は、さらなる分析の際には除外した。この手順によって、それぞれの活性化したフルオロフォアの3D位置(x、y、およびz)を得て、この様式で、三次元画像を構築した。
【0081】
ガラス基板に支持された生体サンプルについて、油浸対物レンズを用いて水溶液中で3D STORM測定を行う際に、ガラスの屈折率(n=1.515)と画像化バッファーの屈折率(10%グルコース溶液でn=1.35)があわないことを考慮してもよい。このように、屈折率が異なることによって、ガラス表面から離れた実体の見かけz位置が効率的にシフトする。表面から数μm以内では、この屈折率の違いによって誘導されるz方向の距離の倍率が、一定になるように処理され、倍率のファクターが、対物レンズで1.26であり、屈折率を、上述の画像化条件で使用することを示した(対物レンズ:NA=1.4、ガラス:n=1.515、バッファー:n=1.35)。この小さな拡大効果は、ファクター1/1.26=0.79によって、較正曲線と直接比較から得られた、すべてのz値を計算しなおすことによって、z方向の位置決定分析にしたがって補正された。
【0082】
画像化光学部における収差によって、PSFは、フルオロフォアが焦点の外側にあると、非対称となる場合があり、その結果、画像の中心が、フルオロフォアの実際の横向きの位置よりもわずかにずれる場合がある。これにより、3D画像において、見かけ上、傾いた形状のねじれが生じる。平均的な傾きは、上述の実験では4°を超えず、傾きプロフィールをあらかじめ較正しておくことによって補正することができる。
【0083】
位置決定の精度に影響を与える重要な因子は、画像を収集している間のサンプルステージのドリフトである(x−y面のドリフト、z方向のドリフトの両方を含む)。実施例1で用いた設定では、z方向のドリフトが最少になるようにフォーカスロックを設定したが、それでも約40nmの残りのドリフトが存在している。上述の実施例では、2つの方法を用いて、このドリフトを補正している。1つの方法は、基準マーカー(蛍光ビーズ)を加え、サンプルのドリフトを追跡し、画像分析中のマーカーの移動を引き算する方法である。もう1つの方法では、ドリフト補正のために、画像の相関関数を使用した。第2の方法を使用し、上述の実施例で、x方向、y方向、およびz方向のドリフトを補正した。動画を等時間部分に時間を分け、それぞれの動画部分から画像を構築した。次いで、第1の部分の画像と、すべてのそれ以外の部分の画像との相関関数を算出し、この相関関数の中心位置を決定した。これらの中心位置に基づく補間を用い、それぞれの画像化フレームについて、時間の関数として中心位置の曲線を作製した。次いで、位置決定結果からドリフトを引き、異なる時間点でのすべての位置決定結果を含め、ドリフト補正した画像を作製した。
【0084】
本発明のいくつかの実施形態を本明細書に記載し、図示してきたが、当業者は、本明細書に記載の機能を実施し、および/または本明細書に記載の結果および/または1つ以上の利点を得るための種々の他の手段および/または構造を容易に想像でき、このような変形例および/または改変例はそれぞれ、本発明の範囲内にあると考えられる。さらに一般的には、当業者は、本明細書に記載のすべてのパラメータ、寸法、物質および構成が例示であることを意図しており、実際のパラメータ、寸法、物質および/または構成は、本発明の教示内容が使用される特定の1つ以上の適用例に依存することを容易に理解するであろう。当業者は、通常の実験を超えない範囲で、本明細書に記載の本発明の特定の実施形態の多くの等価物を理解するか、または解明することができるであろう。したがって、上述の実施形態が単に一例をあらわすものであり、添付の特許請求の範囲およびその等価物の範囲内で、本発明は、特定的に記載され、特許請求の範囲に記載されたもの以外のやり方で実施してもよいことを理解するべきである。本発明は、本明細書に記載のそれぞれの個々の特徴、システム、物品、材料、キットおよび/または方法に関する。それに加え、2つ以上のこのような特徴、システム、物品、材料、キットおよび/または方法の任意の組み合わせは、このような特徴、システム、物品、材料、キットおよび/または方法が互いに矛盾していない場合には、本発明の範囲内に含まれる。
【0085】
本明細書で定義され、使用されるすべての定義は、辞書の定義、援用する文書に記載の定義、および/または定義された用語の一般的な意味よりも優先すると理解されるべきである。
【0086】
不定冠詞「1つの(a)」および「1つの(an)」は、本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、そうでないと明確に示されていない限り、「少なくとも1つ」を意味すると理解されるべきである。
【0087】
句「および/または」は、本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、その接続された要素の「いずれかまたは両方」、すなわち、いくつかの場合には接続的に存在する要素および他の場合には非接続的に存在する要素を意味すると理解されるべきである。「および/または」で列挙される複数の要素は、同じ様式で解釈されるべきである。すなわち、接続された要素の「1つ以上」であると解釈されるべきである。「および/または」の節で具体的に特定された要素以外の他の要素が任意に存在してもよく、他の要素は、具体的に特定された要素と関係ある要素でもよいし、無関係な要素であってもよい。したがって、非限定的な例として、「Aおよび/またはB」とは、例えば「〜を含む」のような非限定的な語句と組み合わせて使用される場合、一実施形態では、Aのみ(場合により、B以外の要素を含む)を指し、別の実施形態では、Bのみ(場合により、A以外の要素を含む)を指し、さらに別の実施形態では、AおよびBの両方(場合により、他の要素を含む)などを指す。
【0088】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「または」は、上に定義した「および/または」と同じ意味を有すると理解されるべきである。例えば、リストで項目に分けられている場合、「または」または「および/または」は、包括的に解釈されるべきであり、すなわち、多くの要素または要素のリストのうち、少なくとも1つを含むが、2つ以上も含み、そして任意に、列挙されていない項目をさらに含むと解釈されるべきである。それとは反対に、示されているもののみを示す用語、例えば、「〜のうち1つのみ」または「〜のうち実際に1つ」または請求項で使用される場合、「〜からなる」は、多くの要素または要素のリストのうち、実際に1つの要素を含むことを指す。一般的に、用語「または」は、本明細書で使用される場合、排他的な用語(例えば、「いずれか」、「〜のうち1つ」、「〜のうち1つのみ」または「実際に〜のうち1つ」)が前にある場合、排他的な代替物のみを示すと解釈される(すなわち、「片方または他方であり、両方ではない」)。「〜から本質的になる」は、特許請求の範囲で使用される場合、特許法の分野で通常使用される意味を有する。
