説明

三次元画像表示配置物

本発明は、画像を三次元視認可能に表示する次のような配置物に関する。すなわちこの配置物は、多数の画素を持つ画像再生装置(1)を備え、これらの画素は、シーン、対象物またはテキストごとに、1つまたは複数の像からなる情報を表示する。またこの配置物は、観察者(6)の視線方向(B)に見て画像再生装置(1)の手前に配置されたフィルタアレイ(2)を備え、このフィルタアレイは、ある特定の波長領域で透過性ある多数のフィルタ要素(2a)と、可視光をほぼ透過させない多数のフィルタ要素(2b)とを含む。これらのフィルタ要素(2a、2b)は、画像再生装置(1)の手前に設けられた透明な基材(3)の上に塗布されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を三次元視認可能に表示する次のような配置物に関する。すなわちこの配置物は、多数の画素を持つ画像再生装置を備え、これらの画素は、シーン、対象物またはテキストごとに、1つまたは複数の像からなる情報を表示する。またこの配置物は、観察者の視線方向に見て画像表示装置の手前に配置されたフィルタアレイを備え、このフィルタアレイは、ある特定の波長領域で透過性ある多数のフィルタ要素と、可視光をほぼ透過させない多数のフィルタ要素とを含む。これらのフィルタ要素は、画像再生装置の手前に設けられた透明な基材の上に塗布されている。
【背景技術】
【0002】
従来の技術においてこの種の配置物は、例えばレンチキュラースクリーン、フィルタアレイおよびバリヤスクリーンに基づくものが知られている。観察者にとって欠点は、画像表面にしばしば反射を生じることである。DE20022583U1は、吸収性のフィルタアレイを外側にプリントすることによって、反射を最小限化する手段を、たしかに開示している。しかしこの場合、外側表面の耐久性は非常に限られたものとなる。この考えによるもの、例えば一般に行われるスクリーンプリンティングによって外側にプリントされたフィルタアレイは、熱処理によって耐久性を改善されなければ、キーまたは類似のとがったものによって容易に掻き傷がつき、したがって商業的用途には適格性が極めて限られる。
【特許文献1】国際公開第WO01/56265号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって本発明の課題は、冒頭に挙げた種類の配置物の場合に外乱光反射の発生を十分に防止し、3D‐表示の視認性を改善すること、その際同時に、配置物の外側表面にできるだけ高い耐久性を実現することである。これらの目標をできるだけ単純な手段で達成したい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、冒頭に挙げた種類の配置物の場合、外乱光反射の発生を防止する手段を設けることによって解決される。この方法で、3D‐表示の視認性が改善される。
【0005】
本発明の1つの好ましい実施形態においては、可視光をほぼ透過させないフィルタ要素が、観察者の視線方向に見て透明な基材の前面に塗布されている。この場合外乱光反射の発生を防止する手段として、少なくとも観察者を向く側を反射防止コーティングされた透明なプレートを、視線方向においてフィルタアレイの前に配置する。
【0006】
可視光をほぼ透過させないフィルタ要素を、観察者の視線方向に見て透明な基材の前面に塗布することによって、外部の外乱光の反射を非常に良好に最小限化することができる。同時にまた、少なくとも片側を反射防止コーティングされた透明なプレートを、フィルタアレイの前に置くことによって、フィルタアレイの良好な保護が得られる。この場合、反射防止コーティングが施されていることから、透明なプレートが原因となる外乱光反射が付け加わるとしても、非常にわずかだけである。したがって、外乱光反射の発生を十分に防止し、同時に配置物の外側表面に高い耐久性を得るという課題は、本発明による配置物によって解決される。
【0007】
つや消しコーティングの場合は、透過する有効光の望ましからざる散乱によってゴーストを生じるが、これに比べて反射防止コーティングされたプレートには、このゴーストが十分に防止されるという利点がある。
【0008】
反射防止コーティングの代わりにつや消しコーティングを用いる場合、もう1つの措置は、つや消しコーティングと、画像再生装置の画像生成(サブ)ピクセルのスクリーンとの間で、その間隔を小さくすることであろう。TFT−LCDスクリーンの場合、これは例えばLCパネルの層構造を非対称的にすることによって実現できるが、そのため観察者側のガラスプレートはまったく省かれる。観察者と反対側に取り付けられたガラスプレートは、安定性上の理由でそれが必要なら、その厚さを大きくすることができる。プラズマスクリーンの場合、フロント側のコーティングされたガラスプレートも、その厚さを減じることができる。