【0089】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、句「少なくとも1つ」は、1つ以上の要素のリストを参照している場合、その要素のリストにある任意の1つ以上の要素から選択される、少なくとも1つの要素を意味するが、その要素のリストに特定的に列挙された各要素およびすべての要素のうち少なくとも1つを必ず含むわけではなく、その要素のリストにある要素の任意の組み合わせを排除するものではないと理解されるべきである。この定義では、要素が、任意に、句「少なくとも1つ」が指す要素のリストに具体的に特定された要素以外の要素(具体的に特定された要素と関係のある要素であってもよいし、無関係の要素であってもよい)が存在してもよい。したがって、非限定的な例として、「AおよびBのうち少なくとも1つ」(または、同じ意味で、「AまたはBのうち少なくとも1つ」、または同じ意味で、「Aおよび/またはBのうち少なくとも1つ」)は、一実施形態では、少なくとも1つ、任意に2つ以上のAを含み、Bが存在しないこと(B以外の要素を任意に含む)を指し、別の実施形態では、少なくとも1つ、任意に2つ以上のBを含み、Aが存在しないこと(A以外の要素を任意に含む)を指し、さらに別の実施形態では、少なくとも1つ、任意に2つ以上のAを含み、そしt少なくとも1つ、任意に2つ以上のBを含むこと(他の要素を任意に含む)などを指してもよい。
【0090】
そうでないと明確に示されていない限り、2つ以上のステップまたは工程を含む本明細書で請求される任意の方法では、その方法のステップまたは工程の順序は、本方法のステップまたは工程操作が列挙されている順序に必ずしも限定されるものではないことも理解されるべきである。
【0091】
特許請求の範囲および上の記載では、すべての移行句(例えば、「〜を含む(comprising)」、「〜を含む(including)」、「〜を有する(carrying)」、「〜を有する(having)」、「〜を含有する(containing)」、「〜を含む(involving)」、「〜を保持する(holding)」、「〜から構成される(composed of)」などは、非限定的であると理解されるべきである。すなわち、含むことを意味するが限定するものではないと理解されるべきである。移行句の中で、「〜からなる」および「〜から本質的になる」は、United States Patent Office Manual of Patent Examining Procedures、Section 2111.03に記載されるように、それぞれ、限定的な移行句または半限定的な移行句である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約1000nm未満の距離離れた第1の実体および第2の実体を提供する工程と、
前記第1の実体から放射される光を決定する工程と、
前記第2の実体から放射される光を決定する工程と、
前記第1の実体から放射される光と前記第2の実体から放射される光とを用い、前記第1の実体および前記第2の実体のx位置、y位置、およびz位置を決定する工程とを含む、方法。
【請求項2】
分離の距離離れた第1の実体および第2の実体を提供する工程と、
前記第1の実体から放射される光を決定する工程と、
前記第2の実体から放射される光を決定する工程と、
前記第1の実体から放射される光と前記第2の実体から放射される光とを用い、前記第1の実体および前記第2の実体のx位置、y位置、およびz位置を決定する工程とを含む、方法。
【請求項3】
約1000nm未満の距離離れた第1の実体および第2の実体を提供する工程と、
前記第2の実体を活性化せずに、前記第1の実体を活性化する工程と、
前記第1の実体から放射される光を決定する工程と、
前記第2の実体を活性化する工程と、
前記第2の実体から放射される光を決定する工程と、
前記第1の実体から放射される光と前記第2の実体から放射される光とを用い、前記第1の実体および前記第2の実体のx位置、y位置、およびz位置を決定する工程とを含む、方法。
【請求項4】
分離距離離れた第1の実体および第2の実体を提供する工程と、
前記第2の実体を活性化せずに、前記第1の実体を活性化する工程と、
前記第1の実体から放射される光を決定する工程と、
前記第2の実体を活性化する工程と、
前記第2の実体から放射される光を決定する工程と、
前記第1の実体から放射される光と前記第2の実体から放射される光とを用い、前記第1の実体および前記第2の実体のx位置、y位置、およびz位置を決定する工程とを含む、方法。
【請求項5】
前記第1の実体から放射される光が、前記分離距離よりも大きい波長を有する、請求項2または請求項4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の実体および前記第2の実体のそれぞれのx位置、y位置、およびz位置を用い、前記第1の実体および前記第2の実体の画像を構築する工程をさらに含む、請求項1、2、3または4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
検出器での前記第1の実体および/または前記第2の実体の画像の形状から、前記第1の実体および/または前記第2の実体のz位置を決定する工程をさらに含む、請求項1、2、3または4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