【0009】
しかし反射防止つや消しコーティングの代わりに、上記のように、反射防止のための多層コーティングを、フロント偏光子に、またはTFTスクリーンのフロントプレートに、またはプラズマスクリーンのフロント側ガラスプレートに、塗布することができる。このようなコーティングによって、空気および偏光フィルタ、またはガラスプレートといった、たがいに隣接する光学的媒質の光学的屈折率が適合されて、ほとんど連続的なものとなる。
【0010】
透明なプレートは、例えばプラスチックまたはガラス製とし、好ましくは両面に多層コーティングによる反射防止を施すことができる。安全ガラスを用いることもできる。
【0011】
すべての実施形態について当てはまるのは、透明なプレートと、可視光をほぼ透過させないフィルタ要素との間に、空気が充満する0mm〜4mmの間隔が設けられることである。特別な用途の場合、この間隔は4mm以上とすることもできる。
【0012】
特にプラズマスクリーンを画像再生装置として用いる場合、透明な基材と画像再生装置の画像生成表面との間に、十分または完全に透明な導電性プレート、好ましくは複合ガラス製の同プレートを配置すれば、有利な場合がある。
【0013】
上記を行わず、透明な基材自体を、十分または完全に透明な導電性ガラスプレートとし、このプレートを好ましくは複合ガラス製とすることも可能である。
【0014】
本発明のもう1つの好ましい実施形態では、可視光をほぼ透過させないフィルタ要素が、観察者の視線方向に見て透明な基材の前面または背面に塗布され、散漫散乱性および/またはつや消し表面を形成する。ある特定の波長領域でほぼ透過性あるフィルタ要素は、この場合好ましくは、可視光をほぼ透過させるものとする。
【0015】
可視光をほぼ透過させないフィルタ要素の散漫散乱性および/またはつや消し表面によれば、外部外乱光の反射を非常に良好に最小限化することができる。これは、前記フィルタ要素が、観察者の視線方向に見て透明な基材の前面に設けられている場合、特にそうである。
【0016】
透明な基材は、少なくとも片側が、好ましくは両側が、多層コーティングによって反射防止コーティングされているのが合目的である。可視光をほぼ透過させるフィルタ要素もまた、観察者を向く側が、反射防止多層コーティングにより反射防止されているものとすることができる。ただしこれは、このフィルタ要素が手前側に、すなわち透明な基材の観察者を向く側に設けられていない場合に限られる。
【0017】
この実施形態の1つの好ましいバリエーションでは、可視光をほぼ透過させないフィルタ要素が、観察者の視線方向に見て透明な基材の前面に塗布される。この場合、可視光をほぼ透過させないフィルタ要素のそれぞれの散漫散乱性および/またはつや消し表面が、―LCDパネルでは一般に行われていることであるが―反射防止つや消しコーティングによって形成される。この反射防止つや消しコーティングは、追加的なコンポーネントとして、可視光をほぼ透過させないフィルタ要素に塗布される。特に屋内使用の場合、こうすれば非常に良好な条件適格性が得られる。このことは、フィルタ領域のうち透過性あるものに対する透過性がないものの面積比が大きいほど、この条件適格性は良好となる―利用される像の数が多くなるほど、一般にはこの比も大きくなる。
【0018】
このような多数のコンポーネントからなるフィルタアレイの製造は、好ましくは次のような手順段階で行われる。まずLCDパネルに一般に用いられる反射防止つや消しコーティングを、フィルタアレイの全面に塗布する。つづいてそのつや消しコーティングのうちほぼ次のような表面部分で、そのつや消し表面を除去する。この表面部分とは、可視光をほぼ透過させるフィルタ要素の上に、つや消しコーティングの表面法線にそって平行に投影されるとき、そのフィルタ要素と重なり合って位置する表面部分である。これはレーザービームの照射によって行うことができ、その結果、上記の表面部分の箇所には、平らで散乱性のない表面がつづいて生じる。そして/または対応する表面部分の切除によって、すなわち例えば切断ツールまたは打ち抜き機を用いて、そして/または対応する表面部分の融解と冷却によって、そして/または酸そのほかの化学物質を用いる表面部分のエッチングによって、いずれもその結果、上記の表面部分の箇所には、平らで散乱性のない表面がつづいて生じる。
【0019】
この場合当然のことであるが、前記の投影によって描かれるより大きい、または小さい表面部分に、つや消しされない表面を設けることもできる。
【0020】
上記と異なる方法として、この製造を次の手順段階で行うこともできる。フィルタアレイをまず準備する。これは、可視光をほぼ透過させないフィルタ要素を透明な基材に塗布済みであるものとする。次に散漫散乱性および/またはつや消し表面を、可視光線をほぼ透過させないフィルタ要素の上に設ける。これは前記のフィルタ要素に対するレーザービームの照射によって行うことができる。その結果、そこには散漫散乱性および/またはつや消し表面が生じる。そして/または前記フィルタ要素の機械的な粗面化によって、すなわち例えば研磨紙を用いて、そして/または前記フィルタ要素の融解と冷却によって、そして/または酸を用いての前記フィルタエレメントのエッチングによって、それぞれその結果、そこには散漫散乱性および/またはつや消し表面が生じる。
【0021】
少なくとも透明なフィルタ要素、すなわち可視光線を透過させるフィルタ要素に、反射防止のための多層コーティングを施せば、もう1つの改善が得られる。屋外用途の場合や直射日光が当たる場合、散漫散乱性で、つや消しされ、可視光をほぼ透過させないフィルタ要素に、反射防止のための追加的な多層コーティングを施すのも合目的である。屋外用途の場合、このフィルタ要素は、しかしその代わりに通常の反射性ある表面を持つこともできる。
【0022】
本発明による解決法はそのほか、透明な基材の上のフィルタアレイが、直接に画像再生装置の中に、すなわち例えば面的なバックグラウンド照明と、透明な画像生成装置例えばLCDパネルとの間に、組み込まれている場合にも用いることができる。
【0023】
そのほか本発明による解決法によれば、画像再生装置に専用の反射防止つや消しコーティングを設けるという方法は、過去のものとなる。このようなコーティングを設けることは可能であるが、どうしても必要なものではない。
【0024】
このフィルタアレイは、例えば露光された、またはプロッティングされた、または現像された写真フィルムとして形成することができる。この場合フィルムのプラスチック基材と、選択するならば同時に、視線方向においてプラスチック基材の背後にあるガラスプレートまたはプラスチックプレート、すなわちフィルムのプラスチック基材に積層されている同プレートとが、前記の透明な基材に相当する。この場合、前記の可視光線をほぼ透過させないフィルタ要素は、感光したフィルムエマルジョン、または写真銀塩によって形成される。可視光をほぼ透過させるフィルム要素は、現像前に感光させないことによって形成することができる。
【0025】
本発明のもう1つの実施形態では、すべてのフィルタ要素が、観察者の視線方向に見て透明な基材の背面に塗布される。そして観察者の視線方向に見て透明な基材の前面には、反射防止コーティングされた表面が設けられる。この場合透明な基材の背面のうち、ある特定の波長領域で透過性あるフィルタ要素が塗布されている表面部分だけに、やはり反射防止コーティングされた表面が設けられる。
【0026】
本発明の上記と類似の実施形態の場合、やはりすべてのフィルタ要素が、観察者の視線方向に見て透明な基材の背面に塗布されているものであるが、観察者の視線方向に見て透明な基材の前面だけに、反射防止コーティングされた表面を設けて、背面には設けない。
【0027】
この透明な基材は、両者の実施形態とも好ましくはガラスまたはプラスチック製とする。そのほか好ましくは、透明な基材上の反射防止コーティングされた表面はすべて多層コーティングとして、好ましくは干渉光学的な反射防止コーティングとして形成されるものとする。この種の薄膜は、専門家には十分知られている。
【0028】
特に好ましい実施形態では、可視光をほぼ透過させないフィルタ要素を、透明な基材の背面に設けられた―例えば接着または積層された―フィルムに塗布する。透過性のフィルタ要素もまた、このフィルムに塗布すれば合目的である。これらのフィルタ要素は、黒色―好ましくはマットブラック―の顔料として、フィルムに塗布することができる。この場合、通常はプリントプロセスにより、フィルタアレイの組織構造として塗布される。特に好ましくは、このフィルムを自己接着型に形成し、その顔料またはフィルタ要素を施された側が、透明な基材の方を向くようにする。当然のことであるが、このフィルタ要素または顔料を施された側が、透明な基材と反対側を向くようにすることもできる。
【0029】
フィルムを用いるこの実施形態の特に好ましいバリエーションでは、透明な基材と、接着層またはラミネーティング層―すなわちフィルムと基材の間に耐久性ある結合が得られる層―とは、相互間の屈折率の差が3分の1以上にならないように、好ましくは20%以上にならないようにする。同様に接着層またはラミネーティング層と、フィルムとの間でも、相互間の屈折率の差が3分の1以上にならないように、好ましくは20%以上にならないようにする。このような組み合わせによって、観察者にとって特に有利な特性が得られる。
【0030】
すべての実施形態において、好ましくは、ある特定の波長領域で透過性あるフィルタ要素として、可視光をほぼ透過するフィルタ要素と、可視光をほぼ透過しないフィルタ要素の両者だけを、フィルタアレイに設けるものとする。フィルタアレイの個々のフィルタ要素は、それぞれ任意の輪郭、好ましくは四角形の輪郭を持つ。