検出器での前記第1の実体および/または前記第2の実体の画像の強度から、前記第1の実体および/または前記第2の実体のz位置を決定する工程をさらに含む、請求項1、2、3または4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の実体から放射される光がレンズを通る方向に対して、円対称でないレンズを、前記第1の実体から放射される光が通る工程を含む、請求項1、2、3または4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の実体から放射される光が、円筒形のレンズを通る工程をさらに含む、請求項1、2、3または4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の実体から放射される光を検出器で集める工程をさらに含み、前記第1の実体から放射される光が、前記検出器に焦点を有さない、請求項1、2、3または4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の実体から放射される光を検出器で集める工程をさらに含み、前記第1の実体が、検出器の共役面にはない、請求項1、2、3または4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の実体から放射される光を検出器で集める工程をさらに含み、前記検出器によって前記第2の実体から放射される光が、前記検出器の検出領域に焦点を有さない、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の実体から放射される光を検出器で集める工程をさらに含み、前記検出器によって前記第2の実体から放射される光が、前記検出器の共役面に焦点を有さない、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の実体から放射される光が、前記第2の実体を含まない焦点領域を規定するレンズを通る工程を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記第2の実体から放射される光がレンズを通る方向に対して、円対称でないレンズを、前記第2の実体から放射される光が通る工程を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記第2の実体から放射される光が、円筒形のレンズを通る工程をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記第2の実体から放射される光を検出器で集める工程をさらに含み、前記検出器によって前記第2の実体から放射される光が、前記検出器の検出領域に焦点を有さない、請求項9に記載の方法。
【請求項19】
前記第2の実体から放射される光を検出器で集める工程をさらに含み、前記検出器によって前記第2の実体から放射される光が、前記検出器の共役面に焦点を有さない、請求項9に記載の方法。
【請求項20】
前記第2の実体から放射される光が、前記第2の実体を含まない焦点領域を規定するレンズを通る工程を含み、請求項9に記載の方法。
【請求項21】
前記第2の実体から放射される光がレンズを通る方向に対して、円対称でないレンズを、第2の実体から放射される光が通る工程を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項22】
前記第2の実体から放射される光が、円筒形のレンズを通る工程を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の実体から放射される光を複数の検出器で集める工程をさらに含み、前記第1の実体から放射される光が、前記複数の検出器のうちの少なくとも1つによって規定される焦点領域にはない、請求項1、2、3または4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記第1の実体から放射される光を複数の検出器で集める工程をさらに含み、前記第1の実体から放射される光が、前記複数の検出器のうちの1つ以上に焦点を有さない、請求項1、2、3または4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記第2の実体から放射される光を複数の検出器で集める工程をさらに含み、前記検出器によって前記第2の実体から放射される光が、前記複数の検出器のうちの少なくとも1つの検出器の検出領域に焦点を有さない、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記第2の実体から放射される光を複数の検出器で集める工程をさらに含み、前記検出器によって前記第2の実体から放射される光が、前記複数の検出器のうち、少なくとも1つの検出器の共役面に焦点を有さない、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記第1の実体から放射される光と、前記第2の実体から放射される光とでは、波長が異なっている、請求項1、2、3または4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記第1の実体から放射される光と、前記第2の実体から放射される光の波長が実質的に同じである、請求項1、2、3または4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記第1の実体および前記第2の実体は、異なる波長で活性化される、請求項1、2、3または4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記第1の実体および前記第2の実体は、実質的に同じ波長で活性化される、請求項1、2、3または4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記第1の実体が、前記第2の実体とは化学的に異なっている、請求項1、2、3または4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記第1の実体は、前記第2の実体と化学的に実質的に同じである、請求項1、2、3または4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記第1の実体は、光によって活性化可能なプローブまたは光によってスイッチング可能なプローブであるか、または前記第1の実体が、光によって活性化可能であるか、または光によってスイッチング可能である、請求項1、2、3または4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記第1の実体は、第1の光放射部分と、外側から刺激を加えると前記第1の部分を活性化させる第2の活性化部分とを含む、請求項1、2、3または4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