【0031】
画像再生装置としては、例えばカラーLCディスプレイ、プラズマディスプレイ、OLED、プロジェクションディスプレイ、またはエレクトロルミネセンスディスプレイが、考慮対象となる。このほかの種類の画像再生装置も除外されない。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態では、可視光をほぼ透過しないフィルタ要素が、透明な基材の上に、好ましくは―もし選択するならば反射防止コーティングされた―ガラスプレートまたはプラスチックプレートの上に、黒色―好ましくはマットブラック―の顔料として塗布される。当然のことであるが、顔料に代わるそのほかの材料、例えば適切なプラスチック被覆も用いることができる。顔料を用いる場合、プリントプロセスによって、例えばスクリーンプリンティングによって、顔料をフィルタアレイの組織構造として塗布することができる。付言すればもっとも単純な場合、可視光をほぼ透過するフィルタ要素を、これら顔料を欠落させることによって形成する。最初にまず全面的に顔料塗布を行って、その後からフィルタアレイの組織を、例えばレーザーアブレーションによって生じることも考えられる。両者の場合とも、顔料を塗布した後、熱処理すれば有利である。これにより顔料の耐久性を向上させ、散漫散乱性および/またはつや消し表面の生成を促進することができる。
【0033】
さらには透明な基材と、画像再生装置の画像生成表面との間に、0mm〜24mmの間隔を設ける。この間隔は、透明な基材と画像再生装置のたがいに向かい合うそれぞれの表面から測ったものをいう。例外的な場合には、この間隔をそれよりも大きくすることができる。透明な基材自体は、好ましくはその厚さを数百μm〜数mmとする。RGBカラーサブピクセルが、例えばその大きさの範囲をそれぞれ幅100μmとする場合、この透明な基材は、好ましくは厚さ約1mmとする。この基材は同時に、フィルタアレイと画像再生装置の間の一種のスペーサーに相当する。サブピクセルの厚さが約2倍になると、透明な基材はその全体を二、三ミリメートルの厚さとすることができる。
【0034】
そのほか三次元的に視認可能な表示か、二次元表示かを選択して行う手段を、本発明による配置物で用いることができる。ただしこれは、同手段が外乱光反射に対する感受性を高めたり、または配置物の外側表面にあたえられている耐久性を減じたりしない場合に限られる。
【0035】
フィルタアレイの構造と製造については、代表的なものとして、DE20121318U1、特許文献1、PCT/EP2004/004464、PCT/EP2004/001833、DE10145133の諸文献を参照されたい。シーン/対象物/テキストごとに、多数の像からなる情報の多数の画素への割り当てが、適切な方法で、特に上記各文献のいずれかに記載の考え方に従って行われることが、いうまでもなく前提となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
下記に実施例を用いて、本発明をさらに詳しく説明する。
【0037】
図1は、本発明の第1の実施形態の原理的な略図を示す。本発明によるこの配置物は、多数の画素を含む画像再生装置1を備える。これらの画素は、シーン、対象物、またはテキストごとに、1つまたは複数の像からなる情報を表示する。またこの配置物はそのほか、観察者6の視線方向Bに見て画像再生装置1の手前に配置されたフィルタアレイ2を備える。このフィルタアレイは、ある特定の波長領域で透過性ある多数のフィルタ要素2aと、可視光をほぼ透過させない多数のフィルタ要素2bとを備える。この場合、フィルタアレイ2のフィルタ要素2a、2bはすべて、観察者6の視線方向Bに見て透明な基材3の背面に塗布され、この基材は画像再生装置1の前に位置する。
【0038】
外乱光反射の発生を防止するため、観察者6の視線方向Bに見て透明な基材3の前面4に、反射防止コーティングされた表面を設ける。この場合、この透明な基材3の背面のうち、ある特定の波長領域で透過性あるフィルタ要素2aが塗布されている表面部分だけに、やはり反射防止コーティングされた表面を設ける。しかし透明な基材3の背面のそのほかの表面部分、すなわち可視光をほぼ透過させないフィルタ要素2bが塗布されている表面部分には、反射防止コーティングされた表面を設けない。
【0039】
ここに例を示した実施形態では、可視光をほぼ透過させるフィルタ要素2aと、ほぼ透過させないフィルタ要素2bの両者だけが、フィルタアレイ2に設けられている。さらには透明な基材3はガラス製、例えばドイツ国、Gruenenplan市、Schott−Glaswerke社の製品Conturanからなるものとする。
【0040】
透明な基材3の反射防止コーティングされた表面はすべて、多層コーティングとして形成される。この種の措置は、専門家には十分知られていることである。透明な基材3は、スペーサーを介して画像再生装置1に固定される。例えば接着される。
【0041】
画像再生装置1としては、例えばNEC LCD4000タイプのカラーLCディスプレイを用いる。
【0042】
フィルタアレイ2の個々のフィルタ要素2a、2bは、それぞれ四角形の輪郭を持つ。
【0043】
有利な方法として、可視光をほぼ透過させないフィルタ要素2bを、印刷プロセスにより、マットブラック顔料として、透明な基材3の背面に塗布する。しかし可視光をほぼ透過させるフィルタ要素2aは、単純にそれに相当する箇所から顔料を欠落させることによって得られる。そのためこの顔料は、フィルタアレイ2の組織構造としてプリントされる。
【0044】
透明な基材3の背面のうち、ある特定の波長領域で透過性あるフィルタ要素2aが塗布されている表面部分に、反射防止コーティングされた表面が設けられるようにしたい。しかし透明な基材3の背面のうち、可視光をほぼ透過させないフィルタ要素2bが塗布されている表面部分には、反射防止コーティングされた表面が設けられないようにしたい。そのためには、さらに下記の製造手順を用いることができる。まず透明な基材3の前面4だけに、反射防止コーティングされた表面を設けるが、背面には反射防止コーティングを施さない。背面には、可視光をほぼ透過させないフィルタ要素2bをプリントする。続いて追加的な反射防止フィルムを、好ましくは接着性の多層反射防止フィルムを、顔料を施された背面に付着させる。これは例えば2本のロール間の圧着により行う。
【0045】
好ましくは、顔料は塗布した後に熱処理を加えられて、その耐久性を改善される。
【0046】
例えば透明な基材3と、画像再生装置1の画像生成表面との間に、11mmの間隔5を設ける。
【0047】
上記の方法で、外乱光反射の発生を十分に防止し、3D表示の視認性を改善する。この場合同時に、配置物の外側表面に高度の耐久性が実現される。本発明はまた単純な手段で実現可能である。
【0048】
図2は本発明の第2の実施形態を示す。ここに示した配置物は、NEC LCD4000タイプの画像再生装置1を備える。このタイプは、フルカラーの画素―それぞれが赤、緑、青のカラーサブピクセルからなる―1280列×768行を持ち、これらの画素は、事前指定された割り当てにより、シーン、対象物、またはテキストごとに、1つまたは複数の像からなる情報を表示する。またこの配置物は、観察者6の視線方向Bに見て画像再生装置1の手前に配置されたフィルタアレイ2を備える。このフィルタアレイは、可視光をほぼ透過させる多数のフィルタ要素2a、および可視光をほぼ透過させない多数のフィルタ要素2bを備える。図1に示した例とは異なって、可視光をほぼ透過させないフィルタ要素2bは、観察者6の視線方向Bに見て透明な基材3の前面に―この基材は画像再生装置1の手前に置かれている―塗布されている。そのほか可視光をほぼ透過させないフィルタ要素2bは、散漫散乱性および/またはつや消し表面を持つ。
【0049】
透明な基材3は、両面を多層コーティングにより反射防止コーティングされた、厚さ3mmの、Conturanタイプのガラスプレートである。このガラスプレートには、可視光をほぼ透過させないフィルタ要素2bが、マットブラック顔料として塗布されている。この顔料は、スクリーンプリンティングプロセスによって、フィルタアレイ2の組織構造として塗布されている。有利な方法として、この顔料は塗布後に熱処理される。これは顔料の耐久性を向上させ、そして/または散漫散乱性および/またはつや消し表面7の生成を助ける。付言するならば、可視光をほぼ透過させるフィルタ要素2aは、顔料を単純に欠落させることによって形成される。
【0050】
フィルタアレイ2の個々のフィルタ要素2a、2bは、それぞれが任意の輪郭、好ましくは四角形の輪郭を持つ。さらには透明な基材3すなわちConturanプレートと、画像再生装置1の画像生成表面との間には、8mmの間隔5を設ける。
【0051】
この実施例の1つの特殊な実施形態は、可視光をほぼ透過させないフィルタ要素2bの散漫散乱性および/またはつや消し表面7として、次のようなものを意図する。すなわちこの表面は、―LCDパネルに一般に用いられる―反射防止つや消しコーティングによって形成され、このコーティングを、追加的なコンポーネントとして、可視光をほぼ透過させないフィルタ要素2bに塗布される。
【0052】
この実施例によっても、外乱光反射の発生が単純な手段で十分に防止され、3D表示の視認性が改善される。
【0053】