記第2の実体は、光によって活性化可能なプローブまたは光によってスイッチング可能なプローブであるか、または前記第2の実体が、光によって活性化可能であるか、または光によってスイッチング可能である、請求項1、2、3または4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記第2の実体は、第1の光放射部分と、外側から刺激を加えると前記第1の部分を活性化させる第2の活性化部分とを含む、請求項1、2、3または4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記第1の実体から放射される光の波長が、約400nm〜約1000nmである、請求項1、2、3または4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記第1の実体と、前記第2の実体とが、共通の実体に対して固定されている、請求項1、2、3または4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記第1の実体の位置および前記第2の実体の位置を、少なくとも約300nmの精度で決定する、請求項1、2、3または4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記第1の実体と、前記第2の実体とが、約1000nm未満の距離離れた、請求項2または4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記第1の実体の位置および前記第2の実体の位置を、少なくとも約100nmの精度で決定する、請求項1、2、3または4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記第1の実体の位置および前記第2の実体の位置を、少なくとも約50nmの精度で決定する、請求項1、2、3または4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記第1の実体の位置および前記第2の実体の位置を、少なくとも約20nmの精度で決定する、請求項1、2、3または4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記第1の実体の位置および前記第2の実体の位置を、少なくとも約10nmの精度で決定する、請求項1、2、3または4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記第1の実体の位置および前記第2の実体の位置を、前記第1の実体から放射される光の波長および/または前記第2の実体から放射される光の波長よりも小さな精度で決定する、請求項1、2、3または4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
第1の時間点で前記第1の実体の位置および前記第2の実体の位置を決定する工程と、第2の時間点で前記第1の実体の位置および前記第2の実体の位置を決定する工程とを含む、請求項1、2、3または4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
2点以上の時間点で、および/または時間の関数として、前記第1の実体の位置および前記第2の実体の位置を決定する工程を含む、請求項1、2、3または4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記工程を、記載された順序で行う、請求項1、2、3または4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
光を放射可能な複数の実体のうちの少なくともいくつかが約1000nm未満の距離離れたような、光を放射可能な複数の実体を提供する工程と、
前記複数の実体の一部分を活性化させ、光を放射させる工程と、
前記放射した光を決定する工程と、
前記複数の実体の活性化した部分を不活性化する工程と、
前記複数の実体を活性化し、不活性化する工程を繰り返し、この複数の実体のx位置、y位置、およびz位置を決定する工程とを含む、方法。
【請求項50】
光を放射可能な複数の実体を提供する工程と、
前記複数の実体の一部分を活性化させ、光を放射させる工程と、
前記放射した光を決定する工程と、
前記複数の実体の活性化した部分を不活性化する工程と、
前記複数の実体を活性化し、不活性化する工程を繰り返し、この複数の実体のx位置、y位置、およびz位置を決定する工程とを含む、方法。
【請求項51】
前記複数の実体のうちの少なくともいくつかが、前記放射した光の波長よりも短い分離距離離れた、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記複数の実体のそれぞれのx位置、y位置、およびz位置を用い、前記複数の実体の画像を構築する工程をさらに含む、請求項49または50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
検出器での前記複数の実体の画像の形状から、前記複数の実体のz位置を決定する工程をさらに含む、請求項49または50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
検出器での前記複数の実体の画像の強度から、前記複数の実体のz位置を決定する工程をさらに含む、請求項49または50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記複数の実体の一部分から放射される光が、前記複数の実体のいくつかから放射される光がレンズを通る方向に対して、円対称でないレンズを通る工程を含む、請求項49または50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記複数の実体の一部分から放射される光が、円筒形のレンズを通る工程をさらに含む、請求項49または50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
前記複数の実体の一部分から放射される光を検出器で集める工程をさらに含み、前記複数の実体の一部分のうちのいくつかから放射される光が、前記検出器に焦点を有さない、請求項49または50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