本発明の第3の実施形態を、図3に模式的に示す。ここに示す配置物も、画像を三次元視認できるように表示するものであって、NEC LCD4000タイプの画像再生装置1を備える。このタイプは、フルカラーの画素―それぞれが赤、緑、青のカラーサブピクセルからなる―1280列×768行を持ち、これらの画素は、事前指定された割り当てにより、シーン、対象物、またはテキストごとに、1つまたは複数の像からなる情報を表示する。またこの配置物は、観察者6の視線方向Bに見て画像再生装置1の手前に配置されたフィルタアレイ2を備える。このフィルタアレイは、ある特定の波長領域で透過性ある多数のフィルタ要素2a、および可視光をほぼ透過させない多数のフィルタ要素2bを備える。図2に示した例と同様に、この場合も可視光をほぼ透過させないフィルタ要素2bは、観察者6の視線方向Bに見て透明な基材3の前面に塗布されている。この基材は、第1のConturanガラスプレートであって、厚さ3mm、画像再生装置1の表面から8mmの間隔5を取って設けられている。
【0054】
しかし観察者6の視線方向Bに見てフィルタアレイ2の手前には、1つの透明なプレートがある。これは第2のConturanガラスプレートであって、やはり厚さ3mm、両面を多層コーティングにより反射防止コーティングされている。
【0055】
フィルタアレイ2には、可視光をほぼ透過させるフィルタ要素2aと、ほぼ透過させないいわゆる不透明なフィルタ要素2bの両者だけが設けられている。フィルタアレイ2の個々のフィルタ要素2a、2bは、それぞれが四角形の輪郭を持つ。
【0056】
透明な基材3、すなわち第1のConturanガラスプレートには、可視光をほぼ透過させないフィルタ要素2bが、黒色の―好ましくはマットブラック―顔料として塗布、例えばプリントされている。プリントにはスクリーンプリンティング法が適している。この場合顔料は、プリントプロセスによってフィルタアレイ2の組織構造として塗布される。したがって後からさらにフィルタアレイ2を組織化する必要はない。可視光をほぼ透過させるフィルタ要素2aは、この場合単純に透明な基材3における顔料を欠落させることによって形成される。
【0057】
可視光をほぼ透過させないフィルタ要素2bを、透明な基材3すなわち第1のConturanガラスプレートにおいて、観察者6の視線方向Bに見てその前面に塗布することにより、外からの外乱光の反射を非常に良好に最小限化することができる。同時に、両面を反射防止コーティングされたプレート8、すなわち第2のConturanガラスプレートによって、フィルタアレイ2の機械的な保護が得られる。この場合、両面に反射防止コーティングされているので、外乱光の影響は非常にわずかである。したがって、外乱光反射の発生を防止し、同時に配置物の外側表面に高度の耐久性を得るという課題が、本発明の配置物のこの実施形態によっても解決される。
【0058】
透明なプレート8と、可視光をほぼ透過させないフィルタ要素2bとの間には、空気が充満する約0.5mmの間隔が設けられている。
【0059】
さらには透明な基材3―第1のConturanガラスプレート―と、画像再生装置1の画像生成表面との間には、8mmの間隔5が設けられている。この間隔は、透明な基材3と画像再生装置1とのそれぞれたがいに向かい合う表面から測定されるものをいう。
【0060】
この配置物によっても、外乱光反射の発生が十分に防止される。これにより3D表示の視認性が改善される。この場合同時に、配置物の外側表面に高度の耐久性が実現される。本発明はまた単純な手段で実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の第1の実施形態である。
【図2】本発明の第2の実施形態である。
【図3】本発明の第3の実施形態である。
【符号の説明】
【0062】
1 画像再生装置
2 フィルタアレイ
2a、2b フィルタ要素
3 透明な基材
4 基材の表面
5 間隔
6 観察者
7 フィルタ要素の表面
8 透明なプレート
B 視線方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元的に視認可能な画像表示を行う配置物であって、
該配置物は、
―多数の画素を含む画像再生装置(1)を備え、該画素は事前に指定された割り当てにより、シーン、対象物またはテキストごとに、1つまたは複数の像からなる情報を表示し、
―観察者(6)の視線方向(B)に見て画像再生装置(1)の前に配置されたフィルタアレイ(2)を備え、該フィルタアレイは、ある特定の波長領域で透過性ある多数のフィルタ要素(2a)と、可視光をほぼ透過させない多数のフィルタ要素(2b)とを備え、
―該フィルタ要素(2a、2b)は、該画像再生装置(1)の前に設けられた透明な基材(3)の上に塗布されており、
―外乱光反射の発生を防止する手段が設けられていることを特徴とする、
配置物。
【請求項2】
可視光をほぼ透過させる前記フィルタ要素(2b)が、前記観察者(6)の視線方向(B)に見て前記透明な基材(3)の前面に塗布され、