前記複数の実体の一部分から放射される光を複数の検出器で集める工程をさらに含み、前記複数の実体の一部分のうちのいくつかが、前記複数の検出器のうち、少なくとも1つの検出器の焦点領域にはない、請求項49または50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
前記複数の実体の一部分から放射される光が、前記複数の実体の一部分のうちの少なくとも一つの部分を含まない焦点領域を規定するレンズを通る工程を含む、請求項49または50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
前記複数の実体の一部分から放射される光を検出器で集める工程をさらに含み、前記複数の実体の一部分のうちの少なくとも一つの部分から放射される光が、前記検出器の共役面にはない、請求項49または50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
前記複数の実体の一部分から放射される光を複数の検出器で集める工程をさらに含み、前記複数の実体の一部分のうち、少なくとも一部分から放射される光が、前記複数の検出器のうちの1つ以上に焦点を有さない、請求項49または50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
前記複数の実体の少なくともいくつかが、異なる波長で光を放射する、請求項49または50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
前記複数の実体が、それぞれ実質的に同じ波長で光を放射する、請求項49または50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項64】
前記複数の実体の少なくともいくつかが、異なる波長の光によって活性化される、請求項49または50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項65】
前記複数の実体が、それぞれ実質的に同じ波長の光で活性化される、請求項49または50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項66】
前記複数の実体の少なくともいくつかが、光によって活性化可能なプローブまたは光によってスイッチング可能なプローブである、請求項49または50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項67】
前記複数の実体の少なくともいくつかが放射した光の波長が、約490nm〜約1000nmである、請求項49または50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項68】
前記複数の実体の位置を、少なくとも約1000nmの精度で決定する、請求項49または50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項69】
前記複数の実体の位置を、少なくとも約300nmの精度で決定する、請求項49または50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項70】
前記複数の実体の位置を、少なくとも約100nmの精度で決定する、請求項49または50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項71】
前記複数の実体の位置を、少なくとも約50nmの精度で決定する、請求項49または50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項72】
前記複数の実体の位置を、少なくとも約20nmの精度で決定する、請求項49または50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項73】
前記複数の実体の位置を、少なくとも約10nmの精度で決定する、請求項49または50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項74】
前記複数の実体の位置を、前記複数の実体から放射される光の波長よりも小さな精度で決定する、請求項49または50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項75】
第1の時間点で前記複数の実体の位置を決定する工程と、第2の時間点で前記複数の実体の位置を決定する工程とを含む、請求項49または50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項76】
2点以上の時間点で、および/または時間の関数として、前記複数の実体の位置を決定する工程を含む、請求項49または50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項77】
前記工程を、記載された順序で行う、請求項49または50のいずれか1項に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1F】
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【図1G】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図3G】
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【図3H】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【公表番号】特表2011−508214(P2011−508214A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−539499(P2010−539499)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【国際出願番号】PCT/US2008/013915
【国際公開番号】WO2009/085218
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(502072134)プレジデント アンド フェロウズ オブ ハーバード カレッジ (92)
【氏名又は名称原語表記】President and Fellows of Harvard College
【Fターム(参考)】