外乱光反射の発生を防止する手段として、少なくとも該観察者の方を向く側が反射防止コーティングされた、透明なプレート(8)が、視線方向(B)に見て前記フィルタアレイ(2)の前に配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の配置物。
【請求項3】
前記透明なプレート(8)が、プラスチックまたはガラスからなり、両面が多層コーティングによって反射防止コーティングされていることを特徴とする、請求項1または2に記載の配置物。
【請求項4】
前記透明なプレート(8)と、可視光をほぼ透過させない前記フィルタ要素(2b)との間に、空気が充満する0mm〜4mmの間隔を設けることを特徴とする、前記各請求項のいずれかに記載の配置物。
【請求項5】
前記透明な基材(3)と、前記画像再生装置(1)の画像生成表面との間に、十分または完全に透明な導電性プレート、好ましくは複合ガラスからなる該プレートが配置されていることを特徴とする、前記各請求項のいずれかに記載の配置物。
【請求項6】
前記透明な基材(3)が十分または完全に透明な導電性ガラスプレートであって、該ガラスプレートは好ましくは複合ガラスからなることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の配置物。
【請求項7】
可視光をほぼ透過させない前記フィルタ要素(2b)が、観察者(6)の視線方向(B)に見て透明な前記基材(3)の前面または背面に塗布されており、
該フィルタ要素(2b)が、外乱光反射の発生を防止するため、散漫散乱性および/またはつや消し表面(7)を備える、
ことを特徴とする、請求項1に記載の配置物。
【請求項8】
ある特定の波長領域においてほぼ透過性を持つ前記フィルタ要素(2a)が、可視光をほぼ透過させることを特徴とする、請求項7に記載の配置物。
【請求項9】
前記透明な基材(3)は、少なくとも片側を、好ましくは両側を、多層コーティングによって反射防止コーティングされていることを特徴とする、請求項8に記載の配置物。
【請求項10】
前記透明な基材に設けられた、可視光をほぼ透過させる前記フィルタ要素(2a)は、前記観察者(6)の方を向く側が、反射防止多層コーティングにより反射防止されていることを特徴とする、請求項8または9に記載の配置物。
【請求項11】
可視光をほぼ透過させない前記フィルタ要素(2b)が、前記観察者(6)の視線方向(B)に見て前記透明な基材(3)の前面に塗布されており、
可視光をほぼ透過させない該フィルタ要素(2b)の前記それぞれの散漫散乱性および/またはつや消し表面(7)が、反射防止つや消しコーティングによって形成され、
該つや消しコーティングが追加的コンポーネントとして、可視光をほぼ透過しない該フィルタ要素(2b)に塗布されている、
ことを特徴とする、請求項7〜10のいずれかに記載の配置物。
【請求項12】
可視光を透過する前記フィルタ要素(2a)が、多層コーティングによって反射防止コーティングされていることを特徴とする、請求項7〜11のいずれかに記載の配置物。
【請求項13】
可視光を透過させない前記フィルタ要素(2b)が、多層コーティングによって反射防止コーティングされていることを特徴とする、請求項7〜12のいずれかに記載の配置物。
【請求項14】
前記フィルタアレイ(2)が、露光された、またはプロッティングされた、または現像された写真フィルムとして形成され、
該フィルムのプラスチック基材と、選択するならば同時に、視線方向に見て該基材の後ろにあるガラスプレートとが、前記透明な基材(3)に相当し、
該ガラスプレートに該フィルムの該プラスチック基材が積層され、
可視光をほぼ透過しない前記フィルタ要素(2b)が、感光済みのフィルムエマルジョンによって形成される、
ことを特徴とする前記各請求項のいずれかに記載の配置物。
【請求項15】
すべてのフィルタ要素(2a、2b)が、前記観察者(6)の視線方向(B)に見て透明な基材(3)の背面に塗布されており、
外乱光反射の発生を防止するため、該観察者(6)の視線方向(B)に見て前記透明な基材(3)の前面(4)には、反射防止コーティングされた表面を設け、
該透明な基材(3)の背面においては、ある特定の波長領域で透過性を持つフィルタ要素(2a)が塗布されている表面部分だけが、反射防止された表面を同様に設けられる、
ことを特徴とする、請求項1に記載の配置物。
【請求項16】
すべてのフィルタ要素(2a、2b)が、前記観察者(6)の視線方向(B)に見て透明な基材(3)の背面に塗布されており、
該観察者(6)の視線方向(B)に見て前記透明な基材(3)の前面(4)には、反射防止コーティングされた表面が設けられるが、背面には設けられない、
ことを特徴とする、請求項1に記載の配置物。
【請求項17】
反射防止コーティングされた表面はすべて、多層コーティングとして形成されることを特徴とする、請求項15または16に記載の配置物。
【請求項18】
可視光をほぼ透過させない前記フィルタ要素(2b)がフィルムに塗布され、該フィルムは、前記透明な基材(3)の背面に取り付けられ、例えば接着または積層されていることを特徴とする、請求項16または17に記載の配置物。
【請求項19】
可視光をほぼ透過する前記フィルタ要素(2a)が、前記フィルムに塗布されていることを特徴とする、請求項18に記載の配置物。
【請求項20】
前記フィルタ要素(2a、2b)を設けられた面が、前記透明な基材(3)を向いて位置することを特徴とする、請求項19に記載の配置物。
【請求項21】
前記透明な基材と、接着層またはラミネーティング層との相互間、および接着層またはラミネーティング層と、フィルムとの相互間において、屈折率の差がそれぞれ3分の1を超えないことを特徴とする、請求項18〜20に記載の配置物。
【請求項22】
可視光をほぼ透過させるフィルタ要素(2a)と、ほぼ透過させないフィルタ要素(2b)の両者だけが、前記フィルタアレイ(2)に設けられていることを特徴とする、前記各請求項のいずれかに記載の配置物。
【請求項23】
前記画像再生装置(1)が、カラーLCディスプレイ、プラズマディスプレイ、OLED、またはエレクトロルミネセンスディスプレイであることを特徴とする、前記各請求項のいずれかに記載の配置物。
【請求項24】
前記フィルタアレイ(2)の前記個々のフィルタ要素(2a、2b)が、それぞれ任意の輪郭、好ましくは四角形の輪郭を持つことを特徴とする、前記各請求項のいずれかに記載の配置物。
【請求項25】
前記透明な基材(3)がガラスプレートまたはプラスチックプレートであることを特徴とする、請求項1〜13または15〜24のいずれかに記載の配置物。
【請求項26】
前記透明な基材(3)に、可視光をほぼ透過させない前記フィルタ要素(2b)が、黒色―好ましくはマットブラック―の顔料として塗布されていることを特徴とする、請求項25に記載の配置物。
【請求項27】
前記透明な基材(3)と、前記画像再生装置(1)の画像生成表面との間に、0mmから24mmの間隔(5)を設けることを特徴とする、前記各請求項のいずれかに記載の配置物。
【請求項28】
請求項11に記載の配置物に用いるフィルタアレイ(2)を製造する方法であって、
―フィルタアレイ(2)に反射防止つや消しコーティングを全面的に塗布し、
―該反射防止つや消しコーティングの主として次のような表面部分、すなわち可視光をほぼ透過させる前記フィルタ要素(2a)の上に、該反射防止つや消しコーティングの表面法線にそって平行に投影されるとき、該フィルタ要素と重なり合って位置する該表面部分で、
a)レーザービームを照射して、該表面部分の箇所で平面的かつ非散乱性の表面を生じ、そして/または、
b)例えば切断ツールまたは打ち抜き機を用いて、対応する表面部分を切り取り、そして/または、
c)対応する表面部分を融解し、冷却して、該表面部分の箇所で平面的かつ非散乱性の表面を生じ、そして/または、
d)酸を用いて対応する表面部分をエッチングし、該表面部分の箇所で平面的かつ非散乱性の表面を生じる、
ことにより、つや消し表面を除去する手順段階を含む方法。
【請求項29】
請求項7〜10または22〜27のいずれかに記載の配置物に用いるフィルタアレイ(2)を製造する方法であって、
―可視光をほぼ透過しないフィルタ要素(2b)が透明な基材(3)に塗布されているフィルタアレイ(2)を準備し、
―可視光をほぼ透過させない該フィルタ要素(2b)の上に、
a)該フィルタ要素(2b)にレーザービームを照射して、照射箇所に散漫散乱性および/またはつや消し表面(7)を生じ、そして/または、
b)該フィルタ要素(2b)を機械的に粗面化して、粗面化箇所に散漫散乱性および/またはつや消し表面(7)を生じ、そして/または、
c)該フィルタ要素(2b)を融解、冷却して、その箇所に散漫散乱性および/またはつや消し表面(7)を生じ、そして/または、
d)酸を用いて該フィルタ要素(2b)をエッチングし、エッチング箇所に散漫散乱性および/またはつや消し表面(7)を生じる、
ことにより、散漫散乱性および/またはつや消し表面を得る手順段階を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−512696(P2008−512696A)
【公表日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−528762(P2007−528762)
【出願日】平成17年8月30日(2005.8.30)
【国際出願番号】PCT/EP2005/009312
【国際公開番号】WO2006/024481
【国際公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(507066183)エックス3ディー テクノロジーズ ゲーエムベーハー (2)
【Fターム(参考)】